Music TO GO!

2015年02月22日

Westoneのカスタムイヤチップ、UM56

WestoneのUM56はユニバーサルIEMのイヤチップとして使用する耳型から作るカスタム・イヤーチップです。国内ではテックウインド経由で提供されます。

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イヤーチップ部分のみをカスタムオーダーすることで、付属のイヤチップよりも高い装着感を得られます。素材はシリコン(またはビニール)を使用しています。水洗いが可能です。
カスタムなので、作成には各ユーザーの耳型(インプレッション)の採取が必要です。
またWestone社製のイヤフォンだけでなく、オーダー時に指定することで他社製のイヤフォン用に作ることもできます。ステム径が同じであればもちろんイヤフォン間で流用ができます。
作成可能なイヤフォンの対応表は下記の通りです。
http://www.tekwind.co.jp/faq/WST/entry_284.php

カラーバリエーションが豊富で、好きな色を選択可能です。追加料金なしで左右別々に選ぶこともできるので右は赤系など選んでもわかりやすいでしょう。下記のテックウインドのページをご覧ください。
http://www.tekwind.co.jp/products/WST/entry_11190.php
価格は23,000円(シリコンモデル、税込、耳型別)です。

注文はカスタムIEMに準じますが、すでにWestoneに耳型がある人は送付の要はありません(ただしあまり古くないもの)。注文はフジヤエービックとかeイヤのような専門店に問い合わせてください。
カスタムの注文と耳型の取得については下記のES60の記事を参照ください。個人的には東京ヒアリングケアセンターがお勧めです。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/406543132.html

まず耳型を採取して、オーダーフォームに色と材質の指定をします。また使うイヤフォンの種類(機種名とメーカー名)も明記してください。
私はW60の音をさらに良くしたかったので、Wシリーズの径で注文し、色はSmokeを選びました。すでにES60でWestoneに耳型があるので耳型を送る必要はありませんでした。
だいたい4週間くらいで届きました。

IMG_5790_filtered[1].jpg  IMG_5792_filtered[1].jpg  IMG_5791_filtered[1].jpg

カスタムの一種なので、簡単な紙の箱に入ってきます。中にはポーチなどが入っています。
UM56のシリコンチップはなかなかきれいな出来で、私は半透明のSmokeを選びましたが透明度もわりと良いと思います。

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装着もスムーズにできます。私はバイトブロックの採取法の耳型ですが、かなりぴったりはまりカスタムっぽい装着感です。
ただしカスタムとは違ってイヤピースと本体が別なので、カスタムでやるようにシェルを持ってひねって入れるという感じではなくて、あらかじめイヤチップ部分を耳穴にあてておいて、全体をフィットするように調整するという感じです。
耳道に入れるのでカスタム初めての人はやや違和感を感じるかもしれません。

* 試聴

W60はPONOと良く合わせているので、PONOでレビューします。
まずW60に標準ケーブルでPONOで聴いてみます。

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初めの予想は、カスタムチップによって遮音性が高まることで低域の逃げがなくなり、低域の量感がぼんっと増えでボンボンのベースヘビーのバランスになるのではないかということでした。

実際に聴いてみるとたしかに低域も増えていますが、それよりも中高域の鮮明さが上がって、音場が開けた感じになることに驚きました。低音域だけでなく、全体的に音が向上する感覚ですね。
低域は腰がどっしりと座るように安定しますが、ただ低域が漏れずにしっかり出るだけではなく、荒い表現だった中高域もよりスムーズに再現されるように思える。高音域のきつさもやや低減されます。
全体に一ランク上がったように思えますね。また余分な着色はないので、そのまま音質向上された感じです。

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次にMoon AudioのBlackDragonバランスケーブルでPONOバランスで聴いてみます。このW60 + BlackDragon+PONOバランスが、鮮明でいながらちょっとメロウで暖かくなかなか音楽的で気に入っているので、この音をそのまま良くしたいと思っていたのがW60を選んだ理由でもあります。

普通のチップからUM56に変えて聴いてみると、細かい音がよりハッキリクッキリと聞こえる感じがします。ベースは芯がしっかりとして、重みのあるベースラインとなります。低域はずぅっと深くなり、パーカッションの打撃感も良くなります。加えて音の一つ一つがより鮮明で、中音域は楽器やヴォーカルの音のこもった感じが取れてあいまいさが少なくなり明瞭に聞こえるように感じられます。やはり全体に整って聞こえますね。
高音域は刺さるようなとげとげしさはやや減退し少し和らぐように感じられます。
全体にすっきりと少しクリアに晴れあがり、音場もぱっと開けるように思えます。広がるというより開けるような感じです。イヤファンをクラス上にした感じはありますね。

例えば低音だけあげたいならフォームチップも良いですが、UM56では明瞭感が損なわれずにより鮮明になり、バランスの崩れもないように思います。ケーブル交換と違って固有の音がつかないので、元のイヤフォンの音調というか個性は変わりません。
帯域バランスは多少変わりますが、特にベースヘビーになるなどの極端な変化はなく、いままでの音が全体に良くなったと感じると思います。
遮音性が良くなったことで良いベースを下支えにしたピラミッドバランスになるためか、あるいはふさがれた耳穴内でのピーク特性も変わっているのではないかと思います。

またステム径が同じShureやUltrasone IQなどにも使えます。

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音はやはり音が明るくぱっと広がる。こもっていたのが明瞭感がますという同じ効果が得られると思います。
上の写真はSE215SpeとUltrasone IQです。SE215だと本体に対してやや高価なチップとなってしまいますが、SE846なんかはなかなかよさそうな気がします(ないので試せませんが)。Shureはカスタムがないし、なんていうShureファンも試してみると良いかもしれませんね。

* まとめ

私みたいなカスタムジャンキーからすると、こうした製品はややバカにしてた面もあったけど、良い意味で驚いたというか新たな発見がありました。これは思った以上に効果的だと思います。特にカスタムとユニバーサルでも音が違いますので、気に入ったユニバーサルの音をそのまま上げたいというときに効果的です。

どういう人に向いているかというと、すでにカスタム持ってる人は耳型取らなくて良いので、たとえば私だったら、ES60持っていても、W60の音の個性が好きなのでPONOはあえてW60と合わせてるという場合に良いですね。
そのまま音を良くしたいというと、もうリケーブルはやってるし、あとはチップを変えるくらいですからね。リシェルしたりするとちょっとおおごとになります。またUM56だと中古価値も損なわれません。W60を仮に売ってしまっても、Shureにも使えます。
やはりW60とES60でも違う音なので、W60が気に入っていてこれをもう一段よくしたい、リケーブルなんかとっくにやった、という人にもオススメです。

また標準ケーブルで気に入ってる人はケーブルのように固有のクセがないのでリケーブルよりもまずこちらを試したほうが外れなく良いかもしれません。カスタムをやりたいけど価格的に、という方もまずこれで耳に合わせてみてもよいでしょう。普通のチップでは耳に合わないという人にも良いですね。

Westoneに聞くと、W60は単なるES60のユニバーサル版ではないと言いますが、UM56をつけるとそれが良くわかります。ES60もカスタム版のW60ではありません。
ES60もW60+UM56も個性が違っていてそれぞれの良さがあるという感じなので、W60買ってからステップアップと思ってES60を買ったという人は、Westoneに保存してある耳型を活用してW60の良さを再発見できると思います。

posted by ささき at 23:50 | TrackBack(0) | __→ Westone ES3X カスタム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする