HIFIMANはAudezeと並んで現在の平面磁界型ヘッドフォン隆盛に導く立役者です。HE400はそのラインナップの中でもエントリークラスの平面磁界型ヘッドフォンとなります。
* 特徴
最近HIFIMANの低価格機が多くなってきたので、住み分けがわかりにくい点もありますが、HE400i 2020は価格が18,700円(税込)と他のSUNDRAの37,950円やDEVAの33,000円と比べてもかなり低価格です。もともとHE400iは発売当初は6万円くらいしましたので、そのドライバーをそのままエントリーモデルに採用したという感じのヘッドフォンです。また少し上のSUNDRAに比べると能率が高いのでデジタルプレーヤーでも鳴らしやすいという面もあります。
HE400i 2020バージョンでの改良は主にヘッドバンドや外装です。
HE400i Ver2020は新規設計のヘッドバンドで以前よりも快適性が向上しています。新規設計のヘッドバンドは軽量で調整もしやすくなっています。HE400i 2020は軽いことも特徴でこれも快適性を向上させる要因となっています。
ドライバーはHE400iのドライバーをそのまま採用しています。これはシングルエンド方式(片支持方式)の平面磁界型ドライバーで、大型の振動板は信号入力に応じて低音域も高音域も高い再現製を発揮し、優れた音場感と立体感を生み出すということです。等しく配分された磁力は低歪みとリアルなサウンドに貢献するとのこと。
また能率も高く鳴らしやすいのも特徴です。93dBの能率の高さは普及型のヘッドフォンアンプで十分に鳴らすことが可能です。
* インプレッション
HE400i 2020の外観は価格の割にはけっこうな高級感があり、ヘッドバンドもイヤパッドも柔らかく感触が良いです。イヤカップはABSポリマー樹脂製で光沢チャコール仕上げであまりエントリーモデルには見えません。中級機くらいの風貌です。
ケーブルは着脱式で3.5mmプラグをコネクタに採用しています。ヘッドフォンを手に持った感覚も軽く、頭に装着してみてもかなり軽い感じですね。
音は軽快で楽器音の歯切れが良く、とても明瞭感が高いと感じられます。高域のベルの音が美しく鮮明に聞こえてきます。中音域はとてもクリアでヴォーカルはかなり聴きやすく声質がよくわかります。
音が早くスピード感がある点も高級な平面型のように優れています。やはり音の歯切れの良さやリズム感の良さ、そして音の立ち上がりや立ち下りの素早さという点もユーザーが平面型ヘッドフォンに期待することのひとつだと思いますが、HE400 2020はかなり高いレベルで期待に応えてくれると思います。
低音域のパンチは十分にありますが、わりと軽めであまり誇張感はなく周波数特性もバランスがとれています。低音過剰になりすぎないという点も周波数によるインピーダンス変動が少ない平面型の特徴と言えます。HE400i 2020はその点でもなかなか優れて特性があるように思います。ダイナミック型のイヤフォンよりはBA型イヤフォンの低域に近いという感じでしょうか。よく締まっていてタイトですが膨らみすぎない感じです。
解像力もこのクラスのヘッドフォンにしては十分ある方だと思います。
音場は奥行きなどの立体感に優れていて、音が空間に響く感じがよく伝わりますが、左右の広さは標準的というところです。
端正な音なのでむいているジャンルはジャズとかクラシックになると思います。音がなかなか良いのでそのままずっと試聴してしまいましたが、軽くて長時間つけられるという点では偽りはないと思います。
一昔前は平面型は重量も重く、サウンドも重くて暗いというのが一般的でしたが、それはどこ行ったという感じの最新のトレンドに沿った平面磁界型ヘッドフォンです。平面型も変わりましたね。DAPでもそれなりに駆動力があれば十分に音を堪能できます。
* まとめ
HE400i 2020は平面型は重いとか、音が暗いという思い込みを払拭してくれるような最新の平面磁界型ヘッドフォンです。
音は端的に言うと上級機の音を帯域特性や細やかさや低域の深みなどを少しコンパクトにしたという感じです。スピード感のある音や帯域特性の良さなど、音の個性自体はエントリーモデルというより上級機のヘッドフォンに近いものがあると思います。チュニーニングもそうですね。
2万円を切る価格でここまで本格的なサウンドのヘッドフォンはなかなかないと思います。価格が安くても音の誇張感が少ない本格的なサウンドを求めている方にオススメです。