Headfi関係の情報に精通している方にはおなじみのCavalli Audioが残念ながら今月末で解散するということです。細かい事情はよくわかりませんが、下記のHeadFi記事に正式なアナウンスがあります。
https://head-fi.org/threads/cavalli-audio.862917/
サポートもなくなりますが、Avenson Audioというところが引き継いでくれるということです。
Cavalliは昨年のヘッドフォン祭にも来ていて、そのさいに機会を得たのでCavalliの海外向けの販売担当(当時)であるスタン・アン氏にインタビューができました。
本格的に日本参入する際に公開しようと思っていたのですが、その機会もなくなったのでここで公開いたします。下記は2016年10月の情報となります。
Cavali ポータブルとかをオークションでもどうしてもほしいとか、いまからCavalliに興味を持ったという人もいると思いますので、情報として参考までにそのときの内容を公開しておきます。
私自身はこのインタビュー以外はCavalliになんのコネクションもありませんので念のため。
Cavalli SPARK ポータブルアンプ
会社名は「カ・バ・リー オーディオ」で、もとはイタリアの馬の名前ですが創立者の名前です。
成り立ちは2000年の初頭にさかのぼり、ヘッドフォンアンプを作成しようと集まったネットでのグループがあった。静電型がはじめであったが、それから普通のアンプを作り、真空管とICのハイブリッドを作り、とラインナップを広げていったということ。Dr Cavalliはリーダー的な存在で、その後に販売を考えるようになったそうです。
Liquid Fireがはじめての製品(真空管ハイブリッド)で、次にLiquid crimson(真空管ハイブリッド)、Liquidライトニング(静電型)を作った。みながチューブローリング(真空管交換)したいというのでLiquid グラスを作ったそうです。これは前段がICで後段が真空管で変えられるものです。CavalliはICはディスクリートでクラスAでフルバランス、フルディファレンシャルをモットーにしているということです。Liquidグラスはチューブローリングで8pinと9pinを間違えないように上手に配置した点が特徴だそうです。
次がいま(当時)のフラッグシップのLiquid GoldでこれはICでフルバランス、フルディファレンシャル、XLRx2を持っているものです。
次に当時の現行製品ですが、製品ラインナップはアナログアンプに特化しています。
カバリーのアンプはLiquidなんとかという名前ですが、これはアンプを音楽的に滑らかにしようとしたのでLiquidとよんでいたそうです。
ポータブルのSPARCはディスクリートでフルディファレンシャル、クラスA。LIquid Goldのミニチュア版として作ったそうです。
LiquidカーボンもLiquid グラスと Goldをベースにして、フルバランス、トランスポータブルでSEアウトもバランスから変換しているということ。
LiquidタングステンはSE(フルバランスではない)だけどフルディファレンシャル、ダイレクトカップル、アウトプットトランスフォームレス、チューブが直接ドライバーにつながっているそう。昔のチューブらしくなく、とても精密で解像力も高い。フルチューブ。EL509(549?)。真空管変更はできません。
カバリーの強みは設計力。DR Cavalliはプラズマ物理博士(PHD)、引退して趣味で作り始めた。他とはとても明確な音の差があるということ。レアなパーツに重きを置く会社もあるが、我々はあくまでdrカバリーの回路設計に重きをおいている。彼の哲学はレア部品ではなく、標準の部品でも良い音を出すこと。フルディファレンシャル、クラスAはすべてに通じる。オペアンプは使わない。
他のアンプは解像力に走るあまり、とてもきつくてブライトになりがちだが、Cavalliは解像力を待ちながら滑らかな音が特徴。真空管だけどICのように感じる音も特徴。真空管の味を売りにしていないが、ただしウォームで滑らかを目指しているとのこと。
またカバリーのアンプはぎりぎりのスペックで出力を公表しないで、そこにマージンがあり、出力に余裕があるので平面型などでもよくデモに使われたそう。測定値が良いアンプではなく、音が良いアンプをモットーとしているということです。
昨年のいまころはCavalliの転換点で、それまでのビジネスモデルはオーダーを取って、作り、売るというもの(DIY的)。大量生産に向かず、長期的な使用や信頼性なども考えた製品に移行が必要となったと言っていました。Liquidカーボンの成功を契機にCavalliは自社販売から代理店販売形式に変更し、これを契機にラインナップを刷新するといっていました。カーボンもこれで最後でLiquid Goldやクリムゾンはもう売らないといってました。
この方針変更がうまくいかなかったのでしょうか。Cavalliは上にあるように設計者がコミュニティで有名になって、他から求められて、というHeadFiというかDIY世界ならでは成り立ちでした。それを継続するビジネスにつなげるのはむずかしいのでしょうね。