今週末にロンドンでHeadfiのヘッドフォンイベントであるCanJamが行われますが、そこからJude氏による新製品のプレビュービデオが公開されています。
https://www.head-fi.org/threads/canjam-london-2019-july-27-28-2019.905907/page-11#post-15075726
3:15 レコーディング機材のアインシュタインRupert Neveの開発した初のDAC製品。Rupert NeveはJudeの尊敬している人だそうです。
Fidelice RNDAC。ヘッドフォン端子は全部バランスで、TRS、XLR、Pentacon。最高の測定性能を持つDACのひとつということ。内部はバランス回路。JudeはカスタムIEMで使っても背景ノイズはなかったと言ってます。
Fedeliceヘッドフォンアンプ(旧製品のアップグレード)も出ています。
Rupert NeveとDedelice DACとヘッドフォンアンプ (Headfi TVから)
11:47 FiiO AM3D(THXモジュール)をJudeが測定したグラフが出ていて、incredibleって言ってます。
19:44 測定結果グラフを見せてiBasso DX220がとてもローノイズだって言ってます。
21:46 HIFIMANのアナンダBTとTWS600。わたしもアナンダBT聴いたことあるのですがこれはとても素晴らしいです。
37:59 Rosson Audio Design RAD-0。Audezeの創立者の一人Alex Rossonが作った平面型。自然でニュートラルだけど音は豊かだとJudeは言ってます。
Rosson Audio Design RAD-0 (Headfi TVから)
47:14 JudeはリボンのRAAL SR1aのほうがAKG K1000よりもいろんなめんでより優れていると言ってます。
56:29 HEDD HEDDphone ONEはAMT(Air Motion Transformer)ドライブのヘッドフォンです。AMTというと鎧のような奴を思い出す人も多いでしょう。
HEDD HEDDphone ONE (Headfi TVから)
しかしオルソダイナミックや静電型に加えてリボンとかAMTとかいろんなドライバーがまた出てきましたね。また百花繚乱という感じです。
それとRupert Neveもそうですし、今回はワッツもいろいろとセミナーを持っているのですが、イギリスはやはりオーディオ系の歴史が豊かで人材が豊富だと思いますね。日本の場合にはハイエンドオーディオという趣味がアメリカから入ったということもあって、イギリスは多少縁遠いようにも思えてしまいますがやはり本場です。
最近私がよく話する人だけでもロバート・ワッツ、トルステン・レッシュそしてボブスチュワートと海外技術系の大御所はイギリスですからね。そして歴史があって人脈がいろいろと絡んでいます。
わたしとかは飛行機関連で戦時中のレーダー技術とかも興味あって、やはり電子技術では昔からイギリスがダントツなんですが、そうした歴史もまた深みを感じます。
Music TO GO!
2019年07月22日
2019年07月10日
ラズパイ4のUSB-C端子に設計不具合
ラズパイ4のUSB-Cの設計にミスがあり、互換性が完全に保たれない可能性があるようです。端子のピン設計にミスというか手抜きがあるようです。別にすべき抵抗を共用化しているようで、これはラズパイらしい低価格化のゆえかもしれません。
このためにE-MarkタイプのUSB-Cケーブルを使用すると、ラズパイ4を給電先ではなくオーディオアダプターとして誤判断してしまうかもしれないということ。つまりこのタイプのケーブルを使うと充電できないかもしれないというわけですね。
これはラズパイ側も認めていて、将来(数か月後?)のボードデザインでは改良されるそうです。
https://arstechnica.com/gadgets/2019/07/raspberry-pi-4-uses-incorrect-usb-c-design-wont-work-with-some-chargers/
このためにE-MarkタイプのUSB-Cケーブルを使用すると、ラズパイ4を給電先ではなくオーディオアダプターとして誤判断してしまうかもしれないということ。つまりこのタイプのケーブルを使うと充電できないかもしれないというわけですね。
これはラズパイ側も認めていて、将来(数か月後?)のボードデザインでは改良されるそうです。
https://arstechnica.com/gadgets/2019/07/raspberry-pi-4-uses-incorrect-usb-c-design-wont-work-with-some-chargers/
2019年07月05日
Campfire Audioの新製品、Polaris IIとIOのレビュー
Campfire Audioの新製品が国内発売されました。その中から今回はPolarisの改良型であるPolaris IIと、新ラインナップのエントリー機であるIOのレビューをしていきます。
まず、この前のヘッドフォン祭でKenさんが来た時に簡単に今回の製品についてインタビューしたものがあるのでそれを掲載します。
* Campfire Audio Kenさんとのインタビュー
- PolarisIIについて
ささき: これはPolarisの新バージョンですか?
Kenさん: そうです。いくつか改良をしたものです。
まずダイナミックドライバーが大口径化しています。8.5mmから9.2mmに変更しています。
ささき: それはAtlasとは違うものですね?
Kenさん: そうです。新規開発したものです。
ドライバー以外ではクロスオーバーも異なってます。また筐体を前は3Dプリントしていたところをステンレススチールにしています。
MMCX端子も改良され、ケーブルも新しくなっています。メモリーワイヤではなくメモリータイプのヒートシュリンク(被覆)を使っています。
ケースも改良されています。もちろん音質もよくなっていますよ。
ささき: ケーブルはSolarisと同じものですか?
Kenさん: ゲージはより細いもので、線材は同じですが拠り方は異なります。
- IOについて
ささき: IOはまったく新しいデザインですね。
Kenさん: Campfire Audioのエントリーモデルとして低価格を目標にしたんです。2ドライバーで大きなBAドライバーと小さな高域BAドライバーの組み合わせで、クロスオーバーを介しています。またインピーダンスの変動が少ない設計を施しています。
もちろん低価格でも音質はよいものを目指しているので、コストパフォーマンスは高いですよ。
ケーブルは新Polarisと同じで、ケースも新Polarisと同じです。
ささき: 高域ドライバーはTAECを採用しているのですね?
Kenさん: はい、音響抵抗も使用していません。TAECは音響抵抗を省略できる理由の一つですが、すべてではないのですよ。
音的にはJupiterに似ています。特に高域の伸びがそう感じさせると思います。
ささき: 改良されたJupiterのような感じですか?
Kenさん: まあそういう感じかな(sort of that)。
(改良されたというよりは)似た感じといったほうが良いかもしれません。
* Polaris IIインプレッション
以前のPolarisのレビューはこちらです。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/453783142.html
旧タイプとの差は見た目がフェイスプレートが青に変わっているということが異なっていますが、印象はかなり似ていますね。
PolarisIIパッケージ
音が細かく高域は鮮烈でこまかな響きもよく再現している。かなりレベルが高い音と言えますね。低音はかなり深く量感あり、EDMなどを聴いた時のベースの重さがすごく迫力があふれます。
旧タイプよりも低音が強いのが特徴で、よりハイブリッドらしいとも言えます。旧タイプとの比較でなく、絶対的にもかなり低域の量感があって、重みがあります。あくまで大口径ダイナミックらしい重みのある迫力あふれる低域表現です。
ここが前のPolarisとは一番異なる点で、以前はつながりがよくシングルのようなある意味ハイブリッドらしくない完成度を目標にしていたように思えるけれども、新Polarisではあくまでハイブリッドらしい低域のパンチの強さを売りにしています。
ただし中域はクリアで低域にあまりマスクされていないように思えますね。ボーカルは男性も女性も明瞭感があって歌詞が聴き取りやすいように聴こえます。
イヤピースとケーブルをPolaris IIのものに統一して旧Polarisと比較するとかなり大きく音が違います。音の個性自体は似ていますが、旧タイプでは低音がかなりばさっとローカットフィルターをかけたように減ります。能率自体はあまり変わっていないように思えます。旧Polarisも低音がないわけではなく、深くて抑えめのバランスのよい低音ですが、量感がまるで違います。旧Polarisはわりとフラットですっきりとした(ある意味BAよりの)音再現ですが、新しいPolarisはいかにもハイブリッドという感じの低音です。これによって迫力がだいぶ違います。
ただ新Polarisはこんなに低域が増えたのに中域があまり埋もれないのはなかなかのチューニングの冴えと言えると思います。
旧タイプのPolarisはCampfireの技術の総集編的な投入をしつつ、コストパフォーマンスの高いモデルを作ることを目指したと言えるでしょう。それに対して新タイプはよりハイブリッドらしい高性能イヤフオンを作ることを念頭に置いたと思います。
*IOインプレッション
Campfire Audioは天文の名称を付けてきましたが、IOは木星の月であるイオ(英語だとアイオー)からつけています。木星は以前Jupiterという製品があったということがポイントです。
IOのパッケージ
Campfireの低価格モデルだけども、ケンさんがシンプルイズベストを極めたって言ってたんですが、透明感というか鮮明さが独特で価格が安いだけではなく他にない個性がある。チューブレス構造の極み、みたいな音の気持ち良さがありますね。
中高域の透明感、鮮明さはIOならではの個性があります。低価格モデルということを忘れて、この気持ちよさの魅力で思わずIOを持ち出したくなることでしょう。良録音のアコースティック・アンサンブル、女性ヴォーカルの良さはひとしおです。
帯域的にはわりとフラット、ニュートラルで低域の量感も十分にあります。低域も質は良くタイトで解像感のある低域で超低域(サブベース)もそれなりにあると思います。アコギの胴鳴りの豊かさ良いですね。
とはいえダイナミックドライバー機やハイブリッド機と比べるとやや軽めには感じられるかもしれません。言い換えると全体にBAらしい音の作りであり、あたかもシングルBA機のような感じを覚えるのがひとつのポイントだと思います。
もうひとつのIOの特徴はこれも独特の立体感が良いことです。Campfire Audioは前作のSolarisから一皮むけた立体感の良さが感じられますが、Kenさんに聴いてもあまりなにか特別の技術云々というわけではないようです。
関連するのかどうか、HeadFiでJudeがCampfire Audioを測定したグラフが公開されていますが、いままで測定した中でも最も左右の周波数特性とTHDがマッチしたイヤフォンの一つと言っています。
https://www.head-fi.org/threads/campfire-audio-io.905408/page-27#post-14972084
これもあってか、IOはものすごく性能の良いシングルBAイヤフォンって感じに思えるのが面白いと思います(実際はデュアルですが)。
シンプルイズベストを単なる低価格というのではなく音の魅力にした点はさすがです。BAらしいイヤフォンがほしい人で、ダイナミックと差別化したいならこれをお勧めできますね。
まとめ
ひと言でいうと、IOがBAらしいさわやかな明瞭感を出しているのに対して、Polarisはハイブリッドらしい高域の鮮烈さと低域の重さを両立させていると思います。
それぞれらしさ、個性を明確にしているというのは海外製品らしい個性的な魅力を感じさせてくれることでしょう。
まず、この前のヘッドフォン祭でKenさんが来た時に簡単に今回の製品についてインタビューしたものがあるのでそれを掲載します。
* Campfire Audio Kenさんとのインタビュー
- PolarisIIについて
ささき: これはPolarisの新バージョンですか?
Kenさん: そうです。いくつか改良をしたものです。
まずダイナミックドライバーが大口径化しています。8.5mmから9.2mmに変更しています。
ささき: それはAtlasとは違うものですね?
Kenさん: そうです。新規開発したものです。
ドライバー以外ではクロスオーバーも異なってます。また筐体を前は3Dプリントしていたところをステンレススチールにしています。
MMCX端子も改良され、ケーブルも新しくなっています。メモリーワイヤではなくメモリータイプのヒートシュリンク(被覆)を使っています。
ケースも改良されています。もちろん音質もよくなっていますよ。
ささき: ケーブルはSolarisと同じものですか?
Kenさん: ゲージはより細いもので、線材は同じですが拠り方は異なります。
- IOについて
ささき: IOはまったく新しいデザインですね。
Kenさん: Campfire Audioのエントリーモデルとして低価格を目標にしたんです。2ドライバーで大きなBAドライバーと小さな高域BAドライバーの組み合わせで、クロスオーバーを介しています。またインピーダンスの変動が少ない設計を施しています。
もちろん低価格でも音質はよいものを目指しているので、コストパフォーマンスは高いですよ。
ケーブルは新Polarisと同じで、ケースも新Polarisと同じです。
ささき: 高域ドライバーはTAECを採用しているのですね?
Kenさん: はい、音響抵抗も使用していません。TAECは音響抵抗を省略できる理由の一つですが、すべてではないのですよ。
音的にはJupiterに似ています。特に高域の伸びがそう感じさせると思います。
ささき: 改良されたJupiterのような感じですか?
Kenさん: まあそういう感じかな(sort of that)。
(改良されたというよりは)似た感じといったほうが良いかもしれません。
* Polaris IIインプレッション
以前のPolarisのレビューはこちらです。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/453783142.html
旧タイプとの差は見た目がフェイスプレートが青に変わっているということが異なっていますが、印象はかなり似ていますね。
PolarisIIパッケージ
音が細かく高域は鮮烈でこまかな響きもよく再現している。かなりレベルが高い音と言えますね。低音はかなり深く量感あり、EDMなどを聴いた時のベースの重さがすごく迫力があふれます。
旧タイプよりも低音が強いのが特徴で、よりハイブリッドらしいとも言えます。旧タイプとの比較でなく、絶対的にもかなり低域の量感があって、重みがあります。あくまで大口径ダイナミックらしい重みのある迫力あふれる低域表現です。
ここが前のPolarisとは一番異なる点で、以前はつながりがよくシングルのようなある意味ハイブリッドらしくない完成度を目標にしていたように思えるけれども、新Polarisではあくまでハイブリッドらしい低域のパンチの強さを売りにしています。
ただし中域はクリアで低域にあまりマスクされていないように思えますね。ボーカルは男性も女性も明瞭感があって歌詞が聴き取りやすいように聴こえます。
イヤピースとケーブルをPolaris IIのものに統一して旧Polarisと比較するとかなり大きく音が違います。音の個性自体は似ていますが、旧タイプでは低音がかなりばさっとローカットフィルターをかけたように減ります。能率自体はあまり変わっていないように思えます。旧Polarisも低音がないわけではなく、深くて抑えめのバランスのよい低音ですが、量感がまるで違います。旧Polarisはわりとフラットですっきりとした(ある意味BAよりの)音再現ですが、新しいPolarisはいかにもハイブリッドという感じの低音です。これによって迫力がだいぶ違います。
ただ新Polarisはこんなに低域が増えたのに中域があまり埋もれないのはなかなかのチューニングの冴えと言えると思います。
旧タイプのPolarisはCampfireの技術の総集編的な投入をしつつ、コストパフォーマンスの高いモデルを作ることを目指したと言えるでしょう。それに対して新タイプはよりハイブリッドらしい高性能イヤフオンを作ることを念頭に置いたと思います。
*IOインプレッション
Campfire Audioは天文の名称を付けてきましたが、IOは木星の月であるイオ(英語だとアイオー)からつけています。木星は以前Jupiterという製品があったということがポイントです。
IOのパッケージ
Campfireの低価格モデルだけども、ケンさんがシンプルイズベストを極めたって言ってたんですが、透明感というか鮮明さが独特で価格が安いだけではなく他にない個性がある。チューブレス構造の極み、みたいな音の気持ち良さがありますね。
中高域の透明感、鮮明さはIOならではの個性があります。低価格モデルということを忘れて、この気持ちよさの魅力で思わずIOを持ち出したくなることでしょう。良録音のアコースティック・アンサンブル、女性ヴォーカルの良さはひとしおです。
帯域的にはわりとフラット、ニュートラルで低域の量感も十分にあります。低域も質は良くタイトで解像感のある低域で超低域(サブベース)もそれなりにあると思います。アコギの胴鳴りの豊かさ良いですね。
とはいえダイナミックドライバー機やハイブリッド機と比べるとやや軽めには感じられるかもしれません。言い換えると全体にBAらしい音の作りであり、あたかもシングルBA機のような感じを覚えるのがひとつのポイントだと思います。
もうひとつのIOの特徴はこれも独特の立体感が良いことです。Campfire Audioは前作のSolarisから一皮むけた立体感の良さが感じられますが、Kenさんに聴いてもあまりなにか特別の技術云々というわけではないようです。
関連するのかどうか、HeadFiでJudeがCampfire Audioを測定したグラフが公開されていますが、いままで測定した中でも最も左右の周波数特性とTHDがマッチしたイヤフォンの一つと言っています。
https://www.head-fi.org/threads/campfire-audio-io.905408/page-27#post-14972084
これもあってか、IOはものすごく性能の良いシングルBAイヤフォンって感じに思えるのが面白いと思います(実際はデュアルですが)。
シンプルイズベストを単なる低価格というのではなく音の魅力にした点はさすがです。BAらしいイヤフォンがほしい人で、ダイナミックと差別化したいならこれをお勧めできますね。
まとめ
ひと言でいうと、IOがBAらしいさわやかな明瞭感を出しているのに対して、Polarisはハイブリッドらしい高域の鮮烈さと低域の重さを両立させていると思います。
それぞれらしさ、個性を明確にしているというのは海外製品らしい個性的な魅力を感じさせてくれることでしょう。
2019年07月03日
Acoustune HS1670SSレビュー
Acoustuneは香港に拠点を置くイヤフォンメーカーですが、スタッフは日本でオーデイオ産業に従事していたベテラン技術者が含まれているようです。Acoustuneは日本ではアユートが代理店となり、イヤフォンとともに交換用のイヤピースでも知られるようになりました。本稿はHS1670SSのレビューです。下記は製品ページで、価格は7万円を切るくらいです。
https://www.aiuto-jp.co.jp/products/product_2498.php
* 特徴について
1. 医療技術を用いた独自のMyrinx(ミリンクス)振動板
HS1670SSを聞く前に中高域が美しいという評判はすでに聞いていました。しかし実際に自分で聞いてみて驚いたのは評判通りの中高音域の美しさと伸びの良さに負けずにきちんと量感もある質の良い低域表現が聴けたという点です。シングルダイナミックにしてはかなりのワイドレンジ再生力です。
そのひとつの理由は振動板に使われているミリンクスという素材です。ミリンクスは医療分野で人工皮膚や手術縫合糸などに使われる合成素材ということです。ミリンクスとは医療用語で鼓膜という意味だそうですが、HS1670SSはミリンクスを薄膜化した10mm径のダイナミックドライバーを採用しています。HS1670SSには改良された第4世代ドライバーを採用しています。
ミリンクスの振動板としての特徴としてはまず軽いということ、これは入力に対して素早くかつ正しく振動できるというメリットをもたらします。そして大事なのはミリンクスが強度と柔軟性を両立している(言い換えるとムチのように強靭でかつよくしなる)ということです。振動板の素材としては強度、つまり変形しにくさは音を正しく伝えるのに重要ですが、ミリンクスでは加えて柔軟性を両立しているというわけです。ここが広いダイナミックレンジをもたらす秘密のようで、振動板として一般的なPETとの違いでもあるようです。またこれは残響音の再現においても優れているということです。
こうしたミリンクスの特質がHS1670SSの中高域のみならず優れた低域再生力を支え、かつ強度を保ったまま薄膜化できることで音の細かさや速さも再現できるのでしょう。
実際に聴いてみるとその音は単に立体感というよりも、独特な彫りのある音の深みを感じられる個性的な音再現を感じますが、そうした特性ゆえなのかもしれません。
もうひとつ面白いのはミリンクスが安定性が高いということです。これはエージングをあまり必要とせずに、長期間にわたる使用で音質劣化が少ないというメリットがあるということです。
かなり特徴的なメリットを持つミリンクスですが、なかなか製造は難しいようで独自のノウハウをもっているのがAcoustuneであると言えるのでしょう。
2. 共振を減らしたモジュラー構造
HS1670SSの大きな特徴のひとつはやはりその見た目の良さです。金属製CNC加工でまるで精密機器のようなカッコ良いイヤフオンで、私もいつになく気合をいれて、箱を開けてしばらくいつまでも写真を撮ってしまいました。特にマクロレンズで撮っていると細部の緻密さに惹かれます。
特にいつくかのモジュールが組み合わされたメカ感が良いですね。これは機能美でもあり、HS1670SSではモジュラー構造で音響チャンバー部と機構部が分離されています。
この仕組みのメリットは共振の防止で、筐体のパーツを最小化することで振動するユニットから生じる悪影響を減らすことができるということです。音響チャンバーは効果的な音場感とソリッドな低域を実現しているということですが、モジュラー構造により低域で生じる歪みが中高域に伝わることを抑えるということです。
HS1670SSの場合にはステンレススチールの特性とこのモジュラー構造がすっきりとした純度の高い音を生み出しているのでしょう。
3. 多種のイヤピースが付属
最近ではさまざまなメーカーが音を変えるタイプのイヤピースを出して話題となり、イヤピースに対しての注目度も上がってきていると思います。
Acoustuneはイヤピースを単体発売もしていて、こだわりを見せています。標準となるのはAET07ですが、AET08はAET07にくらべて軸の直径が太く長めです。これは音響的に低域を増強するということで、組み合わせることでイヤフォンの音をいろいろと変えて楽しむことができます。HS1670SSには他にダブルフランジタイプのAET06とフォームチップが付属してくるのでイヤピースについては選択の余地はかなりあると言えると思います。
HS1670SS付属のイヤピース
イヤピースで音が変わるかというと、変わります。これにはいくつかの要素があります。まずイヤピースの傘の部分の遮蔽によって漏れやすい低域の音が失われないできちんと出ること、それと同時に低域のマスキング効果によって中高域の特性が影響を受けるということです。これにはイヤピースの傘の長さやサイズがポイントになります。
次にイヤピースの軸の長さと太さ、材質などによって帯域の出方が異なります。このためにAcoustuneではAET07の他にAET08という軸の異なるタイプを用意しています(AETとはAcoustune Ear-Tips)。これもイヤフォンのチューニングが音導管の長さ・太さで行われるということを想起すると納得できると思います。
ちなみに各タイプの詳細はメーカーによると以下の通りです。
AET06
遮音性を重視しダブルフランジ形状を採用。S+とM+でフランジ形状を若干変更し最適化。遮音性を確保し低域の減衰を最小化。
AET07
acoustuneイヤホンの開発工程でも使用するベンチマーク。ノズル開口部を可能な限り広く短く設計。更にノズル軸部の硬度を高めに成形する事で、特に中高域の減衰を抑え、再生周波数全域における高い解像度と抜けの良さを実現。(サイズ表のM-は単体販売のみ)
AET08
ノズル内径を狭く長めに設計。意図的に高音域を減衰させる事で、相対して低音域を押し上げる音響を実現。
AET06,AET07,AET08のサイズ表
イヤピースについてはHS1670SSではAET07が合うと思いました。特にHS1670SSでイヤピースを選ぶコツは合うちょうどくらいを選ぶことであり、あまり大きなサイズを使わないということだと思います。大きすぎて低音が多くなると低域のマスキング効果で中高域にも影響を与えてしまうことがあるので、独自の美しい中高域が消えてしまう場合もあります。あまり高い音がきれいに出ないと思ったら、ひとつ下のサイズのイヤピースにしてみるのも良いと思います。
もちろんロックやEDMなどの低音がほしい音楽の時は逆にそうした大きめのイヤピースで音を変えてみるのも面白いですし、低音が欲しい時はAET08を使うのも良いかもしれません。こうしていろいろと変えたり試したりできるというのも面白さの一つです。
4. 高品質な標準ケーブル
HS1670SSの見た目の美しさはイヤフォン本体だけではなく、ケーブルも太くて高級感があります。中身もシルバーコート銅線とOFC線材のハイブリッド設計というユニークなもので、8芯ケーブルを3重にシールドしたものです。端子はMMCXでリケーブル可能です。
このケーブルは太いわりにはタッチノイズが少ないのも長所としてあげられるかもしれません。
* インプレッション、使用感、音質
HS1670SSはまず見た目のかっこよさに惹かれてしまいます。手に取るとずっしりと重みがあり精密機器らしいメカの美しさの魅力がよくわかります。特にHS1670SSはステンレススチール製なので、金属製の高級感と持った感触が価格以上のものを感じさせてくれます。
またメカニカルで武骨な形ですが、実のところはするっと耳におさまってぴったりと確実に耳穴に固定される装着感の良さも意外とポイントだと思います。装着してしまうと重さはさほど気になりません。
HS1670SSパッケージ
さきにも書きましたが、まずHS1670SSではイヤピース選びがポイントになります。多種のイヤピースが付属しているので自由度が高いということと、音の良さを引き出すためです。
ここはもちろん個人差があるところなんですが、私の場合にはAET07のMサイズを主に使用しました。AET07だとリファレンス的なサウンドでHS1670の良さを引き出すのに向いていると思います。
AET08だと低音が太く迫力を感じるとともに、全体に重みが乗ってくるので低音がほしいビート系音楽にはAET08がよいですね。中高域を活かしつつ低音域によりパンチがほしいときはAET08の同じサイズを使うのが良いと思います。ただし中高域はやはりAET07が良く出ると思います。
一番低域を引き出すのはひとサイズ上のAET08となるでしょう。
またAZLAのSednaEarfitも試してみました。SednaEarfitはやはりよくフィットし、Mサイズで十分に低域が出ます。
音的にはAET07の同サイズのほうがやはり中高域はきれいに出ていますが、SednaEarfitはAET08に近い感じでより低域寄りの音になるように思いました。SednaEarfit lightではよりよくフィットして低域はより出てくるようです。ただしAET08とSednaEarfitを比べるとよりAET08のほうが低域が出ている感じなので、この辺はいろいろ試してみるのがやはり面白いところでしょう。
音はやはり中高域が美しいのが特徴であり、強みでしょう。高い音が美しくベルやハイハットの音もピュアできれいに響き、よく上に伸びる感じです。歯切れよく明るく明瞭な音調で、音の歯切れよさもよいんですが、特に痛さを感じずに鈍くならない点もポイントです。また音の倍音成分がたっぷりと豊かに聴こえる中高域も魅力的です。たとえばバロックバイオリンの音など古楽器系の再現力の豊かさです。
しかしそれと同時にソリッドで質の良い低域も実現していて軽さがありません。
女声ヴォーカルと合わせた時の美しさはひとしおで、試聴でよく聞く混声アカペラグループのRajatonを聴いて、こんなにいい曲だったかと改めて感動してしまいました。女声のメインパートは声質が良く伝わり抒情的で、男声のサブパートも太く豊かに曲全体の豊かさと深みをよく表現しています。ヴォーカルよりも帯域の広い器楽曲を聴いても同様に思います。これらのことがシングルドライバーで再現されているのだから、かなり優れたドライバーと筐体設計だと思います。
着色感は少なく、暖かくも冷たくもない感じです。たぶんドライバーの特性もありますが、ケーブルも良いと思います。着色感は少なくとも無機的にならずに音楽が美しく感じられるのはなかなか得がたいものがあります。
シングルダイナミックにしてはかなりワイドレンジでダブルベースを聴くと低い方にもよく沈みこみ、ロックでも低域は十分にあってパンチがあります。もしEDMとかもっと低音が欲しい時にはイヤピースをAET08とかもっとサイズの大きいものに変えると良いと思います。
中高域が美しいのが特徴なんですが、低域の方も厚みがあって音が豊かに聴こえるのがトータルの音の再現性を上げていると思います。
特にMojoとかSP1000など高性能の機材を使用した時の深みがある音空間が特徴的で、同じ曲でAK380からSP1000に変えた時の情報量の増加がよくわかります。高級オーディオを聞いているような感じです。細かい音の再現力の高さも含めて、音再現力の高さも価格を超えているように思います。
* まとめ
見た目の美しさと音の良さは価格を超えていて、価格が10万円を超えていてもおかしくない気はしますね。
音の美しさなど優れた長所を持つ一方で、ケーブルのタッチノイズもかなり少なく、全体にそつなく弱点も少なく設計されています。オーディオ業界のベテランによって創立された会社というのもうなづけます。トータルの完成度も高く、コストパフォーマンスもよいイヤフオンだと言えるでしょう。
https://www.aiuto-jp.co.jp/products/product_2498.php
* 特徴について
1. 医療技術を用いた独自のMyrinx(ミリンクス)振動板
HS1670SSを聞く前に中高域が美しいという評判はすでに聞いていました。しかし実際に自分で聞いてみて驚いたのは評判通りの中高音域の美しさと伸びの良さに負けずにきちんと量感もある質の良い低域表現が聴けたという点です。シングルダイナミックにしてはかなりのワイドレンジ再生力です。
そのひとつの理由は振動板に使われているミリンクスという素材です。ミリンクスは医療分野で人工皮膚や手術縫合糸などに使われる合成素材ということです。ミリンクスとは医療用語で鼓膜という意味だそうですが、HS1670SSはミリンクスを薄膜化した10mm径のダイナミックドライバーを採用しています。HS1670SSには改良された第4世代ドライバーを採用しています。
ミリンクスの振動板としての特徴としてはまず軽いということ、これは入力に対して素早くかつ正しく振動できるというメリットをもたらします。そして大事なのはミリンクスが強度と柔軟性を両立している(言い換えるとムチのように強靭でかつよくしなる)ということです。振動板の素材としては強度、つまり変形しにくさは音を正しく伝えるのに重要ですが、ミリンクスでは加えて柔軟性を両立しているというわけです。ここが広いダイナミックレンジをもたらす秘密のようで、振動板として一般的なPETとの違いでもあるようです。またこれは残響音の再現においても優れているということです。
こうしたミリンクスの特質がHS1670SSの中高域のみならず優れた低域再生力を支え、かつ強度を保ったまま薄膜化できることで音の細かさや速さも再現できるのでしょう。
実際に聴いてみるとその音は単に立体感というよりも、独特な彫りのある音の深みを感じられる個性的な音再現を感じますが、そうした特性ゆえなのかもしれません。
もうひとつ面白いのはミリンクスが安定性が高いということです。これはエージングをあまり必要とせずに、長期間にわたる使用で音質劣化が少ないというメリットがあるということです。
かなり特徴的なメリットを持つミリンクスですが、なかなか製造は難しいようで独自のノウハウをもっているのがAcoustuneであると言えるのでしょう。
2. 共振を減らしたモジュラー構造
HS1670SSの大きな特徴のひとつはやはりその見た目の良さです。金属製CNC加工でまるで精密機器のようなカッコ良いイヤフオンで、私もいつになく気合をいれて、箱を開けてしばらくいつまでも写真を撮ってしまいました。特にマクロレンズで撮っていると細部の緻密さに惹かれます。
特にいつくかのモジュールが組み合わされたメカ感が良いですね。これは機能美でもあり、HS1670SSではモジュラー構造で音響チャンバー部と機構部が分離されています。
この仕組みのメリットは共振の防止で、筐体のパーツを最小化することで振動するユニットから生じる悪影響を減らすことができるということです。音響チャンバーは効果的な音場感とソリッドな低域を実現しているということですが、モジュラー構造により低域で生じる歪みが中高域に伝わることを抑えるということです。
HS1670SSの場合にはステンレススチールの特性とこのモジュラー構造がすっきりとした純度の高い音を生み出しているのでしょう。
3. 多種のイヤピースが付属
最近ではさまざまなメーカーが音を変えるタイプのイヤピースを出して話題となり、イヤピースに対しての注目度も上がってきていると思います。
Acoustuneはイヤピースを単体発売もしていて、こだわりを見せています。標準となるのはAET07ですが、AET08はAET07にくらべて軸の直径が太く長めです。これは音響的に低域を増強するということで、組み合わせることでイヤフォンの音をいろいろと変えて楽しむことができます。HS1670SSには他にダブルフランジタイプのAET06とフォームチップが付属してくるのでイヤピースについては選択の余地はかなりあると言えると思います。
HS1670SS付属のイヤピース
イヤピースで音が変わるかというと、変わります。これにはいくつかの要素があります。まずイヤピースの傘の部分の遮蔽によって漏れやすい低域の音が失われないできちんと出ること、それと同時に低域のマスキング効果によって中高域の特性が影響を受けるということです。これにはイヤピースの傘の長さやサイズがポイントになります。
次にイヤピースの軸の長さと太さ、材質などによって帯域の出方が異なります。このためにAcoustuneではAET07の他にAET08という軸の異なるタイプを用意しています(AETとはAcoustune Ear-Tips)。これもイヤフォンのチューニングが音導管の長さ・太さで行われるということを想起すると納得できると思います。
ちなみに各タイプの詳細はメーカーによると以下の通りです。
AET06
遮音性を重視しダブルフランジ形状を採用。S+とM+でフランジ形状を若干変更し最適化。遮音性を確保し低域の減衰を最小化。
AET07
acoustuneイヤホンの開発工程でも使用するベンチマーク。ノズル開口部を可能な限り広く短く設計。更にノズル軸部の硬度を高めに成形する事で、特に中高域の減衰を抑え、再生周波数全域における高い解像度と抜けの良さを実現。(サイズ表のM-は単体販売のみ)
AET08
ノズル内径を狭く長めに設計。意図的に高音域を減衰させる事で、相対して低音域を押し上げる音響を実現。
AET06,AET07,AET08のサイズ表
イヤピースについてはHS1670SSではAET07が合うと思いました。特にHS1670SSでイヤピースを選ぶコツは合うちょうどくらいを選ぶことであり、あまり大きなサイズを使わないということだと思います。大きすぎて低音が多くなると低域のマスキング効果で中高域にも影響を与えてしまうことがあるので、独自の美しい中高域が消えてしまう場合もあります。あまり高い音がきれいに出ないと思ったら、ひとつ下のサイズのイヤピースにしてみるのも良いと思います。
もちろんロックやEDMなどの低音がほしい音楽の時は逆にそうした大きめのイヤピースで音を変えてみるのも面白いですし、低音が欲しい時はAET08を使うのも良いかもしれません。こうしていろいろと変えたり試したりできるというのも面白さの一つです。
4. 高品質な標準ケーブル
HS1670SSの見た目の美しさはイヤフォン本体だけではなく、ケーブルも太くて高級感があります。中身もシルバーコート銅線とOFC線材のハイブリッド設計というユニークなもので、8芯ケーブルを3重にシールドしたものです。端子はMMCXでリケーブル可能です。
このケーブルは太いわりにはタッチノイズが少ないのも長所としてあげられるかもしれません。
* インプレッション、使用感、音質
HS1670SSはまず見た目のかっこよさに惹かれてしまいます。手に取るとずっしりと重みがあり精密機器らしいメカの美しさの魅力がよくわかります。特にHS1670SSはステンレススチール製なので、金属製の高級感と持った感触が価格以上のものを感じさせてくれます。
またメカニカルで武骨な形ですが、実のところはするっと耳におさまってぴったりと確実に耳穴に固定される装着感の良さも意外とポイントだと思います。装着してしまうと重さはさほど気になりません。
HS1670SSパッケージ
さきにも書きましたが、まずHS1670SSではイヤピース選びがポイントになります。多種のイヤピースが付属しているので自由度が高いということと、音の良さを引き出すためです。
ここはもちろん個人差があるところなんですが、私の場合にはAET07のMサイズを主に使用しました。AET07だとリファレンス的なサウンドでHS1670の良さを引き出すのに向いていると思います。
AET08だと低音が太く迫力を感じるとともに、全体に重みが乗ってくるので低音がほしいビート系音楽にはAET08がよいですね。中高域を活かしつつ低音域によりパンチがほしいときはAET08の同じサイズを使うのが良いと思います。ただし中高域はやはりAET07が良く出ると思います。
一番低域を引き出すのはひとサイズ上のAET08となるでしょう。
またAZLAのSednaEarfitも試してみました。SednaEarfitはやはりよくフィットし、Mサイズで十分に低域が出ます。
音的にはAET07の同サイズのほうがやはり中高域はきれいに出ていますが、SednaEarfitはAET08に近い感じでより低域寄りの音になるように思いました。SednaEarfit lightではよりよくフィットして低域はより出てくるようです。ただしAET08とSednaEarfitを比べるとよりAET08のほうが低域が出ている感じなので、この辺はいろいろ試してみるのがやはり面白いところでしょう。
音はやはり中高域が美しいのが特徴であり、強みでしょう。高い音が美しくベルやハイハットの音もピュアできれいに響き、よく上に伸びる感じです。歯切れよく明るく明瞭な音調で、音の歯切れよさもよいんですが、特に痛さを感じずに鈍くならない点もポイントです。また音の倍音成分がたっぷりと豊かに聴こえる中高域も魅力的です。たとえばバロックバイオリンの音など古楽器系の再現力の豊かさです。
しかしそれと同時にソリッドで質の良い低域も実現していて軽さがありません。
女声ヴォーカルと合わせた時の美しさはひとしおで、試聴でよく聞く混声アカペラグループのRajatonを聴いて、こんなにいい曲だったかと改めて感動してしまいました。女声のメインパートは声質が良く伝わり抒情的で、男声のサブパートも太く豊かに曲全体の豊かさと深みをよく表現しています。ヴォーカルよりも帯域の広い器楽曲を聴いても同様に思います。これらのことがシングルドライバーで再現されているのだから、かなり優れたドライバーと筐体設計だと思います。
着色感は少なく、暖かくも冷たくもない感じです。たぶんドライバーの特性もありますが、ケーブルも良いと思います。着色感は少なくとも無機的にならずに音楽が美しく感じられるのはなかなか得がたいものがあります。
シングルダイナミックにしてはかなりワイドレンジでダブルベースを聴くと低い方にもよく沈みこみ、ロックでも低域は十分にあってパンチがあります。もしEDMとかもっと低音が欲しい時にはイヤピースをAET08とかもっとサイズの大きいものに変えると良いと思います。
中高域が美しいのが特徴なんですが、低域の方も厚みがあって音が豊かに聴こえるのがトータルの音の再現性を上げていると思います。
特にMojoとかSP1000など高性能の機材を使用した時の深みがある音空間が特徴的で、同じ曲でAK380からSP1000に変えた時の情報量の増加がよくわかります。高級オーディオを聞いているような感じです。細かい音の再現力の高さも含めて、音再現力の高さも価格を超えているように思います。
* まとめ
見た目の美しさと音の良さは価格を超えていて、価格が10万円を超えていてもおかしくない気はしますね。
音の美しさなど優れた長所を持つ一方で、ケーブルのタッチノイズもかなり少なく、全体にそつなく弱点も少なく設計されています。オーディオ業界のベテランによって創立された会社というのもうなづけます。トータルの完成度も高く、コストパフォーマンスもよいイヤフオンだと言えるでしょう。