Music TO GO!

2012年04月30日

Audirvana Plusが次の1.4で新機能「ダイレクトモード」を実装へ

好評のMac用プレーヤーソフトのAudirvana Plusですが、Audirvanaはインテジャーモードをはじめに実装したことでも知られています。ところがライオン(10.7)以降ではAppleの意向か、インテジャーモードがMacOSレベルでサポートされず、おそらく次のマウンテンライオンでもだめであるようです。オーディオ的にはライオンの方が洗練されて音はよさそうだけど、インテジャーモードが使えないのでマイナスというジレンマがあったわけです。

そこで次のアップデートである1.4からAudirvana Plusでは「ダイレクトモード」という新機能を実装する予定です。従来の「インテジャーモード」はCoreAudioのミキサーでもあるAU(AudioUnit)をバイパスして直でHAL(Hardware Abstract Layer)にアクセスすることでDAC形式のデータを送っていたのですが、この「ダイレクトモード」はなんとCoreAudio全体をバイパスします。つまりHALもバイパスしてドライバーをAudirvanaから直でアクセスすることになります。
まさに再生ソフトからドライバーまでダイレクト、OSが介在しません。インテジャーモードの利点も復活し、さらに経路も短縮され、これで一層の音質向上が得られることでしょう。

ますます楽しみなAudirvana Plus、サイトはこちらです。
http://audirvana.com/
購入はこちらからどうぞ。
http://audirvana.com/?page_id=112

*ちなみにAudirvana Plusのシェアは日本がトップです。作者のDamienさんも日本の皆様に感謝しておりました。このダイレクトモードもみなさまの厚い支持のゆえだと思います。
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2012年04月29日

いまなぜDSD再生が求められるか

GW突入記念の簡単まとめ記事です。
最近よく「DSD再生」っていいますが、そもそもなぜいまDSD再生が求められるか、と思うかもしれません。それをまとめてみました。
まずDSDとPCMの違いと音の影響を端的にまとめるとこんな感じです。

DSD
- ノイズシェーピング(*1)が必要なため、高域でノイズが増えてダイナミックレンジの低下を招く
- PCMはこの影響はない、帯域ごとのノイズレベルは一定である

PCM
- デジタルフィルタが必要なため、アーチファクト(*2)が生じることで不自然な音を生じる
- DSDはこの影響はない、自然な音再現ができる

さて、ここでのポイントはいまのDACはほとんどデルタシグマ方式を使用しているという点です。(*3)
そうするとPCMをいまのデルタシグマDACで使用すると上に書いたDSDとPCMの悪い点を両方受け継ぐことになります。
これから次の二点がわかります。

*PCMを使うなら、マルチビット方式のDACが向いている (これは今回ふれません)
*デルタシグマ方式のDACを使うならば、DSDが向いている

つまりDSDがPCMより優れているから求められているというよりも、実のところはじめに書いたように一長一短ですが、いま一般に普及しているデルタシグマ方式のDACを使うならばDSDを使うのが理想的だというわけです。
SACDはそれを物理メディアでやろうとしましたが、商業的に失敗しました。それをいま物理ディスクではなくPCオーディオでやろうというのがDSDファイル再生の動きです。
そしてこのメリットをフルに発揮するためには、いったんPCM変換をかませないでストレートにDSDを送る「DSDネイティブ再生」が求められるというわけです。


* ちなみにこの他に下記のような考慮点もあります
- 44k→96k→192k→384kと来たPCMの力技の音質向上が、かつてのデジカメの画素数競争のように頭打ちになりそうという状況
- HD音源の配信がダウンロード主軸になったときにDSDの方が音質等価な場合にサイズを少し小さくできるということ

* いまはデルタシグマ方式のDACが主流といってもそれは内部の話で、DAC本体の入力としてはPCMのみを受けられるものがほとんどです。そのためDSDネイティブ再生にはPC側のソフトとDACの両方に対応が必要で、その方式としてDoP(DSD Over PCM)という業界標準が提唱されています。(これによりdCS方式という名称は今は死語ですので注意ください)

参考資料
コッチ先生のホワイトペーパーの記事
DoP標準規格(現在v1.1)

傍注
*1 ノイズシェーピングはノイズを除去するのではなく高域に追いやること
*2 計算の副作用により元の音のデータにはない付加物(プリエコーなど)ができること
*3 マルチビットDACよりデルタシグマDACの方が低価格で作りやすい
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2012年04月28日

Fujiya-TVに出演します

今回もヘッドフォン祭の直前スペシャルとしてFujiya-TVでUStreamを行います。はじめ5/5と予告していましたが、都合で5/1の19:00開始となります。
案内はフジヤさんのブログかTwitterでよろしくお願いします。
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PCオーディオfanに執筆しました

本日発売のPCオーディオfanに執筆しました。HiFiMANの新製品HE400、EF6、iQube v3、KingRex UD384のレビュー記事、プレーヤーソフトでは楽曲管理という視点からSonataとMusiCHIを取り上げています。
好評の付録音源にはうちでも下記記事で紹介したワオンさんのサンプラーがついています。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/123032823.html


posted by ささき at 22:12 | TrackBack(0) | ○ PCオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

NetAudio誌に執筆しました

本日発売のNetAudio誌に執筆しました。「ネットオーディオ最前線」でiPadからAndroid端末まで、ポータブルオーディオからポストPCの流れまでを解説しています。オーディオ誌にこうした記事が載ることは画期的だと思いますが、音元さんはスマートフォンとヘッドフォンに特化した雑誌も出していますのでなかなかトレンドを汲んでいると思います。


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2012年04月27日

KOSSからWiFiワイヤレスのイヤフォンとヘッドフォン登場

KOSSから新しいワイヤレスイヤフォンとヘッドフォンが登場しました。TapがイヤフォンでProがヘッドフォンです。
Koss Striva Tap
http://www.koss.com/en/products/headphones/earbuds/STRIVATAP__STRIVA_TAP
Koss Striva Pro
http://www.koss.com/en/products/headphones/full_size_headphones/STRIVAPRO__STRIVA_PRO
Strivaというのがワイヤレスのブランドです。
http://www.koss.com/en/Striva/Home

これ私もはじめイヤフォンが左右分離型だったのでMX W1みたいなKleerかと思ったんですが、そうではなくWiFiを使っているようです。
CAPというのが送信機と言うかモバイルアクセスポイントになりますが、FlashAirを考えるとこうしたシステムのワイヤレスイヤフォンがあってもおかしくないですね。
そのためインターネットラジオを直で聞くことができます。対応ソフトウエアがあればPCからストリーミングも出来そうな気がします(ここは不明)。Bluetoothよりも広く約300フィート(90m)届くということです。
また普通にケーブルを使って有線でも接続が可能です。

WiFiワイヤレスオーディオの動きとともにちょっと面白い製品です。
posted by ささき at 09:01 | TrackBack(0) | ○ PCオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月26日

ネットワークプレーヤーのOEMインターフェース

前に開発環境という側面からPCオーディオ機器における進歩を書きました。XMOSとかネットワークプレーヤーの開発キットです。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/181376037.html

その点ではAudioStreamに乗っていたネットワークプレーヤーのインターフェースのOEM先の記事なんかも面白いと思います。StreamUnlimitedという会社です。
http://www.audiostream.com/content/streamunlimiteds-streaming-box-solution

提携先にはPioneer, T+A, Musical Fidelity, Naim, Simaudio, Wadia, Bang & Olufsen, Sony, Denon, Pro-Ject, Creekなどなど有名なところが並んでいます。
上の中のビデオ画面そのままでなくても、もちろんデザインはXMLで定義されていてカスタマイズできますので、実製品のデザインや画像はことなることでしょう。もちろんiPOdデジタル接続やコントロール用のiPhoneアプリなども提供されています。
ネットワークプレーヤーが雨後の竹の子のようにどんどん出てくる背景にはこうしたOEMブランドがあって、この辺のコントローラやインターフェースを提供して開発を簡易化しているというわけです。

このことからもうひとつわかるのは、UIだけではなくコントローラ部分もOEMでしょうからこれらのOEM採用メーカーの機器ではいわばトランスポート部分(おそらく組み込みLinux)は同じものを使っているので性能的に差はないだろうということです。つまりネットワークプレーヤーの骨組みの部分をいわばこうしたキットで作って、それにDACやらアンプのオーディオ部分は自前で足すという構造になっているので、トランスポートに相当する部分は差がなく、各社横並びになってしまうということです。その辺でAuralitiなどVoyageベースのものとは異なるかもしれません。
posted by ささき at 22:51 | TrackBack(0) | ○ PCオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月25日

レイサミュエルズさん来日キャンセルになりました

残念なお知らせですが、ヘッドフォン祭に参加予定だったレイ・サミュエルズさんは都合により今回はこられなくなりました。次回はぜひ来て日本のファンの皆さんにご挨拶したいということです。
posted by ささき at 14:42 | TrackBack(0) | ○ オーディオショウ・試聴会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月24日

清里高原の休日とGoPro2

昨年11月にも書いたんですが、乗馬のため再び清里を訪れました
この辺は標高も高くなっているので、桜前線をさかのぼるように清里に向かいます。
ここは途中にある南きよさと道の駅で、桜とたくさん泳いでいる鯉のぼりが競演していますね。
IMG_7727.jpg     IMG_7729.jpg

清里まで来ると桜が咲いていませんでした。これは終わったんではなく、桜はまだ咲いてないそうです。清里は八ヶ岳近く、1500mくらいの高原です。
こちら目的地の牧場です。清里というとかつてはにぎわった人気のスポットですが、いまでは駅前のさびの浮いたピンク色の廃墟がそのころのメルヘン文明の崩壊を物語っています。しかし、本来はこうした八ヶ岳の自然に抱かれた高原が魅力の場所なわけです。
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ちょっとゆっくりしたかったので、しばし牧場を散策してましたが、さすが牧場には写真撮るネタもけっこうあります。こちらはInstagramに投稿したものです。
IMG_7741.jpg     IMG_7740.jpg

Robinというカントリー風のレストランで宿泊し食事を取ったんですが、地元ミュージシャンを呼んで店内でライブをやってました。高原の夜にギターの響きが心地よく感じます。
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さて当日になると下り坂の天気が気になったんですが、なんとか持ちました。乗馬は全天候スポーツなので前回記事みたいに雨が降っても雷鳴がなって馬が驚かない限りやります。(馬は音に敏感です)
下は先発隊が出発するところで、写真奥の林道から林間に入っていきます。

IMG_7756.jpg

今回目的の外乗というのは馬に乗って林間をめぐり、林道を走るというものですが、面白かったのでぜひ撮ってみたいと思って、今回はGoPro 2を使いました。こちらホームページです。
http://jp.gopro.com/?gclid=COuBpIusy68CFeFfpgodPAyNbA
GoProとはスポーツを撮影するために特化された小型のビデオ/スチルカメラです。特徴は防水ハウジングに多彩なマウントが付けられ、カメラ部はなんと170度の魚眼レンズでフルハイビジョン撮影ができるというもの。スチルとしては1100万画素の超ワイドアングルカメラとなります。ただし基本的にスノーボードやヘルメットにマウントしたりするもので、ファインダーがないのでカメラとして使うときはLCD Bacpacという外付け液晶が必要になります。また、プレビュー再生してみるのもこれがあった方が良いですね。カメラとしてもテストしてみましたが、周辺はやや収差がありますがそれほどでもなく、iPhoneに魚眼アタッチメントレンズ付けるよりずっと画質は優れています。なかなかいろんな使い方ができると思います。写真を見ると液晶表示が上下逆になっていますが、いま倒立モードにしています(マウント部を上にして使っているため)。

IMG_9833.jpg     IMG_9836.jpg

馬に乗ってるときは基本両手で手綱(と鞭)を取っているのでカメラは操作できません。今回はヘルメットではなくプロテクタ(ベスト)にマウントしようとしたんですがうまく止まらずにけっこうぶれてます。一分ちっょと切り出したものですが、こちらです。オリジナルは960pのHD動画です。


今回乗った馬は素直で動かしやすかったですね。私自身も前回から少し腕が向上して(多少は)馬のリズムに合わせて乗れるようになってきたので、そうすると馬も走りやすいですからなかなかテンポよく走ってくれます。林間を馬に乗って走り抜けると気持ち良いものです。

この牧場には元G1競走馬のマチカネタンホイザ(左)とマチカネフクキタル(右)が余生を過ごしています。
わたしはギャンブル系はやらないので競馬もしらないんですが、そんな私でも名前は聞いたことがある名馬ですね。いまでは種馬生活も終わって、ここで余生を過ごしています。いまでは毛もところどころ抜け落ちていてお爺さん馬となっています。タンホイザの方はもくもくとお食事中でしたが、フクキタルの方はこんな感じで人なつっこく顔を出してくれました。たぶんみんなから大事にされてきたんでしょうね。馬はとても賢くて人のことをよく見ています。
IMG_7759.jpg     IMG_7760.jpg

清里には温泉もあって体を動かした後の疲れを取るには最高です。こちらは天女の湯というところで、アクアリゾートというだけあって立派な温水プールも完備しています。温泉としては露天風呂が素晴らしくて、こちらは林の中のロケーションで気持ちよく湯につかることができます。

IMG_7742.jpg

温泉につかっていたら近所のペンション関係者らしき人たちが話していましたが、GWはもうどこも予約でいっぱいと言ってました。
さきに書いたように清里はいったんは(行き過ぎた)輝きを失ったんですが、最近で言うと他と同じくらいという不況の影響はあるものの、また人を着実に集めてきているようです。本来の高原の避暑地としての魅力を地道に取り戻してきているのでしょう。
たぶん清里にはこれから定期的に行くことになると思うので、少し探索していきたいですね。
posted by ささき at 01:20 | TrackBack(0) | ○ 日記・雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月20日

Antelopeからルビジウム搭載DAC、Rubicon登場

Zodiacが好評のAntelopeからRubiconという新製品がアナウンスされました。
こちらプレスリリースこちら製品ページです。
AD/DA PreAmpという多機能製品ですが、その核はやはりAntelopeらしくクロックです。なんと同社フラッグシップ・マスタークロックと同等のルビジウムが標準搭載されています。おそらくAntelope得意の温度管理されたクロックコンテナが金色の球体なんでしょうね。DAC部分はもちろん384kHz対応ですが、面白いのはレコード再生のフォノアンプとADコンバーターがついていて、アナログレコードからの入力をAD変換して384kHz DACで再生できるという点です。またヘッドフォンアンプも搭載されていますし、DLNAネットワーク機能もついています。まさに多彩ですね。
Rubicon(ルビコン)という名はもちろんルビジウムからきているのでしょうが、シーザーの故事も連想します。シーザーがルビコン川を越えて新たな時代に突入したようにクロック/DACメーカーのAntelopeも一線を越えていくのでしょうか。
5月のミュンヘンでのハイエンドショウで展示される予定です。
posted by ささき at 23:00 | TrackBack(0) | ○ PCオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月18日

マークレビンソンとディックバウエンのいま - Burwen Bobcat

はじめに断っておくと、この記事はMLAS(Mark Levinson Audio Systems)の伝説的プリアンプであるLNP2の記事ではありません。検索で来た人すみません。
しかしそのLNP2を創ったのと同じ人たちの話です。ここで言うマークレビンソンはハーマンのブランドではなく、マークレビンソン氏その人です。マークレビンソン氏の名を高めたのはこのLNP2というプリアンプで、特にバウエンモジュールが搭載された個体はひときわ人気があります。ここでいうディックバウエン氏(リチャード・S・バウエン)はそのバウエンモジュールに携わったバウエン氏です。
そしてこの記事はビンテージオーディオの話ではなく、PCオーディオの話です。つまりマークレビンソンとディックバウエンのいまのお話です。


この前マークレビンソン氏は伝説の中や過去の人ではなく、いまも精力的に活動している人だと書きました。Daniel Heartzというスイスのブランドを立ち上げています。ラインナップはいわゆるハイエンドオーディオでスピーカーからアンプ、DACまでそろっていますが、CD/SACDプレーヤーが用意されてないという点に目を留めておいてください。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/238516292.html

上に引用したMonoAndStereo誌の記事の中でマークレビンソン氏が意味ありげに今後の展開を見ていてほしいと言っていましたのが気になっていましたが、最近レビュアーのスコット・ウィルキンソンの長いインタビューにマークレビンソン氏が答えている動画を見つけました。
http://www.computeraudiophile.com/content/Mark-Levinson-Video-Interview
http://www.computeraudiophile.com/content/Mark-Levinson-PCM

このインタビューの中で、マークレビンソン氏が「PCMの音は粗いが向上させる方法はある」というようなことを語ったのに対して、ある人がこれのことではないかとポストしていたのが"Burwen Bobcat"というものです。この名前にちょっと目が留まりました。
バウエンといえばあのLNP2のバウエンモジュールですが、いまでもマークレビンソン氏とバウエン氏が親密にやっているんだという点と、バウエンというとアンプのモジュールをつくるハードの人という感じですが、ここで書かれているのはソフトウエアであるという点に興味を持って調べてみることにしました。

まずBurwen Bobcat(バウエン・ボブキャット)とはなにかというところから説明していきます。

*Burwen Bobcatとは

Burwen Bobcatはバウエン氏が開発したPCMの音質を向上させるソフトウエアと技術の総称です。こちらにホームページがあります。
http://www.burwenbobcat.com/BBTB_Home.html
ちなみにBOBCAT(山猫)というのはBURWEN OPERATING SYSTEM, BEST COMPUTER AUDIO TECHNOLOGYの略でマークレビンソン氏による命名です(後述)。
2005年のDaniel HeartzのDACとのバンドル版をはじまりに、現在はTR(Trueの意)とTone Balancerの二種類があります。TRは2011年にリリースされた再生に特化したもので設定がプリセットされています。Tone Balancerはエクセルシートによるトーンコントローラを搭載したものです。TRは$105、Tone BalancerはTRを含んで$465です。

私はTRを一ライセンス買って試してみました。ここからはコア(エンジン)部分ともなるBobcat TRの説明になります。
Bobcat TRはWindows Media Playerのプラグインです。DSPプラグインの一種というとわかりやすいかもしれません。なにをするかというとBobcat TRは音質を改善させる目的で高域にリバーブを適用し、低域にトーンコントロールを適用します。ただしリバーブ(reverberation)といっても人工的なリバーブはBurwen氏も好きではなく、リバーブといってもエコーのように聞こえるものではなく、"Air"・空気感みたいなものだと言ってます。他のソフトのエコーのようなリバーブ・エフェクトはトランジェントを甘くしてしまうが、Bobcatは逆にトランジェントを鮮明にして明瞭感を増すということです。
これは5kHzより上の高域にポイントを絞るというところがミソのようで、そこが自然の反射音やいわゆるリバーブエフェクトとは異なるそうです。もともとは自分で録音に使っていた鳴りの良いホールの自然な反響の研究からはじまったけれども、結果的には自然界にはない反響の仕方を高域に加えるという方法で音質向上が得られることが分かったということのようです。また実際のホールの反響よりも10倍くらい複雑な波と反射の要素を計算しているとのこと。

この技術はいくつかの国で特許取得しているようです。調べてみたところ米国特許の8,041,045で"Unnatural Revervation"(自然には存在しないリバーブの適用)というタイトルでファイルされています。出願したのは2005年10月です。このソフトウエアの発表時ですね。
従来技術では高域が不完全(imperfection)であり、いらいらする刺激を与えてしまうが、高域を減衰させると細部が失われてしまうのが問題点であるとしています。このUnnatural Revervationの仕組みとしてはFIFOバッファにサンプルを入れて、ある係数に基づいて計算を加えていくというもの。先入れ先だしのFIFO(First In First Out)バッファに入れるというところがディレイというかリバーブのシミュレートなんでしょう。

*Bobcatの購入と使用について

購入はこちらのサイトで行い、ライセンスキーはあとで別メールできます。
http://www.burwenbobcat.com/BBTB_Download.html

立ち上げ方はWindows Media Playerのメニューがデフォルトではオフになっているので、これをオンにしてメニューをまず表示させます。つぎにメニューからプラグインの設定で
Burwen Bobcat TRを有効化します。すると下記のウインドウが出てきます。囲まれているところは現在の設定です。
bobcat2.gif

Bobcat TRは次の3つの使い方があります。

1. Windows Media Playerで音源を再生するさいにBobcat TR経由でリアルタイムに効果を加えます
ちなみに96/24まで対応するということです。

2. WAV、MP3、WMAロスレスファイルを一括変換して、MP3、WMAロスレスとして効果を加えて保存できます。出力はWAVを選べませんが、WMAロスレスにしておけばあとでFLACとかWAVに変換しても問題ありません。

3. Windows Media Playerでリッピングするときにも効果を加えて音源を保存できます。


Bobcat TRには3つの出力オプションがあります。

1. Pure Bobcat (またはBasic Bobcat) - 基本的なプリセット
このとき5kHz以上の高域にわずかなリバーブを加え、超低域を少し増強するということです。

2. Smooth Bobcat - 古い録音や良くない録音の再生のためのプリセット
高域にリバーブを加えて3.5kHzあたりのレスポンスを下げて、600Hzあたりを増強します。さらにNo Screechという処理をしてヴォーカル帯域のきつさを抑えます。これは昔のモニタースピーカーの特性とか近すぎるマイク配置が必要以上に高域を強調して録音していたからということです。もともとBobcatはSplendarというBurwen氏が作ったマスタリングソフトウエアから派生したものということです。

3. No Bobcat - Bobcatのバイパスをして無効化します。
ちなみにバッチ処理した音源を再度BOBCATプラグインのあるWMPで再生すると、自動的にBOBCAT処理されたことを認識して自動的にNo Bobcatが選ばれて二重適用されることはないようです。

Pure BobcatとSmooth Bobcatの使い分けは音の好みというよりは普通に録音が良い時はPure Bobcatを使用し、古い録音や録音が良くないときはSmooth Bobcatで補正するということのようです。

*Bobcatの効果と音質

次に実際の音ですが、まずこちらのページでMP3での効果が試聴できます。
http://www.burwenbobcat.com/BBTR_DEMO.html
ここでははじめに効果適用済みのジャズ(バウエン氏が録音したもの)が再生され、次に効果を適用する前のものが再生されます(つまり「あり」->「なし」です)。はじめの解説部分で効果はわずか(Subtle)と自分で言っているように、効果は微妙です。ただたしかにあります。MP3では鮮度感が増していきいきとする感じがあるようです。

わたしは主にバッチ処理変換を使用していくつか手持ちのアルバムをBobcat変換して、元の音源と比較してみました。PCにおいてはWMPではないFoobarなどのプレーヤーを使用し、iBasso DX100などポータブルでも使ってみました。

良録音のとてもシャープな(ある意味きつめで鮮明な)録音だとPure Bobcatの効果が分かりやすいと思います。一言で言うと、解像感を減らさずに聴き疲れを減らす、という点です。
いわゆる「デジタル的な」ギラギラしたきつさが取れて聴き疲れがしなくなる一方で、音の鮮明度や解像感は変わりなく、機材が上質になったような気もします。

Pure Bobcatは変化が大きくはないので、逆に常用できるという気がしますね。Smooth bobcatは変わったのがかなり明白です。効果を確認してから適用した方が良いでしょう。

このほかには携帯のLGがこのライセンスに興味をしめしたので、Mobileバージョンというのを作ってLGのスマートフォンのKM900 Arenaなどに搭載しているようです。
ちなみにマークレビンソン氏はLGのオーディオアドバイザーを務めていたそうです。

* Burwen BobcatとDaniel Heartz、ハードとソフトのはざま

本記事を書くために、このバウエン氏のサイトをずっと読んでいたのですが、面白かったのはFAQのところの「真空管アンプを用意した方がよいですか?」という質問に、「やめておけ、それは歪みが大きいイコライザーみたいなものだ」、と答えている点です。60年もの経験を持つ回路設計の神様みたいな人がそう言い切って、いまではPCオーディオのソフトウエアを作っているというのがとっても意外です。バウエン氏は当然ながらたくさんの真空管アンプを作ってきています。
バウエン氏いわく、オーディオにおいてもっとも重要なものは周波数特性だそうで、そもそもオーディオシステムが不完全なものだからとしています。
http://www.burwenbobcat.com/Why_EQ.html
オーディオファイルはピュアリストアプローチ(接点は少なく、回路は最小などの考え方)に陥りがちだけれども、もっとイコライザーを使った方が良いと説いています。そのポリシーがこのBurwen Bobcat、特にTone Balancerにあらわれています。

バウエン氏というとMLASのLNP2で知られていますが、チェロのAudio Paletteにも関係してるようです。書いたようにバウエン氏は周波数特性に重きをおいてるので、手製のトーンコントロールを作っていて、それがチェロのAudio Paletteの原型となったようです。マークレビンソン氏はバウエン氏を師と仰いでいるのでその影響があるのでしょう。
つまりBobcat Tone Balancerはソフトウエア版のAudio Paletteみたいなものでしょう。そう考えると回路設計やってた人がソフトウエアやってる理由もわかるし、むしろ筋が通ってますね。

このBobcat TRでいくつかのアルバムをバウエン処理して、少し聴いているとより上質なハードで聴いているようにも思えてきます。もっと高級な機材ならここのきつめの硬いところはもっと滑らかなのに、という感じがソフトで実現されるという感覚でしょうか。
結局のところ、自分のポリシーを生かそうというのならば、それをハードでやろうがソフトでやろうが、同じことができれば良いということです。以前はハードウエアでしかできなかったけど、最新の技術によりソフトでやった方が効率が良いというのであれば合理的にこちらを使うということでしょうか。大事なのは実現手段よりもむしろなにをしたいか、ということで、昔はハードでやらねばならなかったことが今はソフトウエアでより効果的にできるならそれを使おうという柔軟さには敬服します。

もともとこのトーンコントロールとリバーブのアイディアというのは、さきに書いたように鳴りの良いホールの研究からはじまって、マイクを使ってアナログ的に行って研究していたようですが、それをPentium1時代にDSPを使用してソフトウエアで実現できるようになり、ついにPentium4の時代になってプロセッサ(PC)だけでそれが可能となったということです。
それをもともとはバウエン氏はレコーディングのさいに使用してCDの音質を向上するために応用しようと開発して、Audio Splendarというレコーディングのシステムにしたようですが、それをマークレビンソン氏が聴いていたく気に入ったので、マークレビンソン氏の提案でその再生専用バージョンをオーディオ再生のためにつくろうじゃないかということで出来たのがこのBobcatというソフトウエアで、このBobcatというネーミングもマークレビンソン氏のアイディアのようです。

こちらはマークレビンソン氏のBobcatへの賛辞ですが、いかなる価格のCDプレーヤーよりも優れた向上をもたらすと書いています。
Burwen Bobcat elevates the quality of CD, and MP3 to be equal to or better than analog and SACD. No CD player at any price can come close to making this improvement. - Mark Levinson

それでマークレビンソン氏のDaniel HeartzのシステムははじめからCDプレーヤーを持たないラインナップとして開発されたのではないでしょうか?
Daniel HeartzのシステムがもともとCDプレーヤーを用意せずに、はじめからPCオーディオありきで用意されているのは、PCにこのバウエンのソフトウエアを搭載して、USB DACと組み合わせるという目論見があったものではないかと思います。
こちらのPositive-feedbackの記事にこのBobcatとDaniel HeatzのDACの記載がありました。
http://www.positive-feedback.com/Issue28/burwen.htm
ここに書かれているのはマークレビンソン氏のDaniel HeartzのUSB DAC Model 1とBurwen Bobcatの組み合わせのレビューです。ちなみにこの記事は2006年の記事で、探してみるとBurwen Bobcatは2005年のドイツハイエンドショウでデビューしたようです。
これは直接バウエン氏に聞いてみたのですが、Bobcatはその当時はDaniel HeartzのUSB DAC Model 1と組み合わせることが前提だったが、いまでは特にDACを特定しないで使えるように改修しているということです。2005年の当時はDAC Model 1が接続された状態でのみBobcatが動作するようにプロテクトされていたようです。

しかし2005年にすでにPCのソフトウエアとUSB DACの組み合わせをCDプレーヤーに代わるスタンダードにしたのはマークレビンソン氏はなかなか先見の明があります。本格的にUSB DACというものがハイエンドでも使えるという一般に認知されたのは2009年のQB-9ですからね。そもそもPCオーディオっていうもの自体が世間に広まったのは2007-8年のLINNのKlimax DSあたりからのように思いますが、Daniel Heartzははるかに先を行っていたようです。というか、先すぎて発表当時は受け入れられなかったことでしょう。

マークレビンソン氏のこの辺のビジョンの豊かさというのは、やはりスティーブジョブズを想起します。この場合はバウエン氏がウォズに当たるでしょう。先見の明のあるビジョニストと優秀なエンジニアのどちらかだけではだめですが、二人が結び付くと大きな力となります。もちろんマークレビンソン氏にはジョンカールとかトムコランジェロもいて、ジョブズにはアンディーハーツフェルドとかピルアトキンソンがいました。そうして偉大なビジョニストとそれに集うエンジニアたちによってAppleやMLAS/Celloのような優れた存在が創り上げられます。しかしながら両者ともそこから追われてしまう運命まで符合するというのは、いささか皮肉なことではあります。

* そしていま

はじめのスコット・ウィルキンソンのインタビューに戻ると、マークレビンソン氏は「iTunesにマークレビンソンのライブラリを近々リリースする」とも語っています。
以前マークレビンソン氏は中国のABCという良録音レーベルにこのBobcatを用いてマスタリングしたLPをラインナップしています。つまりデジタル処理(Bobcat処理)したアナログレコードです。
http://www.burwenbobcat.com/ABCRecords.html
上で言うiTunesライブラリ、というのはおそらくはBobcat処理したマスターを使ったMastered for iTunesバージョンを計画しているのではないかと思います。
iTunesとマークレビンソンの名の組み合わせに違和感を覚える人もいるでしょうが、いまでも積極的に動いている人の証ではありますね。

マークレビンソン氏の名を聞く機会が少し増えて来たのはなにか仕掛けようとしているのでしょうか。そのなにかが上のiTunesライブラリなのか、それともLNP2とバウエンモジュールに代わる新しい伝説になるものか、それはわかりません。
しかしマークレビンソン氏にしろ、ディックバウエン氏にしろ、かなりの歳の生ける伝説という感じの人ですが、「昔は良かった、パソコンでオーディオなんかダメだ」と言わないで、PCオーディオという新しい可能性にまっこうから取り組んで挑戦し、それを自分のものとして進んでいくという情熱には拍手を送りたくなります。
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AppleがiTunes Music Storeの基本特許を取得

Patently Appleによると、アップルが念願のiTunes Storeの基本的特許を取得したようです。米国特許の8,161,411です。
ここではAppleの大きな勝利とコメントしてあるように、クライアント・サーバー型のオンラインミュージックストアの曲選択UIに関する基本的な特許で請求範囲が広く、おそらくiTunes storeのように見えるUIのクライアント・サーバー型のオンラインストアはほぼ特許を回避できないでしょう。
http://www.patentlyapple.com/patently-apple/2012/04/apple-wins-a-major-patent-victory-for-the-itunes-store.html

下記のApple Insiderの記事を見るようにポイントはユーザーインターフェースで、こういうカテゴリ別サブウインドウで曲選択して購入するというタイプですね。たしかに特許の請求項をみるとUIに関しての項目が列挙されています。
http://www.appleinsider.com/articles/12/04/17/apple_granted_itunes_user_interface_patent.html
いずれにせよかなり基本的な特許で影響力は大きいと思われます。
posted by ささき at 08:32 | TrackBack(0) | ○ PCオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月14日

ヘッドフォン祭2012春開催

フジヤさんのサイトでヘッドフォン祭の情報が公開されてます。今回もDENONの新モデル?やHD700をはじめとしてたくさんの注目製品がラインナップされています。
https://www.fujiya-avic.jp/event/1205_headphone_fes/

私はまた自分のブースはもちませんが、私が関係しているところでは、海外から参加者がやって来ます。
今回はなんとあのレイ・サミュエルズさんが来日します!とうとう念願かなった感じですね。展示物としてはいまのところ、A10(静電型アンプ)とApache(バランス)がメインです。ポータブルはまだ分かりません。ソースは私のLINN Ikemiを使う予定です。
またHiFiMANのFangもまいります。展示物はHE400、HE6とEF-6になる予定です。それて久しぶりにRudistorのRudiも来ます。新型のハイエンドDACとかヘッドフォンアンプを持ってくると聞いています。
そしていつも来ているJabenのWilsonももちろんきます。この辺はヘッドフォンアンプブースの真ん中の島になりますのでぜひご来場ください。
CEntranceのマイケルも来ますが、今回は自分ブースではなく、ミックスウェーブさんのところでデモするよう。

アメリカ、イタリア、中国、シンガポールと、各国のトップブランドも集結し、これはもはやインターナショナル・ヘッドフォンショウと言っても過言ではないでしょう。
また海外からの注目度も上がって、日本のメーカーにとっても海外にアピールする良い機会になると思います。
ヘッドフォン祭2012春、楽しみです!
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2012年04月11日

iBasso DX100のひみつ2、または、AndroidにおけるALSA利用の実際

一応iBasso DX100インプレからの続きです。(DX100のひみつ1はこちら)
DX100の面白い点の一つはDX100が最近ここで書いているようなAndroidのオーディオ分野への応用のショーケースとなるということです。

前の記事でAndroidの音声システムのことを書いた時に、AudioFlingerではなく、ALSAを使用しているベンダーもあると書きました。もしかしたらiBassoもそうではないかと思い、聞いてみたらやはりDX100ではALSAを使用しているということです。またES9018のドライバーはALSAドライバーを使用しているとのこと。このALSAドライバーはiBassoが作成したものです。
前に書いたようにiBasso DX100では44/16制限のあるAudioFlingerを使わないというのは、音声システムを一からiBassoが新たに書いたと言うよりALSAをうまく利用しているということのようです。ただしそれにしてもかなり作りこんでいます。たとえば他の音楽再生アプリと同時に使うさいにiBasso Musicアプリが96/24を再生して、PowerAmpなど他のアプリが44/16を再生しているときはiBassoのソフトウエア(ミキサー?)で44/16のストリームが96/24にリサンプリングされて同時に混ざってES9018のALSAドライバーに送られるということです。この辺もiBassoが作りこんだところです。iBassoではJNIを用いてALSAを利用しています(後述)。

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iBasso Musicによる96/24再生

少し整理すると、まずAndroidはJAVAベースなのでアプリを作るためにはJAVAのフレームワークが必要です。それがGoogleが提供するAndroid SDKのMedia Frameworkになります。これはOpenCoreというライセンス条件の緩いライブラリをベースにしています(GPLではなくApache license)。この中に先に書いたPCM出力のためのAudioTrackクラスがあり、さらにミキサーなども加えてAudioFlingerと呼んでいるAndroidの音声システムを構成しているわけです。ところがこの枠組みでは44/16が限界です。(理由はこちらの記事を参照のこと)
それを打開するためにはAndroidはもともとLinuxベースなので、そこにはいっているLinuxの音声システムであるALSAを利用するというわけです。

ただしこのALSA方式は口で言うのは簡単なのですが、問題は実際にどう実装するかということです。
ALSAはJAVAではないので、その繋ぎ目としてJNIを使います。Android NDK(native dev kit)で定義されるJNIのCインターフェースを使用してコードを作成し、そこからALSAのライブラリやドライバーを利用します。iBassoではそうしているようです(これは聞いてみました)。さらにここで生じる問題は、Androidで使われているCライブラリはBionic Libcというもので、普通のGNUなどとは違うということです。これはGPLライセンスを避けるためとかサイズを小さくするためと言われています。つまりALSAが入っているといってもそれがそのままAndroidで使えるかはわからないので、それなりの作り直しが必要かもしれません。ドライバーもAudioFlingerとは異なってきます。

従来のJAVAの世界だけよりは大変ですが、このJNI+ALSA方式ならUSB DACが使えない問題も解決できそうですね、ALSAのオーディオクラスドライバーを使えばよいわけですから。AndroidタブレットでiPadのようにUSB DACを使用して、さらに24bit出力を可能にするためにはこのJNI+ALSA方式が有効となるでしょう。JNI+ALSA方式はAndroidが本格的にオーディオ応用されるキーになるのではないかと思います。

もともとAndroidは携帯電話ですから、リソースに限りがあるというのがまず前提です。その点ではJAVAを使うというのは有効です。つまりAndroidはLinuxベースとよく言われますが、Ubuntuなどのディストリビューションに比べるとリソースやライセンスなどでかなり制約があるということです。
しかし、スマートフォンやタブレットが高性能化していき、オーディオを含めてさらに広い応用範囲が求められるようになると、やはりこのALSA問題をはじめとして、AndroidをLinuxベースのシステムとして再度見直していく必要が出てくるのではないでしょうか?
そのうえでここで書いたようなCによるネイティブコードを実現するNDKとか、Androidカンファレンスのところで書いた外部機器制御のためのADKなどでAndroidの応用というのが拡大していくと思います。iPhoneは100%Apple主導ですが、Androidではそうしてユーザー・ベンダー側で可能性を広げることができるわけです。そうすることでAndroid OSが携帯電話から脱して、あらたなインフラになっていくことができるでしょう。
あ、なんか基調講演みたいになった 笑
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2012年04月10日

iBasso DX100 ポケットES9018の実力

前回の到着編に続いてiBasso DX100のインプレ編です。

主に使用したのはiBassoの標準Musicアプリです。前にも書いたようにiBassoの標準アプリを使うときだけ真の24bit出力がAndroid上で可能になります。
iBasso再生アプリではプレイモード(ランダムなど)、イコライザーの設定、デジタルフィルターの切り替え(Slow Role off、Sharp roleoff)、サンプルレート変換(192kHzまで)、ギャップレス設定などができます。

IMG_7693.jpg

ヘッドフォン・イヤフォンはFitear To Go 334とEdition8が良いと思った。それぞれポータブル機材としては現在ベストのものだけど、結局DX100はこれくらいで聴かないともったいないほどの性能があるといえます。

バーンインしないともやっとしたところがあるけど、バーンインしていくと音も細かさが際立ってきます。そうすると逆にきつさが目立つようになるのですが、さらにバーインすると音が落ち着いていい感じになるというパターンのように思います。バーンインの変化が大きいタイプにも思えるので、デジタルフィルタの切り替えなどを試すのは音が落ち着いてからの方が良いと思いますね。

まず気がつくのはFitear to go 334やK3003なんかで聴くと細かい音が浮き上がってくるようにくっきり明瞭に立っている感じですが、そうした点ではESSのDACらしいという感じですね。やはりマルチウエイ・バランスドアーマチュア系の細かい音が再現できるイヤフォンだとこの音のきめ細かい解像力の高さを堪能できるという気がします。
DX100の良い点はまずこのきめの細かさが表現力の高さにつながっているところです。
女性ヴォーカルがふっとため息をつくところの声の質感とニュアンス、声の細かな震え、ギターの音が消えいる余韻などはまさに秀逸です。
またSNが高く、音の形もきれいに歪みなく整っているように感じられます。分析的という言葉から来る無機的な軽い音ではなく、適度な厚み表現があり、音は彫りが深く実に陰影豊かですね。
それと楽器の音の分離と立体感に優れていて、独特の3次元的な立体感が感じられます。ドラムやパーカッションのインパクトも強烈で重さ・深みがあるためロックもかっこ良く聴けます。Fitear to go 334のでかいCIドライバーの能力もフルに発揮されてると思える瞬間です。Fitear to go 334では持ち味のダイナミックで広大な音楽表現が楽しめます。

驚くのはFitear to go 334と合わせた表現力の高さですが、ジャズトリオとかオーケストラなど賑やかな音楽はちょっと音が良ければそれなりに聴けるものですが、DX100+Fitear To Go 334でちょっとすごいと思ったのは、現代音楽家のDavid LangのThe passing measuresを聴いたときです。これはオーケストラの40人の演奏者に一つの和音をできる限り静かに長く弾かせ、それを電子的に増幅するというややこしい手法で作られた作品です。これはドローンと呼ばれるもので、ぱっと聞きにはズォーン、ブォーンと鳴ってるだけなんですが、細かく聴くととても小さな音が色彩豊かに鮮やかな音楽の諧調再現を描いているのが分かります。DX100+Fitear To Go 334では、その細やかさに包まれる心地よさがしっかりと感じられます。また同じく現代音楽家John Luther Adamsのピアノとベルが和音をひたすらならして行くミニマル手法のFour thousand holesもやはり良いですね。これもベルの音の再現力が高いゆえですが、現代音楽って結局音による表現の可能性を追及するもので、ポータブルの再現力でここまで聴かせるって言うのはなかなかありません。



多少大柄ですが毎日持って歩いて大きさという点で特に大きな不便を感じるということはないですね。ただしやはり電池の持ちの悪さが問題です。通勤に使う程度では一日で不足するということはないが、一日持ち歩いているとぎりぎりというところですね。だいたい5-6時間というところでしょうか。
まめに電源を切りたいところですが、一度切ってしまうとAndroidをブートしてさらにアプリが使用可能になるのにやや時間がかかってします。
またプレイ、スキップのハードキーがないのはDAPとして使いづらいところではあります。画面がスリープして復帰する際にいちいちロック解除をするのも面倒な一因ですが、これはNo Lockというアプリをインストールして解消しました。
それとUSB DAC機能があるとなお良かったとは思いますね。そうすると標準プラグで家用のヘッドフォンが使える意味も大きくなります。ただAudio-gdがES9018とUSBで散々手こずったので避けて正解かもはしれないとも思います。


..というのはまあ前振りで、このあとDX100のひみつ2に続きます。
(続く)
posted by ささき at 23:48 | TrackBack(0) | __→ ハイエンドDAP | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月08日

DSD Over PCM標準規格が1.1に更新してDSD128をサポート

DSDネイティブ再生の標準規格であるDSD Audio over PCM Framesが1.1に更新されました。
http://dsd-guide.com/usb-link-dsd-audio-pcm-frames-andreas-koch

少し経緯を振り返ると、DSD対応DACにDSDのデータを送る際にPCMにいったん変換せずにDSDを直接送るのがDSDネイティブ再生です。PC/Macからこのように直接DSDデータを送るためにはいくつか方法があります。DSDの転送そのものがUSBのような汎用IFでは規格化されていないので出てきたのがこのPCMデータに似せてDSDをエンコードするという方式です。この方式には以前はPlayback Designの方式とdCS方式がありました。これは別のものだったのですが、それが手打ちされてPlaybackとdCSの連名で今年のはじめに標準規格1.0としてリリースされました。うちの下記の記事です。(そのためこの標準規格もdCS方式と呼ぶのはやや語弊があるかなとは思います)
http://vaiopocket.seesaa.net/article/253189067.html

細かくは見ていませんが、今回1.0からの変更はまずDSD128(5.6M)対応です。(見てなかったんですが1.0のマイクロバージョン変更で途中で加わっていたかもしれません)
これにはSolution1とSolution2という2方式が提案されていて、Solution1では352kHz対応の機器を使うことで単に従来規格を倍速でサポートするというものです。Solution2は少しややこしくAES/EBUなどそもそも352kHzがサポートできない方式においてサンプルレートを上げないで実現するというものです。この場合はマーカーも06/F9になります。

また名称からUSBが取れています。前は名称にUSB Linkというのがついていましたね。上でもAES/EBUの例がありますが、USBに限らず用いられることを想定しているということですね。
この規格をなんて呼ぶか考えていて標準1.0と書いてたんですが、今回DoPと略しているのでDSD Over PCMととりあえず書いてこうかと思ってます。DSD Over PCM 標準規格1.1(DoP 1.1)ですね。

それとサポートメンバーにCEntranceが増えてます。これはヘッドフォン祭にも来てくれてるマイケルです。CEntranceはDACportなどでも知られていますが、実はUSBのファームウェアを提供する大手でBenchmark、Lavry、PS Audio、Belcanto、Empiricalなどに提供しています。つまりCEntranceが加入するということはここに書かれていない他のメーカーにも影響を与えるということです。Wavelengthのゴードンもすでに入っているのでUSBファームウェア提供の大手はこれでカバーされた感じですね。
また、お待たせしましたという感じですがMytek Digitalが正式に加わっていますね。Mytekではすでにこの方式が実装されているようです。このほかにはMSB Technology、CH-Precision、Light Harmonic、Vitus Audioなどが加わっています。だいぶ増えてきましたが、日本のメーカーがないのが残念ではあります。

この規格がたとえばIEEEとかUSB.orgに提案されるかはわかりませんが、デファクトスタンダードの業界標準となってきたのは間違いないでしょう。標準方式を採用するというのは作る側では開発コストも低減できますし、使う側では利便性があります。これはDSDネイティブ再生というものが広がっていく契機になると思いますし、PCオーディオの幅を広げるでしょう。日本のメーカーもぜひ検討してサポート表明してほしいものだと思います。
posted by ささき at 10:13 | TrackBack(0) | __→ DSD関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

桜とFlashAir

いよいよ待望の桜の季節となり、Pentax Qで軽やかに撮りに行きました。こうして桜が咲くと終わらない冬はない、という気持ちにさせてくれます。

IMGP0077.jpg     IMGP0091.jpg
Pentax Q, 02 Standard Zoom

IMGP0090.jpg
Pentax Q, 01 Standard Prime

IMGP0096.jpg     IMGP0084.jpg
Pentax Q, 03 Fish-Eye

今回の秘密兵器はFlashAirです。これはWiFi機能を持ったSDカードです。そう書くとなんとなくEye-Fiの二番煎じ的ですが、その実は異なります。
東芝 FlashAirのページ
http://www.toshiba.co.jp/p-media/flashair/

IMG_7706.jpg

少し前のEye-FiではルーターがないとWiFiのネットワークが形成できないので、カメラとスマートフォンだけでは転送ができないのでポケットルーターのようなものが必要でした。しかし最近のEye-FiのダイレクトモードではSDカード自体が中継機能を持つので、ポケットルーターを持ち歩かなくてもカメラとスマートフォンだけでダイレクトにやりとりができます。

ただしEye-Fiのダイレクトモードではカメラからスマートフォン側のEye-Fiアプリに同期して送らなければ中身を確認できません。つまりいったんすべてスマートフォン側に送るので高画素でたくさん撮ると転送に時間がかかります。また、カメラがEye-Fiに対応していないとこの転送中にオートシャットオフされてしまい、Eye-Fi自体の電源が切れるという事態になってしまいます。(Eye-Fi対応のカメラでは転送中には自動電源オフは効かなくなります)
FlashAirの方式はSDカード内にWebサーバーがあるので、スマートフォンから能動的に閲覧をしに行って、必要なものだけスマートフォンに取り込むことができます。そのため、いま良いのが取れたのですぐにTweetしたいというときに便利です。実際今日もそうやって使いました。

IMG_7709.PNG

iPhoneからFlashAirのネットワークがWiFi接続一覧のなかに見えるのでパスワードで接続すると、ブラウザーからこういう風にサムネイルが一覧でホームページを閲覧してるように見えます。縮小画像をタップすればホームページと同じで元画像が開くので取り込みはそれを保存するだけです。
いまPentax QではRaw Jpeg同時記録にしてるのでjpegのみサムネイルが表示されてます。

一枚ずつダウンロードのは便利だけど逆に一括ダウンロードが出来ない、またスマートフォンからの削除もできないという難はあります。ただ取り込みに関しては家でPCでやるのであまり問題にはなりません。
FlashAirを使うときの注意ですが、カメラの機能でカードを初期化しないでください。これをやると中のソフトウエアが壊れてしまいます。初期化はPCからやります。

カメラだけではなく、たとえばノートパソコンにFlashAirを装着してFlashAirにデータを転送するとスマートフォンへの共有なんかもできるようです。(つまり電源さえ供給されればよい)
面白い使い方ができそうですね。
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2012年04月07日

HeadFiでJudeさん作成の素晴らしいヘッドフォン祭紹介ビデオ公開!

Head-Fiで最近のトピックスを紹介するHead-Fi TVでJudeさんが春のヘッドフォン祭を前に、ヘッドフォン祭2011秋の振り返りビデオを制作して公開しています!
http://www.head-fi.org/t/604384/2011-tokyo-headphone-festival-head-fi-tv

なんと34分の大作、わたしもちらっと出ています :) 前日の東京歩きからはじまっていてフジヤさんも紹介されています。ヘッドフォンマニアにとってフジヤさんを初めて外のショーケースを見ただけでBreath-Taking(ため息もの)だけど、これはほんのイントロで、中がもっとすごくて我々の話してるようなものがなんでもある、アンプから何から安いのからハイエンドまである、FitEarのデモ機なんかも紹介されてます。スタッフのhospitality(手厚いもてなし)に感謝しているとのことでした。
GEMも紹介され美人社長によって運営されているギャラリーのようなショップだと紹介されています。ナインウェーブのIEM、豪華なiPhoneケース、整ったリスニングルームなどが紹介されています。秋葉原の散策とオーディオ店の紹介もされています。アキヨドなんかはひとつのストアとしては想像を超えた大きさだと言ってますね。

ヘッドフォン祭の紹介ではデンバー(RMAF)からの流れでフォステクスの紹介からはじまって、須山さんも登場してヘッドフォン祭で作成したFitEar MH334の紹介をたっぷりとしています。特にミッドレンジの解像力がいままで聴いたカスタムIEMでは最高("second to none")で大きな強みだと言ってますね。またシェルの造形は素晴らしく気泡もまったく無く"God Maybe the best"(最高だ)と言ってますね。(神のみがこれを超えるという言い方で、Sky is the limit(限界なし)みたいな英語表現ですね) 私がHeadFiにポストしたFitear To Go334のことにも触れています。
このほかにはV-Moda、ソニー、STAX、ALO、TakeT、オーディオテクニカにも触れられています。またGEMのオーナーがタイムロードを主催していることにも触れて専用のリスニングブースのあるタイムロードブースもふれています。こういう箱庭的な展示の仕方も向こうの人が見ると面白いようですね。

とても魅力的なビデオで見た人はヘッドフォン祭に来たくなるでしょう。また日本人にとってもあらためて日本のオーディオ事情の豊かさを再認識できるビデオだと思います。小規模店から大店舗まで実に品ぞろえ豊富で、デパート(ヨド)にDAC専用のコーナーがあるなんてと驚いています。
東京自体もすばらしいところだったと語っています。寿司紹介もあるよ!
Thank you Jude!
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2012年04月05日

BlueCoastで再度DSD音源のセール

少し前に書いたDSD-Guide/BlueCoastのDSD音源の$0.1セールは結局一日だけと言いながら5日も行っていたようです。これでDSD音源もかなりいきわたったのではないでしょうか。しかし一番良いことはDSD目的でもこの良録音を聴きながら、カントリーもいいじゃない、と思ってくれる人が増えることではないでしょうか。こうした良録音ものはジャズとかクラシックが多いですからね。それもまたレーベル冥利なのだと思います。
それとBlueCoastのメーリングリストを購読している人はさらにボーナスのお知らせが入っていると思いますので確認ください。

そこで再度4/9までWhile She Sleepsというアルバムを44/96/DSDそれぞれ$5でセールするということです。これはDSD録音されたソロピアノです。(前のDSD Collectionはアナログ録音のDSDマスタリング)
http://dsd-guide.com/
こちらはカントリーではなく、少し前に人気を博したウインダムヒルなどのNew Ageを思い起こす落ち着いたピアノ作品です。実際にBlueCoast主催のMarencoさんはウインダムヒルでも仕事をしていたそうです。ちょっとまたカントリーと違う感じもよいのではないでしょうか。DSD録音、DSDマスタリング、DSDネイティブ再生、とDDDで楽しみたい方もぜひどうぞ。
posted by ささき at 22:47 | TrackBack(0) | __→ DSD関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ニールヤングが自らHD音楽フォーマットを開発?

ニールヤングがアップルの音楽政策にジョブズを通じて口を挟んでいるというのは伝えて来ましたが、ローリングストーン誌によるととうとうニールヤングが自らHD音楽フォーマットを開発始めたようです。
http://m.rollingstone.com/?redirurl=/music/news/neil-young-trademarks-new-audio-format-20120403

"21st Century Record Player", "Earth Storage" , "Thanks for Listening" とかこれらは曲のタイトルではなく、ヤング氏が商標登録したものでこの件に関係ありそうです。
"high resolution music downloadable from the internet"などが商標の説明として用いられているとか。彼が開発しているというPonoっていうスタジオクオリティをユーザーに届けるというオーディオシステムに関係があるよう。
ジョブズの意思をついでという気もあるようですね。

もしかしたら以前伝えたAppleが開発中と噂されたAdaptive Streamingは実はこのヤングのではないかとも思います。彼が言えばAppleが絡んでいるとみな思ってしまうかもしれません。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/254615445.html

いずれにせよ、ちょっと面白いことではあります。
posted by ささき at 18:04 | TrackBack(0) | ○ PCオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする