今年も最後の投稿になりますので、今年を振り返る記事を書きたいと思います。
昨年の振り返り記事はこちらです。
→「2018年振り返り記事」
http://vaiopocket.seesaa.net/article/463437911.html
上の記事ではBluetoothの高音質化も進むと書きましたが、実際にそうした製品は出てきていて、例えばOriolus 1795です。これはBTレシーバーの形をしていても中身はDAC内蔵ポータブルアンプと言えるような製品です。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/472823419.html
また1月にレビューしたHIFIMAN R2000も形はDAPですが、これまでの内蔵音源というよりはストリーミングに注力した設計になっています。これはやはり市場調査に基づいたものであるということ。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/463629549.html
THX-AAAモジュールに関連してFIIO Q5のDAP記事を書きましたが、Q5もBluetoothに対応しています。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/463674461.html
ほんとうは昨年の時点でもっと出ると考えていたものもあったんですが、まだまだですね。開発が難しいということもあるし、結局Bluetoothが便利さ優先という概念が先行していると、市場的にも難しいところがあるかもしれません。ただし一般的にオーディオでBluetoothの欠点と呼ばれているものは、Bluetoothというよりも実際にはプロファイルであるA2DPの欠点です。例えばBluetooth規格自体は2.0のころから拡張機能(EDS)を使えばCD品質ロスレスの伝送能力を持っています。ただしこの場合には特別なドングルが必要になりますので不便となります。
少しオーディオからは離れますが、Bluetooth.orgではBluetoothについて、固定概念とも言える近距離通信技術というよりも、もっと柔軟な応用を提案しています。端的に言うと、Bluetoothもただの「電波」だということです。この点では電磁誘導を使うNFMIとは根本的に違います。
記事では下記の「Bluetoothは近距離通信技術か」とか「Bluetoothのロングレンジモード」などに書きました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/471094469.html
http://vaiopocket.seesaa.net/article/471124828.html
このようにBluetoothは一般的でありすぎるためにいろいろと固定概念による誤解があります。そもそもBlue toothという名前自体も「青歯王と呼ばれたハラルド王」から取られたと言われることも多々ありますが、それも誤解です。もともとハラルドは肌の色から「褐色王(Blatand)」と呼ばれていたのですが、それが現代語にされる過程で英語ではBlue toothと訳されるようになってしまったのです。
ところでNFMIといえば、最近では完全ワイヤレスに使われているSoCとかBTチップなどもよく話題となりますが、こうしたものの進化もあるのか今年はNFMIはあまり採用が見られなかったように思います。
完全ワイヤレスではノイキャンで注目されるアップルとソニーが話題の的でしたが、オーディオ的には地味に機能を抑えても良い音質を楽しむことができる一万円台のNoble FalconやオーテクのCL3TMなんかも良い選択だと思います。
今年はRoonとかストリーミングオーディオに関しても動きの多い年でした。
なんといってもRoonの中心人物であるCEOのEnno VandermeerとCOOで技術担当のDanny Dulaiが来日したことでヘッドフォン祭での紹介セミナーの司会を務めさせてもらったりもしました。これを機にRoonの国内導入になんらかの動きがあればよいですね。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/471325897.html
Dannyとは少し前にRoonフォーラムの日本語化の文字切れ問題でネットを通じて一緒に問題解決をしたんですが、実際に顔を合わせて「おおこれお前だったか」とかみたいな初顔合わせでした。文字切れ問題は下記に少し書いていますが、下記記事のRoon開発者とはDannyのことです。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/461352940.html
ヘッドフォン祭の時に打ち合わせでもいろいろ話したんですが、特にDannyが熱弁家で、わたしが口が滑って最近のRoonの進化が遅いように言ってしまったら、とくとくとソフトウエア開発の実際について説教をされて(笑)しまいました。最近のRoonでは特に後ろに隠れて見えないような進化、例えばAI応用(マシンラーニング)による新Radioとか1.7新機能のValenceなんかに力を入れているようですね。Valenceについてもマシンラーニングによる機能の進化が表から見えにくいのでValenceというキャッチーな名称をつけてわかりやすくしたのかもしれません。
Roonは1.6でQobuzも統合されて、その際にQobuzとTIDALの数値的な比較を書いてみました。特に必要な回線速度の差については参考にしてみてください。
http://vaiopocket.seesaa.net/archives/201902-1.html
またQobuzがMP3廃止やプラン統合を発表したのもストリーミング界隈の動きが激しいことを教えてくれます。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/471423140.html
いわば力技でハイレゾプランを安くしたQobuzの動きは、MQAという技術で伝送量を減らして安くしていたTIDALにも衝撃だったのではないでしょうか。
MQAについては今年の初めにESSからMQAのハードウエアデコードが可能な能力を有するDAC ICとMQA対応のオーディオCODEC ICも発表しています。ちなみにオーディオCODEC ICとはADCとDAC機能を統合したICのことを言います。主にスマホ向けですね。
しかしまだ製品は見えていないような気がするのも、各メーカーのMQA採用に迷いがあるのかもしれません。この辺も来年はどうなるかは注視したいと思います。モバイル分野ではMQAのアドバンテージはあると思います。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/463529238.html
http://vaiopocket.seesaa.net/article/463528629.html
MQAではInterBeeで動画とMQAの融合をはたしました。これはMPEG4-ALS応用によるものです。この辺はオーディオ以外でもMQAの応用はあるということを見せたと言えるでしょう。
http://vaiopocket.seesaa.net/archives/201911-1.html
またTIDALのiPhoneアプリでもMQAソフトウエアデコードが可能となりましたが、海外のみです。いつ日本に来るのでしょうか。
http://vaiopocket.seesaa.net/archives/201903-1.html
またNetflixでの高音質配信がDolby Atmosを採用した可変ビットレート(adaptive)配信で実現したり、
http://vaiopocket.seesaa.net/article/465502373.html
TIDALとAmazon Music HDがDolby AtomosをサポートしたりとDolby Atmosもちょっと動きがありましたね。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/472481001.html
動画も4Kとか8Kとか高品質を目指すとなると、音声もそれに伴って高品質が必要となるということはあるでしょうね。
ヘッドフォンではハイエンド系が良かったように思います。たとえば
登場は昨年となりますが、平面型のMEZE Empyreanのレビューを書きました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/465022986.html
平面型のHIFIMAN HE1000seも高能率という平面型のトレンドを見せてくれました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/463974222.html
また密閉型ヘッドフォンも良かったですね。
パッシブラジエーターを採用したSpirit Trino Radianteは春の登場からかなり洗練されて発売開始されました。
https://www.phileweb.com/sp/review/article/201912/23/3711.html
おなじみUltrasoneではEdition15の密閉版のVeritusもありました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/464508653.html
そしてDALIのiO6はスピーカーメーカーらしい振動板の設計というユニークさと、ワイヤレスというトレンドを持って登場しています。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/471034226.html
まだワイヤレスはちょっと、という有線派に向けてDAPもハイエンド系はなかなか良いものが出ました。
インテル製のFPGAや医療用R2R DACを採用したLuxury & PrecisionのLP6 Tiも独自ハイエンド色があります。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/464787064.html
また人気のAstell&Kernではハイパワー据え置きっほいKANN CUBEが良かったですね。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/464508653.html
インタビュー(Phileweb)
https://www.phileweb.com/interview/article/201906/04/658.html
イヤフオンもなかなか良い製品がたくさん出たと思います。
長年待望のFitEar TOGO335がいよいよ登場
http://vaiopocket.seesaa.net/article/469796898.html
ミリンクス振動板が素晴らしいAcoustune HS1670SS
http://vaiopocket.seesaa.net/article/467651830.html
安定のCampfire AudioではIOとPolaris2、またAndromeda特別版やC/2019 Q4など豊作でした。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/467689408.html
定番でかつ新しいWestone Bシリーズはカートライト兄弟の恒例のインタビューもしました。今年は来日しなかったのが残念です。
カートライト兄弟インタビュー(Phileweb)
https://www.phileweb.com/interview/article/201904/08/651.html
レビュー記事(Phileweb)
https://www.phileweb.com/review/article/201905/23/3443.html
また今年は1万円を切るイヤフォンやヘッドフォンも話題であり、なかなか良かったですね。ロングセラーとしての下記製品もその例と言えます。
ハイインピーダンスがユニークなRHA CL750
http://vaiopocket.seesaa.net/article/472756097.html
コンシューマ向けにもオススメなモニター機AKG K240-Y3
https://www.phileweb.com/review/article/201910/04/3609.html
そしてfinalのE1000やE500もこの価格帯の話題をさらいました。
final audio(S'Next)については話題豊富な一年でもありましたね。
final音響講座とE500
http://vaiopocket.seesaa.net/article/466887556.html
final音響講座
http://vaiopocket.seesaa.net/article/466841836.html
final直営店オープン
http://vaiopocket.seesaa.net/article/472207519.html
finalの直営店についてはポタフェスで来日していたHeadFiのJudeら一行を連れて行ったりもしました。なかなか感銘をしていたようです。特にA8000には帰りながらしきりに感嘆していました。
https://twitter.com/music2go/status/1205726239555670017
https://twitter.com/music2go/status/1205739374815719424
HeadFiではCanJamの紹介もいろいろとしました。いままではHeadFiというと欧米製品の情報を知るのにチェックしていましたが、これからは中国製品のチェックにも良いですね。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/471425752.html
個人的にマニアックなところではSBC(シングルボードコンピュータ)ネタもあります。
ラズベリーパイでは待望の4が登場しました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/467447747.html
しかしながらすぐにUSBに設計不具合が見つかったりもしました。これはそのうちに修正するとのこと。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/467834566.html
またHugo2と絡めて究極のポータブルシステムの実現のためにASUS Tinker Boardを使ったりもしました。オーディオにはハードの優れたTinker Boardの方が良いと思うけれども、3以降の新型ラズパイ含めて高性能化によってますますポータブルには不向きになっていくのですよね。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/472823080.html
そして新しく来るものもあれば去るものもあるということで、とうとうiTunesの名前がMacOS Catalinaからは消えることになりました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/466205964.html
また従来の"Mastered for iTunes"に変わって"Apple Digital Masteres"という名前にするなど、iTunesというかジョブズの残像はますますアップルから薄くなっていきます。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/468656049.html
最後になりましたが、ASCII.jpさんにポータブル・ヘッドフォンオーディオとかその周辺の記事を書くことになりました。こちらもどうぞよろしくお願いします。
https://ascii.jp/elem/000/002/001/2001703/?series=4
いずれにせよ今年も本ブログの購読ありがとうございました。来年もよろしくお願いします。
Music TO GO!
2019年12月31日
ASCIIにポータブルオーディオ事情の記事を書きました
ASCIIさんにポータブル・ヘッドフォンオーディオとかその周辺の記事を書くことになりました。
第一回目はこちらです。どうぞよろしくお願いします。
https://ascii.jp/elem/000/002/001/2001703/?series=4
第一回目はこちらです。どうぞよろしくお願いします。
https://ascii.jp/elem/000/002/001/2001703/?series=4