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2015年02月01日

Radsoneの新アプリ、スマートフォンの音質を向上させるRadsone DCT

スマートフォンの高音質の音楽再生アプリとして、Radsoneというアプリがかなり前からありましたが、その新しいバリエーションが登場しています。Radsone DCTです。DCTは昨年の11月に出て、いま現在は3.0が最新です。従来のRadsoneはそのままあるので、これはまったく別のアプリです。

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左SONY ZX1、右iPhone6

* Radsone DCTとは

Radsone DCTはAndroidとiOS版の両方があり、両方とも基本音楽機能は無料です。アドインとして、DCT機能とHRAというハイレゾ出力機能があります。Androidでの要件は4.1以上です。無料版では一日20分まではDCT機能を使用できますが、それ以上使う場合にはアドインの購入が必要です。

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そもそもRadsoneで使われている音質を向上させる「Radsone再生エンジン」というのはなにかというと、実のところここでDCTと呼ばれている機能と同じもののようです。(前はMuseflowと言っていたと思います)
DCTというのはDistinctive Clear Technologyの略で、具体的にはデジタル音楽信号を解析してアーチファクト(デジタル演算による副作用成分)を取り除くというものです。これはアダプティブ・ディザリングという技術を応用したものということです。ディザ処理は不自然なギザギサのところに音を足す・丸めることで滑らかにするとかそういうものです。DCTの働きについては古い絵画のレストアを例にして、人工的になにか付け足すのではなく、もとあった良い状態に戻すのだという説明があります。アーチファクトですから、MP3などの圧縮音源で欠損した成分という意味ではなく、ハイレゾ音源ファイルでも存在するデジタル音源そのものに起因する問題点を修正するというわけです。ですからCDリッピング音源などでも効果があります。

もうひとつの機能であるHRAは外部DACをスマートフォンに接続してサンプルレート変更なしにハイレゾ出力をするためのアドインです。DCTはHRAを使ったDAC接続でも動作します。HRAはiOSは有料ですが、Androidはわかりません(未実装?)。

もとあったオリジナルRadsoneとRadsone DCTの違いは、基本的な「Radsone再生エンジン」はDCTと同じものですが、オリジナルRadsoneの方が機能(イコライザーなど)が多く価格が高いということのようです。ただし現時点ではRadsone DCTの方が最新の「Radsone再生エンジン = DCT」を実装していて、ハイレゾ再生機能があるなど逆転現象があるけれども、そのうちもとのRadsoneもアップデートしていくとサイトには書かれています。
もとのRadsoneのロングタームライセンスを持っている人もその対象になるということ。

* 実際の使用と音質

iPhoneとAndroidの両方とも使えますが、少し試してみて効果が高かったのは基本的な音質の優れたSONY ZX1です(4.1以上が必要なためDX100には使えません)。アプリで音質を変えられるのは汎用OS機の強みでもあります。以下SONY Walkman ZX1での使用例です。

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操作説明(ZX1)

DCTをオンにすると音に厚みが増して豊かに感じられ、楽器の音の輪郭の明瞭感が増します。ドラムやパーカッションのインパクトもより鋭くなります。DACをひとつクラスをあげたような感じでしょうかね。元に戻すと薄く軽く感じられ、ドラムの切れも甘くなります。DCTの機器は1-10で変えられるので、不自然に思えるときは調整も可能です。Warmではやや暖かめ・柔らかめに、Brightではややぎらつきが増しますがここは好みでしょう。DynamicにするとDCT効果が強調されますが、なんらかのコンプレッサ処理によるもののように思えます(よくわかりませんが)。
Gainはいわゆるイコライザーのプリアンプ機能のようなもので、音が割れるときにはあらかじめゲインを落としておけます。もしかするとDynamicでは楽曲によっては必要になるかもしれません。
またDCTオンオフの効きはバッファを使うためにひとテンポ遅れますので注意ください。

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DCT機能設定画面(左ZX1、右iPhone6)

ZX1の標準プレーヤーと比べると音質向上の効果は高いと思います。ClearSoundオンにしたほどの濃いソースをかけて味付けする感がないので、DCTだとわりと自然な音質向上が可能です。また注意して聴くと一つ一つの楽器音の質感表現はClearSoundにしても向上の効果があまりないと思いますが、DCTだとベルはより鳴りが鮮明になるのが分かります。

ただZX1を使っていたらハイレゾ楽曲が再生できないとかアップルロスレスで止まるなどいくつか問題があって不安定なところはまだあります。44/16のFLACはほとんど問題ないと思います。
またZX1の場合には仮にハイレゾ再生がうまくいっても、S-Masterにハイレゾネイティブで送られるかは分かりません、念のため。
外部DACを使用していても効果はありますので、先日紹介したGloveAudio S1なんかでも有効に使えると思います。

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両方ともZX1

一般的なプレーヤーの機能も基本的なところはだいたい備えていて、シャッフルやリピートなども問題ありません。ただしギャップレスなど少し進んだ機能はありません。

iPhoneでも使えますが、iPhoneだと基本の音があまり良くないので、もっとClearSound的に音を盛るタイプのDSPアプリの方が効果的だと思います。ZX1の場合は基本の音が良いので、ちょっと表面の荒れを整えてあげるこうした音作りがよいように思えますね。
ZX1のもうちょっとっていう物足りなさを解消してくれるアプリではないかと思います。
posted by ささき at 09:12 | TrackBack(0) | __→ スマートフォンとオーディオ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする