finalの直営ストアと本社が移転して川崎駅近くのビルに統合されましたので見学してきました。場所は川崎駅のラゾーナ側からすぐで、和風の暖簾の衣装が玄関にあるのがfinalらしいところ。
ビルは元は学習塾だったもので一棟まるごとfinalのビルとなります。内装は2001年宇宙の旅のような真っ白の内装でこれは塗り替えたそうです。
5Fは多目的ホールで100人くらい入るそうです。もちろんfinal主催のイベントも行いますが、見たところファンミーティングやヘッドフォンイベントにちょうど良さそうで、スクリーンとプロジェクターも用意可能で一般貸し出しも相談次第とのことです。
面白かったのはこの階の一角にKlippelレーザー測定器が設置されていることです。これは振動板の動きを正確に測定するものです。注目は台座に振動を相殺するためのアクティブ制御の台座が据えられていることです。
4Fはfinal storeで、一般のお客さんは直接この階にエレベーターで上がってきます。いままでにfinal storeにあった機材もありますが、中央のテーブルはユニークで、finalはこれからチョコの製作のみならず酒の開発も行うようです。
置物もイヤフォンデザイナーさんが別の仕事で作ってるということで、こうした空間はオーディオを軸とした箱庭的な世界をプロデュースするという意味合いがあるそうです。例えば良い音楽を聴きながら良い置物において楽しみ、チョコや酒も楽しむというような感じです。
そこに様々なプロトタイプも置かれています。
D6000(プロトタイプ)
D8000のプロトタイプ
羽生選手に進呈された限定生産モデル
D8000あるいは汎用のヘッドフォン用アタッシュケース(新製品) サムソナイトと同じ工場で作られ強度が高い
防音室も予約で借りられます
また興味深いのはその隣に開発ルームがあることです。一般は立ち入り禁止ですが、販売と開発がこんなに近接していることに驚きます。
3Fは試聴部屋で、ソニーの360オーディオの開発規格にも準拠してるマルチスピーカーが置かれています。これは研究開発用でASMRやゲーミングなどの方向感覚の実験なども行われているとのこと。
このフロアには製造室もあります。
F7200の組み立て
2Fにはオフィスと配信ルームがあり、final liveの配信スタジオがあります。
このように基礎研究から開発、販売ストア、情報発信までが、ひとつのビルにあり得ないほど接近して設けられているのがとてもユニークでfinalらしいと思います。すべてが完結していて、凝縮されて、分野横断的にミックスされていままでにないような化学反応を起こしていきそうです。これから出てくるいままでにないような製品群にも期待が高まる思いがしました。
Music TO GO!
2022年01月27日
2022年01月07日
CES2022でGaNトランジスタのパワーアンプが登場
CES2022でGaN(窒化カリウム)採用のクラスDパワーアンプが展示されています。これはオーディオ向けクラスDチップメーカーのAxignと素子提供するGaN Systemsのコラボによるもので、製品と言うよりデモとかリファレンスモデルになります。この展示モデルでは250W/chx2の出力です。
https://www.embeddedcomputing.com/technology/analog-and-power/gan-based-500w-heatsinkless-audio-amplifier-from-axign-and-gan-systems
普通トランジスタには半導体としてシリコン (ケイ素) が使用されますが、これはシリコンの代わりにGaN(窒化ガリウム)を半導体としてトランジスタを作成したもので、従来の製品とは根本的に異なります。
GaNはシリコンのトランジスタよりも高効率で電力損失が少なく発熱が少なくなります。また低抵抗でスイッチング回路にもむいています。GaNはアンカーのACアダプタやソニーのSA-Z1のD.A.ハイブリッドアンプなどにも採用されていますが、今後注目の技術と言えます。
https://www.embeddedcomputing.com/technology/analog-and-power/gan-based-500w-heatsinkless-audio-amplifier-from-axign-and-gan-systems
普通トランジスタには半導体としてシリコン (ケイ素) が使用されますが、これはシリコンの代わりにGaN(窒化ガリウム)を半導体としてトランジスタを作成したもので、従来の製品とは根本的に異なります。
GaNはシリコンのトランジスタよりも高効率で電力損失が少なく発熱が少なくなります。また低抵抗でスイッチング回路にもむいています。GaNはアンカーのACアダプタやソニーのSA-Z1のD.A.ハイブリッドアンプなどにも採用されていますが、今後注目の技術と言えます。
2022年01月03日
うわさのAirPods Pro2にロスレスサポートのうわさ
アップル関連アナリストのミンチークオ氏が今年AirPods Pro2が出ると言っていましたが、今朝の海外メディアはさらにクオ氏がこのAirPods Pro2がロスレスをサポートするという情報を加えたとしています。
これが事実ならばアップルがなんらかのロスレス・ワイヤレス伝送の用意をしてるということになりますね。「ハイレゾ対応」ならばいわゆる「ハイレゾ相当」でサンプルレートだけ96kHzまで拡張して非可逆圧縮で送る手はありますが、「ロスレス対応」というからにはハードルは上がることになります。
しかしアップルの場合はハード・OSを抱えているので不可能なことではないと思います。コーデックだけではなくハードを変えることができるからドングルが必要だったロスレスワイヤレスの手段を内蔵させることもできます。一方でいままでアップルの独自ワイヤレス伝送の特許はあまり見たことがないので、既存技術を使用するという気もします。
考えられる方法としては、
1. Bluetoothを拡張する
Bluetoothはいまでは規格自体は楽に1.4Mbps以上いけるから、A2DPを独自に廃して独自のドライバー(BTプロファイル)を作る手もあるでしょう。この場合はiPhone側にハードの追加は不要です。
Bluetoothでの1:1制限にしてもBluetooth基幹部ではなくプロファイルであるA2DPの制限ですから、TempowのTAPプロファイルのような前例がすでにあります。そしてそれをロスレス拡張できなくもないでしょう。
参照: Bluetoothのマルチキャストオーディオ技術、Tempow Audio Profile
http://vaiopocket.seesaa.net/article/460813992.html
またすでにソニー/McSunc方式やクアルコムの新しいTrueWireless Mirroringで対応しているように同時伝送もできるでしょう。
参照: 完全ワイヤレスの「左右同時伝送」とMCSync方式の謎の解明
http://vaiopocket.seesaa.net/article/476629761.html
もうひとつの可能性としてはアップルがBluetooth SIGに働きかけてLE Audioにロスレス対応を盛り込むというのもないわけではないですが、この場合には事前に分かってしまうことになりますね。
2. WiFi等とAirPlay
WiFiは消費電力を考えると難ですが、ホットスポット機能を追加してAirPlay対応という手はあるかもしれません(Poly+Mojoでやっているような)。この場合もiPhone側にハードの追加はないでしょう。
2. Kleerなど新伝送方式を使用
ジョブズ時代にはKleer採用のうわさがちょっとありました。またカメラではジョブズ時代にLYTROとのうわさがあって消えたんですが、結局いまマルチレンズで似たようなライトフィールド的技術してるからそれが生きてないというわけでもありません。ただしこの場合はiPhone側にハードの追加が必要となります。
3. 独自2.4GHz帯通信とか赤外線
これもゲーム分野を考えると低遅延が可能なのでありえなくはありませんが、iPhone側に追加ハードが必要です。省電力通信のThreadのAirPlay拡張もなくはないですが、見込みは低いように思います。
要はやる気になればアップルはなんでもできたんですが、今までやる気にならなかったわけです。今は自らがハイレゾストリーミングのベンダーになったので、気が熟したということもあるかもしれません。
ただし今のぎゅうぎゅう詰めのiPhoneの中でチップ一個増やすのも大変でしょうからハードの追加は可能性少ないかなとも思いますが、この場合にはiPhone14を待つことになるでしょう。ただハード追加の場合には既存モデルでは対応できないし、AirPods側がiPhone専用になってしまいます(ほとんど現実そうなので問題ないと思いますが)。
いろいろ考えてみると既存技術を使うのが一番かなとは思います。
クアルコムのaptX losslessもあるし、今年はロスレス・ワイヤレスが来るとなかなか面白いかなとは思います。
これが事実ならばアップルがなんらかのロスレス・ワイヤレス伝送の用意をしてるということになりますね。「ハイレゾ対応」ならばいわゆる「ハイレゾ相当」でサンプルレートだけ96kHzまで拡張して非可逆圧縮で送る手はありますが、「ロスレス対応」というからにはハードルは上がることになります。
しかしアップルの場合はハード・OSを抱えているので不可能なことではないと思います。コーデックだけではなくハードを変えることができるからドングルが必要だったロスレスワイヤレスの手段を内蔵させることもできます。一方でいままでアップルの独自ワイヤレス伝送の特許はあまり見たことがないので、既存技術を使用するという気もします。
考えられる方法としては、
1. Bluetoothを拡張する
Bluetoothはいまでは規格自体は楽に1.4Mbps以上いけるから、A2DPを独自に廃して独自のドライバー(BTプロファイル)を作る手もあるでしょう。この場合はiPhone側にハードの追加は不要です。
Bluetoothでの1:1制限にしてもBluetooth基幹部ではなくプロファイルであるA2DPの制限ですから、TempowのTAPプロファイルのような前例がすでにあります。そしてそれをロスレス拡張できなくもないでしょう。
参照: Bluetoothのマルチキャストオーディオ技術、Tempow Audio Profile
http://vaiopocket.seesaa.net/article/460813992.html
またすでにソニー/McSunc方式やクアルコムの新しいTrueWireless Mirroringで対応しているように同時伝送もできるでしょう。
参照: 完全ワイヤレスの「左右同時伝送」とMCSync方式の謎の解明
http://vaiopocket.seesaa.net/article/476629761.html
もうひとつの可能性としてはアップルがBluetooth SIGに働きかけてLE Audioにロスレス対応を盛り込むというのもないわけではないですが、この場合には事前に分かってしまうことになりますね。
2. WiFi等とAirPlay
WiFiは消費電力を考えると難ですが、ホットスポット機能を追加してAirPlay対応という手はあるかもしれません(Poly+Mojoでやっているような)。この場合もiPhone側にハードの追加はないでしょう。
2. Kleerなど新伝送方式を使用
ジョブズ時代にはKleer採用のうわさがちょっとありました。またカメラではジョブズ時代にLYTROとのうわさがあって消えたんですが、結局いまマルチレンズで似たようなライトフィールド的技術してるからそれが生きてないというわけでもありません。ただしこの場合はiPhone側にハードの追加が必要となります。
3. 独自2.4GHz帯通信とか赤外線
これもゲーム分野を考えると低遅延が可能なのでありえなくはありませんが、iPhone側に追加ハードが必要です。省電力通信のThreadのAirPlay拡張もなくはないですが、見込みは低いように思います。
要はやる気になればアップルはなんでもできたんですが、今までやる気にならなかったわけです。今は自らがハイレゾストリーミングのベンダーになったので、気が熟したということもあるかもしれません。
ただし今のぎゅうぎゅう詰めのiPhoneの中でチップ一個増やすのも大変でしょうからハードの追加は可能性少ないかなとも思いますが、この場合にはiPhone14を待つことになるでしょう。ただハード追加の場合には既存モデルでは対応できないし、AirPods側がiPhone専用になってしまいます(ほとんど現実そうなので問題ないと思いますが)。
いろいろ考えてみると既存技術を使うのが一番かなとは思います。
クアルコムのaptX losslessもあるし、今年はロスレス・ワイヤレスが来るとなかなか面白いかなとは思います。