Music TO GO!

2011年06月28日

Beyond bit-perfectを読む

DamienさんのBeyond bit-perfect翻訳はなかなか反響がありました。ここで少しわたしなりに補足しておきたいと思います。
翻訳は文意を変えないという約束だったので、"Beyond bit-perfect"の翻訳文に私の意見は入っていません。そのかわり本文には訳注を最小限で入れました。本文末の少し長いFull memory Playについての訳注は多少私の意見になるので、Damienさんにこういう風に入れたいと断った上で入れています。そのくらい他人の著作物を翻訳するのは気を使います。
そこでわたし自身のコメントと補足はここに別に書きます。この記事はDamienさんとは関係なく、"Beyond bit-perfect"を読んだ私個人の考えです。

まず簡単に補足すると、ビットパーフェクト(bit perfect)という言葉はCDのデータの情報を一切のロスなく完全に読んで、さらにDACまでの経路上でそのデータにロス(あるいは変化)が発生しないということです。日本では主に前者のCDから読むほうが主で「バイナリー一致」という言葉で知られていましたが、ここではさらに経路上のロスまで言及しています。この経路部分だけをとりだしてBit Transparent(ビット透過)とも言います。
よくデジタルでは音は変わらないのだから、ビットパーフェクトが達成されたら音質は完全ではないか?それではプレーヤーソフトで音が変わる理由は何か?ビットパーフェクトよりも音は良くなるのか?という問いがあると思います。
このDamienさんの文書はまずそれに答えたものです。タイトルの"Beyond bit-perfect"にはそうした意味が込められています。

さらにそれを踏まえて、いま話題のインテジャーモードとは何か、その利点について解説がされています。
まずインテジャーモードとはなにか?と言うことについては、"Beyond bit-perfect"を読むとその利点は処理の最適化であると述べられています。特にドライバーでの最適化がポイントです。
OSと言うのは基本ソフトであるゆえに、アプリケーションソフトより特権を持ったモードで動作し、独立したカーネル空間で動作します。これは安定した動作とハードにアクセスするために必要です。ただミュージックプレーヤーなど一般のアプリケーションの出力も最終的にハードにアクセスが必要になりますが、それはOSの機能を一部間借りするかOSが代行して行われます。ドライバーもその一つです。ドライバーはカーネル空間でOSの一部として動作します。
ドライバーはハードウエアと直接やりとりが行われるところですので、ここの処理が極めて重要と言うのは納得できるところでしょう。さらにDACとのやりとりにおける「同期的なCPU処理」はそこで行われるのでこのタイミングはかなり重要です。

この辺と後で出てくる"Full Memory Play"のことを考え合わせるとAudirvanaの優れた思想と言うのがわかってくると思います。
つまり、クリチカル(決定的)な時点での処理を軽減するために、あらかじめクリチカルでない時点で下ごしらえをしておくということです。

また"Beyond bit-perfect"を読む上でひとつ注意して欲しいのは、この文書はコンピューターオーディオ一般的に通用するものですが、書かれている内容自体はあくまでMacを念頭においているということです。たとえば第二章のサンプルレート変換の項は訳注にも書きましたが、Mac OSXのAudioMidi設定での挙動をもとに書かれています。
Macのオーディオでは、まずAudioMidi設定のAudio設定パネルのサンプリングレートとビット幅の設定がキモであると覚えていてください。ここの設定値と再生しているサンプリングレートが異なるとAudio設定パネルにあわせてリサンプリングされ、ビットパーフェクトではなくなります。アップサンプリングは良いように思えますが、"Beyond Bit-Perfect"にも書いてあるように最適なリサンプリングはしていません。96kデータを再生していてAudio設定が44kのままだと音がダウングレードされますので注意が必要です。また、なにか問題があったらここを確認することが必要です。(この辺は自動サンプルレート切り替えと関係してきます)
これはこちらのMacのCoreAudioについて書いた記事も参照ください。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/167849910.html

"Beyond bit-perfect"ではフレームワークという言葉が出てきますが、ここも一つポイントです(本文中のFig2のことです)。
かつてのプログラムならあらゆるソフトウエアの振る舞いをプログラマが書くことが出来ましたが、いまのソフトウエアは遥かに複雑なので、それらをいちいち自分で書くのは現実的ではありません。そこであらかじめ決まったプログラムのモジュールとか骨組みが用意されています。それがフレームワークで、ここで書かれているCoreAudio Graphもその一つです。
しかしこれはいわば既製品スーツみたいなもので、オーダーメイドのような細かなことが出来ません。そこで、直にデバイスに近い低レベル(HALというレイヤー)のプログラムを便利なフレームワークに頼らずに自分で書くのが理想です。それがここで言っているオーバーヘッドの減少です。


ここで"Beyond bit-perfect"からは少し離れますが、もうひとつインテジャーモードの別な側面も書きたいと思います。
わたしは前にさきにかいたMacのCoreAudio記事でインテジャーモードの利点は24bit以上の精度を持つためと書きました。ただこれも間違ってはいないと思います。理由の一つはMacのCoreAudioとWindows Vista以降のCoreAudioを比較すると分かります。Mac OSXのデバイス排他処理であるhogモードはなにやらマニアックな処理の印象がありますが、WindowsのCoreAudioにおいては排他処理はOSのサウンドプロパティでも許可の可能なすっきりとした処理がなされています。Windowsではシンプルにオーディオストリームをオープンするときに排他(占有)モードか共有(ミキサーを通す)モードか明示的に指定します。
こうしてみるとWindowsのCoreAudioの方がMacのCoreAudioより後発な分でより洗練されたものになっていると思います。これは下記のWindows7のWASAPI解説記事も参照ください。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/155985528.html
もしMacで排他WASAPIと同じことをするならば、hogモードとインテジャーモードを両方実装が必要になります。hogモードだけだとMac OSXのミキサーであるAudioUnitを経由します。(ただしMax OSXではミキサーを通してもビットパーフェクトでありえます、これはさきのMacのCoreAudio記事に書いています)
このことはオーディオストリームの経路をより自由にできることを意味します。その例は24bitより大きいPCMデータを通すことや、PCM以外を通すことです。

たとえば最近話題のDSD再生において、AudiogateなどではDSD(DFFとかDSF形式)を読んでもいったんDACに出すためにPCMに変換しています。ただここもDACがDSDを受けれるならば、PCMを経由せずにDSD透過(DSDネイティブ)でコンピューターからDACに出せれば理想的です。これにはPCMを想定しない経路が必要なわけです。このDSD直はWindows7では排他モードWASAPIで対応可能と上のWASAPI記事でも書きましたが、MacでDSDネイティブを実現するためにはインテジャーモードが必要です。これは別にDamienさんとメールして確認しています。

現在New Yorkで開催されているAXPONA 2011ショウのStreophileのレポートで、Pure Music PlayerのブースでPure Music Player Ver1.8とプレイバックデザインの新しいDAC MPD-3 D/Aを使用してUSB経由でDSDネイティブで出力しているらしいデモをレポートしています。
http://www.stereophile.com/content/pure-music-does-dsd
これはPure Musicが1.8からDSD対応とインテジャーモードの両対応が可能になったことによると思います。またそれがV1.8の狙いなのでしょう。
(ただし現状のPure Music1.8はDSDをPCMに変換するタイプなのでこれはカスタムバージョンだと思います)
さらに32bit出力が意味があるかは別として、それを実現するのはインテジャーモードです。インテジャーモードは音質の最適化というだけではなく、Macに新たな可能性を開くキーともなるでしょう。
posted by ささき at 23:35 | TrackBack(0) | __→ PCオーディオ・ソフト編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月26日

Audirvana作者の技術白書 Beyond bit-perfect: 全翻訳版

Audirvanaの作者のDamienさんがとても興味深い技術文書を書きました。これはコンピューターオーディオにおけるプレーヤーソフトとMacのインテジャーモードについて書かれたものです。そこでDamienさんに連絡してこの全文の日本語翻訳の許可とブログに掲載する許可をもらいました。

原注は原文にある注釈で、訳注はわたしが補足で書いたものです。そのほかはできるかぎり原文を忠実に訳出しています。多少言い回しを変えているところもありますが、文意は変えていないつもりです。文中の[MeitnerGendron91]などは末尾の参照文献のことです。本文中の「わたし」はもちろんDamienさんのことです。

本文はDamienさんに権利がありますので許可無く引用したり転載することはできませんので注意ください。必要な場合はわたしにご連絡ください。

原文はこちらです。(PDFへのリンク)



Beyond bit-perfect:
The importance of the Player Software
And Mac OSX Playback integer mode


ビットパーフェクトを超えて :
プレーヤーソフトウエアの重要性とMac OSX のインテジャーモード再生
Damien Plisson, Audirvana 開発者

(翻訳: ささき@Music To Go)

概要

コンピューターオーディオにおいて、プレーヤーソフトウエアはDACに転送するトランスポートとしてCDドライブの代わりとなるものだ。ビットパーフェクト出力の確保は単なる前提条件であって、ジッターとRFI(Radio Frequency interference : 電波干渉)の低減はいぜん重要である。
この文書は音質に影響を与える主たる要素についてコンピューター側での説明を加えるものだ。それは実際にAudirvanaにおいて実装され、AMR DP-777 DACを普通使われるiTunesとの組み合わせを超えた別次元のオーディオ体験をもたらしている。
その主たる要素とはビットパーフェクト、サンプルレート切り替え、アシンクロナス(非同期)転送、インテジャーモードである。

序文: 究極の目標あるいは理想世界の神話としてのビットパーフェクト

デジタルオーディオの世界において、読み込みエラーやトランスポートの機械的な要因によるジッターの発生はCDプレーヤーの既知の問題として良く知られている。
コンピューターソースはこれらの問題に対してはその影響を受ける恐れがなく、それゆえビットパーフェクトとして知られるオリジナルの信号に忠実であると一般的に考えられている。
しかし残念なことにコンピューターの中のデジタル世界は完全な0と1で構成される理想世界ではない。オーディオ信号はさまざまな構成物を通り、それぞれが音質に影響を与える。
これからその詳細を見ていき、"ソースダイレクト"の手法がその悪影響を最小限に抑え、CDプレーヤーを越える高い音質を達成できることを確認したい。

訳注: 原文のflat-square world(直訳では平板世界)は現実世界に対して理想的な状態の(ありえない)世界の比喩として使用している。

第1章 音質劣化の原因

ビットパーフェクト出力を前提としても、ソース機材としてのコンピューターは二つの大きな理由によって音質が劣化する。

*ソフトウエア要因のジッター
デジタル信号は実際のところ、電圧の閾(しきい)値によって二つの状態が分割されるアナログの波形である。(閾値の上ならば1で、下ならば0ということ)
[MeitnerGendron91]で示されているように受信側はアナログの閾値を越えた瞬間を検知している。加えてある状態から他の状態への遷移は瞬間的ではなく斜面のようになっている。そのためソースの基準電圧(Reference Voltage)のわずかな変化が時間的な変位をもたらしてしまう。

Figure 1: 基準電圧差によるジッター
(1)の基準電圧の差が(2)のrising edge(立ち上がり)の時点でレベル検出をするさいに時間の差を生じてしまう。(Thresholdはしきい値)


つまりソースの基準電圧の変動はジッターを生じる。これは[HawksfordDunn96]に詳述されている通りだ。
これは受け手側の不安定な電源供給やグランド電圧によって左右される閾値測定の変動についても同じことが言える。
さらにコンピューターでさえもグランドは同じケーブルと共有されているためこの影響を与えてしまう。

コンピューターの負荷(computer load)とはCPUと周辺機器からの常に変化する電源要求を意味していて、要求のピークはソフトウエアの挙動と直接関係がある。

*電波およびさまざまな要因による干渉
加えて計算処理やディスクのアクセスなどさまざまな処理は信号線を複雑な波形の電流が流れることを意味しているので、これは電磁的な干渉を引き起こす。いまはアップル製のコンピューターは「ユニボディ」アルミシャーシによって十分な遮蔽が行われているが、ケーブル自体がアンテナとして機能してしまうためにこの遮蔽は十分ではない。
またこれらの波形電流はコンピューターのPSU(電源ユニット)に逆流して主電源を汚してしまう。

第2章 OSXの隠れたオーディオフィルター

現代オペレーティングシステムとしてOSXは実行中のすべてのアプリケーションに、オーディオ出力を含むデバイスへの共有アクセスの手段を提供する必要がある。しかしそれは音質の劣化と引き換えにされてしまっている。

*オーディオ・ミキサー
もし都合の良いことに音楽再生をしているアプリケーションがただひとつであれば、それは信号に影響を与えることはないのでこの場合にはビットパーフェクトは達成できる。

*サンプルレート変換
この共有モデルではデバイスのサンプルレートを楽曲のサンプルレートにあわせて切り替えられないのでサンプルレートが変換されてしまう。
加えてリアルタイムオペレーションのためCPU負荷を減らさねばならないので、最適ではないアルゴリズムが用いられている。
(訳注: MacのAudioMidi設定による変換のこと)

*デジタルボリュームコントロール
OSXはミキサーを介したボリュームコントロールを提供している。(iTunesで提供されているものと同じと言うこと)
デジタルボリュームにおいては100%から離れるほどビットパーフェクトではなくなり、精度の低下を招くことになる。(25%のボリューム値は2bitの精度の低下を意味している)

第3章 DACへのデータ転送

まずはじめに内蔵されているTOSLINKを使用するDACへの接続が考えられるが、これはジッターが多すぎるので本格的な使用には向いていない。
より優れたコンピューターへの接続法としてはUSBもしくはFireWireを使用するのが望ましい。
FireWireはマルチチャンネルの大量なAVデータのストリーミングを保障するように設計されているためプロ市場で長く使われてきた。しかしその複雑な運用方法(たとえばドライバーインストールが必要であるとかホットプラグインでの問題点など)や先行きの不透明感により、いまはUSBが広く使われてきている。

最初のUSBデバイスはアダプティブ(またはシンクロナス)方式であり、これはDACのクロックがコンピューターからの連続的なデータストリームに従属するものである。
最近のさらに進んだUSBデバイスではアシンクロナス方式が採用されている。これはDACがオーディオデータの流れをコントロールし、バッファリングしてDACのより安定した低ジッターのクロックを使用するというものである。それゆえこの方式はUSBストリームのごく短い中断(バスリセットや他のデバイスによるバースト転送)に影響されず、コンピューター側のジッターの多いクロックにあまり左右されない。
これはUSBの簡便さ(ドライバーインストール不要)とFireWireの安定性という二つの世界の良いところを併せ持っていると言える。この方式は音質向上への大きな進歩であるが、DACをコンピューターから完全に切り離すことはできず、グランドループを皮切りに始まる干渉問題やソフトウエア要因のジッターは相変わらず存在している。

第4章 プレーヤーソフトウエアの影響

まず第一にすべてのプレーヤーは次のように信号のビットパーフェクト再生を確保するべきである。
  *DACのサンプルレートに曲のサンプルレートを合わせて不要なサンプルレート変換を回避すること。
  *他のアプリケーションの干渉を排除するためにデバイスへの排他アクセス(hog mode)を使用する。

さらに第1章で見たようにコンピューターの負荷(および類似の問題)は音質に影響を与える。これらの電流要求とソースの干渉を最小化することがキーとなる。
1. 再生の前に(電源ノイズとRFIの影響を避ける目的で)ディスクアクセスを減少させるためメモリーにロードしておく(メモリー再生)。(原注1)
2. オーディオのデータストリーム処理に関する「同期的CPU負荷」(Syncrounous CPU load)を最小化する。ジッターの低減に加えて、これは特に低域における可聴域のRFIを減少させるのに役立つ。(原注2)

(訳注: 「同期的CPU負荷」(Syncrounous CPU load)とはDACからのリクエストによるCPU負荷のこと。)

第5章 ドライバーレベルでのさらなる最適化:インテジャーモード

OSXでのオーディオ再生は大方がAudio Unit Graph [AppleCoreAudio]のような高レベルのフレームワークによって実行される。
オーディオプレーヤーにおけるまずはじめの最適化はこれらのオーバーヘッドをバイパスして直接CoreAudioでのもっとも低レベルの層であるHAL(Hardware Abstraction Layer)にダイレクトにアクセスすることである(fig2参照)。

Figure 2: 普通のプレーヤーソフトとオーディオファイル向けプレーヤーソフトの概念の違い
 訳注) 左は通常のオーディオプレーヤーの流れで四角い囲みの中がAudio realtime graphという高レベルのモジュール。右はオーディオファイル向けプレーヤー。
線の上はユーザー空間(アプリケーションの領域)で下はカーネル空間(OSの領域)。
カーネル空間でデバイスドライバーとDACのやりとりが行われている。



浮動小数点(float)モード
通常の実行ではユーザー空間とカーネル空間の境界を行き来するデータのやりとりは32bit浮動小数点形式で行われる。これは異なるオーディオストリームのミキシングプロセスとソフトウエアクリッピングを容易にする。[ Audio HAL_1]
このときでも24bitの範囲であればビットパーフェクトを達成できることに注意して欲しい。(原注4)

インテジャー(integer)モード
HALへの直接のアクセス[AppleHAL_2]は上述した通常モードにおける下記の二つの大きなオーバーヘッドをバイパスできる可能性がある。
*バッファでのミキシング
*浮動小数点からDACネイティブフォーマットへの変換

Figure 3: 浮動小数点モードとインテジャーモード
 訳注) 左は通常の浮動小数点モードの流れを示していて、赤い囲みが本文中で言及されているオーバーヘッドを示している。右がインテジャーモードを示していて、単一のDACネイティブ形式での流れとなっている。


インテジャーモード(fig3)においてはプレーヤーソフトはすでにDACのネイティブ形式にフォーマットされたオーディオストリームを送出する。それゆえ「同期的CPU負荷」をドライバーレベルで最適化することができる。
この動作はカーネル空間であるドライバー内部でリアルタイムで行われるため、音質における最重要経路(クリティカルパス)となっている。なぜならそれらはDACとのデータ転送において即時性が生じる瞬間に起きる最も同期的なものだからだ。
それゆえこの最適化による効果は大きいが、この標準的でないモードを許容できるDACにのみ使用することができる。

結論

コンピューターは優れたミュージックサーバーだが、仮にビットパーフェクトが確保できたとしても音質を低下させるジッターとRFIの根源でもある。
プレーヤーソフトはこのオーディオストリームと関連した同期的な負荷による音質低下の影響を最小化するために、信号経路を最適化して整える必要がある。これにはビットパーフェクトに加えてソースダイレクトがそのキーとなる。
このことがすなわち私がAudirvanaにおいて、インテジャーモードでリアルタイム処理を単純化して、(ディスクからの読み取りやデコード、DACへのネイティブフォーマットへの変換など)他の動作は準備フェーズにオフラインで実行しておくことで、リアルタイム性能を最大限に発揮させるように効率化したということである。
これは完全メモリー再生(Full Memory Play)と呼ばれる。

最も良い結果はAMR DP-777のようにインテジャーモード、アシンクロナスUSBの対応が可能で、これらのすべての最適化の利点を享受できるものによって得ることができる。

(訳注: ComputerAudiophileのDamienさんの書き込みによると他のプレーヤーソフトとAudirvanaはメモリー再生と言う点について異なった考え方を持っている。他のプレーヤーソフトではHDD上のファイルの形式のままメモリにおいておくと言うキャッシュのような考えだが、Audirvanaではサンプルレート変換も含めてあらかじめメモリー上にデコードしたデータを置くと言うことで再生時の負荷を減らすと言う考え方が貫かれている)



原注1) HDDをSSDに交換すると直接的な機械的要因のノイズを取り除くことはできるが、長いケーブルを走る電流波形など他の要因の影響はまだ残る。まだOSのオーバーヘッドも以前として存在している。

原注2) OSXの低レベルオーディオサブシステムでは通常データを512フレーム・チャンクで要求している。つまり周波数では44.1kHzのサンプルレートで〜86Hzに相当する。

原注3) ソフトウエアボリュームコントロールを含むすべてのフィルターが取り除かれればビットパーフェクトは可能である。つまり普通のiTunesでもビットパーフェクトでありうる。

原注4) 32bit浮動小数点は1ビットの符号と8ビットの指数部、23ビットの仮数部から構成される。つまり有意な精度は24bitである。



参考文献

[hawksfordDunn96] Bits is Bits ?
Streophile 1996年3月号

[MeitnerGendron91] Time Distortions Within Digital Audio Equipment Due to Integrated Circuit Logic Induced Modulation Products
Ed MeitnerとRobert Gendronの91回AESコンベンションでの講演資料 (New York, October 1991, Preprint3105)

[AppleCoreAudio] CoreAudio Overview: What is CoreAudio ?
Mac OSX開発者向けライブラリ

[AudioHAL_1] Audio Device Driver Programming Guide: A Walk Through the I/O Model
Mac OSX開発者向けライブラリ

[AppleHAL_2] AudioHardware_h documentation
Mac OSX開発者向けライブラリ
posted by ささき at 11:24 | TrackBack(0) | __→ PCオーディオ・ソフト編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月23日

similar techのDIRIGENT crystal microケーブル

similar techは国内のガレージメーカーで主にポータブル機材向けのケーブルビルダーさんです。下記リンクがホームページです。
http://similartech.blog26.fc2.com/

今回crystal cable micro を使用したケーブルを新たに製作したと言うことで評価をさせてもらいました。ケーブルはDIRIGENTケーブルと言う名称です。
microはpiccoloの倍の太さと言うことで、文字通りのハイエンドクラスのケーブルです。

今回使用したのはこの3本です。このうち3番目のUSBケーブルはまだ販売を正式に決めていないと言うことです。

DIRIGENT HD CCMag-IP
iPod、iPod touch、iPhone用dockケーブル
LR CRYSTAL CABLE Micro
GND オーグライン0.8o

3025.jpg

DIRIGENT HD CCMag-MM
mini→miniケーブル
LR CRYSTAL CABLE Micro
GND オーグライン0.8o

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DIRIGENT HD CCMf-UD (試作品)
HP-P1、Algorhythm Solo用usb dockケーブル
CRYSTAL CABLE Micro×4

3026.jpg

詳細は下に掲載した製品ページを確認ください。

驚くことにはCRYSTAL CABLE Microもオーグラインも太い単線です。これはちょっと興味を引きますね。

3029.jpg

*デザイン等
まずちょっとびっくりしたのはケーブルがきちんとパッケージされた箱に入っていて、印刷された保証書も同梱されているということです。いままでこういうのはたいていプチプチにくるまれて封筒にぽんっと入っているだけでした。この辺はガレージメーカーとはいえちょっとした市販品並みの丁寧さがあります。
内容物としてはケーブルのほかに細いシリコンゴムが各2本ずつ入っています。これはアンプとDAPを結束させるためのものでおまけとして入れていると言うことです。

3013.jpg

ケーブルはどれも丁寧に作られていて大変きれいな仕上がりです。プラグのViablueも径が細いケーブルとあわせるとややアンバランスですが、このmicroとはよいマッチングで堂々とした迫力がありますね。プラグにブランドシールを巻いているのもなかなか良い点です。
ただ太い単線と言うところから想像が付くように柔軟性はあまりありません。また単線ですので過度に曲げ伸ばしをしないなど、扱いには多少気を使う必要があります。

3052.jpg   3048.jpg   3056.jpg

*音質
まずmini-miniとiPod/iPhone dockを使用してみました。使ったのはDAP側にiPodクラシックやiPhone、s:flo2(T51)、HM602などです。ポータブルアンプ側はSR71BやGo-Vibe vulcan+、XM5やSM4など。
USBではHP-P1とSoloを使っています。

まず感じるのは音場が広くクリアで晴れ渡り、発声や楽器の音色もとても明瞭にして音の輪郭が明確に聴こえるということです。SNが高く音が鮮明ではっきりと伝わってきます。その音鳴りがリアルであるというところも長所だと思います。また音が細かく解像力が高いのにきつくなく音はとても整っています。音のレベルは他のケーブルと比べてもトップクラスにあると思います。
また音楽的に厚みがあって、倍音豊かな音楽再生を楽しめます。この点でDIRIGENTケーブルは細やかさや明瞭感とともに高級ケーブルの品格があると思います。この点は他の高性能ケーブルと比べても明確な特徴だと思います。
帯域的には低域が強すぎることもなく、低域の深みがあります。高域も明瞭感があり、とてもワイドレンジであると思える帯域の広さがありますが、かつ帯域バランスがとても良好で整っているも素晴らしいところだと思います。
スピード的には音の切れと止めの速さと正確さも文句なく、とくに低域での歯切れの良さは特筆ものです。
音場感も自然に広くてかつ立体的です。良いアンプを使えば独特の三次元感を堪能できるでしょう。
またあまり着色感もなくニュートラルでいろんな音楽にあわせられます。
USBケーブルでも同様に空間表現や音の細やかさで確実な向上があるのでHP-P1やSoloを持っている人にもお勧めしたいですね。

まとめるとこのケーブルの良い点は透明感や解像感など基本性能も高いけれども、音のバランスが良いということと音楽的にも優れているという点が特徴です。
ガレージメーカー品にはあんまりバランスを考えないで単に銀線使って音をシャープにするというものもありますが、DIRIGENT crystal microは単に高級線材を太い単線で使うと言う基本的な素性の良さだけではなく、設計においていろいろと考えられているのではないでしょうか。
パッケージングも含めて全体的に満足感が高いと思います。なかなか造りにこだわりを持っていると思います。
難は単線なのでやや曲げにくいと言うことと、曲げ伸ばしを過度にしないなど扱いに気を使うということです。そういう点ではベテラン向けですが、音楽好きな人にも勧めたいケーブルです。やはり単線にはより線にない美点があります。これで聴くと音楽が一段レベルが高く聴こえますね。

こちらがDIRIGENT crystal microケーブルのサイトで、購入等もこちらから依頼します。
http://similartech.blog26.fc2.com/blog-entry-107.html
たまたま手に入ったそうなので、限定販売となっているようです。興味ある方はなくならないうちにどうぞ。
posted by ささき at 23:44 | TrackBack(0) | __→ ケーブル関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月20日

Shure SEシリーズの国産交換ケーブル登場!

以前Shureの新製品発表会の記事を書きましたが、そのときにShure SE215のデモ機を試して以来、けっこうSE215にはまっています。ダイナミック型らしい骨太の厚みと、高い性能を備えたなかなかコストパフォーマンスの高いイヤフォンです。
SE215の魅力のひとつはケーブル交換が出来るということで、上位機種SE535のケーブルが使えます。SE535も前のShureの新製品発表会でこちらの記事に書きましたが、ユニバーサルタイプとしてはWestone4と並んで最高クラスの3ウエイ・バランスドアーマチュア機です。

このSE215とSE535はなかなか魅力的なイヤフォンですので、私は当然SE用の交換ケーブルをどこかで出してないかとHeadFiあたりをチェックしてました。SE535発表会のところでも書きましたがプラグは汎用品なので交換ケーブルは可能なはずですが、残念ながらいままで見た中ではありませんでした。
しかしなんと待望のリケーブルが国内のSAECから発売されました !
ケーブル大手SAECですので、もちろん国内で普通に買えますしサポートも安心です。下記リンクのページのSAEC「SHC-100FS」です。
http://www.saec-com.co.jp/product/c_stereo/shc-100fs.html

shc.jpg

対応機種はSE535、SE425、SE315、SE215となります。ケーブル長は0.8m、1.2m、1.6mと細かく選択ができます。ポータブル用というとバッグの位置の好みや体格で適切な長さは結構異なり、従来の1.6mひとつとか選択が少なかった点には不満を持つ人もいたことでしょう。そうした点でも選択の幅があって良いですね、ちなみにプラグはLではなくストレートです。
線材はPCOCCで独立ツイストペアケーブルとすることで対ノイズ特性も向上しているとのこと。Shureというと独特の耳にかける装着法がありますが、その耳に回す部分も同じ使い勝手が考慮されています。(この部分に関しては純正と同じものだそうです)
価格は税込みでそれぞれ0.8mが11,235円、1.2mが12,600円、1.6mが14,700円です。

実際にデモ品を提供してもらってこの週末に試してみました。これは1.2mのタイプです。
まずケーブル自体の作りですが、しなやかで軽いという点が特徴です。純正だと太くて硬いと思ってる方には取り回しも良くなるのがまず良いところですね。

3034.jpg     3036.jpg

また純正ケーブルはSE535とはぴったりなのですがSE215とは今ひとつ使いにくい点があります。このケーブルは柔軟なのでSE215と相性は良いです。
それとケーブルは先端までLR別になってるのが分かります。これは左右の音の分離も良くなりそうです。

3041.jpg

次に実際に聴いて見たインプレッションです。
プレーヤーはiPod直やFostex HP-P1との組み合わせ、HiFiman HM602、ポータブルアンプ+iModなどなどいろいろな組み合わせで試して見ました。

SEシリーズの純正ケーブルも悪くないと思ってたけど、やっぱりこのケーブルは音が変わります。
まず感じるのは空間の広がり方が別物で、ステージがより広く、オーケストラならよりスケール感があります。
また楽器の音の明瞭感があがり、SE215では少し甘めと思っていたウッドベースのピチカートのエッジもシャープに立つようになります。ヴォーカルの発声がより明瞭になりますね。ガチャガチャとしたポップ系の録音ではより整理されて楽器やヴォーカルの関係が分かりやすく感じます。SE215ではより低域は深く量感も湧き上がるようにたっぷりと聴こえます。
SE535では純正より洗練されて滑らかな鳴りに聴こえるのがより明確にわかります。
特に楽器の音色が整ってきつさが減り、端整に響くようになりますね。おそらく一段高性能なソース プレーヤーが使いたくなることでしょう。
純正に戻すと、全体に音場もコンパクトになり詰まって聞こえます。

まとめると純正に比べて以下の長所があります。
*長さの好みが選べる
*ケーブルの取り回しが柔軟である
*音質の向上がある

SEシリーズを気に入ってる人にはおすすめですね。つけ外しも簡単ですし、リケーブル入門にも良いでしょう。しかし数年前ならマニアックのきわみだったリケーブルがいまではこんなに手軽に購入できるというのもヘッドフォン市場の充実を感じます。
posted by ささき at 12:35 | TrackBack(0) | __→ Shure イヤフォン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月17日

Piano Trios (Kissine/Tchaikovsky) - ギドン・クレーメル

Piano Triosはピアノ三重奏曲集ということですが、このアルバムについてはジャズのピアノトリオという言葉をそのまま使いたくなります。まさにジャズのピアノトリオ・アルバムのようなプレーヤー間の緊張感のあるインタラクションというのを想起するからです。その「トリオ」はギドン・クレーメル(ヴァイオリン)、ギードゥレ・ディルヴァナウスカイテ(チェロ)、カティア・ブニアティシヴィリ(ピアノ)の三人です。
チェロのディルヴァナウスカイテはクレーメル自ら率いるクレメラータ・バルティカのベテランメンバーということですが、このアルバムで注目は新鋭のカティア・ブニアティシヴィリというピアニストです。クレーメルとアルゲリッチの両巨匠に絶賛されたと言うことで注目されてきているピアニストということです。クレーメルは他のベテランアーティスト同様に若手登用に力を入れていますのでこのアルバムもその一環と言えるかもしれません。

特に素晴らしいのは二曲目のチャイコフスキー「偉大な芸術家の思い出」でまさに圧巻で、三人がつむぎ出しぶつかりあう緊張感にあふれています。クレーメルのいつもの冷徹な鋭利さも切れてますが、ブニアティシヴィリのピアノはそれに負けないような存在感をみせています。またこれだけのものを引き出す録音もよいと思います。マイク配置などが巧みなのではないでしょうか。
室内楽なんてオーケストラの迫力がなくてつまらないとか、品があるけど退屈と思っている人にぜひ聴いて欲しいですね。

一曲めの「鏡」はクレーメル得意の現代音楽です。これは前に紹介した聴きやすいUnikoと違い、いわゆるゲンダイオンガクです。ただこれもプレーヤーのつむぐ音の存在感がそうした難解さを忘れさせるように音に集中させてくれます。
例えば無音からいきなりピアノを強打するとか伝統音楽ではあまりあり得ないので、フォルテシモのピアノの打鍵音の歪み感、消えゆく残響音のかすれ方、弦の微かな唸りなどオーディオのテスト曲として通用するような面白さもちょっとありますね。クレーメルは言わずもがな、ブニアティシヴィリの打鍵の正確さなど、プレーヤーの技量発揮のショウケースとしても機能している曲なのでしょう。

最近のクレーメルの録音で現代曲としてはアルバム"Silensio"収録のペルトのダブラ・ラサが素晴らしいものでした。これはクレーメル自身のオリジナル録音よりも良いと思います。ブニアティシヴィリなど若手も素晴らしいですが、クレーメルも録音のたびに凄みを増していると言うのも素晴らしいところです。
こうしたアーティストの技を楽しむのもまた室内楽の楽しみといえるのでしょうね。

posted by ささき at 01:08 | TrackBack(0) | ○ 音楽 : アルバム随想録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月15日

オーディオファイル向けミュージックプレーヤー (17) - BetterSound

またMac用のミュージックプレーヤーソフトの新顔を紹介します。Audirvanaが基本無料でインテジャーモードのサポートなんかは良いけど、やっぱりPure MusicとかAmarraみたいにiTunesと統合されたタイプが欲しい、と思ってた方には良い選択となりそうです。

こらちのHeadFiスレッドで展開されているBetterSoundです。スレッドタイトルと異なり、いまやすっかりBetterSoundスレッドになっています。
http://www.head-fi.org/forum/thread/553416/audirvana-alternatives
今日現在で0.17が最新ですが、すごいスピードで更新しています。

*特徴

Macプレーヤーソフトとしての基本的な特徴はこうなります。

動作環境 MacOSX 10.6
自動サンプルレート切り替え 〇
iTunesとの親和性 〇
FLAC再生 △
インテジャーモード再生 〇


1. iTunes親和性
はじめにBetterSoundを立ち上げておいて、ステータスバーに常駐させる感じで待機させておきます。その状態でiTunesを立ち上げるとiTunes(というかQuickTimeでしょうか)をミュートし、曲選択を利用してBetterSoundが音を再生し、終了したらiTunesのミュートを元に戻すと言うのが基本的な動作のようです。ただ現在バージョンではiTunesボリュームと連動してBetterSound側のボリュームはコントロールできるようです。

2. FLAC再生
iTunesをライブラリソフトとして使うソフト(pure Music, Amarra)に共通する弱点はFLAC再生です。これはiTunesがFLACを認識しないと言うことからきています。

FLAC再生はflukeというFLACをiTunesで再生するためのアプリを使用しています。そのためflukeのインストールが必要です。flukeはBetterSoundと関係なく使えますが、下記からダウンロードします。
http://code.google.com/p/flukeformac/
インストーラーがついているのでインストーラーでインストールします。アンインストールは添付のアンインストーラーを使用します。
iTunesにFLACを登録するには、まず対象のFLACファイルをダブルクリックします。その後にそのファイルをiTunesライブラリにマウスで移動してコピーします。再生はそのファイルを普通にクリックします。
ただ私のMacではBetterSoundとの相性は不安定でした。flukeだけなら問題ないのですが。またflukeの制限から44/16のみの再生に限定されるようです。
FLAC再生は可能だけれどあまり得意ではないというところでしょうか。

3. インテジャーモード対応
BetterSoundもインテジャーモードに対応しています。これでインテジャーモードが使えるMacプレーヤーソフトは3つとなりました。(Audirvana、Pure Music、BetterSound)
インテジャーモードもすっかりMacプレーヤーソフトの定番機能の一つとなってきました。

*使用法

最新バージョンのダウンロードはこちらのavailable hereをクリックするとGoogle docsのダウンロードページに飛びます。ここではGoogle docsのアカウントが必要ですので注意ください。
http://www.head-fi.org/forum/thread/553416/audirvana-alternatives/30#post_7536852
ただ更新が速いのでスレッドをウォッチして最新のものをダウンロードすることをお勧めします。現在他のソフトのように自動アップデータがないのが残念なところです。

ダウンロードしたあとにインストールの必要はありません(Mac全般が基本的にインストーラーというものが不要ですが)。立ち上げるとステータスバーにアイコンが出てきます。そこからプルダウンメニューで設定をすることができます。

bs5.gif

まずpreferenceで設定をします。

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generalで出力デバイスとインテジャーモードのオンオフの設定ができます。device infoメニューでインテジャーモードの対応を確かめるのはAudirvanaと同じです。音が出ないときはAudio output deviceを出力機器に合わせてください。
Respect iTunes volumeはiTunesのボリューム変化を有効にするかということです。

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soundタブではバッファサイズやアップサンプリングの設定ができます。
アップサンプリングはプレーヤーで整数倍にして送ります。またDACの対応サンプルレートを超えるときは自動的に倍にしないようにしているようです。たとえばfoobarのりサンプラーだと2x設定にしていると96k音源を96k対応DACで再生するとdevice unsupportedのようなエラーになりますが、こちらはそうしないようにしているようです。意外と細かいようです。
アップサンプリングはCoreAudioのリサンプラーをBest品質で使用しています。これはFideliaのようにスタジオレベルの凝ったものではないけれども、同じリサンプラーを標準品質で使用しているAudioMidi設定よりはよいと言うことですね。
つまりAudioMidi設定で楽曲のサンプルレートとAudioMidi設定を変えてリサンプリングするよりも、BetterSoundでアップサンプリングして、あくまでAudioMidi設定ではそれとマッチさせると言うほうが音質的に高いということです。(自動サンプリングレート切り替えがあるので意識しなくてもそうしてくれます)

*再生の仕方

設定がすんだらBetterSoundのメニューからLaunch iTunesでiTunesを立ち上げます。またはStart iTunes on startupで常に起動するようにしておきます。
順番はBetterSoundを立ち上げてからiTunesを立ち上げる必要がありますのでこれに注意してください。

操作中はAmarraやPure Musicのような専用パネルは表示せず、ステータスバーにアイコンが出ているだけです。シンプルでよいですね。下の画像の右上にちょっとだけ見えています。

bs1.gif

自動サンプリングレート切り替えにも対応しているので、iTunesを手軽にハイサンプリングファイルでも使いやすくしています。
この作者はプレーヤーソフトの音性能はデバイスに書き出すときの効率で左右されると言うことを書いていて、BetterSoundではAudirvana同等でPure Audioよりは高い効率を誇っていると言うことです。

音は透明感があり、クリアに一枚ベールがはがれる感じはAudirvanaと似ています。インテジャーモードでさらに向上ができ、音質的にもかなり良いですね。

iTunesの使い勝手の良さと、Audirvana的な音質の高さを簡単に両立できて無料で使えます。なかなか良いですね。ただし、まだ不安定なところは少しあるかもしれません。
ちなみにBetter Soundではなく、BetterSoundとくっつけて小文字大文字で単語区切りにするのはプログラマーの世界の慣習的なものです。そういうところでもAudirvana的なプログラマ的技術志向のこだわりが垣間見えます。
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2011年06月12日

USB DAC 192kHz対応技術のまとめ (2011/6月版)

以前USB DACと192k対応、クラス2などについてまとめた記事を書きました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/163361655.html
しかしその後いろいろと知見を深めていくうちに、この理解に修正が必要なことが分かってきました。そこで最近洗いなおして現時点で判明していることをまとめてみます。
推測もありますが、多くは直接開発元などに確かめています。このためMSBとかdCSみたいに私があまり詳しくないところのものは入っていません。ですから実際はもっとパターンがあるかもしれません。

1. USB DAC/USB DDCの192k対応方式の違いのまとめ

hiFace、Musilandなど
ドライバ: カスタムドライバ
174k/192k達成のためのドライバのインストール: WinもMacも必要
転送方式: USB Audio device classではないBulk転送
USBコントローラ: EZ-USBなどによるHigh Speed
備考: Macプレーヤーソフトのインテジャーモードは使えないものが多い

Zodiac +
ドライバ: 標準(クラス)ドライバ USB Audio Class1 (UH1モード)
174k/192k達成のためのドライバのインストール: WinもMacも不要
転送方式: USB Audio device classのSynchronous
USBコントローラ: 独自設計によるClass1でのHigh Speed

Audiophilleo1&2
ドライバ: 標準ドライバ USB Audio Class1
174k/192k達成のためのドライバのインストール: Mac(10.5以降?)不要、Win Vista/7必要、XP不要
転送方式: USB Audio device classのASynchronous
USBコントローラ: RISCプロセッサによる独自実装、RISCは信号処理も担当する

Wavelink、QB9 192、m903、HD7A 192など
ドライバ: 標準ドライバ USB Audio Class2
174k/192k達成のためのドライバのインストール: Mac(10.6.4以降)不要、Win必要
転送方式: USB Audio device classのASynchronous
USBコントローラ: XMOS、HighSpeed
備考: XMOSについては厳密に言うとさらにベンダーごとに実装の違いがあります。
たとえばゴードン系(Wavelink, QB-9 192, m903)とHD-7A 192も違います。


Zodiac Gold
ドライバ: 標準ドライバ USB Audio Class2 (UH2モード)
174k/192k達成のためのドライバのインストール: WinもMacも不要
358k/384k達成のためのドライバのインストール: Mac(10.6.4以降)不要、他は不可
転送方式: USB Audio device classのSynchronous
USBコントローラ: 独自設計、High Speed(384k対応可)

2. 考察 - OSのHigh Speed転送の対応状況

上の表を理解するポイントの一つは標準規格であるUSB Audio Device Class2.0に対応していなくても、OSの方ではメーカー(Apple/MS)の独自実装でClass1のままでHigh Speed転送が出来るようになっているということです。たとえばWinodws7のUSBクラスドライバーはClass2の対応はしていませんが、Class1でHighSpeed対応しているというのが現状のようです。いわば暫定対応です。
Macは10.6.4以降USB Audio Device Class2.0の対応を正式にしています。その反面でWin同様にMacでもClass1でのHigh Speed転送ができるようです。つまりMacは正式対応も暫定対応も両方されています。
このようにHighSpeed転送はOSの標準ドライバーでは正式でも暫定でも対応ができるので、標準ドライバーで192kHzが達成できてもそれがイコールClass2というわけではないということです。これは規格というより実装の問題で、XPで出来てVista/7では逆に出来ないというものもあるし、WindowsとMacでも細部の動作に食い違いがあるようです。このことから私もいままで標準ドライバーで192k達成できるものはClass2といっていましたが、一概にそうとはいえないと言うことです。
またこの前提はUSB Audio Class1.0 (つまりUSB 1.1のFull Speed)では96/24が上限であって、それ以上のサンプリングレートを送るときには計算上USB 2.0のHighSpeed転送が必要であると言う前提に基づいています。しかし、ここも実は裏道があるらしいということも分かってきました。とどのつまりはこの辺はOSの実装にかなり左右されるようだと言うことです。
逆に言うとこうしてメーカーごとにばらついたHighSpeed対応状況を標準化してデスクリプタにまとめたのがUSB Audio Class2.0といえるかもしれません。

3. 考察 - USBの転送制御とコントローラの問題

ここでいったん前に書いた記事に戻るのですが、192k対応を引き出すためにはUSB コントローラの制限があります。これは仮にClass1でHighSpeedを実現していても同じです。
たとえば96/24時代でよく使われたTAS1020だと対応はFull Speedまでなので、Class1だろうがClass2だろうがHigh Speedを使用するにはこれらでは対応できずに独自設計のコントローラが必要です。また、さきに書いたようにこの設計にはOSの実装が関係してきます。
つまりポイントは先のようにOSの標準ドライバーといっても、その実装はかなりまちまちであり、それを独自設計のコントローラで引き出すことで規格外の転送が可能であるというのも分かってきたところです。
そして、そのためにはコントローラ設計にも柔軟さが必要です。

ここで上の表のUSBコントローラの項を見てもらうと分かるのですが、この「独自設計のカスタムUSBコントローラー」も様々です。
本来はUSBの制御などはハードウエアの高速な論理ゲート動作などで行いそうですが、96/24ハイレゾを実現するためにTAS1020でゴードンさんなどベンダーがソフトウエアを書いて対応するようになって以来、プロセッサ+ソフトウエアという形式で転送制御をするのが一般的になってきました。
さらに192/24時代のいまではトランスピューター(トランジスタ+コンピュータ)と称されるXMOSが一般的になり、AudiophilleoではRISCでUSB制御のみならずさまざまな信号処理も担当しています。これで柔軟性と多機能化などをもたらしています。つまりはDACといえどもソフトウエア(ファームウエア)の比重が大きくなってきたということです。

XMOSという点で言うと、USBの192k技術はXMOSでそろってきたようにも思えますが独自の実装があります。これはさきのHD-7A 192のカスタムファームウエアの記事で書いた通りです。
プレーヤーソフト的に見てもインテジャーモードのようにかなりDACよりのバッファなども見据えたきわどい実装をするものも出てきたので、ファームの違いも関係してきます。Audirvanaのインテジャーモードは0.9.1からクラス2に対応していますが、当初同じXMOS採用機でもばらつきがあったのはこのあたりに関係しているようです。

たとえばインテジャーモードの対応の場合、DAC側のコントローラーがPCM270xのようにハードの固定動作チップの場合はDACベンダーで変更ができないので、PCM270xが入っていればインテジャーモードの対応はどのDACでも大丈夫だろうと推測ができます。しかしコントローラーがXMOSのようにDACベンダーが書き換え可能なソフトウエア比重の高いチップの場合は一概にXMOS搭載のA-DACがOKだったからB-DACもOKとは保障できません。ただしベンダーによってはグループ化が可能なので(たとえばゴードン系)、WavelinkがOKならQB9 192も大丈夫だろうと言う予測は可能です。そういう意味ではこうしたカテゴリー分けは必要であるといえるでしょう。
ちなみにインテジャーモード対応DACのリストはこの辺のCAリンクが便利です

USBの転送制御をソフトで行うと言う点では昨年のキーワードとなったAsync云々というところも関係してきます。これはDAC側の高精度固定クロックが有効に使えるということでAsyncがもてはやされたんですが、クロックで知られたアンテロープ社製で高精度クロックを売りにするZodiacがクロックを生かすために必要と思われていたAsyncではなくSyncであったというのも興味深い点です。SyncはAdaptiveの元になった規格で、いまはあまり使われていないという理解でした。これも意図的にやっているようで、あえて第三の方式などと言っていました。

4. コンピューターとオーディオの世界

こうしてみただけで、コンピューターオーディオの世界は深く多様で全て理解しようとするとめまいがしてきますが、トランスポートであるパソコン(OSやプレーヤーソフト)も、DAC/DDC側のコントローラも、ソフトウエアの比重が大きくなるとそのベンダーごとの実装で挙動がおおきく左右されてしまうと言うことはいえると思います。これは実際は規格化されて同じことをやっていそうですが、見えない挙動は異なってきて、それがときに見える違いとなると言うことです。
このソフトウエアによる柔軟性の高さと、柔軟ゆえの不統一さというトレードオフが従来ハード一辺倒だったオーディオ機器にないコンピューターオーディオの特徴を端的に表しているようにも思えます。
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2011年06月10日

オーディオベーシック7月号に書きました

本日発売されたオーディオベーシック7月号(Vol59)にヘッドフォン記事を書きました。
今回は10万円以下のヘッドフォン特集(P260)と題して、ハイエンドとエントリーをつなぐ中堅のヘッドフォンに焦点を当てています。新旧のこのクラスを一気に聴き比べて自分も勉強になったのですが、この分野が充実したことを感じます。ベイヤーの新型も登場してきて、ますます期待できるところです。ヘッドフォンアンプも定番と最新という二種類で聴き比べています。

今回はMAYAさんの女子オーディオ連載が始まっています。この前のイベントのレポートかと思ったら入門的な連載記事となるようです。この前本屋に行ったら華やかな女子カメラ雑誌が多くて驚きましたが、少し前は一眼レフというと難しく地味で一部マニアかプロだけのものでした。この辺はオーディオも取り入れるところがあるのではないでしょうか。
特集はアナログ関連です。もちろん高音質CDもついていますので、ぜひご購入の上ゆっくりとお読みください。


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2011年06月09日

レッドブル・F1と曲技飛行のイベント2011幕張

さる6/4に幕張でBig Beach Festivalというダンスミュージック・ビート系の野外ライブイベントがありました。メインはイギリスのFatboy Slim(ノーマン・クック)というアーティストです。
昨年もそうだったのですが、このイベントでは毎年Red Bullとのタイアップイベントを行っていて、私はレッドブルのオフィシャルカメラマンとして参加しました。まず恒例となっている「Red Bull フライトパフォーマンス」では日本人の室屋パイロットと元曲技飛行世界チャンピオンのユルギス・カイリスがライブ会場の観客の目前で素晴らしい曲技飛行を見せてくれます。
また、今回初のというか世界でも例を見ない「「Red Bull Energy for Japan チャリティーラン」ではF1ドライバーのセバスチャン・ブエミが本物のRed Bull F1マシンをなんとライブ会場脇の道路で走らせると言うイベントを行いました。

オフィシャルとして撮った写真はレッドブルジャパンに帰属しますが、今回掲載してよいと言う許可をもらいましたので、私の撮影した中からいくつか紹介します。
*写真の版権はレッドブルジャパンに属します

カメラはEOS-1D Mk3とEOS-1Ds Mk2です。

こちらはレッドブルジャパンのページです。
こちらはBig Beach Festivalの公式ページです。

当日は梅雨というのに快晴でした。
F1は過去のマシン(RB1?)をペースに最新の仕様にあわせてボディパーツを改造したもので、デモカーとして使われているマシンです。外装は毎年少しずつ変更を行うそうですがベースは以前のもので、たとえば排気管はいまと違って上方排気になっています。

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ドライバーは現役のセバスチャン・ブエミで会場のすぐ横の道を4往復ほど走ってくれました。

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とにかくF1の実際の走行を目の当たりにすると驚くのはその加速の速さと音です。
F1の走行は以前鈴鹿で見たことがありますが、テレビと比べて驚くのは音の大きさです。予選の日に130Rに向かって丘を登っていくとまだ姿が見えないのにすさまじい音がして、なにが走っているんだと言う驚きがありました。フェラーリのV12とコスワースV8でも音が違うのには感動しましたね。
その頃に比べてもより高回転になったエンジンの発する音は空気をつんざくような高周波音は身を震わせてくれます。その加速はまるで車ではなくミサイルが地面を走っているようです。
一回目は正面から撮って、二回目は本来は観客を大きく入れた状況説明カットを撮る段取りでしたが、すごいスピードで突っ込んできて、目の前ではげしいスピンターンを見せ付けられたとき、高揚した私はそれに逆らってしまいました。カメラマンとしてこの化け物に挑戦しないと収まらなかったと言う感じですね。

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いきおい走って流し撮りに挑戦しましたが、あとで怒られました(笑)。これはまあいい方ですけど、ほんとはもっと観客を入れないと。あとレース写真は少し傾けないとだめですね。まあF1はF1の専門のカメラマンがきているので、我々はサブで少し撮ると言うくらいではありますが。。
あとでみたら10コマ/秒の超高速連射のEOS-1Dmk3で撮って、一通過6コマしか写ってませんでした。0.6秒で視界を抜けていったんですね。路面もよくないので、実際はそんなに踏んでないと思いますが、すんごい感動体験でした。

私は飛行機班なので、メインは曲技飛行ですが、特に私の場合はステージに上がって袖から観客と飛行機と演奏を絡めて撮るという大役を担ってました。下の写真のような感じですが、特にオフィシャルで撮るときはブランドを入れるのが重要なのでレッドブルの冷蔵庫もきちんと入れています。この辺は仕事というわけですね。

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飛行機はドイツのエクストラ300とロシアのSu-26MXという機体で、室屋パイロットがエクストラでユルギスがスホーイを操ります。空冷星型のスホーイは馬力に勝り、液冷のエクストラは空力に勝ると言う大まかな特徴です。

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次の日曜日には横浜の元町でもF1の展示走行イベントを行っています。そのニュースを読んでみると子供が感動してくれたのがよいですね。

私はいろいろと趣味をやってますが、一番はじめは飛行機でした。しかし、いつから飛行機が好きだったかと言うと、物心ついたときはすでに飛行機の本を読んでいたのでわかりませんでした。しかし、あるとき自分の子供の頃のアルバムを見たときにそれが分かりました。自分でも記憶がないんですが、小さい頃に近くの航空自衛隊の松島基地に親につれられて行った写真がたくさんありました。自分の背景にたくさんの輝く機体がずらりと並び、そこにニコニコしながら写っていました。おそらくブルーインパルスの素晴らしい曲技飛行もそこで見たことでしょう。

いま理系離れが言われますが、子供の頃になにかこうした感動があると人生を変えてくれると思います。ですから、こういうイベントについてあまりうるさいとか危ないとか言わないで、そうした人の作ったものが感動を与えてくれると言うことに理解をいただきたいと思います。
また、そうした感動を伝える写真を撮っていきたいですね。
posted by ささき at 01:41 | TrackBack(0) | ○ 日記・雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月08日

Audiophilleoの日本語ホームページ

Audiophilleoの日本語ホームページが本日オープンしました。
http://www.audiophilleo.com/
かなりいろいろと技術情報も入っているのでご覧ください。

製品については以前の記事があります。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/162667636.html

Audiophilleoで特徴的なのはRISCプロセッサでかなり柔軟にUSB制御や信号処理を行っていると言うことです。
そういう意味ではAudiophilleo1が本領発揮と言うところではありますね。

posted by ささき at 23:35 | TrackBack(0) | __→ USB DDC | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月07日

Voice - 上原ひろみ

こちら上原ひろみの新作です。今回ドラマーにサイモンフィリップス(ex TOTO)を迎えて、特に冒頭から2曲目にかけてはロックテイストを加えたジャズロックと言っても良いような仕上がりになっています。ジャズトリオのスピード感のあるかけあいと、ロックの畳み掛けるようなリズムのカッコ良さがあります。
また7曲目のピアノの美しい流れるようなメロディーをフューチャーしたスムーズジャズ的な仕上がりの曲も聴かせてくれます。

グラミー賞受賞した後のアルバムとはいえ震災直後くらいにリリースされたのであまり話題になりにくかったのですが、ジャズファンだけではなく、広い層にアピールできる多彩な魅力のあるアルバムだと思います。


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2011年06月03日

Pure Music Playerもインテジャーモードをサポートしました

予告通り、というかいささか遅れてしまい、待っているみんなにブーイングされながらもなんとか6/1にPure Music PlayerのV1.8が登場してintegerモードがサポートされました。

下記のようにAudio settingのパネルから設定できます。ProtonとDACportでとりあえず試しましたが、どちらもstrict device validationを外すとインテジャーモードが使えました。
いままでと異なるのは、Pure Musicは高精度なデジタルボリューム機能がついているのですが、インテジャーモードになるとその機能が使えずアップサンプリングなどもできないようです。この辺はみなAudio Unit周辺でやっていたようですね。つまりこの辺がそっくりバイパスされていることがわかると思います。左側のパネルが表示されなくなります。

pm18.png

なおV1.8からDSDの再生も可能になりましたが、現在はPCMに変換します。しかし、これがやがてくるDSDネイティブ再生への布石だとすると、インテジャーモードはMacOSでDSD再生するための前提条件として実装されたという見方もできます。Audirvanaでもインテジャーモードを使えばDSDネイティブ対応も可能だと作者が言っていました。

さて、AudirvanaだけではなくPure Music Playerでもサポートされて広がりを見せるMacOSのインテジャーモードですが、次はどこがサポートするのか?
posted by ささき at 00:44 | TrackBack(0) | __→ PCオーディオ・ソフト編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月02日

オーディオファイル向けミュージックプレーヤー (16) - JPLAY

Macのミュージックプレーヤーソフトの台頭を横目でにらんでいたWindowsユーザーのみなさま、お待たせしました。Windows用の新しい高音質ミュージックプレーヤーソフトが出てきました。
しかしちょっとMacのプレーヤーソフト群とは違う(Windowsらしい?)マニアックなソフト、JPLAYです。
JPLAYとはJust Play the musicというような意味のようです。名は体を示すといいますが、この意味はおいおいと分かってきます。下記がJPLAYのホームページです。
http://jplay.eu/

Windows Vistaと7のみの対応です。
ダウンロードはPLAYのボタンを押すとダウンロードページに行きます。インストールは不要で単に解凍したさきのプログラム(jplay.exe)をクリックしてください。
有料ソフトで99ユーロです(無料お試し期間あり)。32ビット版と64ビット版があります。対応フォーマットはWAV、AIFF、FLACです。

まず画面をみていただくと早いんですが、GUIではありません。はい、コマンドで操作します。
設定変更はテキストファイルの編集です。下記は"BIKO"という曲をロードした時の表示です。64サンプルにバッファサイズを設定しましたが、不整合ということでバッファサイズを自動的に拡張している旨が表示されています。

jplay.gif

曲は定期的に途切れるんですが、バッファサイズによるグリッチ(不具合)かと思ったんですがデモ版の制約のようです。

*基本的な使い方

0. JPLAYを立ち上げてください。
1. 普通にWindowsのエクスプローラ(デスクトップ画面)でWAVやFLACの入った音楽ライブラリのフォルダに移動して開けてください。
2. 一曲または複数の曲をマウスで選択して右クリックメニュー(またはctrl-cで)コピーしてください。
3. JPLAYのウインドウをアクティブ化(フォーカスをあてて)してスペースバーを押してください。
4. 曲がメモリーにロードされてから再生が開始されます。

再生中の操作

スペース - 次の曲にスキップ
p - ポーズ
r - 曲の先頭に戻る
m - 停止してメニューに戻る

メインメニュー (意味は設定の項を見てください)

h - ハイバネーションモード
b - バッファサイズ切り替え
c - システムクロック切り替え
e - 再生エンジン切り替え
i - インフォメーション
m - MMCSS切り替え
q - 終了


*JPLAYの特徴

1. ハイバネーション・モード (hibernation)

これが一番のJPALYの目玉機能です。
これをオンにするとPCを純粋なPCトラポとするために、OSの不要なプロセスをみな切ります。この時点で音楽再生以外に使えなくなります。cPlay+cMPみたいにできれば専用PCで使って欲しいソフトです。ハイバネーションをオンにして曲を再生するとハイバネーションに入り、曲が終わると通常状態に自動的に復帰する(はず)です。

しかしこれ、強烈です。オンにして再生すると画面が真っ暗になります。キーボードを受け付けません。怖いです(笑)
Fidelizerを上回り、ここまでやるソフトは見たことないですね。試すときは短い曲で、編集中のファイルなどなにもないときに使ってください。


2. そっくりメモリーにロード

選択した曲すべてを一度にメモリーに入れるので効率が良いとのこと。

3. ページメモリー管理

メモリー管理をきっちりやってCPUに負担をかけないということです。

4. システムクロック
5. プライオリティスケジューリング

この辺はFidelizerのようなMMCSSの優先度設定と管理をやっているのではないかと思います。


*設定

設定ファイルはjplay.settingsというインストールフォルダにあるファイルです。これをテキスト編集します。この辺はStealth Playerのiniファイルを編集する感じです。
こちらに詳しく記述されています。
http://jplay.eu/computer-audio/jplay-beginners-guide/

filecache[32 - 65536]
MB単位でメモリー(RAM)上にロードするファイルサイズを指定します。(当然自分のPCのメモリー以下)
最低でも一曲のサイズ分は必要ということで、CD品質の場合は最低128が望ましく、ハイレゾ音源のときは512が必要とのこと(デフォルトは256)。
主に音質というよりはギャップレス再生に重要とのこと。

buffersize [1-1024]
こちらは音質に関係あるということで、ちょっとやっかいです。単位はおそらくサンプルです。最小1サンプルということだと思います。小さいほど良いようで、これを決定するのはPCの性能とオーディオインターフェースのドライバーの性能です。これを調整して行くということのようですね。

clock [0-4]
0=0.5ms、1=15.6ms、2=10ms、3=5ms、4=1ms。OSのレイテンシーを調整するもので、OSのタスク切り替えのスイッチングを早くするということです。ゼロが良いはずです。

engine [0,1]
0=river, 1=beachの再生エンジンを選びます。基本的にキャッシュのアルゴリズムが違うだけだとのこと。
beachはライブっぽくより解像度が高く感じ、riverは穏やかで聴きやすい感じということのようです。ここは好みです。

interface [0,1]
0=WASAPI、1=KS(Kernel Streaming)です。
WASAPIはよりコンパチビリティが高く、KSはより低レベルでレイテンシーが低いだろうとのこと。

force24bits [0,1]
0がデフォルト(16bit)、1にすると常に24bitで送ります。DACで24bit転送が必要な場合にこれを選択します。(foobarのoutputダイアログの24bit選択と同じでしょう)

MMCS [enabled, disabled]
interfaceでWASAPIを選択したときにMultimedia class schedulerを利かせるかを選択します。


**

FAQに「なんでビットパーフェクトなのに音が違うの?」というのがあり、そこではデータがビットパーフェクトであってもタイミングはプレーヤーソフトによって異なる」という回答がなされていますが、そうした点もかなり低いレベルで実現されているソフトといえます。
とにかくハイバネーションモードにはちょっとびっくりしますね。それと設定項目も編集は気を付けた方が良いと思いますが、ベテラン向けのマニアックなソフトと言えます。

ライブラリ機能は割り切っているのも特徴です。
ちなみに他のミュージックプレーヤーのプレイリスト上でコピーしても曲選択が使えるということです。つまり曲管理は他のプレーヤーを使ってくださいということです。
それとJ River Media Centreとかmp3toysなどのライブラリ機能に重点が置かれたプレーヤーとはもっとうまく外部リンク機能を使ってリンクできるそうです。(FAQの項です)
JPLAY自体はStealth PlayerとかcPlayみたいに再生に特化したものなので、ライブラリやプレイリスト管理は他のソフトを組み合わせるということですね。

Macのソフトはわりと使いやすく手軽に高音質を楽しむのに対して、Windowsの方はHQ PlayerとかXXHighEnd、このJPALYとマニアックで一ひねり利いたちっょとベテラン向きのものが多々あると、なかなか切り分けも出ていて面白いのではないかと思います。
posted by ささき at 23:43 | TrackBack(0) | __→ PCオーディオ・ソフト編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする