今回は前回のRoonの解説記事で説明できなかった応用的な解説です。
まずHQ PlayerのRoonでの使用とRoonでのシグナルパス(データの流れ)について解説します。
先に書いたようにRoonではHQ Playerを併用することができます。音源管理に優れたRoonと再生に優れたHQ Playerの組み合わせは強力なPCオーディオ環境を提供してくれます。たとえばHQ Playerの高精度なアップサンプリング機能を使用することができます。
使用方法は簡単です。今回はWindows PCで説明します。Win PCにRoonをインストールします。
私の場合はさきにMac miniにRoon Coreを使っているので、Mac miniのCore(ライブラリ)の無効化をしました。Win PCをリモート(Coreレス)とする場合は不要ですが単体で使うため行いました。Core(ライブラリ)は一つという原則を思い出してください。
まずPCにHQ Playerをインストールしておきます(3.12.0以上が必要です)。Roonと同じPCでかまいません。
そしてRoonのAudio Setupを選択し、Add Network DeviceでHQ Playerを追加します。これはHQ Playerのゾーンとなります。アドレスはlocalhostを指定すると同一PC上であることを示しています。
そしてRoonの出力先でHQ Playerゾーンを指定します。
HQ Playerを立ち上げて、単体でも再生できるようにHQ player側のセットアップをしてください。
HQ Playerの画面、Songの項にRoonと出ます
あとは再生はRoon側で行います。
Roonで曲を再生するとHQ Playerの方ではSong:Roonと表示され、オーディオデータがRoonからHQ Playerに渡されて再生が始まります。HQ Playerの音質とデジタル処理が有効になります。
上の画面でオーディオデータの流れを確認してみましょう。
曲名の右にある星のアイコンを押すとシグナルパスが表示され、現在の再生品質(ロスレスなど)が表示されます。たとえば上の図ではソース音源が44/16のALACであり、出力先がHQ Playerストリーミングであることを示しています。その先はSignal leaves Roon(信号がRoonを離れる)と表示されていることでもわかるようにRoonを離れてHQ Playerにデータストリームが渡され、HQ PlayerではTPDFデジタルフィルターを適用して176kHzにアップサンプリングしていることがわかります。全体の品質はロスレスです。
またこの図からもうひとつわかることは、音源ファイルの読み込みはRoon側(Leave Roonの前)で行われるので、ある音源の形式をHQ Playerがサポートしていなくても、Roonでサポートしている音源ならばHQ Playerで再生できることを示しています(Roonフォーラムでもこのことは明記されています)。
ちなみにこの星アイコンは音源の品質を表しています。
たとえばMP3音源だと上のようにLow Qualityと表示されます。MP3をアップサンプリングしてもロスレスレベルの音質にはならないと示しています。
上ではDSDネイティブ再生の例を示します。
ここでDSD128音源を再生し、DoPでエンコードし、Geek PulseにASIOドライバーを通してDSDが渡されているのがわかります。(この例ではHQ Playerを通す意味がないのでRoon単体で使用しています)
* 補足:ゾーンとは
Roonでは出力先をゾーンという概念で表します。
このゾーンはいくつかの種類別に分けられ、同じ種類であれば「グループ化・リンク」してシンクロナイズした同時再生が可能です。これも制限があります。
現在のゾーンの種類は次の通りです。
1. システム出力/PCI/USBデバイス - グループ化できません
現在グループ化できるように更新中のようです
2. AirPlayゾーン - グループ化できます
3. Meridianゾーン - これはMeridianのネットワークオーディオ機器のためのものです(Roonの母体はSooloosなので) - グループ化できます
このほかにRoonSpeakers(RoonReady機器)が加わると思います。
また、前記事に書いたように、リモート(coreのないPC、タブレット)のゾーンはPrivate Zoneと呼ばれて制限があります。