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2017年12月11日

HiFiMan RE2000とRE800レビュー

HiFiMan RE2000とRE800はダイナミックドライバーを採用したイヤフォンで、
特徴はHiFimanの新世代イヤフォンでは新しい技術が採用されています。
そのひとつはトポロジーダイヤフラム(幾何学的振動版)です。

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RE2000

ダイナミックドライバーにはBAにはない良い特徴もありますが、問題点も抱えています。そのひとつは分割振動と言う現象で、ダイヤフラムの素材に伝搬特性があるため、振動が表面の場所によって異なってしまうものです。簡単に言うと(振動の)中心に比べて端が物性の関係でたわんでしまいます。これは周波数特性を劣化させて歪を生みます。これはスピーカーではツィーターでよく言及される問題です。ヘッドフォンでは平面型の利点としても紹介されます。

トポロジーダイヤフラムとは、「異なるナノ素材は構造が違い、特性も違う」という点から着目されたもので、ダイヤ不ラムの表面に特殊なメッキを施したもので、そのコーティングは幾何学模様になっています。この幾何学模様の形状、素材、厚さを変化させることで音の周波数特性の調整が可能となります。

トポロジーダイヤフラムは、「異なるナノ素材は構造が違い、特性も違う」という発想からヒントを得て開発したもので、ダイヤフラムの異なる表面構造の特性を適切に調整することで、ワイドで滑らかなサウンドを実現したということです。

これによって、ダイヤフラムの分割振動による歪を大幅に低減させることができるということです。これはRE800とRE2000の共通特徴となります。

試聴には主にSP1000やAK380を使用した。両方とも能率はやや低めですがデジタルプレーヤーで駆動できないほどではない。

* RE800

RE800は筐体がコンパクトで耳にすぽっと収まる感じです。わりと耳の奥まで入る感じです。ケーブルは交換できないんですが、プラグはかなりがっちりしたもので、見た目にも線材はマニアックでよく思えます。

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音質レベルは端的にこのクラスではかなり良い方だと思います。楽器音は少し細身の音でシャープでゆるみが少なく、トランジェントが良いので歯切れ感と音のスピード感が高いのが特徴です。ヴォーカルの明瞭感も高く、発音ははっきりと聴こえます。すっきりとした音で肉厚感は控えめと感じられます。この辺が後で書くRE2000との大きな違いです。

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高音域はかなり上に伸びる感じで、シャープ傾向なのでやや高域はきつくなりがちではあるのでフォームチップを使うのもよいと思います。コンプライのT400がM/Lと付属しています。
フォームを使うと低域もかなり出るので、高域が上に伸びてもあまり腰高感がなく、ワイドレンジに聴こえます。
かなり音性能は高いが少し高域が強めなので、イヤチップをいろいろと変えてみると音質の高さを引き出せると思います。個人的にはスピンフィットが良いかと思いました。

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音の相性としてはAK380でも使えるくらいに音質は高いけれども、意外とiPhone直でも音は合うので、iPhone直で高音質に聞きたいという人にもお勧めしたいですね。

* RE2000

ボックスにはさまざまなイヤチップが付属してきますが、できればシングルフランジタイプのサイズのバリエーションがあればよかったと思います。またフォームチップもあったほうが良いと思います。ここではトリプルフランジを使用しました。このトリプルフランジはなかなかに使いやすいと思います。

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RE2000は24kゴールドメッキを施した真鍮製ハウジングが徳地陽で、わりと大きめの筐体ですがうまく設計されていて、耳の座りは悪くありません。

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RE2000は全体の音のバランスの良さと、自然な鳴りの良さに感じ入ります。たっぷりした低域を基調にした音の余裕感もなかなかに良いと思います。
中高域のバロックバイオリンはきつすぎないが鮮明で、豊かな倍音も感じられ高級イヤフォンで聴いている感じは十分に味わえます。
低音域は量感は十分にあり、上質な低音で深みを感じられます。ダイナミックらしく音全体を下支えしているような低域の出方です。このおかけでスケール感もありますね。RE2000のポイントの一つは低域の出方かと思います。たっぷりとしていますが、低音が張り出している感じではなく、ヴォーカルがマスクされている感じはありません。

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RE800と比べた場合の差はRE800は透明感とかシャープさ重視で中高域より、RE2000はより音の豊かさ・解像感重視で中低域よりというところです。RE2000と比べるとRE800は細身で薄めの音に感じられます。

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RE2000は自然な音で、音の豊かさ、解像力に優れたイヤフォンだと思います。おそらく自然な感じの中高域はトポロジーダイアフラムが効いているのではないかと思いますね。SP1000SSは先鋭すぎてときとしてシャープさが耳についてしまうこともありますが、RE2000だとそうした点で相性の良さを感じさせます。
ダイナミックドライバーで中高域で音の荒さがこれだけ少なく端正ですっきりとしているのは特筆ものと言ってもよいかもしれません。もしかすると突出しすぎない低域もトポロジーダイアフラムの効果かもしれないですね。

*まとめ

RE800とRE2000は単にフラッグシップと普及機という関係だけではなく、RE800はコンパクトで中高域を重点にシャープでタイトだがやや細み、RE2000はやや大柄な筐体で中低域を重点に豊かで自然な解像感の高さを基調としています。
端的にいえばやはりRE2000のほうがフラッグシップらしく高級感のある音ですが、好みの部分もあると思います。2017年11月24日(金)〜2017年12月28日(木)まではキャンペーンでRE2000とRE800は安くなっているそうなので、お店で聴き比べてみてください。
posted by ささき at 17:42| ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする