最近はSonos、Roon、ChromecastやAirPlay 2などのように一つのソース機器から複数の再生機器にストリーミングするマルチルーム、マルチキャスト機能が流行りつつありますが、Bluetoothでは1:1の接続しかできないことはよく知られています。完全ワイヤレスイヤフォンも片側ユニットに送ってから、そこからさらにBTないしはNFMIでもう片方に転送しているのはこの1:1制限によるものです。
しかし、BluetoothでもBTヘッドフォンを聴きながら、BTマウスやキーボードを同時に使うなどのようにひとつのスマートフォンから複数のBluetooth接続をすることはもちろん可能です。つまりオーディオにおける1:1制限はBluetoothの制限というよりも、オーディオプロファイル(ドライバー)であるA2DPの制限です。
それに興味ある取り組みをしているのが、TEMPOWです。TEMPOWは2016年に設立されたフランスのベンチャー企業(Startup)で、マルチキャストの可能なTAP(Tempow Audio Profile)というオーディオプロファイルを提案しています。TAPに対応することで最大4つまでの機器と同時に音楽再生の接続ができます。しかし再生デバイス側ではTAPの対応の必要はありません。対応が必要なのはスマホなどホスト側だけです。
TEMPOWホームページ
https://tempow.com/
TEMPOWホームページから転載
これはどういう仕組みかということをTempowのビンセント氏に少し聞いてみました。TAPはA2DP互換ですが、A2DPを直接書き換えたものではなく、スマホ側にA2DPと併存可能です。そのTAPをインストールしたスマホ側の設定で"Multi Bluetooth Audio"という設定項目があり、それを切り替えることでアプリがどのオーディオプロファイルを経由するかを選択できるということです。TAPにすれば同時に複数機器とやり取りできますが、ひとつひとつはA2DP互換ですから、再生デバイス側には対応不要というわけです。なかなかスマートな解法ですね。
現在はAndroidとLinuxだけ対応のようですが、レノボ、モトローラとパートナーシップを結んでいるようです。
ホームページを見ると完全ワイヤレスへの対応も考えられているようで、ちょっと面白そうですね。