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2015年02月05日

世界最薄の振動版を採用したHiFiManの新フラッグシップ、HE1000のプレビュー

先日のCESで発表されて話題になったHiFiManの新しいフラッグシップであるHE1000のプリプロダクションモデルを試すことができました。またHiFiMan HM901の新型であるHM901Sの最終生産前モデルを試す機会もあったので合わせてレポートします。

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* HE1000

HiFiMan(ハイファイマン)はマニアックな傾向の中国のメーカーで、平面型ヘッドフォンとハイレゾプレーヤーについては昔から手掛けてきました。
いままでのHiFimanのフラッグシップヘッドフォンはやはり平面型で、あの能率が低すぎてアンプをクリップさせちゃうHE6でしたが、HE1000はそれに代わるフラッグシップとなります。HE1000はCES 2015で発表されて話題になりました。HeadFiのJudeはHE1000をベストオブCESに選んでいます。
下記はHE1000のホームページです。
http://hifiman.com/he1000/

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HE1000の特徴はまずダイアフラム(振動版)がとても薄いということで、史上最薄となりナノメーターで測るほどだそうです。静電型ではなくオルソダイナミックなのでダイアフラムのほかに導体のパターンが必要ですが、それもサブミクロン程度の薄さということです。またダイアフラムの面積もおそらく世界最大級だと思います。下記にナノメーターダイアフラムがどの程度薄いかということがわかる動画があります。



もうひとつの特徴としてはアシンメトリカル(非対称)・ドライバーを採用しているということです。HE560ではシングルサイドでしたが、HE1000はダブルサイドになります。ただしマグネットなどが対称ではなく非対称に配置されています。この利点としては通常の対称型のドライバーは干渉して位相歪みを生じるけれども、この非対称型だと干渉しないのでそうした歪みが生じないということです。これは下記の図のように片側に逃げていく逆相の音との相互作用なんでしょう。
左側が従来タイプのドライバーで右側がアシンメトリカルドライバーです。

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またブラインドグリルと呼ばれるデザインのハウジングも開口性を重視して設計されています。

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ケーブルは4pinのバランスが基本で、ここからコネクタで標準プラグと3.5mmミニプラグのケーブルが付けられます。

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実際に使ってみるとサイズにしては重さは軽く感じられます。装着の感じはAbyssに似たかぶる感覚に近いですね。ただこの辺はプリプロダクションなのでまた変わってくるかもしれません。
音に関してはHiFiMan HE560とゼンハイザーHD800と簡単に比べてみました。ヘッドフォンはすべて標準ケーブルを使用してます。
ヘッドフォンアンプはパーソンのSoloist SLを使用してみました。次のようなシステムです。

PC(JRMC) → Hugo(USB DAC) → kimber RCAケーブル → Soloist SL

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HE1000でまず感じたのはなんかSTAXっぽい、ということで、これは音が細かくて速いということから来ている感覚のように思えます。この辺は最薄ダイアフラムが効いているのでしょうかね。パーソンの音の生々しさがかなり気味悪いくらいリアルに感じられます。それと高い能率も寄与していると思います。HE560と比べると顕著ですが、音が明るく軽く感じます。重く暗い感じではないですね。
HE560よりもさらに歯切れが良く、高音域の伸びが良く突き抜ける感じで、低音域はとてもパンチがあります。低域は特に超低域がどーっと出てくる感じで、音の広さと合わせてスケール感が半端なく感じます。
HD800もHE1000に比べるとかなり甘い感じに感じられ、インパクトが軽くHD800でさえもHE1000に比べると鈍重な感じです。

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プレビューなのでこのくらいにしておきますが、なかなか性能の高さは実感できました。HE560やHD800よりも性能が高いのは間違いないところです。HE1000は能率がそれほど低くないので、いわゆる平面型向けのヘッドフォンアンプでなくてもかまいません。HE560より能率が高いです。平面型の良い点が能率が改善されたことで100%発揮できているという感じでしょうか。
iPhoneでもボリュームをワンノッチ残すくらいで十分音量は取れます。またiPhoneで鳴らしてさえけっこう立体感や低域レスポンスは得られて良いヘッドフォンだということはわかります。

価格はまだ分かりませんが、それなりにお高くなりそうです。国内の取り扱いについてはそのうち案内があるのではと思います。

* HM901S

あのHM901が金属シャーシになったものがHM901Sです。これはHM901ではシャーシが電気的な問題があったそうで、この金属シャーシ化でかなり問題は解決したということです。たしかアルミ製だったと思います。

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その他のDACチップや回路は変更がないそうです。アンプカードも同じだと思います。ただしデジタルフィルタースイッチがなくなり、スイッチではなくイヤフォンプラグでシングルエンドとバランスの使い分けをします。バランスは3.5mmTRRSです。
このほかにはファームウエアも改良されています(FWは太極というそうです)。ただこのバージョンではまだ不安定でした。

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シャーシはかなりがっちりとして精密感があります。ただ前よりも重くはなっています。
音は前と似て濃くて繊細な音ですが、よりクリーンで洗練された気はしますね。制動力もあってしっかりイヤフォンをドライブしています。

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そういえば最近ではAK240のステンレスシャーシ版のAK240SSも発表されていますが、これもA&Kの人に言わせるとシャーシが変わったことだけでグランドの変化で音の変化があるということです。ポータブルオーディオもこれだけ音が良くなってくると、いままでは気に書けなかった要素も重要になってくるということかもしれません。
posted by ささき at 20:55 | TrackBack(0) | __→ HifiMan HE5, HE6 平面ドライバ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする