Music TO GO!

2013年11月27日

ハイエンドオーディオのCHORDからパルスアレイDAC内蔵ポータブルアンプ"Hugo"登場

CHORDというとQBD76や、かつて知られたDAC64のようにハイエンドオーディオの代名詞の一つで、ヘッドフォン世界からはやや遠い存在でした。しかし、今回そのCHORDがポータブルヘッドフォンアンプを開発しました! その名もHUGO(ヒューゴ)というもので、入力はすべてデジタルで行う超高性能DAC内蔵ポータブルアンプです。入力は384kHz PCM、DSD 128、そしてBluetoothにも対応します。

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画期的な点はCHORDはHUGOをCodetteシリーズのようなコンシューマ向けの安い製品ではなく、CHORDでも最上クラスを意味するリファレンスグレードの製品として考えているということです。
ほかのオーディオメーカーでもエントリークラスとしてヘッドフォンやPCオーディオ製品を出すことはよくありますが、CHORDではHUGOをリファレンスグレードであるとしています。理由は後で分かってくると思います。

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HugoのDAC部分はQBD76やDAC64ではおなじみのパルスアレイDACを採用しています。ESSやWolfsonなどの出来合いのDACチップではなく、FPGAで構成されたカスタムメイドのDAC回路です。しかもこのパルスアレイDACは新世代のもので、スペック的にQBD76をさえ上回る点もあります。ポータブルで、ですよ。またポータブルにも適合できるように特に低消費電力に力点が置かれています。

ちなみにHugoという名前はYou Go(ユーゴー)というところからきた英国モンティパイソン流の英語のごろ合わせです。これはWherever you go(あなたのいくところ、どこへでも)というところから来たもので、ポータブル製品を表しています。

* Hugo発表会とCHORDのこれまでとHugo開発の背景

本日はCHORD社から創始者であり開発チーフでもあるジョンフランクスが来日して、プロトタイプを持参してのデモを行ってくれました。
また、私がインタビュアーとなっていくつか質問をしています。その内容はフジヤさんの動画で後に公開予定です。

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本日が一般にはワールドプレミアになります。ただし本日はプレビュー的なもので、正式な発表会は後で開催されます。本日持参してくれたのはプロトタイプで、情報も開発段階のものですので念のため。


ジョン・フランクスはChordの創立者で、もともと航空機開発の電源開発に関わっていました。話を聞いてみるとコンコルドなどにも関わっていたようです。
CHORDには他社と比較するのではなく、自分で最高のものを開発するという哲学があるということで、自分たちが目指すものは高品質でありハイエンドと位置付けられているとのこと。製品はオペラハウスのPA用のアンプとして数百台も採用され、自然な音再現が評価されているそうです(下の写真)。

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CHORDではジョン・フランクスは主にCHORDのコンセプト全般とアナログまわり関係を担当していて、ロバート・ワッツはデジタル関係を担当しています。ロバート・ワッツとはスタジオに出入りして出会いました。彼はDAC開発をしていてユニークなゲイトアレイを使用した市販品のDACチップではない、それらを超えるDACを開発していました。これがのちのFPGAを使用するパルスアレイDACになります。

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上の写真ではジョン・フランクスはDAC64の基盤を持って説明しています。右はDAC64の基盤です。

当初のDAC64では音は良かったが熱くなるのが難点だったということ。QBD76はさらに進化したFPGAにより性能があがり熱効率と消費電力は改善され、QBD76は発熱しなくなりました。これはFPGAを使ったDACのメリットでありムーアの法則で良くなって来たというわけです。
さらにFPGAのサイズメリットを生かすためにコンパクトなQuteHD/EXが出てきました。
この辺りで最近は若者はあまりハイエンドは買わなくなったということも合わせて、なにができるかを考えていたということ。そこにソニーが出した例のDAC付きヘッドフォンアンプ(HPA-1)に考えさせられ、我々もできるのではないかと14ヶ月前にロバート・ワッツに相談したということです。

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そこでロバート・ワッツは新しいFPGAのXilinx Spartan-6を使うアイデアを持ってきました。これはQuteのものより高性能で低消費電力でした。性能面でいうと、各機種のタップ数(処理の細かさ)はだいたい次のようになります。
DAC64 1024
QBD76 17000
Qute 8000
Hugo 26000

タップ数が増えるほど処理能力は上がります。つまりQuteにおいてはQBD同世代のFPGAを採用してQBDのスケールダウン版だったのでいったん処理能力は下がりましたが、最新のFPGAを採用したHugoはQBDより性能が上がったわけです。ここにCHORDが自信を持ってリファレンスクラスという理由があります。
性能面でいうとなんと、HugoはTHD -140dB(DRもほぼ同じ)を達成しているのです!
ポータブルで、ですよ。据え置き高性能DACでも100dB越えたら高性能でしょう。ジョンいわく「ロバートから提示されたものを見た時は、まるで他の惑星から来たようだと思った」です。

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さらにHugoではFPGAのあまりあるパワーを使ってFPGAでデジタルボリューム(32bit)を作りました。これも高精度なタップ数ゆえにロスはほぼ皆無ということです。ボリュームは光学エンコーダで読み取られます。
上の写真はHugoの内部画像です。右と左端のバッテリーが大きいのがわかります。

* Hugoと最新技術

CHORD社の製品の特徴はパルスアレイDACやWTAフィルターのような先進的なデジタル回路と、SMPSのように強力で高品質のスイッチング電源が特徴です。
また航空機グレードのアルミ切削のシャーシもこのクラスのオーディオには欠かせません。そしてHugoはこれらのすべてを備えた生粋のChord製品です。妥協はありません。ビーズブラスト(サンドブラストより細かい)処理による表明仕上げも特徴的です。

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実のところ限られた電源を有効に使わねばならないポータブルではこのCHORDの効率の良い電源が有効で、CHORDはポータブルにも通用できる要素技術を持っていたと言えるかもしれません。
そして、CHORD製品をポータブルにするのに必要なもうひとつの要素技術は低消費電力です。この新たな第6世代のパルスアレイDACでは特に低消費電力に重きが置かれています。
例えばDAC64では、4つのXilinx 100,000ゲート・ロジック・アレイFPGAが搭載され、それぞれ3.3V/8Wのパワーを供給する必要がありました。それは人の体温くらいに発熱する効率の悪さでした。
HUGOに採用された第6世代Xilinxは0.7V以下になっています。HUGOには1個(*初出時2個と書きましたが1
個です
)の低消費電力のXilinx Spartan-6が搭載されていますが、バッテリー・パワーを効率的に運用するために超高効率スイッチング・レギュレーターを採用し、これらの1.2MHzスイッチング・レギュレーターとともにスイッチング・ノイズから完全に解放され、負荷の高い再生状態にあっても電力消費は低く抑えることを可能にしています。

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もちろん性能面でも向上が図られています。CHORDでは独自のWTAデジタルフィルターも自慢の技術ですが、HUGOのWTAフィルタリングでは16個のカスタム・デザインDSPコアが208MHzのスピードで動作して26,368タップもの高精度でWTAフィルターを実装しています。さきに書いたようにDAC64ではわずか1,024タップの精度ですし、なんとこれはあのQBD76より1.5倍も上回ります。設計者自身ここまで可能とは思っていなかったが、実現できたと語っています。

これによりTHD -140dBというポータブル機材ではありえないような、というか据え置きハイエンド機器でもほとんどみないようなレベルの数値が実現できているということです。
まさに最新のデジタル技術が惜しげもなく採用されていて、いままでのポータブル機材とはあきらかにレベルが異なるのが分かると思います。
いままでは据え置きで使い古された技術をコストダウンしてポータブルに導入と言うケースがほとんどだったと思いますが、このHugoではまさに据え置きホームオーディオでもないような最先端の技術が採用されています。それがリファレンスクラスです。

* Hugoの仕様

ここでHugoの仕様をまとめたいと思います。
ケースはいままでのCHORD製品同様にCNC切削による航空機グレードのアルミシャーシです。入力はデジタルのみで光(TOS)入力、SPDIF入力、USB入力(2系統)、そしてBluetoothです。
光(TOS)入力は192khz対応で、SPDIFは352/384kHzまで対応しています(両方とも24bit対応)。USBは2系統あって、ひとつは48kHz/16bit専用のもので、こちらはスマートフォンやタブレットでの利用を想定していてドライバーレス(USB Class1)です。もうひとつはPC/Macからの接続を想定したHD入力のもので、こちら352.8/384KHzで32bit入力まで対応していますが、カスタムドライバーのインストールが必要です。
確認しましたがスマートフォン用USB入力はバスパワーではなくセルフパワーですから、USBはiPad/iPhoneからも受けられます。実際につないで確認しました。

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もちろんDSDに対応していて、DSD128(5.6MHz)にも対応しています。DSDネイティブ再生にはDoPを使用します。BluetoothはApt-Xに対応したものです。金属のシャーシだけれどもプラスチックの窓を設けてアンテナ効率を高めています。高性能オーディオではまだBT対応も数少ないですが、やはり個人的にはスマートフォン・タブレット時代のポータブルオーディオではワイヤレス対応が必要であると考えています。
またCHORDはQBD76も含めて伝統的にBT技術をも探求していてその成果のひとつとも言えます。BTは完全ではないが、進化を続けているというわけです。

出力系統はミニヘッドフォン端子(3.5mm)が2つ、標準端子(1/4インチ)がひとつあります。またRCAアナログ出力が一組ついていますので、DACとしても使えます。実際にCHORDのハイエンドアンプのシステムとつないでライドーの新型スピーカーで鳴らしましたが、据え置きに勝るとも劣らない音質です。これだけの音質のものですので、ぜひとも家でも使いたいものですし、多くの人にとっては"My first CHORD"となるでしょう。

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入出力とサンプリングレート、ボリュームレベルは多色のLEDで示されます。サンプリングレートはCHORD独特の窓で、ボリュームレベルはボリュームノブが光ります。
またこれもさきに述べたように、HUGOにはデータロスを最小限にした先進のデジタルボリュームが内蔵されています。またクロスフィードも内蔵されているようで、これはデジタル領域で動作します。
電池の持続時間も気になる人は多いと思いますが、電池はこのスペックにしては長時間の12時間も動作します。製品化までにはさらに伸ばしたいとのこと。フル充電時間は2時間で済むそうで、1時間充電で通常の使用は可能と言うこと。

アンプセクションはデジタルではなくアナログアンプです。アンプ部分も充実していて、後段はディスクリートバッファでパワーも十分あります。8Ωのヘッドフォンもドライブできるのでスピーカーでさえ鳴らせるということです。

* Hugoの使い方

秋のヘッドフォン祭に間に合う予定もあったのですが、万全の体制で臨むため時間を取りました。前回のポータブル研究会でジョンフランクスが来場したことを伝えましたが、あのときも日本のポータブル文化を視察していって、同時に必要な仕様の見直しをはかったりもしています。光やSPDIFなどを含めたデジタル入力の充実も日本のファンがポータブルでデジタル入力を先進的に使っているのを見越しての改良点です。
下の写真はAK100と光接続したHugoです。

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このようにHugoは光入力やSPDIFミニ端子もついていますので、光出力付きのAK100やSPDIF付きのAK100 B-specなどさまざまなデジタル出力を持ったプレーヤーと組み合わせることができます。
また、44kHz専用USB端子があるので、スマートデバイスのiPhoneやiPadとカメラコネクションキットを介してUSB接続でデジタル出力を出せます。またAndroidともUSB OTGを使えば接続可能でしょう(未確認)。
またBluetoothの搭載はスマートフォンをケーブルから開放して真の自由さを謳歌できます。もちろんBTチップ内蔵のプアなDACではなく、超高性能のパルスアレイDACを使用していますのでおそらくBluetoothというものを見直すことでしょう。
もちろんPCやMacからは(超)高性能のヘッドフォンアンプ付きのDACとして使用できます。このくらいのレベルならばたいていの据え置き機は勝負にならないと思います。
アナログ入力はありませんが、そもそもHugoはDACがポイントですし、多くのソース機器の出力を大きく凌駕しているで必要はないですね。
Bluetoothワイヤレスやタブレット専用44kHzUSB入力など、いまからの時代を見越しての設計、そしてユーザーがどう使うかを考慮した設計がなされていると思います。

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ボリュームは表面の丸いノブで音量を上げると色が変わります。丸窓もQuteHDのようにサンプリングレートで色が変わります。iOS7のiPhone5でもカメラコネクションキットで再生ができました。

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試聴は短時間ですが、Edition 8とHD800で聴きました。
音は端正で澄んだ音であり、雑味がなく伸び切っています。粗さがなく上質でキレが良く正確さを感じます。また高解像度ですが自然であり、滑らかで荒さがありません。DAC64のイメージかもしれません。
アンプ部分もなかなか出来がよく、痩せた感じはなく豊かな感じですね。据え置きなみの音と言って良いと思います。ベースやドラムスのインパクトやキレの良さは言うまでもなく、かなりパワフルでHD800をグイグイとひっぱってドライブします。それでいて音が上質で高級オーディオらしさがあります。

下の写真のようにHugoをスピーカーオーディオにつないでパソコンからUSB DACとして音楽再生しましたが、据え置きDACと変わらないくらいのレベルの高い音でした。これも驚きです。
高解像力でかつ自然な音、それが高性能オーディオの証明でしょう。

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なおケーブルもスマートフォン対応を含めて始めからいろいろと付属してくるそうです。


* Hugoがもたらす世界

最近はポータブルオーディオもさかんになり、ハイレゾ対応も含めてオーディオ製品としての品格が求められるようにもなってきました。
Hugoは価格的には予価は約英1000ポンドとポータブルとしては高価格ですが、これは途中過程をちょっと知ってる私からするとバーゲン価格と言って良いと思います。ほとんど儲けはないでしょう。すでに書いてきたことを見ていただければ、内容的にもそれは納得してもらえると思います。

Hugoはいままでにないグレードのポータブル製品と言えると思います。それを出すのがCHORDの矜恃です。
ポータブルオーディオの世界がHugoの登場でより上に拡張されたとみるべきでしょう。まさにリファレンスクラスのハイエンド・ポータブルオーディオです。

ジョンフランクスはCHORDの強みは完全を望む情熱であると語っています。
いままでのポータブルアンプは「最高の音質を追求しました」とか「コスト的に妥協しませんでした」といっても、ある枠があってそれを超えない範囲でのことだったと思います。ハイエンドオーディオメーカーのCHORDの参入によりその枠は広がり、HUGOはその枠を超えています。
HUGOはポータブルオーディオが安かろう悪かろうという世界から、真にスピーカーオーディオに比肩するようなオーディオ世界の仲間入りをする一歩となる歴史的な機器となるでしょう。

しかし、とうとうポータブルオーディオの進化はTHD -140dBという域まで達した最新のパルスアレイDACを採用したポータブルアンプまで登場するに至りました。ポータブルオーディオだからこそ、小型化への必要性がその進化をプッシュしたとも言えるかもしれません。
ポータブルオーディオはガレージメーカー主体から大手メーカーの参入に発展し、いまやハイエンドオーディオメーカーも参入しました。来年からのこの世界にますます期待が高まります。

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最後にジョンが語ったことを紹介します。
"なぜ日本を初めの発表の地に選んでくれたのですか?"という問いにはこう答えています。
「日本は技術においても世界をリードしているが、モバイルオーディオ界でもそう思っている。日本のユーザーの質は高く、日本でまず評価して欲しいと考えた。」ということです。さきのDita Audioのダニーも同じことを言っていましたが、いまや日本のユーザーの熱意が世界から注目されています。
そしてジョンは最後にこう結んでくれました。
「みなさんが私の子供であるこの製品を好きになって欲しいと思います。人は40年前にステレオに驚いて音のリアルさに満面の笑みを浮かべました。ぜひこのHugoでまた同じように驚いて笑みを浮かべて欲しいと思います。」

Hugoは2014年CESで正式に発表され、2014年前半に販売が開始される予定です。
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2013年11月24日

森林公園の紅葉2013 SONY RX1、Sigma DP3M

週末は埼玉の森林公園での紅葉を撮りに行ってきました。
森林公園と言っても昭和記念公園よりさらに広い巨大なのですが、その中のカエデ見本園にいつも行っています。ここはさまざまなカエデの品種が集まっているところです。下はカエデ見本園の全景です。

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iPhone5+AutoStitchアプリ

今回のメインカメラは下のSONY RX1とSigma DP3Mを使用しています。RX1はコンパクトながらフルサイズの35mm、DP3Mはフォビオン採用のAPSサイズで75mm相当とあわせて35mmの広角と75mmの中望遠をカバーできます。またこれらはどちらも現在最高画質クラスのデジタルカメラですが、それぞれに個性もあります。

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iPhone5(左はSONY RX1、右はSigma DP3M)

Sigma DP3Mはフォビオンによるローパスレス・カラーフィルタレスによる超絶シャープネスが特徴です。そのシャープさはDP1/DP2よりもさらに磨きがかかっています。発色もなかなか独特のものがありますね。

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Sigma DP3M

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Sigma DP3M

SONY RX1はフルサイズによるトーンの豊かさとツァイスレンズの端正な写り・鮮やかな発色を特徴としています。レンズ一体型を上手に性能に生かしていて、おそらくこれ以上の上質さは一眼レフでもなかなか得られないでしょう。

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SONY RX1

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SONY RX1

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SONY RX1


直にカエデ見本園に行くのは西口が便利なのですが、南口までの一帯には広い森林が広がっていて、こちらもさまざまな写真を撮ることができます。

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SONY RX1

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Sigma DP3M

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SONY RX1

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SONY RX1

森林公園ではセグウェイの体験ツアーもやっていて、公園内を走っているところをよく見かけます。セグウェイで紅葉を眺めていくのも良いですね。
http://ryufo.kilo.jp/yume_plan/
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posted by ささき at 09:33 | TrackBack(0) | ○ 日記・雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月20日

シンガポールの新星、Dita Audioのハイエンドイヤフォン、"The Answer"

シンガポールから新しいハイエンド・イヤフォン製品が登場しました。Dita Audioというメーカーの名前も"The Answer"というイヤフォンです。
ホームページはこちらです(日本語もあり)。
http://www.ditaaudio.com/

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1. Ditaのオーディオ哲学

実は私が夏にシンガポールに行ってきたときにこのメーカーの人と会っていろいろと話を聞いてきたんですが、それが日本で初お目見えとなります。Ditaの人は日本にもよく来ていて、ぜひこの製品を日本で初登場させたいと語っていました。日本のユーザーのレベルをとても高く評価しているので、ぜひ日本のユーザーの方たちにはじめに聞かせて評価いただきたいと言う願いがあるそうです。この思いをDita設計者のひとり、ダニーが熱く語ってくれました。

まず彼らはオーディオファイルであるというところからスタートしています。だからオーディオファイル向け「のみ」のプロダクトを作りたい。マスマーケット向けの妥協はしたくないというのを強調していました。Dita Audioの設計者たちはシンガポールではオーディオの代理店もやっていて、オーディオマニアとして満足できるオーディオ再現をイヤフォンで実現すると言う目的で作られています。このためにパーツ構成には妥協なく取り組み、可能な限り高精度のパーツを自社で開発しています。事実上ドライバー素材以外のパーツはほとんどすべてDitaの自社製です。

ダイナミックを選んだのもスピーカーオーディオからきたからということで、その採用はバランスド・アーマチュア(BA)に比べるとより自然であると語っています。またBAの問題は性能を上げるためにはマルチBAで組まねばならず、クロスオーバーなど部品が多くなります。そのさいにクロスオーバーなどのコンポーネントはgenericコンポーネント(汎用品でオーディオ向けではないという意味で)を使わねばならず、オーディオとしての音質が製作者にはコントロールできないと言っていました。これはスピーカーのハイエンドオーディオではクロスオーバーにオーディオ用の特注品を使用しているし、オーディオ的な音質と言うことを語るにはオーディオ用に設計されたパーツを使うことが外せないと言っています。

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たとえばプラグなんかも既製品ではなく、自製で音質的に優れたものになるように非磁性やレゾナンスを考慮して一から設計していて、カーボンファイバーを採用したプラグを作りました。もちろんハウジングもCNC加工の100%メタルシャーシで、これらにはDitaの親会社の持つ金属加工技術をフルに発揮しているのも特徴です。親会社が機械製造のプロなのでハウジングの製造にも活かされているということです。このようにわずかなパーツも妥協なくオーディオ向けとして設計し、不要なレゾナンスを減らすなどの考慮をしています。ドライバー以外はプラグに至るまでほぼ自製で、ドライバーも専業メーカー製だけれども独自のチューニングを入れてるとのことです。

またダニーはデータよりも音楽性を取りたいとも語っていました。たとえばAnswerはややペースのレスポンスが高めにも聞こえますが、これは多くのオーディオファイルはベースが少ないと良いと思ってるが、やはりベースは重要であると考えるという彼らの考えに基づいています。実際にハイエンドスピーカーなどもそのコストのほとんどはおそらくベース再現のためなので、これは納得出来る話ではあります。もちろん彼らの言う「良いベース」は単に低域が膨らむというものではなく、重みがあり解像力があって音楽全体の下支えとなる文字通り「基礎」となるベースです。
そしてまた、アタックとかスピードも持ちたい、躍動感をもって音楽の魅力を伝えたいとしています。

そのシンガポールでの暑い夏の日には夢語りかと思ったオーディオファイルのためのイヤフォンがいま製品となりました。その名もDita Audio "The Answer"です。
本来オーディオ機材であれば当然の細かいこだわりの積み重ねが良い音を作ると言う彼らの哲学が結実した、オーディオ機器としてのイヤフォンです。そして箱には自信の証として設計者のサインが描かれています。

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2. Dita Audio Answerイヤフォン

Dita Audio "The Answer"は形式的にはシングルドライバーのダイナミック型イヤフォンです。プラグさえも自製で、汎用品を使わずに音質を向上させるとともに、スマートフォンケースの厚みのオフセットも考慮された使いやすさも考えられています。ハウジングは航空機グレードのアルミニウムの削りだしからCNCで製作されています。これはDitaの親会社が機械製作を行っているノウハウを生かしています。ハウジング・エンクロージャーはスピーカー設計においては音質の重要なキーポイントとしてあげられますが、イヤフォンの場合にはそうした見地からはあまり顧みられていません。Dita Audioではそこにポイントを置いて音質的に最適化して設計を行い、さらに重心から考慮した人間工学的な配慮をしています。
ドライバーは広帯域で反応が早いということに重きが置かれています。シングル構成と言うのも、もちろんコストのためではなく位相の問題を解決し優れたイメージングを得ると言うスピーカーのフルレンジ的な考え方で採用されています。スペック的にも18-25000 Hzと広帯域ですね。

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ケーブルには2タイプあり、それによってAnswerには二つのバージョンがあります。ひとつは通常品のThe Fat cableともうひとつはThe Truthです。Fat CableはDitaの開発によるもので、The TruthはケーブルメーカーのVan Den HulがAnswerのために専用に開発したものです。これはVan den HulがDita Audioの思想にほれ込んで特別にコラボをおこなったもので、The Truthでは使用するハンダまでVan Den Hul製と言うこだわりようです。ケーブルの一部が切りかかれていてわざと線材を見せるようにしているのがユニークです。以下の音質レビューは主にこのThe Truth Editionを使用しています。

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箱を開けてまず目に入るのは上でも書いた製作者のサインです。パッケージも高級感があり、積層されています。

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ケースはジッパー付きのソフトケースと、やや容積が大きいセミハードケースが付属しています。

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イヤチップは何種類か用意されています。Answerは音響フィルターの交換はできませんが、チップを交換することで高域特性を変えることができます。中くらいの音導孔のサイズのものが標準で、穴の小さいタイプは高域を和らげ、穴の大きなものは高域をやや強調させます。

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Answerの質感はかなり高いものでハウジング自体は精密感があります。またとても耳にフィットしてはまりやすいので、シンプルな形状ですがよく研究していると思います。
True editionのケーブルはかなり弾力性があって、ケーブルの反発が強いのでShure方式で耳に回すにはメモリーケーブルがもう少し強いのがほしいところです。首のところのチョーカーで締めれば問題はありません。ケーブルの一部に切り欠きがあって、シールドの下の線材が見えるようになっているところがちょっとユニークです。ケーブルの品質にはかなり自信をもっているのでしょう。

3. Answerの音質

自分の持ち機材でいろいろためすとAcoustic Research M1(ARM1)が一番相性は良く、AK100Mk2でもなかなか好印象です。これらの組み合わせはまさにポータビリティも高いですね。

Answer Trueの総合的な印象としては、基本的にニュートラルで付帯音がなく端正な音を鳴らしますが、かといって無機的と言うのとも違います。あくまで音楽的に楽しめます。
アルミ筐体にしては硬質感がなく、クリーンで雑味がないスムーズさが魅力的です。またダイナミズムがあり、スピード感があり楽器音の歯切れが良い点もポイントです。全体に緩さがなく引き締まっていますね。際立つのは立体感と音場再現で、楽器音は忠実でリアルです。ピアノの音色再現なんかは秀逸だと思います。空間に広がるかすかな余韻の広がりが微かに聴こえる感覚が素晴らしいですね。
Van Den Hulはスピーカーケーブルを一組持ってますが、やはり独特の個性があり、透明感と共に音色良い系ではありますね。

また、単なる柔らか系イヤフォンとは異なっていて、シャープなところは芯があって密度感があります。音像はアルミ削りだし素材のようなシャープさではなく角や面取りが丁寧にされてる上質感があります。
解像力や音質レベルはIE800同等以上だと思いますが、違いは滑らかさです。上質さ、品格の高さですね。また、K3003で聴けばものすごく細かい音が聴こえるっていう発見があってすごいすごいって聴くけれども、Answerではそれに加えて滑らかで心地よい響きの良さを発見でき音楽に没入するということも言えます。
おそらく評価が分かれるのは低域、ベースかもしれません。やや強調感はありますが、大きく張り出しているわけではなく、密度感のあるベースの押し出しが強いという感じでしょうか。

True Editionと比べると、標準ケーブルだともっと取り扱いが楽で弾性もしなやかですね。音再現は標準でも十分に堪能できるが個人的にはtrueの方がよりクリアで広帯域感があると思います。やはりTrueの方が一枚上手だと思いますが、やや高域に強めの癖があるなど気になる人はいるかもしれません。これはイヤピースや後述のアプリEQでも調整できますが、音は個人の好みもあるので聴き比べて選ぶのも良いでしょう。特にTrueはバーンインに時間をかけたほうがよいですね。中途半端だとかえってハイがきつめになりがちに思います。

iPhoneではFLAC Playerがお勧めで、iPhone単体でもかなり高いレベルの音再現が楽しめます。解像力も十分に細かく、透明感が高いクリアな音でバランスも良いですね。音の高級感があります。
スマートフォンの利点を生かしてアプリをいろいろと変えてみるのも良いでしょう。たとえばTrue Editionでクリアなのは良いけれどもハイがややきついという時にはOnkyoのHF Playerアプリのハードでは実現困難なほど高精度な64bit EQで調整してみても良いでしょう。またAudiophile PlayerアプリのMAXX DSPを使用して、端正なAnswerをあえてドンドンするロックやエレクトロ向けの激しい音にしてみるのも面白いですね。iPhoneのA6やA7などの高性能さを堪能できて、iPhone単体でもけっこう満足する自分なりの設定ができると思います。またAndroid+Neutronプレーヤーアプリも相性が良さそうです。
ただこの音の良さに気がつくとAKシリーズなどのもっと上級のプレーヤーも欲しくなるでしょう。

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AK100Mk2だと躍動的な側面もより明瞭に見えてきまます。BAに比べたダイナミックタイプの躍動感がよく出ていて音楽が生き生きと生命力あるものに感じられます。ニュートラル系でリファレンスタイプというと無機的にも想像されますが、Answerではそれはないですね。
音再現がシャープで細かくよく聞こえます。ヴォーカルの声のニュアンスもよく伝えられ、Answer独特の滑らかさと上質感が出ています。楽器の音がよく再現され、高域はTrueの個性もあり鮮明ですがAK100mk2ではそうきつめには出てないと思います(ケーブルのエージングも十分必要ですが)。低域の解像度も高くチェロやベースの鳴りも逸品です。低域の重視は重みとなって現れ、ヴォーカルがそれでマスクされるということはありません。ベースの迫力が欲しい時にも欲しい量感の豊かさが得られます。ドローンのように重い低音が流れる上にささやくようなヴォーカルが乗っていても、両方明瞭に再生できます。Auraのようなアカペラ合唱だとAnswerの良さが際立ちます。発声がスムーズで声の重なりが心地よく、響きやトーンがリアルです。また立体感が際立っていて音の重なり合わせが三次元的です。
ジャズトリオでは切れが良くリズムのノリのよさもあります。Answerは音楽のジャンルは選ばないと思います。

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ARM1だと精緻できりっとした歪みのないような正確な音を叩き出します。これがおそらく上質さという他にAnswerの持ち味のひとつだと思います。音の緩みがなく、引き締まって気持ち良いくらい音が伸びて行きます。無の空間からヴォーカリストが口をあけて発声するリアルな感覚も味わえるでしょう。それに加えて、薄っぺらにならない厚みがあって、滑らかで上質、密度感があるところもAnswerらしいところです。特にスピード感のあるARM1とトランジェントの速いAnswerの組み合わせはかなり良いと思います。またARM1の耳に近いアクティブさもAnswerのダイナミック型の良さを引き出しています。
クロノスカルテットの新作Aheymでは単調な音の流れから複雑に変化していく細やかな音楽の表情を浮き立たせてくれ、ともすると退屈に聞こえそうな現代音楽での細かな表現に注力すると言う魅力を教えてくれます。またTim Heckerの新作Virginsのような現代音楽meetsインダストリアル系はなまじなシステムだとうるさいだけになってしまうけれども、ARM1+Answerは緊張感と迫力を引き出して複雑な音の絡みを解きほぐし、音楽に没入させてくれます。
単に聞き流すというよりもこうした音に注力して取り組まねばならない音楽にもAnswerはその姿勢に答えてくれます。それが真のオーディオ機器というものだと思います。

    

総じて言うと、私みたいに日頃リケーブルしたカスタムで聴いてる人も満足できる音質レベルです。カスタムのマルチBA機とは性格が異なるので優劣をつけるのがむずかしいところではありますが、ダイナミックでは今までのイヤフォンのベストと言って良いと思います。

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4. "Music is a harsh mistress"

Dita Audioのホームページには下記のDita Audioのモットーが載っています。
"Music is a harsh mistress, there can be no compromises".
前節はハインラインの「月は無慈悲な夜の女王("Moon is a harsh mistress")」から来ていますが、「音楽は無慈悲であり、そこに妥協をゆるさない」という感じですね。

日頃高性能イヤフォンで聴いていて、この細かい音再現力は並みのスピーカーオーディオには負けないぜ、と言いつつもやはりオーディオショウなんかでハイエンドスピーカー群を聴くとまだまだ及ばないなあ、なにか越えられない一線がある、と考えさせられます。しかしDita Answerにはそこに一歩近づくなにかがあると思います。さきに感じた多くのイヤフォンとDita Answerの差はそれに対しての「答え」になっているのではないでしようか。
それは単にドライバーだけが突出して新開発のすごいものとか、リケーブルして最高のケーブルを使った、というような一点豪華主義で優れているというのではない、プラグや各種接点の細かいこだわりの積み重ねが良い音を作るというハイエンドのオーディオ機器ならばある意味当たり前のことがなされているという点から感じられることかもしれません。
ヘッドフォン、イヤフォン、ポータブルオーディオが伸びてきていても、どこかで従来のスピーカーオーディオの世界に追いつくためには考え方を変えねばならないところがあると日頃感じるところはありますが、そういう意味でもピュアオーディオ志向の開発者がこうしたイヤフォンを作ってきたということは評価に値すると思います。
いまやヘッドフォンがスピーカーと並んで一人前のオーディオ機器として受け入れられたように、Dita AudioのAnswerもオーディオ機器としてのイヤフォンとしてのターニングポイントとなるでしょう。

実際にすでに販売を開始しているフジヤさんではかなり好評にDita Audioが売れているので、彼らが選んだはじめの日本の市場で評価を正しく受けているということも言えますね。
購入はフジヤさんの下記リンクでどうぞ。

Dita Audio Answer
http://www.fujiya-avic.jp/products/detail53558.html

Dita audio Answer True Edition
http://www.fujiya-avic.jp/products/detail53559.html

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2013年11月19日

立川昭和記念公園の紅葉、SONY RX1とQX100とiPhone HDR

週末は立川の昭和記念公園に今年初の紅葉撮りに行ってきました(実際は先週の富士山行でも撮っていますが)。
場所は昭和記念公園内の日本庭園という場所で、ここは首都圏でもいち早く紅葉が見られるところです。昭和記念公園は黄色のイチョウ並木で有名ですが、むしろ日本庭園の方がきれいな紅葉が楽しめます。

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QX100+iPhone5

上はSony RX1と鳥井ストラップです。鳥井ストラップは本革製のハンドメイドで、注文から入手まで半年かかりました。鳥井ストラップはこちら。
http://www.toriikoubou.jp/CameraStrap/que-a-bb.html

今回のメインカメラはSONY RX1です。RX1の良いところはとにかく上質にきれいに写ると言うこと、です。最近ソニーのカメラが多くなってきましたが、ソニー・ツァイスの絵は抜けが良く濁りのない発色と高い透明感が特徴です。私はアナログカメラのフィルム時代にはヤシコン使ってたんですが、ソニーのカメラ(レンズ)も、まず収差がどうこうというよりもやはりT*コーティングの良さは実感できます。フィルムの時もそうですが、レンズにおいては光学設計や硝材とともにコーティングがとても重要です。

紅葉は中望遠で切り取ることが多いのですが、RX1の35mmでもけっこう紅葉撮れます。ただし接近戦を挑まないといけないので、こういう混んでる時は気を使います。

立川昭和記念公園のイチョウ並木。 ちなみに並木の上が四角く切り取られているのは近くの飛行場の空域制限のためです。

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QX100+iPhone(Auto Stitchアプリ)

とにかく昭和記念公園は広いので、イチョウ並木のある門から日本庭園までは歩いてもかなり疲れます。

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RX1

またここはきれいな池や水のせせらぎがきれいなところで紅葉も一層映えます。水底の石も写ってますね。

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RX1

下の夕景の紅葉と池の写真からはRX1が誇る画像均質性の高さが分かると思います。通常のレンズでは端の画質は中央より劣ることが多いのですが、RX1は光学設計だけではなく、レンズカメラ一体型を活かして個体ごとにレンズとセンサーの像面を調整して画像の均質性を高めています。端から端まできれいですね。

1950.jpg
RX1

iPhoneではレンズカメラQX100と、iPhone単体でTrueHDRで撮ってみました。
QX100に関しては紅葉のように混みあった画面になると転送量が増えるのかアプリのプレビューが動かなくなったりします。メモリ解放してもだめですね。ショウでレポ写真撮ってる時は問題なかったんですが、思わぬ弱点です。また無線LANの接続性が時に悪くなってアプリがたちあがりにくいこともあります。そのため画質はとても良いんですが、QX100はRX100の代わりには買わない方が良いです。あくまでスマホ発想ができる人が買うものですね。平たく言うとQX100はカメラとしてみるとかなりイライラするカメラですが、スマホの周辺機器だと思うとこんなものか、という感じではあります。

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iPhone単体(TrueHDRアプリ)

HDR(High Dynamic Range)撮影はオーディオのハイレゾみたいなものですが、通常JPEGだと8bitのダイナミックレンジを32bit floatのダイナミックレンジに拡張して人の目を超えるDレンジを確保するというものです。一回では露光できないので3回露出を変えて撮影します。このため専用アプリ経由になり、このときはQX100は使えません。(あとでPCでHDR化するときはQX100でももちろん良いです)
iPhone標準カメラアプリのHDRは単に8bitで輝度合成してるだけのようなのでHDRっていうのはおかしいですね。だからTrueHDRアプリは真のHDRと言ってるんでしょう。

2360.jpg
iPhone単体(TrueHDRアプリ)

こうした画像はHDRと言ってますけど、正しくいうとHDRのマスターデータからトーンマッピングして切り出したJPEG画像です。HDRはマスターのことです。オーディオに例えるとHDRはスタジオマスターデータで、JPEGがCDです。普通のモニターやプリントはいいところ8bitのJPEG程度の輝度しか表示できないので32bit floatで記録したHDRのDレンジを表示できません。そのためトーンマッピングをして8bit化します。
このトーンマッピングはマスターをそのまま再生するのではないので、オーディオだとハイレゾ再生と言うよりもソニーなどのいう20bitの音を16bitで再現すると言うSBM(Super Bit Mapping)に近いですね。マッピングという言葉が同じようにダイナミックレンジの大きな空間をより小さな空間にマッピングします。マッピングする目的はカメラの場合はHDRの広大なDレンジをモニターという限られた表示デバイスに表示するため、オーディオの場合は20bitのDレンジをCDという16bitの箱に詰め込むためです。
いまやオーディオもカメラもデジタルという点では同じことで、カメラの方が直感的にわかりやすいと言えます。たとえばマッピングもオーディオのSBMのようにハイレゾ音質をCDで再生できる、というと胡散臭く思えますが、HDRだとこの夕景の写真みたいに効果がわかりやすいと思います。8bitのダイナミックレンジではこのように明暗の差が大きい記録はできません。

もう首都圏でも紅葉がはじまりました。今週末から12月の初めにかけては各地が赤や黄に染まっていくことになります。
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2013年11月18日

逗子の流鏑馬 2013

週末は逗子の流鏑馬を撮りに行ってきました。
いつもは海岸に出て右側に行くのですが、今回は左側に馬場が設置されました。これは海岸線の移動によるものということです。
今回は風が強く、砂もびゅうびょう飛んできて大変でした。最後の成績優秀者で行われる競射のときには的が強風で倒れて修復不能につき中止と言ういままでにないハプニングも置きました。
また晴れたのはいいんですが写真的には真逆光で、普通に撮るとまっくろと言うなかなかシビアな条件下でした(ちなみにフラッシュは厳禁です)。

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カメラはEOS-1DMk3を使います。これにEF70-200/2.8L ISで射手の疾走を撮り、テレコン2倍で射手のアップ(これが最難度)、16-35/2.8Lで流し撮りというのがだいたいのパターンです。

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ちなみに馬の走りは無段階ではなく、大きく4つに分けられます。ただ歩く常走(なみあし)、中速度で走る速走(はやあし)、高速で走る駈走(かけあし)、全速力で走る襲歩(しゅうほ)です。これらは4足の運びとリズムがそれぞれ違うので、見ていると急にスイッチが入ったように感じられます。競馬でやっているのは襲歩で、流鏑馬も襲歩です。襲歩ではすべての脚が宙に浮いている瞬間があります。そこを撮りたいわけです。ちなみに乗馬クラブでは襲歩はしません。

これらを切り替えるのは足で馬にそれぞれ異なった合図を送ります(襲歩は知りませんが)。でも相手は生き物の馬なので、車みたいにギヤを切り替えれば必ず5速に入るというものではありません。そこは馬の性格や気分、乗り手とのコミュニケーションなどなどいろんな要素があり、単純にムチを入れればどんどん速くなるというものではありません。その辺が乗馬術と言うわけですね。そのためなかなか走りださない馬もいるわけです。

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今年も女性参加が多く華やかな逗子でしたが、昨年華々しくデビューした地元の吉田射手はちょっと振るわず、残念でした。

- 原射手
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- 遠藤射手
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- 又吉射手と吉田射手
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結果はベテランの宮崎射手が安定した強さを見せて優勝。流鏑馬は今年はこれで撮りおさめです。ひとつひとつと今年のイベントも終わっていき、年末に向けてカウントダウンがされていくようです。
posted by ささき at 21:54 | TrackBack(0) | ○ 日記・雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月15日

Androidは24bitの夢を見るか? Part3

最近はLG G2やGalaxy Note3、Galaxy JなどAndroidスマートフォンでも単体でハイレゾ対応している機種が出てきました。ひとつにはモバイル向けに低消費電力でハイレゾ対応のDACまたは音声CODECと呼ばれる音声処理用の統合ICが使われていることがあります。たとえばLG G2で採用されているWolfsonのWM5110ですね。
しかし、それだけではハイレゾでの再生はできません。アプリから内蔵DAC(ドライバー)に至る信号経路をハイレゾ対応にする必要があります。以前書いたようにAndroidでは音声処理用のAPIはGoogleが提供する古いAudioflingerというフレームワークでプログラミングされていて、それを使用する限りは48kHz/16bitを超えることはできません。

これに対するひとつの解はサムスンが最近(2013/10)リリースしたSamsung Mobile SDKの一部のProfessional Audio SDKにあるようです。Samsung Mobile SDKとはそれまでばらばらだった開発環境をひとつに統合しようというものです。
Professional Audio SDKはその一部で、JACK2互換であるという特徴があります。JACKはLinuxで使われるオーディオAPIで、JACK2はJACKをマルチプロセッサ(マルチコア)対応にしたものです。
http://developer.samsung.com/samsung-mobile-sdk#professional-audio
またProfessional Audio SDKではプラグインもサポートします。 プラグインというのはたとえばピアノプラグインをシンセサイザープラグインをベースに作成してMIDIを送れるようにするというもののようです。これらはDTM対応ですね。

一般向けにあまり詳しい資料と言うのはないようですが、JACK2とALSAを使用してAndroid上でハイレゾ対応の信号経路を確保しているように思えます(Pulse Audioかもしれませんが)。おそらく最近のNote3やGalaxy JなどはこのSDKを使用しているのでしょう。これによってほぼLinuxと同等のオーディオ再生環境が得られると思います。
Professional Audio SDKはサムスンのMobile SDKの中ではPackage Type 2と呼ばれるもので、Android Frame Work内の実装も必要になっています。Androidのマルチメディアフレームワークとか、Audioflingerのインターフェースに手を加えているならば、一般のアプリでもProfessional Audioを使用できるようにも思います。またこのSDKとNDKを組み合わせてネイティブコードでもプログラムを実装することが可能なようです。

また、JACKはアプリ間のオーディオデータストリームのINとOUTを結合できるので、Appleのinter-app audio相当のこともAndroidでできると思います。MIDI対応と合わせてiPadの持つタブレットでのDTM市場をも狙っているのでしょう。

ただしこれらはいまのところサムソン機器に限られると思いますし、サムソンでもPackage Type 2のSDKについては適用機種は限定されています。
一番良いのはGoogleが提供する基本のコードでハイレゾ対応に改良されることですが、この辺はKitKatでもまだ変更がないように思えます。おそらくはUSBクラスドライバーのサポート(issue 24614)と合わせて5.0で変化があるのではないかと考えていますが、、
posted by ささき at 20:13 | TrackBack(0) | __→ スマートフォンとオーディオ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月13日

USBメモリサイズのUSB DACアンプ一覧 (最終更新: 2013/11/14)

最近のPCオーディオ界流行のひとつはDragonflyのようなUSBメモリ(またはUSBドングル)型のコンパクトなヘッドフォンアンプ内蔵のUSB DACです。おそらく昨年度にDragonflyがStereophileの賞を取るくらい人気が出て評価も高かったのが理由の一つだとは思います。(こうしたUSBメモリタイプ機器のもともとはhiFaceだと思いますが)

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AudioQuest Dragonfly

下記にこうしたタイプについて私がいままで知っているラインナップを書きだします。

- AudioQuest Dragonfly
ケーブルメーカーのAudioQuestが開発したUSBメモリサイズのUSB DACアンプで実際の開発はWavelengthのゴードンさんがおこないました。
昨年度のStereophileの年間最優秀Computer Audioプロダクト賞を受賞。

USB入力のタイプ PCのUSB端子に直結(Aオス)
DACチップ ESS ES9023
USBドライバ USB Audio Class1.0
PCM対応 96kHz
DSD対応 なし
ボリュームノブ なし。内蔵アナログボリュームがある(PCから制御)
ディスプレイ情報 ロック周波数をライトの色で知らせる
価格 27500円(D&Mホールディングス)
URL http://dm-importaudio.jp/audioquest/lineup/dragonfly/
URL(Music To Go) http://vaiopocket.seesaa.net/article/278372379.html

- Resonnesence Herus (ヒールス)
ESS DACの純正メーカーとも別称されるResonnesenceの製品でDXD/DSD128対応。最新の2Mチップを採用した低消費電力もポイント。出力インピーダンスも低い(0.2Ω)。

USB入力のタイプ ケーブル経由(フルBメス)
USBドライバ USB Audio Class2.0
DACチップ ESS ES9010-2M
PCM対応 352kHz
DSD対応 5.6MHz
ボリュームノブ なし(DACのデジタルボリューム)
ディスプレイ情報 なし
価格 39800円(エミライ)
URL http://www.resonessencelabs.jp/products/herus/


- Light Harmonic Geek out
ハイエンドメーカーLight HarmonicがKickstarterでクラウドファンディング開発したDXD/DSD128対応製品。DSPによる3Dサウンドあり。
Kickstarterのオプションではアンプの出力別に3つのタイプあり(製品版はないかもしれない)。

USB入力のタイプ PCのUSB端子に直結(フルBオス)
USBドライバ 不明(たぶんUSB Audio Class2.0)
DACチップ BB PCM1795
PCM対応 384kHz
DSD対応 5.6MHz
ボリュームノブ あり(アップ・ダウンボタン)
ディスプレイ情報 周波数ロック?
価格 $200(Kickstarterでない小売価格)
URL http://mustgeekout.com/
Kickstarter http://www.kickstarter.com/projects/gavn8r/geek-a-new-usb-awesomifier-for-headphones

- Meridian Explorer
お手頃メーカーMeridianの製品。はじめは出力インピーダンスの高さを揶揄されたが、いまは改良版が出ている。
光デジタル出力とアナログアウトあり。

USB入力のタイプ ケーブル経由(ミニBメス)
USBドライバ USB Audio Class2.0
DACチップ 不明
PCM対応 192kHz
DSD対応 なし
ボリュームノブ 本体にアナログボリュームあり
ディスプレイ情報 周波数ロック
価格 $300
URL https://www.meridian-audio.com/en/collections/products/explorer-1000/4/


- Cambridge DACmagic XS
よく知られたDACmagicのCambridgeのUSBメモリサイズのUSB DACアンプで、アルミシャーシ製。

USB入力のタイプ ケーブル経由(マイクロBメス)
USBドライバ USB Audio Class2.0(Class1.0のフォールバック機能あり)
DACチップ 不明
PCM対応 192kHz
DSD対応 なし
ボリュームノブ あり(アップダウンボタン)
ディスプレイ情報 なし
価格 日本価格未定(ナスペック 28000円ほど?)
URL http://www.cambridgeaudio.com/products/dacmagic-xs-usb-dac-headphone-amp


- ALO island
おなじみALOの製品で、RSAタイプのポータブル用のバランス駆動ヘッドフォン端子を搭載している点と、大きなボリュームダイヤルを搭載している点が特徴。
ゲイン切り替えと通常のステレオミニもあり。HeadFi系のマニア向き仕様ですね。

USB入力のタイプ ケーブル経由(ミニBメス)
USBドライバ 不明
DACチップ CS4398
PCM対応 192kHz
DSD対応 なし
ボリュームノブ 大型のボリュームダイヤル
ディスプレイ情報 なし
価格 国内オープン(実勢45000円前後) ミックスウェーブ
URL http://www.aloaudio.com/the-island


- M2tech HiFace DAC
hiFaceで知られるM2techのDAC内蔵タイプでヘッドフォン端子としても使用可能。
比較的インピーダンス高めのヘッドフォン向き。

USB入力のタイプ PCのUSB端子に直結(Aオス)
USBドライバ USB Audio Class2.0
DACチップ 不明
PCM対応 384kHz
DSD対応 なし
ボリュームノブ なし
ディスプレイ情報 なし
価格 34800円(トップウイング)
URL http://m2tech.org/hifacedac


- AudioEngine D3
コストパフォーマンスの高さで知られるAudioEngineのRMAF2013で発見された製品。
出力インピーダンスが10オームとやや高め。

USB入力のタイプ PCのUSB端子に直結(Aオス)
USBドライバ USB Audio Class1.0
DACチップ AKM4396
PCM対応 96kHz
DSD対応 なし
ボリュームノブ なし
ディスプレイ情報 88/96のサンプルレートの時に点灯するLED
価格 $189
URL http://audioengineusa.com/Store/D3-24-Bit-DAC


- HRT microStreamer
これもコストパフォーマンス高い系のコンシューマーブランド、HRTのStreamerをさらにコンパクトにしたようなUSB DACアンプ。
ふたつの出力端子があり、ヘッドフォンとラインアウトに分かれている。

USB入力のタイプ ケーブル経由(ミニBメス)
USBドライバ USB Audio Class1.0
DACチップ AKM4396
PCM対応 96kHz
DSD対応 なし
ボリュームノブ なし
ディスプレイ情報 ロック周波数
価格 179.9英ポンド
URL http://highresolutiontechnologies.com/microstreamer

以上、間違ってたらすいません、あとでリスト更新しれます。

更新履歴: 2013/11/14 ALO islandの価格を国内価格に変更
posted by ささき at 22:43 | TrackBack(0) | __→ USB DAC全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月11日

富士山とオルゴールと乗馬の秋

本日快晴の富士山です。思わず声を上げてしまいました。やはり富士山は世界遺産の価値はありますね。

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本日富士山ふもとの鳴沢の紅葉台牧場で乗馬の場外騎乗を楽しんできました。

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場外騎乗は普段は馬場で練習している乗馬を外に出て騎乗するものです。いつもは清里でやっていましたが、今回は所を変えて富士山ふもとの鳴沢にやってきました。ここは木曽馬という日本古来の馬を育てているので知られるところです。
普通乗馬クラブではサラブレッドに乗っているのですが、木曽馬は一回り小柄で、神経質なサラブレッドに比べるとおとなしいのも特徴です。日本では江戸時代までは日本古来種が主でしたが、明治に富国強兵をするさいにアラブ種のサラブレッドに国策で変えたおかげでいまはかなり少なくなっています。
馬場をひとまわりすると牧場の外に出ていきます。

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外では道路も通ります。馬は軽車両の道交法に準じます。今日は快晴の富士山も騎乗しながら楽しめ、紅葉も楽しめるなど素晴らしい日でした。ルートは富士の樹海の縁を添うように行きました。

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私が騎乗した馬はちょっと油断すると道のわきの草を食べる賢いやつでなかなか気が抜けません。馬は騎乗しながら調教するようなものなので、自由にさせてはいけません。のぼりは強いけどくだりは慎重とか、個性も馬によって違うのでそれに合わせて一定のペースで隊列を維持しなければなりません。

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カメラはQX100をノーファインダーで撮っています。28mmなのでいつも使っているGoProよりは広く撮れませんが手振れ補正も含めて素晴らしい画質で撮ってくれます。紅葉もきれいに撮れますね。

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また、清里でも乗馬以外にいろいろと楽しみましたが、富士山でもなにか見つけようと以前は風穴に行ったんですが、鳴沢ではいくところも限られるので今回は河口湖周辺を見てきました。
清里でもオルゴール博物館に良く行きますが、河口湖のオルゴール博物館にも行ってきました。規模はこちらの方がずっとでかいですね。下は世界でも有数の規模の大型なオルゴールです。

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ここにも自動ピアノ(リプロデューシング・ピアノ)がありました。清里のユダヤの自動ピアノで興味持ってたんで、興味津々に見てたら学芸員さんが解説してくれて一曲演奏してくれました。リストの曲を当時(1926)の有名ピアニストが演奏録音したものです。 こちらはベヒシュタイン・グリーン・ウエルテという自動ピアノです。これはベヒシュタインという会社製のピアノをウエルテ社が自動ピアノにしたもので、グリーンとは88腱全て使えるという意味だそうです。ウエルテ社は下のタイタニック用のオルゴールも製作しています。
面白かったのは自動ピアノってモーターと真空ポンプで駆動させるんですが、完全に整備するとリアルな演奏にならないんでわざと空気を少し抜けるようにするんだそうです。こういうのがアナログの妙味です。

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記録はやはりピアノ単体では全て記録出来ないので、もう一人の音楽家が他に演奏を聴いていて、強弱などはその記録を使って演奏記録と合わせてロール紙を作るそう。学芸員の方が自動ピアノ用に録音というか記録されたロールのカタログを見せてくれたんですが、ドビュッシーみたいに時代的に適合する作曲家は自分で弾いて記録ロールを残しているし、マックスレーガーのように有名ピアニストもカタログにあります。年代的にはだいたい1900年前後ですが、自動ピアノより数年前にさきに記録ピアノを作ってあらかじめたくさんのコンテンツを用意してからこの再生用のリプロデューシング・ピアノを販売制作したようです。このへんも今のダウンロード音楽ビジネスまで共通しますね。
オルゴールや自動演奏機械って自動で音楽再生するって意味ではiPodまでつながる流れだと思うので興味深く思います。オーディオ機器が無い時代に個人でどう音楽を楽しんだか、というのは面白いテーマかなと思います。自動ピアノやオルゴールも答えではありますが、あとは自分で弾いてたというのもあると思います。オーケストラ曲をピアノ独奏版やギター独奏版に編曲するというのは一つにはそういう理由があるようですしね。
この当時の自動ピアノってとても深い世界だと思うんですがあまり知られてはいません。学芸員さんもこの世界は音大でもっと研究されるべきだけど為されていない、と言ってましたが、こうした分野を広くカバーして歴史の一側面として俯瞰するのも面白いかもしれません。

この下の右側はタイタニック号に積まれる予定だったオルガンで、フィルハーモニック・オーケストリオンというそうです。あの処女航海ではこれが製作遅延で積まれなかったので、あの映画に出てきた弦楽カルテット(実際は8人だそう)が代わりに乗船したということです。もしこれが積み込まれていたら映画も異なったものになって、沈みつつも演奏するオルゴールということになっていたことでしょう。

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タイタニックではすでに電化していたそうで電動です。このオルゴール(というか自動演奏機械)の演奏力はおよそ80人のオーケストラに匹敵するそう。なぜタイタニックに大型オルゴールを積もうとしたかと言うと、音楽家をたくさん載せるとコストが高いからだそうで、当時最新だった電気駆動の自動機械で人減らしによるコストカットをしようとしたようです。これも今につながる流れですね。

オルゴール博物館はいろいろなイベントも行われています。こちらはパフォーマーのジャグリングイベントです。細かく見ていると半日はゆうに楽しめそうです。

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最後はやはり温泉。ここ鳴沢の温泉ゆらりからは富士山をまじかに見ながらお湯に浸かれます。

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さて、今年も場外騎乗の予定はすべて終わり。鳴沢も清里もそろそろ雪に包まれる準備が始まることでしょう。また来年の春もいまから楽しみなことです。

posted by ささき at 21:03 | TrackBack(0) | ○ 日記・雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月10日

CalyxがCESでDSD128/DXD対応のハイレゾDAPを出展か

下記Mono&Stereo誌によると、韓国メーカーCalyxがCESでDSD128とDXD対応のハイレゾプレーヤーを出展するようです。価格は990ユーロとのこと。
http://www.monoandstereo.com/2013/11/calyx-m-portable-dxddsd-player.html?utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed%3A+monoandstereo%2FHOym+%28MONO+AND+STEREO+Ultra+High-End+Audio+Magazine%29

下記サイトではスリムなボディが見て取れます。内蔵メモリは64GBでタッチスクリーンUIとのこと。名称はCalyx Mとなるようです。
http://www.digitalaudioreview.net/2013/11/calyx-m-portable-dxddsd-player-to-launch-at-ces-2014/

CalyxはコンパクトUSB DACのKongでも知られてますが、XMOS採用の192/24DACなどPCオーディオに対しての取り組みも先進的なメーカーです。PCオーディオ系ではHerusやGeek outのようにDXD/DSD対応するコンパクトUSB DACが最近は流行しつつあります。そこでやはり流行りつつあるハイレゾ対応のポータブルオーディオとコンパクトDSD/DXD対応のPCオーディオの二つのトレンドを融合させようという試みかもしれません。上リンクでは"DSD/DXD go mobile"とありますね。
DACチップは書いていませんが、上記のDAC192/24ではESS9018だったので、これもESSで2M系ではないかと推測はできます。またこれもいまのところは推測ではありますが、このスペックであればDAP単体でDSDネイティブ再生も可能だと思いますのでちょっと注目したいところです。
posted by ささき at 08:51 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月06日

DLNAでのネットワーク透過のDSDネイティブ再生の考察 (2013/11現在)

ネットワークを経由したDSDネイティブ再生ではいろいろ製品も出てきたので、この辺で中間まとめを考察してみたいと思います。
従来はUSB DACを用いてDSDネイティブ再生を行ってきましたが、USB DACの代わりにスフォルツァートDSP03やDSX1000などのネットワークプレーヤーを使うのがこのネットワーク透過のDSDネイティブ再生です。ネットワークもいろいろありますが、今回はDLNAでの対応についてです。

まずDLNAにおいてネットワーク経由でのDSDネイティブ再生について、現在では大きく2つの方式があります。

1. DSD対応NASを使用する方式 - 主に国内製品で使われている
2. DoPEを使う方式 - 主に海外製品で使われている


上記の2方式に互換性はありません。
このほかにNASを使っていても、NASの音源をネットワーク共有を使ってPCやMacにマウントする方式はDLNAを使ういわゆるネットワークオーディオではないので今回は省きます(こちらはUSB DACの領域となります)。

-- 1. DSD対応NASを使用する方式 --

1-1 必要なもの:

DSD対応ソフトウエア(Twonky7.1など)の入ったNAS(バッファローかアイオーデータ)
(この方式に対応した)DSD対応ネットワークプレーヤー、スフォルツァートDSP03など

1-2 なぜネットワークでDSDネイティブ再生できなかったか、どう解決したか

このDSD対応NASを使用する方式がDLNAでは一番自然な形ではあるのですが、なぜいままではDLNAでDSDネイティブ再生ができなかったかということをまず解説します。
はじめに従来のNASはパソコン用だったという前提があります。PCやMacでは基本的にDSD形式と言うものに対応していません。DLNAでもDSDというもの自体を想定していませんでした。つまりNASはいままで内蔵HDDに.dffや,dsfという拡張子のファイルがあってもそれを無視していたわけです。これではメディアサーバーからリストを送ってもそこに記載されないのでコントローラから見ることができません。これに一時的に対応したのが2012年のスフォルツァートでStefanoのWAVエンコードツールを使用して、WAVとしてリストされるようにしていました。(WAVなら見えるから)
stefanoツールについてはこちらの記事を参照ください。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/258376595.html

バッファローNAS(LS421D)ではまず.dsfや.dffの拡張子をきちんと認識するようにしたことと、レンダラーにmimeでDSDに即した形式(audio/x-dsfなど)でファイルタイプをDSDだと教えてあげるようにしたことで、この問題を解決しました。具体的にはサーバーソフトウエアのTwonky7.1でこれを実装したということになります。ちなみにバッファローNASではDSFでのアルバムアートにも対応しています。
アイオーでも最近同様なNASが出てきましたが、やはり同じものだと推測できます。(ソフトウエアは独自だと思います)
このように問題はネイティブ再生というよりもむしろDSDファイル自体の扱いにあります。ネイティブ再生という点で見ると、PCMに束縛されるPCからのUSB経由の伝送より問題は少ないはずです。それゆえDoPのようにエンコードする必要はありません。

ここでDLNAでのDSD音楽再生の流れを解説すると次のようになります。

1) コントローラーをメディアサーバーに接続してブラウズ要求すると、メディアサーバーは自分の持っている音源をリスト化します。ここでdsfなどを見えるようにしているのがバッファローNASでの改良点です。
2) コントローラーはメディアサーバー(NAS)が投げてくるリストをすべて表示します。
3) コントローラでそのリストに基づいて曲の再生指示をすると、その指示はレンダラーに送られます。
4) 指示を受けたレンダラーはメディアサーバーに対してその楽曲ファイルの情報を渡して、レンダラーに対してストリーミングする指示をします。uPuP(=http)伝送自体はPCMもDSDも考慮しませんので、DSDデータはPCMに似せてDoPなどに加工する必要はありません。DSD対応NASを使用する方式はDSDをそのまま(DoPにエンコードせずに)流す方式でもあります。
5) メディアサーバー(NAS)は自らのファイルシステムにおかれた音源ファイルの拡張子をみて、対応するMIME(マイム-インターネットでの拡張子みたいなもの)をつけてレンダラーにストリーミング転送します。ここでDSDに対応したMIME(audio/x-dsfとか)を返すのがバッファローNASでの改良点です。
6) レンダラーは送られてきたMIMEタイプを見てDSDであれば入力をDSDに切り替えます。つまりレンダラーは動的に中身を見て切り替える必要はありません。ここはレンダラーのDSD対応が必要です。
(MIMEについては前の記事参照)
7) レンダラーはストリーミングされてきたDSDデータを再生します。

この辺の動作はUSB DACでのDSDネイティブ再生で言うとASIO方式に似ていると言えるでしょう。MIMEタイプがコマンドに相当しています。そのため動的に判断して切り替える必要はなく、ミュート・ポップノイズなどDoP問題はありません(基本的には)。

*コントローラがいったん指示をしてしまうとあとはレンダラーとメディアサーバーの関係となるので、コントローラーがオーディオストリームに介在することはなくコントローラアプリは音質には基本的に影響を与えないはずです。ただし再生ステータスの問い合わせをするときにこれらに介在することはあるかもしれません。

1-3 今後の展開

この方式は今後はバッフォロー以外のNASにも展開が期待されます。DSD対応TwonkyをNASに入れれば良いからです。またDSD対応TwonkyをMacなどにインストールすることも可能なはずです。この場合は後述するJRMC/DoPEのようにパソコンをDSD対応サーバーとして使うこともできるでしょう。
最近ではアイ・オー・データも同じ方式で出してきました。バッファローとも異なる独自ソフトウエアのようですが、MIMEタイプが同じならバッファローと互換性はあると思います。(MIME自体は標準化されているので)

これらはいまのところ国内メーカーのネットワークプレーヤーが対応しています。しかしIFAにバッファローNASが出ていたせいか、海外でもバッファローNASに対応したDSDネットワーク再生の初の採用例がインターナショナルオーディオショウ2013に展示されていました。これはスイスのCH PrecisionのC1 DACにネットワークボード拡張してネットワーク対応にしたものです。ただしC1自体がマルチビットのPCM1704を採用していますので、DSDは内部でDSPによって705.6KHzのPCMに変換されますのでDSDネイティブ再生ではありません。このように今後は海外でも採用例が出てくるのではないかと思います。


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DSX1000(DoPE方式)

-- 2. DoPEを使う方式 --

2-1 必要なもの:

DoPEに対応したメディアサーバー、SynologyのNASとminim serverやJRMC(18以降)
DoPEに対応したDSD対応ネットワークプレーヤー、CHORD DSX1000など(あとLuminなども追従かも)

2-2 DoPEでどう転送するか

DoPE( DoP Ethernet)のDoPはDSD over PCMのことで、USB DACで一般に使われている形式です。またEthernet(イーサネット)は一般的に使われているネットワークの種類のことです。つまりDoPでエンコードされたDSDデータをネットワークを介して転送するのがDoPE方式です。ただしDoPEという規格があるわけではなく、DoPを利用してネットワークでDSD再生をするときのいまのところの通り名です。

DSD対応NASを使用する方式でTwonkyサーバーをDSD対応にしたように、DoPEではMinim serverというソフトかJRMC(18以降)でも可能です。このようにDoPEはさらに2通りに分かれます。ひとつはMacやPCにJRMCを乗せるやり方と、NASにMinim serverをインストールする方法です。Minim serverはSynologyのNASにインストールすることができます。バッファローは相性良くないようです。

たとえばDoPEのシステムでは次のようになります。このときにJRiverをコントローラとして直接再生することもできます。
Mac/PC+JRMCの方式の例

iPad(コントローラー) - Mac/JRiver (メディアサーバー) - DSX1000(レンダラー)
Mac/JRiver (メディアサーバー&コントローラー) - DSX1000(レンダラー)

*JRMCの設定はこちらのLINKをご覧ください。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/358186736.html

NAS+Minim serverの方式の例
iPad(コントローラー) - Synology NAS(Minim server) - DSX1000(レンダラー)

MinimServerはDLNAサーバーとなるソフトウエアで、MinimServerではトランスコードオプションでDoPE(dopwav)という形式にトランスコードしてストリーミングするということです。トランスコードはもともとFLAC対応でないレンダラーにWAVでストリーミングするなどのためのオプションです。
前にStefanoのWAVにDoPをエンコードするツールを書きましたが、それをストリーミングしてネットワークサーバーで受ける感じといえるでしょう。見かけWAVをストリーミングしている形ですが、WAVの中身はPCMではなくDoP(DSD)ということです。つまり、このときはDoPEではMIMEタイプはaudio/wavを使用しています。
実際にCHORDの専用アプリではレンダラーで受けているファイルタイプが見られますが、そこではDSDをDoPEで使用すると曲名ではWAVと表示されます。

上のDLNAでのDSD音楽再生の流れの例で言うとこうなります。

1) コントローラーをメディアサーバーに接続してブラウズ要求すると、メディアサーバーは自分の持っている音源をリスト化します。JRMCおよびMinim ServerはもちろんDSDファイル形式を認識しています。
2) - 3) 上と同じ
4) 指示を受けたレンダラーはメディアサーバーに対してその楽曲ファイルの情報を渡して、レンダラーに対してストリーミングする指示をします。メディアサーバー(JRMC/minim srv)はDSDデータストリームをDoPにエンコードします。
5) メディアサーバーは自らのファイルシステムにおかれた音源ファイルの拡張子をみて、対応するMIME(マイム-インターネットでの拡張子みたいなもの)をつけてレンダラーにストリーミング転送します。
DSDの場合は元の形式(DSF、DFF)に関わらずWAVとしてMIMEを設定します。
6) レンダラーは動的にデータストリームを監視しながらDoPマーキングを検知するとデコードをDSDに切り替えます。(USB経由のDoPと同じ)
7) レンダラーはストリーミングされてきたDSDデータを再生します。

JRMCエンジニアの話によるとDoPEの必要性はこうしてDoPを必要とするレンダラーに送信できると共に、DSDフォーマットをWAVに統一できるというメリットがあるということです。
つまりもともとはhttpを使うネット上での伝送ではDoP(PCM)にする必要性は本来はないのだけれども、DoPを入力として採用しているDAC(ネットワークサーバー)の場合にはその方が都合がよいということでしょう。

2-3 今後の展開
LuminなどのネットワークサーバーもDoPEに対応するとみられていますが、海外製品では今後もDoPEが使われると思いますが、バッファロー形式も増えていくかもしれません。

-- 3. まとめ --

USB DACではDSDネイティブ再生には大きくASIOとDoPの2つの方式があります。ネットワーク透過のDSDネイティブ再生では端的に言うとバッファローNASの方式はASIOに似て、DoPEはDoPに似ていると言えます。つまりバッファローNASの方式はDSDファイルの中身とMIME情報をそのままストリーミングするのに対して、DoPEでは中身をDoPにエンコードして、MIMEをWAVに変更してストリーミングします。

前にも書きましたがネットワークでのDSDネイティブ再生と言っているものは上のどちらの場合でもそうですが、PC上でローカルにUSBやSPDIFでDACにDSDデータを伝送しているのとは話しているレベルが違います。ネットワークでのDSDネイティブ再生と言っているのはPC上でローカルの場合で言うと再生プレーヤーソフトがファイルを読む段階の話です(基本的にストリーミングなので)。DACに出すときの話ではありません。端的に言うとPC上ではHDDからDSDファイルを簡単に読めますが、そのファイルがネット越しにあると読むのにひと工夫必要になるということです。 この点にも留意が必要です。
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2013年11月05日

Geek通信4: Lightharmonicが再びクラウドファンディングでUSB DAC開発

この前ハイエンドオーディオメーカーのLightharmonicがGeek Outという(最近流行りの)ヘッドフォンアンプ内蔵のコンパクトUSB DACをKickstarterでのクラウドファンディング開発したという記事を書きました。(わたしも投資済み)
そのLightharmonicが今度はIndiegogoという別のサイトでGeek Pulseというデスクトップ版のGeek上位機種を再びクラウドファンディング開発してます。
http://www.indiegogo.com/projects/geek-pulse-a-digital-audio-awesomifier-for-your-desktop

Geek PulseはデスクトップのUSB DACでヘッドフォンアンプ内蔵、DSD128とDXD対応で9018 2M搭載(予定)です。予価は$499のようですが今ならEarly Bird(早割) entryで半額$249です。今朝時点で枠はあと70人ほどでした。(日本へは送料$40プラス必要)
Headfiにも記事があります。
http://www.head-fi.org/t/687851/geek-pulse-geek-desktop-dac-amp-by-light-harmonics/0_30
ただし満額達成してからクレジットで引き落とされるKickstarterと違ってIndiegogoはその場支払いのPaypalですが、Geek Pulseはもう満額行ってるので(たぶん)大丈夫でしょう。わたしもいきました。来年4月リリース予定です。クラウドファンディングは予算段階での投資ですから、普通にプリオーダーするより時間はかかります。

面白いのはLightharmonicって100万円くらいのDaVinci DACとか最近は10万円のUSB ケーブルとか出してるハイエンドオーディオメーカーですが、そこがこういう低価格コンシューマ製品を出すってことです。LightharmonicにとってのGeek系統は、AMRにとってのiFIに似た関係にありますね。AMRはハイエンドメーカーでその技術背景を応用してiFIのような高性能の低価格製品を出すという流れです。この前ヘッドフォン祭でiFI/AMRのトルステン博士と話した時もそれを指摘したら、他のメーカーが似たようなアプローチをとって来てるのは気付いてるって言ってました。
ただそうした企業内ベンチャーのようなアプローチをするのに、iFIの場合は他のメーカーとの共同出資という形をとってますが、Lightharmonicの場合はクラウドファンディングという形をとってるのが興味深いと思います。
posted by ささき at 08:58 | TrackBack(0) | __→ USB DAC全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月03日

東京インターナショナルオーディオショウ2013レポート

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週末は有楽町で開催される恒例の東京インターナショナルオーディオショウに行ってきました。以下は私的興味のレポートです。今回もカメラはQX100を使用しました。

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上はスピーカーの中にDACが入ってしまったLINN EXAKTシステム。フロントエンドのLINN DSからデジタルでスピーカーに伝送します。売りは位相の正しさ、ジッター低減など。またアクティブクロスオーバーの系統ですね。
EXAKTで面白いのはEXAKT linkという伝送システムで、初めはスピーカー側はXLRなんでDSからはAES/EBUかと思ったんですが、よく見るとプラグが単にノイトリックのXLRだけで中身はRJ45です(下の写真)。DS側もRJ45なんで、SPDIFやAESでなく1:1でネットワークプロトコルで伝送してます。なんでこういうプラグにしたかというとRJ45だとしっかりはまらないからで、ガワだけXLRになってます。

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それなら初めからスピーカーでネットワークから受ければ良さそうですが、そうすると左右の時間差が出るので、いったんDSでまとめて受けてから位相差問題が出ないように1:1のトラフィックが限定されたネットワークケーブルで伝送するということのようです。左右別にプレーヤーを入れると前に書いたイヤフォンのSplitみたいにクロックを伝送して同期のような手間が入ります。またLINN的にはLP12のADコンバータとしてもDSが役立ちます。
DSとスピーカー間はupnp(DLNA)ではなく、どうもプロトコルまで独自のようです。ネットワークプロトコルはハードの低層からアプリの高層まで階層があって、どのレベルまで独自かはわかりませんが、LINNがEXAKT LINKで専用プロトコルまで作ってしまったというのは驚きです。従来のチップとかファームが使えないですからね。この分野にかける執念を感じます。

普通は一本のケーブルならSPDIFとかUSBみたいにシリアルでデジタル信号を転送すると思いますが、ネットワークプロトコル使った理由はスピーカーケーブルなので長さの問題でしょうか。USBなら数m持つかもたないかですからね。でもバランスのAES/EBUなら良いのでは、という気もするのでよくわかりません。
これで興味を持ったので本国LINNの公式EXAKT関連フォーラムをざっと読んだのですが、あんまりはっきりしたことは書いてないですね。伝送長などの質問にはLINNスタッフは回答を避けてます。ただ、EXAKT LINKってマルチルーム向けかって聞いた質問にEXAKT LINKは部屋の中での配線のためだ、とLINNの人が答えてはいます。

LINN EXAKTの音はピュアでニュートラル、クリーンで精緻、確かに素晴らしいと思います。ただ私はスピーカー機材は90年代LINNを使用してますが、アイケミやケルンのようなLINNの英国的陰影サウンドは(米国ハイエンド市場向けの)Klimaxシリーズ以降は薄まって行き、EXAKTになると、かつてのLINNっぽさはほとんどありません。それがHiFiというものでしょうけれども。


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上は今回のショウの目玉と私が勝手に思ってるAudienceのThe Oneスピーカーです。今井商事さんブースの展示です。The OneはCESなど向こうのショウで高評価だったのでちょっと目をつけてましたが、日本でも試聴できるとはうれしい話です。The OneはコンパクトのハイエンドスピーカーでAudienceはこのユニットを複数組み合わせて上級のスピーカーを設計してます。私は日本の小型スピーカーだと大村ユニットものが好きなんですが、これも期待させられます。


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実際にThe Oneの音質は素晴らしく、小さくても堂々たるスケール感の音と高い解像力。絞っても崩れない小音量再生力の高さなど印象的です。Burson Time KeeperパワーアンプとThe Oneで演奏中ですが、定位がピッタリ、スケール感も素晴らしく、外側の大きいフロアスタンドスピーカーが鳴ってるって言ってもおかしくないですね。デスクトップ向きかと思ってましたが、6畳間ならメインでも行けそうです。
今井商事さんらしくMytekでDSD128でデモしてました。 The Oneの背面はパッシブラジエーターです。メインコーンとドローンコーン(パッシブラジエーター)は前後に同相で一緒に動くタイプのようです。
The Oneはペアで12万5千円とのこと。今井商事さんではコンパクトはALRジョーダンのEntry Siなんかが有名でしたが、The Oneもそうなると良いですね。


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ネットワークでもDSD再生が可能になってきましたが、そこで興味深いのはステラ・ゼファンブースでのスイスのCH PrecisionのC1 DACにネットワークボードをつけてネットワーク対応したものです(上の写真)。これはなんとバッファローのDSD対応NASに対応してます。知る限り海外製では初だと思います。はじめはminim serverも考えたけど、バッファローを知ってこちらにしたよう。IFAでしょうか、バッファロー方式ネットワークDSDもいよいよ海外に広がってきたようです。
ただしC1の中はDSD対応していないPCM1704の4パラで、DSPで入力信号を(PCM1704でのオーバーサンプル上限の)705.6KHzに変換しますのでDSDネイティブ再生ではありません。写真ではDSD128を再生して705.6KHzに変換してます。


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タイムロードのブースではQuteHDの改良版QuteEX(DSD128対応USB DAC)とQuteベースのネットワークプレーヤーCodeX(DSD128対応ネットワークプレーヤー)が展示してありました(上左)。またヘッドフォン祭では長蛇の列だったEdition 5が聴き放題。ヘッドフォンアンプはStelloです。
インターナショナルオーディオショウというと評論家の先生方の講演も人気です。タイムロードでの角田先生のライドー新スピーカーD5とDSX1000の講演です(上右)。


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ナスペックではウイーンアコースティックスのスピーカーをデモしてました(上左)。手前は新フラッグシップのThe Musicです。よく言われますがウイーンアコースティックスのスピーカーって音色がとてもきれいです。
注目は最近増えてきたUSBメモリタイプのヘッドフォンアンプ内蔵DAC、CambridgeのDACmagic XS(上中と上右)。けっこう質感はよく薄くてコンパクトなUSB DACアンプです。192kHz上限でUSBはMicroBです。 28000円くらいで12月ころ発売とのこと。


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ユキムで面白いのはカワイイ真空管アンプのCarotから出た真空管式ポータブルアンプ、NIK58-Tubeです(上)。真空管はPhilipsのサブミニ管(JAN6111WA)ですからNOSで、JANだから軍用でしょうか。
サウンドフィールドという機能で音の広がりを変えられるよう。USB充電式リチウム電池内蔵で、電池持続3.5時間らしい。あのPortaphile627以下? 89800円と強きな値段で11中くらいに出るよう。


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上はBMCのPure DAC。バランス駆動のヘッドフォンアンプ(4pinXLR一個)付きでバランスT1でデモしてました。ESS9016でバランスDAC22万とお得値段かも。音も良かったですね。


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上は以前書いた「マークレビンソンのいま」Daniel Hertzの1MΩプリです。 私はやっぱりブランドって文化・歴史だと思うので、自分で買うわけではないけどこういうものも興味あります。
前に書いた記事はこちらです。
マークレビンソンとディックバウエンのいま - Burwen Bobcat
マークレビンソン氏のインタビュー記事とDaniel Herz


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小型スピーカーも元気で、上はフォステクスのピュアマグネシウムGX100 limitedのデモ。すごい人出でした。Limitedはより自然な音になったような気がします。


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上はロッキーブースのFocal Spiritの赤。これはホワイバランスを手動で変えないとデジカメではきれいに色が出ないシチュエーションです。

今回は半分QX100の練習に来てるみたいなもんですが下記はものはともかくディスプレイがきれいなんで撮ってみました。dCSのプッチーニとAvalonのIsis。F1.8開放で撮ってます。

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こちらはスナップ風の写真、暗部描写も見事です。

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QX100はすばらしい画質です。ヘッドフォン祭の時は自分に余裕がなかったのであんまり真面目にカメラを見られませんでしたが、やっと落ち着いて撮れました(そういう場合か?)。Powershot G15もコンパクトにしてはけっこう良いと思ってましたが、QX100の絵からするとRX100もかなり良いでしょうね。もっと一眼レフに近いレベルです。



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というわけでハイエンドの良い音をタップリ聴いた後で帰りの電車では自前のARM1とDita AudioのAnswer True editionでポータブルオーディオ。それでひどくがっかり、、まではしないかな 笑。マイトナーとかIsisなんかは別として、けっこう良い線は行ってると思います。ヘッドフォン・イヤフォンのすぐれたところは音の細かさだけ、というところからDita Audioなんかは卒業を始めてます。DAPもARM1みたいにハイエンドDACを搭載するところまではいきましたが、ジッター低減や音楽性などまだまだ取り組まねばならないことを考えさせられますね。もっと先はあるし、だからこそ進化する余地もあります。
posted by ささき at 23:29 | TrackBack(0) | ○ オーディオショウ・試聴会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする