Music TO GO!

2017年06月28日

シングルダイナミックの到達点、Dita Audio Dreamレビュー

DreamはAnswerで日本、そして世界へデビューしたシンガポールのオーディオメーカーであるDita Audioの最新作にしてフラッグシップです。Answerもデビュー作にしてはなかなか練られて時間をかけて作られていましたが、Dreamではいっそうの作りこみがなされています。
参考としての直販価格は¥219,980 円(税込)とAnswerよりも上になりましたが、ダイナミック型シングルドライバーイヤホンの究極といってもよいでしょう。しばらく使いこんでみてそう思います。ダイナミックだけではなく、マルチBAのフラッグシップクラスとも比肩できるレベルと言えると思います。

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下記は代理店アユートさんの製品ページです。
http://www.aiuto-jp.co.jp/products/product_2103.php

Answerに比べると全面的に刷新されたまったく新しいデザインを採用しています。
なかでも特徴的なのはAwesomeプラグというプラグ交換システムです。Awesomeというのは「すごい」という意味ですが、これはプラグが交換可能になっていて、プラグを交換することで3.5mmアンバランスや2.5mmバランス、4.4mmバランスにも対応できるというものです。ケーブル線材は引き続きVan den Hulが担当して、シルバータイプの線材が標準で使われています。
Answerでは接触面をできる限り減らしたいというオーディオファイルらしい要求からあえてケーブル交換可能な形にはしなかったのですが、Dreamでは2ピンによりケーブル交換が可能になっています。
これもCEOのダニー氏に言わせるとどちらかというと断線した時の保証のようなものということです。実のところ標準でついているVan den Hulのケーブルの品質の高さを考えると交換する必要はあまりないかもしれません。しかしながらバランスにも対応は必要であるという点からプラグ交換という仕組みに行きついたわけです。
実際使って見ると、ケーブル交換するよりも簡単に3.5mmと2.5mmバランスの交換ができますし、音自体は変化しないのでこの仕組みはなかなかよくできています。AKプレーヤーとMojoの使い分けなんかでも簡単です。

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このほかにも全面的に新設計となり、ハウジングは精巧な技術を有する日本で加工される高精度のチタン製のシャーシです。これはエアフローの最適化とダンピング制御の向上にも貢献しているとのこと。音響工学に基づき設計したチタンシャーシ内の形状を、精度高く切削するだけでなく、全ての接触面を限りなく平面に研磨する為に、精巧な技術を有する日本でシャーシ加工を行うという凝りようが再びここでも発揮されています。
新開発の10mm 径ダイナミック型ドライバーはカーボンコーティングを施したマルチコート・マイラー振動板の採用、そして 高純度 OFC によるボイスコイル、高磁力のリングマグネットとポールピースの 搭載など、Dita Audioの哲学でもある「気品あるシンプリズムにより純度を限りなく高く」という目標のもとに、広帯域に渡りレスポンスに優れた自然で正確なサウンドを提供するとされていますが、まさに息をのむような音性能の高さには圧倒されます。
またドライバーの左右差が極限に近く少ないのも特徴で、これによって位相のそろった立体感の良い音再現が可能になります。

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ボックスは豪華なもので、なかなか洒落たイヤフォンケースが付属してきます。付属品としては音の違うイヤチップが3種類ずつ、S/M/Lとついているのでそれで音を自分のの好みでチューニングすることができます。
またT400くらいのサイズのチューブなのでわりとさまざまな市販イヤチップを使うこともできます。

デザイン

Dreamのハウジングはチタンで成形され、頑強さと軽さを兼ね備えています。特徴のひとつはAwesomeプラグ(awesomeはすごいの意)です。Awesomeケーブル/プラグについてはまた別記事で詳しく書く予定ですが、ケーブル交換ではなくプラグ交換と言うのは3.5mmと2.5mmをよく取り変える場合にたしかに便利だと思います。線心自体は4本で根元まで来ていますので、3.5mmでも立体感は高くなっています。
ケーブルプラグは2ピン仕様で、新バージョンではかなり硬くて抜けにくくなっています。
チタン製のハウジングは装甲か鎧のようで、Awesomeプラグのプラグのネジなんかとも合わせていかにも精密感とメカメカしい感じがカッコよいと思います。

音質について

Dreamの最大のポイントはなんといっても音質の良さです。ダイナミックではトップクラスと言ってよいでしょう。いや、ダイナミックでは、と断る必要もないかもしれません。
まずAK380単体の3.5mmで聴きましたが、驚くほど音が良いという感じで、あのDitaのAnswer truthよりも格段に良くなっています。
音の個性はAnswerをさらに進化させたように、基本はがっちりとしたクリアではっきりとした音の輪郭を持っていて音の切れ味がするどさを聴かせてくれます。
以下で音の特徴をポイントごとに述べていきます。

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「ダイナミックらしくない圧倒的な解像力と切れ味の鋭さ、ダイナミックらしい迫力と躍動感」

Dreamは全体にマルチBA機と比べると重みがあってダイナミックらしい迫力を感じます。ダイナミック機の中でも音に重みや厚みが高く感じられる方だと思います。
一方でダイナミックの甘さは少なく、極限までだぶついた贅肉がないとても先鋭な音再現を聴かせてくれます。

DreamはBAのような切れ味と解像感、ダイナミックの音の厚みを持ってると言っても良いでしょう。
特にアコースティック楽器は圧巻で、たぶん売ってるイヤフォンの中でも最強レベルと言ってよいかもしれません。楽器の音の再現力、ヤニが飛ぶようなリアルさと解像力、シャープな切れ味がためいきものです。
私が思ったのは切れ味の良さでNobleのKatanaに似てる感じですね。躍動感と言う意味ではK10 encoreのダイナミック版といっても良いかもしれません。K10でいえばこの極限的なクリアさ透明感はオリジナルではなくencoreの方です。それをダイナミックにした感じでしょうか。
ひずみ感が少なく音がすっきりピュアで、引き締まって贅肉もない。それでダイナミックだからドラムやベースのアタックも鋭いと感じられます。

解像力が高く、細かな音の粒子を積み上げて、音鳴りのリアルさを再現するのは圧巻です。
普通シャープなイヤホンは乾いて人工的な音になりがちですが、Dreamは音の生々しさとか自然さという点でも今まで聴いた中でトップクラスです。これはチューニングの妙もあると思います。前のAnswerのように鮮明で切れ味の良さも感じられますが、厚みとか豊かさも増して、自然でリアルな表現に進化してます。
ピアノの音の歯切れがよく、ただのソロピアノでも気持ち良く、存在感が高まります。バロックヴァイオリンの弦の鳴りの倍音が豊かでリアルさを高めます。
細かい音がよく聞こえ、AK380のクロックの正確さや改造力など、そのポテンシャルを引き出してると思うし、AK380がさらに一段と高音質に感じられます。

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Ditaの提供するジャズ音源を聴くと驚くくらいの生々しさを感じられます。音の鮮明さがよくわかり、楽器の音の忠実な再現、ヴォーカルの息遣いの生々しさがよく伝わって来ます。アーティストが、録音エンジニアが、伝えたかったものがよく伝わって来ます。ダイナミックとしての躍動感もひときわ高く感じられます。
例えばオールドロック懐古的で録音も良いトレバーホーンのThe Producersだと今まで聴いた中で一番良い再現を聴かせてくれます。
スピード感もあり、ノリも良く、ドラムやベースの切れも良い。ドライブ感やパワーも感じます。

ただし録音や曲によっては高域がきついと感じることもあります。しかしながらこれはDreamのせいというよりもむしろ録音のせい、特にPCMのデジタルっぽさに由来するところが大きいともいえます。こういうように顕微鏡のように音のささいな凹凸もあぶり出すようなイヤフォンこそ、DSDネイティヴ再生で聴いてほしいと思います。たとえばRyu MihoのDSD11.2Mhz音源をAK380で聴いてみてください。これが本当のDreamの実力であり、今まで一番DSDネイティヴの良さを生かせるイヤフォンと感じられます。DSDネイティブとPCM再生の差がいままでのイヤフォンではそれほど大きな問題と感じなかったということですね。
とはいえ現実にはPCM音源できつい録音を聴くことも多いわけですから、そのときはチップで少し工夫するということはできると思います。

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* Dreamのチップ選び
ユニバーサルイヤフォンのポイントの一つはイヤチップが大事で、かつ音を変えることもできるということです。いくつか種類があるときには装着性とともに音の好みも大きい要素となってきます。Dreamの場合には標準で3種類のチップがついてきます。これらは開口部の大きさで違いがあり、大きいものほど高域が強くなる傾向があります。もしきつさを和らげるという点では青いチップが一番良いと思います。
またDreamはステムの太さが適度なので、わりといろいろと社外品のイヤチップが使えます。コンプライのフォームチップはT400が使えます。高域を和らげて低域を増やすという点では良いのですが、もともと低域の量感はフォームでなくても十分確保できていることと、Dreamの良さである歯切れの良さが少し減退するようにも思います。フォームチップだとCampfire Audioのフォームだと歯切れの良さはそれほど減らないのでフォームを使いたい場合にはお勧めですが、
社外品のイヤチップではやはりスピンフィットが装着性と音質のバランスで最も良いと思います。まずクリアさと解像感は半端ないですね。

「シングルダイナミックらしくない帯域再現、シングルダイナミックらしい立体感」

Dreamは上から下まで均質性が高く、高域表現の鋭さ、豊かな低域、明瞭感の高い中域など、シングルダイナミックとは思えないくらいのワイドレンジです。
高域はきれいに淀みなく伸び、高域のベルの音が気持ち良く感じられます。
低域はやや多めで、ダイナミックらしい重みがあります。ロックではこの重みが気持ち良いです。Answerでも低域をすこし増していたのですが、今回も期待通りにだっぷりした低域を堪能できてダイナミックドライバーの魅力を伝えてくれます。
中音域のヴォーカルは肉感豊かで艶っぽさがあります。立体感の良さと相まってくっきりと浮き出るようにヴォーカルが聴こえるのもDreamの魅力です。これはあとで書くようにチューニングの完成度が高いこともあります。
ヴォーカルは適度な湿り気があって無機質にならないのはダイナミックならではの魅力を両立させています。BAにありがちな無機的ではありませんが、着色感があるというほどには音に色はありません。

Dreamの特徴のひとつは立体感が際立って良いことです。特にAK380のようにDACの優れた再生機で聴くと3.5mmでは聴いたことないレベルの立体感が味わえて圧巻です。音の重なりという意味だけではなく、左右の広さと言う点でもすべてのイヤフォンの中でもかなり広い方だと思います。
これはマルチBAに対してはシングルドライバーと言う位相の優位さもあるでしょう。むしろシングルダイナミックだから達成できたものかもしれません。またこれは左右ドライバーの性能マッチがうまくいっているというチューニングの要素もあると思います。

クラシックでも迫力があってスケール感を感じられます。低音がたっぷりあってピラミッドバランスがあり、シングルの位相の良さで音場も良いと思います。
3.5mmシングルエンドでも音の広がりが良く、これはケーブルの良さもあると思います。ロックでもダイナミックらしく線が細くならずに太めのパワフルな気持ちよいインパクトを聴かせてくれます。
バランスに変えるとさらに音が回りこむように広がります。これもまた魅力的です。

「完成度の高いチューニング」

実のところDreamの良さの基礎を支えるのは、かなり完璧なチューニングだと思います。
長く開発に時間がかかっただけあって、高いところから低い音まで見事にチューニングされています。ここに来るまでにDreamにはいくつかのプロトタイプがあり、ひとつ前は中域の低域かぶりがあって少しヴォーカルが曇ってた(それでも他機種ならオーケーレベル)んですが、この製品版では見事にスッキリと晴れ上がっています。ヴォーカルの聴き取りやすさはイヤフォンでもトップクラスでしょう。
十分なほどの低音の量感があって、音楽全体の豊かさを増してるが、中域が曇るほどではありません。
CEOのダニーは音作りにおいて完全主義者で交換ケーブルも拒否してましたが、今回はそこはゆずって音のチューニングで完全を求めた感じですね。

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まとめ

DreamはAnswerの良さは引き継いでさらに進化したものと言えます。
変わらないものは音質と機械工作的なこだわりです。
いわばダイナミックらしくない切れ味の良さ、ダイナミックらしい音の豊かさと厚み暖かみを有しているのがこのDreamです。

ここでいままでのサブタイトルを再掲することでまとめとします。

1. 「ダイナミックらしくない、圧倒的な解像力と切れ味の鋭さ
ダイナミックらしい迫力と躍動感」

2. 「シングルダイナミックらしくない帯域再現
シングルダイナミックらしい立体感」

3. 「完成度の高いチューニング」

感度はちょっと低めですが、AKプレーヤーでも音量は取れます。iQuve V5のように強力なアンプを使って鳴らしてあげると立体感などがさらに際立って良くなります。

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いままでダイナミックドライバのイヤフォンを選ぶ場合には絶対的な音性能の高さではなく、暖かみや躍動感と言ったポイントで選ぶことが多かったと思います。たとえば、音質の最高レベルを目指すならばマルチBAのカスタム、でも暖かみのあるダイナミックも良いかな、という感じでしょうか。
Dreamは音性能の高さで純粋に選ぶこともできるダイナミックドライバー機であり、高いレベルでイヤフォンの音の魅力を両立しています。

Ditaのはじまりはヘッドフォン祭でした。青山だった時ですが、シンガポールのメーカーでイヤフォンを作ろうとしているところがあるのでちょっと見てもらえないかと言うことで、呼ばれてアンダーテーブルで彼らに初めて会いました。それはいまのAnswerのプロトタイプで、これはハイエンドだと言い想定価格もかなり高めだったのですが、音を聴いてみたらこれはかなり良いのでいけると思いました。まず日本市場で認めてほしいということだったのですが、その年の秋のヘッドフォン祭では持ってきたAnswerがすべて売れたということでまずはよかったと思いました。そしてDreamが構想され、長い時間がかかりましたが、ここに結実したと思います。彼らの情熱が"Dream"を実現したと言えます。
このようにDreamは現在最高のイヤフォンの一つであり、シングルダイナミックとしてはひとつの到達点といえるでしょう。
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2017年06月24日

マズルカ・アパシオナータ 〜ベスト・オブ・バリオス - 福田進一

今日はギタリストの福田進一さんの南米の音楽家バリオス作品集の発売記念ミニコンサートを聞いてきました。
音のつながりの滑らかさや一音の余韻を計算し尽くしたような完成度の高い演奏はシンプルなギターのみながら圧巻と言えるようなものでした。

面白かったのは福田氏が自分はライブよりもむしろ録音派だと言っていたところです。
やはり録音派だったグールドを引き合いに出してましたが、様々な要因で完璧にできないライブよりも、むしろ自分の演奏はCDで聴いて欲しいし、できればハイレゾで良いオーディオで聴いて欲しいと言うことです。
ましてカーステでは聴いて欲しくない、と言うことでしたが遮音されたカスタムイヤホンと高性能DAPで細かな音のニュアンスまで聴けるなら、演奏者の意図に沿うのかも、とも思いました。
また、よく正論的にオーディオ聴くより生演奏が一番、と言ったりしますが、必ずしもそうとは言い切れないのではないか、ともちょっと思いました。

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2017年06月21日

MEZEの美しいヘッドフォン、99Classicsと99Neoレビュー

テックウインドから新しいヘッドフォンが発売されます。
Meze 99 classicと99 Neoの2種類で、このほかにもイヤフォンが発売になります。本稿は99 classicと99 Neoのレビュー記事です。

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99Classicsと99Neo

Meze(メゼ) Audioは2009年にルーマニアで誕生したブランドで、代表のAntonio Meze(アントニオ メゼ)は様々な分野のデザインを手がけていたようです。彼はギタリストでもあって、自分で満足できるヘッドフォンを作りたいがために創業したようです。

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そして2015年に発表した99Classicsが世界的な人気となります。
Meze 99 classicはHeadFiをはじめ、海外で高い人気を得たヘッドフォンで美しいデザインの木製のハウジングを採用しています。99 NeoはClassicの好評を継いで後から発売されたモデルで同じ振動版を使っていますが、チューニングは異なり音の個性も違います。またデザインもブラックのモダンな外観となっています。

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99Classicsと99Neo

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さすがデザイナーが手がけたブランドらしく、外観とハウジングの作りはなかなかよくできていて、装着性も快適です。ハウジングのカップがNeoとClassicでは異なりますが、それ以外はほぼ同じです。ハウジングの表面はなめらかできれいに加工がなされている。ケーブルの左側にリモコンがついています。
重さはわりと軽めでそう負担にはならない程度だと思います。締め付けはあまり強くはないタイプで長くつけててもそう不快感はないでしょう。両方ともクローズタイプで短いケーブルが付いてくるのでポータブルでも使うことができますが、折りたたみはできません。99 Classicには家で聴くための長いケーブルも付いてきます。

NeoとClassicのポイントは振動板は同じで音質レベルはほとんど同じですが、チューニングが異なるためそれぞれ音の個性があります。

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99Classics

Classicはより忠実で、やはり音楽がきれいに聴こえて心地よい音再現です。
低音もNeoより引き締まってタイトですっきりとしたベースです。Neoの少しガチャガチャとした感はClassicでは少なくなり、端正な音を聴かせてくれます。
全体にクリアで曇りの少ない音再現で、すっきりと楽器音が美しく聴こえるタイプです。きつさは少なくやや丸めだが鈍いわけではなく、楽器音やヴォーカルは明瞭に聴こえる。ひずみ感も少なくすっきりと端正に楽器音が聞こえます。
高域表現はシャープさは適度で、どちらかというと優し目できつさは少ない感じですね。きつさが少ないので長い時間聴けるタイプだと思います。
低域の再現はダブルベースが気持ちよく聴こえるくらい量感は十分にありますが、フラットよりは低域が強い傾向ではあります。またわりと低いところまで出て、低域もよく整っていると感じられます。
全体にバランスよく上品な表現ですが、あまり平坦すぎることもなく、適度な低音の味付けはされています。音の明瞭感も高いので、いわゆるジャズ・クラシック向けですが、ヴォーカルを聴きこみたい人にも良いと思す。

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99Neo

Neoでは低域がたっぷりあって、音が分厚く、楽器の音は多少誇張されてきれいに聴こえます。楽器やヴォーカルも明瞭に聞こえ、わりと細かい再現力もあります。演出感は強いが、エレクトロ系やビート系などに向いています。ヘッドホンならではのロックのパワー感や迫力を堪能できますね。
Neoはかなり低域が強調されてベースヘビーなので、ビートの効いた音楽やエレクトロ系によく合います。ただし、ややヴォーカルに明瞭さが欠けることもあります。また楽器を聴きこむとやや音は粗く聴こえます。
高域はclassicよりもシャープに聞こえるのですが、よりきつめにも聞こえます。勢いがあるタイプでヘビーなロックやポップに向いています。エレクトロニカなどもneo99のほうが良いですね。

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端的に素直で音再現が端正なのがClassic、演出気味で勢いのあるのがNeoという感じです。聴きたい音楽で選ぶと良いと思います。
双方ともiPhoneにも向いていて、初級ヘッドフォンやイヤフォンからステップアップしたい人は、かなり音が良く聴こえると思います。
ただClassicのウッドハウジングはなかなかに良くできていますので、スタイルで選ぶというのもありだと思います。

端的に言ってデザインが良く音も良いというのがMEZEの特徴です。価格は99 Classicsが市場想定価格が29,800円前後、99Neoが24,800円前後と言うことでお手頃だと思います。
一番お勧めはNeo、ClassicともAK70あたりに合わせることです。AK70とNeoの組み合わせはロックファンにお勧めです。iPhone直でヘッドフォンリスニングをしたい人にも良いですね。ポータブルでヘッドフォンリスニングを楽しみたい人はぜひチェックしてみてください。
posted by ささき at 13:01 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月16日

A&ultima SP1000ファーストインプレ

A&ultima SP1000の内覧会に参加してきました。以下の画像とインプレは6月初旬の内覧会時点のものです。

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SP1000は第四世代と言えるモデルで、モデルネームがSP1000、プロダクトラインの名前がA&ultimaになります。以降出るモデルもクラスに応じてA&なんとかになるということです。

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外形デザインは原石を多面カットした宝石がデザインコンセプトで、光と陰はキープコンセプトです。化粧箱はブナの木で、スエーデンでのタルンショの天然皮革のケースがついています。

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上面のSDスロットはケースから外さずにmicroSDの取り外しが出来るようになりました。このため上面から電源ボタンがなくなっています。
マイクロSDカードは確実な装着のためにトレイを採用しています。このため専用のピンが同行されています。これによってSDカードの接触がよくないというAK100時代によく泣いた問題は解決されるでしょう。トレイの出し入れは、なれると簡単です。

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またSP1000では従来機に比してオクタコアの優れた処理能力により体力を高めて、起動時間や反応速度を高めています。液晶は見た目にも精細感が高くきれいです。UIデザインも変わっています。

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音性能でもAKMのフラッグシップモデルのAK4497EQデュアルを採用して高音質化し、回路的には特にバランス出力の改良がポイントになります。VCXOクロックなどは引き続き採用されています。

持った感じではステンレススチール筺体と言うこともあってAK380よりもずっしりとした重みを感じます。
電源スイッチはボリュームの長押しで行います。後ろに倒れるように思ったけれども、そちらには動かないようです。
ホームボタンはAK240のように液晶の下を押すことによってホームとなります。AK380のメタルスイッチはやや反応が鈍いこともあったので実用的と言えます。全体的な反応はかなりさくさくと動きます。

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まずはステンレススチールタイプをDreamの3.5mmで試聴しました。
Dreamを使うとよく分かりますが、パワフルで高域の伸びがあるのが第一印象です。伸びの部分はステンレススチールタイプによるものも大きいと思います。
従来モデルとの差はパワフルさで、KANNの時はKANNのみの個性かと思いましたが、おそらく新ラインナップの個性かもしれません。正確にいうとAK70のころからの変化かもしれませんが。。

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低域自体はわりと抑えめで膨らみがないようにスッキリとして、クリーンで上質なベースです。
また高域もAK380がDreamで少しきつめなのに比べると、穏やかでいたさが少ないと思います。より上品というか上質な高域です。

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AK380とSP1000

今回バランスの音がアンバランスとの差が大きいのも特徴の一つ。音が広いだけでなくバランスにすると音に力感とか重みが加わるようになった。言い換えるとアンバランスでは従来通りで、バランスにするとAMPをつけた感じですね。でもAK380AMPと聞き比べると音はちょっと違います。SP1000の方がもっと重く深い気はします。AK380AMPの方がより太い音ではある。ただヘッドホンなどの駆動力は試せませんでした。
バランス回路はAlexに聞くと秘密だが大きく変わったそうです。

全体に380よりもさらに整って帯域バランスも良い感じです。
ステンレススチールタイプというところを差し引いても、380よりもクリアでより鮮明です。音場もさらに横に広いですね。
全体にスッキリクリーンに明瞭に聴こえ、AK380がちょっと曇って聴こえるくらいです。ベースやドラムスがより鋭く、AK380よりはひとレベル上の音と感じます。

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SP1000ステンレススチールとカッパー

AK380単体と同じ曲で比べると、音の広がり、高域の伸びがSP1000で上回ります。音が華やかで伸びが良いのはステンレススチールタイプの利点だと思います。SP1000カッパーに変えると音は落ち着いた感じになり、より音色がきれいに感じられるようになります。全体の音レベルはほぼ同じなので、好みでテンレススチールかカッパーを選ぶことになるでしょう。ただ良さがわかりやすいのはステンレススチールタイプだと思います。

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専用ケースを装着したSP1000

価格はAK380の発売価格と同じオープンの449,980円(税込み)です。ステンレススチール筺体と言うところを考えると価格据え置きはお得かもしれません。
ステンレススチールは7月7日発売で、カッパーが少し遅れて発売されるそうで、ステンレススチールとカッパーは同じ価格だそうです。

SP1000は新CEO時代の始まりを象徴するような、さまざまな点で刷新された新たなフラッグシップと言えるでしょう。
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2017年06月09日

ついにアップルでもiOS11からFLACをサポートか?

下記のDarkoの記事にありますが、ついにiOS11からは念願のFLACサポートが行われそうです。
http://www.digitalaudioreview.net/2017/06/native-flac-support-coming-to-ios-11/
これはiOS11で新しく加わったFilesアプリでまず可能になっているようで、iOS11ベータをテストしたReddit(アメリカ版の某巨大掲示板)のユーザーも、上記記事のDARKO自身も確認しているそうです。
たとえばiCloudにFLAC音源をアップロードして、FilesアプリでそれをアクセスしてFilesアプリで再生という形です。DARKOはハイレゾファイルも再生可能だったとしています(ただし真にハイレゾ再生されているかはわかりません)
iTunesやMacではまだわかりませんが、ちょっと期待させられるところです。
posted by ささき at 08:01 | TrackBack(0) | __→ スマートフォンとオーディオ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月06日

HDtracksがハイレゾストリーミングサービス開始か?

下記のAudiostreamの記事によると、LINN recordsと並んでハイレゾダウンロードの嚆矢的な存在のHDtracksがMQAを採用したストリーミングサービスを立ち上げるということです。
https://www.audiostream.com/content/hdmusicstream-hdtracks-new-all-mqa-streaming-service

どういうふうに運用されるかはわかりませんが(おそらく米国のみと思いますが)、MQAの採用などちょっと気になるところです。
posted by ささき at 08:34 | TrackBack(0) | ○ PCオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする