Music TO GO!

2011年07月11日

真空管ポータブルアンプ GoVibe Porta Tube登場

ヘッドフォン祭のときにJabenのブースで参考出品されて、聴いた人がみな「買う」と言っていたポータブルヘッドフォンアンプがいよいよ発売されます。当時はMini Tubeと言っていましたが、Porta Tubeという名前になりました。そのデモ品を送ってもらいました。(パッケージその他は製品版と異なるかもしれませんので念のため)

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こちらヘッドフォン祭のときの記事です。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/199951950.html
Porta Tubeの特徴はかつてのMillet Hybridのように増幅に真空管が使われているハイブリッド方式だということです。この手の真空管はECC82などの一般的なミニチュア管よりもさらに小さい規格でサブミニ管と呼んでいます。補聴器用に使われていたようですが、戦争中には砲弾に内蔵されVT信管(近接作動型)としても使われたくらいコンパクトな真空管です。
Millet Hybridの記事は下記です。参考までにどうぞ。4年前の記事でこのころはiModも4G使ってましたね。比較しているSR71は下記記事ではオリジナルタイプです。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/40555731.html

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パッケージには専用のチャージャーがついていて100V対応です。
デザインはなかなかシンプルで良く、赤い線と排熱孔が良いアクセントになっています。大きさはSR71Aよりもさらに大きく少し重いくらいです。背面には高電圧のため開けないで下さいという注意が真空管アンプらしいものものしさです。

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端子類や機能はシンプルなもので、目立つのは出力に標準プラグがついているということです。(後述)
下記のレビューではiMod5.5G → Dirigent iModケーブル → Porta Tubeで聴きました。下記では主にSE215とSAECケーブル、そしてHD800を使っています。

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Porta Tubeで驚くのはその音の良さです。はじめに書いた時にMilletをグレードアップさせたようなと書きましたが、いま聴いてみるとMilletよりずいぶん進化しています。むしろSR71Aをさらにクラス上にグレードアップしてホームアンプに近づけたようなレベルの高さを感じます。端的にいっていままで聴いたポータブルではベストでしょう。実際にもはやポータブルの領域ではないかもしれません。

真空管って味付けのために使うと言う考え方と、あくまで性能を高めるために使うという考え方があると思いますが、Milletは前者でPorta Tubeは後者と言えるでしょう。
真空管だから甘くてゆったりした音かというとそうではありません。ダイナミックで透明感がありクリアで、音の細部も細やかです。しかもSR71Aよりもさらに空間再現が広くて雄大なのには驚きます。そして音にはしっかりと厚みと重みが乗っています。

音の解像感・細やかさも秀でていて、特にDirigentのような細部の抽出に優れた透明感の高いケーブルを使用すると、iPodデジタルタイプのアンプとも十分渡り合えるのではとさえ思えてしまいます。
また真空管らしい良さは音の滑らかさで、まさにシルクのようなきめ細かい滑らかさが音楽再生を質の高いものにしてくれます。ヴォーカルは艶っぽく魅力的です。
音の美しさも秀でています。中高域はほんとうに美しくかつ明瞭で、きれいに楽器の鳴りを解像しています。ベルの音が教会のホールで聴くように澄んでいて美しいですね。
このあたりが音に高級感を感じさせる点で、先に書いたようにしっかりとした音の厚み・豊かさとともにポータブルというよりはホームアンプ的な本格的で充実した音楽再生を感じさせてくれます。アンプとしての基本性能の高さと真空管の音の美しさがうまく調和しています。ハイブリッドの完成形的な良さですね。

そしてPorta Tubeはバランスの良い優等生的な側面をも聴かせてくれます。帯域特性も良くあまり特定の帯域の強調性は感じません。適度に低域に強さがあって中高域は美しく伸びます。
ロックもきつさがなく、ダイナミックで力強さを堪能できます。パワフルなわりには音が整理されていてとてもカッコよく聴けます。クラシックでもオーケストラは雄大な迫力があり、弦は美しくピアノは品格高く鳴ります。ジャズであればピアノトリオの楽器の配置が明確で音の切れが良く、ドラムもベースもびしっと決まります。プレーヤー間のスピードの速いインタラクションも見事に描き出します。基本的にジャンルを選びません。

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さらに驚くのはドライブ力の高さです。
標準プラグはColorfly C4みたいにゲインの差があるわけではなく、単にプラグ径が違うようです。しかしPorta Tubeの魅力の一つはこの標準プラグで普通のヘッドフォンを使うことでしょう。
HD800を使ってみて驚いたのは、単に音量が取れるというだけでなく実にしっかりとした音楽表現でHD800を堂々とドライブするということです。iPodがソースということをさえちょっと忘れさせてくれますね。まじめな話、RCA入力を付けたらよいのではないかとポータブルではじめて思いました。ポータブルアンプを単に音量が取れるというだけでホームユースに使うのは懐疑的なところですが、Porta TubeはHD800でも堂々とした音を出してます。これはちょっとすごいですね。
ゲインは高めでHD800でもボリューム位置には余裕がありますが、クラシックなどの高品位録音されたものではレベルが低く入っているので、そうしたものでは12時くらいまで行きます。(入力がiPodのとき)

また、真空管ならではの良さがあるように真空管ならでは問題点もあります。
真空管をポータブルで使用するときの問題点はマイクロフォニック・ノイズです。これは振動を与えるとノイズが乗ってしまうもので、Millet Hybridはキーーンと甲高い金属音が乗ってしまいました。これがひどくて外では使いにくかったですね。下記使用記を参照ください。当時はよくMillet Hybridをなにかでくるむのが流行ったりしました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/40619675.html
Porta Tubeはこれがほとんど聞こえず、かなり優秀です。ただ筐体を連打してもキーンとなりませんが、持ち運んでると何かかすかな金属の擦れる音がわずか聞こえます。イヤフォンを外すと聞こえないのでやはり信号に少し入っているみたいです。ただMilletのように気になるタイプでは全然ありません。
熱に関しては再生を続けていると表面はけっこう熱を持ちますが、電源を付けたままでも再生を停止してしばらくするとかなり冷めてきます。最近気温が高くてバッグの中に熱がこもるっていうのもあるかもしれません。下記のように中では真空管が光っているのがわかります。

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電池のもちは実際につけっぱなし、再生しっぱなしで実測で8時間強といったところです。このクラスとしてはまずまずですね。

音的には素晴らしいですが、欠点はバランスド・アーマチュアのイヤフォンにはゲインが高すぎるということです。BAの高能率イヤフォンでは少し無音時にヒスノイズが聴こえます。そこがちょっと惜しいところです。ヘッドフォンはほとんど問題ないでしょう。イヤフォンだとSE215にSAECケーブルだとヒスらないで音的にもベストですね。

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ポータブルでもホームアンプのような品格高い鳴りを求めていた人にはお勧めです。
いまやiPodベースのポータブルシステムというと、iPod/iPhoneデジタルの時代かなあと思ってましたが、Porta Tubeでアナログシステムの良さを再認識しました。iModもいまだ死なずというところで、Dirigentのような高性能iModケーブルを使うと音の細かさも十分に引き出せます。ちなみにSoloとサイズはほぼ同じなので、組み合わせも面白いですね。さらに情報量豊かで精細な音が楽しめます。
ますますポータブルも面白くなってきたものです。

価格はまだわかりませんが、これは値段を見ないでも買いでしょうね。そのうち国内取扱いすると思いますのでお楽しみに。
posted by ささき at 21:21 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする