Music TO GO!

2016年07月29日

JH Audio Layla カスタムIEMレビュー

世に数々のイヤフォン・イヤモニがありますが、その最高峰の一つがJH AudioのLaylaです。
うちのブログでは過去にユニバーサル版のLaylaを取り上げてきましたが、今回はカスタム版の記事を書きます。

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* Layla再訪

Sirenシリーズにはカスタムモデルとユニバーサルモデルがあります。2014年暮れに発表されたLayla(レイラ)とAngie(アンジー)以降はユニバーサルモデルはAstell & Kernとのコラボ製品となり日本ではアユートが販売を担当しています。カスタム版はひきつづきミックスウェーブが担当しています。

レイラはロクサーヌと同じ4x4x4の12ドライバーですが、ドライバーは一新されています。特にクロスオーバーに改良がくわえられ、フラットな特性のために急峻な4次クロスオーバーを使用しています。ちなみにロクサーヌは2次クロスオーバーだそうです。名称はロクサーヌに続いてロック女性名でクラプトンの名曲レイラから取られています(原曲はデレク&ドミノス)。

もともとひとつの帯域に複数のドライバーを配するというのは、ジェリーがJH13で創始したもので、彼のエンジニアとしてのPAの経験から着想を得たと言われます。こうすることでひとつのドライバーの負担が減って、歪みなどが抑えられるというものです。Sienシリーズのロクサーヌではこれをさらに発展させて、各帯域(低域、中音域、高音域)に4つずつを配置しています。
これは特に高域の周波数特性をフラットに23kHzまで伸ばすのに効果的で、Angieの高域だけが4個なのもこの理由です。

一方でマルチウエイにすることやドライバー数を増やすことは一概に有利なわけではなく、不利な点は大型化・高価格化もありますが、音の面では位相を揃えることへの不安もあります。そうしないと音がぼやけて広がり感も失われてしまいます。そこをJH Audioでは特許技術のFreq Phaseで音導管の長さを適正に調整することで、位相の問題を解決しています。実際にJH Audio IEMは音像が鮮明で立体的なのも特徴ですので、この機構は正しく働いていると言えます。

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またSirenシリーズとしては新しいLaylaでは周波数特性を正しく保つために4次クロスオーバーの導入をしています。これは従来(たとえば旧Roxanneは2次)のイヤフォンに比較するとより急峻な特性を確保することができ、帯域分割をより正しくすることが可能となっています。

現在Laylaには発表順に、第一世代ユニバーサル(UF)、カスタムモデル、第二世代(フルメタルジャケット)ユニバーサル(UF)の3つがあります。
標準ケーブルについては少し前に調整して送り返してもらった時に第二世代ケーブルがついてきたので、今購入すると第二世代のケーブルがついてくると思いますが、気になる場合はかくにんしたほうが良いかもしれません。

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パッケージ

Laylaカスタムではシェルの作成から選ぶことができます。
デザインはJH Audioのアンディーのものなんですが、このまえあったときに「あ、おれの。。」と言われてしまいましたが、本人にも「しっかりコピーさせてもらいました」と言っておきました 笑

大きさは12ドライバーのゆえに大きいのですが、カスタムだとそれほどマイナス要素にはならないような気がします。
ドライバーが多いと良いのかというのはなかなかどちらが良いとは言えませんが、ただ経験的にドライバー数が多いものほど音が濃ゆい傾向はあると思います。特にJH Audioではそうですね。

* Laylaカスタムの音

まず一般的な音質ですが、AK380+AMPなどで聴きました。
聴いてみると改めてLaylaのワイドレンジ、高域の鮮明さ、超低域の沈み込みと量感がズバ抜けたレベル。高い方と低い方のレンジの広さがずば抜けてるという感じ。この辺はまさにトップレベルの存在感を感じさせてくれます。ヴォーカルもぽっかり浮かび上がってFreqPhaseらしい立体感を感じられます。
音はフラットで、ケーブルのベースチューニングは標準位置でも超低域がたっぷりあるので低域不足とは感じません。
楽器音の再現は明瞭感が強くて鮮明に聴こえます。濃密で情報量がギッシリ詰まった感じもLayla独特の良さです。

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ロックを聴く時のアタックがとても鋭くインパクトが強いのがLaylaというかJH Audioの良さで、モニターモニターした無機的なイメージがありません。ダイナミックも顔負けってくらいのダイナミックさも兼ね備えてます。
帯域的にワイドレンジで広く、フラットに近く、解像力も高い、と言わば優等生だけれどもただの優等生ではない感じで、おとなしい音ではなくむしろパワフル、つまりフラット・パワフルみたいな感じですね。

* ユニバーサル(1UF・2UF)との違い

Layla 1 UFと同じベース調整にして聴き比べると、音質はほぼ同じだけれども、カスタムのほうが全体により少しクリアで、アタックも強いのが感じられます。言い換えるとLayla 1 UFは聴きやすく、カスタムはより鮮明だがわずか強めで、Layla 1UFとは音質の違いがあるように思えます。
これは別記事で書いたようなLayla 1 UFとLayla 2 UF(フルメタル)との音の違いに似ています。実際にLayla 2 UF(フルメタル)とカスタムLaylaを比べると、そうした差はあまり感じられません。ただし、もちろんカスタムとユニバーサルの違いがあってそうした違いはあります。
たとえば解像度、情報量は同じだと思う。ただカスタムのほうが遮音よくSN高いため、より良い感じはありますね。

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Layla UF(左)とLayla II UF(フルメタル)

はじめはUFとカスタムでは、カスタムの方がフラットでUFの方がFitEarのToGo334的に低域を強調していると思ったのですが、これはジェリーに直接聞いたのですが、カスタムLaylaとユニバーサルではそうしたチューニングの違いは行っていないということです。
つまりはカスタムできちんと耳型が取れて、ユニバーサルでもきちんとイヤチップがフィットできれば同じように聞こえるはずということです。
ただそれでもカスタムとユニバーサルの基本的な違いはあるでしょうし、ユニバーサルでイヤチップで音が変えられるという違いも残ると思います。そうした違いは音の差となると思います。

* まとめ

Laylaの音は周波数特性がよく整って、立体感も高く、音楽を俯瞰的に客観的に見るにはとても適しています。また同時に解像力も高くリアルでありながら、動的で濃く、音楽的に主観的に楽しむこともできます。こうしたパーフェクトはフラッグシップの名に恥じないものです。

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AK70 + Laylaカスタム

そのlaylaを買う時にカスタムとユニバーサルの選択があります。
第一世代ユニバーサル(UF)、カスタムモデル、第二世代ユニバーサル(UF)の3タイプがありますが、すべて比較して聴くと、第一世代ユニバーサル(UF)よりもカスタムの方がやや音質は上(カスタムということを考えなくても)、カスタムモデルと第二世代ユニバーサル(UF)はほぼ同じだと思います。それにカスタムモデルと第二世代ユニバーサル(UF)はそれぞれカスタムとユニバーサルならではの一般的な差異がある(遮音性やシェルの違いなど)、と考えてもらってよいのではと思います。ですので、ここはリセールバリューやイヤチップで凝るか、やはりカスタムでこだわるか、という好みの問題であるともいえます。
第一世代ユニバーサル(UF)とカスタムモデル、第二世代ユニバーサル(UF)の差はケーブルではなく、なにか基本的な部分だと思いますが、そこはよくわかりません。
一時期ロクサーヌのころにJH Audioは納品が遅いともいわれましたが、Laylaでは割と早く届いたと思いました。シェルの調整も一度やったのですがそのときもわりと対応は早かったと思います。事務所が変わってからは改善されたようですね。

カスタムはチタンやカーボンシェルがない分価格的にお得になるともいえます。為替の変動などの恩恵を受けて8/1からミクスウェーブでカスタム製品が求めやすくなるということです(下記リンク)が、このタイミングで最高のIEMをカスタムで入手というのを考える手はあると思います。
http://www.mixwave.co.jp/c_audio/c_news/caudio_news160721_01.html
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2016年07月28日

Astell & Kernの新しいエントリー機、AK70レビュー

AK70はAstell & kernの新しいエントリー機で、直販価格で69,800円と他の製品ラインナップより一段低い設定がなされています。位置づけとしては従来のAK Jrに相当しますが、実売価格が低下しているAK100IIともライバルとなるでしょう。また単なるエントリー機とは言い切れないような魅力を持つ機種となっている点がポイントです。以下、その解説をしていきます。

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AK70は"MUSIC FRIEND IN MY POCKET"というキャッチフレーズの通りに、かつてのAK100をも彷彿とさせる理想的なフォームファクターを持っています。やや大型化してポケットにはきつくなってきた第3世代機のシリーズよりはだいぶコンパクトで軽量化されました。サイズは96.8x60.3x13mm、重さは132gと数値的にも小ささが分かります。特に持って見ると軽さが際立ちます。ボリュームガードが付いているのもポイントになるでしょう。実際にポケットに出し入れしてもあまりボリュームが不意に変わるということはあまりないように思います。

ぱっと見た目にはAK240の外観をベースにしたようにも思わせますが、実際に第二世代を感じさせる個所が随所にあります。たとえばホームボタンが第3世代のようなメタルタッチではなく液晶の再下部にあるところや、DACにCS4398を採用しているところです。第二世代もなかなかに優れたところがあったわけですが、その点をうまく抽出してエントリー機に仕上げた感じです。カラーもミスティミントというライムグリーンのような夏向きのさわやかな配色です。パステルカラーのような淡い色彩の使い方も良く、この点もユニークです。ボリュームガード周りなど細かい点の作り込みもなかなかよく、全体的な質感もたかくしあげられているので、Astell & Kernブランドを購入したという所有感も十分満たされると思います。専用ケースは付属していませんが、別売で用意されます。

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デジタルプレーヤーの心臓部であるDACチップはCS4398をシングルで採用しています。CS4398はスピーカー向けオーディオ機器にも良く使われていてシーラスロジックのトップクラスのモデルです。その点ではAK JrのDACチップはWM8740という普及タイプですから性能的にはAJ Jrと比較すると十分な向上と言えます。
シーラスロジックの音はわりと暖か系で、今回のAK70のダイナミックな音調にもあっていると思います。AK4490というかAKMはどちらかという分析系なので上位機種のフェムトクロックを採用したAK3x0シリーズによりあっているように思います。

内蔵メモリは64GBとAK Jrからは据え置きとなりました。このほかに従来通りMicroSDスロットがひとつ使えます。デジタルプレーヤーとしてはもう少し欲しいところですので、できればMicroSDスロットが2つ使えるようにしてほしかったところですね。

機能的にはAK Jrからは大幅に改良されて、ほぼ上級機種に近いものとなりました。
まずバランス駆動ができるように2.5mmバランス端子が付きました。エントリー機にもバランス端子が採用されることで、2.5mm規格もより広まることが期待されます。
またオーディオ回路設計も新規のものとなっているということです。このアンプ部分の強さがAK70の強みの一つになっていると思います。

ソフトウエア的にもほぼ上位機種と同じ操作系であるUIが使用できます。私はAK Jrも薄さや迫力のある音がけっこう気に入っていたのですが、使うたびに閉口してしまうのはスクロールやリストをするときの遅さです。これはAK70では上位機種とは遜色がない程度にスピードアップされ、不都合を感じることはなくなりました。
またトップメニューのアートワーク拡大機能(ボタン部分の面積を減らせる)のように一足早く上位機種よりも早く取り入れられた機能もあります。のちに述べるUSB出力機能もそうですが、AK70は残ったエントリーラインナップの刷新というよりも次世代ラインナップの第一陣という観点もあると思えます。

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さらに機能的にも無線LANが搭載されDLNA互換のAK Connectが使えるなど、かなり強力なものです。こうしたIT関係の機能はカジュアルユーザー層の方がかえって先入観なく使いこなせるということもあるでしょう。
ただファイル転送がAK Jrではマスストレージクラスだったけれども、AK70では上位機種と同じMTPになったのでこれはMacユーザーを中心として戸惑うところもあるかもしれません。

しかしなんといってもAK70での注目機能はUSB出力ができると言うことです。はじめに発表された時にはUSB入力機能のタイポではないかと思ったくらいですが、ちょっと驚きでした。
いままではiPhoneにHF Playerなどのアプリを使うことでこれらは可能でしたが、スマートフォンではMojoなどと組み合わせるのも不便で、つけるとスマートフォンとしての利便性も損なわれます。AK70のように専用機のようにくっつけてしまえるのは大きいですね。

そしてネットワークオーディオAK Connect機能とUSBオーディオ出力機能は組み合わせても使うことができます。その可能性はまさに大きく広がります。
音質に優れるバランス駆動端子の搭載、それにこうした先進的なオーディオ機能を組み合わせることができる強力なエントリー機がAK70です。

* 音質

AK70の箱は他と同じデザインですが少し小さな箱に入ってきます。内箱がAK70デザインのように斜めにカットされた面白いものです。

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持った瞬間に軽い!っていう感じ。夏っぽいライム色は思ってたよりメタリック感が控えめでシックです。

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AK70の音質は立体感やパワフルさがあり、アンプの押し出しが強いという感じの音です。力感のあるパワフルさはアンプ部分の音の支配力が強いことを伺わせてくれます。ふつうAstell & kernプレーヤーはエージングにつれて透明感とか解像感が上がる感じですが、AK70の場合はむしろ立体感が上がる感じがするのもその辺かもしれません。
最近はAK3x0系のAKMの音をずっと聴いてきたせいか、シーラスのDACはAKMに比べると甘めなのがピアノの音色に出てることで最近のAK3x0系の音色とも異なるように思います。また高域がやや強調気味か、あるいはトランジェントが高いせいか、全体にはやや若いというか明るい感じの音調と感じると思います。

音の個性がいままでのAKとは少し違うというか、いままでのAKサウンドはマルチBAで良録音の音楽を聴くのに適していたとすると、AK70はもっと元気よくダイナミックドライバーでロックポップ・エレクトロ系の音に合っているように思います。

* 他機種との比較

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それではAstell & kernの従来機とAK70の違いについて書いていきます。

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AK70/AK300

- AK300との比較
AK70はAK300と持って比べてみるとずいぶんとコンパクトで軽い印象です。
AK300はAK3x0系の最新DAC+フェムトクロックという品の良い精密な音再現の延長上にあります。他のAK3x0との音の差は周波数特性を少し中低域に厚みを持たせて動的な音楽に適性を与えたのに対して、AK70はもとより元気の良いアンプのパワーで動的な音楽に合わせたという感じに思えます。音をより精密に解像感高く聴きたいときはやはりAK300の方が上だと思いますが、より塊感のあるパワフルな音を聴きたいときはAK70が良いかもしれません。
たとえばUMのIEMでいうとMavisのような細かい音で音世界を作るタイプはAK300の方が良く、Maverickのように音像の実体感で聴かせるタイプはAK70の方が良いように思えます。
また音質以外にもAK300には第3世代のアクセサリーが使えるという利点もあります。

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AK70/AK100II

- AK100IIとの比較
AK70はAK100IIに対しても軽くコンパクトな印象に思えます。AK100IIも金属的な質感はとても良いと思います。
音質ではAK100IIに対してAK70はぐっと凝縮されたような力強さがあり、一つの音も明瞭に感じます。この理由はDACというより音が速いよう(トランジェントが高い)に思う。叩きつけるようなドラムスとかベースギターのキレやインパクトが強くAK70の方がアタック感が強い印象です。
AK100IIはAKらしい端正な音で音空間の表現は少し余裕があります。AK100IIは一つの音はAK70に比べるとやや丸く、動感やパワー感もあるけれど、ちょっと大人しめです。
全体の解像度は互角だと思うけれど音色の差はあります。音色はAK70は少し明るめでAK100IIはニュートラル、AK70は明るめできれいに感じます。AK100IIは着色感が少ないですね。AK70は高域に強調感があるように思います。
AK100IIはある意味従来のAKらしい音で、静かな音楽をじっくり聞きたい人や、着色なく聞きたい人には向いていると思います。

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AK70/AK Jr

- AK Jrとの比較
AK Jrは薄さでまだまだ存在感を感じさせます。形はとても良いですね。ただしAK70とJrではAK100IIやAK30と違い、バランス端子とかUIやAK connect など機能的に差が大きいのであまり比較にはなりにくいと思います。
音的にも一口で「パワフル」と言ってもAK70と異なる感じですね。Jrはあまり解れず塊感があり、エッジも丸く甘く感じられます。
AK70は他でも感じるけれど、トランジェントが高く、歯切れが良くて速いという感じです。アンプの電流の流れの立ち上がり立ち下げが速いという感じでしょうか。AK70ではJrに対してDACもグレードアップになるのでそれと相まって明瞭感がJrよりもだいぶ良く感じられます。AK70は全体にJrより整って明瞭感が高く、メリハリがありくっきりと音像を形作ります。
こうしてJrと比べるとAK70が単に中低域を盛り上げただけの機種ではないのが分かるようです。

* イヤフォンの相性

AK70は個性的な音でもあり、イヤフォンとの相性を見つけるのもまた楽しみです。

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AK70+FitEar Air   

-FitEar Air
イヤフォンの相性としてはダイナミックドライバー系がまずとてもあうと思います。いろいろと使ってみて一番良いなと思ったのはFitEar Airで、これに銅線系のBlackDragonリケーブルをして使ってます。

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AK70+FitEar Air

ダイナミックフルレンジ+BAツイーターの構成が生きてAK70のダイナミックな迫力がよく出てます。フォステクスのドライバーがいい味出してる感じで、音場も独特の立体感がいい。 特にバスドラのパンチの強さはいままでのAKにはなかったパワー感があります。打ち込みのベースサウンドなどは特にファームアップしてから歯切れが一段とよくなった感じですね。

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AK70+JH Audio AngieII   

-JH Audio AngieII
またAK70はトップグレードDACのCS4398を採用していますので、基本性能も実はとても高いというのはJH AudioのAngieIIを組み合わせるとよくわかります。
パワフルで荒っぽい音のようだけどある意味素直でもあり、この組み合わせはワイドレンジで低い音から高い音まできれいに再現され、なおかつパワフルさも楽しめます。この価格帯のDAPとは思えないような充実した音表現を聴かせてくれると思います。

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AK70+JH Audio AngieII

また音調的にやや明るめのAK70がAngieIととてもよく合うように感じますね、これは好ましいという言い方をすると上級機よりもむしろAngieIIの方がAK70と合わせて好ましい音を再生しているように思えます。カラーリングもライムとレッドでいい感じ。

-AK T8iE MkII
そして最新のAK T8iE Mk2も高性能ダイナミックの実力を十二分に生かして、AK70のダイナミックさ、充実した基本性能の高さを活かしてくれます。ベースの迫力もまさに「ダイナミック」でパンチが強力、一新された新ケーブルの透明感の高さも際立ちます。特にAK T8iE Mk2ではバランス接続でいっそう切れ味の良さが引き立つように思います。

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AK70+Campfire Audio NOVA

-Campfire Audio Nova
AK70とCampfire Audio NOVAも厚みを増したNOVAの音表現が力強いAK70によく合うようで、ヴォーカルもいい感じに聴こえます。

* USBオーディオ出力機能について

AK70の目玉の一つはこのUSBオーディオ出力機能です。(現在では第三世代でもファームアップで可能となっています
これはつまりUSB DACであるMojoがiPhoneを音源のソースとして使えるのと同様に、AK70を使えると言うことです。AK70をあたかもPCのように考えてUSB DACをつけて再生ができると言うことです(もちろん制約事項はあります)。しかもDSDネイティブ再生が可能です。
たとえば素のAndroidでも48kHz程度でも不安定で満足なUSBオーディオ出力はいまだできていない状況ですから、これは画期的なことです。つまりAndroidのUSBドライバーは使うに足りませんから、サムソンのように独自でLinuxレベルのドライバーを書くか、あるいはUAPP(USB Audio Player Pro)のようにアプリレベルでドライバーを持つかのどちらかとなります。
対応フォーマットはPCMでは 384kHz/32bit、DSDではなんとDoPでDSD128(5.6MHz)まで対応しています。光出力では384kHzまでサポートしませんし、DSDネイティブ再生もできませんので将来性がある方式ともいえます。
(ただしAK70では光デジタル出力がありませんので注意ください)

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AK70 + CHORD Hugo

USB出力の音はMojoとHugoで試してみました。USB出力の切り替えは画面上のアイコンで行うことができます。出力中は出力しているフォーマットが音源のフォーマット表示の横に表示されます。MojoもHugoも両方ともあっさりと簡単につながります。USBケーブルはOTGケーブルが必要で、アユートさんではOTGケーブルも販売しているようです。私は他のDACについていた短いケーブルを使ってみました。

-MojoとHugo
AK70単体の音と、AK70+Mojoの音をくらべてみると、録音の単純な曲ではわりと差がわかりにくいくらいAK70の優秀さが逆にわかったりしますが、やはり良録音で比べるとMojoの方がより正確に細かく音を出していると思います。
AK70単体の音と、AK70+Hugoと比べると、HugoではSD端子(48kまで)とHD端子と両方使えますが、SD端子でもMojoよりも音の差は大きくHugoのアンプのパワー感がよく出てきます。特にHD端子を使った時にはかなり魅力的な音です。特にハイレゾ音源はAK70単体とは差が大きく出ると思います。ここはDACの差がやはりHUgoならではパルスアレイDACの能力を感じます。ただHD端子だとたまにぼつっぼつっとノイズが入ってしまうことがあるように思います。私のHugoは生産前のものなので、この辺は現在のモデルでも出るかはわかりませんが、、

Hugo HD端子との音はすごい別物感があって据え置きDACを運んでいるように感じられます。このくらい音の差があるとでかいHugoを持っても魅力的におもいます。もともとHugoはUSB HD端子を使ってPC/Macから音出しするのがもっとも高音質だったのでそれをポータブルで実現できるのはHugoユーザーにとって福音となるでしょう。
この辺はもう少し良いケーブルを使ってみたい気はしますね。

-そのほか
これもまた別物の音が期待できるALOのCDM(Continental Dual Mono)と組み合わせてみましたが、こちらは残念ながらUSBを認識しませんでした。これと組み合わせられると真空管でまた良かったのですが、ここはまたファームアップがあったら試してみます。
またiQube V5もUSB経由で別物になる予感がありますが、これはiQube側がMini USB端子なので適当なケーブルかアダプタが見つかるまでお預けです。

* まとめ

簡単にまとめると、パワフルで迫力のある音質、上級機ゆずりのバランス駆動端子の搭載やネットワークオーディオ機能などを兼ね備え、さらにUSBオーディオ出力の搭載などはじめての機能を搭載した、ポイント満載のパッケージがAK70であると言えます。

個性の強いアクティブな音の世界が楽しめ、容易にポケットに入れられ、Mojoトランスポートの役にも立てるというところはベテランユーザーも魅力的なところでしょう。
バランス端子が使え、ネットワーク機能が使えるという点はエントリークラスのユーザーには嬉しいことだと思います。きれいなミントカラーはいままで興味のなかった女性ユーザーも思わず店頭で手に取るかもしれません。そうした広い層に訴求する魅力があります。

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AK70 + JH Audio ROSIE

AK70はUIの新機能やUSBオーディオの搭載など単にエントリー機の刷新とだけ言えるようなものではなく、AK70はAK Jrとはくらべるのはあまり意味がないかもしれません。エントリークラスというよりは、むしろAstell & kern新時代の先陣を切ったコンパクトモデルがAK70であると言えるのではないかとも思います。
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2016年07月27日

Westoneからワイヤレスアダプター発売

iPhone7からイヤフォン端子がなくなるといううわさを受けて、Bluetooth派とライトニング派に分かれてイヤフォンの世界も進んでいますが、WestoneからはWestone Bluetooth cableが登場しました。
これはMMCXコネクタを備えたBluetoothアダプタで、従来のWestoneイヤフォンをワイヤレス化できるというものです。WestoneのMMCXコネクタはややくせがあるので、専用の機材だと安心ができます。他社イヤフォンもMMCXで合致するものは使えます。またAPT-Xも対応しています。
製品ページは下記リンクです。
http://www.tekwind.co.jp/products/entry_12953.php

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持続時間は8時間ということでかなり長持ちですね。3ボタン採用で通話も可能です。またスマートフォンのSiriやGoogle Nowなどの音声入力にも対応しています。
BT4.0対応で10m届くと言うことで距離的には十分でしょう。身につけるものなのでIPX4防滴対応がなされています。

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使い方は簡単で、MMCXコネクタにイヤフォン(W60など)を装着するだけで、あとは充電をしておきます。
ケーブルはしなやかで平たいもので、首の後ろに回して、余りを締めます。

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完全ワイヤレスほどではないけれど、かなり自由度はあります。私のように始終スマホ持ってるとスマホが自由な点がとてもいいですね。
ケーブル側のボリュームと合わせると十分な音量が取れます。本機はBT4.0対応なのでiPhoneの場合は電池残量はiOS9.0以降では通知センターとステータスバーで分かります。本機では20%単位のようです。

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iPhone5sと6でテストしました。5SはBT性能が6に劣りますが特に大きな問題はありません。iPhone5sの上部のBTアンテナ部を手で覆ってもオーケーです。iPhoneを尻ポケットでもバックパックに入れたままでも大丈夫でした。

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音を聴いてみましたが、ちょっとしたポータブルアンプがついてるみたいに力感を感じる音でなかなか良い感じです。イヤフォン一体型と違って、このアダプタタイプは高性能イヤフォンをつけることも多いので音質的には要求も高いんですが、UM56/W60とiPhone のFlac PlayerやFantabitなどで使っても満足いく音だと思います。
ただ初めは甘く感じるのでエージングした方が良いです(このタイプはエージングしずらいんですが)。

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他社機でも使えるのでCampfireの話題機であるAndromedaを付けてみました。こういうなかなか面白い使い方も可能です。
店頭発売開始日は7月30日(土)を予定、価格はオープンですが、市場想定価格は19,800円前後ということです。
WestoneのBluetoothはポタ研で!
posted by ささき at 13:03 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月23日

オリオスペックでのPlayPoint試聴会終了

オリオスペックさんでのexaSoundのPlayPointの試聴会終わりました。参加の皆様はありがとうございました。様子は下記のエミライさんのfacebookページに紹介されています
https://www.facebook.com/emilai.inc/
大画面でRoonのスクリーンを映して行いました。

Roon色濃く、PlayPointを使ってUSB直とネットワーク(RAAT)経由での音の差、PlayPointとMac上のRoonBridgeとの音の差、DLNA(OpenHome)構成とRoon構成での音の差など盛りだくさんの内容で、参加者の質問も多く関心の高さがうかがえました。
こうして次々につなぎかえるとRoonの設定の柔軟さ、安定性というものを改めて感じさせてくれました。PlayPoint/e22も音もよく、システムを変えても設定をいちいち変えなくてよいなどなかなか素晴らしい機材だったと思います。こうした先進的な機器がますます広がるとPCオーディオもまた活気づくのではないかと思います。
posted by ささき at 21:16 | TrackBack(0) | ○ オーディオショウ・試聴会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月20日

オリオスペックでexaSoundのPlayPointの試聴会を開催します

今週末の土曜日に静音PCで有名なオリオスペックさんでエミライさんの発売するexaSoundのPlayPointの試聴会を開催します。そのさいの解説を私が勤めます。下記はオリオスペックさんのブログです。
http://www.blog.oliospec.com/?p=411

内容としてはPlayPointの特徴を解説していくのですが、数々の機能のなかでもRoon色濃く進めようと考えています。内容的にはPhilewebに書いた記事の一回目を実地で聴いてもらうという感じにしようかと考えています。もちろん可能であれば他のプロトコルで試したり、来場の方が自由に試せる時間も設けるつもりですので、製品としてのPlayPoint、機能としてのネットワークブリッジ、そして話題のRoonについてみてみたい、などなど興味ある方はどうぞご来場ください。試聴したい曲はUSBメモリにもってきてもらえれば再生することができると思います。

posted by ささき at 22:17 | TrackBack(0) | ○ オーディオショウ・試聴会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月15日

Beat Audio Signalの8芯タイプレビュー

Maverickカスタムに相性抜群というか、私のマベカスさんにつけっぱなしになっているBeat AudioのSignalケーブルに8芯版が登場しました。
「Beat Audio Signal 8-Wired」です。ホームページはこちらです。
http://www.mixwave.co.jp/dcms_plusdb/index.php/item?category=Consumer+AUDIO&cell002=Beat+Audio&cell003=Signal+8-Wired&id=127

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ミックスウエーブの今週末の秋葉原ポタフェス会場限定商品で、MMCX/2pin/FitEarのタイプに3.5mmと2.5mmバランス、および3.5mmの4極分離タイプの端子を選べます。この選択の豊富さも自製パーツを得意とするBeat Audioならではのものです。
http://www.e-earphone.jp/blog/?p=49870

Signalはその名の通りに信号を正確に送るために銀にレアメタルを混合すると言う手法を採用しています。外観は黒一色で飾りがなく音に飾りがないことも示しています。ケーブルは柔らかくて取り回しが楽なことも特徴です。基本的な音の特徴は透明感が高く、さらに楽器の音の歪感が少なく正確に聞こえる点です。また楽器の位置関係がつかみやすく、ある意味素直な特性ですが音楽の熱気をそのまま伝えるかのようなリアルさをも感じることができます。
この8芯モデルは通常の4芯モデルを倍にしたということになります。

上のホームページでは8芯にすることで得られる点は低域の高い再現度であると書いています。解像度を保ちつつも、より深く、より太い低音域が得られるということです。
ただ聴いてみるとその効果は全域で大きく、Signalをさらに1レベル上に引き上げています。

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8芯モデルは通常のシグナルよりかなり太いというか、二本が対の依り線となっています。
太いけれども、しなやかなので取り回しにはそれほど難は感じません。私はWhiplashの上級モデルの8芯も持っているんですが、それは取り回しが硬すぎて普段使いがちょっとできないくらいです。それに比べるとSignal8芯は通常版よりは取り回しにくいですけど、これくらいなら普段使いできる程度のものだと思います。
SuperNovaだと線が硬いんですが、Signalの良い点の一つは線が柔らかいと言うことなので8芯に向いてるかもしれません。

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左4芯タイプ、右8芯タイプ

さっそく2pin/3.5mmタイプをMaverickカスタムにつけてAK380+AMPで聴いてみました。

まず感じるのは音が空間に広がる感じがちがうということで、音のスケールが一レベル大きくなったという感じです。広がりという意味のスケール感だけではなく、より全体には音がクリアで豊かになったように感じられます。より微細な音が感じ取れるようになったように思えます。これらがあいまってSignalが1レベルブーストされた感じです。低域だけが改善される訳ではありません。通常モデルと聴き比べるまでもなく、全体的により鮮明になり聴いて差はすぐにわかります。

さらに通常の4芯モデルと聞き比べてみると、細かいところでは楽器の音がより鮮明となり、より音の輪郭が鋭くなるのが分かります。もとの4芯ケーブルに戻すとやや甘く感じられるほどです。
また周波数帯域的によりワイドレンジになり、高域がよりシャープに伸び、低域はより深く聴こえます。
女性ヴォーカルの声はより聴き取りやすくなり、より細かいニュアンスがよくわかるるたとえばジャズヴォーカルのささやくようなヴォーカルは4芯よりもよりリアルで明瞭感が高く感じられます。環境音の入ってる音楽ではさらにぞくっとするほどリアルです。

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聴き比べるとやはり4芯よりも8芯の方がよりリアルで鮮明に音楽を楽しむことができます。Maverickカスタムの持つ音像型としての魅力を引き出すと思うし、Signalという信号をストレートに再現するという意味でもよりリアルな音再現ができるようになったと思います。
日頃聴いてるハイエンドIEMの音をさらに一段リアルに引き出したい人にお勧めです。ぜひミックスウエーブさんのブースでチェックしてみてください。
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2016年07月14日

Headroomの帰還

Headroomは長らく独自製品の開発を止めてましたが、ここに新製品を発表しました。据え置き型ヘッドフォンアンプのHeadroom Standardです。


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Headroom Standard (画像は上記ページから転載)

Headroomは"headphone.com"というアドレスでも推察できるようにこのヘッドフォンオーディオ、ポータブルオーディオ界隈の老舗と言えます。
バランス駆動ヘッドフォンアンプもHeadroomのBlockheadが始まりです。バランスプラグがなぜケーブル二本という変則的なものかというと、Blockheadが二個のアンプを物理的にくっつけたブリッジ構成だったからです。その後これがデファクトスタンダードになりました。
もともと「バランス駆動」という言葉は、私が2006年に下の記事を書いた時にHeadroomが使っていた"balanced drive"という言葉を日本語に訳したものです。

ポータブルアンプでもコンパクトで世界初のUSB DAC内蔵型ポータブルヘッドフォンアンプのBitheadあたりから大型まで幅広く手掛けていました。

しかしHeadFiを中心に盛り上がりを見せたこの業界ですが、一時期アメリカが不況の底になって創設者のアロハシャツで有名なTyll Hertsensが去り、新規開発は凍結されてきました。
古くからのファンにはそうした寂しい状況が続いてきたわけですが、新製品のHeadroom Standardをもってこの古巣に帰還した訳です。

Headroom StandardはHeadroom創設時のアンプの名称ですが、それをまた使用してやり直すということでしょう。
もちろんこのStandardは最新の平面型ヘッドフォから高感度イヤフォンまで広く対応できるように新設計され、それでいてスタンダードという名のようにシンプルにストレートに設計されているようです。機能もゲインとプリアウト設定など最小です。ダイアモンドバッファの採用も伝統のものだったと思います。
ただHeadroomというとクロスフィードが有名だったんですがこれは今回は省いたようです。さっそくブログのコメント欄でも突っ込まれてますが、回路設計をクリーンにするためということ。

Headroom Standardは期間限定で$299ということです。
そういえばしばらく前にJeremyがヘッドフォン祭の視察に来てたのを思い出しました。
Headroomの音はいわゆるアメリカンサウンド的な元気の良い音なんで、その元気良さの復活が楽しみです。
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2016年07月13日

完全ワイヤレスイヤフォンの技術(1) - NFMI

左右独立した完全ワイヤレスイヤフォンを達成する技術の一つとして前回の記事で取り上げたBragi Dashに採用されたNFMIですが、その後少し調べてみました。
NFMI(Near Field Magnetic Induction)とは電波(RF)ではなく、電磁誘導を利用する技術のようです。ただし電波のように変調して情報を載せることができるのであたかも至近距離にしか届かない電波のように使えるということ。だいたい2m程度が限界でそれより外には届かないので逆にセキュリティの高い通信としても使えるそうです。
NFMIはFreeLincという会社の独自技術のようです。
http://www.freelinc.com/technology/

freelinc1.png   freelinc2.png
(画像はFreeLincページから転載)

主に補聴器用に用いられていたそうで、歴史は長いということ。身につける携帯電話との中継機と耳のデバイスを接続するのに用いられるそうです(この場合は携帯と中継器はBT)。
球状に広がるのでまず人体で遮られるということはなく、水を貫通できるので水泳でも使えると言うこと。Dashならば内蔵4GBメモリがあるので、水泳に使える唯一のステレオイヤフォンとなるでしょう。もしかするとDashがNFMIを採用したのは左右の音切れというよりも、むしろ水泳とかエクササイズ的な側面からかもしれません(Dashは水深1mの防水)。
省電力にも向いているようです。またマルチチャンネル通信も可能ということ。もちろん電波ではないのでBTのようなWiFiとの干渉もありません。電車みたいにWiFi密度が濃いところでは特に良さそうです。
良さそうですが、弱点は情報量が少ないことでBT4.0の3Mbpsに対してNFMIでは596Kbpsと制限があるようです。

実際に海外のワイヤレスイヤフォンのフォーラムで聴いてみたところ、EARINのような右だけの音切れはDashではまず起こらないということです。ただしDashはiPhoneとデバイス自体の音切れが頻発するそうで、EARINではこれはあまりありませんから、製品としては長短あるということになりますね。また音質においてもEARINとDashをくらべるとEARINの方が良いと言う人がいたので、製品的な問題かもしれないけれども、もしかするとDashは情報量制限の問題でそうした弱点もあるのかもしれません。APT-Xを採用できないのもこの辺でしょうか。

総じて言うとNFMIは左右の音切れ対策には有効ですが、音質的には不利であるかもしれません。ただ製品数が少ないので今後この方式が使われることをちょっと期待して見ています。
また他の完全ワイヤレスイヤフォンであるKANOAは左右接続をBluetoothに独自技術を加えているということで、NFMI以外の取り組みもまだありそうです。
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2016年07月12日

Roonとメモリー再生

RoonフォーラムにRoonでのメモリー再生についての話題があり、開発者が回答していました。
https://community.roonlabs.com/t/does-roon-download-entire-track-into-memory-memory-playback-discussion/12397

まずRoonの人が言うには、真のメモリー再生とは本来はプレイリスト全部をメモリー上に展開しなければならない。つまり、ある曲がメモリーに展開されていても、メモリーに展開されてない曲を読むときにファイルアクセス動作が発生するから、再生される可能性のある曲(プレイリスト)はすべてメモリーにあるべきだということです。
しかし実際にそうするとプレイリスト全体をメモリ展開するのに時間がかかり再生が遅れる(これはRoonのユーザーエクスペリエンス重視に反する)。またプレイリスト以外の曲を選択できなくなる(その時点でファイルロードが発生するから)という問題点があります。だから真のメモリー再生というのはどのプレーヤーソフトでも実際には行われていないということ。

Roonで行われているのは、ある固定サイズのバッファを用いて、継続的に少しずつ曲データをメモリに読み込むというものだそうです。たとえば他のプレーヤーソフトのメモリ再生にありがちな、ある曲が終わったときに次の曲をメモリに読み込むと、その時点でPCに負荷がかかるため、Roonでは急に負荷がかかるのを避けるために継続的に少しずつ読むということをしているそうです。

いずれにせよRoonは軽量プレーヤーソフトではなくライブラリ管理など重いソフトなのでそうした「メモリプレーヤー」のようなソフトとは一緒にはできないということも言ってます。
たとえばライブラリを定期的に監視したり、TIDALとも連携が必要(Tidalキャッシュの管理も必要です)、さらにマルチゾーン・マルチユーザーのソフトなので、いつファイルを読んでもすぐに再生できるようにしなければならないことなど。
またそもそもRAATでメディアサーバーと聴く環境を切り離しているのはそうした機能面と音質面を妥協しないためだということ。つまりRoon Output(またはBridge)では(前にうちの記事でも書いたように)楽曲を読み込むという動作はないので、実質メモリープレイしているのと同じだということです。くわえて物理的・電気的にハードディスクと再生装置をRAATで切り離すことができます。

Roonの人が言うにはRoonはユーザーエクスペリエンス重視および多機能でありさらに新しい再生モデル(RAAT)を持っている、操作性お構いない軽量メモリプレーヤーソフトとは一緒に考えないでくれ、という感じではあります。
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2016年07月11日

UM Mavisカスタムレビュー

MavisカスタムはMavisユニバーサルをベースにカスタム化したものです。Maverickカスタム同様にUnique Melodyと日本のミックスウェーブとの共同で開発された製品です。

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ミックスウェーブに聞いてみたところ、MaverickとMavisは同格のモデルとなると言うことです。個性の異なるモデルを同じ価格帯に二つ用意したという感じです。
ミックスウェーブのホームページはこちらです。
http://www.mixwave.co.jp/dcms_plusdb/index.php/item?category=Consumer+AUDIO&cell002=Unique+Melody&cell003=MAVIS&id=124

* Mavisカスタムの特徴とMaverickとの差異

Mavisカスタムの基本的な仕様は3Wayの4ドライバーで、高域xBA1、中域xBA1、低域x2ダイナミックのハイブリッド構成です。
ダイナミックドライバーを使用しているのでベント穴(またはバスレフポート)がフェイスプレートに空いていますが、Maverickとは異なり二つ設けられています。これはドライバーが二基あるからというよりも、二穴合わせて大きな面積を取るためのようです。ベントにはなにか弁の機構があるようなので、ベント機構を大型化するのは難しいので二基にしたという感じでしょうか。これも試行錯誤の結果だそうです。ダイナミックドライバーはMaverickとは異なり、小口径のものが2基採用されています。
スピーカーでも30cmウーファー一発か、より小さいのを二発かという選択がありますね。スピーカーの場合は小口径二発の方がスピードとか正確さでは上だけれども、大口径一発には独特の迫力があるという選択だと思います。ただイヤフォンの場合にはまずサイズ制約があるので必ずしもこう通りというわけではないでしょうけれども。

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Maverickカスタム(左)とMavisカスタム

MaverickとMavisの関係は、ある意味兄弟ともいえ、また異なるものだともいえるでしょう。
MaverickとMavisは低域(20-40Hz)の質の向上というテーマに関しては、それを異なる手段(Maverickなら大口径ダイナミック+BA、Mavisなら小口径ダイナミック2発)で実現した兄弟機ともいえる面もあります。しかしながら、それよりも違いはむしろ全体的に異なった音の個性を目標に作られたと言う方が正しいようです。(中高域のBAドライバーもMaverickとは異なるようです)
それはMaverickでは楽器音を鮮明に聞くと言うことを目指しているのに対して、Mavisでは音楽全体を楽しく聴くというコンセプトのもとに設計されているからだそうです。

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また新規投入された技術もあります。それは音導管に金属の合金チューブを採用している点です。これはマルチドライバーIEMを作る上で音導管が増えてくるとそれ自体が曲がったり劣化したりするリスクがあるため、音を正しく出す保障として合金製を使っているということのようです。つまり、音を設計通りに確実に出すためであり、音を変えて良くするためではないということです。またカナル部分の強度を上げるという意味もあるようです。


* パッケージと外観

Mavisカスタムは立派なボックスに入ってきます。

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カスタムの場合はプロ用(つまり業務用)になるので大抵は簡素に段ボールにくるまってきたりしますが、ユニバーサルのような立派な店売りのパッケージに入っていました。

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このカスタムシェルはDalbergiaというウッドフェイスプレートを使っています。
http://www.mixwave.co.jp/c_audio/caudio_product/unique_melody.html

* Mavisカスタムの音質、Maverickとの音の差

ダイナミックが二発入っているのでたっぷり一週間くらいエージングしてから、AK380単体と標準ケーブルで聴きました。
ぱっと聴いて思うのは音の広がりがとても三次元的で空間に広がるようだ、ということです。はじめて聴いたのはヴァイオリンのソロなんですけれども、広い教会の響きの良いホールで朗々と音が響きながら鳴っている感じがよくわかります。全体にきつさも少なく、スムーズな感じです。

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次に思ったことは低音がとても深く豊かであるということ。とてもワイドレンジで堂々たる音再現です。上に透明によく伸び、下に深くよく沈みます。この低音の質感は独特の重みを感じられます。低域が豊かといっても、低音が誇張されているというのではないと思います。低音の質感が優れているという感じでしょうか。ヴォーカルは埋もれずに鮮明に浮き上がるように聞こえてきます。

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またMavisではとても線が細く繊細に聴こえます。これは弱弱しくか細いという意味ではなく、細いペンで鮮明に美しく文字を書いている感じでしょうか。音の細かさ、情報量の豊富さという点でももちろんとても優れていますが、Mavisカスタムで特徴的なのはそうした細かな音のつふつぶが全体的に広がりの良い音空間を滑らかにスムーズに作り上げているという感覚です。Mavisはやや客観的で少し引いた感じの音再現で、音楽を俯瞰的に見せるように聴かせてくれます。たとえばエンヤのような雰囲気感を生かしたい曲を聴くにはうってつけではあります。美しい音楽を美しく聴ける優美さがあるといいましょうか。

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MaverickカスタムとMavisカスタム

この点でMaverickとは好対照かもしれません。Maverickではもっと耳に近くステージの中に入り込むように音を体験させてくれる感じです。Maverickはもっとエネルギッシュで、Mavisは冷静で静的です。
ただMavisとMaverickで共通してるのは楽器音のキレがシャープで鋭く、音の明瞭感が高いという点だと思います。違いは音全体の表現が音象の描き方で積極的に出てくるか(Maverick)、少し客観的的で空間的か(Mavis)、という点でしょうか。ですからMavisの音が音楽的とか空間的と言ったとしても、それが甘いスローな音ではありません。いわゆるウォーム感のある音ですが、鈍いとか甘いではなく、きりっとシャープで柔らかいという感じです。

はじめにMavisで聴いたバイオリンのソロ(Beyerのバロック・バイオリン)をMaverickで聴くと、ホールにバイオリンが間接音で響いているというよりも、アーティストの近くから直接音でダイナミックに音の響きを受けているという感じになります。バロック・バイオリンという古楽器らしい特別な響きをもった音を近くから直接楽しむのがMaverickなら、ホール全体の音の広がりを楽しみながら良い席で音楽を聴くのがMavisという感じでしょうか。

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こう書いてくるとMavisはクラシック向けのように聞こえるかもしれません。それはそれであっていますがMavisでメタルを聴いてみるのもいいです。ダイナミック二発の威力か、やや能率が高いせいかパワフルさもかなり良いと思います。また音がかたまりのように飛んでくるのではなく、迫力のある中にもやや整理されて聴こえるので、メタルをあくまで音楽として聴ける感じですね。ドラマーとかギタリストの神プレイにこだわりがある人にもよいでしょう。

冒頭でMaverickとMavisの違いを少しかきましたが、Maverickでは楽器音を鮮明に聞くと言うことを目指しているのに対して、Mavisでは音楽全体を楽しく聴くというコンセプトはそのまま生かされていると印象を受けます。その中で、MaverickとMavisの低域アプローチの違い(ダイナミック2発かダイナミック+BAか)がうまくいかされているという感じです。

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もうひとつMavisで特筆すべき点は意外と標準ケーブルが良いということです。Maverickではすぐにリケーブルしたほうが良い(Beat Signalがお勧め)ですが、Mavisでは標準ケーブルのままでとても優れた音再現を楽しめます。

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やはりリケーブルしたいという際にはMavisは2ピン端子ですが旧UEのようにケーブル端子は引っ込んでいる点に注意してください。Maverickは引っ込んでいません。
Beatはうまく端子に入ります。SignalよりもSuperNovaなんかがよりワイドレンジにしてくれるようで透明感も上がります。ただちょっと硬めになるので好みはあるかもしれません。

* Mavisカスタムとユニバーサルの比較

次にMavisユニバーサルと比較してみました。

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Mavisユニバーサル

ユニバーサルの方が筺体としては一回りコンパクトに感じられますが、イヤフォンとしてはやや大柄ではありますね。イヤチップを手元にある自分の耳に合うものに変えて試聴してみました。
だいたいの音の個性はカスタムと似たような音ですが、カスタムとユニバーサルではMaverickで感じたように音質はかなり違います。ドライバーは同じで異なるのはチューニングのみという点はMaverickの時と同じですが、音はやはり違います。
低域がより深く沈み、より細かい音が聞こえる感じはカスタムという遮音性の高さから予想される通りの差ですが、この差はスケール感の差となって、カスタムの方がより広い感じが際立ちます。

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MavisカスタムとMavisユニバーサル

またMaverickのときもカスタムとユニバーサルを比べた時に感じたのですが、Mavisでもカスタムの方が全体により鮮明で濃く感じられます。この違いがよくわかりやすいのは低域の違いで、Mavisユニバーサルだと軽く聞こえるペースやドラムスがカスタムではより重く、よりパンチが感じられます。ただし良く聴くと低域のふくらみという点ではカスタムもユニバーサルもそう変わりはないように思います。たぶんカスタムでもより鮮明でキレ良く感じられるという点でそうしたパンチの違いも出てくると思います。なおベントはチューニングには使われないということです。

* まとめ

スピーカーの世界には音像型と音場型という言葉がありますが、それを借りて言うとMaverickが音像型でMavisは音場型であると言えます。
そうした設計のアプローチの違いがそのまま聴覚的にも現れている感じです。Mavisカスタムはホールトーンを感じさせる音場の広がりがあって上質感を感じられます。

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音楽のジャンルはMaverickスタムがハイスピードのジャズトリオに向いてるのに対してMavisカスタムはクラシックのオーケストラという感じですが、実のところMavisカスタムはわりといろいろとジャンルに合います。ジャンルというよりはリスナーの音楽へのアプローチというべきでしょうか、音楽に飛び込むのか(Maverick)、音楽を俯瞰的に楽しむのか(Mavis)という感じです。

そうした意味ではMaverickが優れていたのと同様にMavisも優れたモデルであり、冒頭に書いたようにMaverickとMavisは同格のモデルとなり個性の異なるモデルを同じ価格帯に二つ用意したという意味が分かるのではないかと思います。

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ORIONのデュアル版、Campfire Audio NOVAレビュー

Campfire Audioのもうひとつの最新モデルである「NOVA(ノヴァ)」が7/9に発売がされます。

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NOVAはORIONのデュアル版とでも言うべき設計で、バランスド・アーマチュアドライバー2基採用しています。2基のドライバーをどちらもフルレンジで使用している点がユニークで、フルレンジ2発となります。Kenさんも"Nova is indeed the Orion x 2."と言ってました。音の出る穴が二穴の理由は試聴テストにより、そちらが良かったからだそうです。
なおAndromedaやJupiterで採用されている「チューブレス設計」はNOVAでは採用されていないそうです。また前記事のORIONもやはりそうだということで、前記事も訂正しておきました。Kenさんの話によると、ORIONやNOVAの良い音というのは何か特別な仕組みによるものではなく、適切な音響フィルタの選択や音響設計の最適チューニング、金属筺体の使用によるものだそうです。

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なかなか硬派な外観のイヤフォンですが、イヤホンの筐体には、アルミブロックをCNC加工(コンピュータ数値制御) により高精度で削り出された金属筐体を使用しています。この金属筐体は、音をより正確に伝える上で重要な役割を果たすということで、米オレゴン州ポートランドでハンドメイドで生産されています。

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他の製品と同様にCampfire Audioオリジナルキャリングケースが付属しています。キャリングケースの内部はクッションのようになっており、イヤホンを衝撃から守ってくれます。
イヤホン側の端子には、MMCX端子を採用していて、標準ケーブルに限らず、他のMMCX対応IEMケーブルにも交換することが可能です。標準ケーブルはAndromedaと同じ音の良い新型ですので、あまりリケーブルの必要もないかもしれません。

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イヤチップがいくつか入っているので、音をこれで好みに変えることができます。フォームだと中低域よりで、ラバーだと中高域を伸ばせる感じでしょうか。Kenさんのお勧めはNovaはシリコンラバーのチップで、Andromedaはフォームチップだそうです。
わたしは標準のラバーが耳に合わなかったのでJH Audioのラバーチップを使いました。これだとかなり良いですね。ステムが太いので合わせるチップには注意が必要です。

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事実上NovaはOrionのデュアルドライバーバージョンだけれども、音の個性的には異なった印象を受けます。Orionの音の厚みが増したという感じですね。
全体的にすっきりとしていたOrionに比べるとNovaは中低域に厚みが加わってちっょとピラミッドバランス的な音になったと思います。これでBAらしい線の細さと共にダイナミックでスケール感のある音再現も良くなったと思います。
性能的にはさらに上下の音域が広がって、透明感も良くなったようにも思いますが、これは新しい標準ケーブルの威力もあると思います。

OrionはそつないシングルBAの優等生という感じでしたが、Novaはそれに中低域の厚みという音の魅力と新しい標準ケーブルによる音の性能向上が加わったモデルだと言えます。
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2016年07月08日

RoonReady機器の拡大と非対応機へのRoonブリッジ応用の記事をPhilewebに執筆しました

PhilewebにRoon記事の第二回を書きました。
http://www.phileweb.com/sp/review/article/201607/08/2147.html

RoonReady機器の拡大の背景に触れ、Roonは興味があっても手持ちの機器では対応してないという場合のためにラズベリーパイを応用してネットワークブリッジ(RoonBridge)を作成して、実際に音元試聴室のアキュフェーズ、TADなどのハイエンド機材で実効性を試してます。
またまた濃い内容になったと思いますのでぜひご覧ください。

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しかしこの記事を作ってたうちにもNASのRoon Server対応など、Roon世界はどんどん進化していってます。紹介するほうも追いつくのに大変ですが、これが勢いのあるものの進化のスピード感というものなんでしょう。
posted by ささき at 20:15 | TrackBack(0) | __→ PCオーディオ・ソフト編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月02日

左右分離型のBTワイヤレスイヤフォン、EARINレビュー

この前の左右分離型ワイヤレスイヤフォンの記事を書いていたら自分でもやはり試してみようと、いまさらながらEarinを入手しました。

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Earinはスウェーデンの会社によるワイヤレスイヤフォンで、Kickstarterでも成功を収めました。ドライバーはBAシングル(Knowles SR)です。
特徴はBluetoothを使用していて、左右分離型であり左右ユニットを結ぶケーブルを排したという点です。この辺は下記リンクの前回記事を参照ください。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/439219276.html
KickstarterのときはBTの分離型は面白いけど製品としての音質的にはどうかなあと見送りしたのですが、結果的にはやはりあのとき入れとけばよかったと思います。Kickstarterは玉石混交ですが、Earinはあたりですね。

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パッケージはいわゆるApple風というか北欧風というか、シンプルで感じのよいデザインで、中箱がマグネット閉じになっているのもアップルっぽさを思わせます。やはりスタートアップのお手本はアップルなんでしょうね。

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耳栓型ともいわれるEarinはさすがに小さく軽いと感じます。付属のカプセル(ケース)はモバイルチャージャーも兼ねていますが、価格にしては高級感もあります。

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このほかにiPhoneのアプリも用意されています。アプリではBluetoothでユニットと交信してバッテリー残量の確認、左右のバランス調整、低音増強ができます。スポーツに使う時には本体を耳たぶに固定しておけるラバーのスタビライザ(耳とめ)もついています。

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Earinの特徴としては簡単に使えると言うことです。左右ユニットはカプセルから出すと電源オンとなり、しまうと電源オフとなります。またカプセルに格納するとカプセルから本体ユニットに充電がなされます。カプセルは家で充電しておきます。本体もカプセルもフル充電に要するのは75分とのことです。
Earin本体はスペックでは2時間50分もつとされています(ステレオモード)。カプセルは2-3回のチャージができるので、カプセルと組み合わせることで一日の持ち出しには不都合のないように出来ています。実際に使ってみると通勤ではまず不便を感じないと言うか、思ってたよりも電池はもつ感じです。バッテリー残量はアプリから確認ができます。またこのベータカプセルのようなチャージング・カプセルに収めて使うと言うのがガジェット感覚をくすぐります。

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本体ユニットは基本的にはステレオモードと言って左右のユニットをペアでイヤフォンとして使いますが、モノラルモードがあって、片方だけをカプセルから出すとその片方とモノラルで再生ができます(ラジオとか)。これは左ユニットだけではなく右側だけでも可能です。これは左右通信をBluetoothにしている利点ですね。DashなどNFMIを左右間通信に採用しているとこれはできません。

はじめに使用するときには普通のBluetoothデバイス同様にペアリングが必要ですが、これは左とだけやれば済みます。(Earin Lと出ます)
私はiPhone6とAK380を使いました。EarinはApt-x対応です。ボリュームを上げて最大音量にするとプッと警告音が左から出ます。
モノモードで右だけの場合は右だけケースから取り出して、Earin Rとペアリングします。同時に二つ取り出していると自動的にEarin Lとのみペアリングします。

まず書いておかねばならないEarinの問題点はイヤチップの少なさです。
イヤチップは標準サイズラバーがひとつと、コンプライが二つはいってきます。しかしいまどきのイヤフォンの替えイヤチップとしては少なすぎます。Earinのレビューをみると低音不足とよく書いてありますが、その原因はこのチップの少なさだと思います。耳に合うイヤチップを使わなければ当然低音は漏れます。
また、これは北欧らしいというかEUらしいところですが、マニュアルなどを読むと意図的に小さいサイズのチップにして遮音性を下げて外の音が「安全に」聞こえるようにしているふしもあります。
おそらくガジェット的にEarinを購入するIT好きの人はこういうところは慣れていないと思いますので、小さいサイズを使って低音でないよということは多々あるでしょう。これは逆に言うと、たんまりとイヤチップを持っている私のようなマニア層はEarinを音質的に使いこなすことができると言うことです。イヤチップのサイズはCom,plyで言うとTS400で、外径は4mです(公式情報)。
耳に入れるときは少しひねってベスト位置を探すと良いように思います。基本はL/R文字が後方(背面)に来る位置です。

そしてEarinの良い点はやはり自由で快適なことです。
このプレーヤーとのケーブルがなく、さらに左右を結ぶケーブルもないというのはすごく快適です。私は前にゼンハイザーのMX W1も使ってましたが、これは装着性に難があり、そうした真の快適性というのはつかみにくかったんですが、Earinは慣れたカナル型であり落ちにくいし、ずれるのを気にする必要はありません。また電車でも使えます。とにかく軽く、上を見たり、横を見たりするたび、頭を動かすごとにいろんな面で自由さを感じられます。カバンを肩から外すときにもそうです。これは使わないとわからないと思います。

音は端的に言ってとても良く、思ってたよりも良いです。
特に立体感や広がりは独特の良さがあります。もしかすると左右ユニットの位相を何らかの方法で調整しているのかもしれませんが、あるいはケーブルがないことによるクロストークの低減やグランドを共有してない利点があるのかもしれません。そう思ってた方がケーブルレスのメリットがありそうで面白そうです。
そしてきちんと耳に合うチップを入れて、フィッティングをきちんとすると低音はシングルBAとしては十分以上によく出ます。けっこうパワフルでドラムやベースも良いです。すこしいろいろチップを試してみましたが、コンプライだとうまくはまると中低域はロックやポップで気持ちよくインパクトを感じられるくらいの低域レスポンスはあります。
イヤチップでは音茶楽スピンフィットやJVCスパイラルドットも試してみましたが、こうした工夫したイヤチップはなかなか音質を良くあげてくれます。Earinの方もそれだけ特性は素直だと思います。

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左:スピンフィット、右:スパイラルドット

シャープさや音の細かさはiPhoneで使う分には不満に思わないでしょう。音色は悪くなく聴きやすく、変にドライになりすぎない点は悪くないです。

ただクラシックみたいにレベルが低い録音だとちょっと音量が取れにくいかもしれません。ロックポップのコンブの効いた海苔波形の録音だと問題ありません。
またAK380だとAptxは認識しますけど、ボリュームが上がちょっと足りない気がしますね。またAK380のような高性能プレーヤーと組み合わせると、Earinの音質は物足りなさが出てしますいます。悪くはないけどやはりそれなり、シングルBAなりというところですが、iPhoneと組み合わせる分には相性もあるんでしょうがかなり良いと思わせます。音質レベル的にはその辺でしょうか。
別なデバイスとのペアリングはいったんカプセルにしまってからの方が良いかもしれません。

そしてやはり問題点というと右ユニットが音切れすることです。定期的に途切れる感じで、おそらくバッファにためてるデータがなくなると切れるという感じに思えます。実際に使ってみると右の音切れって思ってたよりはあまりないと思います。たまに思い出したように音が切れると言う感じです。途切れる時間はたいてい1-2秒以下だと思います。
ただしこの間隔がいまひとつ環境依存なのかが良くわからず、ないときは数曲に一回程度ですが、ある時はわりと一曲で2−3回途切れます。また右チャンネルがしばらく聴こえなくなり、落ちたかと思うと1-2分後に普通に復帰すると言うこともあります。この途切れているときに左ユニットを右ユニットの近傍に持ってきても復帰しません。電波というよりソフトウエア的な問題にも思えますが。。そしてEarinの装着中に手のひらで耳を覆うとやはり途切れやすくなります。
Wall Street jounalにあったような室外と室内の右音切れの差はあまり明白ではないように思えます。この辺はこのタイプの実験目的に買ったところも大きいので、そのうち左ユニットを右ユニットの見通しの取れるところに置いて長時間使ってみるとかやってみようと思ってます。

遅延はわずかにありますが、選曲時に少し気になる程度です。サポートページにはバッファリングにより0.5秒の遅延があるとされています。動画やゲームには不向きですが、VLCなど動画の方の遅延機能があるものは使えるかもしれません。

* まとめ

やはりケーブルの束縛から完全に離脱した解放感は格別のものがあると思います。それとガジェット感も味わえるのがEarinの魅力です。音質もシングルBAとしては悪くありません、というか結構良いと思います。iPhoneと組み合わせると十分良い音質で満足でき、とくにジャンルは選ばないと思います。
また右の音途切れはあるのである程度それが許容できる人にお勧めです。
しかし、問題点はフィッティングです。イヤチップによるところがすごく大きいというのが悩ましいところですね。と、伏線を張っておいて、、

Earinは国内版が下記リンクのフジヤさんのような専門店やAmazonで購入できます。
http://www.fujiya-avic.jp/products/detail95805.html


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