Music TO GO!

2017年12月13日

MQAの時間的正確性とは (StereophileのMQAインパルス応答の測定)

Stereophileの下記リンクにMQAを測定的に検証した記事が載っています。
https://www.stereophile.com/content/mqa-tested-part-1

これはMQA非対応のBenchmark DAC3 HGCとMQA対応のMytekのBrooklyn DACにそれぞれテストデータを送ってインパルス応答を見るというものです。これでMQAが唱えている「時間的正確性」の正しさが確認できるというわけです。
データは5us幅で、グラフではひとつのドットが1サンプル幅です。

この結果から見てわかることは3点あると思います。

1. 本来時間的対象性を持った(それゆえ左側にアーティファクトであるプリリンギングが生じてしまう)リニアフィルタ(Fig1)のBenchmark DACにMQAエンコードしたデータを送ると、対象性がくずれてプリリンギングが減ること。
これはつまりMQAエンコードすればMQA非対応DACでも音質が良くなるはずというMQAの主張を裏付けています。この場合の「音が良くなる」、はプリリンギングが少なくなり音が自然に聴こえるはずということです。
*アーティファクト(人工生成物)とはデジタル処理によって元のアナログ信号にはなかった音ができることで、本来の音の前に無いはずの音が生じるプリリンギングなどです。これはデジタルオーディオが自然に聴こえない原因の一つとされています。
*ちなみにこれに対してMQAエンコードによりノイズ成分は増えるので「音は悪くなるはず」というのが反MQA側の言い分だと思います。念のためにこちらも書いておきます。

2. MQAデータをMQA対応のMytekに送るとかなり理想的なインパルス応答特性に近くなる(Fig5)。つまり音が良くなるはず。(インパルス応答は音楽ではないので、「はず」と書いておきます)
これはたとえばMytekのオリジナルの結果(Fig3)も優れているが、MQAだとグラフの左にプリリンギングもでずに、全体も短くおさまっているから、ということです。これがつまりMQAの提唱する「時間的正確性」というわけです。

3. しかしなぜかMQAエンコードしていないデータを送っても(2)と同じ結果になる。(Fig6)
つまりMQAエンコードされていても、されていなくても、MQAデコードすれば同じ結果が出るということです。ここはなぜかというところが謎なのですが、テストデータの故ではないかとは書かれています。つまりテストデータはデジタルドメインで作成されたものなので、MQAエンコードで低減されるはずのDeburringが効いていないのではないかという仮説です。しかしこれは1とも相反しているように思えますね。
これはわかりませんが、あるいはハードごとに異なるMQAファームウエアの実装にも関係しているかもしれません。

いずれにせよちょっと興味深い結果ではありますね。
posted by ささき at 22:25| __→ PCオーディオ最新技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月11日

HiFiMan RE2000とRE800レビュー

HiFiMan RE2000とRE800はダイナミックドライバーを採用したイヤフォンで、
特徴はHiFimanの新世代イヤフォンでは新しい技術が採用されています。
そのひとつはトポロジーダイヤフラム(幾何学的振動版)です。

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RE2000

ダイナミックドライバーにはBAにはない良い特徴もありますが、問題点も抱えています。そのひとつは分割振動と言う現象で、ダイヤフラムの素材に伝搬特性があるため、振動が表面の場所によって異なってしまうものです。簡単に言うと(振動の)中心に比べて端が物性の関係でたわんでしまいます。これは周波数特性を劣化させて歪を生みます。これはスピーカーではツィーターでよく言及される問題です。ヘッドフォンでは平面型の利点としても紹介されます。

トポロジーダイヤフラムとは、「異なるナノ素材は構造が違い、特性も違う」という点から着目されたもので、ダイヤ不ラムの表面に特殊なメッキを施したもので、そのコーティングは幾何学模様になっています。この幾何学模様の形状、素材、厚さを変化させることで音の周波数特性の調整が可能となります。

トポロジーダイヤフラムは、「異なるナノ素材は構造が違い、特性も違う」という発想からヒントを得て開発したもので、ダイヤフラムの異なる表面構造の特性を適切に調整することで、ワイドで滑らかなサウンドを実現したということです。

これによって、ダイヤフラムの分割振動による歪を大幅に低減させることができるということです。これはRE800とRE2000の共通特徴となります。

試聴には主にSP1000やAK380を使用した。両方とも能率はやや低めですがデジタルプレーヤーで駆動できないほどではない。

* RE800

RE800は筐体がコンパクトで耳にすぽっと収まる感じです。わりと耳の奥まで入る感じです。ケーブルは交換できないんですが、プラグはかなりがっちりしたもので、見た目にも線材はマニアックでよく思えます。

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音質レベルは端的にこのクラスではかなり良い方だと思います。楽器音は少し細身の音でシャープでゆるみが少なく、トランジェントが良いので歯切れ感と音のスピード感が高いのが特徴です。ヴォーカルの明瞭感も高く、発音ははっきりと聴こえます。すっきりとした音で肉厚感は控えめと感じられます。この辺が後で書くRE2000との大きな違いです。

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高音域はかなり上に伸びる感じで、シャープ傾向なのでやや高域はきつくなりがちではあるのでフォームチップを使うのもよいと思います。コンプライのT400がM/Lと付属しています。
フォームを使うと低域もかなり出るので、高域が上に伸びてもあまり腰高感がなく、ワイドレンジに聴こえます。
かなり音性能は高いが少し高域が強めなので、イヤチップをいろいろと変えてみると音質の高さを引き出せると思います。個人的にはスピンフィットが良いかと思いました。

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音の相性としてはAK380でも使えるくらいに音質は高いけれども、意外とiPhone直でも音は合うので、iPhone直で高音質に聞きたいという人にもお勧めしたいですね。

* RE2000

ボックスにはさまざまなイヤチップが付属してきますが、できればシングルフランジタイプのサイズのバリエーションがあればよかったと思います。またフォームチップもあったほうが良いと思います。ここではトリプルフランジを使用しました。このトリプルフランジはなかなかに使いやすいと思います。

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RE2000は24kゴールドメッキを施した真鍮製ハウジングが徳地陽で、わりと大きめの筐体ですがうまく設計されていて、耳の座りは悪くありません。

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RE2000は全体の音のバランスの良さと、自然な鳴りの良さに感じ入ります。たっぷりした低域を基調にした音の余裕感もなかなかに良いと思います。
中高域のバロックバイオリンはきつすぎないが鮮明で、豊かな倍音も感じられ高級イヤフォンで聴いている感じは十分に味わえます。
低音域は量感は十分にあり、上質な低音で深みを感じられます。ダイナミックらしく音全体を下支えしているような低域の出方です。このおかけでスケール感もありますね。RE2000のポイントの一つは低域の出方かと思います。たっぷりとしていますが、低音が張り出している感じではなく、ヴォーカルがマスクされている感じはありません。

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RE800と比べた場合の差はRE800は透明感とかシャープさ重視で中高域より、RE2000はより音の豊かさ・解像感重視で中低域よりというところです。RE2000と比べるとRE800は細身で薄めの音に感じられます。

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RE2000は自然な音で、音の豊かさ、解像力に優れたイヤフォンだと思います。おそらく自然な感じの中高域はトポロジーダイアフラムが効いているのではないかと思いますね。SP1000SSは先鋭すぎてときとしてシャープさが耳についてしまうこともありますが、RE2000だとそうした点で相性の良さを感じさせます。
ダイナミックドライバーで中高域で音の荒さがこれだけ少なく端正ですっきりとしているのは特筆ものと言ってもよいかもしれません。もしかすると突出しすぎない低域もトポロジーダイアフラムの効果かもしれないですね。

*まとめ

RE800とRE2000は単にフラッグシップと普及機という関係だけではなく、RE800はコンパクトで中高域を重点にシャープでタイトだがやや細み、RE2000はやや大柄な筐体で中低域を重点に豊かで自然な解像感の高さを基調としています。
端的にいえばやはりRE2000のほうがフラッグシップらしく高級感のある音ですが、好みの部分もあると思います。2017年11月24日(金)〜2017年12月28日(木)まではキャンペーンでRE2000とRE800は安くなっているそうなので、お店で聴き比べてみてください。
posted by ささき at 17:42| ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月06日

Chord Polyのインプレと使いこなしについて

Chord Mojoをネットワーク対応させるモジュールのPolyがいよいよ日本でも発売されます。
私は先行して少し使っていましたが、音質や使い勝手でMojoが生まれ変わった感じです。

ファイル 2017-12-06 20 49 13.jpeg

* Poly + Mojoの音質と使い勝手

まずスマホとの親和性が良いのが感心します。Polyでは機能よりもやることベースで考えたほうがよいと思いますが、たとえばわたしは朝にストリーミングでBandcampの新作の"エアチェック"をします。たいていBTイヤフォンでやっていましたが、PolyならAirPlayでiPhoneのストリーミング音楽をMojoに飛ばして良い音で聴くことができます。
エアチェックが終わると手持ちの曲をデジタルプレーヤーで聴いていましたが、それは手持ち曲をMicroSDに入れてPolyのMPD機能でiPhoneからケーブルレスで操作してMojoで聴くことができます。AKプレーヤーに入れていたMicroSDがそのまま使えました。
さらにはAKプレーヤーの中の曲をDLNAサーバーに指定して、Polyをレンダラーにして聴くことができます。操作はiPhoneでできます。
家に帰ればRoonを立ち上げて、家のPCのRoonライブラリの音楽をMojoで聴くことができます。

このように高い利便性もPolyの魅力ですが、Polyではその音質に驚くことでしょう。
いままでMoJoで聴いた中で一番良い音で、音像が引き締まって、音が整っています。シャープで特に低音域が緩みないのはジッターも少ないあかしだと思いますし、Mojoが本来性能を発揮してイヤフォンを駆動してる感もあります。Polyのポイントはハードの作り込みがラズパイ流用みたいなせこいものでなく、航空宇宙レベルの基板実装とかハードとソフトの作り込みがすごいことです。専用トランスポートって言ってよいレベルだと思います。
そこはChordの矜持だと思うし、これがほんとうのMojoの音かと思いますね。

* Poly + Mojoの使い方

一方でPolyは慣れるとスマホとの組み合わせでとても便利に使えますが、とっかかり分かりにくい点があるので、少し私なりに解説したいと思います。個人的に見つけたことを書いてるので、マニュアルと異なる点があってもこの記事をもとに代理店や販売店さんには問い合わせないでください。
ちなみに書いている時点のPolyの最新ファームは1.0.6(2017/12/6現在)です。スマートフォンはiPhone XにiOS11を使用しています。
設定はGoFigure設定アプリを使わない場合の方法です(まだGoFigureは無いようです)。

1. 動作モードと初期設定

まずPolyには動作モードがあります。
初期設定を行うアクセスモード、外部ネットワークにつなぐネットワークモード、Polyがネットワークをホストするホットスポットモードです。
この遷移はConfigという孔を添付のピンでつつくことで行われます。つつき方は下記の二通りのようです。(マニュアルには何秒押すと書いてますが、下記の方が確実に思えます)

1-1 ピンでconfigを突く、"モードイズ..."とモード案内音声が聞こえたらピン離す → 現在のモードの確認とipアドレスの確認。音声が流れます。

1-2 ピンでconfigを突く、"モードイズ..."とモード案内音声が聞こえても無視してピン押し続ける、"エンタリングxxxモード"と聞こえたらピン離す → モードの遷移が行われます。

Polyを買ったらまずアクセスモードに入ってください。(1-2)の手順でイヤホンつけてると"エンタリング・アクセスモード"と聴こえます。またはP-Statusが青と緑の交互点滅であればアクセスモードです。
iPhoneのWifi設定でPolyのローカルネット(Poly-xxx)に入ると自動で設定ページが出てきますが、出てこないときはブラウザでpoly.audioと入力してください。
ファイル 2017-12-06 20 49 46.png
マニュアルを参照してネットワーク情報など入力します。
SSIDは自分のWiFiルーターのSSIDとパスワードを入力します。テザリング時はiPhoneなら「設定」→「一般」→「情報」で「名前」がSSID、インターネット共有のところにパスワードが書いてあります。
ネットワークは複数登録できます。一番電波強度の高いネットに自動的に入るようです。
ここではbitperfect modeを選択して、reboot on saveも選んだ方が良いかもしれません。

またPolyの名前もここで入力しますのでBTのみ使う場合でもアクセスモードには入る必要があります。たとえば"MyPoly"はPolyが他から見える名前です。

2. Polyを使う前に知っておいた方が良いこと

M.StatusはMojoのステータス、P.StatusはPolyのステータス。

Polyではひとつのサービス(DLNAやAirPlay)が出力を抑えているときは他のサービスに自動で切り替わりません。
たとえばMPD使おうとして音がでなければAirPlay/BT接続を確認。不具合があるときはコントロールセンターからネットワーク出力先を見て切る。10秒ほど停止して待つか、使っていたアプリを終了させてください。

ボリュームはサービス機能に依存します。AirPlayならiPhoneボリュームもMojoボリュームも効きます。MPDではMojoボリュームのみです。

基本Polyの電源スイッチはなくMojoにつなぐとオン。オフも連動してるが、PolyはコンピュータなのでMojoと違ってすぐに落ちないから少し長く点灯します。

店頭デモの時はまずBTで試し、AirPlayやSDカード再生したければ、ホットスポットモードではいると自分の設定を残さなくて済むと思います。

なおDLNAやMPDなどは対応するすべてのアプリの動作が保障されているわけではないので、下記の代理店さんの互換性リストを参照してください。
http://www.aiuto-jp.co.jp/products/product_2094.php#3

3. Polyの使い方

Polyでは機能よりもやることベースで考えたほうがよいと思います

iPhoneでストリーミングや内蔵楽曲をPoly + Mojoで聞きたい。
→ Bluetooth - 設定不要で手軽
→ WiFiでAirPlay - iPhoneではAirPlayの方が音が良い

AndroidやAKプレーヤーから使いたい
→ Bluetooth

手持ちのFLACやWAV音源を使いたい。
→ MicroSDに格納してWiFiでMPD
→ WiFiでDLNA(uPnP)

他のAKプレーヤーなどDLNA/uPnP対応機器とつなげたい。
→ WiFiでDLNA

家でDLNAサーバーの音源を聴きたい
→ WiFiでDLNA

家でRoonライブラリの音源を聴きたい
→ WiFiでRoon


3-1. Bluetoothの使い方

PolyではBT優先で常にペアリングモードになっています。
Bluetooth設定はiPhoneのBT設定でMyPolyを見つけてください。

WiFi接続に不具合が出たらBT設定を切ってみてください。
BTの場合は初期設定は不要ですが、MyPolyなど名前は入れたほうがよいです。


3-2. WiFiの使い方

3-2-1. WiFiルータかテザリングがある場合は動作モードでネットワークモードを選んでください

まずはじめに1で書いた初期設定をしてください。ネットワーク設定は初めだけ。次からは電源オンでネットワークモードになるはず。

* AirPlay
ipアドレス自動取得なのですぐ使えます。
ファイル 2017-12-06 20 50 44.png
BluetoothとAirPlayの切り替えはiOS11ならコントロールセンターの音楽再生の右上のワイヤレスアイコンをクリックします。(BTとAirPlayの聞き比べとかできます)

* MPD (SDカード再生)
これはPolyに内蔵するMPDというサービスでMicroSDカードの中身の楽曲を再生する機能です。操作にはMPDクライアントというアプリが必要です。MicroSDはAK70で使ってたものがそのまま使えました。AKユーザーはSDカードのフォーマットをあまり気にしないで良いかと思う。
MPDクライアントですが、iPhoneではそれまで定番のMPoDがなくなったので、MPDluxeやSoundirokアプリが使えます。Soundirokは有料ですが、高機能で使いやすいです。Roonっぽいアーティスト情報表示もなかなか良いですね。MPDluxeは無料でシンプルな古風なMPDクライアントです。下記はSoundirok。
ファイル 2017-12-06 21 50 20.png
問題はPolyのipアドレスですが、Polyは自分のipアドレスを喋ります(MPDのため)。ただ聴き取りづらいと思うので、聞き取れなかったらfingアプリで見つけるのが簡単です。
2回目以降もネット内の構成が変わらなければたぶん同じアドレスを使えると思います(ただし保証できない)。
ポートは6600で、パスワードなしです。

再生では5.6M DFFもオーケーです。なお先に書いたようにMPD再生をしてるときにAirPlayに切り替えようとしてもできないので、いったんMPD再生を止めてからAirPlayに切り替えます。

* DLNA

8 PlayerのようなDLNAアプリでDLNAサーバーとレンダラーでそれぞれPolyを指定します。
ファイル 2017-12-06 21 50 35.png
ここですごいのはDLNAサーバーには(例えば)AK380を指定し、レンダラーにPolyを指定することでAK380のライブラリをMojoで出力できることです。音質もとても良いです。
これはまるでAK380をMojoにUSBでつなぐかわりにWIFIでつないでアンプに使っているのと同じですね。もちろんAK380だけでなく、第二世代以降のAK connnectが使えるAKプレーヤーなら良いので、今は使ってないプレーヤーをファイルサーバーというかNASがわりに使うことができます。

* Roon

家ではRoonのライブラリをMojoで再生できます。つまりPolyを装着することでMojoがRoonReadyデバイスとなります。Roonで使うためにはアクセスモードにして設定でRoonを選びます。
polymojo.png  roonpoly2.png
その後にPolyをRoonのネットワークゾーンとして設定します。Roonアプリでリモートでも操作ができます。ここですごいのはRoon側で高精度のアップサンプリングをしてMojoに再生できるということです。

3-2-2. WiFiルータかテザリングの両方ないときはホットスポットモードを使います

アクセスモード同様にiPhoneのWiFi設定からPloy-xxxのネットにはいります。keep in hotspot選択します。
設定ページをキャンセルで閉じて「インターネットに接続せずに使用」を選びます。

3-2-1の場合とipアドレスはかわります、192.168.1.1になると思います。

4. アップデートについて

Polyはファームウェアのアップデートが可能です。やり方はちょっと変わっていて20-30分ネットワークモードでいるとダウンロードして一度切って立ち上げて10-20分経ったら、また切って立ち上げるというものです。

ここまででもPolyのできることのあまりの多様さに驚くと思いますが、PolyはアップグレーダブルでTidalも対応予定にはいっていますのでなかなかに楽しみです。
posted by ささき at 22:41| ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月04日

Westoneインタビュー、今後の新体制について

先日ヘッドフォン祭でWestoneのBlakeマネージャーが来日して、インタビューしました。そこで最近のWestoneの組織上の変化と、その影響について答えてくれました。

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WestoneのMusic部門担当マネージャー、Blake氏

それによると、Westoneはいまや業界では世界最大であり、オーディオロジストへの供給でもアメリカ最大です。全ての領域に手が回らなくなってきたので音楽産業とヒアリングヘルスケアの二つに分社化(分社化は正確な言い方ではないかもしれませんが)したということです。Music部門とHearing Healthcare部門にわかれました。Military(パイロット用の耳栓など)はHearing Healthcare部門です。

これで我々の知ってるWestone(テックウインドさん扱いイヤフォンとイヤモニ)はMusic部門にとなって独立し、イヤフォンに特化しやすくなったということです。Blake氏はここを統括してみることになります。これによって前はBlakeさんは40%しか音楽分野にさけなかったが、いまは100%工数をさけるようになったそうです。
またMusicが独立したことにより「音のゴッドファーザー」カートライト兄弟はヒアリングケアから離れてイヤフォンに専念できることによって、よりイヤフォン開発に集中でき、権限も従来のシニアからチーフになったことでより強固になったということです。
またこれによって、カートライト兄弟は開発だけでなく製作も統括できるようになったため、かれらがカスタムについては一個づつ検品できるようになりました。これで音決めだけでなくトータルで製品の品質を高められるようになったわけです。
またユニバーサルも同様で、例えばBlakeさんがテックウインドさんのような世界のカスタマーの声を拾い上げ、それをカートライト兄弟がフィードバックしやすくなったということです。すでにこのアプローチはUM Proから始まっていて、品質向上に貢献しているということです。

一方で、ヒアリングケアと分離したといっても、その情報にはアクセスできるので、膨大なノウハウの蓄積というWestoneの長所も保てるということです。Westoneは膨大な耳型の蓄積があるため、ユニバーサルをコンパクトでかつ高音質に作れるわけです。
実際に"Comfortable(快適性)"と"Sound good(音が良いこと)"を両立するのがWestoneの目的でその両立なしでは製品を出さないということです。これはまた以前の記事で書いたように、音のカールと形のクリスの兄弟が密接に協力するからこそできることです

最後に次の製品はW90かW100かって聞くと、W1じゃないかとはぐらかし、ドライバー数ではないよと言っていました。そこで次はチャンバー方式かと水をむけると、また我々はすべての領域で研究してるよとはぐらかされました。Westoneって大きい会社だけになかなかそういうところは明かしてはくれません。
ただし上で書いたように今後はWestoneのリソースが一層オーディオ分野に集中されやすくなったので、製品は楽しみであると言えますね。

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ちなみに上はジェネラルマネージャーのBlakeのカスタムです。これフレックスカナルがなく、なぜかというと撮影用にサウンドチューブを見やすくするためです。フェイスプレートもマグニファイ(拡大)・アクリルという素材で中が見やすくなってます。
posted by ささき at 21:27| __→ Westone ES3X カスタム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする