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2021年12月22日

コスパの高い静電型セットHifiman JADE II

Hifiman Jade IIは静電型ヘッドフォンとアンプのセット製品です。HIFIMANは平面磁界型のヘッドフォンの他に静電型ヘッドフォンでも海外では先駆的に取り組んできたメーカーです。静電型ヘッドフォンはバイアス電圧をかける必要があるのでSTAXで言うドライバーのような専用のアンプを必要とします。つまりJADEIIはそれがセットになっている製品です。

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静電型ヘッドフォンは振動板がとても薄く、平面型(全面駆動)方式ですが平面磁界型のようにコイルがないためとても軽量にできます。そのため可能となった独特の高精細な音の世界はオーディオファンを魅了してきましたが高価な製品が多く、しかも専用アンプまで必要なのでなかなか手を出しにくい分野ではありました。JadeIIはShangri-LaなどHIFIMANの静電型機で培った静電型の知見を活かしながら、セットで¥187000と20万円を切るようなかなり低価格に抑えた製品です。

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JadeIIは開放型のヘッドフォンで、高域は90kHzまで達するワイドレンジ設計が為されています。技術的にはShangri-La Jrを基にしていて、独特の青みを秘めたナノテクノロジードライバーや音を濁さない超薄型のダストカバーなどを引き継いでいます。ヘッドフォン自体は365gと軽量に設計されています。

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JadeIIの付属アンプはSTAX Pro端子なので、他の STAX Pro端子のヘッドフォンと互換性があるでしょう。また実際に試してはいませんが、ヘッドフォンも他のSTAX Pro端子の静電型アンプに使用できると思います。

インプレッション

静電型アンプはシンプルなミニマルデザインですが価格に似合わないくらいの堂々としたかなり本格的な作りのアンプで、操作はボリュームと入力切替のみのシンプルな構成です。
ヘッドフォンは軽く長時間聴いていても疲れは少ないと思います。側面が緑色に光るのも面白い点です。
ケーブルは平たいタイプで取り回しは悪くないですね。

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アンプ背面

音は静電型らしくとても細かく音のエッジの立ち上がりが早く感じられます。ヴァイオリンやウッドベースの弦の鳴りの豊かさが気持ち良く、これは静電型ならではの愉悦だと思いますね。ウッドベースはピチカートのキレが良くシャープだがきつさがないのも良い点です。
帯域バランスの良さは平面型ならではの良さで、誇張されている帯域はありません。どんな曲でも低域が膨らんだり、いやな音を出すピークは感じられません。高域のベルの音は美しく響き歪み感の少なさを感じさせる。
音の歯切れが良くスピード感があるのでハイテンポのジャズトリオなどもスピード感のあるライブが堪能できます。

ヘルゲリエントリオのTake Fiveではドラムスの打撃感と音の歯切れの良さ、ハイハットの音のシャープさに感嘆します。楽器音もかなり正確で再現度が高いと思います。また音と音の間にプレーヤーが、よくライブで出すようなかすれ声を入れているのがはっきりと聴こえています。楽器音の情報量の多さとともにかなり生々しいサウンドを感じさせますね。音空間も広くMCのヴォーカルと観客との距離感がよく感じられる。
Dhafer YoussefのBirds Requiemではファルセットの伸びが静電型らしく素晴らしく、民族楽器と絡んで行く様がよく表現されています。上原ひろみのAliveではロックのようにパワフルなジャズピアノがよく再現されて彼女らしい白熱したプレイを感じさせる。SHANTIも録音にこだわるアーティストですが、Memoriseではこう歌いたいという唇の動きがよく伝わってくるのがわかります。

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ダイナミックレンジの広いアルヴォ・ペルトのIn Principioを聴くと、迫力ある音圧のオーケストラのサウンドに圧倒されてしまう。家にいながらこれだけの音が楽しめるならばなにをかいわんやです。
Amazon Music unlimitedでハイレゾを聞いてみましたが、音は素晴らしくハイレゾサウンドをストリーミングで聞くのも良いものです。アニソンを聴くと普通のダイナミックヘッドフォンよりもヴォーカルと演奏が団子にならずに分離できるので、それぞれ聞き取りやすい点も優れていると思う。ダイナミックヘッドフォンと高性能アンプだと、アニソンとかポップなどはごちゃごちゃとして少しうるさい感じの音になるが、JadeIIでは音が整理されて聞こえるのも良い点だと思います。
日頃スピーカーで聴いている人が夜に聞くのにも向いていると思います。もちろん言うまでもなくDACが良いほど能力を発揮できる製品です。

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実際にShanglila JRと聞き比べてみましたが、少しダイナミックレンジがShanglilaのほうが広く余裕のある音再現ではありますが、全体的に少し譲る程度でそう大きく聞き劣りはしないのでかなりコスパは良いと言えるでしょう。国産の静電型ヘッドフォンと比べても遜色ないレベルだと思います。
価格がアンプとヘッドフォンのセットで18万円ということなので、かなりコスパが高いと言えます。音的にはセットで数十万くらいでもおかしくない感じです。平面磁界型で20万の予算でこの音クラスの良いアンプと良いヘッドフォンを揃えるのは無理なのではないでしょうか。
なおHIFIMANでは来年1/3から1/8くらいまでAmazonで最大15%オフのタイムセールを予定しているそうです。興味ある方はチェックしてください。
posted by ささき at 11:33| __→ HifiMan HE5, HE6 平面ドライバ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする