GloveAudio S1はGloveAudio A1のSONY ZX1バージョンです。SONY ZX1と一体型でケーブルレスで接続(合体)できるDAC内蔵のヘッドフォンアンプです。
以下プリプロダクションモデルをCEntranceから貸与してもらいましたのでレポートします。情報はGloveAudioならびにCEntrance CEOのマイケルから直接聞いたものです。ただしプリプロダクションモデルでのレポートであり、製品版では変わるかもしれませんので注意ください。
たとえばプロトタイプではX1と表示されていますが、製品版ではS1となる予定です。
サイズはZX1に合わせてA1よりもやや大きくなっていますが、今回もぴったりと一体にはまります。ZX1のシルバーと合わせて、メカ的にカッコよいですね。なおこのS1のシルバーカラーは日本国内仕様になる予定で、国際仕様はブラックのようです。
このプリプロダクションでは組み立てはA1での六角レンチから普通のプラスドライバーに変わっています。ZX1とは底面プレートの電極プラグを経て接続します。
端子をみるとわかりますが、ZX1とはUSB経由で接続します(A1ではAK100/120と光でつないでいました)。これでオーディオ信号の伝達と電力供給ができます。ご存知の方もいると思いますが、CEntranceはドライバーでも知られるようにPCオーディオでのUSB接続のプロであり、USB接続でのS1は彼らの能力をいかんなく発揮できると思います。オーディオ回路設計が優れていることもA1で実証済みです。
S1の側面にはマイクロUSB B端子がひとつあります。これでS1とZX1を同時にチャージできます。またZX1へのデータ転送もできます。USB DACとしては機能しません。
充電はA1のように二股のUSBケーブルでなく、ひとつのケーブルで同時に充電が可能です。このためにはまずS1とZX1を両方電源を落としてからS1のUSB端子にケーブルを接続します。S1が動作状態ではZX1に充電できません。
充電状態はLED点滅で表示されますが、点滅の意味は製品版で変わることが確実なので書かないでおきます。
ボリュームはS1側面のボリュームを使用します。動作中はZX1のボリュームは使用できません。出力は3.5mmバランスとKobiconn(RSAタイプ)バランス、2.5mmA&Kバランスです。
DACチップはA1と同じく標準タイプのES9018です。標準タイプのES9018は一般に使われている省電力型ES9018K2Mに比べても性能が高いのが長所で、K2MがDNR 127dBのところ、標準タイプでは133dBあります。これは現時点でのDAC ICの最高レベルの性能と言ってよいでしょう。他の回路は少し改良されていますがほぼA1と同等だと聞いています。
音はA1からも想像できると思いますが大変に素晴らしく、特にバランスで素晴らしい再現性を聴かせてくれます。GloveAudio A1と比べてみると音質レベルは同じくらいだと思いますが、S1の方がややクリアで硬質に感じられます。この辺はもとのZX1の音を少し引き継いでいる感もあり興味深いところです。もちろんZX1にくらべると大幅に音質は良くなっていて、別物と考えてよいと思います。
彩との001バランスでの相性がとてもよかったですね。ちょっとあり得ないくらいの音再現を聴かせてくれました。AKR03なんかも2.5mmバランスで素晴らしい音質を聴かせてくれました。
FitEar 彩とGloveAudio S1
問題点は電池の持ちが短いことです。これはS1の問題ではなくZX1のデジタル接続での電池消費が多いことによるもので、これは他のHPA-2などでもデジタル接続なら同じはずです。実際にここがZX2で電池が倍増された理由でしょう。ただS1では普通のUSB MicroB端子を使って手軽に5V USB充電できるので、普段使いにはあまり問題にならないと思います。
ZX2とどちらを取るかは悩むひともいるかもしれませんが、うちのブログを読むような方はGloveAudio S1でしょうね。私見ですが、ZX2での音質の改良はアナログ回路の範囲であり、肝心のS-MasterはZX1と同じです。かたやS1では最高のDACチップであるES9018を採用しています。おそらくS-MasterはASICで実装されているので、ZX2だけのリリースのタイミングでは書き換えが難しかったのではないでしょうか。ASICはFPGAに比べると書き換えに生産量が必要になります。おそらく次のS-Masterの書き換えは生産量が確保できる次のWalkmanの発表のタイミングではないかと個人的には思います。そうした意味で言うと、良くも悪くもS-Masterに束縛されてしまうZX1を音質面で大きく改善するにはS1のような外部DACアンプが最善ではないかと思います。
S1の価格と国内提供経路は後日発表になると思います。
このユニットはすでに返却しましたが、来月2/14のポタ研で試聴できるようになりそうです。興味のある方はチェックしておいてください!