Music TO GO!

2016年04月27日

RoonReadyとRoonの音の魅力の記事をPhile-webに執筆しました

Roonの基本的な仕組み、ネットワークシステムの解説と実際のRoonネットワークシステムをハイエンドオーディオで試聴するという記事をPhile-webに執筆しました。こちらのリンクです。
http://www.phileweb.com/sp/review/article/201604/27/2055.html

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左:ラックの上に置いてあるのがPLayPointとe28 DAC、右:IQaudio PI-DAC+

内容は最新のRoon 1.2の調査結果を反映し、RoonBridgeやRoonReady機材を使った聴き比べをしています。さらには同じハードを使ってDLNAシステムとの聴き比べた試聴結果まで盛り込んだものです。使用機器も音元出版試聴室のTADスピーカー、アキュフェーズのアンプ、NASはfidataなどハイエンド機材を使用し、RoonReady機材もエミライさんの協力のもと、最新のexaSound PlayPointや高性能e28 DACを使用し、さらに低価格のラズベリーパイのIQaudio DACまで使用しています。
7000字近くに及ぶ大作で盛りだくさんな内容になったと思いますので、この分野に興味ある方はぜひご覧ください!
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2016年04月26日

JH Audio Siren第二世代、フルメタルジャケットシリーズ レビュー #2 音質編

Sirenのフルメタルジャケットシリーズの音質編レビューです。
今回は機種ごとににコメントすると言うよりも、いろいろ途中で取り交ぜて比較を行い、各機種の個性差を知ると言う点をポイントにおいてみました。試聴に使ったのはAK380AMPコンボです。

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まず主にLaylaIIの音のコメントから始めます。LaylaIIはフラッグシップらしくメタルボディと中身がぎっしりち詰まった感があり高い質感を感じさせます。ただし、やや重さを感じます。
音質もフラッグシップらしい堂々たると言うべきな性能レベルの高さを感じさせます。すべてのモデル中最もワイドレンジで高い音と低い音の範囲がとても広く感じられます。またもっとも音が整っている感じがします。音が整っているという意味で言うと2番目はAngieIIかもしれません。RoxanneIIは楽器音自体の音再現はクリーンと言うか歪み感は少なくシャープでキレ味もよいのですが、低域が強めでバランスが良いというのではなくちょっと個性的です。
そのように周波数特性という点ではLaylaIIはヴォーカルからバイオリン、ベースギターまでさまざまな楽器や声が等しくそれぞれが主張し過ぎずに聞こえます。音場も広く、スケール感があって楽器や声は程よい感覚で広い音場に整列して聴こえます。対してRoxanneIIはぐっと密度感が高いというかコンパクトな音場に楽器や声が圧縮したように重なりあって聴こえます。RoxanneIIは良く言うと密度感があって熱く、悪く言うとLaylaIIと比較して少しごちゃごちゃして聴こえます。AngieIIはLaylaIIに印象は似ていますが、もっとコンパクトであっさりとして感じられます。

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LaylaIIの解像感はとても高く、音自体が濃い感じですね。この点では同じくらい濃いのはRoxanneIIですが、AngieIIは比較的という意味でやや濃さは少なくなります。といっても他社機種に比べるとAngieIIでも濃い口でしょうけれども。
LaylaIIはダイナミックレンジを広く取った大編成のオーケストラもの(ベルトのin principioなど)てば圧倒的なスケール感があります。また器楽曲やアコースティック音楽ではRoxanneIIよりも楽器の分離と間隔がより広く、ひとつの楽器音が鮮明に聞こえるので見通しが良く音楽を理解することができるという感じがします。
端的に言うとLaylaIIのほうがRoxanneIIより余裕があります。高域・低域の広さの意味でも、音場的な意味でもそうです。

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Layla I とLayla II

次にLaylaIとLaylaIIの比較をしてみます。同じケーブル(II世代)で付け替えて比較してみると、ヴォーカルの明瞭感がIIではより明確にはっきりと聴き取れ、やや前に出て聴こえます(ほんの少し)、高域はよりクリアで低域はより深くより締まって聞こえますね。全体的にもIIではスムーズさが少し良くなっているように思う。差はすごく大きいというわけではないけれども明確にあると思います。(一個しか比較してないので個体差ではないとは言い切れませんが)
これはいつもLayla(I)で聴いていたオーナーだとぱっと聴いて「あれ、違うかも」と思うくらいにはわかることです。そして直接比較するとそれがはっきりとわかるようになります。前作より甘さがとれてよりモニターらしい音になったというべきかもしれません。まさにプロデューサーが音を確認する音、完璧にして欠点のない音、すべてを聴くための音、それでいて濃密な音楽体験もできるというのがLaylaIIなんだと思います。

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次にRoxanneIIに焦点を移します。Roxsanne IIの音質は中低域が図太い感じで、ロックンロールサウンドと言う言葉がよく似合います。低域も強めでLaylaIIよりも音楽的に脚色感が少しだけあります。低域は全モデルで一番強いと思います。ある意味一番ロックンロールチューニングであり、実のところJH13の後継はRoxanneだと思う。Laylaは旧Triple.fi系統(TriFiではなく)でしょうか。
また濃くて密度感の高いRoxanneIIのヴォーカルは独特の訴えかけるような魅力があります。

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RoxanneはUFモデルが手元にないのでIとの直接比較はできないけれども(AKR03はちょっと違うので)、実のところIとIIの差が一番大きいのはRoxanneでしょう。Roxsanne IIはクロスオーバーが以前より再設計され、低域がよりフラットに感じられます。

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AKR03とRoxanneII

クロスオーバーの再設計の効果か他のチューニングかもしれないけれども、第一世代でのRoxanneとAngieの近しい感じはなくなって、やはりAngieより一段音質レベルはLaylaに近くなった感じに思います。たとえばロックとかエレクトロを楽しみながらかっこ良く聴くのはRoxanneIIがお勧めだと思います。高級機だがロックにノれるモデルだと言えます。
音の差はMoon AudioのBlack Dragonなど高音質ケーブルに付け替えるとよりはっきりと感じられるようになります。

それではRoxanneIIとLaylaIIを比較してみます。
RoxanneIIとLaylaIIでジャズトリオのダブルベースソロからピアノソロのパートを聴くと、音の高域の伸びと低域の沈み方の音域の差、つまりワイドレンジ感はLaylaIIの方が優れています。また音のつながりや楽器の分離もLaylaIIがよりスムーズです。RoxanneIIの方はよりベースソロやピアノソロが躍動的に聴こえ、音のつながりのスムーズさよりも楽器の音の強調感がより強く、音楽的に心地よいですね。
音の広さや立体感でいうとLaylaIIの方が立体的で奥行きも横の広さも感じられ、楽器の重なりがより独立しています。
RoxanneIIはLaylaよりは音場が狭い感じですが、別の言い方をするとより密度感があります。ヴォーカルと楽器がやや干渉してうるさく感じられる曲もあるけれども、Roxanneの場合はこの密度感が独特のロックやジャズライブに向いたかっこよさを作っていると思います。
同じ音楽を聴いていてもLaylaIIとRoxanneIIだと感じ方に違いがあります。RoxanneIIだともっとエモーショナルな感じ、ここは好みもあると思うけれど、やはりlaylaはプロデューサーやミキサー、あるいは音をより正確に聴きたいオーディオリスナー向きであり、Roxanneはそうした客観的な音の聴き方よりも、音楽にノリたいというリスナー向きであると思います。

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次にAngieIIに焦点を移します。AngieIIは12ドライバーの上位モデルよりも軽くて装着感はよいですね。耳が小さめの人にはより向いているかもしれません。
AngieIIの音は全体的に整っていて、すっきりとクリアで気持ちが良い感じです。特にヴォーカルが鮮明に聴こえてくる印象があります。
アカペラグループ(Rajaton)のヴォーカルを聴いてみるとRoxanneIIではやや男声の低域が女声の中高域にかぶさる傾向があるけれども、AngieIIだとすっきりとして全体が聴き取りやすいと感じます。LaylaIIではRoxanneIIよりも各メンバーの声が分離されてかぶさる感は強いがそれぞれのメンバーの項がそれぞれ主張するという感じ。AngieIIだとLaylaIIよりもコンパクトにまとまった感はあるが女声が中心となって、男声の低域がそのバックアップになっている感がよく伝わります。
SHANTIを聴いてもやはりAngieだとヴォーカル中心に聞こえるけれども、RoxanneIIだとバックのベースやギターがやや主張が強くなりすぎる傾向はあると思います。またヴォーカル自体もAngieIIの方が明瞭感は高いと思います。

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低域は他の二機種よりも少な目で、重みのあるロックとかエレクトロよりもポップや調子のよいジャズに向いた明るく陽気な音が向いていると思う。ただしこれは他の二機種がJH Audioらしくやや低域が多めと言う「ロックンロールチューニング」傾向なので、全般的なイヤフォンとしてみるとAngieのベースは十分あると言えます。
AngieIIは他の2モデルより少し濃さが少なくなりわりとあっさりとした感じではあるけれども、かえってすっきりとして好みだという人も多いかもしれません。
LaylaIIやRoxanneIIよりは譲るけれども、他のイヤフォンの中では解像力とか全体的な音質性能は極めて高い。
RoxxanneIIよりもヴォーカルは聴きやすいと思います。ベースはRoxxanneIIとはだいぶ表現が異なり、RoxanneIIでは強め、AngieIIでは正しいという感じですね。
LaylaIIやRoxanneIIと並べてしまうと、一歩譲る感もありますが、他のイヤフォンに比べると音性能的にはとても高くお得な感じがします。

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Angie IとAngie II

AngieIとAngieIIを同じケーブル(II世代)で付け替えて比較してみます。
Iとの差はLaylaよりもAngieの方が大きいと思います。Laylaでは2-3回付け返して確認したけれども、Angieでは一回で差がわかります。
IIでは高音域がより鮮明で伸びるように感じられ、ヴォーカルのクリアさがけっこうより透明感があります。比較するとIはちょっとこもった感が感じられます。IIでは全体にかなりすっきりとしてAngieの良さが際立っています。中高域の差が大きいとおもいますね。Angieは新旧を聴き比べると買い換えたくなるかもしれません。Laylaは差はあるけれども買い換えるほどではないかもしれないですね。

またAngieIIの良さはベースの調整幅が大きく自分で個性を調整できるということです。試聴は基本的にフラット位置で聴いているけれども、ベースがうねるような低音がほしいときはベース調整ノブを低域側にやるとたっぷりしたベースの量感が得られます。そういう意味では他の二機種はフラット位置で十分ベースの量感はあり(RoxanneIIは多少多いくらい)なので、AngieIIが一番ベース調整ノブを使う余地があります。

いうなればAngieIIは個性が強いSiren姉妹で一番素直な末っ子(Rosieは未発売なので)であるため、低域調整で自分の好みにあわせやすいという感じでもあります。
擬人化するとLaylaIIはなんでもこなす優等生の長女、RoxanneIIは優秀だけれども個性が強くやや気性が荒いタイプ、AngieIIはやんちゃな姉を良く見ていて良くできた子で落ち着いている、声がきれいな才能の持ち主、という感じでしょうか。

実のところジェリーはよく考えてSiren姉妹の個性を作り分けていると思います。
やはり客観的音性能で言うと、LaylaII、RoxanneII、AngieIIという順となりますが、実のところそれぞれ独自の魅力を持っているので、聴く音楽の好みや音自体の好みで選ぶというのが良いのかもしれません。いずれにせよ比較で書いたのでAngieIIが下に思えますが、実のところAngieIIでもマーケットの中ではかなり高いレベルにあります。
端的にいうと、LaylaIIはスケール感と音の分離の良さからクラシック、RoxanneIIは音の密度感と低域のパワフルさからロック、AngieIIは中高域を鮮明に引き立てる感じから女性ヴォーカルものに向いていると思います。もちろんベース調整ノブを変えて違うジャンルに合うように変えていくこともできると思います。

そして今回触れなかったRosieですが、これらのSiren3姉妹が個性の差こそあれ、プロのモニター的IEMであるというのとはやや異なるベクトルで、もっとコンシューマーライクな味付けになっていると思います。


最後にケーブルについて少し補足します。ケーブルがSirenIからIIで変わりましたがこの詳細は下記のMoon AudioのDrewさんから聞いてまとめた記事を参照ください。
(link)
あくまでIIの標準ケーブルもMoon AudioのDragonシリーズではありませんので念のため。
そこでイヤフォンをAngieIIとLaylaIIで固定してそれぞれIとIIのケーブルを聴き比べてみたけれども、多少IIの方がより洗練された音にはなっているけれども、そう大きな違いではないと思います。たとえばヴァイオリンの音のIでのとげとげしさがIIでは多少緩和されているというような感じです。むしろイヤフォン自体のIとIIの差が大きいように思えます。
ただケーブルの場合はエージングの差とかベース調整ノブの微妙な違いがあるかもしれないので参考程度ではあると思います。リケーブル目的で買うときはことさらIIのケーブルを使うというよりはBlack DragonあるいはBeat Audioを買ったほうが良いと思う。ケーブルはもちろんMoon AudioのBlack Dragonに変えると大きく違います。Beat Audioもよいですね。VermilionとAngieIIの組み合わせは見た目も良いと思います。
ぜひ最高のIEMを生かすためにもリケーブルしてください。

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2016年04月25日

新星、シンガポールのBTヘッドフォン Pendulumic S1+レビュー

ヘッドフォン祭がまた今週末に開催されますが、新登場の紹介です。
昨年の12月に行われたJabenのMookヘッドフォンショウでも取り上げたBluetoothヘッドフォンの注目株であるPendulumic(ペンデュラミック)の製品が出展されます。また国内でも販売となります。

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Pendulumicは海外でも音質の良いBluetoothヘッドフォンとして最近注目されてきています。開発者は某大手ヘッドフォンメーカーのためにイヤフォンを開発していた経歴があるそうです。
PendulumicはT1というDJスタイルの方で注目を集めたのですが、本稿では前モデルのS1を紹介します。製品名はPENDULUMIC STANCE S1+(以降S1)です。T1とS1はほぼ機能は共通して、用途がT1がベース強めのDJタイプに近く、S1はより整った音調のオーディオリスニング的なものになると思います。
(初出時にS1が後と書きましたが、実際はS1が先だそうです)

S1は端的に言うとアンプ内蔵のBluetoothヘッドフォンです。特徴としては充電式のバッテリーのほかに乾電池(単4)も搭載していることです。このことにより、両方を併用してBTでの使用時間を延ばすことができるとともに、いざ使いたいときに充電していない、というミスを防ぐことができます。このすぐに使えるという機能をInstantONと称しています。また無線の使用時間は最大30時間(メーカー公表値)を確保しています。

またS1/T1は無線でも有線でも使うことができ、モードの切り替えによって、無線モード(BT)、有線モードのアンプあり、有線モードのアンプなしで使うことができます。有線でもアンプを入れたほうが音質は高まりますが、バッテリーも消費するためにこのような使い分けが可能となっています。またそれぞれのモードでスマホなどでの電話通話に切り替えることができます。

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ハウジングには操作つまみがついていて、これをプレスすることでリモコンの働きをして再生・一時停止や曲送りが可能です。またこのつまみを回すことで音量を手元で調整できます。これ以上上がらなくなると音で警告します。

そのほかの機能としてはBluetoothは4.0に対応していて、Apt-Xコーデックも使用ができます。
ドライバー口径は40mmで周波数特性は15Hz-22kHz(apt-x時は10Hz-24kHz)、インピーダンスは32オームです。

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箱はなかなか立派なもので、内箱にケースとともにヘッドフォンが入っています。ヘッドフォンはハウジングを回転させて平たく畳むことができます。
作りもなかなか良くできていて質感も高いと思います。S1は側圧は適度でイヤパッドもなかなかか快適です。

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左ハウジングのボタンで電源オンオフと充電池/乾電池を切り替えます。
まずiPhoneで試しましたが、ペアリングは無問題でした。S1の音質はかなり良く高音域はよく伸び低音域はふくらみ過ぎない適度な量感があります。ベースのピチカートの切れもよく、低域の解像力や切れもそれなりにあります。周波数的には良く整っている感じでいわゆるジャズ・クラシック向けの音です。とはいえ、低域もしっかりしていてインパクト感もあるのでロックでもなかなかかっこよく聴くことができます。わりとジャンルは選ばないようです。

ヴォーカルの再現力もよく、適度に耳に近いので迫力もあります。楽器の音は明瞭感も高く、きれいに分離されています。iPhoneでも使うプレーヤーでの音質差はかなりはっきりわかるくらい、音を描き分けることができます。iPhoneでいえばFLAC Playerのような音の忠実再現度が高いプレーヤーを使いたくなるような品質の高い音が楽しめます。
有線でもよい音質が楽しめます。有線でもアンプなしとアンプありを選ぶことができ、アンプを使うと押しが強く迫力が上がります。アンプありの状態で有線と無線を比べてもそれほどの大きな差はないくらい無線での音質は高いものがあります。

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iPhoneやAndroidスマートフォンだけではなく、Astell & Kernシリーズプレーヤーと組み合わせてもよい音質で楽しめます。たとえばAK320はApt-Xを採用しているので、AK320とS1をペアリングさせるとAPT-Xで接続しましたというロゴが表示されます。これは音質的になかなか素晴らしい組み合わせで、無線ヘッドフォンでよい音を聴きたいと思っている人にはぜひ試してもらいたい組み合わせです。
同価格帯の他社の有線ヘッドフォンと比べても、S1の方が音が良いようにも感じます。よりクリアで楽器も明瞭感があり、よりワイドレンジに聴こえます。無線だからこそ下手なケーブルの質に足を引っ張られずに済むのでは、と思えるような音質の良さですね。実際にS1をAPT-X無線と有線アンプありで切り替えて比較してみると気持ちですが無線の方が良いようにも思えます。なかなか興味深いことではあります。

PENDULUMIC S1はBluetoothヘッドフォンで高音質のもの、特に楽器や声が明瞭でベースのふくらみ過ぎない音のバランスの良いものを探してる人にオススメです。
ぜひヘッドフォン祭でチェックしてみてください。場所は11FロビーのJabenのとなりです。
posted by ささき at 20:44 | TrackBack(0) | ○ ホームオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月22日

Ultrasone Tribute 7レビュー

あのEdition 7 を復刻させたTribute 7(トリビュート・セブン)を試すことができましたのでレビューします。またオリジナルのEdition 7とも比較してみます。

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Edition 7といえば世界限定で999台生産で当初は驚くほど高価なヘッドフォンとして知られていました。ハイエンドヘッドフォンの嚆矢にしてeditionシリーズの元祖と言えます。そしてなにより、このEdition7からいまのこの隆盛を極める「ヘッドフォンオーディオ」が始まったとも言っても過言ではありません。質の高いヘッドフォン製品だけではなく、ここからそのハイエンドヘッドフォン文化が始まりました。その記念すべきモデルがEdition 7でした。

Tribute 7のポイントはEdition 7の音を復刻させたという点で、Tribute 7には個体ごとに周波数特性を測定してUltrasone社に保存してあるEdition 7との比較したグラフが付いてくるという徹底したこだわりぶりです。
Ultrasoneに聴いてみると、Edition 7を復刻してくれと言う声が以前から多く寄せられていて、Ultrasoneの25周年記念の今年に合わせて特別モデルとして発売を決めたということです。
発売日は5月14日を予定、価格はオープンですが想定価格は36万円(税別)とのことです。
* 発売日は延期になったということです
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左: Tribute 7、右: Edition 7

一方で異なる点もあります。まったく同じではなく、Edition7のイメージを残して新しいヘッドフォンを設計しとたという感じですね。異なるというよりはより進化させたのが、外装の作り込みです。
イヤカップは航空機グレードのアルミブロックから削りだされた精巧なもので、質感はEdition7の少しブラっぽい感じはなくメタルっぽいかなり上質な質感があります。
色的にはオリジナルのブルーをモチーフにしていますが、より鮮やかな深いブルーのアノダイズド処理となっています。またケーブルがリケーブルもできるようになっています。2 つの長さの着脱式コード (シルバープレイテッド高純度 OFC ケーブル, 1.2mと3m )も備えています。1.2mはポータブルで使いたい人にもいいでしょうね。

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また豪華なエチオピアンシープスキンのイヤパッドがついています。これは黒のみです。オリジナルは明るいグレーだったのですが、これは汚れやすいので後で素材は同じですが黒に変わったんだったと思います。
またアルカンターラ素材による高級感のあるヘッドバンドを採用しています。

側圧はほぼ同じですが、動きはTribute7の方がスムーズに感じます。
肝心の音質ですが、Tribute 7の音質は厚みがあって切れが良く、ちょっと耳に近く前に出てくる感じの懐かしくも魅力的なEditionサウンドを聴くことができます。7とか9とか、あの頃の音だなと思いますね。ヴォーカルものが肉感的で良い感じです。

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次に音をオリジナルのEdition7(ちょっとへたりもあるかもしれませんが)と比べてみると能率もほぼ同じで、たしかに音調的にもかなり似ています。試聴のために付け替えながら聴いていると、まったく同じ音ではないけれども確かに違和感は少ないですね。ただし曲によっては多少差が出てややTribute7の方がやや低域よりのようには思います。

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オリジナルのEdition 7の箱

たぶんUltrasoneのファンならば、Editionシリーズにこの音を待っていたんではないかと思います。
ヘッドフォン祭でぜひチェックしてみてください!
posted by ささき at 11:03 | TrackBack(0) | __→ Edition7, L-3000 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月20日

ラズベリーパイのオーディオ日記 諸々更新

ラズベリーパイのオーディオ日記をもろもろメモ的に更新です。

* ラズベリーパイのオーディオ機器応用について

ラズベリーパイのオーディオ日記iについて、ラズベリーパイをオーディオに使うなんてそもそもどうなの?しかもこんな安いオーディオ拡張ボード付けて、という話もあるかもしれませんが、実際にラズベリーパイは普通のオーディオ機器のなかにもう入っています。しかも私が買うようなHAT DACがそのまま使われています。

たとえばよく知られているオーディオメーカーのBrystonは下記の新製品BDP-πではHiFiberry Digi+とラズパイをそのまま内蔵して、電源とかはオーディオ機器的な味付けをしています。
http://canadahifi.com/bryston-reveals-first-details-about-its-upcoming-bdp-%CF%80-digital-music-player/

またこちらのABACUSのプリアンプではラズパイとIQaudioのPI-DAC+がそのまま入ってネットワーク機能を付加しています。
http://www.abacus-electronics.de/146-0-Preamp+14.html

もうひとつあったかと思いますが、実のところこうしてきちんとオーディオ機器でも使われはじめているということがわかると思います。

* DAC+システムのアンプを変更

piCorePlayer+DAC+のシステムのアンプをPortaphile627以外にもいろいろ変えてみました。

iQube V5とも相性よく、Moderateオーバークロックでもいい感じでなります。iQuve V5はアナログ入力アンプとしても現在最高峰クラスだと思いますね。
Portaphileで感じたオーバークロック時の硬さもiQube V5だと感じないので、デジタルアンプだけど硬さが少ないって言うのはすごいと思う。

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raspberry PI + IQube V5

またPortaphile MicroのMuses01バージョンとも組み合わせてみました。
この組み合わせだと627よりも現代的になると言うか、さすがMuses01で音場にしろ透明感にしろぐっと領域が広がる感じです。
ただいわゆるオーディオ的な滑らかさとか厚みはやはり627版が良いですね。

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Raspberry PI + Portaphile Micro

こちらもModerateオーバークロック(900Hz)かPI2(1GHz)オーバークロックでも良い感じです。対するとPortaphile 627ではMildオーバークロック(800Hz)設定が一番良いように思います。
piCorePlayerのオーバークロック設定は強くすると音の押し出し感がきつめになっていき、行きすぎると煩くきつすぎるので戻すと言う感じでアンプに合わせて使ってます。

こうしてみると、アナログアンプを合わせた時のアンプの個性差の調整をオーバークロック設定でやっている自分に気がついて、自分でも興味深いところです。これはまさにコンピューターを背負ってないと出来ないことではありますね。PCオーディオではオーバークロックとかアンダークロックの効果についていろいろな我流理論がありますが、そのひとつという意味で言うとオーバークロックはイコライザー代わりっていう感じでしょうか 笑

Raspberry PI2のBCM2836プロセッサ(SoC)の出荷時周波数設定は900MHzですけど、直前までは800MHzで出す予定だったそうなので、どれが正解と言うことは結局のところはないと思います。諸々のトレードオフで決めるっていうのは結局のところなんでもおんなじかも。

* HiFiberry Digi+のシステムにL字(ライトアングル)アダプタ

従来のDigi+だとケーブルを付けた時にラズパイとMojoが直行してしまうので、L字アダプタを付けてみました。これでやや取り扱いはしやすくなりましたが、まだちょっとかさばりますね。。

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Digi+とMojo

ちなみにDiGi+システムもいまはソフトウエアはVolumioではなくpiCorePlayerを使っています。
やはり音的にはこちらの方が良いように思えます。いまのところ。。

* mSATAドライブで大容量化

piCorePlayerでは普通はUSBメモリを使っています。128GBなのでわりと満足出来るのですが、500GB mSATAドライブとUSBケースでさらに大容量化をはかりました。
しかし、、これはいまのところ認識せず。(もちろんPCでは動作する)
おそらくラズパイのUSB電源容量の問題のように思えますが、OS都合かもしれません。今後も要調査。

* Moode OS 2.6のAP機能

うちの記事で書いてきたラズベリーパイのWiFiシステムはポータブルWiFiルーターが必要です。私の場合はいずれにせよhulu見たりApple Music聴くのでWiMAXルーターをいつも持っているのですが、そうでない人は困るでしょう。
ところがMoode Audioの次バージョンの2.6ではAPモードを備えると言うことです。これがあればポータブルルーターなどの必要なく、直でラズパイとWiFiシステムが組めそうに思います。要チェックですね。
http://www.computeraudiophile.com/f11-software/moode-audio-player-raspberry-pi-23858/index24.html#post526881
posted by ささき at 22:56 | TrackBack(0) | ○ PCオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月16日

Roon 1.2の応用例 ラズベリーパイとUSB DACの使用

Roon 1.2では普通のPCやMacでもRoon対応ができるようになったため、従来のRoonReady機器のみにとどまらないたくさんの可能性があります。
そのひとつで待望されていたのがここで紹介するラズベリーパイと普通のUSB DACの組み合わせです。
ここではラズベリーパイをRoonBridgeとして使います。つまりOutput(出力部)のみで、ファイルの読み込みは母艦のRoonで行います。操作は母艦でもiPhoneでも可能です。

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iPhoneでのRoonアプリの画面

いままではラズベリーパイでのRoon対応はPI-DAC+を使ったRoonReady化しかありませんでしたが、これではDACがPI-DAC+に限定されてしまいます。手持ちのUSB DACをRoonで使いたいという人も多いかと思いますが、これがラズベリーパイで可能となりました。わずか数千円の出費です。
USB DACはlinuxの標準ドライバー(オーディオクラス2など)に対応できるものが必要ですが、MacやiPhoneでドライバーのインストール不要で使えていたものはたいてい大丈夫でしょう。

現時点ではラズベリーパイ用のイメージがないので下記のようにインストーラーを使います。とても簡単です。

いくつか使えるLinuxの選択があるんですが、ここでは下記サイトからRaspbian jessie liteをダウンロード(Roonスタッフ推奨)します。
https://www.raspberrypi.org/downloads/raspbian/
イメージなのでwin32 disk imagerでSDに書き込みます。

ラズベリーパイ(ここではラズパイ2)を用意してキーボードとモニタ、有線ネットワークを取り付ける。
ラズベリーパイにSDを挿入して電源投入します。
立ち上がったらユーザーpi、パスワードraspberryでログインします。

下記のコマンドを入力(記号が正しく入力されているか注意)してください。

$ curl -O http://download.roonlabs.com/builds/roonbridge-installer-linuxarmv7hf.sh
$ chmod +x roonbridge-installer-linuxarmv7hf.sh
$ sudo ./roonbridge-installer-linuxarmv7hf.sh
インストールはすぐに終わります
いったんシャットダウンします。

USB DACをラズベリーパイに取り付けます。ここではGeek pulseを使用しました。

ここからキーボードとモニタは外してかまいません。Roonとの通信に使うのでネットケーブルはつけたままです。
電源立ち上げます。DACは自動認識されますのでLinux上での設定は不要です。

スクリーンショット 2016-04-16 08.52.55.png

Roonの母艦でAudio Setupを開けると上のようにラズベリーパイがすでに見えています。ここではGeek PluseをEnableにするだけです。(DACに合わせてVolumeをfixにしてもよいでしょう)

スクリーンショット 2016-04-16 08.30.52.png

あとは普通にそのゾーンを出力先に選んでください。簡単です。
念のため上のようにシグナルパスがロスレスになっているのを確認してください。

これで好みのUSB DACでRoonの素晴らしい音を楽しめます。

次にChord Mojoとも接続してみました。

スクリーンショット 2016-04-16 09.52.41.png

これも上のようにAudio setupでMojoが見えます。

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接続は上のようになりますね。
(ここではラズベリーパイ3を使っています)
ネットワーク経由でもハイレゾ再生できているのがボタンの色で確認できると思います。

これでRoonの応用範囲が格段に広がったことが理解してもらえるのではないかと思います。
posted by ささき at 11:14 | TrackBack(0) | __→ PCオーディオ・ソフト編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月14日

Roonの革新、Roon 1.2登場!

いよいよ待望のRoonの大型更新であるV1.2が登場しました。いままでで最大の更新で時間もかかったので、フォーラム上ではまだかまだかという声にあふれていました。
まず内部のソフトウエアが大幅に見直され、これとともにWindows、Macの他に待望のLinux版が登場しました。つまり、ラズパイで動作するようになりました!現時点ではイメージファイルはないのでインストーラが用意されています。イメージファイルは作成中とのことです。ラズベリーパイはRoonBridge(outputのみ)とRoonServer(CoreとOutput)になれます。

ソフトウエアの見直しではすべてのRoonの通信にRAATが使われるようになりました。これによってなんとプライベートゾーンの制限が事実上なくなりました。互換としてプライベートゾーンの機能はまだ残っています。
またRoonBridgeがWindows、Mac、Linuxで対応となったため、すべてのデバイスにネット出力ができます。つまりメインのPCのほかにUSB DACをつなげたMac miniがあればそれにストリーミングができます。
そしてiPadやタブレットだけではなく、iPhoneやAndroidスマートフォンもRoomリモートがインストールできるようになりました。これらは出力の機能がついているため、例えばiPhoneにつながれたDragonflyにもRoonからストリーミングできることになります。


スクリーンショット 2016-04-14 20.11.34.png

1.1を立ち上げると上画面のようにUpdateがあるむねが表示されます。
アップデートの前にはバックアップが推奨されています。バックアップ方法はこちらです。
http://kb.roonlabs.com/FAQ:_How_do_I_backup_my_Roon_database%3F

機能としてはインターネットラジオ機能が追加されています。またソフトウエアボリュームは64bitディザ化されたようです。

スクリーンショット 2016-04-14 20.41.17.png

対応フォーマットではPCMは32bitデータを読めるようになったようです。またWAV64対応されたので4GB超えのWAVでも読めます。MQA対応ではないが、MQAを認識できるようになりました(上画像のアルバムアートの下)。

スクリーンショット 2016-04-14 20.23.00.png

設定としてはAudio Setupが変わりました。ここでプライベートゾーンのオンオフが任意でできるようになりました(上の画面)。

スクリーンショット 2016-04-14 20.24.58.png  スクリーンショット 2016-04-14 20.26.30.png  スクリーンショット 2016-04-14 20.26.04.png

Audio SettingsではWindowsの場合はExclusive modeを設定しないとシグナルパスがHigh Qualityになる(OS Mixer通るから)。Exclusive modeを設定すると正しくロスレス品質となります(上画面)。

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iOSはまだアップデートされてませんが、Android版はすぐに使えるようになりました。プライベートゾーンがオンオフ可能になってます。(前はリモートのゾーンは強制プライベート)
しかもメインの(coreのある)PCのRoonからNexus9が選べるようになりました!
つまりiPhoneが使えるようになったらPCから指示してiPhoneに接続されたUSB DACを使えます。

スクリーンショット 2016-04-14 22.07.58.png   スクリーンショット 2016-04-14 21.55.47.png

こちらはメインのPCからリモートのMad miniに接続したUSB DAC(GeeK Pulse)を設定する画面です(上画像)。これでPC上で音楽再生支持をするとMac miniに接続したUSB DACから音楽再生ができます。実質的にMac miniがRoonReady化したのと同じことです。上右画面でRAATでMac miniに接続しているのがわかると思います。つまりMac miniがPlayPointやAriesと同様の機能が果たせます。

スクリーンショット 2016-04-14 20.40.27.png

しかも、このRAAT化によってすべてのソーンでグループ化が可能になりました。つまりPCにつないだUSB DACとリモートのタブレットも同期できます(上の画面)。
まさに自由度は飛躍的に高くなり、そのへんのパソコンやラズパイやスマートフォンやUSB DACを組み合わせて実にさまざまなシステムが構築できます。しかもipアドレスなどはいっさい入力不要です。しかし、これってもうPCの内部もネットワークも区別ないんじゃ。。
さあ、これでますます面白くなってきました。
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2016年04月10日

ボブスチュワートの「MQAの質問なんでも答えます」

Computer AudiophileにボブスチュアートがMQAの質問に答える形でかなり大量のQAが掲載されてます。下記リンクです。
http://www.computeraudiophile.com/content/694-comprehensive-q-mqa-s-bob-stuart/
寄せられた全質問に答えたようで質問自体が玉石混交ですが私の興味あるところだけピックアップしてみました。いままで知りたかったことがほとんど答えられてます。

まずQ36を見るとMQAはロスレスか?という問いには、ロスレスがベストとは限らないと前置き付きで、「close-to-lossless」と言ってますが、端的に言ってMQAは「ビットパーフェクト」ではないということですね。ただそのあとは、ロスレスはデジタルドメインの話だけど、最終的にはアナログから撮った音をアナログで出すよね、そこでの音が重要であり、その運び方が重要なのさ、という感じの言い方のように思えます。

MQAにはロスレスかどうかの他に、そもそも真にハイレゾかどうかという疑問もありますが、そこはQ37-2でやはり突っ込まれてます。このオリガミ処理自体は可逆的なロスレスであるって感じでしょうか。

またMQAの売りとしてよく言われている「時間軸的なうんぬん」というのも、カタログ言葉でなく結局技術的にいうと何のこと?という疑問がありますがそれはQ62やQ63にも時間的な正しさ(というか時間的なブレ・ボケ)とは何かについて解説されてます。それとQ15を見るとインパルス応答の図で別に解説されてます。

あともう一個私が最近気になってるのは、MQAはDACやスマホなど箱物には内蔵するけど、PC上の音楽再生ソフトでは対応しないんじゃないか?ということですが、これもQ43で答えられてます。Q43-1はそもそもそれが可能か、Q43-2はそれやってもMQAの恩恵はあるか、Q43-3はサードパーティー(音楽再生ソフトの製作者)がそれできるか、ということです。
答えは1はもちろんできる、2は差はない、ただしDACに付随しているソフト(上の箱物)のほうがDAC知ってるので音が良いでしょうという感じ。
3は微妙な答えですが、2で示したようなDACの良さを引き出せるようなソフトを待ってるよ、って感じですが、ここについては別途アナウンスするようなのでまだ方針が決まってないのではと思います。おそらくは許可制になるとまずメリディアンつながりでRoonだと思いますがわかりません。
(ちなみにQ76にありますが実際はMQAはメリディアンではなく別会社ということ)

似たような質問はQ44でもありますがこちらはPCというより、SonicOrbiterやPlayPointのようなブリッジ製品経由(ネットなどデジタルで受けてデジタルのUSBやSPDIFで出すというような)という感じなので箱とPCの中間ですね。質問者もひねってます。
これも答えは似たような感じで、DACに最適に出せるやり方が分かってるならということで暗に汎用品は除外したそうです。ただこれも後にアナウンスするということで、ベンダー個別に対応するように思えます。保証問題もありますからね。
またこの辺はQ47のDACプロファイリングにもかかってくると思います。
Q45はデコーダはFPGAでも作れるかということだと思いますがこれは実際に作ってるとのこと。
Q74ではMQAはリアルタイムでも将来的にはエンコード可能(ライブ配信とか)と書かれてます。

あとこれが一番ハードなQAなんですが、HQ Playerの作者がMQAについて実はデコードされないと(デコーダがないと)音質はCD品質より劣化してるのではないか、ということと、実はFLACより効率悪いんではないかという否定的な分析を書いてます。これは海外ではMQA論でよく参照されてますので興味ある方はチェックしておいたほうが良いと思います。
http://www.computeraudiophile.com/blogs/miska/some-analysis-and-comparison-mqa-encoded-flac-vs-normal-optimized-hires-flac-674/
これもQ82に回答されてます。この辺はボブスチュアートとの真っ向勝負ですがまあ私にはお読みくださいとしか。。

最後に用語集があるのでそれを先に見たほうが良いかもしれません。例えば"Kernel"とかです。
結局先送りの回答もありますが、だいたいの今までの疑問には全て答えてるように思います。私はすっ飛ばしてましたが基本的なことからスタジオでのことやライセンスまでかなり広くカバーしてます。これを見ればMQAは皆わかるというか、これを見ずにMQA語るなかれみたいな。(Q82はあと引くと思いますが)
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2016年04月07日

JH Audio Siren第二世代、フルメタルジャケットシリーズ レビュー #1 イントロ・開封編

JH AudioのSirenシリーズ第二世代、フルメタルジャケットシリーズのレビューをしていきます。
いままでだと機種ごとにレビューを書くと言う形式が多いんですが、各モデルの個性の差が分かりやすいように、テーマ別に横並びで比較しながらレビューを書いていこうと思います。

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今回はまずイントロ・開封編を書いていきます。

* Sirenシリーズとは

JH Audioは2013年に新世代機種である「Roxanne」を発表し、これが「THE SIRENシリーズ」の始まりとなりました。名前の由来はギリシャ神話に登場するサイレーン(またはセイレーン)です。ジェリー自身は単なる数字の名前に飽きてしまったので女性名を使いたかったと言っていました。初代のRoxanne(ロクサーヌ )もそうですが、以後ロックの名曲で使われる女性の名前を冠することになります。
Sirenシリーズにはカスタムモデルとユニバーサルモデルがあります。2014年暮れに発表されたLayla(レイラ)とAngie(アンジー)以降はユニバーサルモデルはAstell & Kernとのコラボ製品となります。日本ではアユートが販売を担当しています。(カスタムはミックスウェーブ)

Sirenシリーズの特徴は次のようなものです。

1. 多ドライバーによる広帯域設計

Roxanneは片側12ドライバーと言うドライバー数の多さで話題となりましたが、これはJH13以降続いている同一の帯域に複数のドライバーを配してひとつのドライバーの負荷を軽減して性能を高めると言う設計方針によるものです。これはジェリーのスタジオ経験から着想を得たものとも言われています。
JH13では同一帯域に2個のドライバーでしたが、Sirenシリーズでは4個に進化しています。(Angieの中低域とRogieは各2個)
これは特に高域の周波数特性をフラットに23kHzまで伸ばすのに効果的で、Angieの高域だけが4個なのもこの理由です。ドライバー数を増やすことは一概に有利なだけではないですが、JH Audioではそこを工夫してまで真の高域特性にこだわったということは、ハイレゾを語ることで逆に高域特性が不透明にされている感のあるイヤフォン界の現状を考えさせてくれます。

2. 4次クロスオーバーの導入

SirenシリーズではLayla、Angieからマルチドライバー機では重要なクロスオーバーを4次形式としています。これは従来(たとえば旧Roxanneは2次)のイヤフォンに比較するとより急峻な特性を確保することができ、周波数特性をより正しくすることが可能となっています。
Roxanneもこのフルメタル世代から4次に改良されています。

3. 位相を正しく再現する「FreqPhase テクノロジー」

ドライバー数を多くすると、音の波がそろわずに像がぼやけてしまうような位相不具合の問題が発生しやすくなりますが、JH Audioでは独自特許のFreqPhaseを採用することでこの問題を解決しています。これによって音像が明確になり、音の広がり感もよくなります。
これもともすればサイズの増大などを招きやすくするそうですが、それよりも正しく音を再現することにこだわっているわけです。

3. 新設計のケーブルとプラグ

かつてジェリーにインタビューした際に「おれが作るものは みなプロ向けを考えているのさ」と語っていましたが、その表れのひとつはこの新形式のケーブルプラグです。
いままでのIEMでは2ピンの頼りないプラグがメインでしたが、演奏時にIEMが外れるなどの事態を避けるためにSirenシリーズではロック式のプラグが採用されました。
また低音域の量感を調整するためのダイヤルも採用されています。プロ用途や音を正しく聴きたいために特性をフラットにすると、カジュアルリスニングでは低音域が不足して物足りなくなったりするため、これで好みの低域の量を調整ができます。

またユニバーサルモデルではAstell&Kernとのパートナーシップ契約により、2.5o 4極のAstell&Kern用バランスケーブルを同梱しています。

* フルメタルジャケットシリーズとは

今回「THE SIRENシリーズ」第二世代として発表されたのがいわゆるフルメタルジャケットシリーズです。「フルメタルジャケット」という名の通りにハウジングにそれまでのカーボンやケプラーではなく、チタンやアルミなどのメタル素材が採用されています。ラインナップには新たにエントリーモデルのRosieが加わっています。これまで下記のモデルが発表されています。Rosieを除いて現在発売中です。

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Layla II

シェル素材: チタン削り出しボディ、チタンベゼル、カーボンフェイスプレート
名称由来: エリッククラプトン(デレク&ドミノス)の「愛しのレイラ」
ドライバー数: 片側計12 (高音域に4基、中音域に4基、低音域に4基)
クロスオーバー: 3Way
価格: オープン(直販価格 税込 399,980円)


RoxanneII_01.jpg   RoxanneII_04.jpg
Roxsanne II

シェル素材: アルミボディ、チタンベゼル、カーボンフェイスプレート
名称由来: ポリスの「ロクサーヌ」
ドライバー数: 片側計12 (高音域に4基、中音域に4基、低音域に4基)
クロスオーバー: 3Way
価格: オープン(直販価格 税込 269,980円)
⇒クロスオーバーがこれまでのLaylaやAngie同様に4次クフィルターに更新されています


AngieII_01.jpg   AngieII_04.jpg
Angie II

シェル素材: アルミボディ、カーボンフェイスプレート
名称由来: ローリングストーンズの「アンジー」
ドライバー数: 片側計8 (高音域に4基、中音域に2基、低音域に2基)
クロスオーバー: 3Way
価格: オープン(直販価格 税込 189,980円)

またケーブルが新設計となり、交換ケーブルがMoon Audioが設計したものに変わっています。これについてはMoon AudioのDrewさんから聞いた話をより詳しい記事にまとめていますので下記リンクを参照してください。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/432056785.html

* 開封の儀

パッケージはAstell & Kernのコラボ製品らしくどれも豪華なものです。AngieIIはこのシリーズでは普及モデルに相当しますが、それでも他社製品に比べると相当豪華なパッケージとなっています。

LaylaIIは他のモデルのパッケージよりも一回り大きく、RoxxaneIIとAngieIIは同じ大きさです。箱の裏にはいずれもジェリーの写真が載っています。

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LaylaII

箱の中の構造は前作と同じです。LaylaIIは中箱にさらにインナーボックスがあってイヤフォンが入っています。そして底の箱にカーボン製のイヤフォンケースが入っています。このケースはかなりがっしりとした剛性感を感じます。カーボン製のケースには同梱の2.5mmのバランスケーブルがはいっています。

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Layla II

LaylaIIのイヤチップや説明書・ワランティシート、低域調整用のドライバー、クリーニングキットはアクセサリーとして外箱のインナーボックスにはいっています。またLaylaIIだけJH Audio採用アーティストリストが別のシートとして入っています。これらは前作と同様です。アクセサリーは三兄弟共通ですが、イヤチップはラバーとフォームがLMSの三つずつ付いてます。これも前作と同じで、私はラバーのLを良く使っています。

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RoxanneII

RoxxaneIIとAngieIIは中箱を上下に開けるタイプです。(写真の関係でワランティカードは外しています)
RoxxanneIIとAngieIIのどちらもアクセサリーは底部に入っています。JH Audio採用アーティストリストはこれに印刷されています。アクセサリーのインナーを外すと金属の丸いケースが出てきます。RoxanneIIはブルーグレーのような色です。前は黒でしたが、これはきれいな色です。

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RoxanneII

考えてみるとRoxxaneのユニバーサル版は前回はAstell & Kernコラボではなかったので、今回がはじめてのAKコラボパッケージとなります(AKR03は別として)。RoxxaneもAstell & Kernとのコラボになってから1レベルよくなったように思います。

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AngieII

AngieIIでは金属ケースは赤と言うかルビーのようにきれいな配色です。

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AngieII

箱の構造などはRoxanneIIと同じです。AngieIIに関してはパッケージ面では前回とほぼ同じに思えます。

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laylaII

LaylaIIの本体はずっしりと重みを感じます。本体についてはLaylaIIは前のカーボンシェルとくらべるとかなり異なった印象を受けます。前のカーボンシェルとレインボーのベゼルもなかなか良かったので、これはどちらがよいというよりはまったく別のものになったという感じを受けます。LaylaIIはチタンシェルの削り出しというイヤフォンでは考えられない高級なものですが、フルメタルの名の通りにがっしりして頑丈そうです。フェイスプレートはカーボンがはまっていて工芸品のようですね。
前は多少派手な印象でしたが、LaylaIIは三兄弟では一番シックで落ち着いた配色です。この辺はよりプロ用途を意識したものかもしれません。

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RoxanneII

AngieとRoxxaneについては前モデルよりも改良されて良くなったという印象を受けます。メタルシェルになったこともあり、ボディの作りの美しさがさらに前よりよくなったと思います。
RoxxaneIIはアルミのブルーグレーのシェルで、カーボンのフェイスプレートがはまっています。ベゼルはチタンで高級感を感じます。フェイスプレートのAKとJH Audioのロゴは赤なのも良いデザインですね。若々しいエネルギッシュな感じです。前の黒のアクリルからするとRoxxaneIIはかなり品質が向上した感じがします。

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AngieII

AngieIIは三兄弟では一番コンパクトで少し軽く感じられます。
アルミのレッドシェルに黒いフェイスプレートにベゼルも黒で赤のロゴは三兄弟では一番カッコよく、デザインに惚れる人も多いでしょう。深みのある赤のシェルもいい感じです。隠れてますがステムも黒です。三穴ですね。

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JH Audioの製品はわたしは2009年のデビュー作のJH13からずっと使っていますけれども、前は音質はトップクラスといえどもボディやパッケージの作りはいま一歩という感もあったと思います。Astell & kernとのコラボになってからはこの点がグレードアップされました。
トップブランドのJH Audio製品が、その音質レベルの高さに見合う外装もまとった、と言うのがこのAstell & Kernとのコラボシリーズの成果であるでしょう。

次は音質編の予定です。

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2016年04月05日

ヘッドフォンブック2016に執筆しました

現在発売中の音楽出版社の「ヘッドフォンブック2016」に記事を書きました。

まず巻頭のCampfire AudioのブランドストーリーとLyra、Jupiter、Orionの各イヤフォンの解説を書いています(P8)。おなじくJH AudioもSirenシリーズの概要解説とLylaII、RoxxaneII、AngieII、Rogieの解説と比較試聴をしています(P18)。Campfire AudioもJH Audioも各モデルをくらべてみるととても個性豊かなモデルになっていると思います。JH Audioのフルメタルシリーズについてはうちのブログでも詳しく取り上げていく予定です。

またBeat Audioもブランドの特色の記事と、Silver Sonic MkV、Supernova、Vermilion、Signalを使った比較試聴を行いました(P186)。各モデル間の違いだけではなく、さまざまなメーカーのイヤフォンにケーブル4機種からのお勧めを書くと言うもので、この記事が一番大変だったんですが、あまり他にはない記事になったと思います。
自分でもBeat Audioのブランドとしての個性と各ケーブルの個性による使い分けが分かって面白かったですね。単に銅線っぽいとか銀線っぽいと言った型どおりの印象に収まらない点がBeatの面白さです。

また今回もヘッドフォンアワードの選定を行いました(P30)。委員12人のトータルでの得票により受賞製品が決定し、今度のヘッドフォン祭で授賞式が行われる予定です。
他にもレビューでAnswerやTriFi、ちょんまげ3号などを書いています。FitEar Airのところでは4人でのクロスレビューのような形でレビューを書いています(P15)。

それと付録のカスタムブックでは巻頭の「カスタムBIG4メーカー座談会」で司会を行いました。これはポタフェスの会場下で行いました。JH Audio、Westone、、FitEarのキーマンが語るものです。JH Audioはもちろんジェリーハービー、WestoneはCEOのジェイソン・ロックウッド、センサフォニックスはマイケル・サントウッチ博士、FitEarは須山さんです。
特にマイケル・サントウッチ博士はめったに日本には来れないということで貴重な機会だと思います。これは英語で全部おこなった(須山さんも)のでなかなか大変でしたが、国際的で面白かったですね。

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なかなか読みどころ満載だと思いますのでぜひ購入お願いします。


posted by ささき at 21:09 | TrackBack(0) | ○ オーディオショウ・試聴会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする