Music TO GO!

2012年03月29日

Tera Player国内発売

いぜん小型高性能DAPのAltman Tera Playerの記事を書きました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/255880650.html
そのTera Playerがフジヤさんから国内発売されるそうです!リンクはこちらです。
http://avic.livedoor.biz/archives/51654224.html?tw_p=twt
私もずっと便利に使っています。小さいのでバッグに入れたままでもよいですし、ポケットにも入ります。それで音も良いのでなかなか手放せません。試聴機もあるそうなので興味ある方は試してみてください。
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2012年03月28日

DSD-Guide.comに紹介いただきました

以前DSDのポータルサイトとしてDSD-Guide.comを紹介しましたが、その記事をDSD-Guide.comで紹介してもらいました!
http://dsd-guide.com/dsd-audio-has-international-appeal-especially-japan

DSD-Guide.comを開設してからのヒット数が実はアメリカよりも日本からが一番多かったということで調べてみたらうちのブログからのアクセスだったということで、このパターンはいままでもけっこうあります。

ここで記事の一部を英訳してもらっていますが、私も内容を一部訂正しますと、このDSD-Guide.comは前の記事ではPlayback Designの主導ではないかと書きましたが、実際に運営しているのはBlue Coast Recordsの創設者であるCookie Marencoさんだそうです。前のDSDネイティブ再生祭りの記事でBlue CoastのDog Songを使用したと言ったら、DSD再生のテストにはなかなかいい選択だと言ってくれました。

DSDはファイル形式にしろ、ネイティブ再生の形式にしろ、統一性が取れていないのが一番の問題だと思うので主導的な立場を持って行ってもらいたいですね。
ただサイトの目的はやはり音楽をDSDの良さを通して広めたいと言うことだそうです。
こちらに無料ダウンロードページもありますよ!
http://dsd-guide.com/free-downloads



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2012年03月25日

Focal Spirit One 登場

ハイエンドスピーカーで知られるFocalの初のヘッドフォンであるSpirit Oneが発売されるという記事をCESの時に書きました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/245823132.html
Focalも最近ではnaimの買収などスピーカーメーカーというよりも総合的なオーディオメーカーとなってきましたが、これもその戦略の一環なんでしょう。

IMG_9731_filtered.jpg

私は一月から予約いれてたんですが、何回か発売遅延の後にようやく届きました。国内でも4月に発売される予定です。こちらはフジヤさんのオンラインサイトです。
http://www.fujiya-avic.jp/products/detail11931.html

こちらはFocalのSpirit Oneの紹介ページです。
http://www.focal.com/en/headphones/nomad/spirit-one.php
Focal初のヘッドフォンでポータブルという選択も興味深いですが、ホームページではNomad Headphonesと称してるのも面白い点です。ノマドは遊牧民のことですが、最近では自宅以外で仕事するスタイルをノマド・ワーキングなんて言いますね。
ノマドと銘打たれた通りに225gと軽量で密閉型のポータブルタイプです。インピーダンスは32オームと標準的でiPhoneなどで使用して問題ありません。iPhoneリモートがついていて音量とポーズ・スキップなどがコントロールできます。
Spirit Oneのドライバーは40mmのチタニウム・マイラー(マイラーはポリフィルム)でUltrasoneと似ていますね。

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Spirit Oneはまずデザインが魅力です。アルミとプラスチックを組み合わせて199ポンドという価格にたいしてかなり高級感を感じる良い仕上がりになっています。イヤカップの赤い裏地もなかなか良い感じです。

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耳を覆うタイプですが、イヤパッドの密着性も高く側圧もあるのでかなり遮音性は高い方です。上のページでは開発に二年かけたけれども、とくにクローズドタイプの密閉性に注力したようです。パッドも快適ですが少し蒸れるのは仕方ないところ。その分がっちりしています。
イヤカップは回転させて折り畳めますが、やはりそれなりにかさばります。ケーブルは方側出しの着脱式でこれも布巻の質感高いものです。ソフトバッグやプラグにFocalの刻印がある点もブランド力に訴求してます。

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ただFocalはスピーカーでは名の知れたブランドと言ってもヘッドフォンでは新参ですからやはり製品の質、特に音が重要です。先のページにも"deliver Focal performance on the move"フォーカルの音を外でも、とあるのでブランドなりの音質は期待したいところです。

まずiPhone直の音ですが、ぱっと聴いていろいろな意味で好感が持てる音と感じます。
高い方はクリアで音の解像感は高く、もやっとした感はなくて程よく晴れてます。楽器の音はきれいに分離されて、楽器の音色がきれいなのも特徴です。高域は十分に鮮明ですが鋭さは控えめできつさがないのも好ましく聴きやすい印象を与えているところだと思います。
中域では厚みがあってヴォーカルはかなり魅力的です。男声は力強さ、女声はほどよく甘さがあります。低域に埋もれることなく歌詞も明瞭で声の震えもよく再現されます。楽器の音色も良いけどこうしたヴォーカルも魅力的です。
低域は強めで下も出ていますが量感もあるので下支えのある厚みと迫力を感じます。またSpirit Oneの良い点は低域が強めながら、インパクトは緩くなく膨らまないでタイトである点ですね。低域の量感がたっぷりあると言うのはドライバーと言うよりSpirit Oneのもう一つの特徴である密閉性が高いせいもあると思います。
音場の広がりからも心地よさが伝わります。立体的で広く、空気感なども伝わります。 オーケストラものでも良いでしょう。
iPhone直でも満足感は高いですね。

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iMod+SR71Aもなかなかに良い感じでパワフルなSR71Aと合わせてロックもかっこよくダイナミックに聴くことができます。SR71Aのほどよいウォーム感ともよく合います。音楽を気持ちよく聴けるでしょう。
HM801にすると精細感がストレートに増す性能の余裕もあり、それに重厚さがさらに加わります。ただ801だと曲によってはベースヘビーと感じることもあります。ジャズトリオなどではやや厚ぼったくなる傾向があります、
Teraで聴くとSpirit Oneの滑らかな表現がさらによくわかり曲によってはスモーキーな雰囲気感をよく伝えます。ヴォーカルも一層魅力的に感じられます。Teraは低域は抑えめなのでこの点では組み合わせとしては良いバランスに思えます。

いわゆるモニタ的という意味で正確な音ではないけど、基本的な音性能の高さをベースにして楽しめる音に仕上がってます。きつさがなく、聴きやすさ・音楽再現の空気感を重視という点ではB&W P5を想起するところもあります。ヘッドフォンというとシャープで顕微鏡的というものと思われがちですがある意味スピーカーメーカーの考える音はこうしたものかもしれません。
フォーカルの音と比べてどうか、という視点を離れると魅力的なヘッドフォンとして完成されてると思います。音質、遮音性、機能性そしてデザインと全体的によく考えられていますね。
単にヘッドフォンが売れてるからブランドで売り出そうと言うのとは異なります。逆にヘッドフォン市場にも影響できればFocalの名を知らなかった層に広めることもできると言うことを十分に考えて完成度を高めていると思います。

音質のグレードで言うとEdition8ほどではないけど、ESW10より良いと言うところでしょうか。ESW10は軽さは良いけどSpirit Oneの方がよりしっかり遮音されるので電車で使っても安心感があります。私は電車ではもっぱらカスタムなどのイヤフォンで聴くんですけど、やはりヘッドフォン使いたい時もあります。そういう時に混んでいても割と使えそうです。音性能もESW10よりSpirit Oneの方が高くて音が整っています。音の広がりも良く、明瞭感もより高く感じます。
比較対象としてはHFI780とかHD25と比べる方が良いのかもしれません。(これらはうちは改造ものしかないので比べませんが)
ゼンハイザーの新型HD25 Amperierとも比べてみたいですね。今年はAmperierと合わせて、なにげにポータブル密閉型も流行ることを期待してます。
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2012年03月24日

FXI Cotton CandyとAndroidカンファレンス

FXI Cotton CandyはUSBメモリ状の超小型コンピュータです。私は予約いれてるんですが、Androidカンファレンス2012に出展するというので見てきました。
こちらがCotton Candyのページです。
http://www.fxitech.com/products/
AndroidカンファレンスということでiPhone使ってたら冷たい視線で見られるかと思ってましたが、会場にはiPadやMacがゴロゴロしましたので堂々と出してました 笑。

Cotton CandyはこういうUSBメモリのような小型コンピュータで、ディスプレイとキーボード以外はすべて中に入っています。入出力のためには両端にUSBオスとHDMIがついてます。OSはAndroidまたはUbuntuです。

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青い小さいボタンはBluetooth、白い窓はLED(ステータス)このほかにmicro USB(タイプB)とmicro SDスロットがついています。

IMG_7667.jpg   IMG_7666.jpg

使い方は大きく2通りあって、まずUSB端をPCに接続してストレージ内にあるWinslave.exeソフトを立ち上げるとウインドウが開くのでそこでAndroid/Ubuntuが実行できます。この場合キーボードとマウスは接続したPCのものを使います。下の写真のようにですね。

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セミナーではFXIのプレゼンターが熱がこもって板書始めましたが、WinslaveはCotton Candyから見た場合、仮想Androidデスクトップのシンクライアントということになります。キーボードなどI/Oは仮想化(抽象化)されてFXI独自プロトコルのパケットでPC/Cotton Candy間でUSB経由で通信されるということですね。

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もう一つはHDMIをモニターに接続することです。モニターを簡単に動画再生用などにも使えます。この場合はキーボードとマウスはBluetoothです。またUSB端を給電のために電源かPCにつなぐ必要があります。使ってないモニターをスマートTV的にも簡単に応用できるというわけです。

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またHDMIとUSBを同時に使うことができますが、別々に表示させることはできません。(デモではUSB延長ケーブルを使ってました)

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PC上のウインドウではAndroidのハードキー(バックとかホーム)に相当するメニューが設けられています。デモはAndroid 2.3(Gingerbread)で行いましたが、製品版は4.0(IceCream Sandwitch)になるとのこと。つまりキーも変わるのでメニューも再構築するとのこと。
OSはAndroidとUbuntuが使えますが、同時ではなくどちらか一方をSDカードにダウンロードすることで使えるそう。

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プレゼンのセミナーも見てきました。FXIはノルウェーの会社だそうでデモしてたのはアジア支部の韓国の人でした。製造も韓国。代理店募集中だそう。発売は5月末ー6月になりそうです。
ロードマップも用意されて発展させていくようです。FXIの人も"I'm here for you"と言ってましたが使う人が考えて行くものですね。こちらに開発フォーラムもあります。
www.cstick.com

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私も最近はAndroidも興味あるので他の展示も見てきました。上のAndroidをx86でネイティブ実行させるプロジェクトも面白かったですね。PCで動作できるライブCDをもらったので試して見ようと思います。
先日CanonicalがUbuntu for Androidを発表しましたが、Androidをデスクトップでも共用して使うというのであれば素直にこういうネイティブ実行のようなアプローチの方が良いのではないかと思いますね。

AR系もいくつも出てました。風景にカメラをかざすと山の名前がわかる山カメラなんかは典型的なAR応用例ですね。
http://yamacamera.aqua-scape.net/
ARでは画像認識と組み合わせたのもあります。例えば手のひらにCGキャラクターを立たせるというものです。

IMG_7675.jpg

手のひらに沿わせるには画像認識も必要なわけです。これは手を閉じた状態でのみで動作をして手を動かすとキャラクターも動きます。ちなみにこれデモは初音ミクだったんですが、写真撮るというと初音ミクは撮影禁止ということでオリジナルキャラになりました 笑。肖像権があったんですねえ。

またロボットやマイコン制御などの組み込み制御系も多々ありました。これはAndrovieという頭部にAndroidスマートフォン乗っけて制御ができるロボットです。
http://www.vstone.co.jp/products/androvie/

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AndroidではAndroid Open Accessoryという機器制御のためのフレームワークがあるようです。これポイントなのは本来コントロールする側のAndroidがUSBホストではなくデバイス側になることで接続する機器の方から電力供給してもらうことができるというもの。機器にはネットワーク接続などを簡単に提供できます。スマートフォンならではの工夫でしょうか。
http://japanese.engadget.com/2011/05/10/android-open-accessory-arduino/

Androidは自由に応用できるところが面白いところですが、反面基本的なところで問題もあります。前に書いた断片化もそうですが、例えばこの7notesの手書き認識のデモです。

IMG_7657.jpg

認識率自体はいいんですが、Androidの場合はタッチパネル精度よくない問題というのがあってこうしたタッチ入力はきれいに描けないのでやっかいですね。このデモしてる7noteの人も下記のように書いてます。
http://www.atmarkit.co.jp/news/201105/27/7notes.html
Androidで線がまっすぐ引けない問題という言い方もあります。たとえば下記の例ですね。
http://www.engadget.com/2010/03/24/moto-touchscreen-comparison-recruits-robotic-implements-for-heig/
反面でAndroidならIMEを選べるので標準入力IMEとしてWeb入力などどこにでも使えます。iPhoneだとAtok Padみたいにあるアプリからしか使えません。これはAndroidとiPhoneの違いを端的に語る例ではあります。

ちなみにオーディオ系サークルや発表はありませんでした。
DX100を使って「Androidで高音質再生研究会」なんていうのも面白いかも。
posted by ささき at 23:17 | TrackBack(0) | __→ スマートフォンとオーディオ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月22日

DSDネイティブ再生祭り

角田さん試聴室でDSDネイティブ再生をハイエンド機器で試してきました。
システムはMac pro に再生プレーヤーはAudirvana Plusの最新版、要のDACはMytek DSD Stereo192でファームウェアは1.4.2β、それにAyreのプリとパワー からスピーカーはライドーC1という構成です。

IMG_7642.jpg

Audirvana PlusとMytekでDSDはネイティブ再生できています。
こちらの下はAudirvanaでの設定画面です。Mytekを指定するとAudirvanaでは自動的に機器を判別します。下記にDSD選択が見えていますね。

mytek-audirvana1.gif

Mytek側ではこのようにPCMではサンプリング周波数が表示されるところにDSDと表示されるとDSDでロックした証です。

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まずeonkyoの音源からタッドさんのnamaを176kHz/24 PCMとDSD(DSF)で聴き比べてみました。
聴き比べてみるとPCMも素晴らしい音ですが、DSDは全体的にさらに鮮明でベルの音は生々しく明瞭感があります。またパーカッションもよりアタックやインパクト感があります。楽器の音色や魅力浮き彫りにする感じですね。
こう書くと分析的な感じに思われるかもしれませんが、DSDネイティブ再生の良いところは高精細でありながらあくまで自然で硬さがないという点です。いわばアナログ的というのか、濃くて柔らかく滑らかですね。

mytek-audirvana2.gif

NAMA MA-Recordings
http://music.e-onkyo.com/goods/detail.asp?goods_id=ma0846

これは次に聴いたDSDに力を入れているレーベル、Channel Classic Recordsのストラビンスキー 火の鳥でも明らかです。これもPCMとDSDネイティブ再生で比較するとクラシックでは楽器の音の鮮やかさとともに、強音部のインパクトに余裕が感じられます。

Firebird Suite
http://www.channelclassics.com/fischer-32112.html

DSDではもはや老舗のBlue Corast Recordsからブルースで聞くと、DSDネイティブ再生のヴォーカルはPCMとは別物で痛さがなくかつリアルです。PCMはシャープではありますが硬くて尖ったところがありますね。DSDネイティブ再生では柔らかでかつ明瞭です。

Dog Song
http://bluecoastrecords.com/blue-coast-collection

Mytek自体も音が良いですね。モニター的に正確というだけでなく、こうしてハイエンドシステムで聴いても良いです。とくにバランスアウトの音は良いですね。
私はこのDSD Stereo192が出るまでMytekというブランドは知らなかったんですが、MytekはLaveryと並んでアメリカのハイエンドスタジオ機器では由緒あるメーカーだそうで、録音やってる角田さんは高く評価していました。
やはりスタジオ用ではあるので、ちょっととっつきにくいかもしれませんが、単にDSDが出せるってだけでなくオーディオとしても音は良いです。

さて、そこで例のStefのWAV pack方式のDSDネイティブ再生ですが、こちらも試してみました。こちらに記事を書いたものです。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/258376595.html
はじめにAudirvanaとMytekで試しました。まずテストトーン(DSD-test-tone-PCM-packed.wav)で試しました。XMOS DSD再生のページにアップされているものです。こちらはきちんと成功しました!

mytek-audirvana3.gif

上のようにAurdirvanaでは176/24のWAVとして再生されていますが、Mytek側ではDSDとしてロックされています!
次にiTunesで試してみましたが、こちらはなぜかDSDと192をいったりきたりして惜しいけど出なかったですね。AudioMidiは合わせていたんですが、プレーヤーの問題にも思えます。
そして例のJAVAツールでdCS方式変換をしてみましたが、こちらはうまくいきません。この辺はまた試してみますが、いずれにせよこのWAVパック方式でもDSDネイティブ再生ができたことは大きいですね。もしかするとWAVが再生できればなんでもとは言えないかもしれませんが、PC以外のネットワークプレーヤーなどにもDSDネイティブ再生が応用できる可能性があるかもしれません。DSDネイティブ再生をするのに再生機器・ソフト側になんらかの変更の必要がない、いまのをそのまま使えるという点がポイントです。

IMG_7643.jpg

またFOSTEX A8を使ってSDカードでDSD再生もしてみました。こちらもこのハイエンドシステムに見合うくらいの音で自然で高品質な音でした。コストパフォーマンスはとてもいいようです。少しモニタライクだったA7とは異なってよりオーディオ的な高品質な音になったように感じられました。

今回はまたなかなか濃いテストをしましたが、このDSDネイティブ再生は一度聞いてみると病み付きになる魅力を秘めていますね。PCオーディオもまた面白いものになっていきそうです。
それとdCS方式と標準方式(1.0)の関係と、どのソフトやDACがどの方式に対応しているかについても洗いなおして整理をする必要がありそうです。
posted by ささき at 00:34 | TrackBack(0) | __→ DSD関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月18日

DSDネイティブ再生をiTunesでも可能にするツール

以前下記のXMOSのDSDネイティブ再生コードを紹介した時に、WAVファイルにDSDデータをエンコードすることでもDSDネイティブ再生ができることを紹介しました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/249957568.html
これはDSDデータをPCMデータに変換するのではなくて、つまりWAVというファイル形式(箱)にDSDデータ(中身)を詰めるということです。さきにも書いたようにWAVというより、WAVの元形式であるRIFFとしてDSDを詰めたというほうが良いかもしれません。

いままでDSDネイティブ再生ではPure MusicやHQ Player、Audirvana Plusなど専用にDSDネイティブ出力対応がなされたソフトウエアが必要でしたが、この理由はDSDデータをdCS形式のDSDマーカー+DSDデータと言う176kHzのPCMに似せたフォーマットに変換して送るためです。それならばはじめからそうしたフォーマットに整形しておけば良いのではないか、そのデータを入れる箱としては汎用のWAV(RIFF)が良いのではないか、と言うのがこのWAV方式です。リアルタイムとバッチ(一括)処理の違いとも言えるかもしれません。
もしこのWAV方式でDSDネイティブ再生ができるならば、送り出しのプレーヤーソフトは単にWAVが再生できれば良いということになります。つまり一般的なiTunesでも良いわけです。(もちろん経路がビットパーフェクトであることが条件です)

ただしさきに記事を書いた時に、上記ページに添付されていたWAVデータは開発者のStefさんに聞いてみるとテスト用にシミュレーションして生成したもので汎用性はありませんでした。そこでStefさんに汎用の変換ツールとして作れないかとお話ししていたら、本当にツールを作ってくれました。DSDtoPCMencapsulateというツールです。
ダウンロードは下記ページのDSDtoPCM encapsulate Toolというリンクです。
https://www.xcore.com/projects/dsd-audio-over-usb


受け手側のDACは先に書いた"USB Link for DSD Audio via PCM Frames"のv1.0標準に対応している必要があります。(注: dCS方式ではありません)
ツールはJAVAで作成されていて、OSには依存していません。

使用法は下記のとおりです。
java -jar DSDtoPCMencapsulate.jar DSDファイル名
*DSDファイルはDSDIFF(DFF) v1.5に対応しています。変換されるWAVは元のDSDの1.5倍くらいになるので注意。他はreadmeを参照ください。

Windowsでの実行例をあげます。ちなみに正しいfoobarの使用例も書いておきます(笑)


C:\Users\foo>java -jar DSDtoPCMencapsulate.jar bar.dff

****************************************************************************** 
DSD-in-DSDIFF file to encapsulated DSD-in-PCM file converter (DoP open standard
v1.0)
Version: 0.9beta
Any commercial and/or illegal usage is prohibited!
More info at: https://www.xcore.com/projects/dsd-audio-over-usb
Copyright 2012 by Stef
****************************************************************************** 

DSDIFF file header
---------------------------
DSDIFF version: 1.4.0.0
Sample rate: 2822400Hz
Number of channels: 2
Channel 1: SLFT
Channel 2: SRGT
DSD: not compressed
---------------------------

Reading and encapsulating 262370028bytes of DSD data...
Encapsulated file is ready!

C:\Users\foo>



出力ファイルは標準出力ではなく入力ファイルと同じディレクトリに作成されますのでリダイレクトや出力ファイル名指定は不要です。入力ファイル名に*.wavが付加されます。

簡単にいうとDFFファイルを読んでこのツールでUSB Link for DSDの「DSDマーカー+DSDデータ」のフォーマットにはじめからデータを整形しておいてWAVにカプセル化しておくというわけです。

DFF形式の素のDSDデータ
      ↓
DSDtoPCMencapsulateで変換 (java使用)
      ↓
WAV形式のUSB linkフォーマットDSDデータ (176.4k/24bit)

これでまたDSDネイティブ方式も面白いことになりそうです。

*注
現在はdCS方式ではなく、標準規格1.0に対応しています。Stefさんは先に書いた自分のXMOSファームとBaffalo 32(IIの前のやつ)でテストしてるようです。また再生ソフトはVLCを使ってるそうです。
dCS方式(0xAAマーカー)に対応するのはないの、と聞いたらまたdCS方式バージョンを作ってくれました。こちらは私が受け取りましたが、また報告します。
ちなみにMytekはV1.4.1のファームで標準規格1.0に対応するようです。
posted by ささき at 11:30 | TrackBack(0) | __→ DSD関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月16日

「新しいiPad」がひらく世界

本日新しいiPadが発売されます。
iPad3とも言われた新iPadは単に「新しいiPad」と呼ばれました。たしかにMacbook Air 2やiMac 4などとは呼ばれませんからね。発表会においてCEOのクックがポストPCについて言及したように、これで「名実ともに」iPadもデスクトップやノートブックの仲間入りを果たしたというわけです。
しかしこの新しいiPadにはさらなる可能性があります。

この新しいiPadにはいくつかの改良点がありますが、やはり最大の特徴はAppleがレチナディスプレイと呼ぶ高精細な液晶ディスプレイです。レチナ(Retina)とは網膜のことで、目では(粗さが)判別できないというような意味です。クラシックカメラのメーカーやクラカメショップなんかにもレチナというのがありますね。ピクセル数は従来のiPad2の1024x768から2048x1536に進歩しました。これは264ppi(dpi)に相当しますが、単に4倍の密度になったということやフルHDをさえ超えるということに留まりません。
300dpiというのは紙印刷においてはひとつのマジックナンバーです。つまり紙に印刷するのと同じ解像度でディスプレイにも表示ができるようになったということです。これにより人類はついに実用的な電子の紙を持ったということになります。
新しいiPadは初日だけで100万台売れたと言われますが、実験室の中のように一部の人だけではなく、数百万台・数千万台と売れていくデバイスでそれが可能になった意義は大きいと言えるでしょう。iPhone4でも同様な高精細ディスプレイですが、A4やレターのようなごく一般的な普通プリント用紙のサイズで300dpi近い解像度を持つということは別な意味を持ちます。

そもそもコンピューターの画面がいま白地に黒文字が基本なのはなぜかわかりますでしょうか?
もともとコンピューターディスプレイは昔のIBMなんかの大型メインフレームのように黒字に緑文字でした。それが白地に黒文字になったのはMacの祖先である米ゼロックス社が開発したAltoが始まりです。このAltoが現在のすべてのウインドウとデスクトップメタファーを持ったパーソナルコンピューターのミトコンドリア・イブです。コピー機を創ったゼロックス社は70年代に未来のコピー機を考えるにあたり、コピー機を電子の世界に移し替えるという考え方をしました。つまりコピー機で印刷されるように画面に表示したかったわけです。それが白地に黒文字の画面の始まりです。これによりビットマップディスプレイが生まれました。それをジョブズがゼロックスの研究所から盗み取り、さらにゲイツがそれをコピーしたわけです。それがMacとWindowsのはじまりです。(ジョブズがMac開発チームのモットーを海賊としたのはそれなりの意味があります)
このようにもともと画面と紙は同一が理想でした。

Macは72dpi(ppi)という画面解像度にこだわっていました。これはDTPで使われることが多かったMacにとって画面で見たサイズで印刷できるWysiwyg(What You See Is What You Get)という概念にこだわっていたからです。Wysiwyg(ウィズウィグ)というのはたとえば画面に表示されるワープロの原稿をA4の紙に印刷したときに、その紙を画面に持ってきたときに大きさが一致しているということです。つまり72dpiの整数倍である144dpi、288dpiが紙に印刷するデバイス(プリンタ)になります。

iPad2と新しいiPadではいいかえるとMacにおけるレーザーライター(300dpi)とイメージライター(144dpi)の違いがあります。イメージライターではいいところレポートを印刷する程度だったMacがレーザーライターの表現力でDTPという新しい世界を切り開きました。そして288dpi(Wyswigモード)のレーザーライターでDTPの世界を創ったAppleがまた264dpiのiPadで印刷に代わる新しい世界を開くことができるというわけです。
いままでコンピューターの画面のフォントは見やすさが優先でしたが、これからはフォントも印刷と同じように細かい刎ねやカーニングのようなデザインやレイアウトが重要になります。それは本の印刷と同じで、世界各国の文化もより反映することができるということです。たとえば欧米フォントはセリフとサン・セリフ(セリフなし)に大別できますが、セリフとは文字の飾りを意味しています。それらは文化的な背景によるところが大きいわけです。これによりディスプレイは紙を超えられないというハードルは超えられていくでしょう。

もちろん減法混色による紙印刷と加法混色によるディスプレイでは発色の原理が根本的に違うので、ディスプレイがいくら進化してもまったく紙と同じものはできません。しかし別な世界も開けます。ppiとdpiを言い換えたように、印刷ではハーフトーンという網点で画像を形成するのに対してピクセル個々に諧調が持てるディスプレイはさらに表現力が多彩です。

作家ウンベルトエーコは"もうすぐ絶滅するという紙の書物について"の中で「本はスプーンのように完成されていて一度発明されたらそれ以上うまく作りようがない」と述べています。そうした意味ではiPadは本の"再発明"となる可能性のあるものかもしれません。真の意味での「電子書籍」というものはここから始まるとも言えます。この新しいiPadが新しい紙であり、新しい本となっていくでしょう。



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2012年03月12日

友川カズキ・花々の過失(DVD) - ヴィンセント・ムーン

これはフランスの映像作家ヴィンセント・ムーンが異才のフォークシンガー友川カズキを描いたドキュメンタリー映画です。この作品はコペンハーゲンドキュメンタリー映画祭2009部門で「音と映像」部門最優秀賞を受賞しました。国内公開は昨年のいまころだったのですが、3/1にDVDが発売されました。このDVDのレビューです。
こちらにホームページがあります。作品原題は"La faute des fleurs"ですが、これは友川カズキのアルバムのタイトル「花々の過失」を訳したものです。
http://lafautedesfleurs.com/

友川カズキ(以前は友川かずき)は強い秋田なまりと叫ぶ詩人の強烈な個性を持った人で、フォークシンガーと書きましたが実のところ詩人、絵画、音楽、競輪など多様な活躍の場があって、戦場のメリークリスマスの坂本龍一がやった役はもともと友川かずきがやる予定だったんですが、秋田弁を矯正すると言われて辞退したといういわくもあります(実話)。それで表現者かというと、人にゆだねてしまう表現者であるより、自分で完結する競輪が好きとうそぶいてしまいます。
とても長い経歴を持つ人で、うちのブログでも取り上げようとは思っていたんですが、この機会に紹介いたします。

まず彼の演奏を見るのが一番良いと思います。こちらは映画のアウトテイク(カット集)からの映像ですが、友川カズキのライブ演奏が2分ほどあとで始まります。
「ピストル」という曲です。


http://www.youtube.com/watch?v=85mnIzJ50_g

映画はストーリーというのはなく、ドキュメンタリーかというと特に明確なテーマがあるわけでもありません。友川自身の言葉、彼の別居している息子あるいは友人のインタビュー、また友人の詩人の言葉が、まるで森山大道の写真のようにコントラストと粒状感の強いヴィンセント・ムーンの映像のなかに散らし書きのようにちりばめられていきます。
こちらに予告編があります。


http://www.youtube.com/watch?v=0gB4f2H7zDk

友川カズキはとてもキャリアが長く70年代あたりからやっているので、曲全体に筋は通ってますがやはり時代なりの傾向はあります。自分はうんとしずかな曲か、うんとうるさい曲のどちらかした書かないと言ってますが、彼の曲を聞くには順番をつけると親しみやすいと思います。
はじめは彼が影響されたという中原中也の詩を使用した「サーカス」や「ワルツ」などから聴き始めて大人向けのいい感じの音楽だな、と思ったら次に「生きているって言ってみろ」や「一切合財世も末だ」あたりで、強力な主張のメッセージソングだなと思い、さらに「トドを殺すな」とか「桜の国の散る中を」、「歩道橋」みたいなアングラ演劇の劇伴かよ、みたいな世界にどっぷりつかるというのが良いルートかもしれません。(ちなみに歩道橋の曲中の朗読に弟に捧ぐとありますが、これは彼の自殺をした弟のことです)
アルバムとしてはCDはゴールデンベストがだいたい代表曲をカバーしていて良いと思いますが、平均的にみな良い曲なのでタイトルの花々の過失なんかもお勧めです。

こちら友川カズキのホームページです。
http://kazukitomokawa.com/j/
ほんと、音楽の世界は深いのでいろんなアーティストを聴くのが良いと思いますよ。

          

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2012年03月11日

あれから一年

3.11の震災から今日で一年が経過します。
その時2時46分には私は会社の18階で会議に参加してたんですが、かなり大きく揺れが長いこと続いたのは覚えてます。ただ東京付近での被害はそのくらいで、電車が止まったせいでその日は家に帰れたのは深夜過ぎですが、それまでは会社にいて電気もネットも使えたので帰るまでずっと海外の仕事相手とメールで仕事を続けてました。
ただ私は実家が宮城で被災地域の真っ只中なので、連絡がしばらく取れない間は心配で気が気ではなかったんですが実家から無事で特になんでもないと数日後に連絡があったので安心しました。

家に戻ったのは夏のことです。家は仙台南の平野部ですがなんと津波の到達点は家の数百メートル先まで来ていました。家は4km以上海岸から離れていて、海の匂いもまったく感じられないようなところなのにです。家と海岸の間には高く盛土された高速道路があって、それで護られたかたちです。沿岸の防波堤は軽く越えられ、防風林の松林もすべてなぎ倒されて、高速道路が最後の防波堤になるとは誰一人想像できなかったでしょう。それでも勢い余った水が海岸から4kmまで来ました。高速道路がなければさらに被害は拡大したかもしれません。

こちらはうちから数百メートル歩いたところのたんぼの光景で、ここまで海水が来たところです。すでに稲穂は青々としていました。左側は見慣れた田園風景ですが、右は荒れ地になっています。海水が入った田んぼは稲作ができないからです。ここから海岸まではずっとこうした荒れ地になっています。

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少し歩くと地震の日から電車が来ていない線路に雑草が生い茂っていました。この区間はまったく再開のめどはありません。

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それから親の運転で近くの沿岸部の状況を見に行きました。下の写真は行く途中に国道から見た海が見えていますが、本来ここから海は見えないはずなんです。海岸線は松林がずっとおおわれてそこまで家々が続いていたはずです。この国道も海水が超えているので、見える緑はすべて雑草です。

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実際の沿岸部は想像を超えたものでした。写真をあげるのは遠慮しておきます。
家は破壊されるか撤去されたかで土台だけになっています。電柱は倒れているか残ったものは傾いています。沿岸の松林はほぼなぎ倒されています。何度も来たはずのうちの親もまったくここがどこかわからないというほど様変わりしています。そして土台だけになった家々のあちこちには玄関があったところに花が添えられています。それが延々とどこまでも続いています。

うちの親も震災後に様子を見に回った時は運転しながら涙が止まらなかったと言っていました。これは実際にそこに行ってみないとわからない感情です。正直言って見る前までは事故見物的なうしろめたさがありましたが、見た後はこれはみなが見に来るべきではないかと考え直しました。
そうしていろいろと考えて受け止めることが、この自然が豊かだが同時に恐ろしい国に住む我々の務めではないでしょうか。
失われたいくたの命のご冥福をお祈りします。
posted by ささき at 13:28 | TrackBack(0) | ○ 日記・雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月10日

オーディオベーシック62号に執筆しました

昨日発売のオーディオベーシック62号に執筆しました。
まず今月号の特集の「ヘッドフォンアンプ徹底活用」(P59から)でDAC内蔵ヘッドフォンアンプ・プリアンプ機能を持ったものをレビューしています。私が担当したのはバーソンHA160D、NuForce DAC9、Zodiac SilverとGold、April Music DP-1です。スピーカーはうちのではなく、オーディオベーシック標準システムのB&W802、アキュフエーズのプリとパワーというリファレンスシステムです。ヘッドフォンはHD800で聴き、それにパワードスピーカーのFocal CMS50を加えるという徹底解説です。
Zodiacシリーズはもはや鉄板になってきましたが、DACだけで見るとNuforceのDAC9が音楽性、解像力、価格という点でなかなか好印象でした。ヘッドフォンアンプとしてみるとバーソンが好印象です。DP-1はDAC・ヘッドフォンアンプとも高次元でバランスが取れていました。他の機種は角田さんがまたいろいろと担当していますので、詳しいところはぜひ本誌を読んでください。
また今年動きを見せている10万円以下クラスの高性能ヘッドフォン(SRH1840とかSignature Proなど)に焦点を合わせて試聴記事を書いています。HD700は残念ながらデモ機は間に合いませんでした。これはDAC Magic PlusとApril DP-1という普及版とハイクラスの二機種でひとつのヘッドフォンを比較するというものです。こちらもぜひご覧ください。
それとコラムとして最近なにかと話題のアップルの音楽の取り組みということで書きました(P228)。これはぎりぎりMastered for iTunesまで入れ込みました。

そのほかではなんと今回は角田さんのSHANTIインタビューがあります。これ私もやりたかった〜。
また以前お伝えしたフォーカルのヘッドフォンのSpirit Oneの記事も出ています。これ私もちょっと見せてもらったんですがとても仕上がりがきれいです。
恒例のCD特別付録も「春のモーツァルト」ということで高音質録音で清廉な調べを楽しむと春が来たようなすがすがしさを感じます。




posted by ささき at 23:38 | TrackBack(0) | ○ ホームオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月05日

Altmann Tera-Player - 手のひらの上の192k再生・高音質DAP

Tera-PlayerはAltmann Micro Machinesというドイツのオーディオメーカーが開発した小型の高音質ポータブルプレーヤー(DAP)です。

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手のひらに入る小型軽量ですがその代わりディスプレイはありません。分かりやすく言うと「高級iPodシャッフル」みたいなものです。ではなぜ高級とつけたのかというとこんな感じです。

1. 192/24まで再生可能     (ただしDACの仕様は16bitです - 後述)
2. 小さいのにとても音質が良い  (CK4とかHM601ではなく、HM801とかC4と比肩できるくらい)
3. 小さいのにとても高価     (840ユーロ=約88,000円 2012/2月現在)

ここまでですでに興味を失った方と、少数のかえってとても興味がわいたという方に両極端に分かれると思います。このあとはこれで興味が出たという方にお送りします。
(うちのブログはだいたいそういう感じではありますが)

* Tera-Playerとは

一般にポータブルシステムの音質を高めるにはiPod+ポータブルアンプのような組み合わせを使いますが、これはかなりかさばります。2段ならともかくSoloなんかを使うと3段になってしまいますね。最近では高性能DACとアンプの一体型DAPとしてHM-801、Colorfly C4、iBasso DX100などがありますが、音質は素晴らしくてもやはりそれなりにみな大きいものです。AMP3なんかは小さくてよいんですが、音的にはいまひとつ物足りません。T51(sflo2)、CK4、以下同文ですね。
多少利便性は犠牲にしても、ほんとにポケットにはいってかつ、さきのHM801とかC4など高性能DAPに匹敵する音質のポータブルプレーヤーがほしかったという人もいるでしょう。わたしもそうです。
そして、それがこのTera-Playerです。

開発者はAltmann Micro MachinesのCharles Altmannさんで、発売されたのは昨年の12月くらいです。私が買ったのは三週間ほど前で、そのときはCharlesさんはTera-Playerは日本にはじめて送ると言ってました。ホームページはこちらです。
http://www.tera-player.com/

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再生できるファイル形式はWAVのみで、192kHz/24bitまで再生できます。音源はSDカードに入れます。
要になるDACチップは明記されていませんが、フィリップスのR2R DACをNOS(ノンオーバーサンプリング)使用しているということです。このR2Rというのはデルタシグマに対するマルチビットDACのことです(RというのはRegister)、またNOSについてはこちらのHM-601ページをご覧ください。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/160865129.html
チップはこの手の小型NOS DACでは一般的なTDA1543ではなく、最大で384kHzを受けられるフィリップスのDACチップと言うことです(1543は192kまで)。ただし先に触れたように24bit音源は再生できますが、DACのリゾリューションは24bitではなく16bitになります(ソフトで切り捨ててます)。マルチビットDACはビット幅が増えるとそのまま回路が複雑化しますので16bitというのは致し方ないことではあります。PCM1704は優れた24bitのマルチビットDACですが、1704はチップだけでなく電源やI/V変換など周辺から大変でこれをこんなコンパクトなパッケージでは作れません。
高性能DAPはたとえばHifiMan HM801ならPCM1704、Colorfly C4ならCS4398、iBasso DX100はES9018と据え置き並みのハイエンドDACチップを使う点がポイントではありますが、もともとポータブルの制約でそれらのDACチップのポテンシャルをフルに発揮できないなら、発揮できるDACチップを使用してフルに性能を引き出すと言うのがTera-Playerのポリシーのように思います。たとえばクロックなども手を抜かずにAudiophilleoなみの高精度(Period jitter: 5ps max、Phase jitter: 1ps max)です。
これはCharlesさんが他に普通のDACも制作していてジッターについても一家言あるという理由があると思います。(jitter.deというサイトも運営していてジッターに関する情報とジッターを提言する製品が書いてあります)

Tera-Playerは開発に4年かけたといいますがソフトウエアが一番大変だったそうです。
ここで病的なのは、Tera-PlayerはプロセッサにARM Cortex系を使用しているのですが、そのプログラムをすべてアセンブラで書いたそうです。普通はファームウエアでもCなどのわかりやすい言語(高級言語)を使うのですが、アセンブラは機械寄りというより機械語そのままで、たしかに効率よく細かい点まで書けるでしょうが組むのもそうとう大変なはずです。CharlesさんがARMに不明点を問い合わせをしたときにむこうからC言語で書いたらどうですか、と言われたそうです(笑)。
でもCharlesさんいわく、Cで書いていたらこんなサイズのパッケージでは192k対応のソフトウエアは書けないということです。実際にTeraでも176k超えの音源を再生すると曲によってはたまにプツプツと途切れノイズが出るので、この辺がぎりぎりなんでしょうね(44kや96kではそうしたノイズは出ません)。このあたりの実装が一番大変だったそうで、まあWAVしか再生できないというのも許してあげましょう。
もうひとつのソフトウエアでのポイントはSDカードのアクセスです。SDカードを読むさいにFATで読むのですが、その読み取りを最適化しないと不連続データを読む際に電源サージが発生してしまい、それがジッターに影響するとのこと。それにたいしてフラグメントの連続性を考えたカウンタかなにか使って最適化を行いサージの発生を最小限に抑えたら劇的にジッターが減ったとのこと。そうしないとSDカードは動くパーツが無いといってもジッターに与える影響がばかにできないとのことです。
こんな小さなパッケージですが、ソフトウエアの中になかなか濃い中身が詰まっているということですね。

Tera-Playerについての開発中の話やプロトタイプの中身はこちらのリンクで見られます。なおここで記述されているDACチップなどは製品版とは異なりますので念のため。
http://www.altmann.haan.de/tera_player/default.htm

* Tera Playerのデザインと使用感

実際に手に取ってみるとかなり小さく軽いということを実感します。ほぼiPodの半分ですね。完全に胸ポケットに入りますし、かなりがっしりしているので多少では壊れないでしょう。重さは80gです。

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書いたようにディスプレイはありません。コントロールは再生・停止、ボリュームアップ、ボリュームダウン、次の曲、前の曲の5つのボタンを組み合わせて操作します。中央ボタンはPlay/PauseではなくPlay/Stop (止めると曲の先頭に戻る)です。
キーの組み合わせで次のアルバム、次のアーティスト、ランダムプレイ(シャッフル)再生も可能です。アーティストとアルバムはメタデータではなく階層で判断します。そのため基本的にはiTunesの階層にならってSDカードに格納するのが良いでしょう。ただし一階層だけや階層なしで入れても再生はできます。音源データはSDHCカードを使用します。64GB以上のSDXCは対応できないと考えたほうが良いようです。

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このSDHCカードを入れることで電源オン、外すことで電源オフになります。上の写真では左がオンの状態です。SDカードはスプリングがないので、指で引き出します。

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ヘッドフォン端子は二つあって、それぞれゲインが異なります。内側のほうがLowで外側がHighです。ただLowとHighというよりはLowとMidで、HD800だとハイゲイン側にさして普通に音量が取れるかどうかです。良録音でレベル低めに入ってるのではHD800では音量が取れないでしょう。Edition8などは問題ありません。
USB端子は充電のみでUSB DAC機能はついていません。LEDは青(外側)がアクセスで赤(内側)が充電ステータスです。

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上の写真は背面で説明文が書かれています。Made in Germanyが新鮮ですね。
電池は15時間ほど持つということなので他の高性能プレーヤーよりはけっこう持ちます。
充電も5V USBから取れるので、いつもiPhone用に予備バッテリーを持っていればUSBミニ端子があれば充電できますので便利です。充電時間は80%で2時間とされています。

買ってから二週間ほど毎日使ってみた感想としては動作はかなり安定していますが、たまに読めないWAVがあると止まります(後述)。そのときは電源オフオンでリスタートできます。ただし電源オンですぐに一曲目を読みに行くので、一曲目が読めないWAVだとスタックしてしまうので注意が必要です。
キー操作に慣れが必要なときもありますが、ランダム再生主体ならそれほど問題はありません。私は基本的にはランダム再生で楽しんで、週末買ったCDを今日聴きたいという時はフォルダ名の頭に0を付加して先頭にフォルダが来るようにしています。

* Tera Playerの音質

主にK3003とユニバーサル334、Edition8で聴きました。K3003とTera-Playerの組み合わせは普通の人から見たらいいとこ数万円の組み合わせだと思うでしょうね。実際は20万以上するオーディオシステムが手のひらに乗ってるんですが(笑)
おそらくTeraの価値はほんとにどれだけ音が良いかという点でしょう。そこで少し詳しく書いてみます。

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- マクロ的にみた音の感じは
ぱっと聴いて思い浮かんだベタなキャッチは「小さな巨人」。小さくても音はビッグというフレーズが陳腐ですがぴったりときます。
小さいから音がこじんまりとしているわけではありません。音場に広がりがあり、深みがあります。その三次元的な立体感がちょっと驚かされます。小さいからがちゃがちゃした粗い音ではありません。とても微細な音まで描き出す高い解像力と、厚みのある本格的な音の再現力を持っています。

音の性格的にはNOS DAC、マルチビットDACということからだいたい想像つくと思いますが、「音楽的で自然な」再現を重視した設計です。実際にわずかな暖かみがあり滑らかで自然な音の再現力があるいわゆるオーディオっぽい音です。薄い音ではなく音にしっかりとした密度感があります。また音再現に滑らかさを感じます。

- ミクロ的にみた音の感じは
背景がかなり黒く、楽器の音が明瞭に浮き上がり、環境音や楽器が擦れる音も良く拾います。音に甘さがなく鮮明に描き出されるという他の高性能DAC一体型のDAPにみられる特徴も感じさせます。解像力はとても高いので高性能のBAイヤフォンだとかなり情報量が多いという印象を受けます。K3003なんかで聴いていると、ものすごく細かい録音中の環境音まで拾っています。音の立体感にも優れていてここはユニバーサル334なんかでは音楽表現に圧倒されます。
また楽器の音色がとても正確でリアルな感じです。音が消えいるまでのニュアンスも見事で、ここは小さいDAPとは思えないですね。音の制動がすごくタイトでビシッ、バシッとドラムやベースのインパクトが決まります。帯域特性はかなりフラットで低域も強調感はありません。

- イヤフォン・ヘッドフォンとの組み合わせで言うと
さきに書いたようにK3003とかユニバーサル334がとてもよく合うというか、この二者の違いも鮮明に描き出します。K3003だとやや小ぶりな音再現だけど細部をよく拾い音場の見通しが良くクリアで、室内楽的なミクロレベルの細かさとダイナミックさがあります。ユニバーサル334だとイヤフォンながらスケール感も豊かにマクロ的な音楽の構成を精密に描き出すという感じでしょうか。立体感も堪能でき、リアルに音楽を聴いているという実感がわくことでしょう。
背景が黒いので高感度カスタムにも合います。滑らかさも生きてきて、適度な低域の量感もありJH16+TWagがいい感じです。
Edition8で聴いてもEdition8の性能に聴きおとりしないですね。むしろReference Recordings HRXのブリテンの青少年のための管弦楽入門(192/24)なんかはやはりEdition8で聴くとオーケストラの迫力が堪能できます。ただしHRXのデータのWAVそのままだと再生できないので、いったんWAV-WAVの空変換を実施しました。これはWAVによってはタグの有効化のためにややフォーマットを変更しているケースがあるためということです。

- 他のDAPとの比較で言うと
おおまかにレベル的に言うとHM601とかCK4ではなく、HM801とかC4、HP-P1と比肩できるようなものです。
CK4と比べるとCK4は音の芯が甘い感があり、立体感がなく平面的で、全体に密度感が希薄な感じです。TeraはCK4に比べると音の微妙なニュアンスを滑らかで諧調豊かに伝える感じです。
HM801ではTeraとHM801(IEM用カード)を持ち出して適当に変えながら一日聴き比べましたが、一つの音の正確さ、贅肉がなく引き締まった感じ、切れ味ではむしろTeraが上かもしれません。TeraはHM801よりも高いほうですっきり伸びる感じもあります。ドラムのバシっとしたインパクトの制動や切れ味はTeraはかなり優れていて、TeraのDAC部分は極めて優秀ですね。ただ全体的な躍動感や立体感・豊かさなど音楽表現ではやはりHM801が一枚上手に思います。アナログ部はどうしても物量の差は出るのでこのサイズでもアンプ部分の制約として効いているのかもしれません。ただTeraとHM801を並べて比べないでTeraだけ聴いているとこの辺の違いは劣っているという風には感じず、個性の違いと感じるくらいかもしれません。
DAC一体型のDAPとして考えると、DAC部分はややTeraが上でアンプ部分はHM801が上ということでしょうか。素のDACチップ性能的にはHM801のPCM1704が上であるはずですが、やはりDACチップの性能を引き出すCharlesさんの職人芸が効いているというところなのでしょう。
Dirigent USBケーブルで補強したHP-P1だとHP-P1が空間の広がりで優位、とくにユニバーサル334との組み合わせではそう思います。一方で音のシャープさではTeraが同等以上かもしれません。ただ両者についてはどちらかというとアンプ自体の個性の差・好みの差になるでしょう。しょうゆ系(HP-P1)、ウスターソース(Tera)、中農ソース(HM801)という感じでしょうか。関西の人、分かりにくくてすいません。
Colorfly C4だと音の輪郭の明確さ・音が引き締まっていて贅肉のない点、ぴしっとした音の制動感はかなり近い感じです。ややC4がシャープでクリアにも思えますが、Teraの方が自然な音鳴りのようにも思えます。またEdition8なんかで聞いた時の細かい音のニュアンスはややC4が上かもしれません。一方で音の立体感ではTeraの方がやや上に思います。これらはどちらかというと性能というより個性の差のようにも思えます。

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音質のレベルについて価格を考えると期待したところではありますが、サイズを考えると上記の高性能DAPとEdition8を使ってガチで比較してしまえるというのがすごいところではあります。
HM801、HP-P1、C4のよいところをそれぞれ9掛くらいで持っていると言っておきましょうか、ただ9掛けしたのはもしかするとこのサイズで同じはずがないという思い込みのなせることかもしれません。


* まとめ

上に書いたように音質の絶対的なレベルも高いですが、Teraの個性もあるので小さいからこれを選ぶんではなく音の好みでこれを選ぶって言うのもあるかもしれません。そのくらい音は良いです。ただしあの曲が聴きたいという時にぱっと選曲できないもどかしさはありますので念のため。
どちらかというとHM801とかC4、HP-P1を持ってる人がセカンドとして、音に妥協したくないけど気軽にランダム再生主体で聴くので小さいなら操作性は目をつぶっていいと言う人に向いてると言えます。そのクラスを持ってるひとならTeraの良さもわかるでしょう。

カメラの世界には一眼レフを使いこなす人が画質に妥協したくないけど小さいのを持ちたいという時に使うサブカメラというジャンルがあります。一般に高級コンパクトカメラといわれたリコー GR1、ミノルタ TC1とかコンタックス T2などですね。いまだとシグマ DP2があげられるかもしれません。これらは使い方によってはへたすると一眼レフを上回るような画質を持っています。そういう意味ではTeraも高級コンパクトDAP、サブDAPというジャンルというとピンと来そうです(私だけ?)

今年はDAC一体型の高性能DAPがまたちょっと焦点になるかもしれません。
posted by ささき at 23:44 | TrackBack(0) | __→ ハイエンドDAP | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月04日

dCS方式DSDネイティブのXMOSコードが標準規格対応に

以前dCS方式のDSDネイティブ方式をサポートしたXMOSコードの記事を書きましたが、それが今度はやはり少し前に書いたdCS/Playback共同の"USB Link for DSD Audio via PCM Frames"Version 1.0の標準規格に対応したとのことです。
ちなみにこのプロジェクトはこのXMOSフォーラムの2月の月間最優秀賞に選ばれています。

https://www.xcore.com/projects/dsd-audio-over-usb

知っている限りではこのXMOSコードがこの新DSDネイティブ標準規格に初めて適合したもののように思います。
前はPCMとDSDの切り替えがうまくできないということでしたが、今度はうまく切り替えができたようです。これは先の標準規格1.0に詳細に記述されているゆえかもしれません。32個連続でDSDマーカーが検出されたときにPCMからDSDにスイッチするというのも上記標準規格に沿っていますね。
ただ再生ソフトウエアの方の対応がやはり必要ですが、この辺は足並みがそろう必要があります。

下記のFoobar 2000でMytekにDSDネイティブ再生を図るプラグインなんかもdCS方式対応なのですが、このあたりもどうなっていくのでしょうね。
http://www.computeraudiophile.com/content/Foobar-SACD-Plugin-Mytek-Stereo-192-DSD-DAC

posted by ささき at 22:15 | TrackBack(0) | __→ DSD関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする