Music TO GO!

2020年05月29日

Campfire Audioの新製品、Solaris 2020レビュー

HeadFiのCampfire Audio公式フォーラムで5月14日にCampfire Audioの新製品発表が行われました。
本稿ではSolaris 2020についてレビューします。Campfire AudioのフラッグシップであるSolarisの2020年度改良版です。Solarisは3基のBAドライバーと大口径ダイナミックドライバーのハイブリッド機です。

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Campfire Audioの公式スレッド
https://www.head-fi.org/threads/campfire-audio-new-iem-release.932244/


HeadFiTV動画URL
https://youtu.be/kaaxk4wrap8

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*Solaris 2020の特徴

Solaris 2020の最大の特徴は音は良いけれども大柄だったSolarisが音はほぼそのままにコンパクトになったということです。
SolarisはAtlas譲りの大口径ダイナミックドライバーを搭載したハイブリッド機のため、大柄な筐体だったのですが2020モデルでは一回りスリムになっています。

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左:Solaris 2020

これは今回のモデルで新規採用された一体成型の内部構造により、容積を効率よく詰めることができたためということです。いままで3Dプリントで形成されたいくつかのパーツだったものを一体にしたので効率良くコンバクトになり、ドライバーなどの取り付け精度も向上したということです。

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Solaris2020内部構造(HeadFiTVより)

動画の中ではこの一体型構造(Single solid piece)の部分は"boot"とも呼ばれていることに注意すると面白いと思います。bootは英語ではトランクのように入れ物という意味もあります。

* オリジナルSolarisとの違い

オリジナルSolarisと最近のSolarisバリアントの違いは下記のようになると思います。

Solaris Special Edition: セラミックチャンバー3Dパーツ、サイズはオリジナルと同じ
Solaris 2020: 一体型内部構造、サイズはより小さくなった、新Smoky litzケーブル


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Solaris 2020パッケージ

* インプレッション

もともとBA3基に大口径のダイナミックのハイブリッドなので大柄な筐体だったのですが、今回の一体構造のおかげでかなりコンパクトになったように思います。見た目も小さくなっていますが、耳に装着してもより座りがよくなっています。

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音的にはオリジナルとかなり似ている感じで、ハイブリッドらしく低音の迫力たっぷりで、音の広がりも良く解像力も細やかな音です。ただし少し2020の方が整っていて、より立体感がある感じはします。この差は同じケーブルをつけてA/Bで比べるとわかるというくらいだと思います。新旧ケーブルの音質差はほぼないと思います。ただ色は2020には黒スモークがあってますね。

高音域はきれいでよく倍音が聞こえて豊かな感じで、TAECらしくきつさはほぼありません。きれいな音色の良い中高域表現ですね。高い方はオリジナルよりもより伸びているようにも感じられます。生楽器の弦を鳴らす際の歯切れ良さ、鮮明さにも驚かされます。情報量の多さもたっぷりとあります。
低音域はハイブリッドらしくパワフルでドスンとくる迫力が気持ち良いですね。ここはAtlas譲りの大口径ダイナミックドライバーならではだと思います。音傾向も躍動感があって、ハイテンポの曲が気持ち良く、音に迫力があります。やや誇張された低音のパワーで、ウットペースが気持ち良く聞こえます。それでも中音域は見通しが良くて、ヴォーカルはよく聞こえます。

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Solarisの特徴だった音の三次元的な広がりももちろん健在で立体感が高いと感じられます。拍手の音なんかがかなり立体的に感じられますね。
ポテンシャルの高い音なので、高性能ケーブル(DitaのOSLOケーブルがオススメ)に変えるとさらによくなります。

* まとめ

Solarisの魅力はAtlas譲りの大口径ダイナミックによるハイブリッドらしい低音の魅力と、マルチドライバーらしくない音場のフォーカスのあった立体感です。
コンパクトになって使いやすく、音も旧製品との差は大きくないがより磨きがかけられているように思います。
posted by ささき at 11:09| ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年05月28日

