Music TO GO!

2013年06月29日

ワイヤレスポータブルアンプの探求、Myst PortaDAC 1866など

このブログの初期のころに(旧)SR71とかXin SM4とか言ってた頃はポータブルヘッドフォンアンプと言うのは極めてマイナーなものでした。今はSONYやフォステクスなど大手をはじめポータブルアンプが百花繚乱的に製品群も出てきて、当たり前のようにオーディオ専門誌でもレビューされる存在となりました。
一方でそのポータブルアンプ自体ではなくソース機器の方を考えると、SR71やSM4の頃はソース機器はiPodだったわけです。iPodはヘッドフォンアウトの音質はいまいちだがドックからのラインアウトの音質は良いということでポータブルアンプが登場してきました。しかし、この9年間の間にiPhoneをはじめスマートフォンがiPodの座を奪っています。そして昨年にはiPodからの遺産である30pinコネクタもなくなり、iPhoneからはアナログのラインアウトも出せなくなりました。スマートフォンは手に持って使う前提であり、ポータブルアンプのような余分な機材を背中あわせに付けるのにはもともと不向きです。全画面タッチパネルはバンドを付けるのも難しくなります。そもそもiPhoneは単体で完成された洗練したカタチですから不可物を付けたくはないですね。
そうした環境の変化の中で、ポータブルアンプも相変わらずのカタチで良いのか、という疑問はあります。

今回の記事のタイトルはワイヤレスポータブルアンプの探求としましたが、スマートフォン時代のポータブルアンプのあり方を探る、と言った方がよいかもしれません。
ワイヤレスというとiPhoneではAirPlayが正統な方法ではありますが、ポータブル機器での対応は未知数です。Kleerは音質に優れていますが、iPhoneで標準にサポートしていないため、専用のドングルを余分に装着する必要があります。(Kleerについてはすでにけっこう書いてるので当ブログを検索ください)
そうしてみるとポータブル機器では現実問題としてまずBluetoothに着目する必要があります。しかしながら音が良くないと言われるBTですが、BT機器が音が悪いっていうのは本当にBluetoothのせいなのか、ということを考える必要があると思います。USBなんかも一昔前は音が悪い周辺機器の代表でしたが、いまではハイエンドオーディオメーカーでもUSB機器を出していますね。
その実用性を探るヒントになるのがまずMyst 1866だと思います。

* Myst PortaDAC 1866

前に春のポータブル研究会で着目したBluetooth対応のポータブルアンプがありました。このMyst PortaDAC 1866です。
http://myst.pro/en/page/myst_potradac_1866_ocub
Mystはロシアのブランドでホームページは下記です。Fisherとも関係があってMystifyの名前でアンプも出してるので、ロシアということであまりしられてませんがそれなりに実績はあるんでしょう。なにしろ情報として参照されてるフォーラムがロシア語ですし詳しくはわかりません(HeadFiも多少あり)。

IMG_1366_filtered.jpg  IMG_1368_filtered.jpg  IMG_1367_filtered.jpg

Myst PortaDAC 1866はポータブルアンプながらデジタル入力のみでアナログ入力がないというところが特徴です。そのため、そもそもiPodとは組み合わせられません。DAC内蔵のアンプ一体型で、はじめ1866はなにかの年号かと思ったけど、これはDACの型番でAD1866というマルチビットDACです。
デジタル入力は光(96/24まで)と同軸(ミニ)SPDIF(192/24まで)、USB(48/16まで)、そしてBluetoothです。光と同軸はハイレゾ対応に見えますが、AD1866自体が48/16までだったと思うので入力は可というところでしょうか。スペックを拡張しにくい点はマルチビットDACの欠点でもありますが、マルチビットDACは自然な音楽性の良さという長所があります。そしてMyst 1866のポイントはBluetoothとマルチビットDACの組み合わせと言えます。
このMyst1866をちょっと入手できましたので、iPhone5と組み合わせてBluetooth接続で使ってみました。

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まずはじめの疑問だと思いますが、(音が良くないと言われる)Bluetoothを介してもアンプを組み合わせる価値があるか?、という問いにはYESで答えられます。
iPhone+BT+Mystの音は、iPhone直刺しからは期待できないような細やかでオーディオらしく滑らかさと暖かみがあります。Mystの個性としてベースも太く迫力のある音が楽しめます。マルチビットらしい音楽性の高さが際立ち、音色も良いですね。Bluetoothであってもベルや楽器の音もきれいにクリアで明瞭に再現します。アップテンポなジャズのスピードやベース・ドラムスのインパクト感や切れ味もなかなか良いです。音場もわりと広い方だと思います。ポータブルアンプとしての基本性能はしっかりしていると思います。Mystはモニター的ではなく適度に音を演出しています。
ゲインは高めだけど、カスタムイヤフォンでも使えるくらいノイズフロアは低いと思います。ただ高感度イヤフォンだとハム音かなんかが聴こえます。Bluetooth使用ではAKG K3003が一番良いように思います。
マルチビットDACらしく硬くなく柔らか・滑らかなので適度にBTの粗が中和されてる気もします。これもポイントだと思いますが、あくまでBTの粗を隠すためというのではなく、ベースのBTでの音質はかなり良いように思います。これは後でも書きますが、Myst 1866の実装によるところが大きいと思います。
BT機器って音は悪いしこの程度で良いという作り手の予断がはじめからあると思います。しかしまじめに作ればBT機器と言ってもこのレベルの高い音質が確保できるという良い見本にMystはなっていると思います。

Myst PortaDAC 1866でのBTの音の良さという点では、HeadFi経由でMystの人にメールのやりとりをしていろいろと聞いてみました。Myst 1866で使用しているBTモジュールはBluegiga WT32というチップでBT2.1+EDRのようです。

Mystの音の良さと言う点で、まずはじめに思ったのはコーデックです。A2DPのコーデックに悪評高いSBCではなくAACを使っているのかと思ったんですが、Mystの人はどうもAndroid派のようであまりiPhone寄りの実装はしてないと思います。また、上記チップ自体はAptXに対応していますが、AptX使えるMacbookで試してみてもAptXでは接続していないようです。おそらくはMyst PortaDAC 1866とiPhone5の間はBT標準のSBCでしょう。
Appleの公式Bluetoothデザインガイドラインを見るとSBCコーデックのbitpool値(転送レート)は2-53と書かれていて、対応デバイスは53をサポートすることとあります。53だとビットレート換算すると320kbps程度は確保できてるように思えます。一方でそのBluetoothデザインガイドラインではAACでは256kbps固定で送ると書いてあります。方式の異なるAACとSBCを直接比べるわけにはいきませんが、AACとSBCの差はコーデックの品質差を考慮してもあまり大きくないようにも思えます。(SBCがbitpool=53で送られる前提ですが)

次に着目したのはBluegiga WT32がI2S出力を持っているということです。BTモジュール自体はDAC機能も有しているようですが、MystではたぶんWT32からI2SでAD1866に入れてるんではないかと思います。
一般的にBluetooth機能はBluetoothモジュールとしてワンチップ化されていて、AptX対応しているCSRのBTモジュールなんかもDAC機能を有していますね。おそらくはBTヘッドフォンのようなものはBTモジュールのDAC機能をそのまま使っているのでしょう。BTモジュールのDAC機能は音質もそこそこですから、これも「BTが音が悪い」の一因になっていると思います。
以前はUSBも音が悪いの代表でしたが、これもPCM270xのDAC機能をそのまま利用していた時代ですね。PCM270xを単にレシーバーとして使ってそこからI2Sでもっと性能のよいDACチップに入れるようになると音質は大きく向上していきました。
つまり、仮にコーデックとして優れたAptXを使っていても、BTモジュールのDAC機能に左右されるのでは高音質とはいえないのではないかということです。Bluetoothの音質問題ではよくSBC、AptXみたいにコーデックが取り上げられますが、実際はDACやアナログ部も含めたトータルの実装としての設計によって差が出るということではないでしょうか。
はじめはMyst 1866のマルチビットの柔らかさでBTの粗さが適度に緩和されているのかと思ってましたが、そうではなくてBTの音質そのものが意外と悪くないという気はしますね。

ただし音質的に言うとやはり他の有線デジタル入力の方が優れてはいます。
AK100から光入力で再生すると音はより洗練されてきます(ケーブルはsys-conceptのを無理に使ってます)。USB DACとしても割と優秀で甘さだけでなく解像力やダンピングもそれなりにあって、DAC一体型のアンプとして基本的なところでもけっこう考えられてると思いますね。
ただMyst1866は価格的に高いのが難点で、デジタル入力ならXD-01はコンパクトで安く買えますし、音質だけを求めるならMystには音色の良さという長所はあるけど、もう少しお金を足してHM901やAK120をオススメします。マルチビットDACの音がいいならTera Playerの方が性能は高く音も良いとは思います。また充電表示ランプもないなど、ポータブルアンプ製品としては作りこみの不足もありますね。やはりMystは高価格の付加価値としてはBTありきです。
ちなみについでによくわからないMystの充電時間についてMystの人に聞いてみたら、7-8時間と言うことで急速充電などはないということ。一晩つなぎっぱなしがよいよということでした。MystではBT機能は試しに作ってみたという感じのようでしたが、意外とまだやる気でアンテナ改良したバージョンも出したいようなことを言ってました。

BT接続でのMyst 1866とiPhoneの組み合わせはまさにスマートフォン時代のポータブルアンプのあり方を感じさせてくれます。スマートフォン本来の操作性を損ないません。iPhoneの優れたユーザーインターフェースがフルに活用できます。聴きたい音楽を自由に取り出せ、音楽へのアクセスが本当に思いどおりにできます。またスマートフォンらしくYoutubeやゲームなどアプリでもフル活用出来ます(ただし後で書くアンテナ位置に注意)。WiFiでつながってクラウドストリーミングも発展できます。そもそも日頃慣れた操作感をそのまま使えます。この記事もiPhoneでMyst1866で再生しながら、Dropboxで書いてます。
iPhone搭載のプレーヤーソフトで音も違いますのでいろいろと楽しめるでしょう。

Myst自体のサイズは大きめですが気にしなくてかまいません。iPhoneと重ねる必要はないですから。Mystでは重くて持ちにくいアンプの重ね合わせも不要で、バッテリー一体型のような厚みの不便さもありません。胸ポケットは無理ですが、細長いんでジーンズのポケットには突っ込めます。ただサイズ的にはiPhone5とほぼ同じであり、もともとのMystの発想はiPhone5と重ねるけど結線は不要というものだったかもしれません(30pin廃止を念頭に入れて)。
Mystはカバンやポケットに入れたままでも便利です。ハイレゾDAPでは曲を変えたり音量を変えるときにかばんやポケットから出さねばなりませんが、iPhoneはもともと手にずっと持ってることがおおいので、その必要がありません。BT使用時でもボリュームはiPhoneでコントロールできます。
プレーヤー部込みのハイレゾDAPでもやはり操作性はiPhoneの方が便利です。DAPではAndroidベースのDX100でもタッチはカクカクAndroidそのもので動作も緩慢です。これも最新のAndroid端末とBT機器の組み合わせならば話は別となるかもしれません。

Myst 1866のBT時の問題点は音の途切れがあることです。これは調べてみるといくつかの問題点があるようですが、もっとも大きなものはiPhone5使用時の持ち方に関係しているようです。iPhone5(4Sから?)では下記のように上部左背面にBT/WiFiアンテナがあります。これはちょうど背面の素材が変わってアルミではなくガラスになっているところです。iPhone5のツートンカラーデザインはこの辺にも関係があるようです。

iPhone5ではこの部分を手で覆うとBT接続の問題となって音切れが激しくおこりやすいようです。特に横向きにして両手で持つ時は切りやすくなります。またMyst 1866の方にも問題があってアンテナの作りこみ不足があります。BTモジュールの内蔵アンテナをそのまま使っているのかもしれません。またワイヤレス機としては金属ケースが難だと思うんでプラケースで良かったかなと思います。

使っていると64GBのiPhoneでも音楽だけ入れるというわけにはいかないので、AK120とかHM901、DX100みたいに100GB以上を音楽蓄えられるのには及ばなくなります。そういうときはサーバーが別にあるといいかなと思いますね。いまでもデジタルカメラ用のポケットNASみたいなものはあります。これでiPhoneをコントローラとして、ポケットNASをメディアサーバーとし、Myst1866をDLNA化したようなWiFi DACをレンダラーにすればシステムも拡大します。ちいさなネットワークプレーヤーを使ったPCオーディオをやっている感じです。実際のところ、PCオーディオって別にPCをCDプレーヤーと取り換えると言うだけではなく、こうした広い視点で見るべきことだと思います。
ワイヤレスオーディオ機器はやはりWiFiストリーミングかAirPlay、Kleerで作るのは理想ではあるけど、Bluetoothでも作り方次第で良いものは出来るとMyst 1866は教えてくれると思います。

* オーディオテクニカAT-PHA05BT

Myst 1866はいわゆるポータブルヘッドフォンアンプをそのままBT化した例ですが、もっと手軽で一般的な選択としてはオーディオテクニカやロジテック、SONYなどが出しているBluetoothレシーバーのようなジャンルがあります。これらもレシーバーとは言ってますがBT対応のポータブルアンプみたいなものですね。AT-PHA05BTがそういう意味ではもっともBT+ポータブルアンプに近いかもしれません。
これもPHA05BT+BT+iPhoneで使ってみました。PHA05BTの問題としては高感度イヤフォンだとサーっていうヒスノイズが乗ることです。JH13で乗るくらいなんでけっこう大きめですね。SE215だとノイズとしては少なくなるけど、まだ乗ります。背景が暗い感じではなく、都会の夜空って感じです。

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とはいえSE215SEとはけっこういい相性だと思います。強調してる感はあるけど中高域の明瞭感もあるし、ベースもがっつり量感はあります。ただこれは膨らみがちではあります。一般にダイナミックイヤフォン系と組み合わせるのがいいかと思いますね。一般的なところではSE215SEとの組み合わせが価格的にも妥当でいいかなと思います。SE215無印の方が合うかもしれません。
Tzar350(+UEケーブル)だとSE215よりさらにノイズ感は小さくなります。この組み合わせはいいんですが、ベースは控えめでハイがきつめです。BassのDSPがほしくなるかもしれません。
Tzar90(+magnusケーブル)だとヒス感は残るけど、この組み合わせは良いですね。ハイも抑え目でベースもDSPオフで迫力があります。低域はインパクトがあってまあまあタイトです。この辺は90オームの良さが出てるかもしれません。他方でヴォーカルが少し引っ込み気味ではあります。Tzar90もレンズのくせ玉ならぬくせイヤフォンだけど、はまると良い味出します。HM901やAK120でロック聴くにもTzar90重宝します。
ただ、特にこれからの暑い季節はBTレシーバーは胸ポケットに入れることが多いと思うので、普通のイヤフォンだとケーブルが余ってしまう点が問題です。その点ではショートケーブルのイヤフォンが向いています。そこで取りだしたのがもはやクラシックかというSONYのクオリアイヤフォン、MDR EXQ1です。硬質感があるくらい気持ちよくクリアで明瞭になり、高い方も低い方もかなり強く出ます。手持ちのはフィルタを取り去ってますが、このくらいメリハリがはっきりした性格の方がこのクラスのBT機器には合っていると思います。画像のはイヤチップをHeirのオレンジに変えています。

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PHA05BTもさすがにMyst 1866のような高品質のオーディオ機器を使用している感はありませんが、このクラスとしてはイヤフォンを選べば普通に聞いて満足できるレベルの音質ではあると思います。PHA05BTをSONY BTN40と比べてみましたが、PHA05BTの方がヒスノイズは多いけどよりオーディオ機器らしい音がするかなとは思います。このノイズはBTではなく別な原因だと思いますね。
PHA05BTやBTN40のようなBTレシーバーはコンパクトで、すぽっとどこにでも収まるので便利です。AT-PHA05BT使ってみると、Mystのときと同じようにiPhoneのBTアンテナを手で覆っても音切れが起こりにくいことに気が付きます。Mystのアンテナが金属ケース内にあるというのも問題ではあるでしょうね。ただしPHA05BTで音途切れがないわけではなく、アプリの切り替えでよく途切れしますがこれはiPhone側の問題かもしれません。
AT-PHA05BTはBT3.0ではなくBT2.1+EDR(SBC)ということなので、実のところはこのスペックを満たせばBluetoothでも良い音質を確保できるということではないかと思います。うちのブログでもずっと前にEty8のレビューでEDRを使用したんですが、このときも音質的には問題なかったと思います。

こうした機器にラインアウト機能がついていると便利ではありますね。PHA05BTに関してはヒス問題とかオーディオ的な厚みや滑らかさの不足など、BTで音が悪いというよりもむしろ他のアナログ・デジタル設計部分の不足に思えます。もちろんこの製品に関しては価格的には十分だと思いますが、もう少し凝った製品を作ってほしいところです。WM8533とかES9023だと低電圧仕様でラインレベル出力も取り出しやすいので、ES9023搭載のBTレシーバーのような機種を作ってくれませんかね、どこかで。

* センチュリー CBTTR AV

BTレシーバーとは別にiPhoneが30pinコネクタを廃止したあたりから増えてきたのはこの手の「なんでもBluetooth」対応にするというBTアダプターのような機器です。これはBTの送受信機となる小さなドングルに音声出力機能が付いたもので、BTレシーバーに近いですがイヤフォンよりもドック付きスピーカーの代替的な意味合いが強いと思います。
このジャンルで紹介するのはセンチュリーの「どれでもBluetooth」CBTTR AVです。いままでのこのタイプのはバスパワーなど電源を外部供給なのでポータブルアンプのソースには使えませんでした。しかしこのセンチュリー CBTTR AVは電池内蔵なので応用は広がります。また送受信どちらでも対応できるのもポイントで切り替えスイッチがあります。

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ここではまずSR71AにCBTTR AVを付けてなんちゃってワイヤレスシステムにしてみました。ただ、音質はあまり良くないです。音はひずんで割れますし、あんまりまじめに使う使い気にはなれません。ちっょとやってみただけではあります。ただしMystで書いたような利便性はありますね。

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次にヘッドフォンにBTレシーバーよろしく直接つけてみました。これも音は悪いんですが、小さいので便利ではあります。単体で使う時はiPhoneのボリュームで音量をコントロールできます。
こちらはMystの逆ではじめからBT音が悪いから安くてこの程度のものでいいでしょ、の見本みたいなものではあります。このタイプでもっと音質をきちんと考えたものを作ってほしいですね。

* BTは音が悪いのか、ワイヤレスは音が悪いのか

まとめるとMyst 1866のBluetoothでの音質はたしかにMyst1866での有線の光接続などに比べると落ちるけれどもそれは相対的なことで、絶対的なレベルで悪くはないですね。むしろブラインドでBT使用中という予備知識がなければ多くの人はMyst 1866のBluetoothでの音をかなり良いと言うと思うし、DAC+ポータブルアンプの期待音質をクリアしていると言うと思います。
AT-PHA05BTでもポータブルアンプとかオーディオっていうことを語るレベルの音質には及びませんが、一般的に十分音はいいと思います。イヤフォンとの組み合わせ次第では良い音を楽しめるでしょう。
センチュリーになると音はいいとはいえないけど、これもBTの問題ではないと思いますね。

Kleerならもっと良い音質で送れるとは思いますが、結局はKleerだろうとAptXだろうと、オーディオ機器としての設計が出来てないと音はいいものは出来ないと思います。上でも書きましたが、かつてUSBも音が悪いって言われてましたが、いまや堂々たるオーディオの主力商品ですからね。

先日のAppleのWWDCでも802.11ac対応製品が発表されましたが、5GHz帯域元年の今年はぜひワイヤレスオーディオ、そしてスマートフォン分野とオーディオのもっと進んだカタチを見てみたいものではあります。
posted by ささき at 20:02 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月28日

ESS 9018に新しい2M世代が登場

高性能DACチップとして評判の高いESSのES9018ですが、ES9018-2Mという新しいモデルが登場したようです。
http://www.esstech.com/Pr_2013/ES9018-2M%20%20PR%20130621.pdf

ESSと関係深いResonessenceによるとこの新製品はすでにConcero HDに搭載しているということ。
http://resonessencelabs.com/product/concero-hd/
フラッグシップのinvictaではなく、バスパワー動作のコンパクトUSB DACであるConceroにまず採用したっていうのは、この2Mバージョンでは以前より回路の刷新で性能向上もさることながらコンパクトさと低消費電力を目指してるからのように思えます。
infoTechサイト
http://it.tmcnet.com/news/2013/06/27/7236507.htm

今までES9023がカバーしてたところまで領域を広げるのかはわかりませんが、コンパクトさと低消費電力と最近のプロセッサ動向とも合致する点は興味深いところです。
また下位機種のES9016にも2Mバージョンが出てますのでよりモバイル指向したESSの2M世代ということでしょうか。

追記:
いろいろと調べてみると、ES9018の次の世代と言うよりも、(もともと8チャンネル内蔵だったものを)2チャンネル化してコストダウンをし、電源消費とコンパクト化を志向した別のバージョンと言うべきかもしれません。2Mというのは2channelのMobile対応という意味のようですね。
posted by ささき at 08:05 | TrackBack(0) | __→ PCオーディオ最新技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月27日

RWAK100のラインアウト専用Sバージョン登場

おなじみRed Wine AudioのVinnieさんがまたまたやってくれました。
AK100のRWAK100改造品を以前紹介しましたが、今度はRWAK100-Sという改造バージョンが出ました。
http://redwineaudio.com/mods/rwak100

これはAK100ベースの改造品で、なんとDACチップをWolfsonフラッグシップのWM8741と交換して、さらにヘッドフォンアウトをアンプセクションからバイパスして2Vrmsの真のラインアウト専用にするというものです。ヘッドフォンの直差しは出来ずにラインアウト専用となります。もともとiMOdの第4世代版はこういう感じでしたのでVinnie modらしいところです。

AK100ではWM8740をソフトウエアモードというモードで使っていたのでデジタルボリュームが使えていたそうですが、WM8741はハードウエアモードということでボリュームはまったく使えなくなるそうです。このためAK100のボリューム耳を除去してくれるそう。またオプションのminimal phaseデジタルフィルタを有効化するそうで、アーティファクトのない自然な音が楽しめるそう。
光アウトはまだ生きているようですが、強化されたDACセクションを使うためにアナログアウトから取るのがもちろんメインとなります。良いポータブルアンプとの組み合わせで光ることでしょう。

ちなみに改造費は$495でRWAK100から改造する場合は$100安くしてくれるようです。
AK120にアップグレードしてAK100が余っている人には良いと思います。
posted by ささき at 22:02 | TrackBack(0) | __→ AK100、AK120、AK240 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月26日

1ビットオーディオ研究会(旧:1ビットオーディオコンソーシアム)のセミナーに参加しました

本日は1ビットオーディオ研究会(旧:1ビットオーディオコンソーシアム)のセミナーに参加してきました。
詳細は下記です。(PDFが開きます)
http://www.jas-audio.or.jp/jas-cms/wp-content/uploads/2013/06/2013-06_1bit-audio.pdf

* インターフェース株式会社

今回初めて参加しましたが目当てはまずインターフェース株式会社(長野・立川)さんのDoP/ASIO伝送方式のセミナーです。

最近DSD DACが急にどっと出てきたという印象を持つ人も多いでしょう。これは人気があるから流行だから雨後の竹の子的に出しているという見かたもあるかもしれませんが、それはちょっと短絡的で実は開発側からみた見方があります。
例えばPCオーディオの先鞭をきったアシンクロナス方式はWavelengthのゴードンがややこしいファームウェアをAyreなど各オーディオメーカーにライセンスしたことで一気に広がりました。USB Class2のときにはXMOSがありました。XMOSは独自のトランスピュータという新技術の小ロットでの柔軟性を宣伝するためにオーディオ分野でClass2を実装し、一気に広めました。ネットワークオーディオでもネットやスマートフォンアプリのソフトウエア基部を作る会社(StreamunlimitedやTIのnSDKなど)があります。そのため、「あの会社がネットワークやるの」、と思わせる製品が出てもおかしくありません。

このように現代PCオーディオではややこしいインフラを専門の会社が一手に引き受けてオーディオメーカーはそれにオーディオとしての回路を足すというのが一般的です。こうしてインフラが整ってどっと製品を出せる基礎ができるわけです。
そしてDSDの分野において難しいところを引き受けているキーとなるのが国内ではインターフェースさんです。インターフェースさんのホームページはこちらです。
http://www.itf.co.jp/

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インターフェースさんでは2011年のdCS方式から研究を開始して、今ではTEACやLuxmanその他のDSD DACのファームウェアを担当してます。
伝送方式のセミナーの細部ははしょりますが、DoPでのマーカーの判別における処理の難しさ、それに関してのミュート処理、サンプルのバッファリングとフィードバックなどポイントと感じられました。
ASIOでは2.1からもともとDSDを認識できるのでDSD/PCMの切り替えもコマンドで伝送前に実施できます。音楽データを流しながら動的にDSDを判別しなければならないDoPとの違いがあります。

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肝心のファームウェアはITF-DSD via USBというものでその実体はTIのTMS320C6748というDSPチップです。これは5.6Mまでの対応が可能で、これでDoPとASIOの両対応が可能です。ASIOの方が安定して良さそうであっても、MacではASIOが使えないことを考慮する必要があります。
またPC上のアプリケーションはITF-Audio Toolkitというのを用意してサンプルソースコードをベースに容易にWindows上でメーカーがDSD対応アプリケーションも作成できます。ドライバーもITF-Audio for WindowsというASIOドライバのカスタマイズベースを用意してます。こうしたトータルなソリューションでメーカーはDSD対応機器を手軽に作れるわけです。

今後はインターフェースさんの取り組みとしては安くしたい(まだTIのチップが高い)ということがテーマだそうで、これがうまく行けばもっと安いDSD対応機器が出てくるかもしれません。
またもう一方はiOSへの発展です。デモでは国内某ショップ製のDSD DACにiPad miniに独自アプリを入れて再生デモをしてました。カメラコネクションキットを経由していますね。iPadアプリはPCM(WAV)、DFF、DSFに対応しているようです。

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iPadではDoPならDSDネイティブ再生できそうですが伝送方法はDoPではなく、なにやら言えない方式ということです。後述するKORGさんみたいにマーカーではなくコマンドで切り替えると思いますが、その場合はiOSの標準ドライバーを通過してるのが不思議ではあります。

少し担当の方とご挨拶させてもらいましたが、うちのブログもご存知ということでありがたいことです。

* LUXMAN

インターフェースさんがインフラの基礎部であれば、LUXMANさんはその上にオーディオとして製品を実際に作る立場です。大手メーカーでもDSDを扱うことで間口が広がることも期待できますね。

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LUXMANさんは技術的なところよりもPCオーディオとDSDへの取り組みを中心にプレゼンしました。
オーディオ人気はいったん2000年頃に底に突き当たりますが、その後はゆるやかに回復基調にあるということ。これはPCオーディオが牽引役になってるのではないかとのことです。また年齢的にいうとLuxman的にはかつて60才台くらいにピークがあったがこれは定年後の趣味ということでオーディオを始めるためではないかとのこと。私が思ったのは一昔前のカメラと同じだなあということ。
LUXMANさんによると二年前くらいから30才台に少しピークが出てきているということです。これもいまのカメラと同じように思いますね。
思うんですが、オーディオはPCオーディオっていうコンピュータとの関わりで新しい市場を得てるのとおなじに、カメラもデジカメで同じことになりますね。つまりはPCオーディオっていうのはオーディオだけの流行ではなく、他の世界もそうであるようにコンピュータによる世代交代の流れをオーディオも受けているということだと思います。

またヘッドフォンの人気にもふれ、ヘッドフォンユーザーはスピーカーユーザーにいずれなるのではなく、別のユーザーであると感じているとのこと。
LUXMANではアナログ部分も重視してるが以前とは違い重いものはやめてくれというアンケート結果が増えて来たというのも面白いところです。小さくて良いものが求められる時代が来たと感じているとのこと。
またPCMとDSDとの比較試聴も行いました。

* KORG

KORGは1bitの雄ですが、同時に上記のグループとは別の道を歩んでいるように見えるのも興味深いところです。

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KORGでは1bitの研究は2004年からはじめ、KORG U1という珍しい機器の紹介もありました。KORGのメインはご存知の通り、楽器とかDAWのオーディオインターフェースが主ですね。MR1とかMR1000の開発からAudioGateの初期UIのボツ写真など面白い紹介もありました(恥ずかしいのでブログには載せないでくれとのこと)。
興味を引いたのはAudioGateではCではなくSSD2アセンブリベースで高速化したということ。AudioGateって意外と音がいいんですけど、この辺が関係してるのかもしれません。聞いててかなりマニアックなことやってます。
もうひとつのポイントはClarityというDAWソフトで、ClarityはCPUネイティブ(PyramixなどのようにDSD専用ハードなしでソフトウエア処理する)で出来るDAWをめざしたということで、オーディオインターフェースとしてはUSBでMR0808Uを使用しています。AudioGateと親和性がありClarityの技術をAudiogateに活かすことも可能だそう。(ただ諸般の事情で製品化予定はないとのこと)

KORGさんで面白いのは最近発表されたDAC10(DSD対応のUSB DAC)のMac対応です。
普通ならASIOをMacでは使えないのでDoPですが、AudioGateではDSD/PCMでの切り替え時にClarityエンジンでのミュート処理とコンフリクトがあるので使用できなかったとのこと。そこでDAC10のMac対応ではコマンドでDSD/PCM切り替えをしてASIOに近い形でDACに送っているそうです。これは独自ドライバーとhogモードを駆使してます。

これは発表のあとでKORGの人に聞いて見たんですが、CoreAudioのAUでも実際はDoPのようなPCM見せかけの中身24bitのDSDではなく、32bitのDSDデータで通っているようです。AudioMidi上はDoPと同様の176k設定で見かけはPCMで通ってるけど中身は32bit詰まったDSDデータで、CoreAudioまではそれで通っているが、ドライバーはそれで通らないので独自ドライバーにしているということのようです。DSDをCoreAudioで通すためにはインテジャーモードが必要とAudirvanaのダミアンとも話したことがあるんですが、おそらくCoreAudioのところではDSD通すためにhogモードを使ってなにか同様な工夫してるんではないかと思います(想像ですが)。

KORGは1bitについてはハードだけではなく、ソフトウエアも低いレベルから独自に開発してきたのがよく分かりました。自社技術力があるのでDAC10のMacドライバーでDoPではなく、ちょっと標準とはことなる独自の道を選択するのもわかります。

* * *

今回は予定より倍以上の人がきて倍の部屋を使ったということで、人気のほどを伺えました。150人以上はきたようです。
質問コーナーでは1bitの利点について「アナログライク」のような感覚的な意見が多くて学問的ではないのではないか、なんて意見があったのはいかにも大学でやってるコンソーシアムかなと思うのも面白いところでした。

私としてはKORGは山崎研究室の流れを汲むのか、それでWSD(ワセダのアナグラム?)も対応しているのね、とかいろいろと国産DSD世界の関係もよくわかり、なかなか収穫多いセミナーでした。
posted by ささき at 22:14 | TrackBack(0) | __→ DSD関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月25日

Music To Go!の本が発売されました !

このブログMusic TO GOの本が本日発売されました !
本が売れるとますます怪しいもののレビューが増えると思いますのでよろしくお願いします。

フジヤエービックさんでも本日からさっそく店頭で取り扱ってもらっています。
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下記のフジヤさんの通販リンクでも扱っていますのでこちらもよろしくお願いします。
http://www.fujiya-avic.jp/products/detail23848.html
posted by ささき at 21:36 | TrackBack(0) | ○ 日記・雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月21日

ビットパーフェクトより音質はよくなるか? - JPlayの回答より

Audiostreamに面白い記事が乗っています。
http://www.audiostream.com/content/jplay-responds-open-letter
ネットではプレーヤーソフトで音質の差があるか、なんて論議がよく見られますが、いまJPlayがちょっとバッシングにあっているようです。JPlayをインストールしてるとJRMCではサポートしないなんてことも書かれていて、JRMCとfoobarのhydrogenaudioフォーラムが発端のようです。もともとfoobar作った人はプレーヤーで音はよくならないって言ってましたね。

ひとつの争点は簡単に言うとビットパーフェクトより音質がよくなるか?という点です。つまり音源のすべてのデジタル情報が欠落なくDACに伝わっているならば、音質は変わらないのではないかということですね。これについてJPlay開発者から公開の回答文が載っています。

それによるとJPlayでは"Simple is better"をコンピューターオーディオでも重要だと考えている。これはMacOSもWindowsもリアルタイム処理には向いていないからで、すべての時間というものは"best effort exercise"、つまり最善は尽くすが保証はできないというもので、"Guaranteed excusion"、つまり実行が保証されたものではないからであるということです。
*補足するとOSにおけるリアルタイム処理というのは実行が速いという意味よりは、むしろ期待時間内にかならず処理が行えるのを保証するということを示しています

JPlayの人によると、たとえばCD再生というのは32bitの処理を22マイクロセコンドで正確に行うことを規定しているが、これに少しでも遅れれば規定通りではなくなる、つまりコンピューターオーディオではビットパーフェクトだけではなく、タイミングパーフェクトである必要がある。これが多くのDACでジッター性能を宣伝している理由でもあるというわけです。
またここがJPlayの存在理由でもあり、それはタイミングを向上させることです。JPlayがやっていることは、コンピューターの音楽再生に関係ない処理をスローダウンさせ、究極的にはHibernate modeというので多くの処理を止めます。こうして音楽再生に関係ない処理を止めることでタイミングパーフェクトになる下地を作るというわけです。
こうした処理はオーディオファイルが手動でやっていることもありますが、JPlayはさらにコンピューターのタイマー精度(timer resolution)を最大限に向上させます。またJPlayはRAMに音楽データをためてそれをドライバーからアクセスしやすいようにキューに入れるなどの工夫をします。

また、音質が向上しているならばそれを数値化しろと言う人もいるようで、たしかにJPlayは測定的な数値による音質向上は見せられないが、たくさんのオーディオファイルがJPlayの有効性を耳で証明していると答えています。

この件に関連しては以前Audiostreamが開発者インタビューをしているのでそちらも興味深いと思います。うちで取り上げたのは下記リンクです。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/286794030.html
posted by ささき at 21:17 | TrackBack(0) | __→ PCオーディオ・ソフト編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月20日

全米レコード協会がストリーミング配信にもゴールドディスク認定を拡張

オーディオ的にはRIAAカーブで知られる全米レコード協会(RIAA)は1958年から55年もゴールドディスク認定を行ってますが、最近この歴史的な認定をストリーミング配信にも広げたそうです。
カウント方法は100ストリームあたり1ダウンロード(一枚購入)換算です。この計画はRIAA内でもずいぶん練られていたようで、換算方法はコンシューマーの相対的な使い方(activity)によるもので、価格価値(financial value)的なものではないとのこと。

http://www.riaa.com/newsitem.php?content_selector=newsandviews&news_month_filter=5&id=03662575-C88F-51CF-779C-8396A2B8D74D

最近AppleやGoogleなどもストリーミング配信に乗り出すことで、活性化するストリーミング配信ですがインフラも整いつつあるようです。アメリカでは、ですが。
posted by ささき at 20:26 | TrackBack(0) | ○ PCオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月19日

Music To Goの本がいよいよ発売されます


予告していましたMusic To Goブログの方がいよいよ来週の6/25に発売されます。発行元は本の雑誌社さんです。
内容はこの9年間のブログの妙録となります。ウエブはランダムアクセスするには便利ですが、通して読むにはやはり本の方が読みやすいと思います。この9年間の新しいオーディオ黎明期の歴史小説みたいなものとしてお楽しみください。よろしくお願いします !


posted by ささき at 22:41 | TrackBack(0) | ○ 日記・雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月16日

DSDイベント第3回終了しました

タイムロードのショウルーム「遊」で開催された私が解説を担当しますDSDイベントの第3回が終了しました。
ご来場いただいた方々、ありがとうございました。
雨の予報のところ、気持ちよく晴れましたので良かったと思います。
その模様は「遊」のFacebookページに記載されています。

また近いうちに第4回を開催すると思いますので情報をチェックしておいてください!
posted by ささき at 11:05 | TrackBack(0) | __→ DSD関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月14日

AK120のUSB DAC機能について、バージョンの違いについて

AK120が6/15から発売されますが、この製品版でははじめからUSB DAC機能が入っています。
ただし初回ロットで出荷のAK120についてはファームウエアバージョンが1.11で出荷されていますが、試してみたところ1.11ではUSB DAC機能が不安定でした。そこで本日(6/14)新バージョンで1.21というのがダウンロード可能となりましたのでこちらにファームウエアを更新してからUSB DAC機能を使うことをお勧めします。至急今確認してみたところ1.21ではほぼ問題が解消されていました。(このために記事を控えていました)

ダウンロードリンクは下記です。
http://iriver.jp/support/file_1128.php

AK120をPC/Macに接続すると下記左のようにUSB DAC機能が選択できるようになります。ここでUSB DACを選択すると右のように接続画面になります。下に見えるのはボリューム表示です。

ak120_1.jpg     ak120_2.jpg

AK120のUSB DAC機能についてはMacでもWindowsでもドライバーのインストールは必要ありません。つまりOSの標準(クラス)ドライバーを使用しています。
ここで特徴的なのはWindowsでも標準ドライバーで192kHz対応しているということです。

* Windows

Windowsでは7でもXPでもドライバーのインストールなしで192kHzが出力可能です。つまりドライバーレスでXPでも192kHzが再生可能としていることからクラス1でのHighspeed拡張機能(Audiophilleoやアンテロープのように)を使用していると思われます。クラス2ではないようですからWindows7でもドライバーインストールなしで192khz対応できるわけですね。ただし192kHzは16bitで対応となります。実際に試してみるとWindowsでは接続してプロパティを見ると下記のように表示されます。

ak120.gif     ak120_121.gif
左: 1.11、右: 1.21

上の画像のリストで興味深いのはV1.11では44/24や48/16はありますが44/16の対応がないことです。実際にFoobar2kで排他モードWASAPI出力にして出力幅を16bitに固定すると44/16ではエラーが出ます。
ただしこの場合でも44/24では再生できるのでCDリッピングソースは普通に再生できます。
またV1.21では右図のように修正がされています。これはWindowsでは大きな問題ではありませんが、Macでの自動サンプルレート切り替えで影響が出てきます。

XPからは試してませんが、XPではカーネルミキサーをバイパスしないと48kHzで出ることになりますので注意してください。これにはASIO4ALLとかカーネルストリーミング(KS)を使います。
Win7では共有モードWASAPIの場合は上記のドライバーのプロパティのサンプリングレートにリサンプルされます。iTunesではWASAPIも使えますが、共有モードWASAPIになると思います。音源ソースのまま出力したいときは排他モードWASAPI(またはASIOやKS)を使ってください。

ボリューム操作はUSB DAC接続中でもAK120側で可能です。これはAKシリーズのボリュームがWM8740のデジタルボリューム機能を使っているらしいので、USB DAC使用時でもデバイス側(AK120)でボリュームを変更できることになります。
ただしPC側ではJRMCで試してみるとDAC側ボリュームコントロールは対応できないようです。ソフトウエアボリュームにすればPCで音量調整できますが音質が低下します。AK120をUSB DACとして使う際にはPC側はボリューム最大にしてAK120のボリュームを使うのが良いと思います。(1.21でも同じ)

USB DACでの音質は再生ソフトやUSBケーブルにも依存すると思いますが、プレーヤー直と比べてもそん色ない高い音質です。ただしMicroUSB用のいいケーブルが少ないので変換コネクタなどを使わねばならないのは難点かもしれません。

* Mac

MacからはMacbook Airの10.8で試しました。
MacでもやはりAudioMidiを見るとサンプリングとビット幅については上のWindowsの組み合わせのみ使えるようです。やはりMacでも1.21では44/16が選択できます。下記は1.21での画面です。

ak120_mac.gif

Audirvana Plusで試しましたが1.11では自動サンプリングレート切り替えをする際に44/16のリッピングソースと96/24などのハイレゾソースを切り替える際に不安定なエラーが起きることがあります(起こらないこともあります)。DecibelやPure Musicに変えても同じです。この問題はV1.21では修正されました。どのソフトでも問題ないようです。
このため特にMacを使用する人は1.21にアップデートしてから使用することを進めます。
いずれにせよこの問題はiTunesでは起こりません。なぜかというとiTunesでは常にAudioMidi設定に応じて(つまりCoreAudioのAUで)リサンプリングされるからで、iTunesでは能動的にAudioMidi設定を変えに行かないからです。もともと安全な値に設定してあればそれを使うので問題ないというわけです。他のプレーヤーでは能動的に変更に行くのでその際になにかあったようです。

またやはりDAC側ボリュームは使用できません。これは1.21でも同じです。Audirvana PlusのDAC onlyでもDecibelのSystem Volumeでも同じです。Audirvana Plusのソフトウエアボリュームなら高精度なので使用に耐えますが、これもできればMac側では固定してAK120側で変更したほうが良いかもしれません。

* iPad

またiPadにカメラコネクションキットを経由してAK120に接続すると電源超過のメッセージが出ます。これは1.21でも同じようです。
AK120はバッテリー内蔵しているのでUSB 給電のオフが選択できればiPadと接続できたと思います。iPadはアンテロープZodiacとの接続実績があるのでクラス1での拡張機能に対応しているはずです。

* Android (Nexus 7)

Nexus 7(Android4.2)では前に書いたUSB Recorder proを使用します。立ち上げてUSB OTGケーブルで接続すると認識できないとエラーが出ます。V1.21でも同じです。
こちらはUSB recorder proが自前のドライバ作っているのでちょっとイレギュラーなのは対応できないのでしょう。上限が96k/24で良いから普通にClass1で対応してくれば応用範囲も広がったと思いますが、AK120は192kが売りですからWindowsからのドライバーインストールなしでの192kHz出力を実現したかったんでしょうね。ただUSB Recorder proではなくGalaxy S3などの標準ドライバーからはまた別の話ですので念のため(私が試せないのでやってません)。
posted by ささき at 22:06 | TrackBack(0) | __→ AK100、AK120、AK240 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月12日

iOS7とinter-app audio機能とAudiobus

昨日WWDCでAppleがiOS7を發表しました。そのメインはフラットデザインと呼ばれる新UIですが、ひっそりとiOS7のオーディオ機能としてinter-app Audioが含まれてます。
https://developer.apple.com/ios7/#inter-app-audio
inter-app AudioはDTM向けの機能で一連のアプリのオーディオストリーム(楽曲トラックなど)出力を他のアプリの入力として連結して作曲したりするものです。

これはもともとiOS6ではいると言ってたものですが、機能としてはすでにうちのブログで前に書いたようにAudiobusが実現してます。
そこで気になるのはこのiOS7の正式なinter appとAudiobusの関係ですが、下記にAudiobusのコメントが乗ってます。またこの件でAppleのCoreAudioチームとも会合してたようです。
http://audiobus.tumblr.com/post/52745280295/on-inter-app-audio-in-ios-7

NDA(機密保持契約)にしばられるということでちょっと微妙な言い回しではありますが両機能は共存できるようにも思えます。iOS7のはシステムレベルならでは達成できる機能とありますね。
この辺はアドバンテージを持つAppleに追いすがるAndroidという構図があるので面白いところです。
posted by ささき at 09:29 | TrackBack(0) | __→ iPod, iPhone, iPad | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月11日

HifiMan HM901製品版の出荷開始とインプレ

HifiMan HM901については以前2012秋のヘッドフォン祭のときにプロトタイプをレビューしましたが、先日めでたく出荷が開始されました。そこで生産版をヘッドフォン祭(2013春)から使用してみての感想をまた記事にしてみました。下記の前回のプロトタイプの記事も合わせてご覧ください。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/303979241.html

IMG_1364_filtered.jpg

こちらは製品版のパッケージです。外部入出力は専用の端子なのでアナログラインアウトとデジタルイン・アウトの専用ケーブルも入っています。

IMG_1197_filtered.jpg  IMG_1200_filtered.jpg  IMG_1198_filtered.jpg

記事を書きかけで途中でファームの更新があったのですが、まずはじめのコメントはシステムバージョン1.070で聴いていました。
さすがに音質向上に時間をかけたと言うだけあって、プロトタイプよりさらに磨かれて高いレベルになっています。自然でかつ豊かで精細な音で、デュアルの効果か、9018っぽいというかESS臭い分析的で冷徹なところはだいぶ印象を変えています。音楽性と音像の解像性能をとても高いレベルで両立させています。上原ひろみのVoiceではがっちり詰まった音の密度感とインパクトの強靭さ、ライブのような迫りくる迫力というものが感じられます。一歩引いた客観的・分析的な感じはしません。この音の密度感・実体感・重み、精巧な金属の切削加工品のような楽器音の磨かれた音像再現力、明瞭な立体感と定位、そして前にがっつり来るような迫真性というのがHM901の良いところだと思います。
音質のレベルはDX100やR10よりもさらに良いという感じで、これらよりさらに一レベル以上は上ですね。音が単に細かいとかシャープっていうところを超えた音の洗練があり、持ち運ぶハイエンドオーディオ的な感じがします。低域の重み密度感というのもあまり感じたことがないくらいです。下記のスピーカーデモで自信を持っているように、DAPというより他の一般的なハイエンド製品と比較できるようなレベルにあると思います。
HM901はDACのみならずアンプ性能が高く余裕がある感じですね。ただ反面でカスタムIEMなんかにはスタンダードカードもハイエンド(バランス)カードも、ややゲインが高すぎる傾向はあると思います。ここはぜひ801のようにイヤフォンカードもほしいところです。イヤフォンではK3003がいいかなあと思います。ただK3003の場合はHD設定だとやや高い音がきつくなりますのでVintage設定が良いと思います。
このHDとVintage設定はローパスフィルターによる高域の設定で、差が微妙では分かりにくいところもありますが、通常はHDにしておいて、高域が刺さるとかきついという場合にVintageにすると良いと思います。

下記画像側面にHD/Vintageの切り替えスイッチがあります。
IMG_1353_filtered.jpg

ファームウエアを1.074にあげると少し音の強さが緩和され(た感じがするため)イヤフォンにも少し向くようになり、1.070より主に中高域の明瞭感が高くなり、立体感も上がった感じがします。また低域はやや抑え目になって、全体のバランスはよくなったように思えます。1.074ではJH13+TWagがもっとも良いかなと思えるようになりました。

アップデートはトップウイングさんのサイトからHM901の項をご覧ください。
http://www.twctokyo.co.jp/

下記はプロトタイプと製品版で違いはあまりわかりません。ただ製品版は側面放熱口にメッシュが入っています。底面は製品版のものです。

IMG_0575_filtered.jpg  IMG_0574_filtered.jpg  IMG_1355_filtered.jpg

操作性ではプロトタイプ(前回の秋のヘッドフォン祭でのデモ機)に比べるとコントロールホイールの品質が少し落ちているようでやや操作しづらくなっていますが、反面でバッテリー室のドアにロックがついたりと改良はされています。HM901の特徴でもある豪華なステップアッテネーターは変更ありません。
バッテリーについてはプロトタイプは2-3時間しか持ちませんでしたが、製品版では私の使用でこの倍以上は持つと思います。公称の9時間は使用条件次第となるでしょうか。

もうひとつ気がついたのはSDカードで音質が代わるということです。(これも1.070のときの印象ではありますが)
AK100/120はMicroSDカードのブランドをいろいろ変えてもあまり音質の差はありませんが、HM901はSDカードで音はかなり変わるように思います。私はカメラ用に高速SDカードをいろいろ持っているので少しくらべてみましたが、Transcend 128GB、Sundisk Extream Pro 32GB、Lexar 128GBと比べてみましたが、Lexarが特に音が良いです。これはスピードかと言うとそうでもなく、Extream Proの方がスペックは早いんですがOEM入出力コントローラの相性があるかもしれません(カメラの世界ではよく言われることです)。

IMG_0578_filtered.jpg

販売リンクは下記のフジヤさんサイトを参照ください。
http://www.fujiya-avic.jp/products/detail14665.html

一番気に入った組み合わせはHM901+ハイエンドカード+Lexar128GB+AKG K3003+Vintage設定です。1.074ではJH13もお気に入りです。
もっとも、ベストはヘッドフォンのEdition8を組み合わせることだと思います。ただもう暑い季節なので。。
次なるアンプカードも楽しみなところです。
posted by ささき at 21:45 | TrackBack(0) | __→ HiFiMan HM-901, 801 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ヘッドフォン祭でのHM901デモスクリプト

HM901はアンプカードも強力ですが、その特徴はやはりデュアル9018の強力なDAC部分で、この良さをアピールするために春のヘッドフォン祭ではスピーカーのデモを行いました。このときにHifiManのスタッフRichardがスピーチした内容を日本語にしたものをアップします。原稿を書いたのはHifiMan アジア太平洋マーケット担当のRichardさんです
HM901はまさにホームオーディオなみの音質を持ってますので、家でもラインアウトから取って試してみてください。

1. 中音域のニュートラルさとpurity(純粋さ)

みなさまも生き生きとした中音域がオーディオファイル向けの機器でもっとも重要なことだということを納得してもらえるでしょう。それはいくつかの例外を除けば多くの楽器はこの周波数帯域に含まれるからです。HM901は不要な色付けのないとてもニュートラルでリアルな中音域表現力があります。
ここで米良義一の歌う「赤とんぼ」を聞いてみましょう。彼の声がピアノ音と自然に溶け合うpurityに驚かれることでしょう。

2. 分析的な能力とinner voice(中間声)の再現力

HM901のもっとも重要な特徴は2個のES9018チップをデコーダーとして採用した点です。ES9018はその分析的な能力でよく知られています。複雑な楽曲に耳を傾けるとき、中間声に注意を向けることが重要になってきます。よくあるDACやDAPは表面的な美しさにとらわれていて、こうした細やかさを失っているものが多くあります。そのためにリスナーにとって音楽を聞くことが退屈なものとなるのです。
ここでKing's Singersの中世のマドリガルを聞いてみましょう。太鼓やピッコロの強い音の陰で4声合唱のinner voiceをHM901が再現している点に注目ください。

3. 厚みのある豊かな音、シルクのように滑らかな高域、ソリッドな低域、マイクロダイナミクス

*マクロダイナミクスは大きな意味での曲のメリハリのようなもので、マイクロダイナミクスは細かな音の遷移みたいなもの

HM901のデュアルモノデコード(DAC)は音を締まった(compact)ものにすると同時に音を豊かなものにします。ダイナミック感もHM901の特徴です。残念ながら隣接ブースに気を配るとその(マクロダイナミクス)の能力を最大に発揮するには気がひけますが、マイクロダイナミクスは聴くことができます。
オーケストラ曲では楽譜のなかにこうしたマイクロダイナミクスが隠されています。マイクロダイナミクスの進行はにぎやかなフレーズに比べると気がつきにくいものですが、音楽体験を豊かなものにします。
素晴らしい録音だけがマイクロダイナミクスに生命を吹き込みます。
ここで巨匠カラヤンとベルリンフィルの演奏で、ベルディのラトリビアータを聞いてみましょう。これは古いアナログ録音されたものなのでヒスノイズが聴こえてしまいますが、シルクのようなバイオリン、チェロの豊かな響き、ダブルベースのソリッドな低音に注意を払って聞いてみてください。マイクロダイナミクスはチェロのトレモロやバイオリンが半音下がるときに聴こえるでしょう。ため息をつくような素晴らしい演奏です。
posted by ささき at 21:27 | TrackBack(0) | __→ HiFiMan HM-901, 801 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月09日

DSD専用DAC登場、LAMPIZATOR DSD DAC

最近はDSD DACもさまざま出ていますが、たいていは従来のPCM DACにDSD機能を加えたものです。
しかし、このLAMPIZATOR DSD DACはなんとDSD専用のDACです。ポーランド製で4月頃にアナウンスがあり、6/8から3000ユーロで販売されています。
DSD専用としたのは従来のPCMとは方式が違いすぎるのでひとつの箱に入れるため妥協するのは難しいということと、(従来の)DSD DACは周辺環境を汚しがちになる(電源ノイズ的にということでしょうね)ということからだそうです。

http://www.lampizator.eu/newdac/lampizator/DSD_DAC.html

このDACの面白いところはDSD入力専用というだけではなく、DAプロセスにシリコン(半導体)を使っていないということです。つまりこれはESSのような従来的なDACチップを使っていないというだけではなく、DAC部分を真空管を使ったDAプロセスを作っているということのようです。この辺は前にポール社長の記事で書いたところのローパスフィルタリングのあたりだと思います。その後でまた真空管で増幅しているとのこと。
この辺は発表当時(プロトタイプ)は昔ながらのFMラジオの手法を応用したとありましたが、今回の製品版ではそれだと品質が悪かったので別の手法を用いているという風に試行錯誤したようにも書いてあります。

入力はUSBのみのようで、DSD64とDSD128に対応しています。PCからのDSD送信方式は書いていませんが、MacOSでは標準ドライバーで送れるということなのでDoPだと思います。またDSD DAC部分はここのDAC製品の一部には追加できるということでその場合にはPCM/DSD両方使えると思います。DSD DACは基本RCA出力でバランス対応は別オプションとのこと。

最近では下記でAntelopeもDSDへ?と書きましたが、http://vaiopocket.seesaa.net/article/319095830.html
AntelopeはNewportビーチのTHE ShowでPlutinumというDSD256(11M)対応(内部アップサンプリング対応)のようなDSD DACを出しています。レビン社長は前はDSD興味ないという風に言ってたんですが、、
http://www.antelopeaudio.com/blog/antelope-audio-unveils-zodiac-platinum-a-768-khz-dsd-dac-that-raises-the-gold-standard-in-da-conversion/
この前書いたネットワークへのDSDネイティブ再生の応用もありますし、DSD関連もますます多様化しているのでしょうね。
posted by ささき at 09:05 | TrackBack(0) | __→ DSD関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月04日

DSDイベント再開します

今年の始め1月2月にタイムロードさんのショウルーム「遊」でDSDの概要を説明するというイベントを行い、好評を得ました。そのあとで都合により中断した形になっていたんですが、また6月度で実施したいと思います。
基本的には前回と同じ内容で行い、この間の新しいトピックにも少し触れようと思います。入門編とは題していますが、概要編と言った方が良いかもしれません。最近よく聞くこのぽっと出てきたようなDSDってものはなに?というところに焦点を当てていろいろとカバーしていきたいと思います。
大まかな内容は下記のとおりです。

 ・DSDネイティブ再生の経緯・背景
 ・DSDとPCM(比較試聴など)
 ・DSDネイティブ再生の機材とソフトウエアについて
 ・DSDに力を入れているレーベルの紹介

…などなど。DSDとPCMの音源の聴き比べなども行います。開催時間は13時、15時です。

費用は無料ですが、申込予約制ですので下記の遊のFacebookを参照してお申し込みください。よろしくお願いします。
https://www.facebook.com/you.by.timelord
よろしくお願いします。
posted by ささき at 21:16 | TrackBack(0) | __→ DSD関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月02日

フルサイズコンパクトカメラ、SONY RX1レビューと作例紹介

SONY RX1を入手しました。

IMG_9661.jpg

最近デジタルカメラではコンパクトなパッケージに大型センサーと高性能の固定単焦点レンズを付けたものが流行りを見せつつあります。これはフィルム時代はCONTAX T2やミノルタTC1など「高級コンパクト」として一定のジャンルがあったのですが、デジタルではシグマのDPシリーズが嚆矢となります。最近ではシグマがMerrill世代にそれを進化させ、ニコンのCoolpix AやリコーGRなどこのクラスがまた脚光を浴びてきていて、ペンタックスブランドでも用意されているという噂もあります。そしてこうしたジャンルにフルサイズというパッケージを持ち込んだのがこのSONY RX1です。
SONY RX1はフルサイズ2400万画素のセンサーにカールツァイスブランドでF2という大口径の35mm単焦点レンズ(Sonnar T* 35/2)を固定して搭載した「コンパクトカメラ」です。昨年のフォトキナ発表で昨年暮れころに発売されています。

一眼レフカメラの場合には交換レンズをそろえる都合上マウントに束縛されますが、こうしたレンズ固定式の高級コンパクトはそうした縛りがないので、趣味性の高さと共に増殖しやすいという恐ろしい特徴を持っております。

以下RX1自身の写真以外はすべてSONY RX1で撮ったものです。(RX1の写真はiPhone5)

* 言い訳的なここまでの思考過程のこと

2012年暮れ : 発表された時はフルサイズのカメラをこのサイズで作るというのはソニーがカメラメーカーとしても成熟し、家電メーカーの実装能力をもフルに発揮した総合力のあるソニーらしい独自の魅力をもった製品だと思った。いまAppleがあるような、みなが憧れる製品の位置に昔はソニーがいたわけだけど、久々にそうしたソニーの魅力が復活したと思った。
ただ画質的にはDP[12] Merrillにはまっていて、当時DPで撮った紅葉を見てこれ以上の画質はあり得ないと思ってたこともあり、しばらく忘れる。

2013年2月 : 次にCP+2013のときにRX1実機デモをいじり倒して使い勝手の良さとアナログカメラライクな作りの良さにメカ的な興味を覚える。会場を一周回ってまたRX1をいじり倒しに来る。これはまずいと自分で思ったが、DP3 Merrillを買ったこともあって、その描写に驚愕してまたしばらく忘れる。

2013年4月. DP3 Merrillで撮っていて、これは撮影というよりなにかの修行かと思い始めて、ソニプラに行ったところEVFを含めた使いやすさに感心してカメラらしいカメラとしてほしくなる。そして。。

DP[123] Merrillは決して使いにくいカメラではないけれども、カメラというよりフォビオンセンサー撮影機械という感じです。
SONY RX1はどこから見ても私の知っている「カメラ」です。デジタル時代のカメラとしては初めてライカ的なモノ作り、カメラらしいモノ作りを見た思いがします。

2013年5月 SONY RX1は2013年度のカメラグランプリに選ばれました。

* RX1の魅力のこと

RX1の魅力はまず、カメラとしてあるべきところにあるべきものがある、ということだと思います。
たとえば絞りリング、ピントリング、そして露出補正です。これはノスタルジーということではなしに、露出補正が写真家が表現する重要なポイントだから、重要なものはすぐ使える位置にあってほしいということです。

IMG_9654.jpg

特に露出補正がダイヤルで右肩にあるところがポイントです。これはCONTAX RTSが嚆矢で定番としたカメラのスタイルです。RTS以前のカメラでは右肩にシャッター速度のダイヤルがあったんですが、RTSではそれを追い出して露出補正ダイヤルに変えました。これはマニュアル露出からAE時代へのエポックメイキングなことでした。
デジタルだろうとフィルムだろうと露出という基本は同じで、いまでもAEが基本という点も同じですから、本来デジタルだからフィルムだからという問題ではないはずです。デジタルカメラだからアップダウンボタンの方が合理的というのは詭弁のように聞こえます。いつしか「デジタルカメラだから」という言葉ですり変わっていてみながそれで当たり前だと思うようになり、失ってしまったカメラとしてのカタチがきちんとあるというのがRX1です。
RX1はシャッターフィーリングが良く、押しやすくショックが少ないのも良い点です。シャッターは指の腹で押すっていう基本を思い起こさせてくれます。

次にデジタルカメラとして思う通りに動くということです。
大きく鮮明で見やすいEVFで構図を確認した後にフォーカスリングを回すと拡大してピント位置がわかりやすくなり、シャッターに指をかけると構図に戻って再確認し、シャッターを押してあがりを見るために背面液晶を見ようとするとアイセンサーで自動的にEVFから背面液晶に切り替わる、という一連の流れがスムーズにできます。前述のカメラとしての基本形に加えてデジタルカメラとしての新しい撮影のワークフローもきちんとストレスなく行えるわけです。

RX1はEVFの出来が良いことも特筆点です。EVFの欠如はSigma DP[123] Merrillの欠点でもあります。私は一眼レフでファインダーを除くのに慣れているのでDP[123] Merrillでコンパクトデジタル然とした両手で抱えて撮るのはなじめないですね。ファインダーは単に構図を決める、ピントを確かめると言うだけではなく、目に押し付けることで両手と合わせて3点でカメラを固定するという意味があります。前にカメラ雑誌でサルガドだったかがライカを思いっきり顔に押し付けて撮ってた写真なんかを見るにそう納得できます。これも手ぶれ補正云々という前にカメラの基本ではありますね。
RX1のEVFはものすごく良く出来ていてピントの山もとても見えやすくできています。ピーキングをオンにするとかえって「山」が分かりにくいところもありますね。背面液晶のリアルタイムビューもハイビジョンムービーみたいに滑らかです。(ただし電池の持ちを考えると標準を選択するようには書かれています)

IMG_9666.jpg

そしてRX1の魅力はコンパクトながらフルサイズセンサーを採用した点です。これは画質が良いと言うだけではありません。
RX1のフルサイズでの大口径レンズはすごくボケます。しかしこれは反面でパンフォーカスが取りにくいということです。これはマクロ撮影でも考慮しなければなりません。
これを考えると開放でボケを効かすF2から、被写界深度を取るため絞ったF8やF11、開放から素晴らしいけど解像力ベストはF5.6-F8である、といったところまで絞りをフルに活用するのがRX1の面白さであり、それを活かすための操作性の良さに繋がることが分かります。これに対して普通のコンパクトカメラはセンサーも小さくボケもなく回斥の影響で開放が一番画質が良いため、絞りがついていたとしても絞りを考える余地や意味はありません。

DSC00185.JPG

35mmの画角のレンズも、寄って切り取り、遠近感を活かして広角表現、と使いでがあり、マクロを組み合わせるとレンズ一本での表現幅はかなり広いと言えます。
そうして被写界深度を考え、絞りを合わせ、フォーカスリングを回してファインダーで像を確かめる。露出補正を決め、ファインダーを顔に密着させカメラを固定する。こうしてカメラと一体になったことを確認して指の腹でシャッターを押す。
フィルムカメラの時に普通にできていたことが、いまRX1で普通にできることにただ驚きます。なぜいままでこれを忘れていたんだろうと思い、それがフルサイズの良さなのだということを今更ながら得心します。

こうしたカメラとして頭を使って、手を使って、カメラ機能を駆使して撮るという基本的な面白さがきちんとできているのがRX1の大きな魅力です。まず撮ってて楽しいですね。
RX1とDP[123] Merrillの違いを一言でいうと、DP Merrillはなにか特に撮りたいものがある時に持って行きたいカメラ、RX1は特に撮るものがなくても持って撮りに出かけたいカメラと言えるでしょう。

* RX1の画質のこと

もちろんRX1ではその画質の高さが魅力のひとつです。
画質は一言で言って「普通にすごくきれい」です。山手の洋館の花と椅子の構図はいままで何回も撮っているけど、このRX1の絵はしみじみと美しいなあと何回も見直してしまいました。

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等倍で見るならばローパス付のベイヤー機がDP[123] Merrillに並ぶべくもないけれども、Web用画像とか観賞倍率で普通に見るならばそう大きな差ではなくなります。それでもやはりDP[123] Merrillの方が細部の質感は優ると思いますが、発色やトーン、諧調再現性などそれ以外の要素ではRX1が優ります。特に発色はシグマ独特の発色がいまひとつだったこともあり、かなり満足する点ではありますね。もっともRX1使いこんでくるとモノクロで撮ることが多くなってきましたが。
もちろん高感度性能はISO200より高い感度では取りたくないDP[123] Merrillとはくらべるべくもありません。どこまでいけるかというのはあまりまじめにテストしていませんが、普段はISO Audtoにしていればたいていの場面で手ぶれ補正は不要ですし、ノイズが出ても自然なのであえてNeat Imageすることもないです。下はISO2500で撮ったものでNeatImageなどノイズリダクションはかけていません(インカメラでは弱で使用しています)。

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しかしやはりRX1の白眉はダイナミックレンジの広さ、光を取り入れる表現の奥深さでしょうか。実のところAPS機とフルサイズ機では数値的なダイナミックレンジの差は思ったほど大きくはありません。これはダイナミックレンジは対数表現するという点にも理由があります。センサーの飽和電荷量がサイズに比例的に増えてもダイナミックレンジは対数で効くのでAPSとフルサイズの数値的な差はそう大きくありません。
とはいえ、実際に撮ってみるとRX1の光を取り入れてシルクのように滑らかに再現する能力は特筆ものです。
DP[123] Merrillが質感で表現するカメラというなら、RX1は光で表現するカメラといえるかもしれません。ダイナミックレンジもそうだけど、高感度での光の余裕もそうですね。

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またRX1の特徴の一つは単に固定レンズを付けたということだけではなく、組立ての際に測定しながら個体ごとにスペーサーを使用して像面の傾きのばらつきを最小にしているということでするこれによってレンズの光学性能以上に平面性を上げているわけです。これは開放によるスナップですが、立体写真のように見えます。

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またRX1はモノクロが面白いカメラです。DP3 merrillでもモノクロモードがフィーチャーされてフォビオン+モノクロモードというのに期待はしたけれども、これはいまひとつでした。いままで彩度をゼロにするだけだったけれども、今度はチャンネルミキサーでやりましたというくらい。これならフォトショップの標準機能でできるというくらいです。RX1のハイコントラストとリッチトーンはフォトショップでやってもフィルターかアクションが必要になるし、それを撮影時点でのプレビューで確認しながら取れるのは面白い点ですね。

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通常、リッチトーンモノクロ、ハイコントラストモノクロ

これらで撮るとJPEGオンリーになるけれども、JPEGだとRAWと違って露出を一発で決めないといけないのでそれもフィルムのポジライクで面白いことです。ひさびさにJPEGで撮る面白さというのを味わいました。
下2つはリッチトーンでの写真です。池の写真も名勝でもないその辺の池ですが、リッチトーンで撮ると素晴らしい美しさを見せてくれます。

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ハイコントラストも白と黒というシンプルな世界をより際立ててくれます。

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こちらは横浜の外人墓地でのスナップです。時の経過を感じさせてくれます。

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* ゾナーのこと

RX1のレンズはカールツァイスブランド(またはカールツァイス品質)のSonnar T* 35mm F2が固定装備されています。
T*(ティースター)というのは私の写真ホームページのアドレスにも使われていますが、ツァイスのコーティングのことでティースターレンズと言うと現代ツァイスレンズの代名詞でもあります。ちなみに単にTというとシングルコーティングのことで、T*はマルチコートのことです。
私もフィルムカメラを使ってたころはヤシカコンタックス(以下ヤシコン)のレンズをたんまりと使っていました。P55/1.2のあり得ないような解像力、P135/2のうっとりするようなトーンの滑らかさ、D21/2.8の10年先をいっていたデジタル対応可能な設計などなど現代ツァイスレンズは、いにしえの伝説的なツァイスに比べても魅力はたっぷりあります。RX1のレンズはどこで設計されたにせよ、その描写力の伝統を引き継いでいると思います。
マクロ位置切り替えがあるのはツァイスらしくない言う向きもありますが、過去にはハッセル用のDistagon 55/4のFLEがありますのでこの点についてはそうはいえないと思います。

Sonnar(ゾナー)というのはもともとは戦前にツァイスのベルテル博士が開発した画期的な大口径(F1.5)のレンズタイプです。レンズタイプとはある決まったレンズ構成のことです。たとえばツァイスでは他メーカーでダブルガウスと言っているレンズ構成はプラナーと呼ばれます。オリジナルのゾナーは戦前にカメラ界を二分する大論争を起こしたほどの名レンズでした。こちらの私のカメラページに新旧イチゴゾナー撮り比べが載っていますのでオリジナルのゾナーについてはこちらを参照ください。
http://www.asahi-net.or.jp/~eg3y-ssk/photo/tstar/sonnar/index.htm

しかしながら、このオリジナルのゾナータイプについてはバックフォーカスが取れないという一眼レフでは致命的な問題のため一眼レフ時代になった戦後はダブルガウスに道を譲っています。RX1のゾナーはみたところオリジナルのゾナーとは異なるので、ゾナーと呼ぶのはおかしい気もしますが、戦後のツァイスではゾナーはさまざまな使われ方をしています。これは戦前にゾナーという名前があまりにも有名でステータスを持っていたので、レンズタイプに関係なく「ツァイスの高性能レンズ」という意味合いでゾナーという名称を使用していると思われます。たとえばヤシコンNシステムのマクロゾナーはもともとマクロプラナーという名でしたがインナーフォーカス化のために再設計をしてプラナーとは呼べなくなったので、名前が変わったんで予約取り直しをしたほどです。それほどツァイスにとってレンズタイプの名前と言うのは大事なことでしたが、最近のTouitなんかは開き直ってただのブランド名になってしまいました。まあ最近のコンピューター設計のレンズではタイプにこだわる必要はもうないとは言えますね。
オリジナルのゾナータイプについては最近では宮崎光学の宮崎さんが特に研究をして進化させつつ製品化していますが、別の話になるのでやめておきます。(私もPentax Q用のゾンネタールを持ってます)

*35mmF2.0レンズのこと

一般に単焦点の35mm F2.0というのは玄人好みのレンズで、コンパクトな割にそれなりに明るく、画角が見た目に近く自然です。ストリートスナップの人が好む焦点域で、たとえば旧ヘキサーは35/2固定のカメラです。旧ヘキサーも当時の高級コンパクトであるCONTAX T2やMinolta TC1などと比べると大きくて沈胴しないレンズなど、RX1がフィルムカメラとしてもっとも似ているのはこの旧ヘキサーでしょう。
交換レンズでは私はライカMのズミクロン35/2ASPHを持ってましたが、コンパクトで素晴らしいレンズでした。
http://www.asahi-net.or.jp/~eg3y-ssk/photo/leica/m35f2asph/

F1.4ではヤシコンのDistagon 35/1.4を持ってましたが、F1.4になると大きくて扱いにくくなります。また一眼レフだと35mmはレトロフォーカス設計になるのでそれも大きさに拍車をかけます。

私はけっこう単焦点使ってた人なんですが、35mmというのはひとことで言うと「一番簡単だけど、一番使いこなしが難しい」と言えるレンズです。
というのは28mmだと広角の効果が明確なのでそれを利用した撮り方が容易で、50mmだと構図の切りとりに便利です。しかし35mmはそうではありません。言い方を変えると28mとか50mmはレンズがこう撮れと教えてくれますが、35mmはそう教えてくれません。
35mmは自然なゆえに漫然と取っていると漫然とした写真になってしまいます。ただ自然に街角風景をあるがままに撮るという点ではそこがいいところなので、ストリートスナップの人たちが好むところなんでしょう。

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RX1は大きなレンズに最小限のボディというのがデザインの特徴ではありますが、35/2ならばライカあたりのレンジファインダーレンズを考えるとマニュアルフォーカスならばもっと小型化は出来るかなと思います。やはりAF化することで大きくなってしまうかという気はしますね。フィルムとはテレセントリック(センサーへの直入射)特性など異なる点はありますが、やはりAF化ということがレンズの大型化としては大きいと思います。特にRX1ではインナーフォーカスで動かすレンズも重いようですから。

レンズ自体は先に書いたようにF2開放で十分な性能を発揮して絞ると向上し、F5.6-F8でピークになり、その後に回斥の効果で画質低下するという、35mmで慣れた特性を持っているところが良いところです。絞りを駆使する面白みがあります。
前に書いたようにボケやすい反面でパンフォーカス(広くピントを合わせる)ができにくいので35mmレンズの過焦点距離を知っておくとよいでしょう。過焦点距離に合わせることで、∞から過焦点距離÷2の距離までピントを合わせることができます。過焦点距離は計算で算出します。
ピントリングに距離指標がないので設定しづらいけれども、だいたい計算するとF5.6で6.6m(3.3m-∞)、F8で4.6m(2.3m-∞)、F11で3.3m(1.7m-∞)、F16で2..3m-∞)ですね。もうひとつデジタル的な方法はねEVFなどで遠いほうからマニュアルでピント送りして、近くの撮りたいところまで合わせるという方法です。こちらは下のつつじから背景までその方法で合わせています。

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*

もちろんRX1にも欠点はあります。一番は高いことですが、次は重いことです。
RX1はハンドストラップを使って軽快に撮りたいタイプのカメラだけれども、ハンドストラップだと長時間使っているとやや手首に負担がかかる感じですね。DP[123] Merrillよりもやはり気になるレベルではあります。またレンズシャッターの限界があり、特に開放はかなり日中は取りづらいのが難点です。ND内蔵機能はあっても良かったかもしれません。
バッテリーは持たないとは言われますが、DP[123] Merrillよりは持ちます。DP[123] Merrilでは一台につき2-3個の予備バッテリーを持ちRAWのみで撮りますが、RX1ではRAW/Jpeg同時記録にしても予備バッテリーを一個持つ程度です。
それとスリープ復帰にやや時間かかる点も難と言えるかもしれません。EVFは特にラグがありますね。

とはいえ総合的にみると、こうしたフルサイズコンパクトの一号にしては完成度が高くあまり文句のつけようはありません。しかしRX1はやはり万人向けのカメラではありません。そこはDP[123] Merrillとは大きく変わらないかもしれません。いまから写真を始めようと言う人はこういうのではなく一眼レフまたはミラーレスのシステムをお勧めします。
RX1はカメラ好きのためのカメラです。特にフィルムから長いこと写真やっている人はRX1の世界に居心地の良さを感じることでしょう。


いま、カメラというものがムービーと見分けがつかなくなるのか、同じものになるのか、わけがわからなくなりつつあります。もともとライカの昔にスチルカメラはムービーカメラから派生したものですからある意味この流れはおかしくありません。はじめのパルナックが作ったライカはツァイスのムービー用のキネ・テッサーを装備してムービーフィルム二コマ分をスチル一コマとして定めました。それがデジタル技術によってまたカメラとムービーは近づいて融合していくのかもしれません。これは正しい流れかもしれませんが、行きつく先はだれにも見えていません。
RX1はそうした中でノスタルジーにはまりすぎることなく、カメラというもののカタチを再認識できるカメラといえます。デジタル時代になってこのかた始めてカメラらしいカメラを使った気がするのがRX1です。使って楽しく、美しく撮れるというカメラという趣味の原点も思い起こさせてくれます。
RX1は価格も高価ではありますが、カメラという趣味をまじめに考える人にとっては価値あるものとなることでしょう。

posted by ささき at 20:20 | TrackBack(0) | ○ 日記・雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする