今年もまずMQAのソフトウエアデコード、Chord Polyの発表などのCESニュースから始まりました。
MQAについては、のちに5月にMQA-CDでまた話題となりボブスチュワートに直接あって、MQAについて聞く機会を得ました。頭のきれる落ち着いた英国紳士という印象の人でした。話についていくのが大変で、英語で話していると頭が痛くなってきました(笑) Philewebのインタビュー記事もご覧ください。
MQAにかんしては「オリガミによる軽量化」と「時間的ブレの低減による高音質化」の二つの側面があるのですが、個人的には前者の方に今年は目を向けていました。MQAについてはなんだかんだとひとつのフォーマットとして定着してきた感はありますね。感覚的に当初の否定感も少なくなってきたようには思います。来年こそはTIDALがなんとか日本で入ってくれれば、さらに注目されることでしょう。
LINNはMQA批判もしていますが、こちらもいままで冷ややかだったDSDに今年対応したりしているので意外とMQAもやるのかもしれません。
今年はPCオーディオとしてはWindowsでクラス2ドライバーのサポート(4月頃)がはいったりしましたが、MQA以外に大きなトレンドがないのも事実ではありますね。
Polyについてはのちにアユートさんの発表会でHugo2とともにロバートワッツ、ジョンフランクス、そしてラジブとあつていろいろと話を聴きました。Philewebにインタビュー記事を載せていますのでそちらもご覧ください。
ロバートワッツからは直々にパルスアレイDACの説明をうけて、なんとかそれを記事にしました。パルスアレイDACについてはいままでよく言われてきましたが、あまりわかりやすく、基本的な解説はなかったと思います。
ロバートワッツはやはり知的で落ち着いていますが、とても情熱的な人です。ジョンフランクスはきちんとしたビジョンを描いて膨らませる人で、ジョンフランクスがジョブズ的、ワッツがウォズ的とChordはよいコンビネーションに思えます。
iFIのトルステンともヘッドフォン祭のときにまたちょっと話ししましたが、こちらはもっと饒舌で陽気な感じでしょうか。トルステンに前にインタビューした時は英国オーディオの伝統的な技術(ミッドサイドステレオ)を採用していると誇らしく語っていました。
今年は英国オーディオ開発者とけっこう縁がありましたが、それも豊かな歴史ありきだと思います。第二次大戦中もっとも電子技術が優れてたのはレーダー技術みてもやはりドイツより英国の方が一歩先で優れてましたですからね。そこからの積み重ねがあります。(ちなみに日本は八木アンテナがそのまま英語になったように、実は大戦「前」は進んでたんですが、大戦「中」にダメだったのは国の無理解によるものです)
歴史にテーマを当てた英国オーディオ史も面白いかもしれません。
英国と言えばRoonもそうです。今年はRoonは1.3、1.4にバージョンアップしました。1.3ではDSPがはいってヘッドフォンでも使いやすくなり、1.4ではiOSの出力対応がなされています。Roonってラズパイから、IOS機器、ハイエンドオーディオまで対応範囲が広いというのがポイントですね。PolyでもRoon対応しています。
人物でいうと、今年はWestoneのカートライト兄弟のBAカスタムIEMはじまり物語を書いて始まり、今年の最後もカートライト兄弟のES80インタビューで締めたっていう感じです。Westoneは人気の有名ブランドですが、その音の中核にいた彼らのことはあまり知られてなかったと思います。しかしカートライト兄弟にあって話を聞いてみると、Westoneの良さというものがよりよくわかってきました。
海外のイヤフォン開発者では日本ではジェリーハービーが有名ですが、Westoneのカートライト兄弟もイヤフォンの歴史における重要度では引けを取りませんので、ぜひ注目していてください。
会う前は堅いようにおもってましたが、実際にあってみるとユーモラスで、アメリカのやんちゃ兄弟がそのまま大きくなったという感じです。インタビューしていても互いにふざけあって面白いんです。
製品的にはAstell & Kernの待望の新フラッグシップであるSP1000が大きいですね。年末に詳細レビュー記事をアップしましたが、AK380とくらべても音質の向上はかなり大きいと思います。
イヤフォンとしてはやはりDita Dreamでしょうね。ダイナミックの頂点を極めたような製品ですが、次の一手も楽しみです。Dita Audioのダニーはヘッドフォン祭であったときに、これからはユーザーの好みによる選択をいかしたツインズコンセプトを言ってました。これは"ウイザード"モールトンのリファレンス/ミュージックの二本立てコンセプトにも似ているのかも知れません。
今年はUMの製品が多く、多種多様に展開されてうちでも多数レビュー記事があります。Campfire Audioも順調に進展し、今や新興メーカーとは呼べません。中核メーカーの一つで常に新製品が待ち望まれて、話題となってます。
今年の話題の完全ワイヤレスは年頭にEratoの新機種をレビューしましたが、今年はAirPods人気の影響もあり、フォローが追いつかないほどたくさんの機種が出て、国産でも昨年のONKYOだけではなく、SONYも出してきました。
NFMIなんかも2016年は予備学習のために調査しておいた(下記リンク)ような感じでしたが、今年はまじめに採用機種が増えてきました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/440014833.html
元祖BRAGI Dashなんかも日本市場に出てきました。この分野はますます活発化するでしょうね。
私は毎朝BandcampのSNSと新譜チェックをしているので基本的にほぼ毎日iPhoneでBluetoothも使うのですが、最近iPhoneのBT周りオーディオ周りがアップデートのリストにはなくてもいろいろ手が加えられ動作が変わっているように思えます。音自体も少し変わった気がしますね。来年もなにかとこの辺の話題には事欠かないと思います。
最後に今年も巨星ミュージシャンがなくなり、記事で書いたジョンウエットン他にアランホールズワース、グレッグオールマン、ホルガーシューカイ、トムペティなどもなくなりました、哀悼の意を表します。
また来年もCESのウォッチから始まると思いますが、当ブログをよろしくお願いします。