Campfire Audioの新製品、Araレビュー

HeadFiのCampfire Audio公式フォーラムで5月14日にCampfire Audioの新製品発表が行われました。同時にHeadFiのインタビューも行われてオンライン発表会という感じでした。発表されたのはAndromeda 2020,Solaris 2020,Araの3機種ですが、本稿ではAraについてレビューします。

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Campfire Audioの公式スレッド
https://www.head-fi.org/threads/campfire-audio-new-iem-release.932244/


HeadFiTV動画URL
https://youtu.be/kaaxk4wrap8

他のSolaris 2020とAndromeda 2020が従来機種の改良版であるのに対してAra(えいら、えーら、またはあーら)はまったくの新機種です。名はCampfire Audioらしく星座から取られています。Araは日本ではなじみのない南天の星座で祭壇座というようです。

* Araの特徴

筐体はチタン切削のシェルで、ドライバー構成は高音域に2基、中音域に1基、そして低音域に4基のBAドライバーを搭載しています。オールBAのマルチドライバー構成ですがクロスオーバーレス設計を採用しているのが特徴のひとつです。

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新ラインナップではありますが、上の動画インタビュー中でケンさんはクロスオーバーレス設計は「Andromeda Gold」から継承していて、チューニングはオーディオファイル(フラットでニュートラル)志向であり、これは「Andromeda MW10」から継承したと語っています。クロスオーバーレス設計については私がケンさんに聞いたところ、ケンさんは自らの設計哲学である"Less is more"(日本語でいうとシンプルイズベスト)によるものだと語っています。これはCampfire Audio当初から語っていますが、配線が少なく接点が少ないほど音は良いという考え方です。音響抵抗レスのTAEC設計もそういう意味では"Less is more"と言えますね。

ケンさんは以前SolarisはAndromeda(中高域の良さ)とAtlas(低域の良さ)の良いところ取りだ、と語ってくれたことがありますが、そうした過去機種の良いところをミックスして新機種に昇華させてゆくというのがひとつのCampfire Audioの開発方針の一つかもしれません。

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Araパッケージ イヤチップは従来通り

Araのもうひとつの特徴は低域ドライバーが4基もあるということです。しかし、これは低域での迫力増しを狙ったものではありません。
周波数特性はHeadFi TVでJudeが測定しているように、聴覚的にもフラットで、この点からAraはMW10の延長線上にあると言えます。実際に聞いてみてもそう思います。
ではなぜ4基の低域ドライバーを搭載しているのに、2基のAndromedaよりもむしろ低域が測定的に抑え気味なのかということについてKenさんに聞いてみると、低音域で同じ音圧を得るのにドライバー数を増やしたほうが低域の質が高くなるからということです。つまり同じ音圧を得るためにドライバーの数が多いほうがひとつのドライバーあたりの負荷は軽減するのでその分音質は良くなるということでしょう。
また低域のインピーダンスをAraではさらに調整して中域をより際立たせるためということです。つまり低域の質を上げながら中域を生かすため、というわけですね。このことは実際に聞いてみて低音域の質が他のオールBA機ともハイブリッドとも一味違うことに現れていると思います。
ケンさんがいうところによると周波数特性についてさらに言えば、Araは低域というよりもむしろ中高域を重視したモデルであり、これは日本のユーザーの好みに合うのではないかと言っていました。そういう意味ではAraはAndromedaの「リブート版」という側面もあると思います。

*  インプレッション

筐体は7ドライバーの割にはコンパクトで、チタンシェルが鈍い光を放ち高級感があります。やはりチタンはイヤフォンのシェルとしてはいいですね。特にこの金属パネルとビスのスパルタンなデザインにはチタンがよく似合うと思います。多少大きめの筐体だけれども、フィットは悪くありません。

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音は帯域バランスが良くフラット基調で、全帯域で楽器の音色が美しいのが印象的です。歪みがなく澄んだ音ですね。楽器音の明瞭感・鮮明さが高く、はきはきとした歯切れが良い音です。音色が美しいのでいつまでも聞いていたくなる感じです。従来機種に比べてもよりクリアで明瞭感が高い音です。ここはクロスオーバーレスが効いているのかもしれませんね。

たしかにヴォーカルは鮮明で、バックの楽器とのバランスがよく取れています。フラットな帯域表現だけれども、いわゆるモニター的ではなく無機質というよりかなり躍動感と有機的な感じがある。
中高域はTAECらしい歪み感が少なく整っていて上にきれいに伸びる中高音です。それと倍音表現にも優れて、古楽器の響きがふくよかで豊かに感じられます。感度はSolarisよりもすこしならしにくいくらいです。

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そしてAraの音の特徴の一つは低域の再現力です。
低域はよく抑えられていて張り出し感は少ないんですが、低音の量感は不思議と結構あるように感じます。ジャズのウッドベースはピチカートのキレが良く、十分に存在感がありながらメインのボーカルを引き立てます。よく沈んで超低域もたっぷりあるように思う。
全体にキレが良く歯切れが良くタイトで贅肉が少ない低音で、テンポのよい曲で自然と体が動く感じ。ここがポイントなんですが、聞いているとなぜかダイナミックのように躍動感を感じます。だからオールBAでCIのようなでかいウーファーがないわりにはロックによく向いています。Araの音はまるでオールBAというよりもハイブリッドのような躍動感と低域のパンチを感じるのが不思議な魅力です。ですから音圧自体は抑え気味でも低域の存在感が十分に高く感じられます。

いちばんはじめにCampfireデビュー作のLyraを聞いたときにダイナミックだけどBAのように感じたと逆に、BAだけどダイナミックのように感じる。ただダイナミックのような荒く過剰な感じの低域はなくて、整って適度なのでBAだと気がつく感じ。ダイナミックというよりもやはりハイブリッドのような音です。
いわゆるSNが高い音というか、ピアノソロがわかりやすいと思います。ピアノの低域の打鍵の打撃感が良く、だんだんと後半に強く打鍵しながら盛り上げていくような曲は特に感動的です。
この考えを確かめたかったので実際にいくつかダイナミック機とハイブリッド機と比べてもみました。Araの低域はダイナミック機より歯切れが良くBAらしくタイトで、BAよりもダイナミックのように躍動感とパンチがあります。

これもSP1000などハイエンドソースで聞いたほうが良いと思いますが、なかなか魅力的な音を持った意欲作だと思います。

*  まとめ

優等生的な試聴曲を聴いてると感じるのは、音に曇りが少なく鮮明さ明瞭感、音の美しさ、歯切れの良さですが、ロックなどいろんな曲で聴き進めていくとダイナミックのようにパンチがあって、あたかもハイブリッドのように聞こえる不思議な魅力を持ったイヤフォンです。帯域特性が整っているのも良いですね。

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Campfire Audioとしては新たな試みの試金石でもあり、いままでの技術の集大成的な側面もある優れたイヤフォンだと思います。
posted by ささき at 13:48| ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年05月22日

最近のアップルのヘッドフォン情報まとめ

昨年の2月くらいにアップルがヘッドフォンを開発しているという噂が海外を賑わせたことがあります。これはアップル情報では有名なミンチー・クオ氏による情報でしたが、最近ではヘッドフォンはオーバーイヤー型で名前は「AirPods Studio」であるという情報も出ています。
最近また海外でこのヘッドフォンの情報が出始めているので、これらの情報をまとめて推測を交えながら少し新しい「アップルのヘッドフォン」を考えてみようと思います。あくまで噂に過ぎないので念のため。

Macの情報サイトである9to5macでは機能の詳細について述べられています。
https://9to5mac.com/2020/05/11/airpods-studio-features-exclusive/
それによるとこの「AirPods Studio」はイヤフォンのAirPods同様に耳から外すと一時停止する機能を持っているが、肩にかけているのか頭に乗っているのかの判断ができるということです。これによって、肩にかけているときは電源を切らずに再生のみ一時停止するような機能を持つよう。おそらくは肩でも頭でもないときは電源が切れる設計になっているように思います。
また左右をセンサーで探知して、間違えて左耳側を右にかけていても左右をスイッチできるともいいます。もしかすると左右対称型のデザインを採用していて、はじめから左右がないのかもしれません。
さらに9to5macではiOS14βのコードに隠されたヘッドフォンのグリフ形状から白と黒のモデルがあることを伝えてます。

またBloombergはこのヘッドフォンの外装のレポートをしています。
https://www.bloomberg.com/news/articles/2020-04-16/apple-developing-high-end-headphones-with-interchangeable-parts
それによると外観はレトロな感じで金属製のヘッドバンドに楕円形のイヤカップの組み合わせで、ヘッドバンドはイヤカップの側面ではなく上部から伸びているようだと書いています。また外装の違いで二つのタイプが開発されているということです。革製のプレミアムバージョンとフィットネスに向いたより軽い素材でできている廉価版と言えますね。またイヤパッドとヘッドバンドのパッドは磁石でついているので交換が簡単というのもアップルらしい話ではあります。これはいまや他社でも珍しくはないんですが、よりカスタマイズに向いたモジュール設計になっているということです。

別な情報によると価格は$349であると伝えられています。海外ではソニーやBOSEの同様なヘッドフォンがやはり$350程度で販売されているのでこれも信憑性はありそうです。

この他にも名称は「AirPods X」であるというものもあり、どこまでが本当かはわかりません。しかし、たくさんのセンサーがついたスマートタイプで左右対称に利用できるのはモダンだが、レトロでシックな外形も備えているというヘッドフォンはなかなか興味深い製品で、新製品への期待を膨らませておくのも悪くないように思えますね。
posted by ささき at 14:38| ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年05月18日

ASCII.jpにCampfire Audio新製品発表のニュース記事を書きました

ASCII.jpにCampfire Audio新製品発表のニュース記事を書きました。

https://ascii.jp/elem/000/004/013/4013118/?topnew=6
posted by ささき at 18:39| ○ 日記・雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年05月14日

Campfire Audioから新製品

Campfire Audioから新製品3機種発表されました。キープコンセプトの改良版Andromeda 2020、コンパクトになったSolaris 2020、そしてクロスオーバーレスでフラットな特性を持つ新しいモデル、チタンシェルで7BA(Hx2,Mx1,Lx4)のAra(えいら、えーら)です
デモ機も届いたのでまた詳細後ほど。HeadFiでは下記リンクで発表されています。


posted by ささき at 19:43| ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年05月11日

ASCII,jpに高性能イヤフォンの黎明期を振り返る記事を書きました


ASCII,jpに「最新ShureのAONICに至る道、E4cとBA型イヤホンの黎明期を振り返る」と題して高性能イヤフォンの黎明期を振り返る記事を書きました。どうぞご覧ください。

https://ascii.jp/elem/000/004/012/4012148/?series=1
posted by ささき at 14:07| ○ 日記・雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年05月05日

平面型ワイヤレスヘッドフォン、HIFIMAN ANANDA-BT

簡単に紹介すると、Bluetoothワイヤレスを平面磁界型のハイエンドヘッドフォンに組み込んだのがANANDA-BTです。またヘッドフォン内部に平面型も鳴らせる高性能の内蔵DACとバランス出力アンプが組み込まれているのも特徴です。
またUSB-CでもPCやスマホと接続することができますので、その場合には24ビット/192kHzに対応しています。

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BluetoothヘッドフォンとしてはさまざまなHDコーデックに対応しています。例えばApt-X HD、HWAそしてLDACロスレスHD Bluetoothコーデックをもサポートしています。Walkmanやファーウエイのスマホを使っている人にもよいでしょう。
内蔵DAC/アンプのフィルターとアナログ回路設計は高性能DAPのR2R2000を設計したエンジニアの手によるものです。アンプはバランス出力アンプが内蔵されています。
面白いのは外部マイクがついていて、ゲーマー、ポッドキャスター、ビデオロガーなども対象としていることです。

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もちろんヘッドフォンとしての性能も高く、HIFIMAN独自の新"スーパーナノ"振動板 (NsD)を採用し、以前から80%薄くなり、そのため素早いレスポンスと解像感の高く鮮烈で豊かな音質を提供できるということです。
ウインドウシェイド型のグリルデザインも上級機種と共通のもので、これは透明感の高いサウンドを得るために不要な音の反射を大幅に低減するということです。イヤカップの形も人間工学に基づいた非対称形状をしています。

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周波数特性は8Hz-55KHz、インピーダンスは35Ω、感度は103dBです。もっとも実際に鳴らすのは内蔵アンプですから、鳴らしやすさはあまり気にかける必要はないでしょう。重さは460g (495g マイクとケーブルを含む)です。

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バッテリーは再生時間が10時間で、最大充電時間が2.7時間です。
バッテリーの注意点はUSBケーブルを単につないだだけでは充電されないことです。パワーボタン(長い)の横の小さいチャージボタンを2秒押すことで充電がされます。これはスマートフォンなどから繋ぐときにUSBケーブルをつないで自動的に充電されるとスマホのバッテリーを消費してしまうからです。それを抑えるためにこういう仕様になっています。
充電中はライトが赤く点灯しますので確認してください。単にUSBケーブルをつないだだけだとライトはつきません。充電が終わるとライトが青くなります。

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また、なかなかしゃれたヘッドフォンケースか付属しています。

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ケースはよく考えられていて、ハンドルのところが持ちやすいようにベルクロで二重になっていて、中のヘッドフォンが動かないようにやはりベルクロで固定するようになっています。また小物を入れるポーチにもベルクロの両面テープがついています。これは国産でもあまりないようによく考えられたケースだと思います。こうした細かな気遣いは国産製品の独壇場でしたが、中国製品でもこうした製品が増えてきたと思います。

ANANDA-BTの外観はHE1000の流れを組むものでシェイドグリルの設計も取り入れられた本格派です。本当にHifimanのハイグレードモデルからケーブルを取り去って、中にアンプをつけたというようなモデルになっています。

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音楽再生はまずiPhoneで試します。ペアリングは押しっぱなしだと赤青点滅のペーアリングモードになるというもので特に難はありません。
音を出してみるとその音の良さにちょっと驚きます。奥行きが深く感じられ、音の明瞭感が高くひとつひとつの音が鮮明に聞こえます。解像感も高く、透明でクリアな音空間がいっぱいに広がる感じです。かなりハイレベルなアンプが内蔵されているのではと思います。
これを聞いて「Bluetoothの悪い音質」と思う人はいないでしょう。むしろiPhoneからケーブルでヘッドフォンに繋いでもこんな素晴らしい音質は出てきません。内蔵アンプならではの音ですね。しかし平面型を十分に駆動するようなハイパワーアンプを小型化して内蔵するのはなかなか他にはできないと思います。iPhoneの普通のSBCとかAACでも十分な音質ですが、iPhoneでもHifimanアプリを使うとHWAでANANDA-BTとつなげるということです。実際にミュージックアプリとHIFIMANアプリで同じ曲を再生するとたしかにHIFIMANアプリのほうがより良いようには思います。ただベースのANANDAの音質が十分に高いのでiPhoneの普通のアプリでも高音質で楽しめます。
低域は深く鋭いパンチがあります。ロックポップを楽しむにも十分な躍動感を楽しめます。帯域特性は洗練されていて低域が大きすぎるということはありません。

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ただ開放型の大型ヘッドフォンなので、主な用途は家でPCと接続することになるのでしょう。実際にWindowsに繋いでみたんですが、aptXでつながっているのか、ホストのパワーに余裕があるからか、より明瞭感高いはっきりとした音で繋がるように思います。AmazonHDとかTIDALなどのストリーミングを駆使する人にもおすすめですね。ケーブルがないのは家の中でもやはり自由を感じます。また家で聞くと全ての音源にアクセスできるので次々に聞けて飽きませんね。

優れた内蔵アンプと平面型振動板でハイエンドクラスの音質をBluetoothというお手軽ワイヤレスで楽しめるなかなか稀有な製品だと思います。
posted by ささき at 08:34| __→ HifiMan HE5, HE6 平面ドライバ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年05月04日

オンラインヘッドフォン祭のレポート

オンラインヘッドフォン祭のレポート記事をASCII.jpにて執筆しました。前後編に分かれています。どうぞご覧ください。
posted by ささき at 17:30| ○ オーディオショウ・試聴会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする