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2016年01月14日

AK T1p 製品版とHD800比較レビュー

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Astell & Kern AK T1pは2015年に発売のあったベイヤーの第二世代テスラドライバーを使ったT1 2ndをベースにしたもので32オームのインピーダンスとしたモデルです。またケーブルもT1 2ndの仕様に基づいて根元からリケーブルができます。付属のケーブルも短いもので、2.5mmバランスと3.5mmミニプラグの二本が入っています。

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AK T1pはヘッドフォン祭の解説をしたときにデモ機を聴いてコメントもしたのですが、また製品版を聴いてさらに音質が良くなってるのに気が付きました。
ハイエンド・ヘッドフォンはゼンハイザーのHD800が嚆矢となり、長い間この音質がハイエンドのスタンダードでしたが、最近の平面型時代になり、さらに一段階性能が上がってきたと思います。いわばハイエンドヘッドフォン第二世代といいましょうか。
オリジナルのT1はだいたいHD800相当くらいの音質レベルでしたが、このT1改良版のテスラ第二世代モデルではそうしたハイエンドヘッドフォン第二世代クラスの音質が期待できると思います。

そこで、手持ちの2009年に買ったオリジナルのHD800と聴き比べてみることにしました。平面型とくらべるとなんですが、普通のダイナミックヘッドフォン同士を比べることで2009年から2015年へのハイエンドヘッドフォンの音質の向上に興味があったからです。
機材は最近メインで使っているUSB DAC付ヘッドフォンアンプのGeek Pulse Si(フェムトクロックモデル)です。どちらも標準ケーブルを使い、音源はLINNの最新のクリスマスアルバムのハイレゾ版です。

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実際に聴いてみると、比べてみると音質に大きな差があるので驚いてしまいました。
違いとしてAK T1pのほうが音量が取りやすいのは当たり前だけれども、まず音の透明感が大きく異なり、AK T1pのほうがベールを1-2枚はがしたくらいクリアです。
前のT1のときは音の広さはHD800の勝ちかなと思っていたけれども、AK T1pはさらに上回るくらい横方向の広がりがあり、さらに独特の立体感が高く感じられます。クラシック音楽ではスケール感もひときわ高いですね。
ジャズヴォーカルで聴くと声の質感もAK T1pのほうがリアルに肉感豊かに声を描き出します。特に声の消え入るかすかな音、ヴォーカルのしゃがれ具合などこまかいところの解像感がとても高いですね。HD800の方は全体に音が軽く感じられます。
また楽器のはじく音の切れの鋭さ、スピード感もHD800よりも上で明瞭感も高いと感じられます。高域はAK T1pはやや強く出ていますが、上に伸びる感じはHD800よりも良く、低域の重みもより感じられます。

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またHD800はやや引いた落ち着いた音で、AK T1pはそれより前に出る音なので個性の差による好みはあるでしょう。HD800には独自のフラットさがあり、プロ用に使うには適している点もあると思います。一方でAK T1pはオリジナルT1よりも音楽的に聴くことができます。
ただ音質のレベル的にいうと、オリジナルHD800に比べるとやはり一クラスレベルアップした第二世代ともいえるところにこのAK T1pはあると思います。透明感、解像力の高さ、立体感の良さなどがAK T1pの強み、テスラ第二世代の強みでしょうか。

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また上の音の個性という点でいうと、AK T1pの音を聴いたときに思ったのはオリジナルのT1から音質的に向上しているとともに、音の個性でも異なると言うことです。もともとT1の音はT5pと比べた時に顕著ですが、かなり引き締まった音で贅肉がなく、端的に言うとクールでモニター的な感じでスタジオエンジニア向きかと思ってました。AK T1pでは少し柔らかで低音域が豊かです。音楽を聴くのが楽しく、オーディオリスナー向けになったように思います。
私はベイヤーのテスラシリーズはT1オリジナル、T5pオリジナル、AKT5pと使っています。Jabenのリケーブル版のT1とT5pを使ってこれらオリジナルテスラを同じケーブルで聴き比べたこともあるのですが、T1がHD800に近いプロ的な性格なのに対してT5pはもっと緩めで音楽的に聴きやすい感じでした。AK T1pは性格的にはその両者の間という感じです。
この差は32オームの違いと言うのもありますが、T1 2ndで変えた点ではないかとも思います。直接T1 2ndと比較していないのではっきりとは言えませんが。。

持ち運びできるとは言え、セミオープンなので電車では使えません。AK T1pはまずAK380AMPのような高性能プレーヤーを家で使いたい人にお勧めではあります。バランスケーブルもついています。Ak380AMPなどでイヤフォンでは高音質で聴いているが、家でヘッドフォンで聴きたいと言う人に向いていると思います。
もうひとつお勧めなのはPCオーディオでシステムをUSB DACで組んでいる人です。ケーブルの長さは今回のようにPCにUSB DACを付けた場合などや、せまいうちだと短いAK T1pのほうが良いという気がしますね。
Astell & Kernが手掛けたヘッドフォンでショートケーブルということで、ポータブルという先入観で見てしまうかもしれませんが、普通に家で使うヘッドフォンとして現在トップクラスの音質が得られますので、高価なヘッドフォンアンプを持っている人もぜひ聴いてみてください。
posted by ささき at 22:07 | TrackBack(0) | ○ ホームオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする