以前に書いたようにADELモジュールには耳を守るというほかに、音質を変えるという効果があります。これは裏技的なものではなく設計で意図したものです。前の記事は下記リンクです。
64 AudioのADELモジュールによる音質の差(S1とB1)
本記事ではMAM(マニュアルモジュール)の解説をします。
MAMモジュール
現在のところ存在するモジュールはすでにレビューした、S1(銀、標準)とB1(黒)の他にMAMとG1があります。S1とB1はAutoモジュールと呼ばれていますが、MAMはManual Adjustable Modules、マニュアルモジュールのことで、いわばベントであるADELモジュールの開度(密閉度)を自分で調整できるものです。S1/B1はAutoと呼ばれていますが、むしろプリセットと言ったほうがよいでしょう。MAMでとれる開度のうちで固定した開度を持つものです。(Autoの意味は聴覚が自然に慣れるという意味を含んでいるようです)
G1はやはりAutoモジュールですが、S1/B1とは異なった薄膜(第二の鼓膜)のデザインのようでさらに低域の質が良く、低域がクリアに出ると書かれています。
ADELモジュール、左からMAM、S1、B1
S1とB1では動かなかったつまみの部分がMAMではねじのように動きます。ゆびでつまんで4-5回しくらい動きます。実際にS1とB1と聴き比べてみましたが、一番の違いは低域の量感とタイトさ(引き締まった感じ)で、全体的な音調もやはりゆるい音からシャープな音に変わります。
MAMの構造(画像はAsiusのサイトより転載)
もっとも開けた位置と、もっとも閉じた位置で比べるとS1やB1よりも音の調整の範囲が大きいように思います。S1やB1はADELのもっとも閉じた位置やもっとも開いた位置ではなく、どちらもやや余裕を残した位置にプリセットしてあるようです。
けっこう音楽を聴いた感覚も異なります。雰囲気重視か、音の正確さ重視か、というような感じです。
音質を調整できるというイヤフォンはよくありますが、これはその中でもかなり自然に変わるものと言えるのではないかと思います。ただしモジュールがややゆるくはまっていて、イヤフォンにつけたままだと回転がわからないので、いったんモジュールを外してから調整する必要はあると思います。
私が購入したのは下記のAsiusのサイトです。私はKickstarterのBackerなので情報が来ているのですが、Asiusではやめたと思われていたダイナミックタイプをいま開発中です(ただし設計はKickstarter時点とは異なっていて、BA版と同じADELモジュールを使うようです)。
https://asius.myshopify.com/collections/all
また知っている人はすでに知っていますが、実は64 AudioがADELという名称をやめてApexとしました。また名前が異なるだけではなく構造的にも違うもののようです。S1/B1というのも64 Audioではいまは取り扱ってなく、現カタログにあるApex M20というのもS1の名前変更だけではなく違うもののようです。(さらにALOのチューブレスのような技術も打ち上げている点も謎ですが)
しかしもともとのADELモジュールのパテントを持っているAsiusの方はそのままADELという名前を使用しているので、さてどうなるのかちょっと状況を注視したいところです。