Music TO GO!

2011年09月30日

ヘッドフォン祭の歴史を振り返る

ヘッドフォン祭に今回私は出展しませんが、この機にいままでのヘッドフォン祭の歴史をうちのブログから振り返ってみました。はじめは個人的に懐かしく見ていたんですが、まとめてみればヘッドフォンオーディオの歴史を知ることにもなるかということでここに記事にしてみました。ものを書くのにブログ形式が良いか悪いかと言う問題はありますが、こういうときに時間的経過がわかる日記的な記録として残せると言うのはブログの良い点だと思います。
ちなみに表記がヘッドホン -> ヘッドフォンに変わっていますが、ポリシーがあるというよりは途中で雑誌原稿を書くことが多くなったので変換辞書をヘッドフォンの方に統一したというだけです(特に予測変換のとき)。

第1回 2006/11/11
ヘッドフォンによる初のオーディオショウとなりますが、当時はハイエンドヘッドフォンショウと言っていました。はじめはブロードウェイの会議室を借りてこじんまりとやっていました。
ヘッドフォンオーディオと言うものを世に広めようということで、ヘッドフォンオーディオの可能性を探ると言う目的だったと覚えています。まず最高の機材で最高のヘッドフォンで聴いてみようと言うことでスタートしました。このときは定員制(30名)でした。
私は当時HeadFiで流行始めていたバランス駆動と言う方式を日本でも広めようとHeadampのGS-Xを持ってきました。ここからずっと出展しています。

開催編
http://vaiopocket.seesaa.net/article/27267208.html

第2回 2007/2/24
ここでは前回の経験を生かして会場で説明するレジュメを用意しました。(プレスキットにいまでもアップされています)
GSXのほかにAKG K1000とSignature30というこれもHeadFiでの人気の組み合わせを選んでいます。GSXはemmLabsのCDトランスポート(CDSD)とDAC(DCC2)を使うという豪華版です。
アンプタワーもこのころからですね。

機材発送編
http://vaiopocket.seesaa.net/article/34060292.html
試聴曲選定編
http://vaiopocket.seesaa.net/article/34433460.html
開催編
http://vaiopocket.seesaa.net/article/34591076.html
総括編(プレスキット付き)
http://vaiopocket.seesaa.net/article/34857720.html
ここでは下記のように書いています。
たとえばいまオーディオ雑誌を見るとどこでもヘッドホンは「アクセサリー」の項にCDクリーナーやカーボンマットといっしょくたにされています。
そうした中で遠く夢に見るのは、アンプやスピーカーと同じようにヘッドホンというカテゴリーを独立したものにすること、ヘッドホンオーディオというものをオーディオの世界で成熟した分野として認知されるようになることですね。」

いまはこの辺が実現されつつあります。遠く夢見ていたのがもうそこです。

第3回 2007/11/10
この頃になるとなんだか面白いことをやっている人たちがいると言うことで共同通信さんにインタビューを受けました。評論家の角田さんにはこのときからお世話になっています。
機材はGS-XにCD3000バランスです。このCD3000バランスはBlack Dragonでやりましたが、人気が高かったですね。

試聴曲選定編
http://vaiopocket.seesaa.net/article/65351035.html
開催編
http://vaiopocket.seesaa.net/article/65755817.html
オーディオベーシックのインタビュー編
http://vaiopocket.seesaa.net/article/71689478.html
ここでヘッドフォンの世界と一般のオーディオ世界が交わり始めたという感じです。

第4回 2008/4/19
ここから中野サンプラザになりヘッドフォン祭となります。このときから入場フリーとなります。このときは一部屋だけだったと思います。それと同時にハイエンドだけではなく、広くヘッドフォン一般を扱うようになり、代理店さんだけではなくメーカーの参加も少し出てきました。
私もIconとEntry Siとか持ち出しました。HP-1000バランスもありますね。
案内編
http://vaiopocket.seesaa.net/article/87745987.html
開催編
http://vaiopocket.seesaa.net/article/93951838.html
菅野沖彦氏の訪問などもありましたが、この後にステレオサウンドの巻頭言にこのときのことを「ヘッドフォンでも真面目に取り組んでいる人たちがいる」という風に取り上げてもらったりしました。

第5回 2008/11/16
この辺からヘッドフォン祭が世間の注目をあびてきます。
私もALOやHead-Directとこのころからコラボして展示を始めています。iTransportニュートロンスター改造品とかAudioEngineとかいろいろな方面にも手を出しています。

準備編
http://vaiopocket.seesaa.net/article/107752992.html
案内編
http://vaiopocket.seesaa.net/article/109400016.html
開催編
http://vaiopocket.seesaa.net/article/109768998.html
Edition8のワールドプレミア発表会など発表会を取り入れたのもこの時です。Edition8発表会の模様は下記フジヤさんブログでどうぞ。
http://avic.livedoor.biz/archives/51126133.html

第6回 2009/5/9
ここではヘッドフォン祭の図式も定着して、HD800の発表会がありました。
私はEdition7のバランス版とゼンハイザーの静電型HE60(Baby Orpheus)なんかを持っていきました。SR71はほんとに毎回聞かせてほしいと言われたので言わなくても毎回持っていきました。ポータブル系の人気もかなり盛り上がっていきました。
フォステクスさんの初参加と「みみもと」を配ったのもポイントでしたね。

案内編
http://vaiopocket.seesaa.net/article/117019835.html
見どころ編
http://vaiopocket.seesaa.net/article/118252621.html
前日編
http://vaiopocket.seesaa.net/article/118941797.html
開催編
http://vaiopocket.seesaa.net/article/118987641.html

ヘッドフォンラボ 2009/8/29
このころからヘッドフォン祭が大きくなりすぎて小さいのを別開催するようになります。この時はまたひさびさにハイエンドヘッドフォンショウを復活させようというコンセプトでした。

案内編
http://vaiopocket.seesaa.net/article/125777958.html
前日編
http://vaiopocket.seesaa.net/article/126696159.html
開催編
http://vaiopocket.seesaa.net/article/126781062.html

第7回 2009/10/31
このころからJabenと一緒にやるようになり、Rudistorなんかも来ました。国際色が豊かになってきた頃です。ベイヤーT1の発表会がありました。
このころはHE5とかLCD1とか平面型にもこだわり始めていました。HM801などポータブルにも変化が出てきたときです。

出展機材編
http://vaiopocket.seesaa.net/article/131254773.html
開催編
http://vaiopocket.seesaa.net/article/131691937.html

PCオーディオ展 2010/3/6
このころからPCオーディオもまじめに取り組みだします。第二の転機ですね。このころから再生ソフトウエアにもかなり取り組んでいます。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/142925498.html

第8回 2010/5/8
とうとう中野サンプラザのキャパを超えてしまいました。ブロードウェイの会議室でやっていたときは「いつか中野サンプラザでできるといいね」なんて話していたんですが、あっという間にそれを超えてしまいました。
自分的にもMacとHD-7AとHeadroomの組み合わせなど、PCオーディオとヘッドフォンオーディオの融合に取り組んでいます。フォステクスのポータブルヘッドホンアンプのプロトタイプ展示なんかもありましたね。
Centranceなんかも一緒にやっています。

準備編
http://vaiopocket.seesaa.net/article/144345427.html
案内編
http://vaiopocket.seesaa.net/article/148216364.html
機材案内編
http://vaiopocket.seesaa.net/article/149024120.html
開催編
http://vaiopocket.seesaa.net/article/149259701.html

第9回 2010/10/30
ここから青山に移ります。会場が広くなるとともに、物販ができるようになりました(前はサンプラザの規制でできませんでした)イメージガールが花乃さんに変わったのもこの時です。
このときは場所移動したことと台風で大変でしたが、多くの方に集まってもらえました。
わたしは直前に発表会のあったedition10を持ってきました。カスタムに注目が集まりだしたのもこのころです。

案内編
http://vaiopocket.seesaa.net/article/165391292.html
注意事項編
http://vaiopocket.seesaa.net/article/166517412.html
前日編
http://vaiopocket.seesaa.net/article/167628606.html
開催編
http://vaiopocket.seesaa.net/article/167746162.html

第10回 2011/5/8
震災後の開催となりましたが、過去最多の3000人近くを集めました。一日でこの数字はオーディオショウとしてはかなり大きなものです。30人から始まったイベントがここまで来ました。
私はHE6バランスなどを持ってきました。

告知編
http://vaiopocket.seesaa.net/article/193751471.html
案内編
http://vaiopocket.seesaa.net/article/196495662.html
展示品編
http://vaiopocket.seesaa.net/article/199251808.html
開催編
http://vaiopocket.seesaa.net/article/199951950.html

DAC試聴会 2011/8/28
こちらは説明も不要でしょうがひと月前に開催されたDAC試聴会です。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/222703490.html

第11回 2011/10/29 
さて、今回はどうなるでしょうか。今回はフォステクスのフラッグシップTH-900と話題のDAC/アンプA8の発表会が予定されています。
今回は前回来られなかった海外からの方たちにたくさん来てもらえる予定です。

案内編
http://vaiopocket.seesaa.net/article/227628567.html

日本のヘッドフォンオーディオの歴史とともに歩んできたと言う感じですが、この間では日本のヘッドフォン事情も大きく変わりました。またPCオーディオとの融合もありました。訪れる方の年齢構成も若く、まさに新しい時代のオーディオショウと言えるでしょうね。
はじめは私の目的は海外の最新技術を日本に持ってこようと言うものだったんですが、いまでは日本のものを海外に広めねばと言う方向に変わってきています。
この間わずか5年ですから、今後のヘッドフォン祭、さてどう進化していくのでしょうか。
posted by ささき at 00:58 | TrackBack(0) | ○ オーディオショウ・試聴会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月29日

ARMベースのUSBコントローラー

こちらAuralicのARK MX+というUSB DACですがAKMチップによる192/32対応DACです。
興味深いのは192対応のUSBコントローラーをマルチコアARMを使った独自設計で実装し、二秒ほどのバッファを用いてPLLで行う制御をしています。アシンクロナスではないですね。ちょっと注目です。

http://www.auralic.com/en/
posted by ささき at 22:08 | TrackBack(0) | __→ USB DAC全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月26日

ヘッドフォン祭2011秋の情報公開

秋のオーディオショウの恒例となったヘッドフォン祭が今年の秋もやってきます。
フジヤさんのヘッドフォン祭の情報がこちらに公開されました。
http://avic.livedoor.biz/lite/archives/51624854.html

hpfes_250.jpg

このバナーを見てもわかるように今回の目玉のひとつはフォステクスさんの漆フォンTH900の発表と、HP-A8という新型DAC内蔵ヘッドフォンアンプの発表です。これは液晶画面を見てみると面白いですね。

th_900j_m.jpg      hp_a8_main_m.jpg

こちらにフォステクスさんのページにもニュースが更新されています。
http://www.fostex.jp/news/194

また今回はヤマハとパイオニアが新規出展となります。ますます広がりますね。

ちなみに私のブースですが、今回は都合により出展をいたしません。
思えばヘッドフォン祭の前身であるハイエンドヘッドフォンショウでバランス駆動と言う方式を広めたいということでGS-Xを出して以来ずっと皆勤賞であったわけですが、今回はなかなか他に忙しいので自分のブースを持つということができなそうです。
まあ自分でもこれでゆっくりショウを見る間ができるかなあと思います。

hpfes_583.jpg

ヘッドフォン祭は日本のオーディオショウの中でも日本のものを世界に広めることができる可能性がある機会だと思います。ネット文化に立脚してますからね。よくネットでの交流を似非・ウソっていう意味でバーチャルっていう人がいますが、もともとvirtualは「実質的に(同じ)」というニュアンスで使う単語です。virtually the sameなんて言いますね。ネットでつながってれば国境は「実質的に」ないのと同じです。
ヘッドフォン祭というものを軸としてこの世界をさらに多様に広げていきたいものですね。
posted by ささき at 12:10 | TrackBack(0) | ○ オーディオショウ・試聴会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

dCSによるDSD出力の標準化提唱

CAのポストによるとdCSがMacOSXのUSB標準ドライバーでDSDネイティブ再生を可能にしたということです。(Playback Designはカスタムドライバー)
http://www.computeraudiophile.com/content/dCS-Announces-Pure-DSD-Playback-USB

プレーヤーソフトはPure Music Playerのようです。
そしてさらに興味深いのはdCSはこの"DSD over USB"方式を業界標準とするように文書公開してるという点です。こちらのCA主催ChrisさんのポストからPDFがダウンロードできます。
http://www.computeraudiophile.com/content/dCS-Announces-Pure-DSD-Playback-USB#comment-101160
3ページ目のところが技術的な提案内容になっています。私も確かではないんですが、USBオーディオクラス2のパケットに内包するようにDSDストリームをパッケージングするということのように思えます。だから標準ドライバーでOKということのようです。24bitのうち8bitはDSDであることを示し、残りの16bitでDSDデータをパックします。この先頭の0xAAは普通のオーディオ出力ではあり得ない値なので、これをDSD出力の識別に使えると言うことです。また仮にDSD対応でないDACで出力したとしても-48dBでありスピーカーを壊すようなノイズにはならないそうです。また聞こえないわけではないので、ユーザーが変だぞと気がつけるということです。
これは以前ライオンでインテジャーが使えなかったらDSDネイティブはどうする、というところで書いた「手がないわけではない」と書いた解法のような気がします。この辺はもうちょっと見てかないと分かりませんが。。
この方式はAmarraのSonic StudioとPure MusicのChDと共同で開発したとありますね。これらでは使えるようになるでしょう。もちろんDAC側も対応が必要なので、ここで提唱してるというわけです。
これを適用する初のDACはdebussyでいまオランダのショウでデモしてるようです。

もしやDSDネイティブ出力戦国時代?
でもdCSとかPlaybackというとちょっとお高いので、まあできれば値ごろ感のあるDACでDSDネイティブできてくるといいんですが。。

*9/28 追記
dCSの人(?)が2.8M DSDと176/16の転送レートが同じであり、0xAA(16進数でAA)を8bit付加して176/24にパックして送る利点をポストしてます。

http://www.computeraudiophile.com/content/dCS-Announces-Pure-DSD-Playback-USB#comment-101393

*9/29 追記
HQ Playerの開発者が次のバージョンでdCS方式をサポートしたいむねを書いてます。
http://www.computeraudiophile.com/content/dCS-Announces-Pure-DSD-Playback-USB#comment-101675
posted by ささき at 09:08 | TrackBack(0) | __→ DSD関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月25日

彼岸花の季節

彼岸花はとても規則正しく毎年同じ時期に咲きます。
今日はいつもの高座渋谷の常泉寺に行ってきました。ここは白い彼岸花で有名ですが、カッパの像をはじめ境内もなかなか撮りどころ満載です。
そこで今回はフルサイズのEOS-1Ds MkIIとともに、小型システムカメラであるPENTAX Qをサブカメラとして持っていきました。

IMG_2924.jpg
iPhone 4

こちらはEOS-1Ds MkIIとEF135 softによるソフトフォーカスです。フルサイズならではの滑らかなトーンとハイライトに工夫して透き通るような透明感を表現しています。
最終的にはJPEGなので8bitになるのですが、画像処理では計算精度を保って桁落ちを防ぐために16bitで作業をします。この辺はオーディオでの64bit処理なんかにも似ていますね。

_V7N5300a.jpg       _V7N5267.jpg
EOS-1Ds MkII, EF135 soft

以下はPENTAX Qと02標準ズームによるスナップです。いちいちメインの大型一眼レフのレンズを交換しなくても思った瞬間をすぐに切り取れます。

IMGP0455c.jpg     IMGP0460.jpg     IMGP0426.jpg
PENTAX Q, 02 Standard Zoom

下の写真のように境内にはめずらしい水琴もあります。これは地中にある壺に水滴の落ちる音がかすかに聴こえるという趣のある「楽器」です。河童が耳を澄ましているのも良い風情ですね。

IMGP0431.jpg
PENTAX Q, 02 Standard Zoom

季節もようやく夏から秋へと向かう節目を感じさせます。
posted by ささき at 23:55 | TrackBack(0) | ○ 日記・雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月24日

Audirvanaの有料版、Audirvana Plus登場

Mac用のプレーヤーソフトとして人気のAudirvanaですが、その改良版にして有料版のAudirvana Plusが正式にリリースされました。サイトがリニューアルされてこのアドレスからご覧ください。
http://audirvana.com/
世界的にはこの週末のイギリスのUK National Audio ShowにAMRブースで出展されるのがデビューとなります(本日までは情報非公開でした)。私はベータテスターの一人として参加させてもらいましたので、すでに使用していますが、新機能の音質向上などでますます魅力的になったと思います。価格は$49です。
DSD再生も可能で、PCM変換だけではなくPlayback DesignのMPS5などでのネイティブ再生も可能です。またアップサンプリングはFideliaのようにiZotopeのライセンスを受けた高精度なものが搭載され、高精度なディザボリュームなども付加されました。私は最適化機能などがお勧めです。
ちなみに従来のものはAudirvana Freeと呼ばれて引き続き利用可能です。
posted by ささき at 21:12 | TrackBack(0) | __→ PCオーディオ・ソフト編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ライオンでのインテジャーモード(続)

ライオンでインテジャーモードがないって言うのをアップルにバグレポート出したら、冷たく直す予定がないって回答が来たと言うポストがCAに載ってました。
http://www.computeraudiophile.com/content/Integer-Mode-Support-Lion-OS
この問題は短期解決はほぼ無理のようです。
ただ問題としては認識しているのでオフラインで将来的になんらかの案を考えるってところが期待はできます。
posted by ささき at 12:32 | TrackBack(0) | __→ PCオーディオ・ソフト編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月22日

AKG K3003 ハイエンドイヤフォンの時代

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AKGが1000ユーロというハイエンドのイヤフォンを開発したと言うことでしばらく前から話題となっていましたが、そのAKG K3003がIFAでベールを脱ぎ、間おかずに国内でも代理店のハーマンから発売されました。私は雑誌記事のために試聴機をしばらく借りていたんですが、その音のよさに自分でも欲しくなってしまいフジヤさんに予約して入手しました。価格的には国内価格はかなり高価になるかと思われたんですが、妥当な値段ですね。なおハーマン経由ではリモコンなしのモデルを扱い、アップルもリモコンありのモデルを扱うと言うことです。その兼ね合いも合っての価格決定かもしれません。

K3003の特徴は3Wayのトリプルドライバーにバランスド・アーマチュア(BA)とダイナミック型のハイブリッド構成を取っているという点です。3Wayのトリプルドライバーはいまや珍しくありませんが、BAとダイナミックのハイブリッドはユニークです。BAがその特性を生かして中高域を担当し、ダイナミックタイプはいわばウーファーとなり低域を担当します。
またスペックを見ると驚くのは高域が30kHzまで伸びると言うことです。通常このタイプでは20kHzまでとしても高い性能であり、16kHzでもおかしくありません。実際は30kHzで何dB損失かと言うことを比較しなければならないので、単純には比べられませんがかなり特徴的な点です。これは倍音再生などにも利いてくるでしょう。

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実際その性能レベルは驚くほど高く、JH13とかUE18のようなハイエンドクラスのカスタムイヤフォンにTWagとかPiccolinoのような高性能ケーブルを常用していても驚くほどです。これらのカスタムイヤフォンでは総じてBAによる細部表現は良いが、能率が高すぎて音が膨らみ締りのない音になりがちです。JH16やUE18は顕著ですが、そうした傾向が少ないJH13でも緩みによる甘さはあるということをK3003は気づかせてくれます。
K3003はそうした贅肉がなく、あくまでソリッドで淀みないシャープさを堪能できます。それが本来的な楽器の美しさを再現しているように感じられます。明瞭さと言う点ではEty ER4を始めて聴いたときのような驚きがあるように思えますね。
スピードが早く立ち上がりとたち下がりが素早く正確で、アコースティック楽器の音は端正で美しく響きます。

もうひとつの特徴はかなりワイドレンジであると言う点です。低いほうは量感も低域の深さもかなりのもので、パイプオルガンの低音によるローカットのあるなしのテストトラックで聴いてみるとかなりローカットがはっきりわかるので低いほうにも相当深く沈んでいると感じられます。また高いほうはさらに印象的で、高域のベンチマークになるベルの音なんかは今まで聴いたことがないくらいのカチッとした正確な金属の硬質感を感じられ、しっかりとした強さでベルの存在感を主張しています。ソプラノもどこまでも突き抜けて行くかのように気持ちよく高く伸びていきますね。
また特筆すべきなのは立体感や楽器の重なりの明瞭さで、HP-P1やHM801などの良いアンプを使うと三次元感覚はちょっと驚きます。アコースティック楽器だけではなく、音響系(エレクトロニカ)アーティストの複雑で精巧な電子音の構築はポータブルではちょっと聴いたことがないくらいの音の重なりを楽しめます。

いずれにせよ、今までのようにカスタムがユニバーサルより上である、とはいえなくなったのは事実です。SE535もWestone4もやはりJH13とかUE18と比べると、というのはありましたが、(まあ価格も比較になりませんが)K3003には正直舌を巻くと言うかユニバーサルでここまでできるとは思いませんでした。それだけでもエポックメーキングなイヤフォンと言えます。実際にカスタムではなくユニバーサルということを逆に利用して高い剛性のステンレスシャーシを使うことで音の純度を高められたということはあるかもしれません。

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FOSTEX HP-P1などの優れたDACを持ったヘッドフォンアンプで音世界の緻密さを味わって欲しいと思いますが、iPhone直とFLAC Playerで聴いて欲しいとも思います。iPhoneでこれだけの音が出せたのかと驚くことでしょう。FOSTEX HP-P1ではぜひDirgentのUSBケーブルなど良いUSBケーブルを使ってください。ホームアンプで高性能ヘッドフォンで楽しむような立体感や質感が楽しめることでしょう。

ケースも高級感あるとともによくできていて、あまり添付のケースは使わない私でもこれは常用しています。チップがいま一つにも思えますが、これでこの音が出ると言うところにも逆に驚きますね。意外とダイナミック用のいろいろなチップがはまるので少し工夫してみたいところです。また音響フィルターを交換してHighブーストとかBassブーストもできるのですが、標準のリファレンスでの完成度に比べるとちょっと必要性は薄いように思えます。ただ組み合わせるアンプによってはフィルターを換えてみるのも面白いでしょう。

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K3003はBAとダイナミックのハイブリッドと言う点で変わってるようにも思えますけど、ふとAKGにはK340があったのを思い出しました。
これは静電型とダイナミックのハイブリッドで、静電型ドライバーが高域を担当してダイナミック型ドライバーが低域を担当します。K340は静電型と言ってもSTAXと違ってエレクトレットタイプです。K340はK240という機種をベースにした発展型ですが、K240はスピーカーで言うところのパッシブラジエーターをヘッドフォンに取り入れた独特のデザインでした。AKGってK1000もそうだけどけっこうユニークな製品を作るメーカーです。K3003がハイブリッドというのも不思議はないかもしれません。K340については以前書きましたのでこのリンクをご覧ください。
http://vaiopocket.seesaa.net/category/1059886-1.html

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さすがにK240についてはついに買いませんでしたが、この頃はGRADO HP-1000(HP-2)なんかも研究していました。思うとK3003の音の印象ってHP-1000にもある面で似てるかも知れません。精緻で正確、そして美しいサウンド、美しいハウジングです。Joe Gradoがその理想を追うために開発したのがHP-1000シリーズです。これは商業的には失敗しましたが、その音をいまでも求める人が絶えません。私もその一人だったわけですが、思えばうちのサイトもこの頃の方がマニアックだったかもしれません。
しかし今ではこんなマニアックなK340やHP-1000をネットをあさって発掘してこなくても、HD800やEdition8など量産品で中野のお店に行けば十分良いものを買える時代です。K240にしてもK340にしても当時のドライバーの再現レンジの限界をさまざまな工夫で突破しようとしていたわけですが、いまでは同じようなことをより強力なマグネットや進化したドライバーが可能にしてしまいます。
それを考えると今と言うのはヘッドフォンやイヤフォンの良い時代なのかもしれません。
posted by ささき at 23:47 | TrackBack(0) | __→ AKG K3003 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月21日

PCオーディオ専門サイト、AudioStream

Computer Audio(PCオーディオ)に特化したAudioStreamというウエブサイトが10月上旬に立ち上がるということで、これはStreophileの姉妹サイトになるようです。国内でもオーディオ雑誌のPCオーディオ専門誌がいくつか出てますが、そのStereophile版でネット運営ということでしょうか。下記はCA記事によるリリースです。
http://www.computeraudiophile.com/content/AudioStream
理念が「目的地を見失わずにComputer Audioの旅をガイドする」と言うことで、機材レビューの他に多彩な記事が期待できそうですね。
posted by ささき at 09:02 | TrackBack(0) | ○ PCオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月12日

オーディオベーシック Vol 60に書きました

おなじみオーディオベーシック誌のVOl60秋号が発売されています。
今回はAKG K3003(P170)とオーディオデザインのヘッドフォンアンプDCHP-100(P168)のレビュー記事を書いてます。
K3003はかなり気に入ってしまったので試聴機を返すのが惜しいくらいでした。ということで国内販売を聞いてフジヤさんから買ってしまいました。K701などを考えると国内価格が怖かったんですが、実売価格といまの対ユーロレートを考えるとハーマンさんかなり良い価格設定をしてくれてます。
なお雑誌記事を書いているときはまだわからなかったんですが、国内では基本的にリモコンなしのモデルがハーマンさん扱いで、リモコンありがAppleストア扱いのようです。

オーディオデザインのヘッドフォンアンプもなかなか良かったです。青山のDAC試聴会ではそろえのDACと聴きましたがかなりハイレベルです。リリースを見てもかなり筋の通ったポリシーがあって設計しているようですが、こうしたこだわりがヘッドフォンアンプ製品にも出てくるのは良いことです。

本誌はそのほかにも著名評論家のこだわりを教えてくれる「私のオーディオ極意」などが面白いですね。いつものCD付録も和太鼓アンサンブルとなかなか面白い趣向です。


posted by ささき at 22:45 | TrackBack(0) | ○ ホームオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月08日

ソウルノートの新作、CDも生かせるUSB DAC sd2.0B

ソウルノートはもとはマランツで主力製品の開発をしていた鈴木氏がみずからの音の理想を追求するために立ち上げたブランドです。そうした点で国産機の中でもユニークなメーカーで、根強いファン層を獲得しています。
もともとソウルノートは第一弾として単体DACを出したほど鈴木氏のもつDACへのこだわりというのがあったと思います。ソウルノート(魂の音)というブランド名にこめられたのは、一枚のCDを作るために演奏者が込めた想いをオーディオが損なってはいけないと言う考えがあり、DACを用意することで音楽再現の全体的な底上げができるという考えがあるということです。そのための機材として単体DACのdc1.0を発売して市場に受け入れられました。その当時(2006年)は単体DACというととてもマニアックな機材だったわけですが、現在はPCオーディオの普及に伴い単体DACが半ば当たり前となっています。そうした潮流の変化の中で満を持して発売する高性能DACがこのsd2.0です。
ホームページはこちらです。
http://www.soulnote.co.jp/lineup.html

このように期待の新製品ですが角田さんのところに試聴機が届いたと言うことでお邪魔していつもの試聴室で聴いてきました。また設計者にしてソウルノート主催の鈴木氏からも直接お話を伺う機会を得ました。

IMG_0969.jpg

sd2.0Bの技術と特徴

電源とDAC部が分離した堂々とした高級感のあるシャーシで底面はスパイクつきです。ピアノブラックの仕上げが高級感を演出していますね。
アナログ出力はバランスXLR端子を備え、内部もバランス構成で組まれています。もちろんアンバランスRCA端子も備えています。
入力はSPDIFが3系統、光が2系統、そして192kHz対応のUSB入力が1つと充実していて、ホームAV環境のセンターとしても使えるように工夫されています。

なかでも特徴的なのはSPDIF入力1番がCD専用として設計されていることです。入力1番は44kHzまでの専用設計で、CD入力専用のFPGA(カスタムIC)とメモリでジッターを低減させた高品位の音再現を実現しています。ここが選択されているときは他の回路は切り離されて完全にCD専用のDACとなります。このときにUSB部分の電源もシャットダウンされると言うことです。
この辺がいわゆるPCオーディオ向けのUSB DACとは異なる点ですね。ソウルノートのはじまりがCDにこめられた音楽をできるだけ正しく聞き手に伝えたいと言うこだわりからきているので、その思想がここにも見られます。

他方でPCオーディオへの対応については入力6番がUSB入力となっています。ここではTenorの新型で192kHz対応のUSBコントローラーを使用しています。これはXMOSやCMediaの6631と並んで最近出てきているHigh Speed対応の新型USBコントローラです。現行の良く使われるTenor7702は88.2kHzが非対応ですが、この新型は88.2kHzと176.4kHzもサポートされているようです。
USBのモード切替があり、USB 1.0モードのときはドライバーレスでWin/Macとも96kHzまでの対応で、2.0モードのときはWin/Macともドライバーをインストールして192kHzまで対応します。1.0モードではアダプティブ、2.0モードのときはアシンクロナスとして機能します。アシンクロナスではDAC側の高精度クロックを使用できるわけです。(この新型Tenorコントローラは内蔵クロックも持っていますが、それは使っていないと言うことです)
USB入力に関してもバスパワーを取らないで内部のクリーンな電源を使うというこだわりが貫かれています。そのためiPadもUSB1.0モードのときに使用ができるそうです。iPadもバスパワー取ってるかどうかテスターとして機能するというのも面白いところですね。またUSBでの電源を使用しているときはさきのFPGA部の電源をオフにすると言うことで、こちらも手抜かりがありません。
鈴木氏はPCオーディオ流行と言ってもUSBをただつけるだけのものはやりたくないと言います。どの場面でも最善を尽くすと言う意味で、CDの入力1とUSBの入力6番は同じくらい力を入れてるということです。

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内部を開けてみましたが電源部を開けてびっくり、アンプかいっという巨大なトランス(400VA)がどんと鎮座しています。単体DACで電源別は珍しいですが、小信号を扱う機器ほど電源部を分離した方が良いという思想によるものだそうです。

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DAC部のほうを開けると基盤をみてもDACとは思えない密度のぎっしり詰まったパーツが満載されていて、空中配線がまるで森のように感じられます。デジタル機器というと中はスカスカしたイメージがあるかもしれませんが、sd2.0Bに関しては重厚なオーディオの伝統がデジタル機器にも生きていると感じられます。
ハイスピードのため小容量コンデンサーのパラ使いをして、アナログ段ではあえてI/V変換は抵抗でパッシブにして鮮度を高くしたということです。またバランスイン・バランスアウトの無帰還バッファを使用しています。フルディスクリートはもちろんワイヤーの空中線がわたっているのはパターンを使いたくないという音へのこだわりがあり、全体に鮮度感・ハイスピードという思想が感じられる作りになっています。
いまはパーツ供給が不安定でもありディスクリートで回路を組むと言うことはなかなかむずかしくなっているそうですが、見ただけで技術者魂が感じられる内部といえるでしょうね。

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試聴

まずUSB入力でMacのAudirvanaから聞きましたが、2.0モードのハイレゾ再生では背景が黒く静かであり、音場の広さ深さも吸い込まれるように聞こえます。微細なニュアンスの抽出が素晴らしく、パーカッションの刻むリズムに倍音豊かな鳴りの弦がくっきりと浮かび上がる様は圧巻です。ひとつひとつの楽器の音再現も正確で、キャロルキッドの声の消え入り方が素晴らしく歌声に微妙なニュアンスが感じ取れます。
続いてCD入力からSHANTIの新作を聴きましたが、とても瑞々しく透明で鮮度感が高いと感じられます。バッキングのギターも美しく解像していますが、スピード感があるせいか音の立ち上がりも速く力強く生き生きとした演奏に感じられます。フルバランス・大容量電源の恩恵もあるのでしょう。
USB入力ではハイレゾの高精細感が生き、CD入力では演奏の生々しさが感じられともに魅力的です。
使用しているDACチップの1792Aは高性能DACの定番ですが、さらに発見があるようにも思えます。これはDACチップだけでは語れないアナログ部分の優秀さでしょう。聴いていて角田さんとも100万クラスの音と言ってもおかしくはないんじゃないですかとお話しをしましたが、実際高性能のフォーカルのスピーカーの能力が最大限に引き出されていると感じました。

ただ一番素晴らしいと感じたのは、これだけ高い再現力がありながら音の印象はあくまで自然であって、オーディオ機器自体の強い主張やクセが出ているわけではないと言うことです。技術を誇るのではなく、あくまで自然で音楽を大事にしている感じが伝わります。
設計の鈴木氏はとても経験ある技術者ですが、その経験が生かされた完成度の高い音だと感じました。鈴木氏は音楽畑なので演奏者がリスナーに音を届ける想いがよくわかるということです。だからこそ、演奏者の一音にこめた想いをオーディオがそのまま届けたいと言います。たしかに音楽ファンが聞くためのオーディオという感じがしますね。
単純に流行のUSB DACがまた出てきましたと言うのとは違います。CD再生も含めたDACらしいDACがSoulnoteと言うか鈴木氏らしいこだわりなんでしょう。

Soulnote sd2.0Bは来週はじめ(9/12)から出荷開始で35万7000円(税込)ということです。
ぜひ試聴機のあるショップでこのこだわりの音を聴いてみてください。
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2011年09月07日

HQ PlayerがLinux対応

HQ PlayerがLinux対応を果たしたようです。
http://www.signalyst.com/consumer.html
ディストリビューションはOpenSUSEでALSAを使用します。Ubuntu 11.04対応も考慮中だそうです。
インストールはリポジトリから行います。
http://www.signalyst.com/linux-instructions.html?

デジタルフィルター内蔵、DSD対応のこの本格的なプレーヤーソフトの参入でLinux方面もまた面白くなるのではないでしょうか。
posted by ささき at 08:30 | TrackBack(0) | __→ PCオーディオ・ソフト編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月05日

PENTAX Qレビュー

話題のPENTAX Qを買いました。最近は小型軽量のいわゆるミラーレス一眼が流行ってますが、Qはナノ一眼という触れ込みのさらに小さな「一眼」カメラです。ポイントはAPSサイズの大きなセンサーではなく、コンパクトデジカメで一般的な小サイズ1/2.3インチのセンサーを使ったことです。
簡単に言うとコンパクトデジカメながらレンズ交換ができると言うことですね。ただ実際には様々な工夫がなされていて、立派なカメラシステムになっています。

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実際に手に取ってみると軽い驚きがありますが、まさにミニチュアサイズでドールハウスの置き物のカメラと言う感じです。トイカメラという気もしますが、これが侮れない性能を持っています。
詳細についてはこちらのペンタックスのページをご覧ください。
http://www.pentax.jp/japan/products/q/

使用

ストラップは小型なのでリストストラップに変更しました。白いボディにブラウンのストラップがなかなか似合います。下の写真では01標準レンズにフードを装着しています。

IMG_2898.jpg      IMG_2900.jpg

コンパクトカメラだけどレンズを変える感覚が面白いと感じます。レンズが小さいので交換にはやや気を使いますね。
レスポンスは悪くなくて、街角スナップ写真を撮るのにもたつくと言うことはあまりないように思えます。
バッテリーは半日使ってRAW/JPG同時記録で100カット程度(枚数で200枚、2.5GB)撮って最後の一目盛りになったので、まじめに一日とるときはもう一個バッテリーがほしいところです。
エコ機能として10秒立つと液晶が暗くなるのがあるけど、露出が変わったかと勘違いするので切ってます。ゴミ落としもついてますが、なぜかデフォルトではオフになってます。この辺もバッテリーの持ちかなと思いますね。

デジタルフィルターの種類が多いのも特徴です。さまざまなエフェクトがかけられます。
JPGで撮っていてもまだバッファに残っているときはRAWに変換できるので、カスタムイメージで撮ってもう一度直したいときはすかさずRAW保存ボタンを押してあとでインカメラRAW現像でフィルター変えても良いですね。
機能が多いのを反映して説明書が厚いのも特徴ですが、例えばプログラムシフトとかプログラムラインって説明書にぽんと出てきても露出モードのある一眼レフに精通してる人でないとわかんないのではないかと思います。

画質

画質はローパスレスと高性能レンズの組み合わせもありかなり精細な画像を取り出せますが、ピクセルレベルではAPSよりは劣ります。ただ縮小するとあまり気にならなくなります。
まえにOlympus E-20も持ってたんですけど、全体に少し前のE-20とかCanon Pro1などの高性能小サイズセンサー機に似ていると思います。この辺を現代版にしてレンズ交換出来るようにしたと考えても良いかもしれません。

画像はRAW/JPG同時記録で撮りましたが、JPG品質がなかなか良いので今回はJPG画質でPENTAX Q作例を上げてみました。ノイズリダクションとリサイズと若干のレタッチをしています。
撮ってきたのはいつものことながら山手の洋館です。前回のKiss X4も同じところで撮っているのでそちらも参考までにどうぞ。(ちなみにKiss X4はAPSセンサーで1800万画素、使ったレンズは高性能単焦点です)

こちらは01標準レンズです。すばらしい描写力の標準レンズです。F1.9という明るさも魅力ですね。
モノクロはインカメラのJPG設定です。モノクロ以外のJPG設定は「ナチュラル」です。

0065.jpg F2.8 1/100      0019.jpg F2.8 1/25

0044.jpg F1.9 1/60      0046.jpg F1.9 1/60

レンズは他に03魚眼レンズも購入しました。
9455.jpg 

こちらが魚眼レンズでの写真です。ただ画質自体はやはり01標準よりも甘めです。絞りは固定でフォーカスもマニュアルになります。

0059.jpg F5.6 1/60      0052.jpg F5.6 1/60

0075.jpg F5.6 1/30

考察

私もほとんどの写真をフルサイズのEOS-1Ds2で撮ってて言うのもなんですが、ペンタックスQの利点は逆説的だけどセンサーが小さいことです。
まずこういうコンパクトなシステムにするには、ボディーだけではなくレンズをコンパクトにする必要があります。APSサイズのセンサーではそれに見合うイメージサークルを確保するためにどうしてもレンズが大きくなります。Qでレンズとボディーのバランスが良いのはレンズのイメージサークルが小さいからです。現行レンズはそれでも余裕持ってると言うことなので、APSセンサーに合わせてギリギリで設計するよりも、余裕持ってた方がレンズ設計的にも良いですね。

9458.jpg
左は「フルサイズ」の標準レンズ(EF50/1.4)で右がPENTAX Qの標準レンズです。

また被写界深度を深く取れるという点もあります。
ショウのイベント撮りや取材なんかは一眼レフを持ってくる人もいますが、私はあえて一眼レフでなくコンパクトデジカメのs95を持って行ってます。簡単に広く合うからです。屋内で露出を保つためには絞りは開け気味になります。そうすると被写界深度は狭くなって広くピントが合わなくなります。
これでバウンス出来るフラッシュが出れば非常に実用的なプレスカメラになると思います。

逆にセンサーが小さくて困ることは、被写界深度の問題でボケないと言うことと、センサーの性能低下です。
ボケコントロールという画像処理でボケを作るモードが用意されてますが、これはあんまりうまくいかないですね。今回の作例でも良いものは取れませんでした。ファームの進化に期待です。ただF1.9だとそれなりにはぼけます。

一般に小サイズCCDで画素数が上がるのを揶揄する向きもありますが、これは必ずしも悪いことではありません。根本的にデジタルであるからにはサンプリングを細分化することでオリジナルのデータに近づきます。実際Qはローパスレスなんですが、これはコスト的な問題もあるでしょうが、このサイズでこれくらい細かくなるとローパスがなくても偽解像が発生しにくくなると言うことがあります。400万画素でローパスが弱い初代1Dなんかは偽解像でまくりで格子模様がラーメンマークになったりしてました。

またよく言われるダイナミックレンジですが、これも劇的に下がるわけではありません。なぜかというとダイナミックレンジはデジベルで測るために対数で効くからです。10%や20%下がってもそのまま直線的にダイナミックレンジに反映される訳ではありません。また新しいセンサーは高性能であるということもあります。この辺に800万画素時代にセンサー比較した記事があります。
http://www.asahi-net.or.jp/~eg3y-ssk/photo/tstar/digital/ccd2004/index.htm
ただし感度低下は問題です。実際QがAPS機と比べて劣るのは高感度性能でしょう。

もう一つこのクラスのカメラを使うときに気をつけることはシャープに写そうとして絞りこむのはよくありません。これはQ(や普通のコンデジ)は換算でなく実焦点距離で言うととても焦点距離が短くなります。APSが1.5倍とすると、これらでは5.5倍です。標準レンズでさえ8.5mmです。この場合に回析の影響が大きく出ます。前にIXYの開発者記事をみたときにはほとんど一絞り絞っても回析の影響があるようです。
普通のコンパクトデジカメは簡素化するために絞りが二段階程度で、あとはシャッター速度で露出を調整するので、絞りがないのであまりここは問題にならなりません。大抵開放で撮って、露出が合わないときだけF8くらいの絞りを下ろす程度です。
ただ絞るとやはりシャープになるのは(説明は省きますが)Qでも同じなのでベストポイントがあるはずです。これは一概には言えません。Qと01レンズに関してはメーカー作例をみるとF2.8で撮ってるので、開放からF2.8で撮るのが良いと思って上の作例ではF2.8で撮るようにしていました。

まとめ

使って楽しくとても画質も素晴らしいカメラです。持ってるだけで趣味性も高いので、カメラ好きのセカンドシステムにはお勧めです。ただしコンパクトデジカメからステップアップする人は普通にAPSサイズの一眼を買った方が良いと思います。画質面と言うよりそのほうが勉強にもなります。
買ったときにクラカメコーナーも見てきたんですが、そこにあったローライ35にふと似たものを感じました。Pentax QはAuto110を元にしたとも言いますが、そのミニチュア的な精密感はむしろローライ35に近い感覚かもしれません。

ニコンも1/1インチとかあまりないサイズのこうしたカメラを作ろうとしているとも噂されています。もともと35mmフィルムを135フォーマットとも言うのは、コダックの制定したフィルムの中で135番ということです。このライカの時代には多数のフィルムフォーマットが乱立していたようで、ライカでの35x24はまた出たかという感じの135番のフォーマットということなんでしょう。それがいつしかライカ判ともいわれる35x24に統一されたということなんでしょう。
このデジタルの時代もやはりそうした戦国時代のようにフルサイズ、APS、4/3、1/2.3その他いろいろと「システムカメラ」が群雄割拠しているのでしょう。それがいにしえのライカのように統一できる力をもったカメラが出るかというと、、まだわかりません。いろんなメーカーの試みが楽しめることでしょう。


* 9/9 RAW現像編更新しました。下記ページです。
http://blog17gray.seesaa.net/article/225225035.html
9/13
http://blog17gray.seesaa.net/article/225680932.html
9/18
http://blog17gray.seesaa.net/article/226442074.html
posted by ささき at 22:16 | TrackBack(0) | ○ 日記・雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月02日

Auraliti PK90の新機能とLinuxのインテジャーモード

この前の記事でPK90のWAV再生の問題を書きました。

IMG_9225b.jpg

もともとこの問題はLinuxの現在のALSAドライバーの不具合に起因するようですが、これを解決するためにPK90では新機能を追加すると言うことです。簡単に言うと2つの動作モードを設定画面(初期Webページ)から切り替えることができるようになるようです。実際まだ出来てないようですが、これを仮にモード1、モード2と呼びます。違いはALSAの出力インターフェースで、モード1ではhwインターフェース経由でDACに出力して、モード2ではplughwインターフェースで出力するということのようです。

ちょっとわかりにくいので、もう少し詳しく解説します。
まずALSAというのはLinuxの音声システムのひとつです。LinuxはMacやWindowsのCoreAudioのように単一ではなく、OSSとかALSAのように異なる音声システムを持つことができます。ここでいうのはALSA(Advanced Linux Sound Architecture)についてです。
ALSAではDACなどのデバイス(ALSAでいうcard)に対してデータを送るときにいくつかのインターフェース(転送モードみたいなもの)を指定します。たとえばhwとplughwです。hwを使用した場合はDACにたいしてデータの改変なく(つまりダイレクトに)データを送出します。その代わりDACで扱えるデータのタイプをプログラム(再生ソフト)側で気にする必要があります。plughwを指定したときはALSAシステム側でなんらかの処理の後にデバイスに送出されます。たとえばデバイスが扱えないデータタイプを変換してくれますのでプログラムから見るともっと手軽です。
*ALSA programming basics

これらのインターフェースの使用例に関してはこちらにMPDに関して興味深い記事があります。
http://www.computeraudiophile.com/content/New-mpd-feature-cleaner-signal
ここで書かれているのはVer1.6のMPDから32bit小数点を介さずに直接24bit整数(S24_3LE形式)でドライバーに渡す機能が付いたと言うことが書かれています。ここでいうS24_3LEはWavelengthのProtonとかで使われているDACネイティブ形式と言うやつです。つまり小数点変換を介さずにDACネイティブ形式の整数(インテジャー)でオーディオデータをDACに送ることができます。
うちのブログを見ていてくれる方にはなんとなくピンとくるかもしれませんが、これはMacのプレーヤーソフトで言うところの「インテジャーモード」に似ていますね。Linuxにも似たような概念があってMPDではそれを使用できるというわけです。そこでこれを仮にわかりやすく「ALSAのインテジャーモード」と呼びます。
(この辺はBeyond Bit-Perfectをご覧ください)
この「ALSAのインテジャーモード」を使用するさいにはダイレクトに送るわけですから上に書いたようにhwインターフェースを使用する必要があります。問題はWAVを再生したときにここでエラーがおこると言うことです。
解決策としては上のCAスレッドにあるようにplughwを介してデータをいったん整数から小数点形式に変換するとエラーを回避することができます。つまりplughwインターフェースを介することによってWAVも問題なく再生できますが、先に書いたhwでの「ALSAインテジャーモード」のダイレクトアクセスのメリットは消失してしまいます。

どっちかを選べと言われると困るところもあるのでAuralitiでは先に書いた設定画面のWeb上から切り替え可能にするということです。
つまり機能的に書くと次のようになります。

モード1(hw) : FLACしか再生できないが、「ALSAインテジャーモード」で出力可能
モード2(plughw) : WAVもAIFFもFLACも再生できるが、余分な小数点変換が入る


PK90ではモジュールの差し替えかまたはネットでの書き換えでアップデートすることができます。(ネットでの書き換えはポートを開ける必要があります)
この辺今作業中ということでまたなにかわかったらレポートします。
posted by ささき at 00:00 | TrackBack(0) | __→ ソース機材・PCプレーヤー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする