12/11から12/13までシンガポールにてJaben主催のMoon Headphoneフェスティバルの第3回が行われ、私も参加してきました。
第一回レポート
第二回レポート
前回まではサンテックシティという複合モールにあるコンベンションセンターを使用したのですが、今回はシンガポールの新しい中心地とも言えるマリーナ・ベイ・サンズホテルを中心としたエリアのコンベンションホールに変更されました。ここはシンガポールでは最もステータスの高いエリアだそうです。参加ブースは前回よりも増えましたが、運営方法も少し変更されて代理店参加は一部となり、多くのブランドのブースはJaben側のスタッフが担当することになりました。
マリーナ・ベイ・サンズは日本でもよく知られる高級ホテルで、一泊はS$450程度です。3つのタワーから構成され、その頂点は船の形をしたデッキでつながれています。
Infinity Pool(カメラは持ち込み可)
そのデッキにはSkyparkと呼ばれる展望デッキのほかにInfinity Poolと呼ばれるプールが設置されています。ここは縁がまるで滝のように空と摩天楼に落ち込むように見えることからその名がつけられています。もちろん縁は二重構造になっていて絶対に人が落ちないように設計されています。
ガーデン・バイ・ザ・ベイ
またサンズは複合施設でもあり、隣接するガーデンズ・バイ・ザ・ベイと呼ばれるテーマパークのような植物園やショッピングセンター、レストラン街、そしてコンベンションセンターを有しています。事実私も会期中はほとんどここから出なかったくらい施設は充実しています。
朝方1℃の日本から30℃の南国へと移動します。 シンガポールへは7時間ほどで到着し、まだ暗いなか眼下に停泊している船や街の灯が見えてくると、やがてシンガポールのチャンギ―国際空港に降り立ちます。シンガポールは車の数を抑えるために公共交通機関が充実していてタクシーが安いので、サンズにはタクシーで向かいます(S$15-S$22)。
この季節は雨期に相当し、だいたい午前は晴れますが、午後は豪雨のような雨が降り、夕方にまた上がると言う感じです。季節はほとんど日本の夏のようなもので、晴れているときは半そででよいのですが、建物の中が冷房で寒いことが多いので調整できる薄い長そでがお勧めです。
会場はマリーナベイサンズのエキスポセンター4F会議室で、一階が向こうが消失しそうな大きさなのに驚きます。ホテルも巨大ですが、コンベンションセンターも巨大、世界の人が来ることを前提にするっていう国際的視野は日本もみならって欲しいものですね。余談ですが日本の良いところも悪いところも、なんでもそうですが日本市場で日本人を相手にしていればそこそこ成り立ってしまうと言うところです。シンガポールのような小さな国でははじめから世界を相手にする必要があり、そのため国際的な見地が育っていきます。
部屋は大部屋に40テーブルくらいが設置され、ブランドによっては代理店がやってる場合もあるし、Jabenスタッフが接客してるブースもあります。テーブル数は前回より増えてます。
日本で見ないのは、Jabenらしい組み合わせでディスカウントする商品の売り方です。お得感をいかに出すかというのがひとつのポイントのようです。また各ブースを回ってスタンプを集めるとDENON DA10が当たる抽選に応募できるというスタンプラリーのようなイベントもありました。
以下ブースの様子をレポートしていきます。
まずシンガポールのメーカーの展示が活気がありました。シンガポールのメーカーはAnswerでおなじみのDita Audio、カスタムイヤフォンのAAW、そしてBTヘッドフォンのpendulmicです。
地元Dita Audioのブースはけっこうな人気でした。Answerバランスなどを展示してました。
またこの週末の大きなトピックとしてDita Answerはシンガポールで最も権威のあるPresident's Design Awardを受賞したということです。シンガポールの新聞に記事があり、特製の本に数ページにわたって掲載されてました。
上は試作版ですが、DitaのAnswerのTrueバージョンのケーブルをMMCXで作った交換ケーブル版。CampfireのLyraにつけて聴いてみました。
これケーブル単体で聴くとよくわかるけどすごく高品質です。フラットで引き締まり、透明感がすごく良いですね。価格でいうとかなり高価な部類にはいると思います。それを考えるとAnswerのTrueバージョンってすごくお得かもしれません。
上はシンガポールのカスタムメーカーAAW(Advanced Acoustic Werks)のハイエンド・ハイブリッドモデル、W500(4BA/1DD/4way)はSGD1300。ヴォーカルは艶かしくてリアルです。 W500にはベース可変できるモデル(上右)もありベースを増やすとベースが膨らむというよりは全体に柔らかく音楽的になる感じでしょうか。味わいを変えられる感じです。
AAWはエントリーカスタムのメーカーという感じですが、ハイエンド方向にもラインナップを拡張してるよう。本人たちに聞くとハイブリッドが得意ということです。こちらはA1Dダイナミックです。ベントがあるのがわかりますね。
上はAAWの初ユニバーサルであるNebula one。厚みがあってスケール感もあり、価格(US99$)も安くて良いと思いました。
左(T1)、右(S1)
上らはBluetoothヘッドフォンのPendulumicです。アンプ内蔵のBTヘッドホンをラインナップにしてます。T1とS1があって、違いは音の個性でT1の方がベース強く、S1はジャズ向きな整った感じ。 単4と内蔵バッテリーの両方を使用できて充電忘れにも対応でき、内蔵のヘッドフォンアンプにより音質はかなり高いと思います。S$250前後だったかな?
日本勢はファイナルとマス工房以外は展示品を送って現地スタッフが説明という形です。
上はWagnusさんのケーブルの線材に鋭く質問する人とA2PのTUR06にじっくり聴きいる人。 WagnusさんはBlue MoonやDiamond dust などを展示。シンガポールではMMCXより2pinの方が人気があるそう。カスタム人気があるからだそうです。 A2Pでは07のデモ機はないのか、という声もちょくちょく聞かれました。
マス工房では404でAKG K1000を鳴らすデモ。やっぱりK1000良いですね。唯一の音ではあります。それを鳴らしてしまうマス工房のアンプにも注目が集まっていました。
ファイナルではIIIのデモ。クローズだけど不思議な開放感。フラット特性というけど分析的という感じではない感じです。ファイナルではシンガポールでも自作イヤフォン講座を開講しました。こちらは別記事でレポートします。
上はメッシュハウジングのイヤフォンの試作機です。オープン型で少しずつ空気が漏れるというのを逆に利用しているそうです。3Dプリンタで作ります。
また細くて軽量で怪しいイヤフォン(写真公開不可)もちょっと見せてもらいました。重い記録はやったんで今度は軽い記録を作るとか。。
組み立てラボのブースではトリオが大人気でした。気に入った数人がほかの友人を呼んでトリオ啓蒙活動を繰り広げてたほどです。
ジョンフランクスとロバートワッツも来てます。 ただMojo人気で世界を飛び回っていてお疲れの様子でした。
SLT Techという現地のOppo代理店が組み合わせてたPM3とBtunesというBTレシーバー(SGD150)との組み合わせ。PM3のケーブルソケットをうまく利用してます。
軽量で使いやすく、音質もかなり良かったです。
SLTはMrSpeakerとSchiitの代理店で大小コンポをEtherでデモしてました。
トップエンドのYggdrasilはマルチビットDAC使用で、女性ヴォーカルの表情がとても艶やかです。Etherらしいキレの良さも合う。
ちょっと面白かったUM56のようなカスタムイヤチップ、Snugs。シリコン製で見た目ほとんどカスタムで耳に優しい。Shureに付けた例です。
上はKickstarterで募集を行ったFlare Audioのイヤフォン。このモデルはSGD938とかなり高いんですが、チタン製で音質もシャープでかなり良かったですね。故障時に分解してドライバーごと交換出来るのもポイント。
シンガポールでも3Dスキャン。アンクル・ウイルソン自らが行ってます。いまのところUEのみだそう。
今回のポイントの一つ、オリジナルオルフェウス(HE90)の展示。ウィルソンの私物だと思います。
オルフェウスは思いっきり熱くなるまで聞いちゃダメと言われていて、少し待ってから聴きに行きます。少し経ってから行くと今度は熱すぎてクールダウンしてたりします。
実際に聴いてみると、いろいろ言われるけど私はかなり良いと思いました。真空管アンプの影響が強く滑らかで暖かい音楽的でベースも膨らまない程度にたっぷり。音の広がりも良いですね。
私は下記リンクの通りHE60(baby オルフェウス)は持ってるけど、一番の違いはアンプですね。HE90のブラデリウスの真空管アンプが良いんです。今回の新オルフェウスははたしてどうでしょうか。
http://vaiopocket.seesaa.net/category/1081012-1.html
シンガポールheadfiコミニティーの人たちとも意見交換しました。国それぞれの事情がありますね。各国のHeadfiコミニティーの状況などもちょっとシェアしてきました。
だいたいの感じとしてはポータブルオーディオファンは世界どこでも同じで若く、熱心な人が多かったですね。一方で一人で来ていたマニア風の女性も何人か見かけました。ソースでは3段という人はいませんでしたが、オンキヨーの新DAPを輸入して持っていた人が目立ちました。個人的な感覚で言うと、HeadFiからの影響と、日本からの影響が半々という感じでしょうか。
あとシンガポールに来てみると、若い人は予想以上に日本語が話せる人が多いです。みなアニメから覚えたそう。9割くらいはアニメから覚えて残りは興味を持って学習したということです。耳から入っているので発音が聞き取りやすいのも特徴です。
シンガポールでは2月にHeadFiのCanJamが開催されますが、どうなるかちょっと楽しみです。
マレーシアなども順当に市場が伸びてきているようです。シンガポールに居るとまた違った視点でアジア市場を見ることができると思います。
シンガポールはきれいな国で食べ物もおいしいですので、日本のメーカーの方々もぜひ観光半分でも来てみてオーディオ事情の視察はいかがでしょうか。