AndroidではNexus 7を使っていたのですが、重くて仕方なくなってきたので新型のNexus 9に変えました。
CPUは最新の64bit Denverコアを待つTegra K1でサクサクと快適に動作します。これでAndroidもiOSとならんで正式に64bit世代に突入したわけです。
そこでさっそくAndroid5.0,LollipopでのUSBクラスオーディオサポートをテストすべくAurender FLOWにつないでみました。FLOWだとサンプルレート表示がわかりやすいからです。Nexus9とはFLOWに付属のUSB OTGケーブルで接続します。
Kamertonで44kHz音源を再生
まずKamertonプレーヤーとPowerAmpに使ってみたところ、きちんと音が出せてFLOWから聞くことができます。Youtubeでも音がUSB DACから出せます。
ここでちょっと気になるのは出力サンプルレートが44kHzの曲を再生しているのに48kHzと出てることです。そこでUSB Audio Player Proを使ってみると44kHzときちんと出てくるので、48kHzの件はドライバーかミキサーが原因と思えます。Kamertonなどではハイサンプリングデータはリサンプリングしてますが、それに合わせて44kHzもリサンプリングしているのかも。。調査中。
それと再生中に少しノイズが入ります。これも調査中。
USB Audio Player Proで44kHzと96kHzを再生
ちなみにUSB Audio Player Proではハイレゾ出力も可能です(こちらは内蔵ドライバーですが)。
それとES FileExplorerを使ってFLOWのストレージの方の接続を試してみたのですが、USBデバイスとして認識されるところまではいったのですが中身が見えません。調査中。
またちょっと気になるのはNeutron Playerでオーディオハードウエア表示させたときにARMv7って出るところです。Nexus 9のDenverコアのTegra K1ならARMv8って出るはずだと思いますが、、これも調査中。
まだまだ謎は多い。。
Music TO GO!
2014年11月30日
2014年11月26日
AK100/120の一体型アンプ、GloveAudio A1日本版の発売
GloveAudio A1 (AK100MK2)
私もSR71の昔から長いことポータブルヘッドフォンアンプを使っていますが、ケーブルでアンプとiPodをつなぐのが当たり前だと思っていました。実のところケーブルが無くてプレーヤーと直結できるようなポータブルアンプがほしかったのですが、それはなかなか実現しませんでした。
*一体型ポータブルアンプの夢
数年前にフォステクスのHP-P1のプロトタイプの画像を見せてもらったときに、iPodと一体になるメカに感動しましたが、残念ながら諸都合で実現しませんでした。
FOSTEXプロトタイプ
今年の春にJabenのWilsonが絶対に明かせない新製品があるということでちょっと興味しんしんでしたが、蓋を開けてみるとこのGloveAudio A1でした。やっと満足のいくプレーヤーと一体型のポータブルアンプの登場です。とはいえ、まったくの新興会社ではメカが面白くとも、肝心の音質に懸念があります。ちょっと戦々恐々としていたところ、ヘッドフォン祭の当日にCEntranceのマイケルCEOと15Fのエレベーターでばったりあって、なにしてるの?と言って名刺を渡されてびっくり。なんとGloveAudioはCEntranceのマイケルが作った別会社でした。
これでさきの懸念も一気に解決しました。あのDACportとHiFi M8のCEntranceです。音質はいわずもがな折り紙付き、です。
そしていま、そのGloveAudioがAKシリーズの本家とも言うべきアユートさんから日本版として店頭で発売がなされるところまでこぎつけました。サイトでの直販も行っています(リリース参照)。以下日本版についてレビューしていきます。
なおJaben Japanではオンラインで輸入版を販売しています(内容が少し違います)。
*GloveAudio A1とは
GloveAudioはCEntranceの別会社です。A1はGloveAudioが開発したAstell&Kern AK100(MkII)とAK120で使用できる一体型ポータブルアンプです。
AK100MK2とA1
AK100/120とは光ケーブルで接続してデジタル出力をA1に入れ、A1の内蔵DACでアナログに変換し内蔵アンプで増幅します。そのため入力は光デジタル専用です。一体型なので事実上のケーブルレスを実現しています。
出力は3.5mmの普通のステレオミニ端子のほかに、AK第二世代機で採用された2.5mmバランス端子と、海外を中心によくつかわれるKobiconnバランス端子を装備しています。Kobiconnはmini XLRや4ピン角型とも呼ばれます(私がRSAタイプと言っていたものと同じ)。
ボリュームは合体するとAK側のコントロールは効かなくなり、A1のボリュームで変更します。ボリュームはデジタルボリュームで、AKプレーヤーとA1との合体時にはAK側のボリュームは効かないので、A1側でコントロールします。ステップ数は細かく256で0.5dB単位ということです。他には本体に電源のみがついています。
削りだしアルミのソリッドなA1外殻はRFシールドになると共にAK100/120を守る「アーマー」としての働きもあります。
GloveAudioを設計した理由はマイケルに聞くと、AK100/120は成功したプレーヤーだが、オーディオ回路自体には改良する余地があると考え、彼らのDAC/アンプの設計知見を生かし、さらにケースとして保護効果のあるものをデザインし、既存のAK100ユーザーに第二世代機よりも安くバランス出力の機能を提供しようと考えたということです。
アダプター
AK100とAK120はスペーサーのアダプタ(クランパー)で調整できます。クランパーはビス止めです。(へクスレンチは同梱されています)
いったん取り付けると絶対はずれません。まさに一体型です。さきに書いたように私も長いことプレーヤー+ポータブルアンプという組み合わせを使っていますが、Glove A1は新感覚です。フルアーマーという異名もすでに頂戴していますがメカっぽさもよいですね。
*特徴
GloveAudio A1はAK100/120専用でその音質を高める、という明確な目的がある点がまず特徴的です。
- バランス駆動
A1の出力はバランス駆動がポイントであり、それを生かすために回路はDACからアンプまでフルバランスで設計されています。
A1ではまた電源にもこだわった設計が施されているようです。電源にこだわっているというのはバランス駆動をポイントにしている本機としては重要なことです。ずいぶん前にバランス駆動というものを日本に紹介するときにバランス駆動については書きました。(下記リンクです)
http://vaiopocket.seesaa.net/article/22525911.html
バランス駆動の利点はBTL接続として駆動力を上げられることですが、同時にBTLのデメリットである負荷インピーダンスが下がるという点も引き継いでいます。つまりポータブルの場合はただでさえ低いインピーダンスのイヤフォンをターゲットとしていてバッテリーも十分ではないのに、さらにインピーダンスが下がると十分な電流が供給できず逆に駆動力不足に陥ってしまいます。そこをカバーするために電源には気を配る必要があります。
また電源を強力にしたことで低電圧版ではなく通常版のES9018が使用可能になったのだと思います。
ちなみになぜ「バランス駆動」という言葉を使ったかというと、当時唯一参考にできたHeadroomの技術解説ページでこの方式を"Balanced headphone drive"と呼んでいたので、それを日本語にして「ヘッドフォンのバランス駆動」と書いてHeadFi文化の代表として日本に紹介したわけです。当時は国産はおろか、アメリカ製でもまだまだ少ない時代でした。
バランス駆動のイヤフォン端子はAK第二世代機で採用されている2.5mmと、RSAやALO、CEntrance、パイオニアXPA700で採用されているKobiconnが使うことができます。アメリカ製アンプのポータブルバランス端子はRSAが先行したこともあり、Kobiconnが多く採用されています。前にも書いたようにポータブルでのバランス規格はばらばらで、最近は4.4mmTRRRS規格でポータブルバランス規格を統一しようとする動きもあるようですが、現状では二つのプラグが採用されているのは便利であると言えます。
この記事では2.5mm Estron Linumと、Beat SuperNova Kobiconnで試しています。
2.5mmバランス(左)、kobiconnバランス(右)
- シンプルな設計
もうひとつA1の技術的な特徴をあげると、マイケルと話をしていて分かってきたことはシンプルさです。
GloveAudioのような一体型モデルはプレーヤーのサイズと形に制約されるので専用にならざるを得ません。しかしA1ではこの専用と言うことをうまく使って回路をシンプルにするということで音質向上を図っています。
CEntranceのHiFi M8と比べるとまずUSBがないので回路をシンプルにできます。これにより信号経路もよりクリーンで音質もあげられます。また、余分なプラグも接続に使うケーブルもありません。入力をなんでも使えるという柔軟性を捨ててAK100の光入力に特化したことでより性能をあげることができたというわけです。周辺回路が単純ですむESS Saber32アーキテクチャーのES9018採用もその一環のようで、デジタルレシーバーも内蔵しているので、信号経路も単純になります。
また設計がシンプルなのでより早い時間で設計して市場に出せるようになったとマイケルは言います。
*到着と使用感
今回のアユートさんの日本版では、日本語マニュアルと日本語保証書がついてくるところが良いと思います。店頭販売と合わせて多くのユーザーは安心して買えることでしょう。
本体自体はかなりコンパクトに感じます。アルミ削りだしの本体はかなりがっしりとしたものです。また試作機とはちがって、プレーヤーに当たる部分はフェルトのようなクッションが貼ってあります。そのためさのままAKプレーヤーをケースなしで置くことができます。
まずAK100MK2を使用してみました。組み立てに使うヘクスレンチはパッケージに入っています。
実際に使ってみるとまずカッコ良いですね。普通のポータブルアンプみたいにケーブルで接続するのに比べて一体感が高く、コンパクトなこともあってハイレゾプレーヤーのように扱えます。電源は連動していませんが、充電が同時に行える二股のUSBケーブルが入ってきます。
AK120とA1
次にAK120を使ってみましたが、私のはRWAK120なので底面のRed Wineラベルでややあたってしまいますが、固定することはできます。
マイケルによればバッテリーは使い方にもよるが、11-12時間は持つということ。AK100の方が先に切れるということ。
*音質
はじめに書きますと音質はオリジナルの旧AK100/120とはまったく別物です。音質が向上したというレベルではありません。
まず普通の3.5mmで聴きましたが、音質は驚くほど高く夏のヘッドフォン祭の試作機より完成度が上がっています。試作機ではシャープなだけでしたが、製品版では豊かなオーディオらしい音が聴けます。本体は小さいけど音はビッグという感じで、小さいわりにスケール感があって3.5mmの時点で音の広がりが半端なくあります。
音はESSらしくすごく細かいのですが、ESS的な冷たさはなくむしろほのかな暖かみが感じられます。音像がシャープで、スピーカーでいう定位が定まった感じがあります。ウッドベースのピチカートは素早くキレが良く、低音域は強調されすぎずに適度な量感があります。
またまるで据え置きのホームアンプなみに感じられる音の余裕があり、厚みがあって豊かなオーディオらしい音です。全体の印象はHiFi M8なみというか、音の印象はM8に似ています。ただし細かいところで違いを感じます。
光入力だけにしてM8のUSBを配したことで全体がシンプルになり、M8に比べてケーブルレスになったという利点を感じます。
回路はシンプルで音の鮮度感は高く、鮮明でスピード感があります。音は速くキレが良いのでアグレッシブな曲ではかなり速いスピード感が楽しめます。
全体的な音質レベルはDAC内蔵ポータブルアンプの中でもトップクラスにあると思います。
A1とAKR03
特に注目してほしいのはバランス駆動での音質の高さです。3.5mmシングルエンドと2.5mmバランス駆動の音の差が第二世代AKよりも大きく、2.5mmバランスでのパワフルで濃密な音再現はA1の大きな魅力です。バランス駆動らしい音再現ですね。
同じLinum BaXで2.5mmバランスと3.5mmシングルエンドで比べてみると、2.5mmバランスにするとかなり骨太でパワフルになり、音の輪郭がよりはっきりとして明瞭感も上がります。イヤフォンの性能が上がった感じですね。音のキレがよくなり、背景のアーティストの唸り声のような小さい音がより分かりやすくなります。また音量レベルも上がります。
立体感・広がりとともにパワー感が大きく増すのが特徴です。バランスではクラシックのオーケストラのスケール感がひときわ高く感じられます。音場が広いだけではなく、力感があるので迫力を感じますね。
全体にはやはり力感・重厚感が増します。これは音量レベルを合わせてもそうだと思います。3.5mmと2.5mmの別物感があり、この差が大きいのが第二世代AKシリーズとの違いでしょう。
同じLinum Baxで2.5mmバランスから3.5mmシングルエンドに戻すと、音の豊かさが取れて少し淡白に感じられます。音量レベルも下がりますが、音量レベルを合わせても音の引き締まり方が緩めになり、結果としてインパクト感も後退します。
バランス駆動のイヤフォン端子はAK第二世代機で採用されている2.5mmと、RSAやALO、CEntrance、パイオニアXPA700で採用されているKobiconnが使うことができます。アメリカ製アンプのポータブルバランス端子はRSAが先行したこともあり、Kobiconnが多く採用されています。前にも書いたようにポータブルでのバランス規格はばらばらで、最近は4.4mmTRRRS規格でポータブルバランス規格を統一しようとする動きもあるようですが、現状では二つのプラグが採用されているのは便利であると言えます。
この記事では2.5mm Estron Linumと、Beat SuperNova Kobiconnで試しています。
2.5mmバランス(左)、kobiconnバランス(右)
- シンプルな設計
もうひとつA1の技術的な特徴をあげると、マイケルと話をしていて分かってきたことはシンプルさです。
GloveAudioのような一体型モデルはプレーヤーのサイズと形に制約されるので専用にならざるを得ません。しかしA1ではこの専用と言うことをうまく使って回路をシンプルにするということで音質向上を図っています。
CEntranceのHiFi M8と比べるとまずUSBがないので回路をシンプルにできます。これにより信号経路もよりクリーンで音質もあげられます。また、余分なプラグも接続に使うケーブルもありません。入力をなんでも使えるという柔軟性を捨ててAK100の光入力に特化したことでより性能をあげることができたというわけです。周辺回路が単純ですむESS Saber32アーキテクチャーのES9018採用もその一環のようで、デジタルレシーバーも内蔵しているので、信号経路も単純になります。
また設計がシンプルなのでより早い時間で設計して市場に出せるようになったとマイケルは言います。
*到着と使用感
今回のアユートさんの日本版では、日本語マニュアルと日本語保証書がついてくるところが良いと思います。店頭販売と合わせて多くのユーザーは安心して買えることでしょう。
本体自体はかなりコンパクトに感じます。アルミ削りだしの本体はかなりがっしりとしたものです。また試作機とはちがって、プレーヤーに当たる部分はフェルトのようなクッションが貼ってあります。そのためさのままAKプレーヤーをケースなしで置くことができます。
まずAK100MK2を使用してみました。組み立てに使うヘクスレンチはパッケージに入っています。
実際に使ってみるとまずカッコ良いですね。普通のポータブルアンプみたいにケーブルで接続するのに比べて一体感が高く、コンパクトなこともあってハイレゾプレーヤーのように扱えます。電源は連動していませんが、充電が同時に行える二股のUSBケーブルが入ってきます。
AK120とA1
次にAK120を使ってみましたが、私のはRWAK120なので底面のRed Wineラベルでややあたってしまいますが、固定することはできます。
マイケルによればバッテリーは使い方にもよるが、11-12時間は持つということ。AK100の方が先に切れるということ。
*音質
はじめに書きますと音質はオリジナルの旧AK100/120とはまったく別物です。音質が向上したというレベルではありません。
まず普通の3.5mmで聴きましたが、音質は驚くほど高く夏のヘッドフォン祭の試作機より完成度が上がっています。試作機ではシャープなだけでしたが、製品版では豊かなオーディオらしい音が聴けます。本体は小さいけど音はビッグという感じで、小さいわりにスケール感があって3.5mmの時点で音の広がりが半端なくあります。
音はESSらしくすごく細かいのですが、ESS的な冷たさはなくむしろほのかな暖かみが感じられます。音像がシャープで、スピーカーでいう定位が定まった感じがあります。ウッドベースのピチカートは素早くキレが良く、低音域は強調されすぎずに適度な量感があります。
またまるで据え置きのホームアンプなみに感じられる音の余裕があり、厚みがあって豊かなオーディオらしい音です。全体の印象はHiFi M8なみというか、音の印象はM8に似ています。ただし細かいところで違いを感じます。
光入力だけにしてM8のUSBを配したことで全体がシンプルになり、M8に比べてケーブルレスになったという利点を感じます。
回路はシンプルで音の鮮度感は高く、鮮明でスピード感があります。音は速くキレが良いのでアグレッシブな曲ではかなり速いスピード感が楽しめます。
全体的な音質レベルはDAC内蔵ポータブルアンプの中でもトップクラスにあると思います。
A1とAKR03
特に注目してほしいのはバランス駆動での音質の高さです。3.5mmシングルエンドと2.5mmバランス駆動の音の差が第二世代AKよりも大きく、2.5mmバランスでのパワフルで濃密な音再現はA1の大きな魅力です。バランス駆動らしい音再現ですね。
同じLinum BaXで2.5mmバランスと3.5mmシングルエンドで比べてみると、2.5mmバランスにするとかなり骨太でパワフルになり、音の輪郭がよりはっきりとして明瞭感も上がります。イヤフォンの性能が上がった感じですね。音のキレがよくなり、背景のアーティストの唸り声のような小さい音がより分かりやすくなります。また音量レベルも上がります。
立体感・広がりとともにパワー感が大きく増すのが特徴です。バランスではクラシックのオーケストラのスケール感がひときわ高く感じられます。音場が広いだけではなく、力感があるので迫力を感じますね。
全体にはやはり力感・重厚感が増します。これは音量レベルを合わせてもそうだと思います。3.5mmと2.5mmの別物感があり、この差が大きいのが第二世代AKシリーズとの違いでしょう。
同じLinum Baxで2.5mmバランスから3.5mmシングルエンドに戻すと、音の豊かさが取れて少し淡白に感じられます。音量レベルも下がりますが、音量レベルを合わせても音の引き締まり方が緩めになり、結果としてインパクト感も後退します。
A1はユーザーの持つ良いバランスケーブルの良さを引き出します。そういう意味では2.5mmケーブル資産をもっているAK第二世代ユーザーにもお勧めしたいアンプです。
kobiconnバランス(Beat SuperNova)
Kobiconnバランスが使えるのもGloveAudioの良い点です。Kobiconnは角型4ピンやMiniXLRとも呼ばれます。もともとはRSAのProtectorで採用されたもので、アメリカ製のRSA,ALO,CEntranceなどで採用されています。Protectorのリンクはこちらです。2010年にすでにポータブルでのプラグのばらつきが懸念されていたわけですが。。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/143564141.html
同じバランスプラグでは2.5mmの方が取り外しは便利ではありますが、kobiconnの方がよりがっちり固定できます。
同じケーブルが用意できないので2.5mmとkobiconnの差は分かりませんが、いずれにせよkobiconnでもかなり良い音です。Beat SuperNova の良さが際立ちます。
AK100とAK120の音質の差は大きくないか変わらないので、小さいAK100のほうが便利に使えるように思います。
なお、一部にTOSで192kは旧AK120/100でダウンサンプルされて96kで送られるとありますが、これは正しくなくて、きちんとAK-A1間は192kで送られているはずです。(実際にFLOWでサンプルレート表示させても192kで来てます)
*まとめ
従来のAK100/AK120をもっている人がパワーアップのためにA1を買うのはもちろんお勧めですが、ケーブルなど2.5mm資産をもつ第二世代AKユーザーも眠っている旧AK100を生かしてA1を買う価値があるのではないかと思います。
kobiconnバランス(Beat SuperNova)
Kobiconnバランスが使えるのもGloveAudioの良い点です。Kobiconnは角型4ピンやMiniXLRとも呼ばれます。もともとはRSAのProtectorで採用されたもので、アメリカ製のRSA,ALO,CEntranceなどで採用されています。Protectorのリンクはこちらです。2010年にすでにポータブルでのプラグのばらつきが懸念されていたわけですが。。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/143564141.html
同じバランスプラグでは2.5mmの方が取り外しは便利ではありますが、kobiconnの方がよりがっちり固定できます。
同じケーブルが用意できないので2.5mmとkobiconnの差は分かりませんが、いずれにせよkobiconnでもかなり良い音です。Beat SuperNova の良さが際立ちます。
AK100とAK120の音質の差は大きくないか変わらないので、小さいAK100のほうが便利に使えるように思います。
なお、一部にTOSで192kは旧AK120/100でダウンサンプルされて96kで送られるとありますが、これは正しくなくて、きちんとAK-A1間は192kで送られているはずです。(実際にFLOWでサンプルレート表示させても192kで来てます)
*まとめ
一体型のGloveAudio A1はケーブルのないポータブルアンプという新たな世界を見せてくれ、合体メカというガジェット的な魅力もあります。
音質もCEntrance品質の高い技術力をベースに、さらに専用機という点を活かしたシンプル化でポータブルアンプとしてはトップレベルの高い音質を実現しています。
アルミ切削シャーシやフェルト張りの背面などを見ても完成度の高さを感じます。
従来のAK100/AK120をもっている人がパワーアップのためにA1を買うのはもちろんお勧めですが、ケーブルなど2.5mm資産をもつ第二世代AKユーザーも眠っている旧AK100を生かしてA1を買う価値があるのではないかと思います。
2014年11月25日
JVCのウッドシリーズイヤフォンの新フラッグシップ、FX1100登場
JVC(旧ビクター)のFX1100はウッドシリーズのイヤフォンの新しいフラッグシップで12月上旬に発売となります。5万円台後半という高価格帯のハイエンドイヤフォンです。
*FX1100の特徴
JVCは木を振動させて音楽再生するウッドコーンのスピーカーの要素技術を持っていましたが、イヤフォン市場にその技術を導入して2008年2月に初代であるHP-FX500を発売しました。その後ウッドドームユニットの大型化などの改良で技術を上位機種のFX700を2010年の2月に発売します。
その後4年ほどたって今年の2月に最新技術を投入した待望の新製品が3機種ラインナップします。これがHA-FX650/750/850です。
これは好評を持って迎えられましたが、その上位機種となるのがこの12月に発売予定のFX1100です。
1. ウッド振動板の利点
他のウッドシリーズと共通しますが、FX1100の特徴はまずウッド振動板をはじめウッド素材にこだわった設計です。ウッドイヤフォンシリーズではウッドをハウジングと振動板だけではなく、ウッドダンパー、ウッドディフューザー、振動板の背面ウッドプレートなどウッド素材で音の作り込みをしています。
木製ハウジングというのはヘッドフォンの世界ではオーディオテクニカやGRADOなどでつかわれてきました。木の独特の響きの乗った美しい音が特徴です。しかし振動板まで木製というのはありません。
前述のウッドハウジングのヘッドフォンのように木という素材は楽器のように美しく響くというイメージがありますが、このJVCのウッドシリーズで着眼されているのはむしろ振動板として木が優れた特性を持っているという点です。それは木は伝搬速度が高いので、スピード感がよく広がりのある音を再生することができ、さらには木は内部損失特性が高いので、付帯音がなくピュアな音になる、という従来の素材に比べた利点があるからです。もうひとつ木には紙や金属素材と違って木目があるため、正円形である振動板で均一素材にある共振がないという利点もあります。
(ただイヤフォンはスピーカーと違って木目方向を計算した音場設計ができないのでおのずと異なる点はあるそうです)
2. FX1100と従来製品の違い
従来のFX650/750/850とFX1100の違いは大きくは以下の通りです。
- 黒木目仕様の外装色
- 新しい6N OFC編組ケーブル(L型プラグ採用およびプラグのアルミエンドの採用)
- MMCXでリケーブルできること(FX850もMMCXを採用しているがケーブルのグレードはFX1100の方が高い)
- 入力プラグからドライバーユニットまでの信号伝送経路に音響ハンダを採用して音質を向上させたこと
- スパイラルドットイヤピースの別サイズ(ML/MS)がはいっていること
新旧のイヤフォンプラグの違い(L型がFX1100)
またこれらの他に、イヤホン本体の最適化チューニングも行われています。
JVCに聞いてみたところ、FX1100はFX850が完成した後で、この完成度の高い母体を活かして更に追求していけばもっと良い音になるはずというエンジニアの意見から密かに試作を重ねたということで、出来た試作機を企画や営業に聞かせたところ、これを世に出さないのは勿体無いということで急遽商品化を進めることとなったということです。
従来のトップモデルであるFX850とは振動板は同じですが最適化チューニングとして各種音響ダンパーの調整と追加を行っているそうです。なお追加された部品はパッケージ等に記載されてる分解図には載っていないそうです。
この最適化チューニングで得たかった事としてはウッドイヤホンの特徴である美しく自然な響きと広がりをもっと高次元で再現したかったということだそうです。響きの部分は音としてデリケートであり、あらが出易く再現が難しい。それを実現させるためによい母体(つまりイヤフォン本体)、高純度なケーブルと高品位なハンダを使用し、これら最高の素材を殺すことなく、よい部分だけを引き出す考えでチューニングした結果、より滑らかで、生々しい再生音を響かせることに成功したということです。
なおウッドシリーズはハイレゾ対応を掲げていますが、日本オーディオ協会の定義とロゴではなく、独自の基準で再生周波数帯域評価や聴感評価を含めた社内基準で実施しています。特に聴感評価におけるハイレゾソースの再現性に重点を置いているということです。
*使用感
FX1100は手に取るとミニチュアの工芸品のように精密感があり、高級感と質感の高さを感じられます。ちょっとずっしりとした質感が良いですね。比べてみるとFX850はある意味ウッド素材であることを主張していますが、FX1100は玄人好みで黒檀のように渋く仕上がっていると言えると思います。
反面でちょっと大きめで装着感はいまひとつのところもあります。分解図をみるとかなり複雑な設計になっているので、小型化するのはむずかしいかもしれませんが、もう少し先端部分に工夫があると良いようにも思えます。装着感はイヤピースでも変わりますので、FX1100になって新たにイヤピースにMS/MLのサイズが追加されたのはFX850からの実質的な装着性の改良とは言えるでしょう。
*音質
1. ハイレゾプレーヤーとFX1100の組み合わせ
まず音の個性を確かめるために慣れているAK240を使ってFX1100を聴いてみました。イヤピースはスパイラルドットのMLで、ケーブルは標準の6Nケーブルです。イヤピースはフォーム(低反発)の方がベースは出ますが、スパイラルドットの方がこのイヤフォンらしい音だと思います。
ちなみにスパイラルドットイヤピースとはJVC独自のイヤピースで、イヤーピースの内壁にディンプルを設けて音質劣化の原因となるイヤーピース内の反射音を拡散させ、音のにごりを制御するということです。その結果としてクリアで自然な音が再現できるようになったとのこと。
まず感じるのは音の広がりの豊かさで、見通しが良くクリアでよく広がる感じです。これはイヤフォンではかなり上位にランクすると思います。
次に感じるのは音色がピュアで濁りがなくきれいな点です。ワイドレンジで高域の伸びも鮮烈で、低域もかなり低いところまで出ていて低い方の量感がしっかりある感じです。低域はかなりたっぷりあって後述するようにFX850よりもあるけれども、全体的にベースヘビーという感じではなく、いわゆるドンシャリ感は少ないと思います。音の高域での伸びてゆく感じ、ベースがよどんで重いのではなくクリーンでしっかりしているのが良い感じです。反面で他のウッドヘッドフォンにあるような木の響き(レゾナンス)というのはあまりなくて、むしろすっきりとしてニュートラルで無着色だと思います。
アタックは適度にあって柔らかすぎるということはなく、パーカッションの打撃を聞くと音のスピードが速くてトランジェントが高い感じが分かります。音の立ち上がりと立ち下りが急峻という感じですね。それが自然でかつ音色がきれいな楽器音の再現につながっています。
ヴォーカルは聴きやすく、女性ヴォーカルに透明感のある瑞々しさがあります。
弦楽四重奏が美しく、弦の重なりと情報量の多さが印象的で音の消え入る余韻まで聞こえます。この辺は試聴しててもしばし聴き惚れてしまいました。
このへんの音のピュアで純度の高い美しさというのはなかなか他のイヤフォンではない、さきの木の振動板の利点をもったウッドイヤフォンならではの魅力ではないかと思います。
また聴いてみてFX1100と相性が良かったのはSONY Walkman ZX1です。
FX1100の透明で鮮明な楽器音、きれいに音が整ったまま伸びていくところはデジタルアンプのZX1はうまく再現しています。
またFX1100の良いところはチタンなど金属振動板にありがちな硬さがないので、高音域もきつくなりすぎずにZX1の良さも引き出しているように思います。細かい音の粒立ちが鮮明に分かるので、解像力の高さも良くわかります。ベースはたっぷりあって音楽のよい下支えとなり、FX1100の広い音再現がZX1の空間再現力をうまく後押ししてスケール感を演出しているようで、良い組み合わせだと思います。
2. ポータブルヘッドフォンアンプとFX1100の組み合わせ
今回はFX1100やFX850といっしょにJVCのポタアンであるSU-AX7も貸し出してもらいました。SU-AX7はJVC得意のK2技術を採用したDAC内蔵ポータブルアンプで、iPhoneとのデジタル接続を意識しています。また音質追求を考えたフローティングシャーシや光デジタル入力も可能である汎用性なども特徴的です。
いきなりFX1100とSU-AX7で聞くとどっちの音支配か分からなくなるので、慣れてるWestone W60ではじめにSU-AX7の音を確かめてみました。iPhoneをソースとしてUSB Aを使用したいわゆるiDeviceデジタル方式で接続し、ケーブルはVentureCraftのオーディオ用USBケーブルを使用しています。
音の印象としてはSU-AX7は帯域再現がフラットでかつワイドレンジ、透明感があって音が速いという印象です。どちらかというと玄人好みの音作りだと思います。これはイヤフォンとも共通していると気がついたのですが、JVCらしさ、JVCの音というのはワイドレンジで透明感があって音が歪み感少なくピュアなところではないかと思います。
実際にSU-AX7とFX1100の相乗効果は高く、ひときわ澄んで気持ちよく上も下も伸びるワイドレンジの音空間が広がります。どちらかの音支配というよりは伸ばし合うタイプです。オーケストラものではかなりスケール感を感じられますね。SU-AX7の帯域バランスは良いと思うけれども、人によってはもう少しベースが欲しいと思うかもしれません。そういう意味ではベースを少し足したFX1100はより適合するでしょう。
この組み合わせはかなりオススメ出来ると思います。同じメーカーの同じ思想がうまく噛み合ったという好例と言えるのではないでしょうか。
FX1100ではL字プラグのケーブルになったのでハイレゾプレーヤーやiPhoneではよいんですが、ポータブルアンプだとややボリュームなどの干渉に気を使います。ただしSU-AX7との組み合わせでは特に問題とはなりません。
3. iPhone単体とFX1100の組み合わせ
FX1100は能率は問題なく音は鳴らしやすいほうですので、iPhone単体で聴いても良い音で楽しめます。ただしハイレゾプレーヤーやポータブルアンプで聴いた後だとかなり物足りなく感じられます。特にFX1100の良いところであるピュアでどこまでも伸びていく気持ちよさがなくなり、生楽器再現の音の立ち上がりでかなり甘さを感じます。
言い換えるとFX1100はハイレゾプレーヤーやポータブルアンプで聴いたときの伸びしろが大きいということも言えますね。やはり高性能のポータブル機材をもっているマニア層に聴いてほしいイヤフォンだと思います。
今回はFX1100の他にFX850とFX750も借りました。聴いてみるとFX850は定評のある良い音として、FX750が意外と健闘しているように思いました。iPhone主体で聴くカジュアルユーザーには実売価格を考慮するとFX750がコストパフォーマンスの高い選択ではないかと思います。
4. FX1100とFX850との比較試聴
おそらく多くの人が興味を持つところはFX850との音の違いではないかと思います。そこでAK240を使用してFX1100とFX850の比較試聴をしてみました。ちなみに曲はジャズヴォーカルのTiffanyのBut not for meを使用しています。またイヤピースもたっぷり借りたのでイヤピースはFX1100とFX850とも同じスパイラルドットのMLを使っています。はじめはFX1100、FX850ともそれぞれの標準ケーブルです。(それぞれエージングは十分されていると聴いています)
FX1100(左)とFX850(右)
はじめにFX1100で曲をしばらく聴いてからFX850に変えると、音が全体に味が薄くなったように感じられます。なにか失ったようで、厚みがなくなり音が粗くなると言っても良いです。全体の音の印象はほぼ同じでキャラクター的には似ていますが、FX850はベースが軽めに感じられます。
ふたたびFX1100に戻すと、ベースがグッと重みが出て迫力が増し、さらに全体の密度感が向上して芯がしっかりとするのが分かります。おそらく差はひとレベル違うのはわかると思います。
では、この差はケーブルだけのものかと言われるかもしれないので、今度はイヤフォン部分のみの違いを聴くために、FX1100の6NケーブルをFX850につけてみました。同様に聴き比べてみると、差は確かに縮まりますが同じにはなりません。ベースの量感は近くなりますのでこれはケーブル影響に思われますが、軽さと粗さの差は縮まりますがまだあります。やはり音響ハンダやさらなるチューニングによって音の荒さが取れて高級感が一段上がってるようには思いますね。
たとえばハイレゾ音源を楽しむというのは細部にこだわるということですから、より高音質の音源を聴いてみようというハイエンドユーザーにはこうした細かい差が意味を持ってくると言えるでしょう。
5. FX1100のリケーブルについて
FX850から引き継いでFX1100でもMMCXでのケーブル交換が可能です。
ただFX1100の6Nケーブルはなかなか優れていると思いますので、音質を上げるという意味ではケーブル交換の必要性は少ないかもしれません。FX1100のキャラクターによく合っているようにケーブルが作られていますし音もよいので、これ以上を求めるとちょっと高くつくでしょう。FX850を買ってはじめからリケーブルしようと思ってたハイエンドユーザーにはお得なモデルがFX1100となるでしょう。
一方でケーブルは好みの部分もあるので、銀線に変えて音色の違いを楽しむというのはありだと思います。
*まとめ
FX1100は高級感を感じさせる工芸品のような質感高い作りの良さがまず魅力的です。少し大きめで装着感に難もありますが、音質はかなり良いイヤフォンです。
木を使ったというと古くはGRADO、または最近のEdition5やKuradaのように木の響きを特徴とするものを想像してしまいますが、FX1100では木を振動板に使うことで得られる内部損失の高さという点に着目してピュアで混じりけのない音を再現することに成功しています。ウッドシリーズは変わり種として見られることもありますが、木の響きによる変わった音色が特徴と言うのではなく、ウッドの採用でストレートな音の良さを可能にしたということがポイントだと思います。
ですからウッド振動板でハイエンドを狙ったイヤフォンを設計するのは理にかなってると言えます。
そうしたウッドイヤフォンの長所を踏まえると本来ウッドイヤフォンはハイエンドユーザーにもアピールできる音質のポテンシャルをもっていたと言えるでしょう。そこでFX1100は評判の良かったFX850からも音質的にさらに向上していて、音響ハンダの採用もピュアな音再現の追求という点でその思想を突き詰めていると思います。そこがこだわりの要素なのでしょう。
またSU-AX7も使ってみて、アンプとイヤフォンの違いがあってもブランドとしての音の作りが一貫しているのも感じられました。JVCならではの音、というのをイヤフォンの市場でも追求する姿勢もよいですね。
FX1100とFX850の違いはケーブルだけではないと思います。天然シルクと合成繊維のようなもので、ひとクラス上の音を求めるハイエンドユーザーにアピールするポイントだと思います。ウッドイヤフォンの音が好きで、その音を突き詰めたいユーザーにはFX1100はお勧めだと思います。
いわば好評のFX850をベースにして、FX850以上を欲する人のためにオフィシャルで最適なリケーブルをしてさらに音響ハンダやチューニングを詰めてチューンナップしたスペシャルモデルがFX1100ということも言えるかもしれません。他モデルとは違う黒のボディは一味違うスペシャルモデルであることを示しているように思います。
*FX1100の特徴
JVCは木を振動させて音楽再生するウッドコーンのスピーカーの要素技術を持っていましたが、イヤフォン市場にその技術を導入して2008年2月に初代であるHP-FX500を発売しました。その後ウッドドームユニットの大型化などの改良で技術を上位機種のFX700を2010年の2月に発売します。
その後4年ほどたって今年の2月に最新技術を投入した待望の新製品が3機種ラインナップします。これがHA-FX650/750/850です。
これは好評を持って迎えられましたが、その上位機種となるのがこの12月に発売予定のFX1100です。
1. ウッド振動板の利点
他のウッドシリーズと共通しますが、FX1100の特徴はまずウッド振動板をはじめウッド素材にこだわった設計です。ウッドイヤフォンシリーズではウッドをハウジングと振動板だけではなく、ウッドダンパー、ウッドディフューザー、振動板の背面ウッドプレートなどウッド素材で音の作り込みをしています。
木製ハウジングというのはヘッドフォンの世界ではオーディオテクニカやGRADOなどでつかわれてきました。木の独特の響きの乗った美しい音が特徴です。しかし振動板まで木製というのはありません。
前述のウッドハウジングのヘッドフォンのように木という素材は楽器のように美しく響くというイメージがありますが、このJVCのウッドシリーズで着眼されているのはむしろ振動板として木が優れた特性を持っているという点です。それは木は伝搬速度が高いので、スピード感がよく広がりのある音を再生することができ、さらには木は内部損失特性が高いので、付帯音がなくピュアな音になる、という従来の素材に比べた利点があるからです。もうひとつ木には紙や金属素材と違って木目があるため、正円形である振動板で均一素材にある共振がないという利点もあります。
(ただイヤフォンはスピーカーと違って木目方向を計算した音場設計ができないのでおのずと異なる点はあるそうです)
2. FX1100と従来製品の違い
従来のFX650/750/850とFX1100の違いは大きくは以下の通りです。
- 黒木目仕様の外装色
- 新しい6N OFC編組ケーブル(L型プラグ採用およびプラグのアルミエンドの採用)
- MMCXでリケーブルできること(FX850もMMCXを採用しているがケーブルのグレードはFX1100の方が高い)
- 入力プラグからドライバーユニットまでの信号伝送経路に音響ハンダを採用して音質を向上させたこと
- スパイラルドットイヤピースの別サイズ(ML/MS)がはいっていること
新旧のイヤフォンプラグの違い(L型がFX1100)
またこれらの他に、イヤホン本体の最適化チューニングも行われています。
JVCに聞いてみたところ、FX1100はFX850が完成した後で、この完成度の高い母体を活かして更に追求していけばもっと良い音になるはずというエンジニアの意見から密かに試作を重ねたということで、出来た試作機を企画や営業に聞かせたところ、これを世に出さないのは勿体無いということで急遽商品化を進めることとなったということです。
従来のトップモデルであるFX850とは振動板は同じですが最適化チューニングとして各種音響ダンパーの調整と追加を行っているそうです。なお追加された部品はパッケージ等に記載されてる分解図には載っていないそうです。
この最適化チューニングで得たかった事としてはウッドイヤホンの特徴である美しく自然な響きと広がりをもっと高次元で再現したかったということだそうです。響きの部分は音としてデリケートであり、あらが出易く再現が難しい。それを実現させるためによい母体(つまりイヤフォン本体)、高純度なケーブルと高品位なハンダを使用し、これら最高の素材を殺すことなく、よい部分だけを引き出す考えでチューニングした結果、より滑らかで、生々しい再生音を響かせることに成功したということです。
なおウッドシリーズはハイレゾ対応を掲げていますが、日本オーディオ協会の定義とロゴではなく、独自の基準で再生周波数帯域評価や聴感評価を含めた社内基準で実施しています。特に聴感評価におけるハイレゾソースの再現性に重点を置いているということです。
*使用感
FX1100は手に取るとミニチュアの工芸品のように精密感があり、高級感と質感の高さを感じられます。ちょっとずっしりとした質感が良いですね。比べてみるとFX850はある意味ウッド素材であることを主張していますが、FX1100は玄人好みで黒檀のように渋く仕上がっていると言えると思います。
反面でちょっと大きめで装着感はいまひとつのところもあります。分解図をみるとかなり複雑な設計になっているので、小型化するのはむずかしいかもしれませんが、もう少し先端部分に工夫があると良いようにも思えます。装着感はイヤピースでも変わりますので、FX1100になって新たにイヤピースにMS/MLのサイズが追加されたのはFX850からの実質的な装着性の改良とは言えるでしょう。
*音質
1. ハイレゾプレーヤーとFX1100の組み合わせ
まず音の個性を確かめるために慣れているAK240を使ってFX1100を聴いてみました。イヤピースはスパイラルドットのMLで、ケーブルは標準の6Nケーブルです。イヤピースはフォーム(低反発)の方がベースは出ますが、スパイラルドットの方がこのイヤフォンらしい音だと思います。
ちなみにスパイラルドットイヤピースとはJVC独自のイヤピースで、イヤーピースの内壁にディンプルを設けて音質劣化の原因となるイヤーピース内の反射音を拡散させ、音のにごりを制御するということです。その結果としてクリアで自然な音が再現できるようになったとのこと。
まず感じるのは音の広がりの豊かさで、見通しが良くクリアでよく広がる感じです。これはイヤフォンではかなり上位にランクすると思います。
次に感じるのは音色がピュアで濁りがなくきれいな点です。ワイドレンジで高域の伸びも鮮烈で、低域もかなり低いところまで出ていて低い方の量感がしっかりある感じです。低域はかなりたっぷりあって後述するようにFX850よりもあるけれども、全体的にベースヘビーという感じではなく、いわゆるドンシャリ感は少ないと思います。音の高域での伸びてゆく感じ、ベースがよどんで重いのではなくクリーンでしっかりしているのが良い感じです。反面で他のウッドヘッドフォンにあるような木の響き(レゾナンス)というのはあまりなくて、むしろすっきりとしてニュートラルで無着色だと思います。
アタックは適度にあって柔らかすぎるということはなく、パーカッションの打撃を聞くと音のスピードが速くてトランジェントが高い感じが分かります。音の立ち上がりと立ち下りが急峻という感じですね。それが自然でかつ音色がきれいな楽器音の再現につながっています。
ヴォーカルは聴きやすく、女性ヴォーカルに透明感のある瑞々しさがあります。
弦楽四重奏が美しく、弦の重なりと情報量の多さが印象的で音の消え入る余韻まで聞こえます。この辺は試聴しててもしばし聴き惚れてしまいました。
このへんの音のピュアで純度の高い美しさというのはなかなか他のイヤフォンではない、さきの木の振動板の利点をもったウッドイヤフォンならではの魅力ではないかと思います。
また聴いてみてFX1100と相性が良かったのはSONY Walkman ZX1です。
FX1100の透明で鮮明な楽器音、きれいに音が整ったまま伸びていくところはデジタルアンプのZX1はうまく再現しています。
またFX1100の良いところはチタンなど金属振動板にありがちな硬さがないので、高音域もきつくなりすぎずにZX1の良さも引き出しているように思います。細かい音の粒立ちが鮮明に分かるので、解像力の高さも良くわかります。ベースはたっぷりあって音楽のよい下支えとなり、FX1100の広い音再現がZX1の空間再現力をうまく後押ししてスケール感を演出しているようで、良い組み合わせだと思います。
2. ポータブルヘッドフォンアンプとFX1100の組み合わせ
今回はFX1100やFX850といっしょにJVCのポタアンであるSU-AX7も貸し出してもらいました。SU-AX7はJVC得意のK2技術を採用したDAC内蔵ポータブルアンプで、iPhoneとのデジタル接続を意識しています。また音質追求を考えたフローティングシャーシや光デジタル入力も可能である汎用性なども特徴的です。
いきなりFX1100とSU-AX7で聞くとどっちの音支配か分からなくなるので、慣れてるWestone W60ではじめにSU-AX7の音を確かめてみました。iPhoneをソースとしてUSB Aを使用したいわゆるiDeviceデジタル方式で接続し、ケーブルはVentureCraftのオーディオ用USBケーブルを使用しています。
音の印象としてはSU-AX7は帯域再現がフラットでかつワイドレンジ、透明感があって音が速いという印象です。どちらかというと玄人好みの音作りだと思います。これはイヤフォンとも共通していると気がついたのですが、JVCらしさ、JVCの音というのはワイドレンジで透明感があって音が歪み感少なくピュアなところではないかと思います。
実際にSU-AX7とFX1100の相乗効果は高く、ひときわ澄んで気持ちよく上も下も伸びるワイドレンジの音空間が広がります。どちらかの音支配というよりは伸ばし合うタイプです。オーケストラものではかなりスケール感を感じられますね。SU-AX7の帯域バランスは良いと思うけれども、人によってはもう少しベースが欲しいと思うかもしれません。そういう意味ではベースを少し足したFX1100はより適合するでしょう。
この組み合わせはかなりオススメ出来ると思います。同じメーカーの同じ思想がうまく噛み合ったという好例と言えるのではないでしょうか。
FX1100ではL字プラグのケーブルになったのでハイレゾプレーヤーやiPhoneではよいんですが、ポータブルアンプだとややボリュームなどの干渉に気を使います。ただしSU-AX7との組み合わせでは特に問題とはなりません。
3. iPhone単体とFX1100の組み合わせ
FX1100は能率は問題なく音は鳴らしやすいほうですので、iPhone単体で聴いても良い音で楽しめます。ただしハイレゾプレーヤーやポータブルアンプで聴いた後だとかなり物足りなく感じられます。特にFX1100の良いところであるピュアでどこまでも伸びていく気持ちよさがなくなり、生楽器再現の音の立ち上がりでかなり甘さを感じます。
言い換えるとFX1100はハイレゾプレーヤーやポータブルアンプで聴いたときの伸びしろが大きいということも言えますね。やはり高性能のポータブル機材をもっているマニア層に聴いてほしいイヤフォンだと思います。
今回はFX1100の他にFX850とFX750も借りました。聴いてみるとFX850は定評のある良い音として、FX750が意外と健闘しているように思いました。iPhone主体で聴くカジュアルユーザーには実売価格を考慮するとFX750がコストパフォーマンスの高い選択ではないかと思います。
4. FX1100とFX850との比較試聴
おそらく多くの人が興味を持つところはFX850との音の違いではないかと思います。そこでAK240を使用してFX1100とFX850の比較試聴をしてみました。ちなみに曲はジャズヴォーカルのTiffanyのBut not for meを使用しています。またイヤピースもたっぷり借りたのでイヤピースはFX1100とFX850とも同じスパイラルドットのMLを使っています。はじめはFX1100、FX850ともそれぞれの標準ケーブルです。(それぞれエージングは十分されていると聴いています)
FX1100(左)とFX850(右)
はじめにFX1100で曲をしばらく聴いてからFX850に変えると、音が全体に味が薄くなったように感じられます。なにか失ったようで、厚みがなくなり音が粗くなると言っても良いです。全体の音の印象はほぼ同じでキャラクター的には似ていますが、FX850はベースが軽めに感じられます。
ふたたびFX1100に戻すと、ベースがグッと重みが出て迫力が増し、さらに全体の密度感が向上して芯がしっかりとするのが分かります。おそらく差はひとレベル違うのはわかると思います。
では、この差はケーブルだけのものかと言われるかもしれないので、今度はイヤフォン部分のみの違いを聴くために、FX1100の6NケーブルをFX850につけてみました。同様に聴き比べてみると、差は確かに縮まりますが同じにはなりません。ベースの量感は近くなりますのでこれはケーブル影響に思われますが、軽さと粗さの差は縮まりますがまだあります。やはり音響ハンダやさらなるチューニングによって音の荒さが取れて高級感が一段上がってるようには思いますね。
たとえばハイレゾ音源を楽しむというのは細部にこだわるということですから、より高音質の音源を聴いてみようというハイエンドユーザーにはこうした細かい差が意味を持ってくると言えるでしょう。
5. FX1100のリケーブルについて
FX850から引き継いでFX1100でもMMCXでのケーブル交換が可能です。
ただFX1100の6Nケーブルはなかなか優れていると思いますので、音質を上げるという意味ではケーブル交換の必要性は少ないかもしれません。FX1100のキャラクターによく合っているようにケーブルが作られていますし音もよいので、これ以上を求めるとちょっと高くつくでしょう。FX850を買ってはじめからリケーブルしようと思ってたハイエンドユーザーにはお得なモデルがFX1100となるでしょう。
一方でケーブルは好みの部分もあるので、銀線に変えて音色の違いを楽しむというのはありだと思います。
*まとめ
FX1100は高級感を感じさせる工芸品のような質感高い作りの良さがまず魅力的です。少し大きめで装着感に難もありますが、音質はかなり良いイヤフォンです。
木を使ったというと古くはGRADO、または最近のEdition5やKuradaのように木の響きを特徴とするものを想像してしまいますが、FX1100では木を振動板に使うことで得られる内部損失の高さという点に着目してピュアで混じりけのない音を再現することに成功しています。ウッドシリーズは変わり種として見られることもありますが、木の響きによる変わった音色が特徴と言うのではなく、ウッドの採用でストレートな音の良さを可能にしたということがポイントだと思います。
ですからウッド振動板でハイエンドを狙ったイヤフォンを設計するのは理にかなってると言えます。
そうしたウッドイヤフォンの長所を踏まえると本来ウッドイヤフォンはハイエンドユーザーにもアピールできる音質のポテンシャルをもっていたと言えるでしょう。そこでFX1100は評判の良かったFX850からも音質的にさらに向上していて、音響ハンダの採用もピュアな音再現の追求という点でその思想を突き詰めていると思います。そこがこだわりの要素なのでしょう。
またSU-AX7も使ってみて、アンプとイヤフォンの違いがあってもブランドとしての音の作りが一貫しているのも感じられました。JVCならではの音、というのをイヤフォンの市場でも追求する姿勢もよいですね。
FX1100とFX850の違いはケーブルだけではないと思います。天然シルクと合成繊維のようなもので、ひとクラス上の音を求めるハイエンドユーザーにアピールするポイントだと思います。ウッドイヤフォンの音が好きで、その音を突き詰めたいユーザーにはFX1100はお勧めだと思います。
いわば好評のFX850をベースにして、FX850以上を欲する人のためにオフィシャルで最適なリケーブルをしてさらに音響ハンダやチューニングを詰めてチューンナップしたスペシャルモデルがFX1100ということも言えるかもしれません。他モデルとは違う黒のボディは一味違うスペシャルモデルであることを示しているように思います。
2014年11月23日
ユニークで機能的なUSB DAC、Aurender FLOW
先日のヘッドフォン祭でユニークな製品がエミライのAurenderブースで展示されました。
美しいデザインのUSB DACであるAurender FLOWです。しかしFLOWは選曲キーを装備していて、SSDを内蔵しているなど他にない特徴を備えています。しかしはじめはユニークでよくわからない製品に感じられると思いますが、実際はとても実用的な観点から設計されています。
その辺を実際の使用から書いていきたいと思います。
今回評価したのはデモ機で製品版ではないことを記述しておきます。音質は違いはないと言われています。
*AurenderとFLOWの開発について
Aurenderは韓国TVLogic社のオーディオブランドで、日本ではネットワーク・トランスポートを中心に展開されています。USB DAC内蔵ヘッドフォンアンプという形態のFLOWは異質なように思えますが、その開発のきっかけをAurenderブランドの総指揮官であるHarry Leeさんに聞いてみました。HarryさんはHi-Fiマーケットからヘッドフォンマーケットに参入するにあたり、市場にないようなユニークな製品で参入したいと考えていたそうです。Harryさんもオーディオマニアであり、家ではHD800を使用しているそうですが、市販のUSB DACを実際に使って試してみるとノートブックPCでの使いにくさに気がついたと言います。そこで自分が使いたいような実用性をもった製品を開発しようと思ったのがFLOW開発のきっかけだそうです。たとえばそれは操作性や音源の容量、電源の持ちなどです。
もともとはMacbook Airを使用していたのでスリムノートブックに合う製品ということをターゲットにしていましたが、計画をすすめていくうちにいまではスマートフォンがハイレゾ音源を扱えることや、カスタムイヤフォンの再現性の高さなどを考えて、スマートフォンとポータブルでの使用も視野に入れて実際の開発をしたということです。
*FLOWの特徴
FLOWは少し前まではWAVEと呼ばれていましたので、ネットで検索したい人はAurender WAVEのキーワードも合わせて検索するとよいでしょう。形式名はAurender V-1000です。
FLOWは基本的にはUSB DACを内蔵したヘッドフォンアンプです。
入力はデジタルのみで、USBと光入力が用意されています。USBは3.0ですが、マイクロ3.0端子ですので、従来のUSB2.0で使うMicroB端子のケーブルと互換性があります(アダプタなしでそのまま使えます)。
光入力は角(TOS)端子です。USBと光の入力切り替えは自動で行われます。
出力は標準ヘッドフォン端子一つのシンプルなものです。アナログ出力のRCA端子はありません。
DACとしてはESSのES9018K2Mを採用していますが、特にこのDACチップから最高の能力を引き出すことに注力を注いで何回も試作検討を重ねながら開発していったということです。FLOWではメニューからESSの内蔵デジタルフィルターを切り替えることが可能です。
他にICとしてはOPA1611とLME49600を使用しています。49600はかなり強力なバッファアンプですね。
USB DACとしてはFLOWはUSBオーディオクラス2.0に対応しているため、Mac(10.6.4移行)ではドライバーレスで使用ができ、Windowsではドライバーのインストールが必要です。
そしてFLOWは以下にあげるような他のUSB DACにはないようなユニークな特徴が際立っています。
1.mSATA SSD内蔵可能
FLOWはSSDを内蔵することでPCから外付けのストレージとして使うことができます。FLOW自体にプレーヤーソフトが入っていてFLOWが直接SSDを読むわけではありません。あくまでSSD(FLOW)->PC->DAC(FLOW)というデータの流れとなります。
この理由はUSBポートが少なく、内蔵ストレージも限られているMacbook Airなど薄型ノートPCの場合は音源を別途格納したUSBメモリなどをUSB DACと併用することで、USBポート不足に陥ることを防ぐためにあります。
PCからは外部ドライブとして認識されます。
底面をあけると中の基盤にmSATAスロットがあり、そこにはめ込む形でSSDを設置します。mSATAのSSDのみ使用できますので注意ください。mSATAはSATA形式の一種でケーブルではなくコネクタを使って薄型ノートPCなどに内蔵させるタイプのSSDです。私はSamsung製の512GB SSDを使用しました。
設置の方法に関しては後で別項で説明します。mSATA SSDはUSB3.0と組み合わせてかなり高速なアクセスが可能です。
2.バッテリー駆動
FLOWはDACとアンプのオーディオ回路はバッテリーで動作します。一方でUSBコントローラー回路はバスパワーで動作します。このためクリーンなバッテリー駆動のDACとして使えると同時に、バスパワーをあまり消費しないので、ノートPCにパスパワーのUSB DACをつないでしまいあっという間にノートPCの電池がきれるということを防ぐことができます。
またセルフパワーとして外部ホストからは認識されますのでiPhoneなどでの消費電力制限にもかかりません。
バッテリーチャージのオンオフはメニューからCHG項目を変えることで行います。また自動での設定(CHGA)も可能です。
美しいデザインのUSB DACであるAurender FLOWです。しかしFLOWは選曲キーを装備していて、SSDを内蔵しているなど他にない特徴を備えています。しかしはじめはユニークでよくわからない製品に感じられると思いますが、実際はとても実用的な観点から設計されています。
その辺を実際の使用から書いていきたいと思います。
今回評価したのはデモ機で製品版ではないことを記述しておきます。音質は違いはないと言われています。
*AurenderとFLOWの開発について
Aurenderは韓国TVLogic社のオーディオブランドで、日本ではネットワーク・トランスポートを中心に展開されています。USB DAC内蔵ヘッドフォンアンプという形態のFLOWは異質なように思えますが、その開発のきっかけをAurenderブランドの総指揮官であるHarry Leeさんに聞いてみました。HarryさんはHi-Fiマーケットからヘッドフォンマーケットに参入するにあたり、市場にないようなユニークな製品で参入したいと考えていたそうです。Harryさんもオーディオマニアであり、家ではHD800を使用しているそうですが、市販のUSB DACを実際に使って試してみるとノートブックPCでの使いにくさに気がついたと言います。そこで自分が使いたいような実用性をもった製品を開発しようと思ったのがFLOW開発のきっかけだそうです。たとえばそれは操作性や音源の容量、電源の持ちなどです。
もともとはMacbook Airを使用していたのでスリムノートブックに合う製品ということをターゲットにしていましたが、計画をすすめていくうちにいまではスマートフォンがハイレゾ音源を扱えることや、カスタムイヤフォンの再現性の高さなどを考えて、スマートフォンとポータブルでの使用も視野に入れて実際の開発をしたということです。
*FLOWの特徴
FLOWは少し前まではWAVEと呼ばれていましたので、ネットで検索したい人はAurender WAVEのキーワードも合わせて検索するとよいでしょう。形式名はAurender V-1000です。
FLOWは基本的にはUSB DACを内蔵したヘッドフォンアンプです。
入力はデジタルのみで、USBと光入力が用意されています。USBは3.0ですが、マイクロ3.0端子ですので、従来のUSB2.0で使うMicroB端子のケーブルと互換性があります(アダプタなしでそのまま使えます)。
光入力は角(TOS)端子です。USBと光の入力切り替えは自動で行われます。
出力は標準ヘッドフォン端子一つのシンプルなものです。アナログ出力のRCA端子はありません。
DACとしてはESSのES9018K2Mを採用していますが、特にこのDACチップから最高の能力を引き出すことに注力を注いで何回も試作検討を重ねながら開発していったということです。FLOWではメニューからESSの内蔵デジタルフィルターを切り替えることが可能です。
他にICとしてはOPA1611とLME49600を使用しています。49600はかなり強力なバッファアンプですね。
USB DACとしてはFLOWはUSBオーディオクラス2.0に対応しているため、Mac(10.6.4移行)ではドライバーレスで使用ができ、Windowsではドライバーのインストールが必要です。
そしてFLOWは以下にあげるような他のUSB DACにはないようなユニークな特徴が際立っています。
1.mSATA SSD内蔵可能
FLOWはSSDを内蔵することでPCから外付けのストレージとして使うことができます。FLOW自体にプレーヤーソフトが入っていてFLOWが直接SSDを読むわけではありません。あくまでSSD(FLOW)->PC->DAC(FLOW)というデータの流れとなります。
この理由はUSBポートが少なく、内蔵ストレージも限られているMacbook Airなど薄型ノートPCの場合は音源を別途格納したUSBメモリなどをUSB DACと併用することで、USBポート不足に陥ることを防ぐためにあります。
PCからは外部ドライブとして認識されます。
底面をあけると中の基盤にmSATAスロットがあり、そこにはめ込む形でSSDを設置します。mSATAのSSDのみ使用できますので注意ください。mSATAはSATA形式の一種でケーブルではなくコネクタを使って薄型ノートPCなどに内蔵させるタイプのSSDです。私はSamsung製の512GB SSDを使用しました。
設置の方法に関しては後で別項で説明します。mSATA SSDはUSB3.0と組み合わせてかなり高速なアクセスが可能です。
2.バッテリー駆動
FLOWはDACとアンプのオーディオ回路はバッテリーで動作します。一方でUSBコントローラー回路はバスパワーで動作します。このためクリーンなバッテリー駆動のDACとして使えると同時に、バスパワーをあまり消費しないので、ノートPCにパスパワーのUSB DACをつないでしまいあっという間にノートPCの電池がきれるということを防ぐことができます。
またセルフパワーとして外部ホストからは認識されますのでiPhoneなどでの消費電力制限にもかかりません。
バッテリーチャージのオンオフはメニューからCHG項目を変えることで行います。また自動での設定(CHGA)も可能です。
バッテリー持続時間は公称7時間ということです。
3.ボリュームと操作ボタン
FLOWのデザイン的なポイントにもなっているのが大きなボリュームです。またFLOWの側面にはメニュー、電源ボタンのほかに、選曲のための操作キーが装備されています。選曲キーはFWD(曲スキップ)、Play/Pause(再生/ポーズ)、RWD(巻き戻し)です。
ボリュームリングの内側はディスプレイとなっていて、FLOWの動作状態や入力の周波数が表示されます。ただし曲名表示などはできません。
いままではボリュームがUSB DACについていても小さなアップダウンボタンであるとか、箱型筐体の前面の小さなボリュームノブであるということが多いのですが、FLOWは広い上面に大きくボリュームが設置されているためノートPCのそばに置いたときにマウスなどのように手を添えて使いやすい配置となっています。また大きなリングと"velocity sensitive operation(速度感知式)"と呼ばれる回す速さでステップが異なる方式を採用したことで、ボリューム操作が素早く精密に可能なものになっています。ゆっくり回すと0.5dB単位の細かい調整が可能です。ボリュームはDACのデジタルボリュームを使用しているようで、音楽再生ソフトとは独立しています。ボリュームはプレーヤーが停止すると低レベルの位置にリセットされます(安全のため)。
これと側面の選曲キーを組み合わせることによって、FLOWをiTunesのコントロールパッドのようにつかえるため、基本的な操作は画面を見なくても可能になっています。つまりは曲を変えるのにいちいち裏画面になっているプレーヤーソフトをフォアグランドに持ってくる必要がありません。
操作ボタンを押した信号はUSB HIDクラスという規格でPCに送られます。これはUSBキーボードやUSBマウスと同じです。つまりはMacならキーボード上に再生やスキップボタンがありますが、あれを押したと同じというわけです。音楽再生ソフトもiTunesなどのようにHIDクラスに対応している必要があります。
つまりFLOWはUSB機器として見ると、SSD(マスストレージクラス)、DAC(オーディオクラス)、操作ボタン(HIDクラス)という3つのUSB標準規格でPCと通信をしているということになります。それを電源内蔵のパワードUSBバスでひとつにまとめているのがFLOWであるということも言えます。この辺りからFLOWの設計意図が見えてくるのではないかと思います。
3.USB 3.0の採用
FLOWのもうひとつの特徴はUSB接続に普通使用されるUSB2.0ではなく、USB3.0を採用しているということです。このためFLOWのUSB端子はマイクロUSB3.0となっていますので注意ください。ただしこれはUSB2.0のマイクロBと互換性があります(アダプタなしで接続できます)。
FLOWはいままで書いてきたようにUSB外部機器を集約したような機材なので、高速のUSB3.0が必要だとも言えますが、オーディオ用途に限って言うとUSB3.0までは必要はないと思います。
たとえばFLOWの場合はPCMでいうと384kHz x 32bit x 2ch = 24.5M bpsが最大の帯域幅であり、SSD内の音源を使った場合でも双方向の場合には倍以上にオーバーヘッドがあるかもしれませんが、それでも十分に480M bpsというUSB2.0の規格に収まります。
これも実際にHarryさんに聞いてみたところ、オーディオ信号としてはその通りで、むしろ内蔵するSSDへのデータ移動を念頭に考えたということです。これはそのとおりで、mSATA SSDとUSB3.0の組み合わせは実際に驚くほど高速にデータを転送できます。FLOWを買ってまた音源ライブラリを何時間もかけて移動するのか、と悩む必要はないでしょう。
そのためデータ転送目的でないときにはFLOWの高音質を生かすためにもUSB2.0でよいのでオーディオ用のケーブルがお勧めです。実際に添付のUSB3.0ケーブルからオーディオ用のUSB高音質ケーブルに変えると驚くほど音質は向上します。
ちなみに簡単に言うとUSB2.0とか3.0というのはケーブル(伝送)の規格であり、USB class 1.0とかclass 2.0というのはUSB機器の接続形式(標準プロトコル)の規格です。FLOWはUSB3.0で伝送でき、USBオーディオクラスとUSBマスストレージクラス、USB HIDクラスに対応したUSB DACということができます。
*パッケージ開封
奥の深い箱に入れられて届きます。上段にはFLOWがケースに入った状態で収納されています。
下の部分にはケーブルが入っています(この辺は製品版と違うかもしれませんので念のため)。ケーブルはUSB3.0マイクロケーブル、USB OTGケーブルと、メスアダプタが余分についたUSB OTGケーブルが入っています。
FLOWはとてもシンプルでかつ高級感があります。デザインは微妙に波をうっていて、
細かな表面仕上げもきれいで、シンプルなデザインのなかに液晶表示とボリュームダイヤルをあしらったデザインが近未来的な映画に出てくるデバイスという印象を受けます。カッコよさという点では最近のなかでも秀逸な出来だと思います。この近未来的なルックスだけでもかなりほしくなってしまう魅力にあふれています。
デザインとしてはMacbook Airのような優れたデザインのノートPCの横に置いたときに映えるような形が考えられています。
また音を出す回路を箱で包んでボリュームを付けた、というような従来のオーディオDACの概念ではなく、まずとしてのボリュームと操作キーがあって、それをコントロールパッドとして使いやすいデザインとし、そこにDACを入れたという機能美があるのではないかと思います。
FLOWはずっしりとした重量でデスクトップに置いたときにはしっかり固定ができそうです。
ポータブル用途にはやや重いと思いますが、逆に言うとこのくらいのハイレベルのUSB DACを持ち出せるという点は面白い使い方ができそうです。
ポータブルがメインの目的には重いと思いますが、基本的にはノートPC用に買って、ときにはAK100やiPhoneと外に持ち出す、というくらいなら問題ないと思います。
*mSATA SSDドライブの設置
ここではFLOWへのmSATAドライブの設置について解説します。
まずSDカードと異なって、mSATA SSDは初期化とフォーマットが必要になります。私はディスク管理はWindowsが慣れているのでWindowsで初期化しました。以下はWindows8.1の手順です。
1. FLOW側の設定
FLOWの裏蓋をあけて、中のmSATAスロットにSSDを差し込みます。蓋を元に戻します。
FLOWの電源を入れてMENUキーを何回か押し、mSTを表示させます。FWDとRWDボタンで+/-を設定できるので、mSTを+に変えます。この状態でUSBでPCに接続します。
2. PCでの作業
PCがFLOWを認識するとOSがディスクの初期化を促してきます。「論理ディスクマネージャがアクセスできるようにするにはディスクを初期化する必要があります」というメッセージの下でMBRかGPTを選択するのですが、FLOWの場合はこれはどちらでも良いはずです。私はFLOWをMacとWindowsの両方で使うけれどもどちらかというとMac向けにしたかったのでGPTでやりましたが、FLOWのように2TBを超えない場合は互換性を考慮してMBRでも大丈夫なはずです(Win8ではGPTがデフォルトのはず)。
MBRとかGPTは起動するときの情報に関するもので、ざくっというとMBRはBIOS向けでGPTはEFI向けです。MacOSX 10.4以上、Windows7以上でGPTが使用可能です。ただしWin7の32bitでは起動ディスクにできませんがFLOWには関係ありません。また容量が2TB以下ならMBRでよいはずです。まさかまだXPを使用している人はいないと思いますが、その場合はMBRが必要です。
次にコンピューターの管理を立ち上げて、デバイスマネージャーを確認します。デバイスマネージャーのディスクドライブの下にAurenderの表示が見えているはずです。
次に記憶域からディスクの管理を開けて、いま設置したSSDディスクを選択して右クリックから「新しいシンプルボリュームウィザードの開始」を選択します。ボリュームサイズの指定はすべてでかまいません。ドライブ文字を適当に割り当ててください。
次はフォーマットです。ここはデフォルトではWindowsではNTFSですが、Macと共用するために私はexFATを使用しました。
これでPCからFLOWが外部ドライブとして見えるはずです。あとは通常通りに使用してください。
またmST+を選択してFLOWを外部ドライブとして使用した場合には、かならずWindowsでは「安全なディスクの取り外し」あるいはMacではごみ箱アイコンに移動させてから、または電源を落としてからケーブルをはずして下さい。
オーディオのみの使用の場合(mST-)では「安全なディスクの取り外し」は必要ありません。
*FLOWの音質
試聴はWindows8.1のJRMC19でまずしばらく聴いてみました。
まず標準添付のUSB3.0ケーブルで接続して、HD800で聴いてみました。
PCに接続するとFLOWの表示パネルに画面のアイコンが現れ、ヘッドフォンを接続するとヘッドフォンのアイコンが現れます。
はじめはかなり低いレベルから始まるので、ボリュームを上げて-30dB程度にします。
音質のレベルはかなり高く、上品で端正な線の細い音で、楽器の音はシャープで切れ味が鋭い感じです。音空間がクリアで透明感が際立っています。音の広がり方が広く立体的で、かつ自然な広がり方が感じられます。
周波数帯域的にはワイドレンジで、かつ低域や高域の不自然な強調がなくフラットなので、HD800の性能が存分に生かされる感じです。
低域も張り出さない程度にきちんとアタック感があります。
平面型のHE560も使ってみましたが十分に鳴らすことができ、HE560では動感あふれるダイナミックな音再現が可能です。
次にUSBケーブルを短めのオーディオ用ケーブルであるFitEarケーブルに変えるとかなり音質は向上します。
透明感が一層際立ち、ヴォーカルの声が空間にぱっと広がります。特に立体感の点で目を見張り(耳を)ます。3次元的でひとつひとつの楽器の音がきれいに分離して情報量という意味でも素晴らしいですね。低域の存在感も上がって重みがきちんと表現されます。
なんとなくカジュアルでデザイン重視のデスクトップDACという見た目ですが、音的にはかなり本格的でハイレベルであり、ハイエンドオーディオブランドの名にふさわしいレベルのハイグレードな音と言えるでしょう。価格的に考えてもかなり良いのではないかと思います。
次にPCとのUSB接続のまま、カスタムイヤフォンで感度の高いWestone ES60を使ってみました。-75dBあたりでもう音が聞こえてくるのでヘッドフォンをはずすと安全のためにリセットされる効果があります。
驚くことにはFLOWはとても背景が静かでノイズが低くIEM専用アンプのようです。再生ポーズのまま音を上げていってもまったくノイズが聞こえてきません。バッテリー駆動の効果もあるのでしょうか、カスタムイヤフォンのためにも素晴らしい音再現が可能なことが印象的です。
また入力をはずした状態でFLOWを立ち上げるとMENUキーでさまざまな設定を変えることができます。pcm0,1,2などはESSのDACが持っているデジタルフィルターの設定で、これを変更することが可能です。
*FLOWの使いこなし
FLOWはさきに書いたように、単なるUSB DACというよりも、オーディオに必要なシステムをパックにしたオールインワンの機材ということもできます。
つまりはUSB DACのように単なる周辺機器とも言い難いので、あたらしいジャンルの機材としてはじめはとまどうかもしれません。しかしながらいままで書いてきたように、そのユニークな設計は実際の使用に基づいた不便な点を改善するためのものであり、実用的なものであると言えます。
- ノートPCと一緒に使う場合
まず第一にお勧めしたいのはHarryさんがもととも想定したような、Macbook AirのようなスリムノートPCを使っている人です。
たとえば私は外でもの書きするときなどMacbook Air11インチ(SSD64GB)を使っていますが、もうディスクがいっぱいで音楽を入れる余地がありません。そこでUSBメモリに音楽を入れておくのですが、今度はUSBポートが足りないのでUSB DACをつけるともういっぱいです。旧Macbook Air13インチのときはUSBポートがひとつしかなかったのでさらに問題は大きかったと言えます。
Macの場合はマウスはBlutoothが標準だからまだ良いとしても、Windowsノートでのマウス派はUSBポートにこまることになるでしょう。
いままではこのようにUSBポートをやりくりしていましたが、FLOWを使えばひとつのUSBポートで音源のストレージとUSB DACをつなぐことができますのでUSBポート不足の問題は解決されます。
また、こうしたスリムノートPCでは電池の持ちが少ないため、外で半日は仕事をしようと思ってノートPCを持ち出しても実のところ画面の明るさを落として節電しながら使うのに、電池食いのUSB DACを接続して音楽を聴こうものなら、電池残量がみるみると減っていくのにどきどきしたという経験があります。
いままではこのように少ない電池容量をやりくりしていましたが、FLOWを使えば電池を食うオーディオ回路はバッテリー駆動ですから電池容量不足の問題は解決されます。
ノートPCではさらに画面がせまく、ただでさえ原稿を書きながら資料をPDFで参照しながら、参考情報をWebで検索したりというと画面がウインドウでいっぱいになり、そこに音楽再生のiTunesの操作画面を出しておくともう大変です。曲をスキップして変えたいだけでも、iTunesの画面を裏から引き出して操作する必要があります。
いままではこのように狭い画面で操作が大変だったものを、FLOWを使えばボリュームの調整と再生・ポーズ、曲のスキップと巻き戻しという基本操作は容易になります。もっともMacbookの場合はキーボードで音楽再生の操作はできますが、集約されていた方が使いやすいとは言えるでしょう。
操作キーはiTunesとiTunesを使うPure MusicやAmarraなども完ぺきに使えます。ただAudirvanaなどプレーヤーソフトによってはPlay/Pauseのみ使えることがあります。ここは調査中とのことです。
mSATAストレージはPCプレーヤーソフトから外部ドライブとして見えるので、プレーヤーのライブラリにこのドライブを指定しておけば次からは音源のソースとして使うことができます。
もちろん上の利点は家で使うときにも当てはまります。タワー型PCではそれほどUSBポートの不足になることはないと思いますが、音源を集約して置けるというのはPC機種変更した時にも便利と言えるでしょう。この場合には少し長めのUSBケーブルがあるとよいですね。
- スマートフォンと使う場合
次に面白い使い方ができるのは外でも良い音で聞きたいというポータブルユーザーです。FLOWはバッテリー駆動であり、バスパワーの消費電力が少ないのでスマートフォンからUSBデジタルで音を取りだすことができます。デスクトップに置くときはしっかりした筐体ですが、反面で常に持ち歩くには大きすぎるとはいえます。反面でFLOWをノートPCと外に持ち出すときに、移動中でもFLOWはiPhoneやAK100と組み合わせて持ち歩きながら聞く、というのは十分考えられるユースケースです。
- iPhone/iPad
iPhoneの場合はiOS7.0以上でライトニングカメラアダプタ(またはカメラコネクションキット)を使用して接続します。iPadはiOS4.0からカメラコネクションキットでのUSB DAC接続に対応しています。FLOWの必要とするクラス2対応になったのはiOS4.2以降ですが、そんな古いのはもう残ってないでしょうから現在ではまず問題ないでしょう。
FLOW側のUSB端子はUSB3.0ですが、マイクロ3.0端子ですので、従来のマイクロB端子と互換性があります。
この接続形態(iPhoneをホストで使用)ではバスパワー上限がありますが、FLOWは主要部分はバッテリー駆動なので問題ありません。またiOS側でONKYOのHF PlayerやFLAC Playerを使用することでハイレゾ音源を再生することができます。またHF PlayerかhibikiであればDoPを選択することでDSDネイティブ再生が可能です。
下記にHF Playerからハイレゾ音源を出力している例と、DSDネイティブ再生をしている例を示します。ハイレゾでは192kでロックしているのが分かると思います。DSDネイティブの場合はまずPCMでのDoPのためのエンコードサンプルレートが表示され、中身がDSDとシンボルで示されます。
- Android
AndroidではWalkman ZX1でNWH10との組み合わせで出力ができました。なかなかいい音で再生してくれます。ZX1とNWH10にmicroB(USB2.0でよい)をFLOWのUSB3.0端子のUSB2.0側に接続。私は直結コネクタを使用しています。ここではZX1の標準Walkmanアプリで再生しています。
またUSB Audio Player proでも添付のOTGケーブルを使うことで再生が可能です。
* 光出力つきDAPと使う場合
光入力ももともとはMacの光出力を意識していたかもしれませんが、ポータブルでは光出力のあるAK100と組み合わせることができます。ケーブルはタイムロードさんの光ケーブルを使うとうまく組み合わせられます。
画面ではハイレゾでもきちんとロックされているのが分かります。
iBasso DX50だと光出力がついていて、USB OTGで外部ドライブの認識が可能なので、うまくいけばFLOWと合わせて面白い使い方ができるのではないかと思いますが、試せていません。
*まとめ
FLOWは端的に言ってかっこよいUSB DACです。しかしそのかっこよさは単なる見てくれではありません。
普通のUSB DACはまず回路ありきで設計され、その基盤を四角い箱に入れてボリュームを前面に付けて製品となると思いますが、FLOWの場合はまずこういう使い方がしたいということをHarryさん自身が考えて機能を設計し、さらにノートPCの横において手を添えて使いやすい形を考えて大きなボリュームを上に配置し、機能に合うように筐体をデザインしていったと思います。そこに工業デザイン的な機能美があると思います。
FLOWには機能ありきで設計された美しさがあります。
FLOWははじめはコンセプトが分かりにくいかもしれませんが、使いこなしを覚えるとかなり便利に使える、きわめて実用的な製品だと思います。それは機能ありきで設計されたからだと思います。もちろん音質も犠牲になってはいません。
その機能と音質の両立を美しいデザインに包んだのがAurender FLOWだと言えるでしょう。
3.ボリュームと操作ボタン
FLOWのデザイン的なポイントにもなっているのが大きなボリュームです。またFLOWの側面にはメニュー、電源ボタンのほかに、選曲のための操作キーが装備されています。選曲キーはFWD(曲スキップ)、Play/Pause(再生/ポーズ)、RWD(巻き戻し)です。
ボリュームリングの内側はディスプレイとなっていて、FLOWの動作状態や入力の周波数が表示されます。ただし曲名表示などはできません。
いままではボリュームがUSB DACについていても小さなアップダウンボタンであるとか、箱型筐体の前面の小さなボリュームノブであるということが多いのですが、FLOWは広い上面に大きくボリュームが設置されているためノートPCのそばに置いたときにマウスなどのように手を添えて使いやすい配置となっています。また大きなリングと"velocity sensitive operation(速度感知式)"と呼ばれる回す速さでステップが異なる方式を採用したことで、ボリューム操作が素早く精密に可能なものになっています。ゆっくり回すと0.5dB単位の細かい調整が可能です。ボリュームはDACのデジタルボリュームを使用しているようで、音楽再生ソフトとは独立しています。ボリュームはプレーヤーが停止すると低レベルの位置にリセットされます(安全のため)。
これと側面の選曲キーを組み合わせることによって、FLOWをiTunesのコントロールパッドのようにつかえるため、基本的な操作は画面を見なくても可能になっています。つまりは曲を変えるのにいちいち裏画面になっているプレーヤーソフトをフォアグランドに持ってくる必要がありません。
操作ボタンを押した信号はUSB HIDクラスという規格でPCに送られます。これはUSBキーボードやUSBマウスと同じです。つまりはMacならキーボード上に再生やスキップボタンがありますが、あれを押したと同じというわけです。音楽再生ソフトもiTunesなどのようにHIDクラスに対応している必要があります。
つまりFLOWはUSB機器として見ると、SSD(マスストレージクラス)、DAC(オーディオクラス)、操作ボタン(HIDクラス)という3つのUSB標準規格でPCと通信をしているということになります。それを電源内蔵のパワードUSBバスでひとつにまとめているのがFLOWであるということも言えます。この辺りからFLOWの設計意図が見えてくるのではないかと思います。
3.USB 3.0の採用
FLOWのもうひとつの特徴はUSB接続に普通使用されるUSB2.0ではなく、USB3.0を採用しているということです。このためFLOWのUSB端子はマイクロUSB3.0となっていますので注意ください。ただしこれはUSB2.0のマイクロBと互換性があります(アダプタなしで接続できます)。
FLOWはいままで書いてきたようにUSB外部機器を集約したような機材なので、高速のUSB3.0が必要だとも言えますが、オーディオ用途に限って言うとUSB3.0までは必要はないと思います。
たとえばFLOWの場合はPCMでいうと384kHz x 32bit x 2ch = 24.5M bpsが最大の帯域幅であり、SSD内の音源を使った場合でも双方向の場合には倍以上にオーバーヘッドがあるかもしれませんが、それでも十分に480M bpsというUSB2.0の規格に収まります。
これも実際にHarryさんに聞いてみたところ、オーディオ信号としてはその通りで、むしろ内蔵するSSDへのデータ移動を念頭に考えたということです。これはそのとおりで、mSATA SSDとUSB3.0の組み合わせは実際に驚くほど高速にデータを転送できます。FLOWを買ってまた音源ライブラリを何時間もかけて移動するのか、と悩む必要はないでしょう。
そのためデータ転送目的でないときにはFLOWの高音質を生かすためにもUSB2.0でよいのでオーディオ用のケーブルがお勧めです。実際に添付のUSB3.0ケーブルからオーディオ用のUSB高音質ケーブルに変えると驚くほど音質は向上します。
ちなみに簡単に言うとUSB2.0とか3.0というのはケーブル(伝送)の規格であり、USB class 1.0とかclass 2.0というのはUSB機器の接続形式(標準プロトコル)の規格です。FLOWはUSB3.0で伝送でき、USBオーディオクラスとUSBマスストレージクラス、USB HIDクラスに対応したUSB DACということができます。
*パッケージ開封
奥の深い箱に入れられて届きます。上段にはFLOWがケースに入った状態で収納されています。
下の部分にはケーブルが入っています(この辺は製品版と違うかもしれませんので念のため)。ケーブルはUSB3.0マイクロケーブル、USB OTGケーブルと、メスアダプタが余分についたUSB OTGケーブルが入っています。
FLOWはとてもシンプルでかつ高級感があります。デザインは微妙に波をうっていて、
細かな表面仕上げもきれいで、シンプルなデザインのなかに液晶表示とボリュームダイヤルをあしらったデザインが近未来的な映画に出てくるデバイスという印象を受けます。カッコよさという点では最近のなかでも秀逸な出来だと思います。この近未来的なルックスだけでもかなりほしくなってしまう魅力にあふれています。
デザインとしてはMacbook Airのような優れたデザインのノートPCの横に置いたときに映えるような形が考えられています。
また音を出す回路を箱で包んでボリュームを付けた、というような従来のオーディオDACの概念ではなく、まずとしてのボリュームと操作キーがあって、それをコントロールパッドとして使いやすいデザインとし、そこにDACを入れたという機能美があるのではないかと思います。
FLOWはずっしりとした重量でデスクトップに置いたときにはしっかり固定ができそうです。
ポータブル用途にはやや重いと思いますが、逆に言うとこのくらいのハイレベルのUSB DACを持ち出せるという点は面白い使い方ができそうです。
ポータブルがメインの目的には重いと思いますが、基本的にはノートPC用に買って、ときにはAK100やiPhoneと外に持ち出す、というくらいなら問題ないと思います。
*mSATA SSDドライブの設置
ここではFLOWへのmSATAドライブの設置について解説します。
まずSDカードと異なって、mSATA SSDは初期化とフォーマットが必要になります。私はディスク管理はWindowsが慣れているのでWindowsで初期化しました。以下はWindows8.1の手順です。
1. FLOW側の設定
FLOWの裏蓋をあけて、中のmSATAスロットにSSDを差し込みます。蓋を元に戻します。
FLOWの電源を入れてMENUキーを何回か押し、mSTを表示させます。FWDとRWDボタンで+/-を設定できるので、mSTを+に変えます。この状態でUSBでPCに接続します。
2. PCでの作業
PCがFLOWを認識するとOSがディスクの初期化を促してきます。「論理ディスクマネージャがアクセスできるようにするにはディスクを初期化する必要があります」というメッセージの下でMBRかGPTを選択するのですが、FLOWの場合はこれはどちらでも良いはずです。私はFLOWをMacとWindowsの両方で使うけれどもどちらかというとMac向けにしたかったのでGPTでやりましたが、FLOWのように2TBを超えない場合は互換性を考慮してMBRでも大丈夫なはずです(Win8ではGPTがデフォルトのはず)。
MBRとかGPTは起動するときの情報に関するもので、ざくっというとMBRはBIOS向けでGPTはEFI向けです。MacOSX 10.4以上、Windows7以上でGPTが使用可能です。ただしWin7の32bitでは起動ディスクにできませんがFLOWには関係ありません。また容量が2TB以下ならMBRでよいはずです。まさかまだXPを使用している人はいないと思いますが、その場合はMBRが必要です。
次にコンピューターの管理を立ち上げて、デバイスマネージャーを確認します。デバイスマネージャーのディスクドライブの下にAurenderの表示が見えているはずです。
次に記憶域からディスクの管理を開けて、いま設置したSSDディスクを選択して右クリックから「新しいシンプルボリュームウィザードの開始」を選択します。ボリュームサイズの指定はすべてでかまいません。ドライブ文字を適当に割り当ててください。
次はフォーマットです。ここはデフォルトではWindowsではNTFSですが、Macと共用するために私はexFATを使用しました。
これでPCからFLOWが外部ドライブとして見えるはずです。あとは通常通りに使用してください。
またmST+を選択してFLOWを外部ドライブとして使用した場合には、かならずWindowsでは「安全なディスクの取り外し」あるいはMacではごみ箱アイコンに移動させてから、または電源を落としてからケーブルをはずして下さい。
オーディオのみの使用の場合(mST-)では「安全なディスクの取り外し」は必要ありません。
*FLOWの音質
試聴はWindows8.1のJRMC19でまずしばらく聴いてみました。
まず標準添付のUSB3.0ケーブルで接続して、HD800で聴いてみました。
PCに接続するとFLOWの表示パネルに画面のアイコンが現れ、ヘッドフォンを接続するとヘッドフォンのアイコンが現れます。
はじめはかなり低いレベルから始まるので、ボリュームを上げて-30dB程度にします。
音質のレベルはかなり高く、上品で端正な線の細い音で、楽器の音はシャープで切れ味が鋭い感じです。音空間がクリアで透明感が際立っています。音の広がり方が広く立体的で、かつ自然な広がり方が感じられます。
周波数帯域的にはワイドレンジで、かつ低域や高域の不自然な強調がなくフラットなので、HD800の性能が存分に生かされる感じです。
低域も張り出さない程度にきちんとアタック感があります。
平面型のHE560も使ってみましたが十分に鳴らすことができ、HE560では動感あふれるダイナミックな音再現が可能です。
次にUSBケーブルを短めのオーディオ用ケーブルであるFitEarケーブルに変えるとかなり音質は向上します。
透明感が一層際立ち、ヴォーカルの声が空間にぱっと広がります。特に立体感の点で目を見張り(耳を)ます。3次元的でひとつひとつの楽器の音がきれいに分離して情報量という意味でも素晴らしいですね。低域の存在感も上がって重みがきちんと表現されます。
なんとなくカジュアルでデザイン重視のデスクトップDACという見た目ですが、音的にはかなり本格的でハイレベルであり、ハイエンドオーディオブランドの名にふさわしいレベルのハイグレードな音と言えるでしょう。価格的に考えてもかなり良いのではないかと思います。
次にPCとのUSB接続のまま、カスタムイヤフォンで感度の高いWestone ES60を使ってみました。-75dBあたりでもう音が聞こえてくるのでヘッドフォンをはずすと安全のためにリセットされる効果があります。
驚くことにはFLOWはとても背景が静かでノイズが低くIEM専用アンプのようです。再生ポーズのまま音を上げていってもまったくノイズが聞こえてきません。バッテリー駆動の効果もあるのでしょうか、カスタムイヤフォンのためにも素晴らしい音再現が可能なことが印象的です。
また入力をはずした状態でFLOWを立ち上げるとMENUキーでさまざまな設定を変えることができます。pcm0,1,2などはESSのDACが持っているデジタルフィルターの設定で、これを変更することが可能です。
*FLOWの使いこなし
FLOWはさきに書いたように、単なるUSB DACというよりも、オーディオに必要なシステムをパックにしたオールインワンの機材ということもできます。
つまりはUSB DACのように単なる周辺機器とも言い難いので、あたらしいジャンルの機材としてはじめはとまどうかもしれません。しかしながらいままで書いてきたように、そのユニークな設計は実際の使用に基づいた不便な点を改善するためのものであり、実用的なものであると言えます。
- ノートPCと一緒に使う場合
まず第一にお勧めしたいのはHarryさんがもととも想定したような、Macbook AirのようなスリムノートPCを使っている人です。
たとえば私は外でもの書きするときなどMacbook Air11インチ(SSD64GB)を使っていますが、もうディスクがいっぱいで音楽を入れる余地がありません。そこでUSBメモリに音楽を入れておくのですが、今度はUSBポートが足りないのでUSB DACをつけるともういっぱいです。旧Macbook Air13インチのときはUSBポートがひとつしかなかったのでさらに問題は大きかったと言えます。
Macの場合はマウスはBlutoothが標準だからまだ良いとしても、Windowsノートでのマウス派はUSBポートにこまることになるでしょう。
いままではこのようにUSBポートをやりくりしていましたが、FLOWを使えばひとつのUSBポートで音源のストレージとUSB DACをつなぐことができますのでUSBポート不足の問題は解決されます。
また、こうしたスリムノートPCでは電池の持ちが少ないため、外で半日は仕事をしようと思ってノートPCを持ち出しても実のところ画面の明るさを落として節電しながら使うのに、電池食いのUSB DACを接続して音楽を聴こうものなら、電池残量がみるみると減っていくのにどきどきしたという経験があります。
いままではこのように少ない電池容量をやりくりしていましたが、FLOWを使えば電池を食うオーディオ回路はバッテリー駆動ですから電池容量不足の問題は解決されます。
ノートPCではさらに画面がせまく、ただでさえ原稿を書きながら資料をPDFで参照しながら、参考情報をWebで検索したりというと画面がウインドウでいっぱいになり、そこに音楽再生のiTunesの操作画面を出しておくともう大変です。曲をスキップして変えたいだけでも、iTunesの画面を裏から引き出して操作する必要があります。
いままではこのように狭い画面で操作が大変だったものを、FLOWを使えばボリュームの調整と再生・ポーズ、曲のスキップと巻き戻しという基本操作は容易になります。もっともMacbookの場合はキーボードで音楽再生の操作はできますが、集約されていた方が使いやすいとは言えるでしょう。
操作キーはiTunesとiTunesを使うPure MusicやAmarraなども完ぺきに使えます。ただAudirvanaなどプレーヤーソフトによってはPlay/Pauseのみ使えることがあります。ここは調査中とのことです。
mSATAストレージはPCプレーヤーソフトから外部ドライブとして見えるので、プレーヤーのライブラリにこのドライブを指定しておけば次からは音源のソースとして使うことができます。
もちろん上の利点は家で使うときにも当てはまります。タワー型PCではそれほどUSBポートの不足になることはないと思いますが、音源を集約して置けるというのはPC機種変更した時にも便利と言えるでしょう。この場合には少し長めのUSBケーブルがあるとよいですね。
- スマートフォンと使う場合
次に面白い使い方ができるのは外でも良い音で聞きたいというポータブルユーザーです。FLOWはバッテリー駆動であり、バスパワーの消費電力が少ないのでスマートフォンからUSBデジタルで音を取りだすことができます。デスクトップに置くときはしっかりした筐体ですが、反面で常に持ち歩くには大きすぎるとはいえます。反面でFLOWをノートPCと外に持ち出すときに、移動中でもFLOWはiPhoneやAK100と組み合わせて持ち歩きながら聞く、というのは十分考えられるユースケースです。
- iPhone/iPad
iPhoneの場合はiOS7.0以上でライトニングカメラアダプタ(またはカメラコネクションキット)を使用して接続します。iPadはiOS4.0からカメラコネクションキットでのUSB DAC接続に対応しています。FLOWの必要とするクラス2対応になったのはiOS4.2以降ですが、そんな古いのはもう残ってないでしょうから現在ではまず問題ないでしょう。
FLOW側のUSB端子はUSB3.0ですが、マイクロ3.0端子ですので、従来のマイクロB端子と互換性があります。
この接続形態(iPhoneをホストで使用)ではバスパワー上限がありますが、FLOWは主要部分はバッテリー駆動なので問題ありません。またiOS側でONKYOのHF PlayerやFLAC Playerを使用することでハイレゾ音源を再生することができます。またHF PlayerかhibikiであればDoPを選択することでDSDネイティブ再生が可能です。
下記にHF Playerからハイレゾ音源を出力している例と、DSDネイティブ再生をしている例を示します。ハイレゾでは192kでロックしているのが分かると思います。DSDネイティブの場合はまずPCMでのDoPのためのエンコードサンプルレートが表示され、中身がDSDとシンボルで示されます。
- Android
AndroidではWalkman ZX1でNWH10との組み合わせで出力ができました。なかなかいい音で再生してくれます。ZX1とNWH10にmicroB(USB2.0でよい)をFLOWのUSB3.0端子のUSB2.0側に接続。私は直結コネクタを使用しています。ここではZX1の標準Walkmanアプリで再生しています。
またUSB Audio Player proでも添付のOTGケーブルを使うことで再生が可能です。
* 光出力つきDAPと使う場合
光入力ももともとはMacの光出力を意識していたかもしれませんが、ポータブルでは光出力のあるAK100と組み合わせることができます。ケーブルはタイムロードさんの光ケーブルを使うとうまく組み合わせられます。
画面ではハイレゾでもきちんとロックされているのが分かります。
iBasso DX50だと光出力がついていて、USB OTGで外部ドライブの認識が可能なので、うまくいけばFLOWと合わせて面白い使い方ができるのではないかと思いますが、試せていません。
*まとめ
FLOWは端的に言ってかっこよいUSB DACです。しかしそのかっこよさは単なる見てくれではありません。
普通のUSB DACはまず回路ありきで設計され、その基盤を四角い箱に入れてボリュームを前面に付けて製品となると思いますが、FLOWの場合はまずこういう使い方がしたいということをHarryさん自身が考えて機能を設計し、さらにノートPCの横において手を添えて使いやすい形を考えて大きなボリュームを上に配置し、機能に合うように筐体をデザインしていったと思います。そこに工業デザイン的な機能美があると思います。
FLOWには機能ありきで設計された美しさがあります。
FLOWははじめはコンセプトが分かりにくいかもしれませんが、使いこなしを覚えるとかなり便利に使える、きわめて実用的な製品だと思います。それは機能ありきで設計されたからだと思います。もちろん音質も犠牲になってはいません。
その機能と音質の両立を美しいデザインに包んだのがAurender FLOWだと言えるでしょう。
2014年11月21日
GloveAudio A1がアユートから国内発売
今年の春のヘッドフォン祭のときにJabenコーナーで展示された第一世代AK100/AK120をすっぽり包むフルアーマーAKことGloveAudio A1がAstell&Kernシリーズの本家であるアユートさんで国内販売することが決定され店頭販売がなされます。
(Jaben Japanはオンラインで販売)
AK120との接続例
GloveAudioはDACportやHiFi M8など高性能ポータブルオーディオでも知られるCEntranceの別会社です。CEntranceはWindowsのドライバーでも知っている人が多いと思いますが、もともとファームなどのODM技術提供をしているメーカーですから、技術力は定評があります。
A1は第1世代AKシリーズに搭載されている光出力機能を活用し、組み合わせることに3.5oシングルエンドでの再生はもちろん、4ピンマイクロ端子、及び第2世代AKシリーズに搭載されている2.5o4極端子のバランス接続に対応するというDAC内蔵のポータブルアンプです。
4ピンマイクロ端子というのはRSAやパイオニアXPA700で採用されているKobiconnのことです。
特徴をリリースから転載します。
■主な特長
●第1世代AKシリーズ専用設計により「グローブ」のように包み込む美しいデザインを実現。
ブラケットの取り換えにより、AK100/AK120両方の製品を使用することができます。
●高性能DACチップESS社製「ES9018」を採用。
●動作特性が良いAB級アンプにより、高出力、低クロストーク、低歪を実現。
●第1世代AKシリーズでバランス出力が可能になる、4pin角型端子と2.5mm4極端子搭載。
スペックもリリースから転載すると、下記の通りです。
ちょっと注目していただきたいのはDACが低電圧版の2Mではない通常版であること(確認済み)、バランス駆動での性能が高いこと、日本語の解説書がついてくることです。
カラー ブラック
本体素材 アルミニウム
DAC ESS ES9018
対応製品 AK100,AK100MKII,AK120,AK120TITAN
入力 3.5mm光入力
対応サンプリグレート 44.1KHz,48KHz,88.2KHz,96KHz,176.2kHz,192kHz
対応量子化ビット数 16bit, 24bit
出力 3.5mmアンバランス, 4pin角型&2.5mm4極バランス
クロストーク アンバランス-121dB/ バランス-140dB@ 1kHz
出力 アンバランス:3.5mm/バランス : 4ピンマイクロ , 2.5mm
出力インピーダンス アンバランス:0.5Ω/バランス: 0.5Ω
出力電力 アンバランス:180mW, バランス:440mW
最大出力 アンバランス:+7.67dBV; バランス:+13.68dBV
周波数特性 20Hz 〜 20kHz
S/N比 114dB
サイズ/重量(約) 116mm(L) x 68mm (W) x 32mm(H) / 196 g
付属品 本体・microUSBケーブルx1 六角レンチ x 1 固定用ブラケットx2(AK100とAK120用)
固定用ビスx2 取扱説明書(保証書) x1
販売についてもリリースから転載すると、下記の通りです。
AK120との接続例
GloveAudioはDACportやHiFi M8など高性能ポータブルオーディオでも知られるCEntranceの別会社です。CEntranceはWindowsのドライバーでも知っている人が多いと思いますが、もともとファームなどのODM技術提供をしているメーカーですから、技術力は定評があります。
A1は第1世代AKシリーズに搭載されている光出力機能を活用し、組み合わせることに3.5oシングルエンドでの再生はもちろん、4ピンマイクロ端子、及び第2世代AKシリーズに搭載されている2.5o4極端子のバランス接続に対応するというDAC内蔵のポータブルアンプです。
4ピンマイクロ端子というのはRSAやパイオニアXPA700で採用されているKobiconnのことです。
特徴をリリースから転載します。
■主な特長
●第1世代AKシリーズ専用設計により「グローブ」のように包み込む美しいデザインを実現。
ブラケットの取り換えにより、AK100/AK120両方の製品を使用することができます。
●高性能DACチップESS社製「ES9018」を採用。
●動作特性が良いAB級アンプにより、高出力、低クロストーク、低歪を実現。
●第1世代AKシリーズでバランス出力が可能になる、4pin角型端子と2.5mm4極端子搭載。
スペックもリリースから転載すると、下記の通りです。
ちょっと注目していただきたいのはDACが低電圧版の2Mではない通常版であること(確認済み)、バランス駆動での性能が高いこと、日本語の解説書がついてくることです。
カラー ブラック
本体素材 アルミニウム
DAC ESS ES9018
対応製品 AK100,AK100MKII,AK120,AK120TITAN
入力 3.5mm光入力
対応サンプリグレート 44.1KHz,48KHz,88.2KHz,96KHz,176.2kHz,192kHz
対応量子化ビット数 16bit, 24bit
出力 3.5mmアンバランス, 4pin角型&2.5mm4極バランス
クロストーク アンバランス-121dB/ バランス-140dB@ 1kHz
出力 アンバランス:3.5mm/バランス : 4ピンマイクロ , 2.5mm
出力インピーダンス アンバランス:0.5Ω/バランス: 0.5Ω
出力電力 アンバランス:180mW, バランス:440mW
最大出力 アンバランス:+7.67dBV; バランス:+13.68dBV
周波数特性 20Hz 〜 20kHz
S/N比 114dB
サイズ/重量(約) 116mm(L) x 68mm (W) x 32mm(H) / 196 g
付属品 本体・microUSBケーブルx1 六角レンチ x 1 固定用ブラケットx2(AK100とAK120用)
固定用ビスx2 取扱説明書(保証書) x1
販売についてもリリースから転載すると、下記の通りです。
2014年11月28日(金)より直販サイト「アキハバラe市場(http://www.akiba-eshop.jp/ )」、「アキハバラe市場楽天市場支店(http://www.rakuten.co.jp/akiba-eshop/)」、「e☆イヤホン」、「NTT-X Store」、「オリオスペック」「フジヤエービック」(※50音順)にて順次発売を開始するということです。直販価格は64,800円(税込)です。
* 試用インプレ
少し前から実機を実際に使用する機会を得ていますが、時間がなかったので記事は後で書きますが、簡単にコメントをしておきます。
実際に使ってみると普通のポータブルアンプみたいにケーブルで接続するのに比べて一体感が高く、コンパクトなこともあってハイレゾプレーヤーのように扱えます。電源は連動していませんが、同時に充電できる二股のmicroUSBケーブルが入ってます。また試作機に比べるとAK100が当たる面にベルベットが貼ってあり細やかな改良が感じられます。
A1のポイントとしては合体メカということに加えて、ケーブルがないという点も音質ではポイントになると思います。
音質は驚くほど高く、夏のヘッドフォン祭の試作機より完成度が上がっています。試作機ではシャープなだけでしたが、製品版では豊かなオーディオらしい音が聴けます。音質のレベルも高く、小さいわりにスケール感があってまるで据え置きのホームアンプなみにも感じられる余裕があり、全体の印象はHiFi M8なみというか、M8に似ていると感じました。
GloveAudioとAKR03のバランス接続
特に注目してほしいのはバランス駆動での音質の高さです。回路はフルバランスであり、通常版の9018の採用もそれゆえなのかもしれません。
3.5mmシングルエンドと2.5mmバランス駆動の音の差が第二世代AKよりも大きく、2.5mmバランスでのパワフルで濃密な音再現はA1の大きな魅力です。バランス駆動らしい力強く鳴らす音再現です。
このため、従来のAK100/AK120をもっている人がパワーアップのためにA1を買うのはもちろんお勧めですが、バランスケーブルなど2.5mm資産をもつ第二世代AKユーザーも眠ってる第一世代AKを活用してA1を買う価値があるのではないかと思います。
予約は本日から開始で、フジヤエービック、e☆イヤホン(秋葉原・大阪日本橋)では本日から試聴機が用意されているはずです。
* 試用インプレ
少し前から実機を実際に使用する機会を得ていますが、時間がなかったので記事は後で書きますが、簡単にコメントをしておきます。
実際に使ってみると普通のポータブルアンプみたいにケーブルで接続するのに比べて一体感が高く、コンパクトなこともあってハイレゾプレーヤーのように扱えます。電源は連動していませんが、同時に充電できる二股のmicroUSBケーブルが入ってます。また試作機に比べるとAK100が当たる面にベルベットが貼ってあり細やかな改良が感じられます。
A1のポイントとしては合体メカということに加えて、ケーブルがないという点も音質ではポイントになると思います。
音質は驚くほど高く、夏のヘッドフォン祭の試作機より完成度が上がっています。試作機ではシャープなだけでしたが、製品版では豊かなオーディオらしい音が聴けます。音質のレベルも高く、小さいわりにスケール感があってまるで据え置きのホームアンプなみにも感じられる余裕があり、全体の印象はHiFi M8なみというか、M8に似ていると感じました。
GloveAudioとAKR03のバランス接続
特に注目してほしいのはバランス駆動での音質の高さです。回路はフルバランスであり、通常版の9018の採用もそれゆえなのかもしれません。
3.5mmシングルエンドと2.5mmバランス駆動の音の差が第二世代AKよりも大きく、2.5mmバランスでのパワフルで濃密な音再現はA1の大きな魅力です。バランス駆動らしい力強く鳴らす音再現です。
このため、従来のAK100/AK120をもっている人がパワーアップのためにA1を買うのはもちろんお勧めですが、バランスケーブルなど2.5mm資産をもつ第二世代AKユーザーも眠ってる第一世代AKを活用してA1を買う価値があるのではないかと思います。
また日本語マニュアルと日本語保証書がついてくるところは店頭での販売と合わせて多くのユーザーは安心できる点だと思います。
2014年11月20日
新興カスタムブランド、EarWerkzのKickstarterユニバーサル
最近AurisonicsのRocketsや1964ADELのKickstarter記事を書きましたが、新興カスタムブランドであるEarWerkzもKickstarterキャンペーンを展開しています。
EarWerkzはアメリカの新しいカスタムIEMブランドで下記のHeadFiに記事があります。
http://www.head-fi.org/t/737233/earwerkz-a-new-ciem-company-discussion-thread
EarWerkzはProject Supraという名前で、一番売れているというカスタムiEMのEP2(2wayで1high,1low)のユニバーサル版をKickstarterで展開しています。
https://www.kickstarter.com/projects/512959633/earwerkz-supra-the-universal-custom-in-ear-monitor?ref=nav_search
一日で目標額を達成していますが、目標額自体が低く設定されているとは言えます。
EarWerkzはProという普通のカスタムIEMのブランドと、Heroというスポーツ用のイヤフォンのブランドがあって、それぞれに独自のプラグを採用しています。Proは耳巻き式でHeroはストレートで高耐久性です。Project Supraではrewardにどちらかのタイプを選べます。
またイヤチップにはComplyのT400を使うということです。
早割の$279が少し残っていますが、$299がKickstrter値段のようです。ただしもとのEP2が$399という値段ですからユニバーサルで$299は少し高いように思えますね。Rocketsとか1964ADELではもっと安く設定してありますので、リスク含みのKickstarter価格としてはやや高めです。目標額も低いし、クラウドファンディングというよりは普通のプリオーダーに近いように思いますが、イヤフォンのクラウドファンディング利用が増えてきたということ自体は興味深いものがあります。
EarWerkzはアメリカの新しいカスタムIEMブランドで下記のHeadFiに記事があります。
http://www.head-fi.org/t/737233/earwerkz-a-new-ciem-company-discussion-thread
EarWerkzはProject Supraという名前で、一番売れているというカスタムiEMのEP2(2wayで1high,1low)のユニバーサル版をKickstarterで展開しています。
https://www.kickstarter.com/projects/512959633/earwerkz-supra-the-universal-custom-in-ear-monitor?ref=nav_search
一日で目標額を達成していますが、目標額自体が低く設定されているとは言えます。
EarWerkzはProという普通のカスタムIEMのブランドと、Heroというスポーツ用のイヤフォンのブランドがあって、それぞれに独自のプラグを採用しています。Proは耳巻き式でHeroはストレートで高耐久性です。Project Supraではrewardにどちらかのタイプを選べます。
またイヤチップにはComplyのT400を使うということです。
早割の$279が少し残っていますが、$299がKickstrter値段のようです。ただしもとのEP2が$399という値段ですからユニバーサルで$299は少し高いように思えますね。Rocketsとか1964ADELではもっと安く設定してありますので、リスク含みのKickstarter価格としてはやや高めです。目標額も低いし、クラウドファンディングというよりは普通のプリオーダーに近いように思いますが、イヤフォンのクラウドファンディング利用が増えてきたということ自体は興味深いものがあります。
2014年11月19日
インターフェイス(株)と国産DAC内蔵ポタアンの明日
今日は組み込み総合技術展2014を取材に行きました。目的は立川のインターフェイス株式会社さんのオーディオ関連展示を見るためです。
インターフェイスさんは前に1bitコンソーシアム記事で書きましたが、オーディオメーカーがDSDやハイレゾ対応のUSB DACを出すときに、オーディオメーカーさんでは難しいUSB伝送周りのインフラをOEM提供している会社です。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/367601794.html
つまり国産USB DACの隆盛を築いた縁の下の力持ち的な存在です。DSDネイティヴ再生対応のUSB DACでははじめ海外勢がリードしてましたが、一気に国産DACが追いついた影の立役者といえます。
そのPCオーディオで築いたインフラを今度はポータブルオーディオに発展させたというのが今回の展示です。
いままでPCオーディオでインターフェイスさんが提供していたのはITF USBという一連の製品と技術です。これはUSBコントローラとかソフトウエアのフレームワークなどから構成されるソリューションです。
ITF USBの技術的なキーは従来ならFPGAとかXMOSを使ってるところを汎用のCPUで実装してるので価格と柔軟性、入手の容易性でメリットがあるという点です。
今回の展示はそれを発展させたITF USB EXPCMとITF USB DSDという製品です。ITF USB EXPCMとITF USB DSDの違いは価格とスペックだと思います。
まずポイントはCPUがNXPやFreescaleのように安くなったということです。以前は前の記事でも書きましたがTIの高価なもので、そこを改善させたいと言っていたのが完成したということですね。
そしてもう一つのポイントはiOSとの接続性です。前は研究中でしたが、完成したようです。それがITF USB DSDに組み込まれています。
前は私がいうホストモードでカメラコネクションキットでiOSとDACを接続していました。この場合DAC側はUSB Bですが、今回の接続はUSB Aになっています。これはわたしが言うアクセサリーモードですが、実はこのインターフェイスさんの基盤でコントロールしています。つまり従来はカメラコネクションキットがいわばハードで行っていた"スイッチ"をソフトでコントロールしているということです。
つまり私はホストモードとアクセサリーモードって言ってるけど、そこはハード的な制約であり、ソフトで切り替えが可能ということです。
これはアップルが許している範囲で行えるそうです。
この利点としては、まずアップルのポリシーが変わっても対応できるということです。例えばいまiOSからUSB DACにカメラコネクションキットで出力してますが、実のところ「カメラ」キットをオーディオで使うというイレギュラーな方法であり、今は大丈夫ですがアップルの胸先三寸で変わりうる危ういインフラに成り立っています。しかしこのインターフェイスさんの技術ではアップルのポリシーが急に変わっても対応できるということです。
またこうするとカメラコネクションキットではなく普通のUSBケーブルでUSB Aに接続ができます。そしていままで44/16が制限と思われてきたUSB Aのアクセサリーモード接続(一般的にいうiDeviceデジタルとかiPodデジタル)においてもハイレゾとかDSDが可能となっているということです。
ITF-DSDアプリ
iOS側のアプリはHF Playerで可能ということですが、ここはメーカーさんによってはONKYOさんのHF Playerを使ってくれと言い難い場合もあります。
そこでインターフェイスさんではITF-DSDというアプリを用意しています。これはHF Playerをもたない会社のOEMベースとなるアプリで、いままでのITF Audio ToolkitのiOSアプリ版と言えます。これを元にメーカーさん固有のアプリが作れるというわけです。
このITF USB EXPCM/DSDの応用例としては、インターフェイスさんとしては、iOSとつなぐためのポータブルアンプの基盤が欲しい会社のソリューションとして提供できるというわけです。さきの低コスト化もここで効いてくるでしょう。
つまりインターフェイスさんがPCオーディオのUSB DACで築いてきたインフラというかOEMソリューションをポータブルオーディオのDAC内蔵ポータブルアンプでも提供できるわけです。
実際にITF-DSDアプリからITF USB DSD基盤(DAC)への再生を聴いたんですが音も良いです。DSD(DoP)とPCMの切り替えでポップノイズが皆無なのもインターフェイスの技術ならではでしょう。
我々の期待値としては、国産のiOS対応DACポタアンがより入手しやすくなっていくと言えるでしょう。
今年は国産のポータブルアンプが隆盛を見ましたが、今後も期待ができそうです。
なおAndroidはにたようなものを検討中だそうです。
インターフェイスさんのホームページはこちらです。
http://www.itf.co.jp
インターフェイスさんは前に1bitコンソーシアム記事で書きましたが、オーディオメーカーがDSDやハイレゾ対応のUSB DACを出すときに、オーディオメーカーさんでは難しいUSB伝送周りのインフラをOEM提供している会社です。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/367601794.html
つまり国産USB DACの隆盛を築いた縁の下の力持ち的な存在です。DSDネイティヴ再生対応のUSB DACでははじめ海外勢がリードしてましたが、一気に国産DACが追いついた影の立役者といえます。
そのPCオーディオで築いたインフラを今度はポータブルオーディオに発展させたというのが今回の展示です。
いままでPCオーディオでインターフェイスさんが提供していたのはITF USBという一連の製品と技術です。これはUSBコントローラとかソフトウエアのフレームワークなどから構成されるソリューションです。
ITF USBの技術的なキーは従来ならFPGAとかXMOSを使ってるところを汎用のCPUで実装してるので価格と柔軟性、入手の容易性でメリットがあるという点です。
今回の展示はそれを発展させたITF USB EXPCMとITF USB DSDという製品です。ITF USB EXPCMとITF USB DSDの違いは価格とスペックだと思います。
まずポイントはCPUがNXPやFreescaleのように安くなったということです。以前は前の記事でも書きましたがTIの高価なもので、そこを改善させたいと言っていたのが完成したということですね。
そしてもう一つのポイントはiOSとの接続性です。前は研究中でしたが、完成したようです。それがITF USB DSDに組み込まれています。
前は私がいうホストモードでカメラコネクションキットでiOSとDACを接続していました。この場合DAC側はUSB Bですが、今回の接続はUSB Aになっています。これはわたしが言うアクセサリーモードですが、実はこのインターフェイスさんの基盤でコントロールしています。つまり従来はカメラコネクションキットがいわばハードで行っていた"スイッチ"をソフトでコントロールしているということです。
つまり私はホストモードとアクセサリーモードって言ってるけど、そこはハード的な制約であり、ソフトで切り替えが可能ということです。
これはアップルが許している範囲で行えるそうです。
この利点としては、まずアップルのポリシーが変わっても対応できるということです。例えばいまiOSからUSB DACにカメラコネクションキットで出力してますが、実のところ「カメラ」キットをオーディオで使うというイレギュラーな方法であり、今は大丈夫ですがアップルの胸先三寸で変わりうる危ういインフラに成り立っています。しかしこのインターフェイスさんの技術ではアップルのポリシーが急に変わっても対応できるということです。
またこうするとカメラコネクションキットではなく普通のUSBケーブルでUSB Aに接続ができます。そしていままで44/16が制限と思われてきたUSB Aのアクセサリーモード接続(一般的にいうiDeviceデジタルとかiPodデジタル)においてもハイレゾとかDSDが可能となっているということです。
ITF-DSDアプリ
iOS側のアプリはHF Playerで可能ということですが、ここはメーカーさんによってはONKYOさんのHF Playerを使ってくれと言い難い場合もあります。
そこでインターフェイスさんではITF-DSDというアプリを用意しています。これはHF Playerをもたない会社のOEMベースとなるアプリで、いままでのITF Audio ToolkitのiOSアプリ版と言えます。これを元にメーカーさん固有のアプリが作れるというわけです。
このITF USB EXPCM/DSDの応用例としては、インターフェイスさんとしては、iOSとつなぐためのポータブルアンプの基盤が欲しい会社のソリューションとして提供できるというわけです。さきの低コスト化もここで効いてくるでしょう。
つまりインターフェイスさんがPCオーディオのUSB DACで築いてきたインフラというかOEMソリューションをポータブルオーディオのDAC内蔵ポータブルアンプでも提供できるわけです。
実際にITF-DSDアプリからITF USB DSD基盤(DAC)への再生を聴いたんですが音も良いです。DSD(DoP)とPCMの切り替えでポップノイズが皆無なのもインターフェイスの技術ならではでしょう。
我々の期待値としては、国産のiOS対応DACポタアンがより入手しやすくなっていくと言えるでしょう。
今年は国産のポータブルアンプが隆盛を見ましたが、今後も期待ができそうです。
なおAndroidはにたようなものを検討中だそうです。
インターフェイスさんのホームページはこちらです。
http://www.itf.co.jp
2014年11月10日
Androidのissue 24614(USB Audioサポート)がついにリリースに!
今まで何回か書いてきたAndroidのissue 24614がとうとうリリースのステータスに変わりました!
これでAndroidのUSBオーディオクラス対応 DACサポートへ一歩前進です。
https://code.google.com/p/android/issues/detail?id=24614
リリース日は11/6ですが、先週は11/5にAndroid5.0(Lollipop)のリリースがあると言われていて見送られた日なので、やはりこの後に追加変更ビルドが発生していたようですね。
これでAndroidのUSBオーディオクラス対応 DACサポートへ一歩前進です。
https://code.google.com/p/android/issues/detail?id=24614
リリース日は11/6ですが、先週は11/5にAndroid5.0(Lollipop)のリリースがあると言われていて見送られた日なので、やはりこの後に追加変更ビルドが発生していたようですね。
いままではAndroidでは一部の機種かUSB Audio Player Proなどを使うことでしかUSBDACに接続できませんでしたが、これでOS5.0であれば全ての機種でUSBクラスオーディオ対応(いわゆるドライバーレスのもの)のUSB DAC接続が可能になるはずです。ただしOTGケーブルが必要となります。
ちなみにLollipop搭載のNexus9ではすでにOTG使用で外付けドライブがマウント可能であることが確認されています。
次のリリースタイミングは11/12とみられていますが、ちょっと期待したいところです。
2014年11月09日
1964earsのKickstarterキャンペーンと耳を守るRealLoud技術
1964earsがKickstarterでクラウドファンディングのキャンペーンを始めています。
https://www.kickstarter.com/projects/1043330169/realloud-technology-that-saves-your-hearing-and-yo
これはADELのRealLoudという聴力保護を目的とした"第二の鼓膜"をショックアブソーバーにするパテントが採用されているところが目玉です。
これは下記のパテントの解説リンクによると3年ほど前に開発されたようですが、このリンクでは商品化の予定はないと書いていますので、それが今回実現したのがこのKickstarterキャンペーンなのでしょう。
このページによるとイヤフォンで塞がれた耳穴内で音を上げると鼓膜から内耳の蝸牛を通じて筋肉が過剰に反応することで実際の音のレベルを最大50dBは下げているということで、ユーザーはさらにボリュームを上げてしまうことになります。その耳の筋肉の緊張を取ることにより実際はより小さい音で聴くことができるので耳に与える悪影響が少ないとのことです。
http://www.gizmag.com/adel-could-eliminate-listener-fatigue/18653/
ただ上のリンクを見るとその仕組みは耳道に差し込む風船のようなものになっていますが、今回用いられているのはそうではなく"第二の鼓膜"はイヤフォン内の音導孔に据え付けられた可変式のベントのような実用的なものとなっているようです。これはADELモジュールというベントのようなもので、下記のように可変式の調整ノブがついています。
Kickstarterの解説動画より
これは1964ADELの下記ホームページの動画を見るとわかりますが、実際の音信号(Acoustic)の成分は通して、耳の筋肉を委縮させることになる音の空気圧(pneumatic pressure)は逃がすという仕組みによるもののようです。下の図で赤いのがpneumatic pressureで緑がAcoustic signalです。左の図が今までのイヤフォンで赤と緑が同時に鼓膜に到達して鼓膜に悪影響するものが、右のADELのベントを使うと、赤いpneumatic pressureがベントで外部に逃げているのがわかると思います。
http://www.1964adel.com/
1964ADELページの動画より
この技術は上の1964ADELページの動画の中でも言ってますが、耳を保護するというほかに音質を上げるということも述べています。それはさきに書いた耳の筋肉が委縮することが音質を下げる方向に働くからということのようです。Kickstarterの下の方のQAで音場がひろがるとか声が聞きやすいことが書いてあります。
https://www.kickstarter.com/projects/1043330169/realloud-technology-that-saves-your-hearing-and-yo
これはADELのRealLoudという聴力保護を目的とした"第二の鼓膜"をショックアブソーバーにするパテントが採用されているところが目玉です。
これは下記のパテントの解説リンクによると3年ほど前に開発されたようですが、このリンクでは商品化の予定はないと書いていますので、それが今回実現したのがこのKickstarterキャンペーンなのでしょう。
このページによるとイヤフォンで塞がれた耳穴内で音を上げると鼓膜から内耳の蝸牛を通じて筋肉が過剰に反応することで実際の音のレベルを最大50dBは下げているということで、ユーザーはさらにボリュームを上げてしまうことになります。その耳の筋肉の緊張を取ることにより実際はより小さい音で聴くことができるので耳に与える悪影響が少ないとのことです。
http://www.gizmag.com/adel-could-eliminate-listener-fatigue/18653/
ただ上のリンクを見るとその仕組みは耳道に差し込む風船のようなものになっていますが、今回用いられているのはそうではなく"第二の鼓膜"はイヤフォン内の音導孔に据え付けられた可変式のベントのような実用的なものとなっているようです。これはADELモジュールというベントのようなもので、下記のように可変式の調整ノブがついています。
Kickstarterの解説動画より
これは1964ADELの下記ホームページの動画を見るとわかりますが、実際の音信号(Acoustic)の成分は通して、耳の筋肉を委縮させることになる音の空気圧(pneumatic pressure)は逃がすという仕組みによるもののようです。下の図で赤いのがpneumatic pressureで緑がAcoustic signalです。左の図が今までのイヤフォンで赤と緑が同時に鼓膜に到達して鼓膜に悪影響するものが、右のADELのベントを使うと、赤いpneumatic pressureがベントで外部に逃げているのがわかると思います。
http://www.1964adel.com/
1964ADELページの動画より
この技術は上の1964ADELページの動画の中でも言ってますが、耳を保護するというほかに音質を上げるということも述べています。それはさきに書いた耳の筋肉が委縮することが音質を下げる方向に働くからということのようです。Kickstarterの下の方のQAで音場がひろがるとか声が聞きやすいことが書いてあります。
HeadFi読むと追加情報がわかりますが、この薄膜の入った可変ベントを開けていくと外の音が聞こえるようになり、アイソレーションは落ちるようですが、このADELの効果を得るためにはいくらかは開けておかないとならないようです。完全に締めることでアイソレーションも得られますが完全に締めるとADEL効果は得られないようです。
それで今回のKickstarterの投資に対する対価ですが、1964ADELの製品としてかなり多くのラインナップが用意されています。
ADEL Ambient(2-12ドライバー)はAmbient12だと中高域6つ、低域6つというすごい構成です。ADEL Controlは9mmダイナミックでチップをひねることでベントの調整と低域の調整ができるようです。
1964|ADEL U-Seriesはいままでの1964earsのVシリーズカスタムをユニバーサル化したものです。よく考えると1964earsのユニバーサル自体が特記ものだったかも。またそのことでAmbientシリーズとは区別できると思います。U6だったら2low/2mid/2highという通常構成です。Ambient4だと早割で$250、U4だと$300です。U6はV6かV6Sのどっちに近いかというのはFacebookでV6Sに近いと答えています。
そしてカスタムの1964|ADEL A10/12も用意されています。いまだとまた早割が適用されているので、通常$1600のA12が$1200になっています。ただ早割残りがA12で470以上あるのでわずかというわけではありません。ちなみにもう最低限ゴールはクリアしているので商品化は確実です。時期はユニバーサルはみなCGなのでもわかるように、2015年5月です。ただしカスタムに関しては2015年2月には入手できそうです。
全体的にKickstarter早割で正規商品になったときのの50%オフ程度のようです。ところで早割のearly birdっていうのは"The early bird catches the worm"(早起きは3文の得)っていう英語のことわざからきています。
さて、耳の保護だけでなく音質向上的な意味もあるというならちょっと面白そうなのでなにかいってみたいところではありますね。
それで今回のKickstarterの投資に対する対価ですが、1964ADELの製品としてかなり多くのラインナップが用意されています。
ADEL Ambient(2-12ドライバー)はAmbient12だと中高域6つ、低域6つというすごい構成です。ADEL Controlは9mmダイナミックでチップをひねることでベントの調整と低域の調整ができるようです。
1964|ADEL U-Seriesはいままでの1964earsのVシリーズカスタムをユニバーサル化したものです。よく考えると1964earsのユニバーサル自体が特記ものだったかも。またそのことでAmbientシリーズとは区別できると思います。U6だったら2low/2mid/2highという通常構成です。Ambient4だと早割で$250、U4だと$300です。U6はV6かV6Sのどっちに近いかというのはFacebookでV6Sに近いと答えています。
そしてカスタムの1964|ADEL A10/12も用意されています。いまだとまた早割が適用されているので、通常$1600のA12が$1200になっています。ただ早割残りがA12で470以上あるのでわずかというわけではありません。ちなみにもう最低限ゴールはクリアしているので商品化は確実です。時期はユニバーサルはみなCGなのでもわかるように、2015年5月です。ただしカスタムに関しては2015年2月には入手できそうです。
全体的にKickstarter早割で正規商品になったときのの50%オフ程度のようです。ところで早割のearly birdっていうのは"The early bird catches the worm"(早起きは3文の得)っていう英語のことわざからきています。
さて、耳の保護だけでなく音質向上的な意味もあるというならちょっと面白そうなのでなにかいってみたいところではありますね。
2014年11月04日
Robert Reed - Sanctuary
これは今年の夏くらいに出たアルバムですがRobert Reedというイギリスのミュージシャンがどれだけマイクオールドフィールドの音楽に近づけるかという点に挑戦してオリジナル曲を書いたものです。ただのトリビュートやコピーではなくあえて曲はオリジナルを書いたというのが面白いところです。もちろんフレーズは似ていますが、微妙に聞いたことがない感が味わえます。一言でいうと、マイクオールドフィールドの初期3部作の4枚目を完コピしているといえば良いでしょうか。それで劣化していないというのがなかなか良く書けているところです。
下記にYoutubeでプロモ映像がありますが、もちろん一人多重録音です。しかしマイクはこれを70年代のアナログ時代にやったんですからすごいものです。
ただ当時のマイクの内向感というか今でいう引きこもり感がちょっとなくて表の音楽性のみをコピーした感はあります。いわばもう少しキーを下げると初期作品の暗く重い雰囲気に近づけるかなと思えるところもあるけれども、そこはRobert Reedとマイクの差というよりも、時代の差のような気もします。
CDはAmazon、ダウンロードはBandcampで購入可能です。
Bandcampのリンクは下記です。
https://robertreed.bandcamp.com/releases
ジャケットはなぜかルビコンというのもちょっと面白いですね。
こちらを聴いて興味が出た人には日本のマイクオールドフィールドことAsturiasの大山氏の樹霊もお勧めします。こちらも多重録音製作ですが、もちろん完全Asturiasオリジナルです。
と、ここまで書いたらやはりオリジナルのことも書かなければならないかと思ったんですが、以前下記の記事で書いていますのでこちらをどうぞ。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/154656059.html
下記にYoutubeでプロモ映像がありますが、もちろん一人多重録音です。しかしマイクはこれを70年代のアナログ時代にやったんですからすごいものです。
ただ当時のマイクの内向感というか今でいう引きこもり感がちょっとなくて表の音楽性のみをコピーした感はあります。いわばもう少しキーを下げると初期作品の暗く重い雰囲気に近づけるかなと思えるところもあるけれども、そこはRobert Reedとマイクの差というよりも、時代の差のような気もします。
CDはAmazon、ダウンロードはBandcampで購入可能です。
Bandcampのリンクは下記です。
https://robertreed.bandcamp.com/releases
ジャケットはなぜかルビコンというのもちょっと面白いですね。
こちらを聴いて興味が出た人には日本のマイクオールドフィールドことAsturiasの大山氏の樹霊もお勧めします。こちらも多重録音製作ですが、もちろん完全Asturiasオリジナルです。
と、ここまで書いたらやはりオリジナルのことも書かなければならないかと思ったんですが、以前下記の記事で書いていますのでこちらをどうぞ。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/154656059.html
2014年11月02日
機材と文化、カメラとオーディオ
11/1はライカの父であるオスカーパルナックの誕生日でした。また今年はパルナックがライカの原型となるウル・ライカの発明から100周年となります。つまりいまほとんどの人が使っているようなカメラが生まれてから100年となります。
本日のライカ公式Facebookから
もちろんライカの前からカメラはありましたが、ライカが画期的だったのはいままで大型で持ち運びが難しく三脚に据えて撮るという常識を、手に持てるようなポータブルなものにしたことです。これはカメラに撮る自由をもたらして写真文化を大きく変革しました。
そうした意味ではオーディオでいえば初代Walkmanに似ているかもしれません。Walkmanから外で音楽を聴くことが一般的なものとなり、音楽を聴くかたちを変革していきました(ちなみに3.5mmステレオミニプラグは初代Walkmanがはじまりです)。
そしてもうひとつライカには重要なポイントがあります。ライカの小型化をもたらしたのは、フィルムを映画の2コマ分を一コマとしたいわゆるライカ版(36x24 - デジカメでいうフルサイズ)と定めて小型化したことです。いままでの大型カメラのフィルム(あるいは乾板)ならそのまま印画紙サイズで鑑賞できたものを、小さくしたので引き伸ばしが必要となります。このためライカの発売とともに引き伸ばし機も標準で用意されています。つまりライカというのは実はカメラの小型化だけではなく引き伸ばし機と一体のシステムだったわけです。
そしてこの縮小・引き伸ばしというプロセスがライカの隆盛で写真の世界で当たり前になったのですが、縮小したことによる画質の劣化は避けられません。つまりこれは言い換えるとライカは利便性と引き換えに画質が落ちることを人々に納得させた、ということも言えます。
そういう意味ではオーディオでいえばよりiPodに近いのかもしれない、とふと思いました。あるものが革新的というのは、それが人々のコンセンサスを変えうる、ということなのかもしれません。
本日のライカ公式Facebookから
もちろんライカの前からカメラはありましたが、ライカが画期的だったのはいままで大型で持ち運びが難しく三脚に据えて撮るという常識を、手に持てるようなポータブルなものにしたことです。これはカメラに撮る自由をもたらして写真文化を大きく変革しました。
そうした意味ではオーディオでいえば初代Walkmanに似ているかもしれません。Walkmanから外で音楽を聴くことが一般的なものとなり、音楽を聴くかたちを変革していきました(ちなみに3.5mmステレオミニプラグは初代Walkmanがはじまりです)。
そしてもうひとつライカには重要なポイントがあります。ライカの小型化をもたらしたのは、フィルムを映画の2コマ分を一コマとしたいわゆるライカ版(36x24 - デジカメでいうフルサイズ)と定めて小型化したことです。いままでの大型カメラのフィルム(あるいは乾板)ならそのまま印画紙サイズで鑑賞できたものを、小さくしたので引き伸ばしが必要となります。このためライカの発売とともに引き伸ばし機も標準で用意されています。つまりライカというのは実はカメラの小型化だけではなく引き伸ばし機と一体のシステムだったわけです。
そしてこの縮小・引き伸ばしというプロセスがライカの隆盛で写真の世界で当たり前になったのですが、縮小したことによる画質の劣化は避けられません。つまりこれは言い換えるとライカは利便性と引き換えに画質が落ちることを人々に納得させた、ということも言えます。
そういう意味ではオーディオでいえばよりiPodに近いのかもしれない、とふと思いました。あるものが革新的というのは、それが人々のコンセンサスを変えうる、ということなのかもしれません。