今年も様々なことがありましたが、私的な2014オーディオ振り返り記事です。それぞれうちの記事の関連リンクを張っておきましたのでさらに知りたい場合はリンクをクリックしてください。
今年はなんといってもポータブルオーディオの年でした。
年明けからAstell&kernの新フラッグシップであるAK240、ハイエンドメーカーが本気で作ったポータブルのCHORD Hugoの発表とつづき、クラウドデザインでユーザー意見を取り入れたiFI Audio iDSD Micro、据え置きだけどポータブルユーザーからも支持されたAurender FLOW、そしてナグラの血を引くPAW Goldと、粒ぞろいの大物ばかりでした。年初の大雪のポタ妍は伝説になりましたが、まさに危険を顧みずに会場にいっぱいになったポータブルユーザーの熱さがずっと続いて、一般にも波及していったという感じでした。
また今年はイヤフォンの年でした。WestoneはW60とかES60とか当たり年だったし、JH Audioもロクサーヌから始まってレイラ・アンジーの発表に終わり、Nobleも国内導入を果たし、須山さんのところもFitear fitearとか彩など新製品を投入しました。ビクターのウッドもFX1100でハイエンドイヤフォンへの参入をはじめました。
ただ来年はOppo PM-3とかAudioQuest Nighthawkなど、期待のヘッドフォンが見えているのでヘッドフォン話題もまた増えるかもしれません。
ポータブルでは国産メーカーの勢いと追い上げも加速しました。デノンのDA10をはじめとするポータブルアンプもたくさん発売されましたし、SONY系の国産カスタムJust Earも話題となりました。海外メーカーがトレンドを作ってきた分野ですが、これからは国産もそうした点でも期待したいところです。
私は10年もこの分野におりますが、おそらく今年が一番ポータブルの進化が飛躍的だったと思います。性能の向上、価格レンジの拡大もありますが、おそらく今年がひとつのターニングポイントになるのは、ポータブルがオーディオのトレンドリーダーになったということではないかと思います。
AK240は性能だけではなく、ワイヤレスネットワークでのDSD・ハイレゾのオーディオ再生システムを提案しました。このときには同等なシステムはPCオーディオでもありませんでした。またCHORD Hugoも演算性能ではQBD76をしのいでCHORDのそうそうたるラインナップのなかでもトップの位置を占めています。今年は11.2MHzのDSDネイティブ再生も話題となりましたが、ototoyなどでも取り上げられて11.2MHz再生のリーダーとなったのはiDSD microでした。
いままでオーディオ分野ではPCオーディオが最新技術を取り入れるトレンドリーダーでしたが、ポータブルがそれにとってかわった感じです。いままでポータブルはいわば「お下がり・お古」をもらってきたわけですが、それがかわりつつあるということです。ネットワークに関しても近々登場するCelsus Companion Oneのように手のひらでネットワークオーディオシステムが作れるようになりつつあります。しかもWiFiでネットワークを完結させています。
おそらく2015年はPCオーディオにできて、ポータブルオーディオにできないことはなくなるでしょう。需要が進歩を促すわけで、需要あるところが一番伸びるわけですがそれはここでも例外ではないと思います。
また、Hugoがポータブルユーザーだけではなく、従来オーディオユーザーからも支持されているようにオーディオ機器のあり方が変わってきているようにも思えます。おそらくいままで20万から30万のプリメインアンプやスピーカーのあったポジションに、20万から30万のカスタムIEMやデジタルプレーヤーがはいるということで、ポータブル製品の価格レンジの拡大は阻害要因となるというよりも、むしろ世代替わりを象徴しているようにも思えます。
一方で不透明感があるのはPCオーディオの分野です。いままではアシンクロナス、クラス2、DSDネイティヴと進展してきた技術トレンドの次があまり見えません。ハイレゾってこの分野では昔からある言葉であたらしい技術トレンドではありません(マーケットタームとしてのハイレゾは後で書きます)。しかしPCオーディオはどこへ向かうのか、と考えると少し違和感があります。実は見えている分野もあるからです。それは海外ではすでに「この次の技術トレンド」は高音質ストリーミングに向かうだろうと考えられるからです。
たとえば海外における配信からストリーミングへの流れは、オーディオの世界では高音質に向けてTidalやQobuzのようなロスレスストリーミングを生みました。音質とサイズの両立を図ったMeridianのMQAもその流れの中にあり、すでに英国のストリーミングプロバイダーである7digitalがMQAをサポートする旨を表明しています。MQA vs ロスレスストリーミングも来年にかけての話題となるでしょう。
もうひとつの注目点はソフトウエアの変化です。今年はオーディオ向けの高音質再生ソフトでは待望のAudirvana2.0なども出ましたが、注目すべきはAmarra SQだと思います。下記にJohn Drakoのなかなか良い記事を紹介します。
http://www.digitalaudioreview.net/2014/06/improving-the-sound-quality-of-qobuz-spotify-and-pandora/
これが示すのは、ストリーミング時代には再生ソフトのありかたが変わるのではないか、という点です。つまりソフトウエアによる音質向上の焦点は単体のアプリケーションソフトからバーチャルデバイスに移るのではないかということです。
こうした新しい変化が見えないのは日本だから、です。ストリーミングの是非はありますが、それを語る前に日本の音楽リスニングのメインはいまだにCDです。
今年ちょっとショックだったのはTidalがリリースされた日のことです。いつものように海外のニュースをチェックしていると、海外はどこのサイトもTidalのリリースのニュース一色なのに、日本はすぽっと取り残されたように感じたからです。よく重大ニュースが起こった時に民法各社・NHKが全局速報番組をくむのに対して、東京12chがマイペースで映画やってたりするのを揶揄されたりしますが、ああいう感じですね。
2014年の話題はと言えばこうして日本と海外のかい離が起こり始めているという点かなと思います。いままで日本のPCオーディオではアシンクロナス・USBクラス2(Ayreなどゴードン系)、DSDネイティヴ(Playback DesignsとかdCS)、ネットワーク再生(LINN)とやはり海外トレンドを追ってきた経緯がありますので、ここから先は日本独自の方向性が問われるのかもしれません。。
またPCオーディオでは積み残しの課題として、AndroidのUSBオーディオクラスドライバーの実装問題と、WindowsでのUSBオーディオクラス2ドライバーの採用がありました。Androidについては、5.0 Lollipopでついに実装がなされましたが、48k問題とかいまひとつよくわからない実装となっています。ここは様子見ですね。
WindowsについてはWindows 10にむけて有志がマイクロソフトのページで懇願しています。私も投票しましたが、ここはマイクロソフトの開発者も見ていますので、興味のある方はぜひ一票を入れてください。
また今年は「ハイレゾ」がブームとなりました。ブームと言ったのは、そもそもハイレゾ対応はいまに出てきたことではありませんが、各社キャンペーンもありこの一年で急にオーディオ周辺も含めたキーワードとなったからです。言い換えると、ハイレゾというのは技術的にはもはやキーワードにならないけど、マーケットタームとしてキーワードになっているということです。そのためいささか不鮮明さを残して進んでいるように思えます。
たとえば「ハイレゾロゴ」問題です。何回かこれについて書きましたが、まず規格というには40kHzとだけあっても、ここで何dB落ちているかを書かないと規格をクリアするための基準となりません。音茶楽では-10dB@40kHzのように明記していますが、これならば技術的な基準と言えるでしょう。
問題がある例を挙げると、ヘッドフォン・イヤフォンの分野ではBAの扱いです。BAは補聴器ベースの技術ですからいいところ16kHz上限であったものをJH Audioではデュアルで20kHzに引き上げ、ロクサーヌではクアッドで23kHzにさらに引き上げたというところに技術的な素晴らしさを感じるわけですが、かたやハイレゾロゴのためにBAでもカタログにあっさりと40kHzと記される機種があったとしたら不公平感が出ないだろうかという危惧があります。
またサンプルレートの方は40kHzと数値が書いてあるのに、なぜかビット数の方の24bitは考慮がなされていないというのも不思議な話です。かたや44/24をハイレゾとしてみなしているにもかかわらず、です。矛盾の故事ではありませんが、「ハイレゾ対応」のヘッドフォンやスピーカーで44/16と44/24の「ハイレゾの音質の差」がわかるのか、という基準はどうなのでしょうか。
企業秘密と聴覚判断があるのでメーカーに任せるというのは否定するわけではありません。メーカーが判断してハイレゾを聴くのに有意だと考えたモデルがあるなら、それを購入者に勧めるのはけっこうなことだと思います。選ぶ方もわかりやすいですしね。
ただしそれならば、40kHzという規格にならない規格ではなくメーカーの判断と責任でハイレゾロゴモデルを推奨するということだけで良いと思います。かえって中途半端な「40kHz基準」があるのは不透明感と不公平感を生んでしまうように思えます。
また、購入者がハイレゾロゴが付いてればいいのね、って思わないようにするメディアの書き方があると思うし、そこは気をつけていかねばならないと思います。私はCDよりハイレゾ音源を買うし、日本の市場が物理メディア離れできるチャンスだと思うので、ハイレゾ「ブーム」を否定しているつもりはありませんが、手放しにはできない面はあるということです。
このクリスマスにLINNレコーズがスタジオマスターの4GBもの無料配信をしました。1/6までなのでぜひダウンロードをお勧めします(一括DLできるのでDay24を選択してください)が、音楽の内容自体がまず良いと思いました。ハイレゾ音源って初期のころのスタジオマスター配信のLINNレコーズが音楽性と録音のどちらも良く、単に商業主義に陥らない方向にうまくハイレゾ配信をもって行けたという功績が大きいとも再認識しました。ブームの時だからこそ、そうした初心に立ち返る必要があるように思えます。
再認識と言えば、オーディオが世の中のトレンドとシンクロしているということも再認識した一年でした。
たとえばクラウドファンディングです。長くうわさされてきたニールヤングのPONOはKickstarterでデビューして成功を収めました。LH Labsはさまざまなキャンペーンを行い、超高いDACとケーブルを作ってるよくわからないメーカーと言うイメージから脱却したと思います。他にもAurisonics Rockets、マイケルのとこのi5、PS AudioのSprout、1964ADEL、失敗したけどFoobar2kモバイル、新興EarWerkzなどKickstarterとIndieGoGoなどで採用例は拡大をしています。
また話題のトレンド3Dプリンターもヘッドフォン、イヤフォンとも採用が進んでいますね。
結局オーディオは趣味の世界と言っても世の中の流れとは無縁ではいられないし、うまく利用した方がよりよい結果が得られると思います。
まあ、そうした世の中の流れをつらつらと書いてきて今年で10年にもなりました。うちのブログも10周年を迎えることができて、みていただいてきた皆様には御礼申し上げます。
今年特番として4/1にはこんな話を書いていました。ちなみにちょうど10年前にはカメラページで4/1にこんな話も書いてましたが、冬休みのお暇にでもご覧ください。(この年はロバートキャパ没後50年でした)
さて、来年はどうなるのか、楽しみなところです。ちなみに過去の振り返り記事はこちらですので本記事と合わせてご覧ください。
2013年振り返り記事はこちら。
2012年振り返り記事はこちら。
2011年振り返り記事はこちら。
Music TO GO!
2014年12月29日
2014年12月23日
Meridianの新音楽フォーマット、MQAを考える(4) - オーディオ折り紙
ステレオファイルの12/21記事にジョンアトキンソンのMQA解説が乗っていました。
http://www.stereophile.com/content/ive-heard-future-streaming-meridians-mqa
Fig1はシャノン線図で、ダイナミックレンジと周波数の関係を示しています。この前のRealHDの四角を三角にの図と同じですが、これでは192kHz(のナイキスト限界の96kHz)まで図に入っています。ちなみに下では192kHzを4Fs(CDの4倍レート)とも書いています。
これはラベルのストリングカルテットを例にとっていますが、どの音楽もこの傾向になるそうです。赤い折れ線はピークレベルの遷移で音楽情報みたいなもの、青い折れ線は平均ノイズレベル(ノイズフロア)です。24kHz以下に青いノイズの線の下に緑の線がありますが、ここは16bitでの量子化限界で、ここから下が後で出てくる隠し金庫になります。
このFig1を見るといくつかのことに気が付きます。音楽情報を記録するには少なくとも96kHzでサンプリングしたほうが良いこと(図ではナイキスト周波数なので48kHz)、とはいえ図ていうと55kHz以上はほぼノイズと同じであること、24kHz以下ではノイズフロアは16bitの量子化限界より上であること、またRealHDの人もいっていたように「音楽」情報は全体の音の情報量(四角)のほんの一部(三角)であることです。Fig2のオレンジがそうですが、つまり音楽情報の赤い線の上と、ノイズフロアの青い線の下は「空いている」わけです。
この図はラベルのストリングカルテットの録音を例にしていますが、この三角形の傾向はどの音楽でも変わらないということです。そうすると、ハイレゾはよくCDの3-5倍の情報量と言われますが、実際にデータ容量はCDの3-5倍でも情報量としてはそれほど大きな差ではなく、情報量という点からいえばCD品質ですでに十分はいっているということも言えると思います。ただ一応書いておくと、人とサルのDNA(情報量)の差はわずか2%程度ですがこれだけ大きな違いになっています。情報量のわずかな違いも実際に表れてみると大きい、ということもまた言えますので念のため。
オーディオにおいてはその情報をいかに利用するかということになるでしょう。MQAでは後で出てきます。
元に戻ると、RealHDの人も書いていたように、MQAではその高周波帯域の音を可聴帯域に畳み込みます。これをボブスチュワートは「オーディオ折り紙」と言っているということ。これが前回書いた四角を三角に、です。
まずFig2で書かれているように48kHzから96kHz(音源ならば192kHzのハイレゾ音源)のわずかな(C)の部分を(B)の下に「カプセル化」します。つまり使われている部分を使われていないノイズフロアの下に畳み込むわけです。
これでFig3の灰色部分のようにデータが減りました。同様にFig3では今度は24kHzから48kHz部分(音源でいうと96kHzハイレゾ)でも同様に(B)の部分とさきの(C)も(A)の下の16bit量子化限界の下の隠し金庫に畳み込みます。
ちなみに(C)を(B)の下に畳み込んだときは「カプセル化」という手法ですが、(B)を(A)の下に畳み込むときはロスレス圧縮が使われているようです。ちょっとよくわかりませんが、(B)と(C)ではエンコードが異なるようです。(B)の方はより大事だからでしょう。
これで半分の半分になったのがFig4で、これが48kHz/24bitのMQA音源となります。
互換性のことを考えると、48/24のMQAを16bitで再生すると、16bitのノイズフロアの下に隠れてる96kHz以上の「ハイレゾ成分」は再生されない、ということのようです。
そこで例の時間的な正確さ、とかいうMQAの音質に関してですが、20kHz以上は聞こえるのかという根本的な問いに対して、ボブスチュアートは20kHz以上では周波数的な意味より、時間的情報をより鋭敏に捉えるという結論をくだし、20kHz以上ではADC/DACするさいに時間的な汚れが生じるために自然な音に聞こえないという結論を出したようです。
その理論にもとづいて、MQAエンコードするさいになんらかの補正(compensate)処理を上のBやCではくわえているようです。つまり20kHz以上に関してはやはり信号処理がなされているということです。これにはMeridianのアポダイジング・フィルターを使ってますが、それよりも実際のADコンバータの特性に合わせてチューンしたというところが大きいようです。実際にはそう多くのADコンバータがあるわけではないので可能なことだそう。アポダイジング自体の意味はなだらかに落ちていくことですが、デジタルフィルターではプリエコーが出ないものをさしてます。
音質が向上するということについては、下記のMeridianユーザーフォーラムにボブスチュアート自身が書き込んでいます。ここの写真の右上のインパルス応答の図がMQAと従来の192kHz ADC/DACの比較です。
http://www.meridianunplugged.com/ubbthreads/ubbthreads.php?ubb=showflat&Number=226336#Post226336
利点は下記のようなものがあげられています。
エッジの明瞭さ MQA = 4μs 従来は250μs
インパルス持続時間: MQA = 50μs 従来は500μs
MQA はポストリンギングがない
いずれにせよ結論的にはMQAはオリジナルマスターに対してはバイナリ一致しないでしょう。ただしオリジナルマスターとは異なるように手を加えてますが、音質はマスターより良いということになります。
Stereophileの記事では実際の試聴をしたレポートが載ってます。ヒラリーハーンの88/24のハイレゾを聞いた後にMQA版を聞いたらその違いに笑っちゃたといいます。MQA版ではベールが取れて色彩感が出るとともに楽器が濃く感じられるとあります。デジタル的な不自然さも取れて、ハーンのコンサートには何回もいったけどこれが一番生っぽいと言ってます。
レイチャールズとナタリーコールのMQAではより音場も広がり、ヴォーカルの鮮明さがひときわ高いとともに、鋭い音の輪郭だけでなくレゾナンスも正しく聞こえるドラムのインパクトが良いと言ってます。
なかでもメタリカは聴き終わった後に深く一息つくくらい、音のセパレーションも良くヘビメタの迫力がボリュームを下げても十分に堪能できたって言ってます。
反面で欠点はマイクに近く歌うヴォーカルの息遣いが必要以上にリアルに聴こえることだって言ってます。
まとめると、MQA音源の利点はサイズが従来のハイレゾに比してかなり小さくなること、オリジナルマスター音源より音質が高くなることの二点ですね。
MQAはハイレゾ音源というより、ハイレゾデータをもとにしてマスター音源の音質を高めるようデジタルフィルターをかけた音源というべきでしょうか。
MQAはAtlantic Recordsにくわえて英国のストリーミングプロバイダーである7digitalでの採用が決定しています。来年はどう展開するのでしょうか、ちょっと面白いところです。
http://www.stereophile.com/content/ive-heard-future-streaming-meridians-mqa
Fig1はシャノン線図で、ダイナミックレンジと周波数の関係を示しています。この前のRealHDの四角を三角にの図と同じですが、これでは192kHz(のナイキスト限界の96kHz)まで図に入っています。ちなみに下では192kHzを4Fs(CDの4倍レート)とも書いています。
これはラベルのストリングカルテットを例にとっていますが、どの音楽もこの傾向になるそうです。赤い折れ線はピークレベルの遷移で音楽情報みたいなもの、青い折れ線は平均ノイズレベル(ノイズフロア)です。24kHz以下に青いノイズの線の下に緑の線がありますが、ここは16bitでの量子化限界で、ここから下が後で出てくる隠し金庫になります。
このFig1を見るといくつかのことに気が付きます。音楽情報を記録するには少なくとも96kHzでサンプリングしたほうが良いこと(図ではナイキスト周波数なので48kHz)、とはいえ図ていうと55kHz以上はほぼノイズと同じであること、24kHz以下ではノイズフロアは16bitの量子化限界より上であること、またRealHDの人もいっていたように「音楽」情報は全体の音の情報量(四角)のほんの一部(三角)であることです。Fig2のオレンジがそうですが、つまり音楽情報の赤い線の上と、ノイズフロアの青い線の下は「空いている」わけです。
この図はラベルのストリングカルテットの録音を例にしていますが、この三角形の傾向はどの音楽でも変わらないということです。そうすると、ハイレゾはよくCDの3-5倍の情報量と言われますが、実際にデータ容量はCDの3-5倍でも情報量としてはそれほど大きな差ではなく、情報量という点からいえばCD品質ですでに十分はいっているということも言えると思います。ただ一応書いておくと、人とサルのDNA(情報量)の差はわずか2%程度ですがこれだけ大きな違いになっています。情報量のわずかな違いも実際に表れてみると大きい、ということもまた言えますので念のため。
オーディオにおいてはその情報をいかに利用するかということになるでしょう。MQAでは後で出てきます。
元に戻ると、RealHDの人も書いていたように、MQAではその高周波帯域の音を可聴帯域に畳み込みます。これをボブスチュワートは「オーディオ折り紙」と言っているということ。これが前回書いた四角を三角に、です。
まずFig2で書かれているように48kHzから96kHz(音源ならば192kHzのハイレゾ音源)のわずかな(C)の部分を(B)の下に「カプセル化」します。つまり使われている部分を使われていないノイズフロアの下に畳み込むわけです。
これでFig3の灰色部分のようにデータが減りました。同様にFig3では今度は24kHzから48kHz部分(音源でいうと96kHzハイレゾ)でも同様に(B)の部分とさきの(C)も(A)の下の16bit量子化限界の下の隠し金庫に畳み込みます。
ちなみに(C)を(B)の下に畳み込んだときは「カプセル化」という手法ですが、(B)を(A)の下に畳み込むときはロスレス圧縮が使われているようです。ちょっとよくわかりませんが、(B)と(C)ではエンコードが異なるようです。(B)の方はより大事だからでしょう。
これで半分の半分になったのがFig4で、これが48kHz/24bitのMQA音源となります。
互換性のことを考えると、48/24のMQAを16bitで再生すると、16bitのノイズフロアの下に隠れてる96kHz以上の「ハイレゾ成分」は再生されない、ということのようです。
そこで例の時間的な正確さ、とかいうMQAの音質に関してですが、20kHz以上は聞こえるのかという根本的な問いに対して、ボブスチュアートは20kHz以上では周波数的な意味より、時間的情報をより鋭敏に捉えるという結論をくだし、20kHz以上ではADC/DACするさいに時間的な汚れが生じるために自然な音に聞こえないという結論を出したようです。
その理論にもとづいて、MQAエンコードするさいになんらかの補正(compensate)処理を上のBやCではくわえているようです。つまり20kHz以上に関してはやはり信号処理がなされているということです。これにはMeridianのアポダイジング・フィルターを使ってますが、それよりも実際のADコンバータの特性に合わせてチューンしたというところが大きいようです。実際にはそう多くのADコンバータがあるわけではないので可能なことだそう。アポダイジング自体の意味はなだらかに落ちていくことですが、デジタルフィルターではプリエコーが出ないものをさしてます。
音質が向上するということについては、下記のMeridianユーザーフォーラムにボブスチュアート自身が書き込んでいます。ここの写真の右上のインパルス応答の図がMQAと従来の192kHz ADC/DACの比較です。
http://www.meridianunplugged.com/ubbthreads/ubbthreads.php?ubb=showflat&Number=226336#Post226336
利点は下記のようなものがあげられています。
エッジの明瞭さ MQA = 4μs 従来は250μs
インパルス持続時間: MQA = 50μs 従来は500μs
MQA はポストリンギングがない
いずれにせよ結論的にはMQAはオリジナルマスターに対してはバイナリ一致しないでしょう。ただしオリジナルマスターとは異なるように手を加えてますが、音質はマスターより良いということになります。
Stereophileの記事では実際の試聴をしたレポートが載ってます。ヒラリーハーンの88/24のハイレゾを聞いた後にMQA版を聞いたらその違いに笑っちゃたといいます。MQA版ではベールが取れて色彩感が出るとともに楽器が濃く感じられるとあります。デジタル的な不自然さも取れて、ハーンのコンサートには何回もいったけどこれが一番生っぽいと言ってます。
レイチャールズとナタリーコールのMQAではより音場も広がり、ヴォーカルの鮮明さがひときわ高いとともに、鋭い音の輪郭だけでなくレゾナンスも正しく聞こえるドラムのインパクトが良いと言ってます。
なかでもメタリカは聴き終わった後に深く一息つくくらい、音のセパレーションも良くヘビメタの迫力がボリュームを下げても十分に堪能できたって言ってます。
反面で欠点はマイクに近く歌うヴォーカルの息遣いが必要以上にリアルに聴こえることだって言ってます。
まとめると、MQA音源の利点はサイズが従来のハイレゾに比してかなり小さくなること、オリジナルマスター音源より音質が高くなることの二点ですね。
MQAはハイレゾ音源というより、ハイレゾデータをもとにしてマスター音源の音質を高めるようデジタルフィルターをかけた音源というべきでしょうか。
MQAはAtlantic Recordsにくわえて英国のストリーミングプロバイダーである7digitalでの採用が決定しています。来年はどう展開するのでしょうか、ちょっと面白いところです。
2014年12月19日
JH Audioから新しいIEM、レイラとアンジー登場
ジェリーさん率いるJH Audioからロクサーヌに続くサイレーンシリーズの新しいIEMが登場します。
さっそくJudeがHeadFi TVで紹介してます。
http://www.head-fi.org/t/746964/jh-audio-layla-and-angie-head-fi-tv#post_11141683
内容をかいつまんで紹介します。以下は米国発表内容になりますので念のため。
名前はレイラ(Layla)とアンジー(Angie)です。ロクサーヌと同様にロッククラシックから取った女性名で、レイラはクラプトン(元はデレク・アンド・ザ・ドミノス)、アンジーはストーンズです。レイラは$2499、アンジーは$999で、レイラはロクサーヌに代わるフラッグシップとなります。
それぞれカスタムとユニバーサル版がありますが、今回はユニバーサルの紹介です。ちなみにユニバーサル版はAstell&Kernとのパートナーシップでその代理店によって販売されるそうです。カスタム版のレイラとアンジーは引き続きJH Audio直かその代理店から販売されます。どちらも3.5mmと2.5mmバランスケーブルが付いてきます。
レイラは12ドライバーで4L,4M,4Hの3wayはロクサーヌと同じですが、ドライバーとクロスオーバーは新設計です。中身はロクサーヌとまったく異なるようです。また新しいステンレススチールの音導孔を採用してます。
ロクサーヌはステージミュージシャン用だったが、レイラはJH Audio初のリファレンス/マスタースタジオ用モニターということです。
JudeによるとJH Audioはロクサーヌを含めてローミッドがやや強調されているだけれども、レイラは完全フラットで、新ドライバーの採用もそれに沿うものだそうです。また特徴的なのはネットワークの設計で、(おそらく)イヤフォンで初めて急峻な4次(4th order)フィルターのクロスオーバーを採用しているということ。
たとえばシリーズの特徴であるバリアブルベース機能に関してはロクサーヌだと最低でもそれなりにあるのでめいっぱいあげるとだいぶベースヘビーになってしまうけれども、レイラの場合には低くするとほんとにフラットで一般音楽用にはちょっと細く(lean)あるいはドライに感じてしまうが、目いっぱいあげてもクリーンなので意味があり、性格がだいぶ変えられるということ。つまりベース調整で音が大きく変わる範囲が大きいので、それをJudeはversatile(汎用性が高い)と言ってます。
イメージの正確さでもよりfreqPhaseが進化したのか、ユニバーサルのレイラの方がカスタムロクサーヌより上だと言ってます。レイラのシェルはカーボンファイバーでチタンの枠を採用してます。
アンジーはレイラと同じドライバーで2L,2M,4Hの8ドライバー。高域4つは23kHzキープのためでしょうか?
クロスオーバーはレイラと同じ4次タイプです。ベースはレイラみたいに控えめなのでときにはベース調整ノブをめいっぱい上げたくなるそう。つまりレイラと同じく調整が意味のある幅が大きいということですね。これもレイラに近いがレイラほどversatileではなく、ややヴォーカル強調があるということ。
これは下記リンクではレイラに比べると低域ドライバー数が少ないので60Hzでレイラより3dBほどベース低めと言ってるので、中域は同じですが低域がちょっと下がってるのかもしれません。
http://www.audio360.org/iems_a0038_jerry_harvey_jh_audio_layla_angie_exclusive_info_early_impressions.php
アンジーのシェルは3Dプリンター製のようです。レイラのエッセンスを受け継ぐものとしてかなりコストパフォーマンスは高いと言えるでしょうね。
レイラもアンジーも画期的な技術を投入した 新世代のイヤフォンと言えるでしょうね。音を聴くのが楽しみなところです!
さっそくJudeがHeadFi TVで紹介してます。
http://www.head-fi.org/t/746964/jh-audio-layla-and-angie-head-fi-tv#post_11141683
内容をかいつまんで紹介します。以下は米国発表内容になりますので念のため。
名前はレイラ(Layla)とアンジー(Angie)です。ロクサーヌと同様にロッククラシックから取った女性名で、レイラはクラプトン(元はデレク・アンド・ザ・ドミノス)、アンジーはストーンズです。レイラは$2499、アンジーは$999で、レイラはロクサーヌに代わるフラッグシップとなります。
それぞれカスタムとユニバーサル版がありますが、今回はユニバーサルの紹介です。ちなみにユニバーサル版はAstell&Kernとのパートナーシップでその代理店によって販売されるそうです。カスタム版のレイラとアンジーは引き続きJH Audio直かその代理店から販売されます。どちらも3.5mmと2.5mmバランスケーブルが付いてきます。
レイラは12ドライバーで4L,4M,4Hの3wayはロクサーヌと同じですが、ドライバーとクロスオーバーは新設計です。中身はロクサーヌとまったく異なるようです。また新しいステンレススチールの音導孔を採用してます。
ロクサーヌはステージミュージシャン用だったが、レイラはJH Audio初のリファレンス/マスタースタジオ用モニターということです。
JudeによるとJH Audioはロクサーヌを含めてローミッドがやや強調されているだけれども、レイラは完全フラットで、新ドライバーの採用もそれに沿うものだそうです。また特徴的なのはネットワークの設計で、(おそらく)イヤフォンで初めて急峻な4次(4th order)フィルターのクロスオーバーを採用しているということ。
たとえばシリーズの特徴であるバリアブルベース機能に関してはロクサーヌだと最低でもそれなりにあるのでめいっぱいあげるとだいぶベースヘビーになってしまうけれども、レイラの場合には低くするとほんとにフラットで一般音楽用にはちょっと細く(lean)あるいはドライに感じてしまうが、目いっぱいあげてもクリーンなので意味があり、性格がだいぶ変えられるということ。つまりベース調整で音が大きく変わる範囲が大きいので、それをJudeはversatile(汎用性が高い)と言ってます。
イメージの正確さでもよりfreqPhaseが進化したのか、ユニバーサルのレイラの方がカスタムロクサーヌより上だと言ってます。レイラのシェルはカーボンファイバーでチタンの枠を採用してます。
アンジーはレイラと同じドライバーで2L,2M,4Hの8ドライバー。高域4つは23kHzキープのためでしょうか?
クロスオーバーはレイラと同じ4次タイプです。ベースはレイラみたいに控えめなのでときにはベース調整ノブをめいっぱい上げたくなるそう。つまりレイラと同じく調整が意味のある幅が大きいということですね。これもレイラに近いがレイラほどversatileではなく、ややヴォーカル強調があるということ。
これは下記リンクではレイラに比べると低域ドライバー数が少ないので60Hzでレイラより3dBほどベース低めと言ってるので、中域は同じですが低域がちょっと下がってるのかもしれません。
http://www.audio360.org/iems_a0038_jerry_harvey_jh_audio_layla_angie_exclusive_info_early_impressions.php
アンジーのシェルは3Dプリンター製のようです。レイラのエッセンスを受け継ぐものとしてかなりコストパフォーマンスは高いと言えるでしょうね。
レイラもアンジーも画期的な技術を投入した 新世代のイヤフォンと言えるでしょうね。音を聴くのが楽しみなところです!
2014年12月18日
ユニークメロディのユニバーサルIEM、MaverickとMason
カスタムIEMで知られるユニークメロディ(UM)からユニバーサルIEMが発売されました。
単にユニバーサルIEMがUMから発売されたという以上に注目すべき点はその開発手法です。ここにUMのイヤフォン戦略がかいま見えます。
* UMのイヤフォン戦略とユニバーサル化の開発手法
戦略と言うのは理想的なゴールがあって、そこに到達する道のりを決めるというようなものです。まずUMが考えるカスタムイヤフォンのゴールとは、文字通りの「フルカスタム」のようなもので、エンドユーザーが自分で音決めができ、ユーザーが自分でチューニングするということが目標となっているようです。具体的にはUEのパーソナルリファレンスモニターのようなシステムで周波数特性や位相調整までを個人が行えるようにするというものがひとつ考えられると思います。つまりはユーザーにたいしてのカスタム化の完全な自由を与えるというものですね。
しかし、それをユニバーサルタイプに適用した場合、個人個人が作るわけにはいきません。そこでUMの取ったアプローチは国ごとの代理店と共同開発でその国の事情に「カスタム化」した音決めや開発をするということです。実際には日本からはミックスウェーブがメーカーに赴いて開発をしたということで、その成果が今回紹介するユニバーサルIEMのMaverickとMasonです。
他にはシンガポールやロシアの代理店も同様な開発をしているということです。ロシアについては一部要求が厳しすぎたようでちょっと中止しているようですが、シンガポールについてはLegacyという名前で商品化されています。下記はlegacyについてのリンクです。
http://www.head-fi.org/t/736935/unique-melody-legacy-latest-flagship-12ba-ciem
この国別のユニバーサルタイプはその国でないと買えないということで、Legacyはシンガポールでないと買えませんし、MaverickとMasonは日本でしか買えません。
普通代理店はメーカーに意見を言うくらいの影響力のように思いますが、このUMのユニバーサルIEM開発においては代理店とメーカーの共同開発と言ってよいほどかなり深く関与しているのが特徴です。この辺は実際に開発に参加したミックスウェーブの宮永氏に話を伺いました。
具体的には6日間ほど向こうに滞在して共同作業をしたということです。まずイヤフォンを製作するための技術・ノウハウを伝授してもらったそうで、これには測定機器や3Dプリンタ関連の技術も含まれているということです。
![23[1].jpg](https://vaiopocket.up.seesaa.net/image/235B15D-thumbnail2.jpg)
UM社:写真宮永氏提供
実際の開発はまず音決めの関与で、周波数特性、位相について聴きながら各帯域のチューブの長さを決めていくような感じだそうです。UM側がドライバーの選択枝を用意してくれ、MaverickとMasonのドライバー構成についても宮永氏が決めたということです。また外観のデザイン、名称も宮永氏が決定しました。名称については基本的にはUMのネーミングルールであるイニシャル"M"を踏襲したそうですが、シンガポールがLegacyなように絶対的なルールではないということです。
* MaverickとMason
そうして開発されたMaverickとMasonはUMの初のユニバーサルIEMです。それぞれは全く異なる設計で、使用しているドライバーも異なります。さきにも少し触れましたが、どちらも3DプリンタによるユニバーサルIEMです。UMではカスタムは3Dプリンタを導入していませんが、ユニバーサルで3Dプリンタを採用した理由はまずコスト・生産性で、3Dプリンタを採用すると週で100台は生産できるということ。
次はシェル強度で、3Dプリンタを採用するとシェルの厚みが均質になり、一か所の薄いところに応力集中することがないのでシェル強度が上がるということです。
MasonもMaverickもコンパクトで装着感も悪くありません。ケーブルのプラグは2ピンの一般的なものでリケーブル可能ですが、旧UEのようにはめ込み部分がやや深めなのでケーブルのプラグには注意が必要です。下記の試聴はどちらもケーブルはストック(リケーブルなし)で聴きました。
価格は定価はオープンで、参考価格はMasonが13,0000円(税別)で、Maverickが10,8000円(税別)です。
![IMG_5292[1].jpg](https://vaiopocket.up.seesaa.net/image/IMG_52925B15D-thumbnail2.jpg)
UM Mason
Masonは片側12ドライバーのBA機で、構成は低中高にそれぞれ4ドライバーずつの3Wayです。ロクサーヌと同じですね。
宮永氏によるとMASONは「石工」とか「れんが職人」という意味あいですが、「ブランドイメージの再構築」、「また一から立て直す・やり直す」という意味で付けたそうです。MASON、MAVERICKともに、メーカーが開発してきた今までの音とは異なるキャラクターを持っているということで、これはUMのサウンドは「こう新しく生まれ変わったんだ」ということをフラッグシップモデルであり、かつ誰でも使えるユニバーサルであることを利用して広く伝えたかったからということです。
![IMG_5304[1].jpg](https://vaiopocket.up.seesaa.net/image/IMG_53045B15D-thumbnail2.jpg)
MasonとAK120II
発売後にチューニングがし直されたということでも話題となりましたが、これはチューニング後のタイプです。たしかに先日のヘッドフォン祭で聴いたときにはMasonが元気よくベース過多な印象でしたが、それがおちついて良い帯域バランスになったと思います。全体的な音質も洗練されてフラッグシップらしくなかなか優れています。
相性としては端正なAK120IIと相性が良く、優等生的なそつのない感じで忠実感の高い再現力を感じます。能率も問題なく普通にハイレゾDAP単体でオーケーです。
![IMG_5286[1].jpg](https://vaiopocket.up.seesaa.net/image/IMG_52865B15D-thumbnail2.jpg)
UM Maverick
MaverickはダイナミックとBAのハイブリッドで5ドライバー。ネットワークは4Wayとされています。ダイナミックドライバーの大きさは10mmで、担当音域は非公表ということ。UMにはMerlinというカスタムの5ドライバー・ハイブリッド機がありますが、設計は異なるものです。
Maverickの特徴は低域をBAとダイナミックでともに担当しているということです。ハイブリッド構成では繊細なBAが中高域、迫力のダイナミックが低域という分担が一般的で、Merlinはそうなっています。Maverickもはじめの予定ではMerlinのようにダイナミック一発で低域を担当する予定だったそうですが、開発していくうちに20〜40Hz辺りのバスドラムのアタック感が関係してくる箇所がダイナミック一発では再現出来ず、結果的にBAでその部分を補ったということです。一方で反応が良く口径が小さいダイナミック一発でスピード感を上げて、ダイナミック一発で済ますという選択肢もテストしたそうですが、BAを足した方が結果的には良かったので、ダイナミック+BAという形式にしたということです。
Maverickは「一匹狼」という意味がありますが、ダイナミック型ともBA型とも言えないサウンドに仕上げたため、その名前にしたそうですがたしかに分かります。
![IMG_5291[1].jpg](https://vaiopocket.up.seesaa.net/image/IMG_52915B15D-thumbnail2.jpg)
MaverickとPAW Gold
Maverickはインパクトやアタック感が良くキレが鋭いイヤフォンという印象です。特にベースのアタック、インパクトが力強さとシャープさが両立しています。ベースの膨らみ感は少なく、かなり低い深い低域で量感がある良い感じです。そして中高音域もキレが良く明瞭感が高い点も良く、チェロの低く重い弦の唸りも、ヴァイオリンの軽やかな鋭さも両立できています。
普通ハイブリッドっていうと低域のダイナミックのぶわーんという迫力を強調するものですが、Maverickは引き締まって鋭いベースが特徴的です。ベースにBAを加えたのがその目的なら十分達成できてると思います。
Maverickはやや鳴らしにくい(インピーダンスは51Ω)ので、ゲイン高めのオーディオ機器の方が音的な相性もあり良い感じがします。そのためどちらかというとハイレゾDAPよりポータブルアンプ別で力感のあるシステムが良いと思います。Portaphile Micro Muses01みたいにゲイン高めでも良いですね。あるいはハイレゾDAPならゲイン切り替えがついているもので、たとえばPAW Goldのハイゲインなどがキレがよく緩みない低域を楽しめます。
個人的にはMarverikがなかなか魅力的でした。Masonの優等生的な音質の高さも良いのですが、Maverickには個性があり、ちょっと独特のインパクト感と切れの良さがあります。
カスタムIEMメーカーがユニバーサル版を出すというにはさまざまな理由があると思います。これはユーザーのメリットと言い換えてもよいかもしれません。たとえばカスタムに比べて価格を下げるため、カスタムではリセールバリューがないのでそれを防ぐため、また1964ADELのように新技術を投入するテスト用、拡販のため、などなど。UMの場合は大きな戦略のなかのユニバーサルの位置付けというものを考慮して、現地代理店との共同開発を取ったという手法が興味深いものです。
今後のUMの製品に関しても、特にユニバーサルモデルに関しては同様な手法を取るということでまた面白いユニバーサル機が出てくるかもしれません。
単にユニバーサルIEMがUMから発売されたという以上に注目すべき点はその開発手法です。ここにUMのイヤフォン戦略がかいま見えます。
* UMのイヤフォン戦略とユニバーサル化の開発手法
戦略と言うのは理想的なゴールがあって、そこに到達する道のりを決めるというようなものです。まずUMが考えるカスタムイヤフォンのゴールとは、文字通りの「フルカスタム」のようなもので、エンドユーザーが自分で音決めができ、ユーザーが自分でチューニングするということが目標となっているようです。具体的にはUEのパーソナルリファレンスモニターのようなシステムで周波数特性や位相調整までを個人が行えるようにするというものがひとつ考えられると思います。つまりはユーザーにたいしてのカスタム化の完全な自由を与えるというものですね。
しかし、それをユニバーサルタイプに適用した場合、個人個人が作るわけにはいきません。そこでUMの取ったアプローチは国ごとの代理店と共同開発でその国の事情に「カスタム化」した音決めや開発をするということです。実際には日本からはミックスウェーブがメーカーに赴いて開発をしたということで、その成果が今回紹介するユニバーサルIEMのMaverickとMasonです。
他にはシンガポールやロシアの代理店も同様な開発をしているということです。ロシアについては一部要求が厳しすぎたようでちょっと中止しているようですが、シンガポールについてはLegacyという名前で商品化されています。下記はlegacyについてのリンクです。
http://www.head-fi.org/t/736935/unique-melody-legacy-latest-flagship-12ba-ciem
この国別のユニバーサルタイプはその国でないと買えないということで、Legacyはシンガポールでないと買えませんし、MaverickとMasonは日本でしか買えません。
普通代理店はメーカーに意見を言うくらいの影響力のように思いますが、このUMのユニバーサルIEM開発においては代理店とメーカーの共同開発と言ってよいほどかなり深く関与しているのが特徴です。この辺は実際に開発に参加したミックスウェーブの宮永氏に話を伺いました。
具体的には6日間ほど向こうに滞在して共同作業をしたということです。まずイヤフォンを製作するための技術・ノウハウを伝授してもらったそうで、これには測定機器や3Dプリンタ関連の技術も含まれているということです。
![08[1].jpg](https://vaiopocket.up.seesaa.net/image/085B15D-thumbnail2.jpg)
![21[1].jpg](https://vaiopocket.up.seesaa.net/image/215B15D-thumbnail2.jpg)
![23[1].jpg](https://vaiopocket.up.seesaa.net/image/235B15D-thumbnail2.jpg)
UM社:写真宮永氏提供
実際の開発はまず音決めの関与で、周波数特性、位相について聴きながら各帯域のチューブの長さを決めていくような感じだそうです。UM側がドライバーの選択枝を用意してくれ、MaverickとMasonのドライバー構成についても宮永氏が決めたということです。また外観のデザイン、名称も宮永氏が決定しました。名称については基本的にはUMのネーミングルールであるイニシャル"M"を踏襲したそうですが、シンガポールがLegacyなように絶対的なルールではないということです。
* MaverickとMason
そうして開発されたMaverickとMasonはUMの初のユニバーサルIEMです。それぞれは全く異なる設計で、使用しているドライバーも異なります。さきにも少し触れましたが、どちらも3DプリンタによるユニバーサルIEMです。UMではカスタムは3Dプリンタを導入していませんが、ユニバーサルで3Dプリンタを採用した理由はまずコスト・生産性で、3Dプリンタを採用すると週で100台は生産できるということ。
次はシェル強度で、3Dプリンタを採用するとシェルの厚みが均質になり、一か所の薄いところに応力集中することがないのでシェル強度が上がるということです。
MasonもMaverickもコンパクトで装着感も悪くありません。ケーブルのプラグは2ピンの一般的なものでリケーブル可能ですが、旧UEのようにはめ込み部分がやや深めなのでケーブルのプラグには注意が必要です。下記の試聴はどちらもケーブルはストック(リケーブルなし)で聴きました。
価格は定価はオープンで、参考価格はMasonが13,0000円(税別)で、Maverickが10,8000円(税別)です。
![IMG_5292[1].jpg](https://vaiopocket.up.seesaa.net/image/IMG_52925B15D-thumbnail2.jpg)
UM Mason
Masonは片側12ドライバーのBA機で、構成は低中高にそれぞれ4ドライバーずつの3Wayです。ロクサーヌと同じですね。
宮永氏によるとMASONは「石工」とか「れんが職人」という意味あいですが、「ブランドイメージの再構築」、「また一から立て直す・やり直す」という意味で付けたそうです。MASON、MAVERICKともに、メーカーが開発してきた今までの音とは異なるキャラクターを持っているということで、これはUMのサウンドは「こう新しく生まれ変わったんだ」ということをフラッグシップモデルであり、かつ誰でも使えるユニバーサルであることを利用して広く伝えたかったからということです。
![IMG_5304[1].jpg](https://vaiopocket.up.seesaa.net/image/IMG_53045B15D-thumbnail2.jpg)
MasonとAK120II
発売後にチューニングがし直されたということでも話題となりましたが、これはチューニング後のタイプです。たしかに先日のヘッドフォン祭で聴いたときにはMasonが元気よくベース過多な印象でしたが、それがおちついて良い帯域バランスになったと思います。全体的な音質も洗練されてフラッグシップらしくなかなか優れています。
相性としては端正なAK120IIと相性が良く、優等生的なそつのない感じで忠実感の高い再現力を感じます。能率も問題なく普通にハイレゾDAP単体でオーケーです。
![IMG_5286[1].jpg](https://vaiopocket.up.seesaa.net/image/IMG_52865B15D-thumbnail2.jpg)
UM Maverick
MaverickはダイナミックとBAのハイブリッドで5ドライバー。ネットワークは4Wayとされています。ダイナミックドライバーの大きさは10mmで、担当音域は非公表ということ。UMにはMerlinというカスタムの5ドライバー・ハイブリッド機がありますが、設計は異なるものです。
Maverickの特徴は低域をBAとダイナミックでともに担当しているということです。ハイブリッド構成では繊細なBAが中高域、迫力のダイナミックが低域という分担が一般的で、Merlinはそうなっています。Maverickもはじめの予定ではMerlinのようにダイナミック一発で低域を担当する予定だったそうですが、開発していくうちに20〜40Hz辺りのバスドラムのアタック感が関係してくる箇所がダイナミック一発では再現出来ず、結果的にBAでその部分を補ったということです。一方で反応が良く口径が小さいダイナミック一発でスピード感を上げて、ダイナミック一発で済ますという選択肢もテストしたそうですが、BAを足した方が結果的には良かったので、ダイナミック+BAという形式にしたということです。
Maverickは「一匹狼」という意味がありますが、ダイナミック型ともBA型とも言えないサウンドに仕上げたため、その名前にしたそうですがたしかに分かります。
![IMG_5291[1].jpg](https://vaiopocket.up.seesaa.net/image/IMG_52915B15D-thumbnail2.jpg)
MaverickとPAW Gold
Maverickはインパクトやアタック感が良くキレが鋭いイヤフォンという印象です。特にベースのアタック、インパクトが力強さとシャープさが両立しています。ベースの膨らみ感は少なく、かなり低い深い低域で量感がある良い感じです。そして中高音域もキレが良く明瞭感が高い点も良く、チェロの低く重い弦の唸りも、ヴァイオリンの軽やかな鋭さも両立できています。
普通ハイブリッドっていうと低域のダイナミックのぶわーんという迫力を強調するものですが、Maverickは引き締まって鋭いベースが特徴的です。ベースにBAを加えたのがその目的なら十分達成できてると思います。
Maverickはやや鳴らしにくい(インピーダンスは51Ω)ので、ゲイン高めのオーディオ機器の方が音的な相性もあり良い感じがします。そのためどちらかというとハイレゾDAPよりポータブルアンプ別で力感のあるシステムが良いと思います。Portaphile Micro Muses01みたいにゲイン高めでも良いですね。あるいはハイレゾDAPならゲイン切り替えがついているもので、たとえばPAW Goldのハイゲインなどがキレがよく緩みない低域を楽しめます。
個人的にはMarverikがなかなか魅力的でした。Masonの優等生的な音質の高さも良いのですが、Maverickには個性があり、ちょっと独特のインパクト感と切れの良さがあります。
カスタムIEMメーカーがユニバーサル版を出すというにはさまざまな理由があると思います。これはユーザーのメリットと言い換えてもよいかもしれません。たとえばカスタムに比べて価格を下げるため、カスタムではリセールバリューがないのでそれを防ぐため、また1964ADELのように新技術を投入するテスト用、拡販のため、などなど。UMの場合は大きな戦略のなかのユニバーサルの位置付けというものを考慮して、現地代理店との共同開発を取ったという手法が興味深いものです。
今後のUMの製品に関しても、特にユニバーサルモデルに関しては同様な手法を取るということでまた面白いユニバーサル機が出てくるかもしれません。
2014年12月16日
Meridianの新音楽フォーマット、MQAを考える(3) - MQAの音質
Meridianの新音源フォーマットのMQAですが、ネットマガジンTwiceの12/15付けのオーディオコラムに面白い情報が載っていました。
http://www.twice.com/meridian-mqa-audio-tracks-coming-2015/55280
MQAを実際に使う際に再生側はMeridianがExplorer2を用意しましたが、音源ですから配信されないと意味がありません。もちろんMeridianのボブスチュワートはこの点でもずいぶん前から根回しをしていたようで、ニールヤングの件もそのときのものなのでしょう。
その点ではまずAtlantic recordsが配信を表明しているそうです。あるいはCES2015でもう少し発表があるのかもしれません。
それと買う側のメリットはなにか、ということです。ひとつ明らかなメリットはサイズが小さくなるということです。デコーダーが必要だけれどもポータブルオーディオではもちろん有利ですし、ストリーミングプロバイダーが使うことでユーザーの通信速度が低くても「ハイレゾ相当」の品質が楽しめることになります。
これは192/24のハイレゾFLACで150MBのサイズがMQAだと30MBになるといいます。FLACはすでに2:1で圧縮されていますので圧縮率は10:1ということになります。これは「ロスレス」としてはあきらかにあり得ない値のように思えます。その仕組みの一つは前回記事MQAを考える(2)のときに書いた「四角を三角に」で説明できますが、これだけでは不十分に思えます。これは次の件にもつながっています。
もうひとつMQAのメリットで宣伝されているわりによくわからないのは「音質」です。
MQAの宣伝として書かれた言葉でよくわからないのは「タイムドメイン重視」とか「神経科学的な側面」という言葉です。それらによって、MQAでは音質が良いということも書かれますが、単純な疑問として、単に圧縮しただけならオリジナルマスターより音がよくなるわけがありません。戻して元と同じですからね。
これにはまずマスター音源をMQAエンコードしてデコードしたら元のマスター音源とバイナリ一致するのか、というをまず明らかにしなければならないとは思います。しかしながらいまのところそこが不明確なので推測するしかないのですが、推測するならば10:1という高圧縮レートや音質が良くなるという言葉から推測できるのは非可逆(lossy)で、かつなんらかのデジタル信号処理を加えているということです。
ここでポイントになるのがこのTwiceの記事のEfficiencyのところです。それはボブスチュワートが言っている「聞こえない24kHz〜48kHzの部分は聞こえる音(つまりそれ以下の可聴帯域)の到着時間(arrival time)の情報をもっていて、これがリアルな音楽再現に重要である」という点です。
そこでMQAはそのタイミング情報を失わず(losslessly)に可聴帯域に畳み込む(fold)ことでサイズを小さくしていると言っています。それによって、192/24音源の10倍よい精度でタイミングの解像度(resolution)を再現することができるということです。(ここもちょっとよくわかりませんが)
これによってMQAでは演奏の自然さを失わせることになる"時間的ボケ(temporal blur)"を取り去り、音に深みと質感を加えるということです。人は時間情報に対しては周波数情報に対するよりも5から13倍も敏感ということで、つまりここがいわゆる神経科学(neuroscience)的なところです。
これを考えるとやはり、MQAは単に圧縮をするというだけではなく、なんらかの信号処理を用いているように思えます。
いずれにせよ、まだあいまいなところはありますが、MQAの特徴であるサイズの小ささ、音質についてはある程度のイメージは出来てきたようには思います。あとは実際に聴いてみる、というところでしょうか。
http://www.twice.com/meridian-mqa-audio-tracks-coming-2015/55280
MQAを実際に使う際に再生側はMeridianがExplorer2を用意しましたが、音源ですから配信されないと意味がありません。もちろんMeridianのボブスチュワートはこの点でもずいぶん前から根回しをしていたようで、ニールヤングの件もそのときのものなのでしょう。
その点ではまずAtlantic recordsが配信を表明しているそうです。あるいはCES2015でもう少し発表があるのかもしれません。
それと買う側のメリットはなにか、ということです。ひとつ明らかなメリットはサイズが小さくなるということです。デコーダーが必要だけれどもポータブルオーディオではもちろん有利ですし、ストリーミングプロバイダーが使うことでユーザーの通信速度が低くても「ハイレゾ相当」の品質が楽しめることになります。
これは192/24のハイレゾFLACで150MBのサイズがMQAだと30MBになるといいます。FLACはすでに2:1で圧縮されていますので圧縮率は10:1ということになります。これは「ロスレス」としてはあきらかにあり得ない値のように思えます。その仕組みの一つは前回記事MQAを考える(2)のときに書いた「四角を三角に」で説明できますが、これだけでは不十分に思えます。これは次の件にもつながっています。
もうひとつMQAのメリットで宣伝されているわりによくわからないのは「音質」です。
MQAの宣伝として書かれた言葉でよくわからないのは「タイムドメイン重視」とか「神経科学的な側面」という言葉です。それらによって、MQAでは音質が良いということも書かれますが、単純な疑問として、単に圧縮しただけならオリジナルマスターより音がよくなるわけがありません。戻して元と同じですからね。
これにはまずマスター音源をMQAエンコードしてデコードしたら元のマスター音源とバイナリ一致するのか、というをまず明らかにしなければならないとは思います。しかしながらいまのところそこが不明確なので推測するしかないのですが、推測するならば10:1という高圧縮レートや音質が良くなるという言葉から推測できるのは非可逆(lossy)で、かつなんらかのデジタル信号処理を加えているということです。
ここでポイントになるのがこのTwiceの記事のEfficiencyのところです。それはボブスチュワートが言っている「聞こえない24kHz〜48kHzの部分は聞こえる音(つまりそれ以下の可聴帯域)の到着時間(arrival time)の情報をもっていて、これがリアルな音楽再現に重要である」という点です。
そこでMQAはそのタイミング情報を失わず(losslessly)に可聴帯域に畳み込む(fold)ことでサイズを小さくしていると言っています。それによって、192/24音源の10倍よい精度でタイミングの解像度(resolution)を再現することができるということです。(ここもちょっとよくわかりませんが)
これによってMQAでは演奏の自然さを失わせることになる"時間的ボケ(temporal blur)"を取り去り、音に深みと質感を加えるということです。人は時間情報に対しては周波数情報に対するよりも5から13倍も敏感ということで、つまりここがいわゆる神経科学(neuroscience)的なところです。
これを考えるとやはり、MQAは単に圧縮をするというだけではなく、なんらかの信号処理を用いているように思えます。
いずれにせよ、まだあいまいなところはありますが、MQAの特徴であるサイズの小ささ、音質についてはある程度のイメージは出来てきたようには思います。あとは実際に聴いてみる、というところでしょうか。
2014年12月12日
アユートからBurson AudioのSoloist SLが登場
Astell&Kernで知られるアユートからBurson(バーソン) AudioのSoloist SL(ソロイスト・エスエル)が登場します!
![IMG_5281_filtered[1].jpg](https://vaiopocket.up.seesaa.net/image/IMG_5281_filtered5B15D-thumbnail2.jpg)
マニアックな凝りようで知られるバーソン製品をお求めやすい価格で販売がなされます。店頭価格は6万を切ると思います。
アユートではAKシリーズでオーディオに興味を持った方に、家でのヘッドフォンリスニングを提案するという形でBurson Audioの販売をするようです。AKシリーズは高音質でかつ高機能ですから、外だけで使うのはもったいないですね。AKシリーズを核としたオーディオシステムと言うのがあっても良いと思います。AK第2世代ならば、無線でNASやPCとも接続できますし、USB DACとしても活躍できます。
BursonはHeadFiでもよく見かけるオーディオマニアに支持されるオーディオブランドです。もともとがオーストラリアのオーディオコミュニティがあって、その代表者がMark Bursonという人だったのですが、オーディオマニアがほしがるような製品をみんなで作ろうということでできたのがこのBursonブランドです。ですので、製品はマニアック志向で、最短の信号経路の追求、オペアンプをきらったディスクリート回路設計や強力な電源が特徴です。
BursonはHA160というヘッドフォンアンプで一躍有名となりましたが、シンプルイズベストを実践して信号経路にわずか部品を21個として設計を一新したプリ・ヘッドフォンアンプがSoloistです。そのプリ機能などを取ったヘッドフォンアンプ専用バージョンがSoloist SLです。
普通はDAC付きのヘッドフォンアンプをお勧めしますが、Astell&Kernをお待ちの方はすでにAstell&Kernが良いUSB DACとしても機能しますので、ヘッドフォンアンプ専用機を買った方がムダ感がなくてよいかもしれませんね。
特にパワーが強力なので、最近はやりの平面型ヘッドフォンでも鳴らせます。日頃はイヤフォンだけという方にも、ハイエンドヘッドフォンの性能と高い再現力の世界を手に入れやすくなったと言えるでしょう。
![IMG_5285_filtered[1].jpg](https://vaiopocket.up.seesaa.net/image/IMG_5285_filtered5B15D-thumbnail2.jpg)
聞いてみるとたしかにベールを何枚かはがしたような、生々しい音再現です。またHD800であっても、ベースがかなり深く絞り出されるように迫力のある再現力を聴かせてくれます。
AK240とパッケージに付属してくるケーブルのシンプルなシステムでもわりと良い音で聴くことができます。上の写真ではミニ/RCAアダプタを別に追加していますが、ケーブルは付属のものです。このケーブルは付属品にしては悪くないです。
ヘッドフォンでは平面型HE560を軽々と鳴らし、HE560がダイナミックに透明感高く音楽を再生します。さすがパーソンだけあってコスパ良い音質です。
安くて音質の良いヘッドフォンアンプを探してた人にオススメです。
![IMG_5281_filtered[1].jpg](https://vaiopocket.up.seesaa.net/image/IMG_5281_filtered5B15D-thumbnail2.jpg)
マニアックな凝りようで知られるバーソン製品をお求めやすい価格で販売がなされます。店頭価格は6万を切ると思います。
アユートではAKシリーズでオーディオに興味を持った方に、家でのヘッドフォンリスニングを提案するという形でBurson Audioの販売をするようです。AKシリーズは高音質でかつ高機能ですから、外だけで使うのはもったいないですね。AKシリーズを核としたオーディオシステムと言うのがあっても良いと思います。AK第2世代ならば、無線でNASやPCとも接続できますし、USB DACとしても活躍できます。
BursonはHeadFiでもよく見かけるオーディオマニアに支持されるオーディオブランドです。もともとがオーストラリアのオーディオコミュニティがあって、その代表者がMark Bursonという人だったのですが、オーディオマニアがほしがるような製品をみんなで作ろうということでできたのがこのBursonブランドです。ですので、製品はマニアック志向で、最短の信号経路の追求、オペアンプをきらったディスクリート回路設計や強力な電源が特徴です。
BursonはHA160というヘッドフォンアンプで一躍有名となりましたが、シンプルイズベストを実践して信号経路にわずか部品を21個として設計を一新したプリ・ヘッドフォンアンプがSoloistです。そのプリ機能などを取ったヘッドフォンアンプ専用バージョンがSoloist SLです。
普通はDAC付きのヘッドフォンアンプをお勧めしますが、Astell&Kernをお待ちの方はすでにAstell&Kernが良いUSB DACとしても機能しますので、ヘッドフォンアンプ専用機を買った方がムダ感がなくてよいかもしれませんね。
特にパワーが強力なので、最近はやりの平面型ヘッドフォンでも鳴らせます。日頃はイヤフォンだけという方にも、ハイエンドヘッドフォンの性能と高い再現力の世界を手に入れやすくなったと言えるでしょう。
![IMG_5285_filtered[1].jpg](https://vaiopocket.up.seesaa.net/image/IMG_5285_filtered5B15D-thumbnail2.jpg)
聞いてみるとたしかにベールを何枚かはがしたような、生々しい音再現です。またHD800であっても、ベースがかなり深く絞り出されるように迫力のある再現力を聴かせてくれます。
AK240とパッケージに付属してくるケーブルのシンプルなシステムでもわりと良い音で聴くことができます。上の写真ではミニ/RCAアダプタを別に追加していますが、ケーブルは付属のものです。このケーブルは付属品にしては悪くないです。
なおケーブルについてはORBさんと共同でミニ-RCAケーブルを用意するようです。
ヘッドフォンでは平面型HE560を軽々と鳴らし、HE560がダイナミックに透明感高く音楽を再生します。さすがパーソンだけあってコスパ良い音質です。
安くて音質の良いヘッドフォンアンプを探してた人にオススメです。
2014年12月10日
Lotoo PAW Goldレビュー
いまではハイレゾプレーヤーはたくさん出ていますが、その元祖はHifiMan HM801といえるでしょう。そのHifiManを長年扱ってきたトップウイングさんから年末に新しいハイレゾプレーヤー、Lotoo(ロトゥー)のPAW Gold(パーゴールド)が発売されました。価格的にもPAW Goldはトップクラスのハイレゾプレーヤーとなります。PAW Goldはマニアの話題ではありましたが、いよいよ国内で発売がなされるわけです。先週の金曜日に秋葉原で製品発表会を行い、そこで私がプレゼンいたしました。
![IMG_5182_filtered[1].jpg](https://vaiopocket.up.seesaa.net/image/IMG_5182_filtered5B15D-thumbnail2.jpg)
PAW Goldは名門ナグラのポータブル録音機材をODM開発するLotooが開発したものだという点と、ナグラっぽいというかメカっぽい造り、そして高い基本性能が特徴です。
現在は予約を受け付け中で発売は12/19の予定です。
* PAW Goldとは
LotooはInfomediaという中国のメーカーのオーディオブランドです。Infomediaは中国の放送用機器や制御用の組み込み機器の会社で、その分野の中国でのシェアは75%にもなるといいます。
ここで強調したいのはInformadiaが、あの有名なブランドであるNagraのプロ用の録音機器のODM生産をしているということです。ODMとはただ設計書を渡されて生産するだけのOEMとは異なり、自分で設計をする形態のことです。それだけ高い技術力と信頼が要求されます。
彼らはプロ用としてはトップクラスのレコーダーを作れるので、我々はトップレベルのコンシューマーDAPも作れると考えたということです。音質や信頼性についてもコンシューマーメーカーには負けない自信があったそうです。
中国製品と言うことで偏見をもたられる向きもあるかもしれませんが、そうした方は高い品質の代表であるiPhoneも中国生産ということを思い起こしてもらいたいと思います。きちんとした協業体制がればあれだけの品質のものが作れるわけです。
* 外観
やはり見た目のメカっぽさが特徴と言えるでしょう。ハイレゾプレーヤーは未来的なデザインのものが多いので、かえってアピールする部分になっていると思います。
![IMG_5197_filtered[1].jpg](https://vaiopocket.up.seesaa.net/image/IMG_5197_filtered5B15D-thumbnail2.jpg)
シャーシは航空機グレードのアルミで製作されています。そのため質感はかなり高く仕上がっています。操作画面のガラスはサファイアガラスです。
サファイアガラスはiPhone6でも採用がうわさされていましたが、ダイヤモンドに近く、ゴリラガラスより4倍硬いと言われるガラスです。かなり傷つきにくいと思いますが、ゴリラガラスよりコストもかかると言われています。
![IMG_5192_filtered[1].jpg](https://vaiopocket.up.seesaa.net/image/IMG_5192_filtered5B15D-634c9-thumbnail2.jpg)
操作はタッチではなくコントロールキーで行います。この24KのキーもPAW Goldデザインの象徴で、航空機グレードアルミ、サファイアガラスとともに高価なパーツを使用している感じを与えています。
そしてこの特徴的なデザインのキーの意味はギリシャ神話のアポロです。PAW Gold 設計のシンボルはアポロであり、輝きと力強さの象徴、それが音に込めた思いということです。
* 基本性能の高さ
ハイレゾプレーヤーと言えばハイエンドDAC ICの採用ですが、PAW GoldはDAC ICにハイエンドDACの代名詞でもあるPCM1792を採用しています。現在はPCM1795の採用例が多くなってきましたが、音質だけを取ってみるといまだに1792がバーブラウンではトップエンドと言えると思います。またアンプ部分にはAurender FLOWと同じ高出力のLME49600とかなり強力なICを使用しています。しかしながら良いパーツを使用していても、やはり設計自体が重要です。
PAW Goldのポイントは基本性能が高いということです。それはジッター5ps、クロック精度が5ppmという数値に表わされています。ジッター5psというのはポータブルと言うよりももはや高性能DACの数値です。クロック精度も実際には1ppmで設計しているのですが精度を保証するのがむずかしいため対外的には5ppmと言っているそうです。優秀なクロックを使うだけではなく、回路で正確な動作を保証するように設計しているということ。
いずれにせよデジタルオーディオで一番重要なのはタイミングであり、その基本がきちんと出来ているのがPAW Goldです。また出力インピーダンスについても0.1オーム以下と高い性能を示しています。
* ファームウェア
最近よくつかわれているAndroidは操作性や機能追加には優れていますが、立ち上げが遅かったりします。PAW Goldは独自のリアルタイムOSを採用しています。これは彼らのプロ用機と同じです。
これは電源オン・オフ、メディアスキャン、デジタル信号処理の機能の実装などで有利です。Informediaは組み込み機器の会社でもあり、ここは得意分野でしょう。また組み込み系OSは処理が軽いので音質面でも有利でしょう。
ただし現在タグによるアーチストやアルバムの検索はできないので、ファイル名で音源を指示することになります。プレイリストは作成が可能です。
![IMG_5193_filtered[1].jpg](https://vaiopocket.up.seesaa.net/image/IMG_5193_filtered5B15D-thumbnail2.jpg)
メモリは内蔵メモリはなく、SDXC(普通サイズのSD)が一枚です。私はTranscendの128GBを使用しています。メニューにカードテストと言うのがあってカードの速度をテストしてくれます。フォーマットはFAT32が必要ですが、PAW Goldに内蔵のフォーマッタがあって、FAT32のフォーマットに悩む必要はありません。
PCからの転送はUSB 3.0を採用しているのも特徴で、高速に転送が可能です。接続はUSBマスストレージクラスです。
![IMG_5178_filtered[1].jpg](https://vaiopocket.up.seesaa.net/image/IMG_5178_filtered5B15D-thumbnail2.jpg)
音源はFLACやALACなど多くの音源が使えますが、特徴としてはプレーヤー単体でのDSDネイティブ再生に対応しています。
またスタジオ品質のDSPハード(Blackfin)を搭載しています。これも組み込み系OSの利点と言うことです。DSPでATEとPMEという機能を担当しています。
PMEはいわゆるパラメトリック・イコライザーで、特定帯域を上下させるものですが、ATEは音場を変更したり、ヴォーカルの声質を変えたり、声を近くしたり、楽器の音をスムーズにしたりという処理です。いわゆる信号処理でハードウエアのDSPチップを使っています。
ATEの例としてはBrightというと高域が輝きを増し、Sweetではやや甘めになります。Dentalは子音のきつさを抑えるもので、歯を抜ける音をあらわしているのでdentalといっています。また701はAKG701で、990はDT990とヘッドフォンに合わせた設定とのこと。Diffuseはいわゆるクロスフィードのことです。
また本格的な2Vのラインアウトをもっていますので、外部機器に接続することも用意です。発表会ではiFIのRetroに接続してデモを行いました。
電池は充電式で、約11時間持つとのこと。実際に使ってみてだいたいこのくらいは持つと思います。ユニークなのは電池残量が時間で分かること。これはなんで他のDAPにないのと思うくらい便利です。
* 使用感
まず届くと驚くのはきちんとシュリンクラップされていることです。私みたいに外国製品に慣れていると、アンプが段ボールに]無造作に新聞にくるまってきて向こうの国の新聞をフムフムと楽しく読んだり、とかいうのに慣れてるとやはりこうした細かいところに驚きます。やはりナグラ品質の管理という感じでしょうか。管理と言えば、使用したデモ機には"サンプル"の文字がはっきりと書かれています。これもサンプル機の管理も使用という意図が見えますね。細かい日本人にアピールするくらいしっかりしてます。
![IMG_5160_filtered[1].jpg](https://vaiopocket.up.seesaa.net/image/IMG_5160_filtered5B15D-thumbnail2.jpg)
航空機グレードアルミの筐体はさすがに質感高く、持つと重いというよりはずっしりとした質量感を感じます。またボリュームは適度に軽くトルクとクリック感があり、ねっとりと回る感じはやはり精密感があります。モノですね。
起動も早く、すぐに使うことができます。コントロールはキーで行い、選択後に右キーでポップアップ(コンテキスト)メニューが出ることを覚えておいた方がよいです。
表示は録音機っぽいレベルメーターと周波数表示、カバーアートが選べます。カバーアートは埋め込み式には対応してなく、同一フォルダにあるアルバム名(フォルダ名?)と同じファイル名のjpgを表示します。周波数表示では上限70k(90k?)まで表示され、CD品質、96kHz、192kHzの曲でピークが変わるのが面白いところ。ナイキスト周波数(サンプリングレート÷2)まで表示されるわけですね。
ゲインは二段階あって、Lでは高感度BAでの背景ノイズもなく、Hでは平面型のHE560でも鳴らすことができます。またトップウイングさんではHifiManの経験からケーブル式のミニ-標準プラグをつけるようです。普通のミニ-標準プラグだと弱いからだそうです。これでヘッドフォンでも楽しめるでしょう。
充電は5Vではなく12VなのでUSBではなく、専用のチャージャーを使用します。
* 音質
音質は価格に見合った大変高いレベルの音です。まず特徴的なのは音像が明瞭で輪郭が鮮明であることです。緻密で妥協をゆるさんという音で聴いてると緊張感があるほどです。聞き流すというより音に取り組まないと、向き合わないといけないと思えます。音の重なりが明瞭で、例えばヴォーカルの背景にかすかな楽器音が重なってるのが明確に分離できます。
また感じたのは低音域に置いて、とても低い超低域が浮き上がるように出てくることです。これはもちろん100-200Hzあたりを盛り上げるとか安易な作りではなく、ワイドレンジというか基本的な周波数特性が高いんでしょう。
クロック精度が高いと輪郭が鮮明になるとともに低域もしっかりとしてきますが、そんな感もあります。
しかしながら、音に無機的なところやいわゆるモニター的な無味なところはなく、少し暖かみのあるオーディオらしい音です。
ドライブ力も高く、低インピーダンスBAが高インピーダンスダイナミックのように引き締まります。あれ、これ本当にBAだっけと見直したくらい。
ロクサーヌあたりと合わせるとハイエンドオーディオかって思います。何この音ってたひたび、はっとします。
![写真 2014-11-29 10 08 40[1].jpg](https://vaiopocket.up.seesaa.net/image/E58699E79C9F202014-11-292010200820405B15D-thumbnail2.jpg)
オーディオでもクロックを高精度にすると良いのはわかりますが、ポータブルもそういう世界になったかという感じ。なお中国サイトで「原子クロックなみ」とサイトにあるのをLottoの人に聞いてみたら「あれは中国国内向けの宣伝文句さ」という感じでした。まあそこまでは無理にしても、やはりポータブルオーディオもクロック精度を求めるレベルの時代になったという気はします。
* まとめ
PAW Goldはナグラゆずりのメカとしての魅力にあふれた作りがまず特徴です。操作性は必要十分なくらいですが、音はポケットに入るハイエンドオーディオ、という感じですね。質実剛健なハイグレードモデルです。
私も長いことポータブルオーディオやってますけど2014年はポータブルオーディオの歴史に残る年になったと思います。大物の発表が相次ぎ、息つく間もない感じでポータブルオーディオが進化してきました。
PAW Goldは高性能据え置きオーディオなみの性能をもって、2015年にむけたリファレンスになりうる音質の高さをもっていると思います。
![IMG_5182_filtered[1].jpg](https://vaiopocket.up.seesaa.net/image/IMG_5182_filtered5B15D-thumbnail2.jpg)
PAW Goldは名門ナグラのポータブル録音機材をODM開発するLotooが開発したものだという点と、ナグラっぽいというかメカっぽい造り、そして高い基本性能が特徴です。
現在は予約を受け付け中で発売は12/19の予定です。
* PAW Goldとは
LotooはInfomediaという中国のメーカーのオーディオブランドです。Infomediaは中国の放送用機器や制御用の組み込み機器の会社で、その分野の中国でのシェアは75%にもなるといいます。
ここで強調したいのはInformadiaが、あの有名なブランドであるNagraのプロ用の録音機器のODM生産をしているということです。ODMとはただ設計書を渡されて生産するだけのOEMとは異なり、自分で設計をする形態のことです。それだけ高い技術力と信頼が要求されます。
彼らはプロ用としてはトップクラスのレコーダーを作れるので、我々はトップレベルのコンシューマーDAPも作れると考えたということです。音質や信頼性についてもコンシューマーメーカーには負けない自信があったそうです。
中国製品と言うことで偏見をもたられる向きもあるかもしれませんが、そうした方は高い品質の代表であるiPhoneも中国生産ということを思い起こしてもらいたいと思います。きちんとした協業体制がればあれだけの品質のものが作れるわけです。
* 外観
やはり見た目のメカっぽさが特徴と言えるでしょう。ハイレゾプレーヤーは未来的なデザインのものが多いので、かえってアピールする部分になっていると思います。
![IMG_5197_filtered[1].jpg](https://vaiopocket.up.seesaa.net/image/IMG_5197_filtered5B15D-thumbnail2.jpg)
シャーシは航空機グレードのアルミで製作されています。そのため質感はかなり高く仕上がっています。操作画面のガラスはサファイアガラスです。
サファイアガラスはiPhone6でも採用がうわさされていましたが、ダイヤモンドに近く、ゴリラガラスより4倍硬いと言われるガラスです。かなり傷つきにくいと思いますが、ゴリラガラスよりコストもかかると言われています。
![IMG_5192_filtered[1].jpg](https://vaiopocket.up.seesaa.net/image/IMG_5192_filtered5B15D-634c9-thumbnail2.jpg)
操作はタッチではなくコントロールキーで行います。この24KのキーもPAW Goldデザインの象徴で、航空機グレードアルミ、サファイアガラスとともに高価なパーツを使用している感じを与えています。
そしてこの特徴的なデザインのキーの意味はギリシャ神話のアポロです。PAW Gold 設計のシンボルはアポロであり、輝きと力強さの象徴、それが音に込めた思いということです。
* 基本性能の高さ
ハイレゾプレーヤーと言えばハイエンドDAC ICの採用ですが、PAW GoldはDAC ICにハイエンドDACの代名詞でもあるPCM1792を採用しています。現在はPCM1795の採用例が多くなってきましたが、音質だけを取ってみるといまだに1792がバーブラウンではトップエンドと言えると思います。またアンプ部分にはAurender FLOWと同じ高出力のLME49600とかなり強力なICを使用しています。しかしながら良いパーツを使用していても、やはり設計自体が重要です。
PAW Goldのポイントは基本性能が高いということです。それはジッター5ps、クロック精度が5ppmという数値に表わされています。ジッター5psというのはポータブルと言うよりももはや高性能DACの数値です。クロック精度も実際には1ppmで設計しているのですが精度を保証するのがむずかしいため対外的には5ppmと言っているそうです。優秀なクロックを使うだけではなく、回路で正確な動作を保証するように設計しているということ。
いずれにせよデジタルオーディオで一番重要なのはタイミングであり、その基本がきちんと出来ているのがPAW Goldです。また出力インピーダンスについても0.1オーム以下と高い性能を示しています。
* ファームウェア
最近よくつかわれているAndroidは操作性や機能追加には優れていますが、立ち上げが遅かったりします。PAW Goldは独自のリアルタイムOSを採用しています。これは彼らのプロ用機と同じです。
これは電源オン・オフ、メディアスキャン、デジタル信号処理の機能の実装などで有利です。Informediaは組み込み機器の会社でもあり、ここは得意分野でしょう。また組み込み系OSは処理が軽いので音質面でも有利でしょう。
ただし現在タグによるアーチストやアルバムの検索はできないので、ファイル名で音源を指示することになります。プレイリストは作成が可能です。
![IMG_5193_filtered[1].jpg](https://vaiopocket.up.seesaa.net/image/IMG_5193_filtered5B15D-thumbnail2.jpg)
メモリは内蔵メモリはなく、SDXC(普通サイズのSD)が一枚です。私はTranscendの128GBを使用しています。メニューにカードテストと言うのがあってカードの速度をテストしてくれます。フォーマットはFAT32が必要ですが、PAW Goldに内蔵のフォーマッタがあって、FAT32のフォーマットに悩む必要はありません。
PCからの転送はUSB 3.0を採用しているのも特徴で、高速に転送が可能です。接続はUSBマスストレージクラスです。
![IMG_5178_filtered[1].jpg](https://vaiopocket.up.seesaa.net/image/IMG_5178_filtered5B15D-thumbnail2.jpg)
音源はFLACやALACなど多くの音源が使えますが、特徴としてはプレーヤー単体でのDSDネイティブ再生に対応しています。
またスタジオ品質のDSPハード(Blackfin)を搭載しています。これも組み込み系OSの利点と言うことです。DSPでATEとPMEという機能を担当しています。
PMEはいわゆるパラメトリック・イコライザーで、特定帯域を上下させるものですが、ATEは音場を変更したり、ヴォーカルの声質を変えたり、声を近くしたり、楽器の音をスムーズにしたりという処理です。いわゆる信号処理でハードウエアのDSPチップを使っています。
ATEの例としてはBrightというと高域が輝きを増し、Sweetではやや甘めになります。Dentalは子音のきつさを抑えるもので、歯を抜ける音をあらわしているのでdentalといっています。また701はAKG701で、990はDT990とヘッドフォンに合わせた設定とのこと。Diffuseはいわゆるクロスフィードのことです。
また本格的な2Vのラインアウトをもっていますので、外部機器に接続することも用意です。発表会ではiFIのRetroに接続してデモを行いました。
電池は充電式で、約11時間持つとのこと。実際に使ってみてだいたいこのくらいは持つと思います。ユニークなのは電池残量が時間で分かること。これはなんで他のDAPにないのと思うくらい便利です。
* 使用感
まず届くと驚くのはきちんとシュリンクラップされていることです。私みたいに外国製品に慣れていると、アンプが段ボールに]無造作に新聞にくるまってきて向こうの国の新聞をフムフムと楽しく読んだり、とかいうのに慣れてるとやはりこうした細かいところに驚きます。やはりナグラ品質の管理という感じでしょうか。管理と言えば、使用したデモ機には"サンプル"の文字がはっきりと書かれています。これもサンプル機の管理も使用という意図が見えますね。細かい日本人にアピールするくらいしっかりしてます。
![IMG_5150_filtered[1].jpg](https://vaiopocket.up.seesaa.net/image/IMG_5150_filtered5B15D-thumbnail2.jpg)
![IMG_5158_filtered[1].jpg](https://vaiopocket.up.seesaa.net/image/IMG_5158_filtered5B15D-thumbnail2.jpg)
![IMG_5160_filtered[1].jpg](https://vaiopocket.up.seesaa.net/image/IMG_5160_filtered5B15D-thumbnail2.jpg)
航空機グレードアルミの筐体はさすがに質感高く、持つと重いというよりはずっしりとした質量感を感じます。またボリュームは適度に軽くトルクとクリック感があり、ねっとりと回る感じはやはり精密感があります。モノですね。
起動も早く、すぐに使うことができます。コントロールはキーで行い、選択後に右キーでポップアップ(コンテキスト)メニューが出ることを覚えておいた方がよいです。
表示は録音機っぽいレベルメーターと周波数表示、カバーアートが選べます。カバーアートは埋め込み式には対応してなく、同一フォルダにあるアルバム名(フォルダ名?)と同じファイル名のjpgを表示します。周波数表示では上限70k(90k?)まで表示され、CD品質、96kHz、192kHzの曲でピークが変わるのが面白いところ。ナイキスト周波数(サンプリングレート÷2)まで表示されるわけですね。
ゲインは二段階あって、Lでは高感度BAでの背景ノイズもなく、Hでは平面型のHE560でも鳴らすことができます。またトップウイングさんではHifiManの経験からケーブル式のミニ-標準プラグをつけるようです。普通のミニ-標準プラグだと弱いからだそうです。これでヘッドフォンでも楽しめるでしょう。
充電は5Vではなく12VなのでUSBではなく、専用のチャージャーを使用します。
* 音質
音質は価格に見合った大変高いレベルの音です。まず特徴的なのは音像が明瞭で輪郭が鮮明であることです。緻密で妥協をゆるさんという音で聴いてると緊張感があるほどです。聞き流すというより音に取り組まないと、向き合わないといけないと思えます。音の重なりが明瞭で、例えばヴォーカルの背景にかすかな楽器音が重なってるのが明確に分離できます。
また感じたのは低音域に置いて、とても低い超低域が浮き上がるように出てくることです。これはもちろん100-200Hzあたりを盛り上げるとか安易な作りではなく、ワイドレンジというか基本的な周波数特性が高いんでしょう。
クロック精度が高いと輪郭が鮮明になるとともに低域もしっかりとしてきますが、そんな感もあります。
しかしながら、音に無機的なところやいわゆるモニター的な無味なところはなく、少し暖かみのあるオーディオらしい音です。
ドライブ力も高く、低インピーダンスBAが高インピーダンスダイナミックのように引き締まります。あれ、これ本当にBAだっけと見直したくらい。
ロクサーヌあたりと合わせるとハイエンドオーディオかって思います。何この音ってたひたび、はっとします。
![写真 2014-11-29 10 08 40[1].jpg](https://vaiopocket.up.seesaa.net/image/E58699E79C9F202014-11-292010200820405B15D-thumbnail2.jpg)
オーディオでもクロックを高精度にすると良いのはわかりますが、ポータブルもそういう世界になったかという感じ。なお中国サイトで「原子クロックなみ」とサイトにあるのをLottoの人に聞いてみたら「あれは中国国内向けの宣伝文句さ」という感じでした。まあそこまでは無理にしても、やはりポータブルオーディオもクロック精度を求めるレベルの時代になったという気はします。
* まとめ
PAW Goldはナグラゆずりのメカとしての魅力にあふれた作りがまず特徴です。操作性は必要十分なくらいですが、音はポケットに入るハイエンドオーディオ、という感じですね。質実剛健なハイグレードモデルです。
私も長いことポータブルオーディオやってますけど2014年はポータブルオーディオの歴史に残る年になったと思います。大物の発表が相次ぎ、息つく間もない感じでポータブルオーディオが進化してきました。
PAW Goldは高性能据え置きオーディオなみの性能をもって、2015年にむけたリファレンスになりうる音質の高さをもっていると思います。
2014年12月08日
Meridianの新音楽フォーマット、MQAを考える(2) - 四角を三角に置きかえる
Meridianの新音楽フォーマットであるMQAについてですが、Realhd-audioサイトによくまとまった記事がありました。
http://www.realhd-audio.com/?cat=45
これによると、MeridianのRobert Stuart(音展に来ていたボブ・スチュワート)、Peter CravenによるAESの研究発表である"A Hierarchical Approach to Archiving and Distribution"がベースで、これを商業的にブランド化したのがMQAということです。A Hierarchical..については下記リンクです。
http://www.aes.org/e-lib/browse.cfm?elib=17501
いまでもたくさん音源形式があるのに、MQAの利点は何かというと、これはすでにMeridianサイトで上がっていますが「音質と利便性の両方をトレードオフなしに向上する」ということです。簡単に言うとロスレスなのにサイズを小さくできるということです。具体的には96kHz/24bitの4.8Mbps相当のデータをCD品質(1.4Mbps)より小さい1Mbps低度にできるというところです。
同時にいまのところ一番のMQAの疑問は4.8Mbpsある96kHz/24bitのデータ量を、品質を落とさずに1MbpsというCD(44/16)の1.4Mbpsよりさらに小さい1Mbpsというデータ量にするという点です。単にロスレス圧縮してもいいところ50%なのでそこまでは小さくならないでしょう。ですからMQAはなんらかのLossyではないかと言われてますし、私はアダプティブのような形式じゃないかと推測しました。
ここで下記Realhd-audioリンクページの図(Fig1)を見てもらいたいと思います。
http://www.realhd-audio.com/?p=3861
Fig1は96kHz/24bitのある音源の強度分布を示すグラフです。音の強度はdBで縦軸に示しています。横軸はサンプリング周波数で96khzのナイキスト周波数の48kHzまでプロットされています。
これをみるとわかるように、サンプリング周波数が高くなるにつれて、音の情報(強度)が少なくなっています。しかしながらデータは常に96kHz、24bitの"容量"が使われているわけです。つまりCD品質の周波数帯域では音はみっちりはいっているけど、それより上はスカスカなわけです。それでも容量は食っています。
ハイレゾ音源ってスカスカなのか、という話はとりあえず置いといて、
つまり4.8Mbpsが1Mbpsになるマジックは「ある情報(Signal Area)は捨てない」けれど、「ない情報(No Signal present)は捨ててる」わけです。これを非可逆(lossy)というか可逆(lossless)というかはたしかに微妙ではあります。捨てている、というのは語弊がありますが、おそらくは22kHz以上の部分については必要なdBの分だけ割り当てる、つまり録音したマスターが24bitデータであっても22kHz以上については24bit使ってないからいらないじゃん、必要なビット数のみ割り当てればよいでしょう、ということではないかと思います。たとえば、Fig1で44kHzあたりでは実質30dB程度しかダイナミックレンジが必要ないとすれば、ここはビット数は5bitあればすみます。つまり19bit分は節約できるという理屈ではないかと思います。
後で出てくる互換性のため必要なのは16bitですから、おそらく22kHz以下でも17-24bitはなんらかの圧縮をしているのかもしれません。
これによって見たところ4.8Mbpsの半分は軽くできるので、約2Mbps強になって、1:2低度は可逆圧縮できるので、1MbpsのCD品質くらいのデータ量に収まるということなんでしょう。このことを上記記事リンクのタイトルでは「四角を三角に置きかえる」と書いてます。(図のデータ部分"Signal Area"が三角形だから)
MQAのエンコード(カプセル化)では、音源ファイル(ここでいうコンテナ)ではまずCD相当のデータが普通にはいっていて、あるメタデータを読まなければそのまま普通の音源ファイルとして再生するんでしょう。つまり前方互換性があります(従来システムでもMQAが読めるということ)。
MQAではメタデータのどこかの部分に拡張差分データ(オリジナルデータ 引くところの CD相当データ)をMQAエンコード(四角を三角)にしたものがはいっていて、メタデータにある情報をたよりにそれをデコードして、CD相当データと合わせてオリジナルデータに戻すんだと思います。
この辺はオリジナルデータ→MQAエンコード→MQAデコードでバイナリ比較するとどうなんでしょうかね。
CD品質とハイレゾ部分のデータが差分・階層的という点ではアダプティブっぽいですが、それよりはむしろハイレゾ版のHDCDに近い感じの基本部分と拡張部分に分かれたものに見えますね。つまりHDCDを普通のCDプレーヤーで再生できるように、MQAは普通のDACで再生するとそのままPCM部分が読めて、さらにそのメタデータを認識できるデコーダならば、ハイレゾの拡張部分を元に戻せるということなんでしょう。
MQA対応したMeridianの新型ExplorerではDSPを使っていると言いますが、おそらくPCやスマートフォンのソフトウエアならもっと効率的にデコードできると思います。
なおMQAについては関連特許を探した人がいて、特許内容があります。これを見てもよくわかりませんが、うちのブログは玄人の人がたくさん見ているのでリンクをあげておきます。
http://patentscope.wipo.int/search/docservice_fpimage/WOGB2013051548@@@false@@@en;jsessionid=556F95ADF4C56D988B3FED8836465D01.wapp1nC
http://patentscope.wipo.int/search/en/detail.jsf?docId=WO2013186561&recNum=132&docAn=GB2013051548&queryString=nano%20OR%20filter%20OR%20ceramic&maxRec=599628
ところで、MQAエンコードとはちょっと離れますが、さきの記事にちょっと面白い話題が書いてありました。
よく20kHz以上は聞こえないからハイレゾは必要ない、という反駁がありますが、上の"A Hierarchical Approach..."の論文ではなぜハイレゾか、という問いについては20kHz以上の聞こえるかどうかわからない情報の問題と言うよりも、サンプリングレートが高くなることで(ナイキスト周波数が上がって)、よりデジタルフィルターを工夫する余地が増える、という感じのことが書いてあります。
たとえばDAC内でのオーバーサンプリングはハイレゾ関係なく昔からありますが、これは情報量を増やすというよりは、ナイキスト周波数を上げることによるLPFの効きの効率化(設計の簡素化)をするためだったと思います。ですからアップサンプリングも同じですが、補完とか中の情報云々というよりは、ナイキスト周波数をあげる事自体が意味があるという感じでしょうか。
つまりは96kHzをターゲットにフィルタを設計している回路ならば、96kHzで再生するのが効率的、つまり音が良いのではないか、ということです。この辺の視点もハイレゾ論争からは抜け落ちていたように思います。アップサンプリングしたのをオーバーサンプリングするとどうなるか、というと頭痛くなりますが 笑
http://www.realhd-audio.com/?cat=45
これによると、MeridianのRobert Stuart(音展に来ていたボブ・スチュワート)、Peter CravenによるAESの研究発表である"A Hierarchical Approach to Archiving and Distribution"がベースで、これを商業的にブランド化したのがMQAということです。A Hierarchical..については下記リンクです。
http://www.aes.org/e-lib/browse.cfm?elib=17501
いまでもたくさん音源形式があるのに、MQAの利点は何かというと、これはすでにMeridianサイトで上がっていますが「音質と利便性の両方をトレードオフなしに向上する」ということです。簡単に言うとロスレスなのにサイズを小さくできるということです。具体的には96kHz/24bitの4.8Mbps相当のデータをCD品質(1.4Mbps)より小さい1Mbps低度にできるというところです。
同時にいまのところ一番のMQAの疑問は4.8Mbpsある96kHz/24bitのデータ量を、品質を落とさずに1MbpsというCD(44/16)の1.4Mbpsよりさらに小さい1Mbpsというデータ量にするという点です。単にロスレス圧縮してもいいところ50%なのでそこまでは小さくならないでしょう。ですからMQAはなんらかのLossyではないかと言われてますし、私はアダプティブのような形式じゃないかと推測しました。
ここで下記Realhd-audioリンクページの図(Fig1)を見てもらいたいと思います。
http://www.realhd-audio.com/?p=3861
Fig1は96kHz/24bitのある音源の強度分布を示すグラフです。音の強度はdBで縦軸に示しています。横軸はサンプリング周波数で96khzのナイキスト周波数の48kHzまでプロットされています。
これをみるとわかるように、サンプリング周波数が高くなるにつれて、音の情報(強度)が少なくなっています。しかしながらデータは常に96kHz、24bitの"容量"が使われているわけです。つまりCD品質の周波数帯域では音はみっちりはいっているけど、それより上はスカスカなわけです。それでも容量は食っています。
ハイレゾ音源ってスカスカなのか、という話はとりあえず置いといて、
つまり4.8Mbpsが1Mbpsになるマジックは「ある情報(Signal Area)は捨てない」けれど、「ない情報(No Signal present)は捨ててる」わけです。これを非可逆(lossy)というか可逆(lossless)というかはたしかに微妙ではあります。捨てている、というのは語弊がありますが、おそらくは22kHz以上の部分については必要なdBの分だけ割り当てる、つまり録音したマスターが24bitデータであっても22kHz以上については24bit使ってないからいらないじゃん、必要なビット数のみ割り当てればよいでしょう、ということではないかと思います。たとえば、Fig1で44kHzあたりでは実質30dB程度しかダイナミックレンジが必要ないとすれば、ここはビット数は5bitあればすみます。つまり19bit分は節約できるという理屈ではないかと思います。
後で出てくる互換性のため必要なのは16bitですから、おそらく22kHz以下でも17-24bitはなんらかの圧縮をしているのかもしれません。
これによって見たところ4.8Mbpsの半分は軽くできるので、約2Mbps強になって、1:2低度は可逆圧縮できるので、1MbpsのCD品質くらいのデータ量に収まるということなんでしょう。このことを上記記事リンクのタイトルでは「四角を三角に置きかえる」と書いてます。(図のデータ部分"Signal Area"が三角形だから)
MQAのエンコード(カプセル化)では、音源ファイル(ここでいうコンテナ)ではまずCD相当のデータが普通にはいっていて、あるメタデータを読まなければそのまま普通の音源ファイルとして再生するんでしょう。つまり前方互換性があります(従来システムでもMQAが読めるということ)。
MQAではメタデータのどこかの部分に拡張差分データ(オリジナルデータ 引くところの CD相当データ)をMQAエンコード(四角を三角)にしたものがはいっていて、メタデータにある情報をたよりにそれをデコードして、CD相当データと合わせてオリジナルデータに戻すんだと思います。
この辺はオリジナルデータ→MQAエンコード→MQAデコードでバイナリ比較するとどうなんでしょうかね。
CD品質とハイレゾ部分のデータが差分・階層的という点ではアダプティブっぽいですが、それよりはむしろハイレゾ版のHDCDに近い感じの基本部分と拡張部分に分かれたものに見えますね。つまりHDCDを普通のCDプレーヤーで再生できるように、MQAは普通のDACで再生するとそのままPCM部分が読めて、さらにそのメタデータを認識できるデコーダならば、ハイレゾの拡張部分を元に戻せるということなんでしょう。
MQA対応したMeridianの新型ExplorerではDSPを使っていると言いますが、おそらくPCやスマートフォンのソフトウエアならもっと効率的にデコードできると思います。
なおMQAについては関連特許を探した人がいて、特許内容があります。これを見てもよくわかりませんが、うちのブログは玄人の人がたくさん見ているのでリンクをあげておきます。
http://patentscope.wipo.int/search/docservice_fpimage/WOGB2013051548@@@false@@@en;jsessionid=556F95ADF4C56D988B3FED8836465D01.wapp1nC
http://patentscope.wipo.int/search/en/detail.jsf?docId=WO2013186561&recNum=132&docAn=GB2013051548&queryString=nano%20OR%20filter%20OR%20ceramic&maxRec=599628
ところで、MQAエンコードとはちょっと離れますが、さきの記事にちょっと面白い話題が書いてありました。
よく20kHz以上は聞こえないからハイレゾは必要ない、という反駁がありますが、上の"A Hierarchical Approach..."の論文ではなぜハイレゾか、という問いについては20kHz以上の聞こえるかどうかわからない情報の問題と言うよりも、サンプリングレートが高くなることで(ナイキスト周波数が上がって)、よりデジタルフィルターを工夫する余地が増える、という感じのことが書いてあります。
たとえばDAC内でのオーバーサンプリングはハイレゾ関係なく昔からありますが、これは情報量を増やすというよりは、ナイキスト周波数を上げることによるLPFの効きの効率化(設計の簡素化)をするためだったと思います。ですからアップサンプリングも同じですが、補完とか中の情報云々というよりは、ナイキスト周波数をあげる事自体が意味があるという感じでしょうか。
つまりは96kHzをターゲットにフィルタを設計している回路ならば、96kHzで再生するのが効率的、つまり音が良いのではないか、ということです。この辺の視点もハイレゾ論争からは抜け落ちていたように思います。アップサンプリングしたのをオーバーサンプリングするとどうなるか、というと頭痛くなりますが 笑
2014年12月06日
Meridianの新音楽フォーマット、MQAを考える
イギリスのオーディオメーカーMeridianが新音楽フォーマットMQAについてのサイトを立ち上げています。
http://musicischanging.com/
MQAとはMaster Quality Authenticatedのことで、いままで相反していた使い勝手と音質を統合できるとしています。具体的にはなにか、ということですがこれは詳細がまだ明かされていません。
以下は私のただの推測です。
まずMeridianはMQAを以下のステップで表しています。
マスターレコーディング⇒カプセル化(MQA encapsulation)⇒種々のロスレスフォーマットでのダウンロード/ストリーミング⇒HW/SWでの再生
Absolute Soundの記事によると、MQAはエンコーディングであり、録音やマスタリング時にMQAでエンコーディングできるとあります。またPC&TechによるとMQAはCDと同じ帯域幅(ほぼ1Mbps)であるとしています。エンコーディングは従来の周波数とタイミングを同じ優先度で考えるのではなく、神経科学要素からタイミングを重視したといいます。
http://www.theabsolutesound.com/articles/robert-harley-listens-to-meridian-mqa/
http://www.pcauthority.com.au/News/398532,meridian8217s-mqa-promises-studio-quality-music-for-streaming.aspx
これらのことから考えると私はMQAの正体はアダプティブ・ロスレス(adaptive lossless)ではないかと思います。アダプティブ・ロスレスについては前にOraStreamの記事を書きました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/274617721.html
アダプティブ・ロスレスはミルフィーユのようなもので、十分な帯域幅が伝送で確保できるならすべてのデータが送られますが、伝送が細くなるとミルフィーユの皮がむけるように音質を落としていきます。つまり完全な形がCD品質またはハイレゾデータで、そこから上で書いたカプセル化によっていくつかのミルフィーユの積層に分割していくのではないでしょうか。これはMPEG4-SLSと同じです。
おそらくここのステップにおいて、神経科学要素からそのロスをさせていくのではないでしょうか。たとえばMP3はどうせ15Khz以上の音は聞こえないからと周波数的に切り捨てたわけですが、MQAではそれを特定周波数ではなく、神経科学要素から捨てていく(積層にしていく)と思います。よくわかりませんが。
MQAデコーダがなくてもCD品質は保てるというのはハイレゾデータをMQAエンコードした場合、ミルフィーユの積層をはがした核がCD品質なのかもしれません。
具体的な製品としては新しいExplorerにMQAデコーダーが搭載されたようですhttp://www.whathifi.com/news/meridian-reveals-explorer-2-dac-mqa-support
これが意図しているところはロスレスストリーミングですね。たとえばいま海外では話題のTidalとかQobuzです。もっというならば、ハイレゾ・ロスレスストリーミングです。もしそうならば日本はまた蚊帳の外です。
PONOの記事でニールヤングがMeridianとやっていたのはMLPと書きましたが、おそらくこのMQAのことだったのでしょう。たしかにニールヤングがアダプティブストリーミングをやっているという情報もあったので、つじつまが合います。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/262455301.html
なんとなくいろんな手がかりが符合しはじめてきましたが、まだまだよくわかりませんね。
FLACやALACなど既存のコンテナに含められるとありますが、事実エンコーディングとファイル形式はわけなければなりません。Jpegはファイルフォーマットではなくエンコーディング形式です(ファイル形式はJFIFかExif)。WAVは通称でファイルフォーマットはRIFFです。
ファイルは容器の形式でエンコーディングは中身の詰め方です。
PCオーディオにおいてはDSDの次のトピックが見えにくいのですが、もしMQAがロスレスストリーミングを志向しているならば、海外は「次」をロスレスストリーミングに狙いを定めているようにも思えます。そうした場合、CDから先に進まない日本のオーディオの明日はどうなるのでしょうか?
http://musicischanging.com/
MQAとはMaster Quality Authenticatedのことで、いままで相反していた使い勝手と音質を統合できるとしています。具体的にはなにか、ということですがこれは詳細がまだ明かされていません。
以下は私のただの推測です。
まずMeridianはMQAを以下のステップで表しています。
マスターレコーディング⇒カプセル化(MQA encapsulation)⇒種々のロスレスフォーマットでのダウンロード/ストリーミング⇒HW/SWでの再生
Absolute Soundの記事によると、MQAはエンコーディングであり、録音やマスタリング時にMQAでエンコーディングできるとあります。またPC&TechによるとMQAはCDと同じ帯域幅(ほぼ1Mbps)であるとしています。エンコーディングは従来の周波数とタイミングを同じ優先度で考えるのではなく、神経科学要素からタイミングを重視したといいます。
http://www.theabsolutesound.com/articles/robert-harley-listens-to-meridian-mqa/
http://www.pcauthority.com.au/News/398532,meridian8217s-mqa-promises-studio-quality-music-for-streaming.aspx
これらのことから考えると私はMQAの正体はアダプティブ・ロスレス(adaptive lossless)ではないかと思います。アダプティブ・ロスレスについては前にOraStreamの記事を書きました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/274617721.html
アダプティブ・ロスレスはミルフィーユのようなもので、十分な帯域幅が伝送で確保できるならすべてのデータが送られますが、伝送が細くなるとミルフィーユの皮がむけるように音質を落としていきます。つまり完全な形がCD品質またはハイレゾデータで、そこから上で書いたカプセル化によっていくつかのミルフィーユの積層に分割していくのではないでしょうか。これはMPEG4-SLSと同じです。
おそらくここのステップにおいて、神経科学要素からそのロスをさせていくのではないでしょうか。たとえばMP3はどうせ15Khz以上の音は聞こえないからと周波数的に切り捨てたわけですが、MQAではそれを特定周波数ではなく、神経科学要素から捨てていく(積層にしていく)と思います。よくわかりませんが。
MQAデコーダがなくてもCD品質は保てるというのはハイレゾデータをMQAエンコードした場合、ミルフィーユの積層をはがした核がCD品質なのかもしれません。
具体的な製品としては新しいExplorerにMQAデコーダーが搭載されたようですhttp://www.whathifi.com/news/meridian-reveals-explorer-2-dac-mqa-support
これが意図しているところはロスレスストリーミングですね。たとえばいま海外では話題のTidalとかQobuzです。もっというならば、ハイレゾ・ロスレスストリーミングです。もしそうならば日本はまた蚊帳の外です。
PONOの記事でニールヤングがMeridianとやっていたのはMLPと書きましたが、おそらくこのMQAのことだったのでしょう。たしかにニールヤングがアダプティブストリーミングをやっているという情報もあったので、つじつまが合います。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/262455301.html
なんとなくいろんな手がかりが符合しはじめてきましたが、まだまだよくわかりませんね。
FLACやALACなど既存のコンテナに含められるとありますが、事実エンコーディングとファイル形式はわけなければなりません。Jpegはファイルフォーマットではなくエンコーディング形式です(ファイル形式はJFIFかExif)。WAVは通称でファイルフォーマットはRIFFです。
ファイルは容器の形式でエンコーディングは中身の詰め方です。
PCオーディオにおいてはDSDの次のトピックが見えにくいのですが、もしMQAがロスレスストリーミングを志向しているならば、海外は「次」をロスレスストリーミングに狙いを定めているようにも思えます。そうした場合、CDから先に進まない日本のオーディオの明日はどうなるのでしょうか?
2014年12月05日
ナグラの血統、ハイレゾプレーヤー PAW Gold登場
本日私がプレゼンをして、トップウイングさんから高性能のハイレゾプレーヤー、Lotoo PAW Goldが発表されました。Lotoo(ロトゥー)は中国のInformediaのオーディオブランドであり、あの名門ナグラのプロ録音機のODMをしています。ODMはOEMに対して自分で設計まですることです。つまりナグラの血統のハイレゾプレーヤーともいえるでしょう。PAW Gold(パーゴールド)はその同じラインで生産されるといいます。
![IMG_5192_filtered[1].jpg](https://vaiopocket.up.seesaa.net/image/IMG_5192_filtered5B15D-thumbnail2.jpg)
また基本性能もかなり高く、DAC ICにはハイエンドの定番であるPCM1792を採用し、ジッター値は5psというポータブルというよりも高性能PCオーディオDACなみの値を実現しています。また基本であるクロックも5ppmとかなり精度が高く、基本性能が充実していると言えます。実際は1ppmで設計しているようですが、精度は余裕をもって公言しているというところもプロっぽいところ。ドライブ力も高く、出力の大きなLME49600を採用し出力インピーダンスも0.1Ω以下と万全です。
音質も極めて高く、明瞭でくっきりとした音像再現が特徴的です。いままで埋もれていたような超低域を浮かび上がらせるような素晴らしい帯域特性も見事です。さすがプロ品質です。
今年最後の大物、というより2015年に向けてのリファレンスクラスのハイレゾプレーヤーとしてPAW Goldに注目ください。
![IMG_5192_filtered[1].jpg](https://vaiopocket.up.seesaa.net/image/IMG_5192_filtered5B15D-thumbnail2.jpg)
また基本性能もかなり高く、DAC ICにはハイエンドの定番であるPCM1792を採用し、ジッター値は5psというポータブルというよりも高性能PCオーディオDACなみの値を実現しています。また基本であるクロックも5ppmとかなり精度が高く、基本性能が充実していると言えます。実際は1ppmで設計しているようですが、精度は余裕をもって公言しているというところもプロっぽいところ。ドライブ力も高く、出力の大きなLME49600を採用し出力インピーダンスも0.1Ω以下と万全です。
音質も極めて高く、明瞭でくっきりとした音像再現が特徴的です。いままで埋もれていたような超低域を浮かび上がらせるような素晴らしい帯域特性も見事です。さすがプロ品質です。
今年最後の大物、というより2015年に向けてのリファレンスクラスのハイレゾプレーヤーとしてPAW Goldに注目ください。
2014年12月04日
ニールヤングのPONO到着とファーストインプレ
![IMG_5255[1].jpg](https://vaiopocket.up.seesaa.net/image/IMG_52555B15D-thumbnail2.jpg)
* ニールヤングのPONO
今年はクラウドファンディングで開発されるオーディオ機器が盛り上がりを見せてきました。その中でも象徴的に取り上げられたのはニールヤングのPONOだと思います。もともとPONOはニールヤングの音楽を変えよえとした試みでした。
ニールヤングはジョブズとともに音楽・オーディオ業界にiPodの次を考えて話をしていたわけですが、ジョブズを失った後に自分がやらなければ、と思ったのか、それが形になったのがPONO Music Player、つまりニールヤングが作ったハイレゾプレーヤーです。これはハイレゾ音源を販売するPONO Musicストアと合わせてニールヤングの考える高い音質の音楽リスニングのあり方を提示したと言えるでしょう。
ただし市場はおそらくヤングの想像以上に進んでいて、実のところすでにAstell&Kernがハイレゾプレーヤーの位置を占めていたわけです。そこにPONOが追う形になったというのがひとつのポイントだと思います。つまり考えていた以上のものを世に出す必要が出たということです。
また、当初はアンチPONO的なネガティブ意見が意外と多かったのも興味深いところです。とはいえAK100ではそうしたことはありませんでしたので、ニールヤングのプロモーション自体がいかにいままでにそうしたものに興味なかった層にアピールしたかがわかります。実際にはWalkmanよりもさらに一般層にアピールしたということだと思います。
* PONOとKickstarter
そうしてPONO PlayerはKickstarterキャンペーンで開始するという面白い展開ではじまりました。こちらに記事を書きました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/391214911.html
ちなみにクラウドファンディング・Kickstarterについてはこちらをお読みください。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/391376986.html
私はキャンペーン開始当日は出るだろうEarly birdの安いモデルに照準を合わせていて早起きしたのですが、日本時間の早朝に起きた時にはすでに$299だった早割モデルは売り切れでした。たしか始まったのが日本時間の3時ころだったと思います。そこでアーティストモデルのなかでもやはり象徴的なニールヤング・シグネチャーモデルを選択しました。そうしたらこれも早々に売り切れてしまい、事前のネガティブ意見を上回る実際のPONO人気の高さを伺わせてくれました。結果としてPONOはKickstrterでも上位に入るクラウドファンディングの優等生となったわけです。おそらくPONOではじめてクラウドファンディングに手を染めた人も多いと思います。
![IMG_5261[1].jpg](https://vaiopocket.up.seesaa.net/image/IMG_52615B15D-thumbnail2.jpg)
ニールヤング・シグネチャモデル
KickstarterがKickstrterであるゆえんは、スタートアップ、つまり新興企業を支援するためで、そうしたところは技術的な気概はあってもロジステックスや企業運営には素人なわけです。ですのでたいていKickstarterものは遅延します。当然PONOの会社も例外ではありません。
10月中に届ける、という目標はなんとか10月中に出荷を開始と言う線をキープできた程度です。その後も遅れたりサポート問題でおそらく12月中までは最低かかるでしょう。12月予定だった分は来年だと思います。
Update#50でサポートが強化されましたが、私の場合はまず住所欄にJapanが選べないという問題がありました。途中でデータをKickstarterからPono Musicのデータベースに移動した際に起こったと思います。次にニールヤングモデルの仕上げに不備があるという問題があり、これは特定のシグネチャーモデルに発生しました。
これは他のクラウドファンディングでも同じですが、クラウドファンディングものはパーツがそろった順に組み立てるので、届く早さは申し込みの日時より、オプションのパーツがそろう順になってしまうのが常だと思います。ブラックを頼んだ人は仮に私のように初日に頼んでいたとしてもおそらくさらに遅れていると思います。
なにはともあれ、やっと手元にPONO Playerが届きました。
* PONO Player
ハイレゾプレーヤーとして見た場合、話題をまいたのは設計がAyreによってなされたという点です。AyreといえばMPフィルタの使用で知られています。これも当初情報では設計はMeridianでした。おそらく途中までは実際にやっていたのではないかと思います。というのは、もともとPONOはニールヤングがなにか新しい音楽フォーマットを策定しているといううわさがはじまりですが、おそらくそれはMeridianの独自形式MLPのことだったのではないかと考えられるふしがあるからです。しかしながらなんらかの理由でMeridianとは別れて、最終的にはAyreが設計担当になっています。
![IMG_5240[1].jpg](https://vaiopocket.up.seesaa.net/image/IMG_52405B15D-thumbnail2.jpg)
液晶の立ち上げ時にもPowered by Ayreの文字が表示されます。また当初の協力クレジットにはAudioQuestの名前もありました。ただし製品としてのPONOはあくまでPONO Music社の製品ですので、品質管理などはそちらの責任となりますので念のため。
![IMG_5252[1].jpg](https://vaiopocket.up.seesaa.net/image/IMG_52525B15D-thumbnail2.jpg)
またPONOが特徴的なのはバランス駆動に対応していることです。一見そうは見えませんが、3.5mmイヤフォン端子と3.5mmラインアウトを同時に使うことでバランス駆動が実現できます。ソニーと同じような規格のようです。実際にソニーバランスを使っている人もいますね。
バランスプラグの極性は下記のリンクに図式があります(PONO Musicのアカウントが必要です)。これを見てもらうとわかりますが、Ayreのレターヘッドにチャーリーハンセンのサインが記入されています。
https://ponomusic.force.com/069A0000001eCMz
またラインアウトを使って2人で聴くモードもあります。これらのことから考えると、このラインアウトはいわゆる真のラインアウトではないと思います。
PC上のソフトウエアも提供されますが、音源はPCからUSBで直接出し入れできるので特にソフトウエアがなくてもかまいません。PCとのUSB接続はMTPではなくマスストレージクラスです。PCと接続するとルート直下にAndroidというフォルダーがあって、ははーんと思わせてくれます。
マスストレージクラスなので曲の転送が終わったらライブラリの再構築が必要です。(MTPの場合はファイル単位で送られるので都度ライブラリがアップデートできて、まとめて再構築不要なのが良い点です)
メモリは内蔵64GBに64GBのMicroSDが付属してきます。MicroSDは128GBまで認識できるので、トータルで192GBまで拡張できます。
![IMG_5230[1].jpg](https://vaiopocket.up.seesaa.net/image/IMG_52305B15D-thumbnail2.jpg)
![IMG_5228[1].jpg](https://vaiopocket.up.seesaa.net/image/IMG_52285B15D-thumbnail2.jpg)
シグネチャーモデルは竹製の化粧箱に入って届けられます。これも一部の国では輸入禁止品目に当たるため、遅延をもたらす原因となりました。
![IMG_5265[1].jpg](https://vaiopocket.up.seesaa.net/image/IMG_52655B15D-thumbnail2.jpg)
![IMG_5246[1].jpg](https://vaiopocket.up.seesaa.net/image/IMG_52465B15D-thumbnail2.jpg)
話題となった三角形のボディデザインはデスクトップに横置きするためのものですが、手に持ってみると意外としっくりきます。手に包むように握れる感覚はたしかにiPodを思い出します。
○ボタンは電源オンオフだけではなく、iPhoneイヤフォンのリモコンのように二回クリックで曲スキップ、三回でリワインドという風にも使えます。操作系がでかいのは便利ですね。
ただタッチパネルの液晶で曲を選択していくのはやや不便なものはあります。また大きさの割には軽い感じです。
![IMG_5254[1].jpg](https://vaiopocket.up.seesaa.net/image/IMG_52545B15D-thumbnail2.jpg)
![IMG_5245[1].jpg](https://vaiopocket.up.seesaa.net/image/IMG_52455B15D-thumbnail2.jpg)
はじめちょっと聴いたときはいまひとつか、と思いましたが一日バーンインしたらかなりよくなりました。後で書きますが、PONOの音の良さは滑らかさなので、滑らかにならないとPONOの良さが出てこないと思います。
まず楽器の音がきれいで、ピアノの再現なんかは良いですね。明瞭感とか細かさもよい方です。クリアでありながら柔らかく滑らかに音の角が取れています。ESS的な細かさはありますが、ESS的なドライさはなく、ここはAyreのMPフィルタ技術が抑え勝ちをしたというところでしょうか。音楽的な設計でスムーズな音鳴りだと思います。バランスケーブル作るなら銀線よりは銅線で作りたい感じです。
また帯域バランスもよく出来ていて、いろんなジャンルに合うと思います。音の広さはもうちょっとほしい気はしますが、悪くはありません。立体感はなかなか良いです。
ただイヤフォンではややゲインが高いのでヘッドフォン向けに作ってる気はします。ただ背景ノイズはないので、高感度BAでも大丈夫です。
![IMG_5250[1].jpg](https://vaiopocket.up.seesaa.net/image/IMG_52505B15D-thumbnail2.jpg)
ハイレゾ音源を再生中はLEDが転倒したり、曲リストでマークされていたりとハイレゾを意識しているのも面白いところです。
PONOにははじめから曲がインストールされています。私の場合はニールヤングのHarvestとStorytoneの新旧二作のハイレゾアルバムが入っていました。Harvestはあの有名なHeart Of Goldが入っているアルバムです。
PONOは音楽好きのために作ったと言いながらバランス駆動とか意外とマニアックなものになってますし、音も本格派です。操作性はまずまずというところですが、音は価格以上はあるでしょう。優しく音楽を楽しめる風に作りこんでいます。音に関しては伊達にAyreの名前は使っていないというか、なかなかよい出来だと思います。
Ayreも自ブランドでハイレゾプレーヤーのハイエンドモデルをだしたくなるんじゃないかと思いますね。
RocketsとPONOを組み合わせてもよい感じですが、今年はKickstarterでハイレゾプレーヤーもイヤフォンも高性能なものがそろってしまいました。来年もすでにGeek Waveや1964ADELなどクラウドファンディングものが見えてますが、まだまだ出てくることでしょう。
さてこのニールヤングの試みはどう評価されるのか、これも2015年にかけての興味の一つです。
2014年12月01日
AndroidのHF Playerになるか、HibyMusicアプリ
いろいろありますが、昨日の記事に書いたようになにはともあれAndroidでUSBオーディオクラスドライバーが使えるようになりました。
そこで必要なのは高機能なアプリです。OSでドライバーがサポートされてくるとUSB Audio Player Proにばかり頼って入られません。(UAPPで十分という気もしますが)
そこで注目したいのが最近登場したHibyMusicアプリです。これは中国の人が作ったようです。AndroidでのFoobarやJRiverを目指したそうです。

再生画面と設定(DoPが見えますね)
特徴は384kHzハイレゾ再生とDSDネイティブ再生に対応してUSB DACに出力できます。対応フォーマットも広く、FLACはもとよりDSDはISOもサポート、CUEシートも対応しています。
また音源は64bit小数点までサポートしますので、内部128bit演算です。ここはさすがです。

曲リストではハイレゾ音源にはHDマークがつきます
これ無料って言いましたっけ?オプション課金もありません。インストールはGoogle Playから。
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.hiby.music
ちょっと互換性問題がありますが互換性問題は改善中だそうです。
プラットフォームのLollipopが昨日書いた48k問題があるのでNexus 9では現状能力が発揮できませんが、いまベンダー対応でハイレゾ出力できるNote3のようなAndroidプラットフォームでは使ってみると良いかもしれません。
そこで必要なのは高機能なアプリです。OSでドライバーがサポートされてくるとUSB Audio Player Proにばかり頼って入られません。(UAPPで十分という気もしますが)
そこで注目したいのが最近登場したHibyMusicアプリです。これは中国の人が作ったようです。AndroidでのFoobarやJRiverを目指したそうです。


再生画面と設定(DoPが見えますね)
特徴は384kHzハイレゾ再生とDSDネイティブ再生に対応してUSB DACに出力できます。対応フォーマットも広く、FLACはもとよりDSDはISOもサポート、CUEシートも対応しています。
また音源は64bit小数点までサポートしますので、内部128bit演算です。ここはさすがです。


曲リストではハイレゾ音源にはHDマークがつきます
これ無料って言いましたっけ?オプション課金もありません。インストールはGoogle Playから。
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.hiby.music
ちょっと互換性問題がありますが互換性問題は改善中だそうです。
プラットフォームのLollipopが昨日書いた48k問題があるのでNexus 9では現状能力が発揮できませんが、いまベンダー対応でハイレゾ出力できるNote3のようなAndroidプラットフォームでは使ってみると良いかもしれません。