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2022年11月11日

チタンシェルのユニバーサル、qdc TIGERレビュー

TIGERは中国のプロフェッショナル・オーディオ市場において大きなシェアを持つqdcが寅年を記念して開発したハイエンドのマルチドライバー・ユニバーサルイヤフォンです。

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* TIGERの特徴

1. チタン製のシェルと装着感の良さ

TIGERではシェルが通常のアクリルではなく、硬度の高い金属のチタン製です。シェルはユニバーサルタイプなのでカスタムイヤフォンに似た形状で、もちろんqdcのカスタム製作の経験に基づいたものです。これにより材質感など感覚的な良さはもちろん、遮音性など音の部分にも大きな効果があります。
また中空彫刻工芸という技術でフェイスプレートの部分が虎縞の模様に繰り抜かれてローズゴールドの中層が透けて見え、虎を想起させる独自性のあるデザインもユニークです。

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また付属のダブルフランジイヤーピースの出来が良いこと、金属製のユニバーサルシェル、オールBA/ESTなのでベントもないなどから高い遮音性と装着感の良さを両立させています。

2. BAドライバーと静電ドライバーのハイブリッド構成

TIGERでは6 基の BA ドライバーと 2 基の静電(EST)ドライバーによる片側合計 8 基のハイブリッド構成を採用しています。TIGERにおいては低域部分もBAドライバーが担当しています。

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クロスオーバーはAnole V14 と同じ 4wayタイプを採用しています。これにより10Hz - 70kHzというかなり広い帯域特性を得ているとのことです。

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3. プラグ交換式の標準ケーブル

標準ケーブルは3in1タイプの交換式プラグを採用し、3.5mmアンバランス・2.5mm4 極バランス、4.4mm5 極バランスの三種類に交換が可能です。イヤフォン側の端子は2ピンでソケットを使用して確実に装着するタイプです。

* インプレッション

実際の製品はチタンらしい感触で金属の質感が高級感を感じさせます。それにフェイスプレートの中空加工が独特な個性を加えています。
TIGERのまず第一の特徴はその装着感の良さと遮音性の高さです。ダブルフランジ・イヤーピースの出来が良く、ノズルの部分がうまく耳穴にフィットするので、イヤーピースがいつもよりひとサイズ小さくても良いくらいです。わたしはダブルフランジは苦手なんだけど、これはシングルみたいにうまくフィットしますね。
これは人によって違うかもしれませんが、シングルフランジの大だと少し低音多めになりますが、ダブルフランジだと適正になる感じですね。これでプレーヤーや曲によって使い分けてもいいと思う。
この装着性の良さと金属のシェルのおかげでTIGERは極めて遮音性の高いユニバーサルイヤフォンになっています。カスタム並みと言っても良いかもしれません。金属の遮音効果もあるので下手なカスタムよりいいかもしれません。電車内で使うとANCなみに音が低減できるほど。これは音量をあまり上げなくて済むとともに、入ってくるノイズを小さくできるので細かな音の再現性でも有利となりますね。

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標準ケーブルは端子交換タイプで3.5mmアンバランス・2.5mm4 極バランス、4.4mm5 極バランスの3タイプを簡単に付け替えができます。付属の円形ケースはなかなかに使い勝手が良いデザインでケーブルが絡みにくいと思う。

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TIGERは能率は低くないのでわりと鳴らしやすい方だと思う。音質はとても先鋭的な音で透明感が高く感じられます。また音場がとても広い感じがします。オールBAという印象よりはずっと低域はたっぷり出ている感じです。全体的にはすっきりと端正で原音忠実度の高いサウンドだと思います。
中高音域はシャープで切れ味が良いけれども、刺さるようなきつさを感じないのはチューニングの巧みさを感じさせます。楽器音はきわめて美しく鮮明で、それできつさが少なく感じられます。このため弦楽器の鳴りが極めて美しく響き、演出的とか音楽的というのではなく、音が極めて純粋で澄んでいると感じさせます。中高音の上に伸びる感じがすうーっと上にどこまでも引き上げられる感じが気持ちが良い。
高域のベルやハイハットの音は鮮明で倍音が感じられる鳴りの良さがある。この辺はESTの効果なんでしょうか。美しくカーンと響き、歪みが少なく端正です。高域特性は数字の上だけではなくかなり良いと思う。

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ハイエンドイヤフォンらしく解像力の高さも特筆もので、楽器音のゴリゴリ感やヤニが飛び散る感じだけではなくジャズの中でミュージシャンがヤアっていう声が浮き上がって聞こえるほど。この辺りは先に書いた外来ノイズの遮音性の高さも寄与しているでしょう。ジャズトリオの演奏などでは楽器音の切れ味の良さとともに足で思わずリズムをとってしまうほどにスピード感のノリが良い。この辺の音の特性はBAドライバーがメインであると思わせてくれます。
反面でBAドライバーがメインだと低音が物足りないかと思うかもですが、TIGERは低音の量感がたっぷりと感じられて音の深みと迫力が堪能できます。それでいて膨らまずにソリッドで引き締まって強いパンチが楽しめるのは逆にBAドライバーならではの低域表現ですね。

Audiophile Jazz prologueみたいな良録音版を聴くとかなり原音忠実度が高いのがわかります。録音忠実度と言うべきかも。高再現性・高忠実度つまりHiFiっていう意味に極めて近いイヤフォンでもありますね。HiFiだからこそ電子的な録音聴いても音の重なりが極めて立体的で圧倒されます。
これはある意味プロ用御用達のqdcらしいでしょう。

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Anole V14も試聴したことがありますが、音傾向はだいぶ違うように感じます。V14は空気感でTIGERは明瞭感という感じでしょうか。
TIGERはqdcの中ではNobleでのKATANAに似てるかもしれません。それでいうとV14はK10系統ですね。

DAPとしてはSP2000Tの真空管モードと相性がいいと思います。先鋭な音が柔らかくなるのもあるけど、チューブの倍音みたいなのが引き出される感じで、ヴォーカルがよくSP2000TとTigerでアニソン聴くとちょっとすごい。
DAPがハイエンドほど力を引き出せるので、SP3000だとフルに力を発揮できる感じがします。ジャズやクラシックでの楽器の鮮明感やスケール感の豊かさは絶品です。

* まとめ

TIGERは見た目も音もソリッドで、音もソリッドなハイエンドイヤフォンです。ワイドレンジでEST/BAで期待される中高域はもちろん、低域もたっぷり量感があります。それもBAの低域なので膨らまないでタイトにビシッときまります。切れ味があってスピードが感じられ、楽器の絡み合うさまが立体的で、楽器のたくさんあって入り組んだ器楽曲で力を発揮します。
どちらかというと楽器音を鮮明に楽しむジャズクラシック向けと言うべきだけど、中高域が極めて美しいのでヴォーカルの再現性も素晴らしく、ハイエンドアニソンイヤフォンとしても良いと思います。またロックでもオールBAの打撃感が気持ち良くスピード感のノリも良いと思う。もともとかなり低域が出るイヤフォンなので、イヤーピースを変えるともっとEDMとかポップにも合うかもしれません。

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TIGERは寅年の記念と言いますが、真意は虎の牙の鋭さだと思う。サウンドは鮮明にしてシャープなサウンドながらキツくならないのがちょっとすごい点で、それはまるで子供をくわえて優しく運ぶ虎の牙みたいに優しく鋭いと感じます。TIGERは先鋭的でかつ自然な音という高いレベルを実現したユニバーサルイヤフォンといえるでしょう。

posted by ささき at 10:37 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする