Music TO GO!

2016年01月07日

CES2016 雑感

今年も恒例のCESが始まりましたが、現時点で発表されているもので興味をひくものをあちこちのレポートから拾ってみました。

* MQAの本気

堰を切ったようにどとっとMQA関係の発表がなされています。
Tidalを使用してのストリーミングのデモなどがなされていますが、これは予定されていた応用の一つですね。
また「MQA対応」製品が続々と発表されています。MYTEK BrooklynのようなDACからマルチルームシステムやスマートフォンまで発表されていますが、気がつくのは不思議なことにアプリケーションでMQA対応というのがないように思います。はっきりとしませんが、可能性があるのはRoonくらいでしょうか。(RoonはMeridian系だから)
つまりはハードばかりでソフトウエアの対応製品がないということですね。RoonをハブにしてMQA対応ハードを配置するという形でしょうか。

MQAは対応していなくてもCD品質の再生が可能で、対応製品ならばさらに拡張部分(ハイレゾ)が再生可能とされています。ただDACでなくても、PCのAudirvanaみたいな再生ソフトでもデコードできるはずで、その場合には対応ハードはいらないはずですよね。MQAが原版のハイレゾマスターデータをPCMとして「オーディオ折り紙」してコンパクトにしてMQAにエンコードし、そのMQAデータをデコードしてもとのハイレゾPCMに戻す、という仮定が正しいならば、ですが。
もしそうならばMQA対応というのを「ハイレゾ対応」のようにハードの売りポイントにしていくという戦略にも見えます。ただあいまいな「ハイレゾ対応」に比べると「MQA対応」はより明確ではありますが、やや商業主義的な方向が見えるかなとも思います。

いずれにせよ再度MQAのポイントをまとめると次の二点だと思います。

1. サンプリングレートの割にサイズを小さくできる (オーディオ折り紙)
2. 「時間的な正確さ」により音質向上ができる

このうちの「時間的な正確さ」はいまひとつ意味が分かりにくいのですが、2LのエンジニアがこのMQAの時間的正確さをインパルス応答のプリ・ポストエコーと言い換えていましたので、MQAとは原版そのままではなく、エンコードする際にプリ・ポストエコー(アーティファクト)を取るデジタルフィルタを適用してよりデータを「きれいに」してエンコードしているということが分かります。
そうするとビットパーフェクトではないということになりますね。ロスレスを標榜してはいますが、オーディオ折り紙の仕組みにしろ、フィルタの適用にしろ、データを変えているのは明らかだと思います。まあMP3みたいに劣化するというわけではありませんが。。

つまりMQAの正体というのは「オーディオ折り紙」によるデータの軽量化と「デジタルフィルタの適用」によるデータのクリーンナップの二点になると思います。
オーディオ折り紙については以前書いたMQA記事をご覧ください。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/410313602.html

* 新DACチップの登場

ESSはES9038PROという新フラッグシップと新シリーズを発表し、AKMはAK4497という従来VERITAラインですがその新しいフラッグシップを発表しています。

9038は9018を上回る140dBという広大なダイナミックレンジもポイントですが、DoPデコーダを内蔵しているのもポイントですね。オールインワンをテーマにしているESSらしいですが、そうするといままでDACファームで行っていたDoPのデコードが不要になり、DAC ICに直接DoP(つまりPCMの形)のままで渡せるということですね。
そこで気が付いたんですが、いままでDAC ICがDSDネイティブ対応していてもDAPがネイティブ対応していないと言うのは、信号経路がDSD RAWとかに対応していないからXMOSなどのチップが余分に必要だったからですが、この9038というかPROシリーズを使えばXMOSを省くことができるのでこのPROシリーズDACを採用すれば即DSDネイティブ再生となると思います。
つまりいままではDSD対応の9018を採用していても、イコールDSDネイティブ再生ではありませんでしたが、9038(Proシリーズ)の場合は9038採用イコールDSDネイティブ再生対応になると言うことです。
実際はそんな簡単かわかりませんが、、

対するAK4497の方はついにDSD22.4MHz入力にも対応し、DSD専用経路の仕組みを引き継いでいますので、DSDの状態でデータが来るならば、こちらの方が効率は良いと思います。この辺はDACの実装も含めての良しあしとなるでしょうね。

* Audeze SINE

いくつかの新製品が発表されるなかでわりと目立っているのが、このAudeze SINEです。これは初の平面型オンイヤーヘッドフォンとなります。$500で3月発売を目指しているようです。Oppo PM-3の対抗馬ですね。装着している写真を見るとかなり小さいのが分かります。
それとAudezeではCypherケーブルという純正のライトニングケーブル、つまりライトニング端子に差してDACを使ってヘッドフォンに接続するケーブルも注目です。
これはなぜ注目かというと、最近iPhone7が薄型のためにイヤフォン端子を廃止すると言う噂がかなりささやかれているからです。ある記事では"Future Proof"と枯れていますが、この情報を意識してのことでしょう。
posted by ささき at 23:23 | TrackBack(0) | ○ オーディオショウ・試聴会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする