Music TO GO!

2019年06月08日

final audio イヤフォン・ヘッドフォンを楽しむための音響講座

今日はfinal audio主催のイヤフォン・ヘッドフォンを楽しむための音響講座を受講してきました。約120名の参加者でセミナールームもいっぱいでした。これはもともと社内教育用のセミナーをイヤフォン・ヘッドフォンを楽しむための知識ということに主眼を置いて外部セミナーとしたようです。

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挨拶する細尾社長

参加者には教材としてはfinalの未発表モデルのE500が配られました。このE500は官能評価を科学的に分析する新しい手法に基づいて開発されたもので一人の官能評価ではない点がポイントだそうです。VRやゲームに適した特性を持っているイヤフォンで、大手携帯会社との提携の副産物ということです(市販未定)。
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講座は2時間ほどで、下記のように12のトピックを設けてそれを説明して簡潔に締めくくるというわかりやすい構成で行われました。以下*部分は私的感想です

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講座の機材等

1.ヒトはどうやって音を聴いている? - 耳の仕組み、*有毛細胞の働きがデジタル(PDM?)的というのが面白かった
2.ヒトが聞こえる音の大きさの範囲は? - dBとは、実際に基準となる85dB(C)の音をGenelecのスピーカーで聴く実習
→配布されたE500と手持ちのiPhoneまたはDAPの指定位置で基準音を聴いてみる課題がだされる

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音圧を測る実習

3.ヒトが聞こえる音の高さの範囲は? - 音の高さとは、楽器の周波数 - 周波数スイープを聴いてみる
4. 周波数特性とは? - 周波数特性グラフとは
5. 音を比較する際は音の高さをそろえることが大事? - 等ラウドネス曲線とは *音量をそろえるにはボーカルのみがよい(音量で変化する高域と低域が含まれないから)というtipsがわかりやすい
6. イヤフォン・ヘッドフォンの理想的な周波数特性は? - スピーカーと同じか?フラットでよいか? イヤフォン・ヘッドフォンは耳に直で入れるため外形分の脳内変換を無視してしまう - それを補完する周波数特性が求められる 
7. 映像の比較と音の比較の違いは? - 音では一度に2つの音を比べられないので短期記憶が必須 - 2つの音を比べてみる実習
8. 音を比較する際に何に着目するか? - 官能評価のあいまいさ - 共通化の提言 *ここはレビュー書きとしては耳が痛いところ
9. 低域がボーカルを聴こえづらくするのはなぜ? 低音のマスキング効果 - 実際に低音がより高い音を打ち消す実習 *実習により納得性が高い
10.エージングとは? 聴覚的なエージング、finalの考える機械的エージング
11.イヤピース・イヤパッドの密閉度が低いと低域が減るのはなぜか? 低域が減ると低音だけでなく、マスキング効果で音の全帯域に影響する
12.イヤフォン・ヘッドフォンだからこそ実現できる楽しみ方 - 3D、VR - それに適するE500

内容は難しい点もありますが数式も使わずにわかりやすく基礎からしっかりとカバーし、イヤフォン・ヘッドフォンに特化したテーマのために飽きることなく聴きとおすことができました。またfinal audioは科学的手法を重視するメーカーだということも納得できます。
次回もあればお勧めです。

さて、課題はあしたやろっと。
posted by ささき at 22:26| ○ オーディオショウ・試聴会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする