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2018年12月10日

静電型ヘッドフォンシステム、HIFIMAN SHAGNRI-LA jr

SHAGNRI-LA jr(シャングリラ・ジュニア)は超ド級の静電型ヘッドフォンアンプであるSHAGNRI-LA の弟であり、入手しやすい価格とした静電型ヘッドフォンと専用アンプのシステムです。
HIFIMAN JapanのSHAGNRI-LA jrページはこちらです。
http://hifiman.jp/products/detail/297

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HifiManはRE2000で採用された振動板の表面に幾何模様を描いたトポロジー・ダイアフラムのようにナノテクノロジーを得意としているのですが、SHAGNRI-LA jrの振動板にもナノテクノロジーが生かされています。静電型の強みは振動板の薄さですが、SHAGNRI-LA jrでは薄さ0.001mm以下のたいへんに薄いナノテク振動板を採用しています。これによって歪率ほぼゼロでかつ素早い動きを実現しているとのこと。
また振動板はナノ粒子コートされているため帯域特性に優れているということです。

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またHifimanではナノテクを活用してエアフローの改善も行っています。HE1000seではステルスマグネットという技術にそれが表れていますが、SHAGNRI-LA jrのヘッドフォンにおいても電極のメッシュ幅はわずか50マイクロミリで、100万ヘルツ以下の音の振動を問題なく通すために音の振動についてメッシュが阻害することを最小限に抑えています。これによりエアフローの気流が乱れにくいということになります。ダストカバーなど他のパーツにおいてもこの技術は応用されています。
帯域特性は7Hzから120kHzまでの超ワイドな帯域再現を実現しているということです。

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静電型においては通常バイアス電流を必要とするため専用のアンプが必要とされます。SHAGNRI-LA jrの専用アンプはマッチドペアされたHifiman特注品の6SN7Nを採用しています。増幅は前段が真空管 後段が真空管とICのハイブリッドということです。

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DAC機能はなくてアナログ入力だけです。RCAとXLRの入力があります。正面に二つヘッドフォン端子があり、STAX Pro規格ですので、片方には手持ちのSTAXをつないでもよいでしょう。

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ボリュームの部分ではディスクリートの24段アッテネーターを採用しています。
アンプ部分のデザインもなかなかすぐれています。

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実機の試聴はHifimanのオフィスで行いました。
ヘッドフォンには専用のデスクトップスタンドがあるなど細かいところも凝ってますね。ヘッドフォン部分はかなり軽く、快適感は高いので長時間の装着に向いていると思います。ハウジングの削り出しの品質も高く高級感があります。
アンプ前面のLEDはボリュームに応じて光ります(左右は続いている)。

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DACが必要なので近くのデスクトップDACを使おうとしたのですが、R2R2000をDACモードで使ってほしいとのことでそちらを使ってみました。まあ試しに使ってみるかと思ったところ、実のところそのデスクトップDACよりもR2R2000のほうがずっと正確で緻密な再生音が出るのに驚きました。後でそのDACと実際に比較してみて、結局ずっとR2R2000を使いました。
この小さいプレーヤーから弩級のアンプとヘッドフォンに聴き劣りしない堂々とした音が出るのは驚きですね。

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左側にR2R2000があります

そのR2R2000をPCにUSB DACとして接続して使用しました。
そのSHAGNRI-LA jrシステムの音質は極めて高く、音がまるで宙に浮くような浮遊感のある立体感がちょっと驚くほどです。音場は広く開放感のある気持ちの良い音ですね。

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音調はニュートラルで着色感はなく、帯域特性はかなりフラットです。伸びやかな高音域はきつさがなく、音は分析的に細かいがあまり聞き疲れはしなさそうに感じます。
中音域のヴォーカルは聞き取りやすく、肉声は静電型らしい艶めかしく生々しい感じですね。ささやく声の艶かしさに真空管っぽい滑らかな魅力を感じられます。
ただし真空管っぽい甘さは少なく正確で端正な音ですが、あまり無機的になりすぎてないのは真空管を上手に使用しているからのように思います。
低域は強調されてはいませんが鋭いパンチがあり、たっぷりと空気を動かしているような音圧で迫力とスケール感を感じられます。大編成オーケストラの曲も聞きたくなりますね。パーカッションやドラムスは歯切れ良く静電型らしい解像力もあってかなり良質な低域と思います。

音の立ち上がりと立ち下げがとても速く、音の歯切れが良いので静電型らしさが存分に楽しめるでしょう。音の細かさは一級品で、情報量に圧倒されます。特に良録音のジャズやクラシックでは特筆ものの音再現が味わえます。STAXのSR009あたりと比べてみると面白いかもしれません。
今回は静電型ヘッドフォンと静電型アンプの単体販売を行うということで、端子はSTAX Proを使用しているためにSTAXをお持ちの人にも気になる製品だと思います。

販売は12月12日から開始されます。SHAGNRI-LA jrシステムの店頭予想価格は85万円前後で、ヘッドフォンが42万円前後、アンプが52万円前後ということです。
posted by ささき at 17:32| ○ ホームオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする