HIFIMAN HM800は最近流行りのスマホと組み合わせるのに都合の良いスティックタイプとかドングルタイプと言われる小型DACです。しかしその中身はHIFIMANらしいマニア精神にあふれています。
その特徴はHIFIMAN独自のヒマラヤDACを搭載したことです。これによってR2RDAC採用というマニアックなスペックでありながら驚くほどのコンパクトさを実現しています。
市場のドングル型のDAC製品の半分程度という小型さで、今までのイヤフォンのスプリット部の飾り並みの小型さです。接続は片側のUSBタイプCの端子をスマートフォンなどに接続するだけです。
本レビューは製品化前のモデルで行っていますので、国内販売モデルとは異なります。本レビューではケーブルが固定式のモデルですが、国内導入時にはスマホ側もイヤフォン側も交換可能のケーブルとなるようですので、国内発売時にまた確認してください。
ヒマラヤDACはR2R設計でありながらもFPGAチップ上に独自のアルゴリズムを採用することでチップと周辺回路間の電力を低減させることが可能となったとのことです。SN比やTHDなどの性能面の高さだけではなく電力消費においても優れたDACです。
またHM800はDACフィルターにノン・オーバーサンプリング方式を採用しています。一般にオーディオ用DACで広く使用されている方式はオーバーサンプリングフィルターで、弱い信号のエイリアシングを軽減し量子化ノイズを超高周波数帯域に送り込みアナログフィルターで低減できるようにします。ただし時として細かい信号自体を超高周波数帯域に押し出して完全に除去してしまう場合があります。ノン・オーバーサンプリング方式のDACは録音の細部を可能な限り保てるようにそうしたマイナスの影響を排除しながらメリットを活かすように設計されているとのことです。
ヒマラヤDACは低消費電力が特長です。同時にその電圧出力の特性により、優れたオーディオ出力を実現するために必要な増幅回路は単純に組めるとのこと。電力消費量が少ないために熱雑音(ジョンソン雑音)も非常に低くなります。
HM800は内部バランスで設計され、高い性能と高い出力を誇ります。再生は768kHz/24bitのPCM音源に対応します。ただしR2R DACなのでDSDは直接デコードできませんので、DSD音源はスマホ側のアプリなどでいったんPCMに変換してから再生してください。
次に実際のデモ機を用いたインプレッションです。
試聴はHarmonyOS2.0.0搭載の「ファーウエイ 9X」で行いました。 イヤフォンはHIFIMAN RE2000(旧モデル)です。
やはり感じるのはとても小型だということです。重さは30gです。このタイプのDACはケーブルにぶらさがりますので小型なほど使いやすいと言えます。実際に使ってみると、とても軽くてケーブルについていても気にならないレベルで快適です。
音はSN感が高く鮮明でヴォーカルの声もかなり鮮明に聞き取れます。わりと着色感は少ないですね。楽器音は歯切れよく鮮明でSN感が高く感じられます。ドラムスなどは誇張感が少なくタイトでパンチがあって楽しめます。感じとしてはBluemini R2Rに近い音のように思われますので、DEVA Proを使用していてBlueminiの音を気に入っている人にも良いでしょう。
スマホの音を高音質で手軽にあまり負担なく聞くことができるDACを探している方にオススメです。
HM800は38,500円税込みで7月1日に発売します。またHIFIMAN RE2000は新たにRE2000 Proとして198,000円税込みで7月1日に発売します。