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2012年08月10日

JHAudio JH3AとALO Rx MK3-Bの試聴レビュー

MixwaveさんからJHAudio JH3AとALO Rx MK3-Bを貸し出してもらいました。なかなかうちのサイト向けの機材です。

* JHAudio JH3A

JH3Aはカスタムイヤフォンで知られるJHAudioが開発したポータブルアンプです。

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はじめにうちのサイトで紹介したのはこちらの記事です。このときはイヤフォン内部からクロスオーバーを取り去って、帯域ごとに別個のアンプを使用するアクティブクロスオーバーとして紹介しました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/152067854.html
この時点から特許問題とか開発会社変更とかいろいろと紆余曲折ありました。そのためはじめにここで紹介したときとはいろいろと異なる点があるようです。そこでHead-Fiを少し探って調べてみました。

まず当時はJH13でもJH16でも任意に改造できるように書きましたが、現在の製品は「JH3A with 16PRO」というJH16改造品とJH3Aのセットされた商品となっているようです。これは代理店ミックスウェーブの都合ではなく、本家JH Audioのサイトでもそのようです。JH13が使えないのは本体内のゲインがJH13には高すぎるという問題のようです。おそらく単なるゲインスイッチではなく、JH3AにおけるゲインはDSPにも絡むので簡単には対応できないものと思います。このため当分はJH16のみになると思います。

そして目玉のアクティブクロスオーバー(Active Cross-over)の仕組みですが、ここは変更がなされています。
もともとマルチウエイIEMに対して帯域別のアクティブクロスオーバーを適用するという考え方は、Jerry HarveyがUEに在籍していた時にJerry自身が発明者として特許申請をしたものです。こちらにその特許のリンクがあります。発明者がJerryで権利の譲受者(Assignee)がLogitecという点に注意ください。
http://www.google.com/patents/US7876920?dq=jerry+harvey&ei=WHuTTqr8ONS08QPAm6DvBg
これが2006年のことで、そのあとJerryがUEを出てしまったためにその特許はUEをいま所持しているLogitecに所有権が移ったというわけです。
JerryはみずからのJH Audioに移ってからこのアイディアを実現しようとしてJH3Aを開発したわけですが、2011年の1月にこの特許が取得されてしまったために、発明者のJerry自身がこれを使えなくなってしまいました。
そこでこのActive Cross-overはInverse Active Cross-over(あるいはRevese Active Cross-over)として再設計されました。

このInverse Active Cross overではクロスオーバーはイヤフォンに戻しています。ちなみにもともとJHAのBAドライバーユニットのMidとLowについてはユニットにクロスオーバー(帯域フィルター)が内蔵されているそうです(これはJHAの独占供給のため、ユニットがいくぶん高価になっているとのこと)。Highドライバーユニットはパッシブクロスオーバー回路があるはずです。
一方で帯域ごとの3つのアンプを持つというデザインは変わっていません。これはイコライザと位相調整のためです。もともとこのシステムの眼目は単にクロスオーバーの音質低下を減らすというだけではなく、マルチウエイ・ドライバーが持つ複数の発音体から別々に耳に届いてしまうという位相と時間の問題を解決するという意味がありました。そのため32bit DSPと帯域別アンプを使用して位相問題を解決しているということです。DSPは依然本体側のクロスオーバーの役割も果たしていて、低域 (20-200Hz), 中域 (200-4kHz) 高域 (4-22kHz)と帯域を分けてから増幅しているようです。この時点でDSPで時間もずらしているんでしょうね。
つまりInverse Active Crossoverではアクティブクロスオーバー(DSP)とパッシブクロスオーバー(IEM内)の両方を使うということになります。クロスオーバーを二度通ることになりますが、その代わりアダプターを使うことで普通のアンプでもイヤフォンを使うことができるようになりました。

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JH16を改造した片側4つの線が出ているのはHigh・Mid・LowとGroundのようです。本体側にはLEMOコネクタで接続されます。

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上の写真はアダプター(LEMO->mini)です。実際に試してみましたが普通に他のアンプで聴くことができました。アダプターについてはオプション品として「JH3A with 16PRO」を注文の際 に購入の選択ができる形になっているということです。価格は1万円前後だそうです。

- 音質

はじめにアナログ接続でいつものiModで聴きました。結線はDirigent red labelです。試聴機はカスタムJH16にフォームチップを付けたもので聴きました。

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まず感じる特徴としては音が澄んでいてピュアな点です。正確でクリーンというのか雑味がないですね。この辺がInverse Active Cross-overの効果でしょうか。透明感もとても高く感じられます。
また音の広がりも良いんですが、これはかつてないほどというわけではないと思います。その代わりに音の分離感・定位の音像再現性がとても優れていて立体的な表現が際立っています。これは整った位相の調整による効果なのかもしれません。

次に感じるのは楽器の音の切れの良さです。制動力がかなり高く、パーカッションの打撃音の切れがすさまじいほどです。これはスピーカーで言うバイアンプ的な利点があるからかもしれません。
JH16自体は私もよく使っている聴きなれたはずの音ですが、JH16ってもっと暴れ馬というか特徴的なイヤフォンなんですが、JH16がまるでJH13のようにとても素直で整った感じに聞こえます。暴れ馬がよく調教されたという印象で、そのポイントは高い制動力のように思えます。たしかにいままでも駆動力の高いポータブルアンプだと整って聴こえていましたが、ここまでJH16が整った音は始めて聴きましたね。ただ試聴用チップの影響で低域が減っている点もありますので念のため。
アンプの基本的な音傾向としてはフラットニュートラル・無着色でRSA的な柔らかさではありません。ここはさすがにスタジオの人が作ったアンプらしいところです。

電源スイッチの隣にはB/Mという切り替えスイッチがありますが、これをB側にするとBassコントロールで低域のレスポンスを0dbから+14dbの範囲で変えられます。フラットにするときはMにします。MはMicのことで、ステージ上の音を拾うマイク機能を意味していたようですが、現在はその機能はありません。この辺もJH3Aをもともとはプロミュージシャン用に考えていたのが分かります。
Bassコントロールをすると低域の量感が増すというよりもタイトだったのが緩くなる(ダンピングが下がる?)という感じです。 音があまりシャープすぎるというときはこれで調整しても良いかもしれません。

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JH-3Aは96/24対応のDACを内蔵していてSPDIFデジタル入力が可能です。そこで次にソース機器をCypher Labs AlgoRhythm Solo(HeadFiではCLASとよく呼ばれます)を使用してデジタル接続してみました。iPod ->デジタル(USB) -> CLAS ->デジタル(SPDIF) -> JH3Aです。接続はデジタルケーブル(RCA-mini 4極)を使います。このケーブルはミックスウェーブさんが用意してくれたものですが、取り扱いはまだ未定ということです。
端子はアナログと共通で、入力切り替えスイッチで切り替えを行います。JH-3AのサイズはCLASとぴったり重なります。

さすがCLASを付けると一段上の上質感が得られます。iPodベースにあった粗さが消え、音は滑らかになり、音は厚みが増して情報量も増え、上流が変わったレベルのちがいをそのまま音質の向上に結び付くという感じですね。ヴォーカルもきれいで、楽器の音再現も的確です。
CLASはシャープなだけではなく、なかなかにオーディオ的な厚みのある音ですが、JH3A自体は先に書いたようにニュートラル傾向のアンプなので、CLASが加わることで適度にオーディオ的な暖かさが加わる感じです。そのためシステムとしてのバランスも良いですね。
CLAS +JH3Aの組み合わせではかなりレベルが高く、またお互いの音傾向を補って適度なシナジーの良さもあると言えます。ものすごく良く完成されたポータブルオーディオ機器という感じです。

JH3Aでは他にない世界が聴けるのはあると思います。JH3Aを聴くとJerryの目指していた音の理想というのが分かるようですね。こうした正確な音というのがUEを辞して自分のブランドを持った彼が目指しているものではないかと思います。
JH3Aの価格は少し高いんですがJH16だけでも通常16万するので本体としては意外とお得かもしれません。
こちらはフジヤさんの購入リンクです。現在はJHaudio製品 円高還元キャンペーンとして205,000 円(税込)と設定されています。[2012年7月1日(日)〜8月31日(金)]
http://www.fujiya-avic.jp/products/detail12601.html

私も自分のJH16を改造できるなら、アダプターで普通のアンプにも使えますし、JH3A試してみたいと思いますね。




* ALO Rx MK3-BとBeatオーディオ

次にALO Rx MK3-BとBeatオーディオのバランスケーブルについて試聴してみました。
ALO Rx MK3-Bはポータブルのバランス駆動アンプです。バランス端子はRSAタイプを採用しています。SR71Bなんかと同じですね。

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こちらもサイズはCLASとぴったり重なりますが、こちらはもともと合わせて設計しています。CLASもKenさん系の製品です。

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BeatオーディオのケーブルはSilver Sonic MKIVというタイプで、これはミックスウェーブさんのキャンペーン期間中(2012年6月15日 〜 2012年8月31日)にALO Audio「Rx MK3-B」をミックス ウェーブ経由で購入した人全員に、「Silver Sonic MKIV」を 1本プレゼントするというキャンペーンを行っているということです。このMKIVというのはキャンペーン用の特別モデルということです。Silver Sonic MKIVの対応プラグは[ SE535, TripleFi 10, Westone(リケーブル対応モデル)/JH Audio, SENNHEISER IE8 80, Unique Melody Custom ]のうちからひとつ選べるということです。今回使ったものはJH Audio用です。自前のJH13カスタムを使用しました。

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こちらもまずアンプ自体の音を確かめるためにiMod+dirigent red labelで聴きました。イヤフォンは自前のJH13カスタムを使用して、まず自前のWhiplashのTWag OMケーブルで聴いてみました。

RX3自体の音は基本的に透明感・解像感が高い高性能なものですが、個性としてはパワフルで厚みがあり躍動感のある音という面を持ち、JH3Aとは対照的です。ちょっとHeadRoomの音っぽいところもあると私には感じられます。たしかKenさん系のアンプを設計しているのはRed WineのVinnieさんだったと思いました。
TWagシングルエンドだと音の広がりは標準的だけれども立体感は高いものが感じられます。ただちょっと背景に暗ノイズがあります。Bassノブを変えると低域がより図太くなるという感じですね。

ここでJH13を私のSR71Bで使用している自前のWhiplashのバランスケーブル(SCScag 単線) に変えると音の広がりが顕著となり、シングルエンドでは考えられなかった立体感が聞き取れます。この空間表現はかなり大きな質的変化ですね。また楽器の切れや制動力も高くなり、フラメンコのタップなんかが切れ味鋭くなります。

次にBeatのバランスケーブルに換えると音色の自然さが向上するように感じられます。帯域バランスとか音色、楽器の質感など全体により聴きやすくなり、かつ切れの良さを持っているという感じに思えます。銀コート銅線ということですが、なかなか良い感触のケーブルです。反面で透明感はWhiplashの方があるかもしれませんが、音は相対的にややきつめなので一長一短ではあるかもしれません。

バランスコネクタのケーブルを買うのも大変だと思いますので、ポータブルバランス駆動に興味ある人はキャンペーン中に入手するのが良いでしょうね。なんにせよJH3Aともども、こんなマニアックなものが国内で簡単に買えて保証もついてしまうというのはたいした進歩です。
こちらはフジヤさんの購入リンクです。キャンペーンについても適用されています。
http://www.fujiya-avic.jp/products/detail12821.html

そのうちFitEar to go 334もバランスケーブルにして試してみたいものです。たださえ広い空間表現がどうなるのか、、ちょっと楽しみです。
posted by ささき at 00:25 | TrackBack(0) | __→ JH13, JH16 カスタムIEM | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする