平面磁界型ヘッドフォンでは老舗のHIFIMANの新製品の特徴は、平面型なのに33,000円と価格が安いということ、そしてBlueminiというワイヤレス/USBアダプターが付属しているということです。DEVAとはサンスクリット語で「天国のような」という意味ということ。

HIFIMAN DEVAとBluemini(右)
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DEVAの特徴平面磁界型ヘッドフォンとしての特徴はHIFIMAN独自のNEO "supernano" 振動板(NsD)を採用していることです。この新しいNsD振動板はSusvaraなどの高級モデルのために開発された技術で以前の設計よりも80%薄く、早いレスポンスと高解像力を実現して豊かなフルレンジの音質を実現するということです。HIFIMANはAUDEZEと並んで平面磁界型ヘッドフォンのパイオニアのひとつですが、こうした技術的な蓄積が生かされているということですね。また最近の平面磁界型ヘッドフォンのトレンドでもある高能率化も取り入れられているので、ソースを選ばないで鳴らせるということです。

次の特徴は新しい付属アダプターであるBlueminiとそれを生かした多彩な入出力、つまりさまざまなシーンで使えるということです。本体はアナログ入力ですが、4本独立したバランス対応の設計になっています。

Bluemini
そのためDEVAでは下記の3種類の使い方ができます。
1.アナログ有線接続 3.5mmステレオミニ、6.3mm標準プラグアダプタ付き(ヘッドフォン側はTRRS 3.5mm4極端子)
2. Bluetooth ワイヤレス (Bluemini使用) aptx,LDAC,LHDC(HWA)に対応
3. USB デジタル有線接続 (Bluemini使用) USB-C端子

BlueminiはDEVAに「合体」できる専用アダプターで、DAC内蔵のヘッドフォンアンプでもあります。Blueminiによって、Bluetoothワイヤレス機能と、USB DAC機能が使えるようになります。
内蔵アンプの出力段は据え置きヘッドフォンアンプ並みの高出力を実現したということ。確認してみたところ内部はフルバランス仕様ということです。実際に音を聞いてみると納得します。またBluetoothレシーバーとしては多彩なコーデックに対応しているのも特長です。BlueminiにはUSB端子があるので、これを使用してUSB DACとしても使えます。
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実機インプレDEVAのキャメルカラーの本体はなかなか高級感があって価格以上の感じがします。本体は軽くて側圧が弱めなので装着感は高いほうだと思います。ただしオープンタイプなので遮音性はありません。家で使うヘッドフォンですね。

やはり平面磁界型なので少し能率は低めです。DAPで音量が取れないことはないですが、Astell&KernでいうとAK380クラスだとややきつくて、SP1000以降のハイパワータイプが必要になってくるでしょう。本機は音性能的にも高いので、ソースにDAPを使うならばそのクラスが好適だと思います。
きちんと駆動力のあるアンプを使えば音は明るめで能率は平面型としては高いほうの感じがします。据え置きならばあまりハイパワーのアンプでなくても鳴らせるでしょう。
1.アナログ有線接続 まず付属の標準ケーブルでアナログ接続で聴いてみます。
感じるのは音の広がりがよい立体的な音場で、包まれるような心地よさがあります。高音域はよく伸びるがきつさがない程度に抑えられ、ベルの音が美しく響き、古楽器では倍音成分がたっぷり楽しめます。
低域は誇張感が少なく整っていて、超低域の深みがあって誇張感は少ないのですが低域は豊かです。低音にパンチのある曲では驚くほどの打撃感を感じます。全体に音のチューニングは高級機志向で、価格が安いからドンシャリで、というものではありません。
また中音域は適度な温かみがあって、厚みがあり音楽を楽しめる表現です。いわゆる音楽的な感じに近く、モニター的で無機的なものではないですね。ただしあまり過剰に暖かいわけではありません。この辺はケーブルでも変わるかもしれませんね。

かなり細かい音まで明瞭に聞くことができ、解像感もかなり高いものがあります。またスピード感があってリズムの刻みが気持ち良く、テンポの速い曲によく乗れる感じです。この辺は平面型の良さの一つです。
全体に価格に対してはかなり高いレベルでコストパフォーマンスは高いと思います。Blueminiなしでこれだけでも十分価格に見合うと思います。
HIFIMANはマニア系メーカーなので低価格モデルでもケーブルはそれほど悪くないですが、本体性能が高いのでリケーブルしても良いかもしれません。ただヘッドフォン側TRRSという点に注意が必要です。
2. Bluetooth ワイヤレス (Bluemini使用)Blueminiを3.5mm端子に取り付けるだけで簡単にDEVAに合体できます。これによってBTワイヤレスとUSB DACが使えるようになります。ワイヤレス機能はiPhoneから使用してます。電源ボタンを青緑の明滅まで押し続けるとペアリングモードになります。
音を聞くとちょっとびっくりするくらいのパワー感を感じます。音に力感があって、躍動感があってパワフルなサウンドです。こんな小さなアダプタなのに。たしかにバランスという感じで、押しが強く立体感もあります。音には厚みもあって解像力もあり、音は安く感じません。たださすがにハイエンドDAPやDACほどの細かさはありません。躍動感があってロックにも向いていて、音の歯切れも良くトランジェントが高い感じです。
BTレシーバーとしてもかなりレベルが高いほうでしょう。これがおまけとは信じられないくらいですね。Bluminiは汎用化して単体販売しても良いと思う。
3. USB デジタル有線接続 (Bluemini使用)BlueminiにUSBケーブルを接続します。付属のケーブルはBluemini側はUSB-CでPC側はUSB-Aですが、別にケーブルを用意すればさらに広く使えると思います。Windows 10のRoonで使用してみましたが、とくにドライバーインストールは不要で標準ドライバーで使えます。
基本的にはBluetoothワイヤレスと同じく立体感があって力感がある音ですが、有線なのでいっそう音が良く感じます。かなりレベルが高く、透明感も高いですね。

この方式のメリットはRoonなどで192/24にアップスケールして使うこともできることです。ただヘッドフォン側ボリュームがないのでDSPボリュームを使ったほうが便利です。
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まとめDEVAはかなりコストパフォーマンスが良く、用途が広いヘッドフォンです。ヘッドフォン自体の音質が高いのはもちろん、付属のBlueminiがやはり音も良く柔軟に使いこなせるのでかなりお得感のあるヘッドフォンです。