最近のポータブルオーディオ界のトピックの一つにiPhoneの3.5mmプラグがなくなるのではないかと言う噂があります。これはさらなる薄型を進めるためにはもう3.5mmの端子が厚すぎると言うわけですね。実際に他の薄型を標榜する海外のスマートフォンではイヤフォン端子を排してしまっているのもすでにいくつか出ています。
この3.5mmステレオミニ端子は初代Walkmanで初めて採用されたものです(3.5mmモノはもっとはるかに古い)。それがデファクトスタンダードになったという経緯があります。それではこの3.5mmステレオミニ端子がなくなってしまったら、そのあとはどうするのか、と言うのはいくつかの候補があります。まずBluetooth、そしてiPhoneならライトニング端子があります。Audeze SINEのライトニングケーブルはなかなか好評です。
そしてもうひとつ新しい可能性が出てきました。それがインテルの提唱するUSB-Cオーディオ端子です。Ananda techに詳しい記事が載っています。
http://www.anandtech.com/show/10273/intel-proposes-to-use-usb-typec-cables-to-connect-headsets-to-mobile-devices
これはチャージやデータ交換用のスマートフォンのUSB-C端子をそのまま音楽用に使うというわけで、Appleのライトニングのインテル版みたいなものです。
USBというとああデジタル出力専用ね、と思うかもしれませんが、USB-Cにはサイドバンド・ユーティリティ(SBU-1,SBU2)というピンアサインがあり、これはなにを通してもかまいません。つまりアナログ信号も通せます。またサイドバンドの名の通りに、ここの伝送は他のメインの信号伝送とは独立しています。つまりデータの転送をしながら、アナログ出力でオーディオを聴くと言うこともできます。ただ規格がまだできていないのでアナログ伝送まで含められるかはわかりません。
Anandatechによるとこの仕様はまだ完全に決まってないが、USB オーディオクラス2.0の仕様にも影響を与えるかもしれないと言います。たとえば電源供給とか、同期の仕方などです。
またAnandatechの別記事によると、このUSB-Cオーディオに即したチップが出てきたようです。ConexantのCX20985とCX20899です。
http://www.anandtech.com/show/10311/conexant-introduces-usb-c-digital-audiocompliant-chips
これはいわゆるスマートフォンのオーディオCODECチップ(ADCとDACを兼ねるIC)になるとおもいます。これが今年の2Qなかには出荷できるということなので、早ければ今年後半にはUSB-Cオーディオを採用したスマートフォンが登場するのではないかと言うこと。まだUSB-C自体が規格化されていませんが、これらはUSB-Cオーディオに対応しているとのこと。インテルと協業関係なのでしょう。
CX20985はコンパクトで48kHzどまりですが、ヘッドセットに特化したものでイコライザ内蔵、カップリングコンデンサ内蔵などヘッドセットなど機器を簡単に接続できるようになっています。目的はおもにスカイプ用のヘッドセットのサポートにあるようです。
CX20899は大型でおそらくスマートフォンの外に付けるデバイス用。こちらはDSP内蔵、ハイレゾ対応、SPDIFやI2S対応でオーディオ用途も考慮されているようです。
具体的なチップも出てきているのでインテルは着々と地盤固めをしているように思えます。
基本的にはPCやAndroid向けですが、AppleもEUでは端子を独自ではなくUSBに変えるように勧告されてもいますのでどうなるかはわかりませんけれども。。