AM3CはFiiO X7/X7mkII/Q5用の取り外し可能なアンプモジュールです。FiiO X7/X7 mkIIはFiiOのデジタルオーディオプレーヤーの最新世代のフラッグシップ機であり、ESS社製のハイエンドDACを採用したDAPですが、アンプ部分がユーザー交換可能で様々な音を楽しめるのが特徴です。Q5はBluetoothレシーバーとUSB DAC機能を持ったポータブルアンプです(固有のUIはありません)が同様にX7用のモジュールを使うことができます。
FiiO X7 mkIIとAM3Cモジュール
アンプモジュールではこれまでにAM2(シングルエンド中出力)、AM5(シングルエンド高出力)、AM3A(2.5mmバランス)、AM3B(4.4mmバランス)などが出ていますが、その新しいラインナップがこのAM3Cです。これはAM3Bを出してから特に日本のユーザーに4.4mmバランス端子が好評であったために開発した、4.4mmバランス端子を搭載した新しいアンプモジュールだということです。AM3Bと同様に3.5mm端子も装備しています。
* THX AAAとは
AM3Cの特徴は最近開発されたTHX AAAと呼ばれるヘッドフォンアンプ技術を採用していることです。THXは映画館に行くとドルビーとともにロゴが現れることでご存知の方も多いと思いますが、映画の音響評価をつかさどっている会社で、もとはルーカスフィルムの一部門でした。映画館で出てくるロゴはTHXお墨付きのシアターですという意味です。同様にAV機器に対してもTHXお墨付きという認証を与えてもいます。
そのTHX社がTriad Semiconductor社と共同で開発したオーディオアンプ用のICがAAA(Achromatic Audio Amplifier)です。これはTHX社の戦略によるVRなどのパーソナル製品のオーディオ面を支えるために開発されたものですが、THX社のLaurie Finchamという音響開発担当重役がオーディオマニアであったということも関係しているようです。つまりTHXと聞くと重低音とかサラウンド音響効果を思い浮かべますので、そうしたDSP的なものかと考えてしまいますが、実のところTHX AAAはHIFIオーディオ寄りのところからスタートしているヘッドフォンアンプICです。
AAAのAchromatic(アクロマティック)とは望遠鏡やカメラレンズでよく使われる単語ですが、色のにじみがないという意味です(アポクロマートも同様な意味です)。この場合オーディオでは着色感のない、あるいは高忠実度という意味で使われています。つまり原音そのままを通す技術という感じですね。
その名のように、AAAチップは低ノイズ、低歪み、そして低消費電力を特徴としています。特に歪みという点ではフィードフォワードという技術で他とは文字通り桁違いの低歪みを達成しているとのことです。「フィードフォワード」はCHORDの最新アンプのetudeでも採用されていましたね。
これは増幅のさいの歪みとして取り出した成分を最終出力で逆相で減らして歪を取るというようなもののようです。増幅としては一般的なAB級よりもバイアス電流は少なくて効率が良い(省電力)ということです。
あまり詳しい説明は私もできませんが、興味ある方にはTHXが出願しているこちらの米国特許を参照できます。
https://patents.google.com/patent/US8421531B2/en
https://patents.google.com/patent/US8004355B2/en
AM3Cモジュール
THX AAA技術を採用したICはいくつかあるのですが、AM3CではTHXAAA-78というヘッドフォンアンプICを採用しています。これはTHX AAAファミリーではモバイル向けのFrontierというシリーズの高音質タイプのICで、DAPやポータブルヘッドフォンアンプのために開発されたものです。SN比は128dB(モジュールで)というもので、よく知られるヘッドフォンアンプICのLME49600よりも低歪みで消費電力も低くなっています。
IC単体ではなく製品としてのAM3Cでも従来品のAM3Bを超えた性能を発揮できます。AM3Bに比べるとより出力インピーダンスが低く、周波数特性がよりフラット、特に歪であるTHDはAM3Bが0.001%に対してAM3Cでは0.0008%と大幅に改善されていてTHX AAAモジュール採用の効果が表れています。
THXAAA-78は2chアンプですので、バランスアンプ回路を実現するためにAM3CにはTHXAAA-78が二基搭載されています。またAM3CはTHX社の定めた検査に合格しています。
他のヘッドフォンアンプICやTHX AAAでの各IC間の比較は下記ページにあります。
https://www.thx.com/mobile/aaa/
海外ではすでにBenchmarkやMassdropなどからTHX AAA技術を採用した据え置きヘッドフォンアンプが発売されており、Heafiなどオーディオコミュニティで高い評価を得ています。特にMassdropのコンシューマタイプのアンプですが評価としてはさまざまなアンプと比べてもやはり着色感がとても少なく、分析的でフラットな価格を超えたサウンドというものです。
もちろんアンプICだけではなく製品としての評価が必要ですので、本稿では以降AM3BやAM5など他のモジュールと比較しながらレビューしていきます。
* AM3Cと他のモジュールの比較
はじめにFiiO X7 MkIIを使いました。アンプモジュールの脱着はドライバーで簡単に行うことができます。ただしねじが小さいので紛失に注意しましょう。ドライバーは日本にはあまりないトルクスタイプです。このアンプモジュールの脱着はなかなかに精密感があって、ぴったりと嵌合します。
アンプモジュールの脱着
AM3Cはプロトタイプを使用して試聴したので製品版とは異なるかもしれないことは注記しておきます。他は製品版です。イヤフォンはCampfire AudioのフラッグシップであるSolarisを主に使いました。まずシングルエンドの3.5mm端子を使用します。
AM3Bモジュール
全体の音は上流がESSらしくニュートラル傾向だけれども、AM3Bではわずか暖かみを感じます。またAM3BではSolarisの豊かな低域が少しふくらみを感じます。
AM3Cではほぼ音の着色感はなく、AM3Bのシングルエンドに比べるとAM3Cでは特に低域が引き締まって低域のふくらみが少なくタイトで、帯域バランス的にもフラット感が感じられます。AM3Cのほうがより低いところまで出る感じで良質な低域ですね。
AM3Cではより音が整理されていて、一つ一つの楽器の音が聴き取りやすく感じます。透明感はAM3Bでも高いレベルにありますが、比較するとAM3Cのほうが少し透明感が高いと思います。音の広がりはAM3Bのほうが少し広く感じます。
AM3CではAM3Bに比べると粗さが減って端正な音表現になるのも気が付いた点です。例えばバロックバイオリンの中高域ではAM3Bではややきつさが感じられますが、AM3Cではスムーズできつさの少ない美しい倍音再現が楽しめます。
AM3Cは分析的だからと言って無機的というのではないですね。ただベースに迫力を求める人はAM3Bの方を好むかもしれません。端的にいうとAM3Bはやや演出的で、AM3Cはかなり忠実な音再現を感じ取れます。
AM3BとAM3Cの諸特性の比較はFiiO Japanの製品紹介ページにあります。
https://www.fiio.jp/products/amp-module/
左:AM2、右:AM5
シングルエンドのみのAM5と比べると、パワー感ではAM5がとてもパワフルな表現であるのに対して、AM3Cは自然な再現と言えます。ハイパワータイプのAM5とイヤモニでは少し音が強すぎるかもしれないですが、その場合ではAM2を使用すると力強さは少し抑えられて聴きやすく音の締まりも切れもよいと感じられます。AM2とAM5は音的には似ていて、力強さの度合いが異なるというべきかもしれません。
次に3.5mmと同じ種類のALOケーブルで4.4mm端子に付け替えてバランスでも聴いてみました。AM2とAM5はシングルエンドのみです。
AM3Bはバランスに変えることで立体感がより際立って、3次元的に聴こえます。AM3Bはバランスで聴いたほうが音も整理されて聴きやすく洗練されて聞こえます。
バランスにおいてもやはりAM3CのほうがAM3Bよりもよりシャープでタイトな音再現を聴かせてくれます。
気が付いたのはAM3Cをバランスで聴くとパワー感が加わって力強さが感じられるようになるということです。
3.5mmで聴くとAM3Cは多少控えめな優等生的な感じですが、4.4mmバランスで聴くとAM3Cも元気でパンチがより感じられるようになります。音の歯切れもよく気持ちよく音楽を楽しめます。こうした点からAM3Cでもやはりバランス駆動の効果はあると思います。
FiiO Q5(アンプモジュールを外したところ)
iPhoneからBluetoothレシーバーとしてQ5でもAM3BとAM3Cで聴き比べてみましたが、やはり同様な差は感じられます。やはりAM3Cのほうがよりタイトで引き締まった音が感じられます。
Q5自体はBluetoothレシーバーとしてなかなかすぐれていると思いますね。どのモジュールでも音の広がりが気持ちよく感じられます。
* まとめ
いろいろとモジュールを変えて聞いてみましたが、それぞれ個性を楽しめました。
端的にいうとAM3Bは音楽的で演出感があり、AM3C(THX)はよりHIFIで優等生的で玄人好みの音です。またAM5はパワフルな音再現を望む人に向いています。
FiiO X7/Q5のモジュラーシステムの場合は上流が同じということもありますが、音質のレベルがモジュール間で大きく違うというよりも、個性で選ぶべきかもしれません。自分はどう音楽を聴きたいかということと、イヤフォン・ヘッドフォンとの組み合わせもあるでしょう。暴れ気味のイヤフォンを手なづけるにはAM3Cが良いでしょう。
またロックファンとしてはシングルエンドだけどAM2やAM5もパンチがあって魅力的に思えました。ジャズとかクラシックではAM3Cを取ると思いますが、オーケストラ物ではAM3Bもスケール感があってよいですね。ポップではAM3Bを使いたい感じです。
X7 mkIIブート画面
それぞれ個性があってよいのですが、客観的にレビュワーとしてどのモジュールの完成度・チューニングがもっともHIFIオーディオらしいかというと、やはりAM3Cであると思います。帯域がフラットになるということと、着色感が少なくなること、音にきつさが少なくなめらかであることなど、よくチューニングされてると思うのはTHXのお墨付きゆえかもしれません。
映画館でのTHXから想起されるようなでかい重低音だとかDSPサラウンドっぽくなるのではなく、あくまで一番ピュアオーディオ的な洗練された印象となるのがAM3Cです。低歪み、低ノイズ、低出力インピーダンスのTHX AAA技術が効いていると言えるでしょう。
AM3Cは優等生的ですが無機的というわけではなく、ジャズトリオのスピード感あふれる演奏ではリズムに乗れるし、楽器音の滑らかな再現は魅力的です。なかなかすぐれたアンプモジュールだと思います。
AM3Cは本日予約開始で、1月下旬に数量限定で発売ということです。詳しくは下記の案内をご覧ください。
https://www.fiio.jp/news/am3c/
Music TO GO!
2019年01月16日
2019年01月12日
「ストリーミングプレーヤー」HIFIMANのハイエンドDAP R2R2000レビュー
R2R2000は音質の良さで定評あるPCM1704Kをデュアルで搭載したHIFIMANのハイエンドDAPです。
製品ページはこちらです。
http://hifiman.jp/products/detail/295
R2R2000
この製品はなかなか画期的な点がいくつかあるのですが、それを説明するためにまず時間を少し巻き戻してみます。
* HIFIMANとハイレゾプレーヤーとその進歩
いまはハイレゾプレーヤー(DAP)が全盛の時代ですが、このDAPの第一号はHIFIMANのHM801というモデルでした。下記にうちのブログ記事があります。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/128041366.html
HIFIMAN HM801
これは約10年前の2009年のことです。当時はポータブルオーディオの高音質化というと、iPodにケーブルでポータブルヘッドフォンアンプを使うというのが一般的でした。しかしこの方法ではソース音源にそもそもハイレゾを扱うことができません。このHM801が画期的だったのはまずプレーヤー自体を独自のものとしてハイレゾ音源を扱えるようにしたこと、そしてDACにハイエンドオーディオなみのDAC IC(PCM1704)を採用したということです。この二点はどこのDAPでもいまでも引き継がれているハイエンドDAPの特徴であり、その嚆矢がHM801です。また、このことによってiPodに上流の音を縛られていたポータブルオーディオに新たな道を示したわけです。
このHM801は当時はHead Directという輸入オーディオショップを経営していたFang Bienによるもので、この時からHIFIMANという名称を使用しています。あまりに画期的だったので、HeadFiに入り浸っていた私はすぐさま連絡を取ったものです。
このHM801と同じPCM1704を再び採用して設計された最新のポータブルデジタルオーディオプレーヤーがR2R2000です。
この間に時は流れ、ユーザーがハイレゾファイルを再生したいためのプレーヤーだったHM801と比較すると、ユーザーが再生したい音源はいまやスマホやPCを軸としたストリーミングが主流となっています。それを反映したR2R2000は「ストリーミングプレーヤー」と呼ばれています。
R2R2000とRE2000
例えばFang CEOに聞くと中国で既にR2R2000を使用しているユーザーの80パーセントはR2R2000を高音質Bluetooth レシーバーとして使い、10パーセントがUSB DAC、10パーセントの人のみがDAPとして使用しているということです。これはストリーミングがメイン音源だからということです。それゆえに小型さがもっとも重要てあり、R2R2000ではBluetoothのコーデックに高音質のHWA(ファーウエイ提唱)を採用しています。
Bluetoothは音質が悪いと良く考えられていますが、WiFiに対して低消費電力で発生ノイズが少ないということが利点になるともR2R2000のリリースノートでは述べられています。
またDAC機能も強力であり、据え置きに負けないようポテンシャルも秘められていて、セルフパワーモードのようにスマートフォンでUSB DACとしての使い勝手も考えられています。ただし反面でデジタルプレーヤー面はR2R2000ではわりとあっさりとした形で実装されています。
わかりやすくするために先に少しまとめましたが、R2R2000は使い方という点で大きく3つに分けることができます。
1. コンパクトなDAP
2. 高音質のUSB DAC
3. HWA対応のBluetoothレシーバー
* コンパクトなR2R DAP
R2R2000はコンパクトなハイレゾプレーヤーとして使用できます。内蔵音源はないので音源はMicroSDカード(TFカード)に格納します。SDカードはスロットではなくトレイ方式を採用していて確実な固定ができ、不用意な飛び出しを防ぐことができます。その代りピンが必要なのでSIMスロットを取り出すようなピンを用意しておいたほうが良いです。再生フォーマットはFLAC、DSD、mp3、WAV、ALAC、AACなどです。
R2R(Register to Register)とはマルチビットDACの別名で、PCM1704は唯一の24bit精度のマルチビットDAC ICとして知られた高音質の代名詞でもあるDAC ICです。最近のDAC ICはデルタシグマというDSDに向いたD/A変換方式を使用しているものがほとんどですが、このマルチビットDACとはPCMに向いたD/A変換方式を採用しており、音の良いことで知られています。
すでにPCM1704は生産されていませんが、R2R2000ではこのDAC ICの新品ストックを使用して作られています。しかもPCM1704Kという選別品を採用しているとのこと。R2R2000のポイントの一つはコンパクトであるということです。これはひとつには独自OSを採用したため、消費電力を抑えることができたのでバッテリーを小型化できたということ
またPCM1704は最近のDAC ICのようにワンチップでOKというものではなく、前段や後段に手間がかかるため、このサイズで押さえたのは回路設計が優れている故と言えるでしょう。
R2R2000ではシングルタスクの独自OSを採用しています。このため、さまざまな処理が走っているスマートフォンベースのOSに比べると軽くて音楽再生に向いているという利点があります。その代りUIでのタッチ操作は簡素なものとなっています。少々変則的ですが、画面すべてがタッチできるのではなく、画面下部の矢印キーをタッチしてメニューを操作する方式になっています。
R2R2000操作画面
一方でこの軽いOSのおかげで消費電力の95%が音楽再生のために使われるため、再生時間を長くできるという利点もあります。R2R2000では高音質(HiFi)モードでも8時間程度の再生が可能ですが、さらにエコモードを用意していて50時間の再生が可能ということです。
デジタルプレーヤーの音はHIFIMANのベストセラー機ともいうべきRE2000で試聴しました。
まずとても細かな音の情報量がたっぷりと聴こえる繊細な音再現が印象的です。全体に滑らかできつさが少ないのはPCM1704のおかげかもしれません。シンプルなアカペラの曲でも平板的にならずに陰影があるのがPCM1704らしい音だと思います。
音は透明感が高く、音像がシャープで明瞭、楽器音の輪郭がくっきりとしています。
低音は力強く豊かで、ドラマやベースギターのアタックが鋭く音に深みがあります。高域は繊細で、中音域は透明感が高く豊かです。
4.4mmケーブルを用いてバランスモードで聴くと3次元的に音空間が広がり、より音に厚みが加わります。力強さも感じられます。
ゲインでかなり大きく変わるのもマニアック製品らしいところで、HIゲインを使用する際は音量に注意してください。
ゲインにSuper lowがありますが、Super Lowは4.4mmのみ使用ができます。この時はいっそう背景の黒さが増して音がより澄んで透明感高く聞こえますが、ほんとにかなり音量が小さくなるのでかなり高感度イヤフォンの時のみに使えるモードと言えるでしょう。(*ゲイン切り替えは2019/1現在のファームでは再生画面から変更できます)
ECOモードでは音が少し甘くなり、ECOモードとHIFIではずいぶん音が違うので、普通に聴く際はHIFIモードに入っているかを確認したほうが良いです。ただしECOモードでも音質はなかなか良いので飛行機など長時間使う人にはECOモードは使えると思います。(*2019/1現在のファームではECOモードは一時的に省かれているということです)
* パワフルで高音質なUSB DAC
マニアック向け製品という点ではR2R2000の本領発揮はむしろUSB DACモードかもしれません。
R2R2000ではUSB-Cポートを使用して最大384kHz、24bitの再生をサポートします。またポータブルで使われているUSB-OTGとPCからのOTGではない直接再生の両方をサポートしています。
実際R2R2000にUSBケーブルを接続してつなげると、USB DACモードをPCとモバイルで選択して選ぶことができます。
USB DACとPCでは標準ドライバーで使えます(MacやWin10最新版の場合)。この時にはプロパティを見ると384kHzがサポートされているのがわかります。
R2R2000の音の真価はプレーヤーモードよりもむしろ、大型ヘッドフォンを使用してUSB DACモードで発揮されます。ここでゲインのHIが効いてきます。普通のヘッドフォンではLOWで大丈夫です。HIは低能率の平面型ヘッドフォン向けと考えたほうが良いでしょう。
いまでは平面型ヘッドフォンは珍しくなくなってきましたが、もともとオーディオ黄金期の数十年前の技術だった平面型ヘッドフォンを現代によみがえらせた功績はAUDEZEとHIFIMANにありますが、HIFIMANはたくさんの平面型ヘッドフォンを開発していてそれに向けたものといるでしょう。
USB DACでの音は鳴らしにくさではAKG K1000と双璧のHIFIMAN HE6を使用してみました。3.5mmに変換プラグを使っています。
LOWゲインだと音量も取れないのでささやくようにしかならないが、HIゲインモードにすると5-6レベルの低い位置でもHE6で十分な音量が取れます。とてもコンパクトなDAPなんですが独特の深みのあるHE6での低域の再現性もなかなかのもので、力感もあって弱弱しくはありません。さすがにHE6向けにベストな機材とまでは言いませんが、十分使えるレベルにあると思います。実のところ久しぶりにHE6を取り出してきて、R2R2000で聴きながら改めてその音質の高さに感銘したくらいです。ちなみに普通のヘッドフォンアンプでHE6を使うと低域の再現性云々の前に音量を取ろうとしてクリップして音が割れてもおかしくありません。
後でHIFIMAN Shanglira Jrと組み合わせてラインアウトの音質も確かめたんですが、一緒に用意していたデスクトップDACよりも音質が高く驚いてしまいました。音の正確性が高くフラットで着色感が少なく据え置きDACなみの音質を聴かせてくれます。解像力も高く、静電型で聴いてもそれに負けないくらい情報量が豊富でした。ぜひラインアウトでDACとしても活用してほしいと思います。
* 高音質のBluetoothレシーバー
R2R2000にはいまの事情を反映した最新のBluetooth機能も搭載されています。R2R2000はハイレゾ・ストリーミングオーディオプレーヤーと銘打たれていますが、これはBluetoothレシーバーとしても機能ができ、Bluetoothレシーバーとしては世界初のHWA方式に対応しているからです。
最近はAptX HDとか、LDACなどBluetoothでのハイレゾストリーミングが流行りですが、このHWAもそのひとつでスマホメーカーのファーウェイによって開発されたものです。ハイレゾ伝送においてWIFIはよいように見えますが、電力消費が大きいという難点を持ちます。対してBluetoothは省電力ですが、音質に難がありました。このHWAでは従来の伝送よりもはるかに歪み率を低く抑えることができるとされています。
これはスマホ側にも対応が必要ですが、HIFIMANではiPhoneの専用アプリを用意していて、このアプリを使って再生するとHWAで伝送が可能ということです。
また専用アプリにはTIDALも対応しているため、iPhoneでTIDALを使いたいという人にも良いでしょう。
BluetoothモードにするにはSettingからBluetooth modeを選択するとペアリングモードになるので、リストからR2R2000-xxxというデバイスを選択してください。
普通のアプリからも使うことができます。
iPhoneのミュージックアプリとHIFIMANアプリをiPhone内のAAC楽曲でBluetooth経由で聴き比べても音質はHIFIMANアプリの方が良いんですが、その真価を発揮するのはロスレス音源を使用した時です。
ハイレゾやロスレスなど再生したい楽曲はiPhoneの場合はiTunesからファイル共有でWindowsやMacから格納します。
もしファイルがアプリで見つからない時は立ち上げ直したり、アルバムのunknownの項を見ると良いでしょう。
たしかに良録音音源を入れてBluetooth聞いてみるとかなりの高音質で楽しむことができます。Bluetoothで聴いているとは思えないと言ってもよいでしょう。
ショップの試聴機で試してみるときはあらかじめHIFIMANアプリをダウンロードして楽曲をスマホに入れてからお店で聴いてみてください。きっと驚くことでしょう。
R2R2000の正面と背面
* まとめ
R2R2000は単体のDAPとしてみると音質はよいのですが簡素なUIなどで少しあっさりとしたものと思えるかもしれません。しかしその真価はUSB DACやHWA対応のBluetoothレシーバーとしてスマートフォンと組み合わせることで発揮できると考えたほうが良いと思います。そうした意味ではHM801が現在のDAPの始祖となったように、R2R2000はストリーミングプレーヤーというべきものの始祖となるのかもしれません。
製品ページはこちらです。
http://hifiman.jp/products/detail/295
R2R2000
この製品はなかなか画期的な点がいくつかあるのですが、それを説明するためにまず時間を少し巻き戻してみます。
* HIFIMANとハイレゾプレーヤーとその進歩
いまはハイレゾプレーヤー(DAP)が全盛の時代ですが、このDAPの第一号はHIFIMANのHM801というモデルでした。下記にうちのブログ記事があります。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/128041366.html
HIFIMAN HM801
これは約10年前の2009年のことです。当時はポータブルオーディオの高音質化というと、iPodにケーブルでポータブルヘッドフォンアンプを使うというのが一般的でした。しかしこの方法ではソース音源にそもそもハイレゾを扱うことができません。このHM801が画期的だったのはまずプレーヤー自体を独自のものとしてハイレゾ音源を扱えるようにしたこと、そしてDACにハイエンドオーディオなみのDAC IC(PCM1704)を採用したということです。この二点はどこのDAPでもいまでも引き継がれているハイエンドDAPの特徴であり、その嚆矢がHM801です。また、このことによってiPodに上流の音を縛られていたポータブルオーディオに新たな道を示したわけです。
このHM801は当時はHead Directという輸入オーディオショップを経営していたFang Bienによるもので、この時からHIFIMANという名称を使用しています。あまりに画期的だったので、HeadFiに入り浸っていた私はすぐさま連絡を取ったものです。
このHM801と同じPCM1704を再び採用して設計された最新のポータブルデジタルオーディオプレーヤーがR2R2000です。
この間に時は流れ、ユーザーがハイレゾファイルを再生したいためのプレーヤーだったHM801と比較すると、ユーザーが再生したい音源はいまやスマホやPCを軸としたストリーミングが主流となっています。それを反映したR2R2000は「ストリーミングプレーヤー」と呼ばれています。
R2R2000とRE2000
例えばFang CEOに聞くと中国で既にR2R2000を使用しているユーザーの80パーセントはR2R2000を高音質Bluetooth レシーバーとして使い、10パーセントがUSB DAC、10パーセントの人のみがDAPとして使用しているということです。これはストリーミングがメイン音源だからということです。それゆえに小型さがもっとも重要てあり、R2R2000ではBluetoothのコーデックに高音質のHWA(ファーウエイ提唱)を採用しています。
Bluetoothは音質が悪いと良く考えられていますが、WiFiに対して低消費電力で発生ノイズが少ないということが利点になるともR2R2000のリリースノートでは述べられています。
またDAC機能も強力であり、据え置きに負けないようポテンシャルも秘められていて、セルフパワーモードのようにスマートフォンでUSB DACとしての使い勝手も考えられています。ただし反面でデジタルプレーヤー面はR2R2000ではわりとあっさりとした形で実装されています。
わかりやすくするために先に少しまとめましたが、R2R2000は使い方という点で大きく3つに分けることができます。
1. コンパクトなDAP
2. 高音質のUSB DAC
3. HWA対応のBluetoothレシーバー
* コンパクトなR2R DAP
R2R2000はコンパクトなハイレゾプレーヤーとして使用できます。内蔵音源はないので音源はMicroSDカード(TFカード)に格納します。SDカードはスロットではなくトレイ方式を採用していて確実な固定ができ、不用意な飛び出しを防ぐことができます。その代りピンが必要なのでSIMスロットを取り出すようなピンを用意しておいたほうが良いです。再生フォーマットはFLAC、DSD、mp3、WAV、ALAC、AACなどです。
R2R(Register to Register)とはマルチビットDACの別名で、PCM1704は唯一の24bit精度のマルチビットDAC ICとして知られた高音質の代名詞でもあるDAC ICです。最近のDAC ICはデルタシグマというDSDに向いたD/A変換方式を使用しているものがほとんどですが、このマルチビットDACとはPCMに向いたD/A変換方式を採用しており、音の良いことで知られています。
すでにPCM1704は生産されていませんが、R2R2000ではこのDAC ICの新品ストックを使用して作られています。しかもPCM1704Kという選別品を採用しているとのこと。R2R2000のポイントの一つはコンパクトであるということです。これはひとつには独自OSを採用したため、消費電力を抑えることができたのでバッテリーを小型化できたということ
またPCM1704は最近のDAC ICのようにワンチップでOKというものではなく、前段や後段に手間がかかるため、このサイズで押さえたのは回路設計が優れている故と言えるでしょう。
R2R2000ではシングルタスクの独自OSを採用しています。このため、さまざまな処理が走っているスマートフォンベースのOSに比べると軽くて音楽再生に向いているという利点があります。その代りUIでのタッチ操作は簡素なものとなっています。少々変則的ですが、画面すべてがタッチできるのではなく、画面下部の矢印キーをタッチしてメニューを操作する方式になっています。
R2R2000操作画面
一方でこの軽いOSのおかげで消費電力の95%が音楽再生のために使われるため、再生時間を長くできるという利点もあります。R2R2000では高音質(HiFi)モードでも8時間程度の再生が可能ですが、さらにエコモードを用意していて50時間の再生が可能ということです。
デジタルプレーヤーの音はHIFIMANのベストセラー機ともいうべきRE2000で試聴しました。
まずとても細かな音の情報量がたっぷりと聴こえる繊細な音再現が印象的です。全体に滑らかできつさが少ないのはPCM1704のおかげかもしれません。シンプルなアカペラの曲でも平板的にならずに陰影があるのがPCM1704らしい音だと思います。
音は透明感が高く、音像がシャープで明瞭、楽器音の輪郭がくっきりとしています。
低音は力強く豊かで、ドラマやベースギターのアタックが鋭く音に深みがあります。高域は繊細で、中音域は透明感が高く豊かです。
4.4mmケーブルを用いてバランスモードで聴くと3次元的に音空間が広がり、より音に厚みが加わります。力強さも感じられます。
ゲインでかなり大きく変わるのもマニアック製品らしいところで、HIゲインを使用する際は音量に注意してください。
ゲインにSuper lowがありますが、Super Lowは4.4mmのみ使用ができます。この時はいっそう背景の黒さが増して音がより澄んで透明感高く聞こえますが、ほんとにかなり音量が小さくなるのでかなり高感度イヤフォンの時のみに使えるモードと言えるでしょう。(*ゲイン切り替えは2019/1現在のファームでは再生画面から変更できます)
ECOモードでは音が少し甘くなり、ECOモードとHIFIではずいぶん音が違うので、普通に聴く際はHIFIモードに入っているかを確認したほうが良いです。ただしECOモードでも音質はなかなか良いので飛行機など長時間使う人にはECOモードは使えると思います。(*2019/1現在のファームではECOモードは一時的に省かれているということです)
* パワフルで高音質なUSB DAC
マニアック向け製品という点ではR2R2000の本領発揮はむしろUSB DACモードかもしれません。
R2R2000ではUSB-Cポートを使用して最大384kHz、24bitの再生をサポートします。またポータブルで使われているUSB-OTGとPCからのOTGではない直接再生の両方をサポートしています。
実際R2R2000にUSBケーブルを接続してつなげると、USB DACモードをPCとモバイルで選択して選ぶことができます。
USB DACとPCでは標準ドライバーで使えます(MacやWin10最新版の場合)。この時にはプロパティを見ると384kHzがサポートされているのがわかります。
R2R2000の音の真価はプレーヤーモードよりもむしろ、大型ヘッドフォンを使用してUSB DACモードで発揮されます。ここでゲインのHIが効いてきます。普通のヘッドフォンではLOWで大丈夫です。HIは低能率の平面型ヘッドフォン向けと考えたほうが良いでしょう。
いまでは平面型ヘッドフォンは珍しくなくなってきましたが、もともとオーディオ黄金期の数十年前の技術だった平面型ヘッドフォンを現代によみがえらせた功績はAUDEZEとHIFIMANにありますが、HIFIMANはたくさんの平面型ヘッドフォンを開発していてそれに向けたものといるでしょう。
USB DACでの音は鳴らしにくさではAKG K1000と双璧のHIFIMAN HE6を使用してみました。3.5mmに変換プラグを使っています。
LOWゲインだと音量も取れないのでささやくようにしかならないが、HIゲインモードにすると5-6レベルの低い位置でもHE6で十分な音量が取れます。とてもコンパクトなDAPなんですが独特の深みのあるHE6での低域の再現性もなかなかのもので、力感もあって弱弱しくはありません。さすがにHE6向けにベストな機材とまでは言いませんが、十分使えるレベルにあると思います。実のところ久しぶりにHE6を取り出してきて、R2R2000で聴きながら改めてその音質の高さに感銘したくらいです。ちなみに普通のヘッドフォンアンプでHE6を使うと低域の再現性云々の前に音量を取ろうとしてクリップして音が割れてもおかしくありません。
後でHIFIMAN Shanglira Jrと組み合わせてラインアウトの音質も確かめたんですが、一緒に用意していたデスクトップDACよりも音質が高く驚いてしまいました。音の正確性が高くフラットで着色感が少なく据え置きDACなみの音質を聴かせてくれます。解像力も高く、静電型で聴いてもそれに負けないくらい情報量が豊富でした。ぜひラインアウトでDACとしても活用してほしいと思います。
* 高音質のBluetoothレシーバー
R2R2000にはいまの事情を反映した最新のBluetooth機能も搭載されています。R2R2000はハイレゾ・ストリーミングオーディオプレーヤーと銘打たれていますが、これはBluetoothレシーバーとしても機能ができ、Bluetoothレシーバーとしては世界初のHWA方式に対応しているからです。
最近はAptX HDとか、LDACなどBluetoothでのハイレゾストリーミングが流行りですが、このHWAもそのひとつでスマホメーカーのファーウェイによって開発されたものです。ハイレゾ伝送においてWIFIはよいように見えますが、電力消費が大きいという難点を持ちます。対してBluetoothは省電力ですが、音質に難がありました。このHWAでは従来の伝送よりもはるかに歪み率を低く抑えることができるとされています。
これはスマホ側にも対応が必要ですが、HIFIMANではiPhoneの専用アプリを用意していて、このアプリを使って再生するとHWAで伝送が可能ということです。
また専用アプリにはTIDALも対応しているため、iPhoneでTIDALを使いたいという人にも良いでしょう。
BluetoothモードにするにはSettingからBluetooth modeを選択するとペアリングモードになるので、リストからR2R2000-xxxというデバイスを選択してください。
普通のアプリからも使うことができます。
iPhoneのミュージックアプリとHIFIMANアプリをiPhone内のAAC楽曲でBluetooth経由で聴き比べても音質はHIFIMANアプリの方が良いんですが、その真価を発揮するのはロスレス音源を使用した時です。
ハイレゾやロスレスなど再生したい楽曲はiPhoneの場合はiTunesからファイル共有でWindowsやMacから格納します。
もしファイルがアプリで見つからない時は立ち上げ直したり、アルバムのunknownの項を見ると良いでしょう。
たしかに良録音音源を入れてBluetooth聞いてみるとかなりの高音質で楽しむことができます。Bluetoothで聴いているとは思えないと言ってもよいでしょう。
ショップの試聴機で試してみるときはあらかじめHIFIMANアプリをダウンロードして楽曲をスマホに入れてからお店で聴いてみてください。きっと驚くことでしょう。
R2R2000の正面と背面
* まとめ
R2R2000は単体のDAPとしてみると音質はよいのですが簡素なUIなどで少しあっさりとしたものと思えるかもしれません。しかしその真価はUSB DACやHWA対応のBluetoothレシーバーとしてスマートフォンと組み合わせることで発揮できると考えたほうが良いと思います。そうした意味ではHM801が現在のDAPの始祖となったように、R2R2000はストリーミングプレーヤーというべきものの始祖となるのかもしれません。
2019年01月05日
ESSがオーディオファイル向けオーディオCODEC(IC)を発表
今年はESSの話題から始まりましたが、ESSはMQA対応DAC ICに加えてMQA対応のオーディオCODEC ICも発表しています。これらはES9281Proなどです。
http://www.esstech.com/index.php/en/news/newsroom/ess-introduces-suite-usb-codecs-featuring-audiophile-sabre-dacs/
CODECというのは圧縮・伸張アルゴリズムを一般に差しますが、ここでいうCODECとはADCとDACの両機能をもったICのことだと思います。オーディオCODECとも呼ばれます。たとえばAKMのページではオーディオDAC、オーディオADCとならんでオーディオCODECという項目があるのがわかると思います。(すべてのDACやADCがオーディオ向けではないのでオーディオと接頭語でつけていると思います)
CODEC ICは主にスマートフォンで使われますが。ここではUSB-C対応ヘッドセットやUSB-C対応アダプター類などを考えているようです。これはマイク(ADC)もスピーカーも(DAC)必要だからです。
つまりUSBコントローラとSABRE DAC機能をもったCODEC ICということになります。またヘッドフォンアンプ(2.0Vrms出力)も内蔵しています。まさにESSの目指すところのワンチップソリューションに適合したものと言えますね。
しかもなんとこのES9281PROはMQAレンダラー対応もなされているようです。これはさきに書いたES9068PROの技術を汲んでいるようです。またアクティブノイズキャンセリング機能もあるようです。ES9028PROはそのMQA対応がないものです。ローコスト版のES9270などもあるようです。
つまりオーディオDAC(IC)であるES9068Qはオーディオファイル向けの機材でのMQA対応を簡単にし、オーディオCODEC(IC)であるES9281PROなどはヘッドセットやアクセサリー類でも高音質とともにMQA対応を可能にするものだということが言えるのではないかと思います。これらがESSのMQA戦略と言えますね。
http://www.esstech.com/index.php/en/news/newsroom/ess-introduces-suite-usb-codecs-featuring-audiophile-sabre-dacs/
CODECというのは圧縮・伸張アルゴリズムを一般に差しますが、ここでいうCODECとはADCとDACの両機能をもったICのことだと思います。オーディオCODECとも呼ばれます。たとえばAKMのページではオーディオDAC、オーディオADCとならんでオーディオCODECという項目があるのがわかると思います。(すべてのDACやADCがオーディオ向けではないのでオーディオと接頭語でつけていると思います)
CODEC ICは主にスマートフォンで使われますが。ここではUSB-C対応ヘッドセットやUSB-C対応アダプター類などを考えているようです。これはマイク(ADC)もスピーカーも(DAC)必要だからです。
つまりUSBコントローラとSABRE DAC機能をもったCODEC ICということになります。またヘッドフォンアンプ(2.0Vrms出力)も内蔵しています。まさにESSの目指すところのワンチップソリューションに適合したものと言えますね。
しかもなんとこのES9281PROはMQAレンダラー対応もなされているようです。これはさきに書いたES9068PROの技術を汲んでいるようです。またアクティブノイズキャンセリング機能もあるようです。ES9028PROはそのMQA対応がないものです。ローコスト版のES9270などもあるようです。
つまりオーディオDAC(IC)であるES9068Qはオーディオファイル向けの機材でのMQA対応を簡単にし、オーディオCODEC(IC)であるES9281PROなどはヘッドセットやアクセサリー類でも高音質とともにMQA対応を可能にするものだということが言えるのではないかと思います。これらがESSのMQA戦略と言えますね。
ESSからMQAハードデコードをICで行うDAC ICが登場
ESSからMQAのハードウエアデコードが可能な能力を有するDAC IC、ES9068Qが登場しました。
http://www.esstech.com/index.php/en/news/newsroom/ess-introduces-worlds-first-codec-hardware-mqa-hi-res-rendering/
RoonやAudirvanaなどPCのソフトで行うソフトウエアデコードではx2である96/24までしか戻せませんが、DACのファームウェアで行うハードウエアデコードではx4まで戻せるので192/24まで再生することができます。
ボブスチュアートによればこの差はどうして起こるかというと、x4のデコードをするためにはDACのハードウエアに即したデコードが必要だからと言います。これはMQAがエンドトゥエンド(マイク/ADC to DAC/スピーカー)を包括的にカバーするシステムだからでもあります。
具体的にいうと、DAC製品のICだけではないアウトプットフィルターなどの設計によってそのチューニングが必要となります。これはファームウェアのコード(MQAレンダラー)で調整することになります。
この理屈でいうと、ただのDAC ICでしかないES9068Qはそのチューニングができないように思えますが、上のリンクではこのチューニングをES9068が(ファームの書き換えなしで)自動で行えるとされています。
この仕組みはいまひとつ明確ではないように思いますが、おそらくESSのアーキテクチャがワンチップ化に志向していて、本来外部に必要なDAC後段(I/V変換とか)をすでに含んでいることと関係ありそうに推測します。
いずれにせよ、これによってMQAの普及が一段と拍車がかかることでしょう。ES9068が低消費電力をうたっていることからも、ポータブルの分野でも来るでしょうね。
http://www.esstech.com/index.php/en/news/newsroom/ess-introduces-worlds-first-codec-hardware-mqa-hi-res-rendering/
RoonやAudirvanaなどPCのソフトで行うソフトウエアデコードではx2である96/24までしか戻せませんが、DACのファームウェアで行うハードウエアデコードではx4まで戻せるので192/24まで再生することができます。
ボブスチュアートによればこの差はどうして起こるかというと、x4のデコードをするためにはDACのハードウエアに即したデコードが必要だからと言います。これはMQAがエンドトゥエンド(マイク/ADC to DAC/スピーカー)を包括的にカバーするシステムだからでもあります。
具体的にいうと、DAC製品のICだけではないアウトプットフィルターなどの設計によってそのチューニングが必要となります。これはファームウェアのコード(MQAレンダラー)で調整することになります。
この理屈でいうと、ただのDAC ICでしかないES9068Qはそのチューニングができないように思えますが、上のリンクではこのチューニングをES9068が(ファームの書き換えなしで)自動で行えるとされています。
この仕組みはいまひとつ明確ではないように思いますが、おそらくESSのアーキテクチャがワンチップ化に志向していて、本来外部に必要なDAC後段(I/V変換とか)をすでに含んでいることと関係ありそうに推測します。
いずれにせよ、これによってMQAの普及が一段と拍車がかかることでしょう。ES9068が低消費電力をうたっていることからも、ポータブルの分野でも来るでしょうね。