Music TO GO!

2015年01月30日

T5pをAKシリーズ用にカスタマイズしたAKT5p

本日アユートさんからAstell&Kernブランドで、ベイヤーのT5pをAKシリーズ用にカスタマイズしたAKT5pが発売されます。
http://www.iriver.jp/products/product_106.php

IMG_5573_filtered[1].jpg

AKT5pを外で実際に使ってみましたが、フラッグシップのハイエンドヘッドフォンを外でポータブルで使うことの贅沢さを味わえます。外で使うヘッドフォンというとたいていは低域ボンボン全体ぶわぶわのヘッドフォンの選択になってしまいますが、このくらいの高性能ヘッドフォンだとそれらとは別次元の音楽体験が外で可能になるという満足感が味わえます。

ベースになったベイヤーのT5pはベイヤーのフラッグシップであるT1の兄弟機で、密閉型の低インピーダンスモデルです。事実上のフラッグシップ兄弟ですね。T1,T5pは初めてベイヤーのテスラテクノロジーを採用したモデルで、1テスラを超える高い磁束密度を誇っています。
AKT5pはT5pを2.5mmのA&Kタイプのバランスプラグに付け替えたものです。A&K第二世代プレーヤーの方ではアップデートをすることでAKT5p向けの専用イコライザー設定を使うことができます。

* 開封の儀

外箱はシュリンクラップされ、Astell&Kernの赤いロゴが映えています。

IMG_5550_filtered[1].jpg IMG_5555_filtered[1].jpg

中箱を開けるとT5pが鎮座しています。

IMG_5557_filtered[1].jpg IMG_5562_filtered[1].jpg IMG_5559_filtered[1].jpg

アクセサリー箱にはケーブルと2.5mmバランス端子を普通の3.5mm端子に変換する短いケーブルのアダプタがついています。なにげにこの変換ケーブルが便利に使うことができますね。DAPだけなら2.5mmケーブル専用で良いですが、なにしろ2.5mmバランスで聞いていて、急にiPhoneで視聴したい動画を見つけた時なんかに苦労したりします。
また長い標準プラグへの変換ケーブルもあるので、AKT5pを家で使うときにはこちらの長いケーブルを使うことができると思います。

AKT5pは1.2mのケーブルにAK第二世代で使える2.5mmバランス端子がついています。まさに最高のポータブルプレーヤーのための最高のポータブルヘッドフォンですね。

IMG_5569_filtered[1].jpg

AKT5pのデザインはかっこよく、ヘッドバンドとパッドはシープスキンが使用されていますので高級感があります。またAKT5pはハンドメイドのMade in Germanyです。

* 音と使用

外に持ち出して聴いてみました。AK240に2.5mmバランスで接続して基本的にAKT5pイコライザーを適用しています。AKT5pはダイナミックのヘッドフォンなのでたっぷりエージングしてから聴いています。

akt5p1.jpg

見た目よりは軽量で、装着もシープスキンパッドなどで良好です。ケーブルは1.2mとポータブルで使いやすい長さなので取り回しは良好です。外では低音域が逃げやすいものですが、十分な遮音性はあると思います。側圧も強すぎないので装着感も快適です。ただしぴったりと密着させるようにヘッドバンドを調整した方が良いですね。
折りたたんでコンパクトにするということはできませんが、思ったほどかさばるというわけではないですね。肩がけショルダーならなんとか入るかというくらいです。

まずとても上質な音で、帯域バランスが良いのが分かります。
音の印象は密閉型のこもった重い音というのではなく、明るく軽やかで広い音空間が感じられます。これはテスラドライバーの特徴だと思います。テスラドライバーは1テスラの高い磁力で能率を改善する、つまり鳴らしやすくするというのがポイントです。T1のテスト例では約+7dBも効果があったということです。
そのため本来は高性能で鳴らしにくいはずのヘッドフォンを軽やかに駆動できて、その性能を十分に発揮させることが可能です。ハイゲインがないAK240でも問題なく音量が取れます。

次に感じるのは音が整っていて帯域バランスが良くフラットだということ、偏ったベースヘビーなどの強調がないですね。全帯域で聴きやすく、ニュートラル・フラットで自然です。かつほしい低域のパワー感や高域のきらめきは十分に得られます。
音の立体感も高く、楽器の位置関係はよくわかります。たしかT1/T5pも丸いイヤカップに合わせてドライバーを傾けていたと思います。

AKT5p専用のイコライザー設定を適用すると、高音域のピーク感を落として子音のきつさを抑えてくれます。他の帯域も聴きやすく上質に安定した感がありますね。多少明るさは抑えられるのでここは好みの要素もあると思いますので、使用して確認してみても良いと思います。

Edition8だと元気すぎるとか味付けが強すぎると感じていて、高音質を欲する人にも良いと思います。AkT5pはEdition8に比べると落ち着いた高音質という感じで、電車の中でもクラシックをじっくりと楽しみたいという人にも向いていると思います。

IMG_5580_filtered[1].jpg

高性能のヘッドフォンはなかなか選択肢がないので、いままで外でポータブルを使うときは高い音質を得るにはカスタムレベルのIEMを使うのが一般的でしたが、AKT5pはイヤフォンではなかなか実現しにくい広く迫力ある音空間を提供してくれます。ベースラインではたっぷりと空気が動いている感がありますね。これだけ整った素直な帯域特性もマルチBAだとなかなか得にくいと思います。

一方でヘッドフォンだから大味かというとそうではなく、細かさはBAにも負けじって思うくらいかなり細かな表現もしてくれます。ヴォーカルがかすかにささやくようなニュアンスはぞっとするくらい繊細で生々しく聞こえます。これは外で聞いた感想ですからなかなかたいしたものです。Ak240の高い性能もフルに発揮できますね。この辺はフラッグシップの面目躍如です。
高性能のポータブルとしてはESW9とかESW10のレベルはずっと上に越えて、Edition8とならぶポータブル体験ができます。外で最高のヘッドフォンリスニングをしたいという人にお勧めです。
posted by ささき at 22:57 | TrackBack(0) | __→ AK100、AK120、AK240 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする