Music TO GO!

2010年11月29日

Head-Direct HifiMan HE6 ハイエンド平面駆動ヘッドフォン

以前HE5LEという平面駆動型のヘッドフォンを紹介しましたが、このHE6はその上位機種となります。価格も上(米国価格$1200)ですが、性能はそれ以上に上がっているようにも思えます。これちょっと期待以上で驚きました。
http://www.head-direct.com/product_detail.php?p=92

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最近edition10とかChroma MD1とか軽いヘッドフォンがひとつの流行ではありますが、HE6はがっしりとして重めの本格的なモデルであるということを感じさせます。作りはとてもよく、edition8のような鏡面仕上げも高級感があります。
ケーブルはHE5LEと同じコネクタ式で途中にK1000タイプの4ピンキヤノンXLRをかませてシングルエンドの標準プラグにつながります。ケーブルははじめからリケーブルしているような品質のよさそうなもので、HE5LEのときは音質傾向の違うケーブルを二点同梱するなど迷いが多少ありましたが、これははじめから文句のない良いものがついているという感じです。

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もし途中のキヤノンプラグがあまり好ましくないときには、Moon AudioでもとからXLR二個バランスに変換するケーブルが販売されています。
http://www.moon-audio.com/HiFiman.htm
自作する人にはこちらに(HE5ですが)サードウェーブさんの解説ページもあります。
http://www.twctokyo.co.jp/hifiman/balance%20drive.pdf
Audio-gdなんかもバランスヘッドフォンはこの4ピンキャノンx1を使っていますが、中国オーディオ界の標準なんでしょうか。前にも書きましたが、バランスヘッドフォンでXLR二個になっているのはバランスヘッドフォンアンプが元々物理的に二つアンプが分かれていたときの名残です。(そのときははっきりとBTL構成のようなものだったわけです)

HE6の特徴はまずなんといっても能率が異常に低いということです。K1000以降ではこれが一番鳴らしにくいヘッドフォンだと思います。
普通は鳴らしにくいといってもたいていはiPodなんかでもフルボリュームにすると普通聴くくらいにボリュームを取ることはできますが、HE6ではまったく音量が取れません。ためしにあるポータブルアンプを使ってみたらクリップしてしまいました。あわてて音量を下げましたが少し驚きました。
つまり高性能のヘッドフォンアンプが必須です。

試聴したシステムはWin7からFoobarまたはHQ Playerを主に使い、USB経由でAudiophilleo1からHeadroom desktopのDAC/Ampにつないで使いました。
まず驚くのはいままでHeadroom Desktopってゲイン過剰かとも思っていて、HD800でさえボリュームが取れすぎるくらいだったんですけど、HE6を使うとハイゲインにしてボリューム12時前後でちょうど良いくらいという振り切り状態にびっくりします。高音質盤のノーマライズしてないタイプのレベル低めの録音だと1-2時くらいになります。HE6はスピーカーアンプ使う人もいるようで、ここでK1000端子だとK1000用のスピーカーケーブルが使えるという利点があります。
一方で鳴らしにくく発音体が動きにくいということは、いったん動かすともとにすばやく戻りやすいということですから、鳴らせる力をもったアンプを使うと端正で正確な音が出せるということにもなります。強いバネをもって引っ張り、パッと離すようなものです。
また不要な雑音程度では動かないわけですから、ノイズフロアも低くなるので背景もすっきりと黒くなるでしょう。HE6ではそれがよく音に反映されていると思います。

実際に聴いて見るとまず音が早くてシャープで切れが良く緻密です。比べるとLCD2が少し甘めに感じくらいです。良い点は、それでいてハイの痛さがなく、逆に音が豊かで厚みがある点です。弦楽器の響きが豊かで倍音をたっぷり含んでいる感じがします。またヴォーカルも肉質感豊かで滑らかに気持ちよく描かれます。
背景も深く漆黒で音像の重なりも立体的です。かつ空間が広く、ゆったりとした余裕とスケール感を感じます。低域は深くて量感を感じ、たっぷり空気が動く感じがします。それでいて帯域的なバランスもよく、不自然な強調感はありません。
オーディオベーシックの低域テストの意図的にローカットしたテストファイルでは、いままでで一番ローカットのあるなしの差がわかる気がします。

端的に言ってHE6は音楽的でいて、かつHiFiであるという点を高い次元で両立しているところがすばらしいと感じます。音が軽くなく重みがあるし、楽器の音がタイトでスピードがありインパクトがあるのでロックもかっこいいですね。もちろんオーケストラのスケール感もあり、広いジャンルに適合すると思います。
全体的なレベルはハイエンドヘッドフォンと呼ばれる中でもかなり上でしょう。HE5LEからもずいぶん向上を感じます。ケーブルの質もよいですね。すばらしい仕上がりのヘッドフォンです。
実際にあんまり文句をつけるところがないという感じです、良いアンプがあれば。

HE6は私がこういうものを作ってほしいと考えていたものを作ってくれたヘッドフォンです。それは能率が低くてきちんとしたアンプなしでは鳴らせないけれども、きちんとしたアンプがあれば、あたかもそれと有機的に一体となってすばらしい音を作り上げる、というものです。
しかし、多くのメーカーはあいかわらず32オームとか、一般に広く売れるところに固執しています。
Head-Direct/HifiManブランドってたとえばPK1のようにイヤフォンのくせにiPodではならせないでポータブルアンプが必須である、しかしアンプとあわせるとすばらしい、というような製品を前にも出しています。また最近のHM801ではポータブルのわりにはかさばるのに、中身はハイエンドCDPなみのDACチップであるPCM1704を搭載してアンプ交換式、などのまさにマニア向けのものを作ってくれます。
Head-Direct/HifiManブランドの良さはそうした「一般人には理解されなくとも、オーディオマニアがいままで欲しかったもの」を作ってくれるところです。HE6もそうです。
音はすばらしいのですが、きちんとしたヘッドフォンアンプがない人には残念ながらお勧めできません。もしきちんとしたヘッドフォンアンプをもっている人であれば、20万円出しても安いと思います。

わたしもいまのHeadroomがHE6を鳴らしきっているとは思いません。いままでHeadroom Desktopを変えてなかったのは上のような背景があって、結局どこもそうしたヘッドフォンを作らないならDesktop balancedで十分、となめて考えていたからだと自分でも思います。いまHE6のおかげでひさびさにまたアンプの方にも燃えてきました。さて、、
posted by ささき at 23:46 | TrackBack(0) | __→ HifiMan HE5, HE6 平面ドライバ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月28日

コンピューターオーディオとソフトウエアドメイン

オーディオではCD時代からデジタル処理が取り入れられ、そこからずっとデジタルドメインとアナログドメインの二つの世界が混在して来たわけです。それぞれにデジタルドメインの問題とかアナログドメインの問題を抱えています。
しかし、このコンピューターオーディオの時代ではそれに加えてビットパーフェクトや演算誤差などソフトウェア的な要因で音が変わります。これはデジタルドメインとも切り離して考えるべきだと思いますが、そうした要素は「ソフトウエアドメイン」と呼ぶべきではないかと思います。

演算誤差などは本来は従来のDACでもファームウエアレベルであったわけですが、コンピューターオーディオ時代でははるかに複雑になっています。
たとえば人類がいままで作ったもので一番複雑なものはスペースシャトルだそうです。シャトルは約250万点もの部品から構成されています。一方でWindows OSは5000万行以上とも言われるプログラムから構成されています。これは5000万点の部品があるのと同じことです。シャトルと比べてもパソコンのOSというのはかくも複雑であり、さらにその上で走るソフトウエアもフレームワークやライブラリなどを考えれば数万から数十万行くらいの部品点数はざらにあるわけです。そしてこれらが資源を共有しながら同時にいくつも実行され、データが行ったり来たりします。
それがソフトウエアドメインの世界です。

実際こうした概念を導入することで、コンピューターを使ったオーディオが独自に抱える問題というのがわかりやすくなると思います。コンピューターオーディオというのはもはや単にCDプレーヤーの延長ではないし、反面でこうした複雑さがまた高度な柔軟さを可能にしているといえます。
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2010年11月26日

iOS4.2とFLAC PlayerとiPadのハイレゾ再生

iOS4.2のUSBオーディオ機能強化とFLAC Playerの件ですが、知見ある人に確かめてもらったところ、FLAC Playerで96/24の曲を再生するとやはり96kHzのハイサンプリングで出力されているようです。また96だけでなく88も対応されています。FLAC Playerを使えばなんとiPadでハイサンプリング再生ができると言うことですね。(iPodアプリではだめのようです)
ただしビット幅(レゾリューション)の方はUSB DACには24bitで送られていますが、中身は16bitが詰められて下位8bitはゼロの状態で送られているようです。つまりUSB DACで扱うためにデータを24bitにそろえていますが、中身はハイレゾデータではなくなっています。

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Band on the RunとFLAC Player

そこでFLAC Playerの作者のDanさんに直接聞いてみることにしました。こちらはFLAC PLayerのリンクです。
http://itunes.apple.com/jp/app/flac-player/id390532592?mt=8
Danさんの言うところによるとFLAC Player側では常にFull-qualityでiOS側に送っているということです。48/16という制限も以前のiOSがそうだったからということのようです。4.2での変更点については良くわからないが、いま96kだせるのならその変更が関係しているのだろうということです。
それを考えるとやはりこのiOS4.2ではiOSのCoreAudioでなんらかの変更があったと言うことと、8bitを削っているのはiOSの方であると言うことが推測できます。
もし96/24のハイレゾ音源がiPadでビットパーフェクトで出るとなかなかすごいことなので、Danさんのほうでこの件についてちょっと見てくれると言うことです。
さて、また面白くなってきました。
posted by ささき at 10:38 | TrackBack(0) | __→ iPod, iPhone, iPad | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月24日

iOS4.2リリースとUSBオーディオの進歩

難産でしたがやっとiOS4.2がリリースされました。当初はもっと早い予定だったんですが、本来は本番前の再確認程度のGM(Golden Master)リリースにWiFiだったかバグが見つかり、再度GMリリースしたんですが、今度はVoIP(スカイプなどで使う)で結構深刻なバグが見つかったため、結局4.2.0はスキップされて、いきなり4.2.1からのリリースとなりました。4.2は初のiPhoneとiPadの統合版となりますので色々と問題も多かったようです。
iOS4.2ではこれまでiOS3.0ベースだったiPadの4.0相当のマルチタスクやアプリフォルダー対応などがメインです。実際にiPhone4ではFLAC Playerで音楽を聴きながらSafariでウエブを閲覧したりできたんですが、iPadではSafariを立ち上げたとたんに再生が中断されてしまいました。iOS4.2を適用するとiPadでもFLAC Playerを再生しながらSafariを立ち上げたりできます。

また、このほかにも色々な新機能があります。
中でもオーディオ的に注目はAirPlayですが、これについては主にAppleTVや対応機器がないと使えないのでうちでは省きますが、こちらのPhilewebさんの記事によくまとまっていると思います。
http://www.phileweb.com/review/article/201011/23/210.html
うちのブログ的にはAirPlay対応のワイヤレスイヤフォンやポータブルヘッドフォンとかがあると面白いかと思いますね。ただデノンなどのアップグレードポリシーを見るとライセンス費用がかかりそうなので、小型化というよりちょっとその辺でむずかしいのかも。

もっとうちのブログ的には以前から書いているところのUSB DAC対応の強化があります。やっときましたと言う感じですね。
さっそくWavelengthのProtonにカメラコネクションキットを使って接続してみました。iPadにカメラコネクションキットのUSB端子の方を接続して、そこからUSBケーブルでDACに接続します。

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いままではiPadが接続を拒否するようにスピーカーから音が流れてしまいました。
しかしこの4.2.1ではそうしたこともなく、きちんとDAC側でロックして音が出てきます。
しかも、iPodアプリだけでなくFLAC PlayerでためしにBand on the runの96/24を再生してみると、なんと再生できるだけでなくちゃんと96kでロックします! LINNのダウンロードでもOKでした。
ビット幅はわかりませんが、サンプルレートではハイサンプリングになっているようにみえます。FLAC Playerのアプリの説明のところでは96/24は再生できるけど48/16になると書いていますので、この辺はもうちょっと試してみないといけませんが、ちょっと興味深いところです。あるいはiOSのCoreAudioで思ったより手直しがあったのかもしれません。(iOSとMacOSXは共通部分もまた多くあります)
ちなみに今回の改良についてはWavelengthのゴードンさんのアップルへの働きかけがあったように思われます。もちろんこれでiPadでAsync対応のUSB DACが使えると言うことがわかりました。

この4.2.1で改良された点をわたしが色々試した結果からもう少し詳しく考察するとこうなるのではないかと思います。
USB DAC(デバイス)をPCとかiPad(ホスト)に接続すると、デバイスの対応するサンプルレートとビット幅の情報リストがホストに渡されます。このときにデバイスによっては24ビットしかサポートしてないものとか、16ビットだけ、あるいは16ビットも24bitもサポートされているものとか様々です。
Protonは24ビットのみサポートしているタイプですが、このタイプは16ビットは24ビットに詰めて(パディング)転送することをホストに要求します。始めProtonがiPadで接続できないのは、このパディング処理ができないからだろうと踏んでいました。
しかし、いろいろとiPadとUSB DACを試しているうちに16ビットをサポートしているものでもiPadで認識できないものがある、ということがわかってきました。この時点でちょっと悩んでしまったんですが、どうやら16ビットしかサポートしないのではなく、24ビット「も」サポートしているとダメなのではないかということがわかってきました。あるいは48を超えるサンプルレートのサポートがあるとダメで接続を拒否するようです。
今回の4.2.1での解決はこの対応を緩和させたということのように思います。つまり48/16対応のものだけではなく、より多くのUSB DACで対応できるようになったということです。
Wavelengthのゴードンさんが4.2ベータで試したところの話ではProtonには16ビットでしか来ていないということなので、あくまでiOSでは現在のところ48/16が取り扱える上限かもしれません。しかしそうすると上のFLAC PLayerの96kで再生できている点とは異なるのですが、ここはちょっと調べてみたくなります。なかなかにまた悩ませてくれますね。
また、バスパワーの問題は解決されてないのでDACportなどでは電力不足とのメッセージが出ます。ここはまた別の問題です。

ちなみにiPhoneではiOS4.2にしても使えません。試してみましたが、そもそもカメラコネクションキットを認識できません。これはiPadアクセサリだからでしょうね。

いずれにせよちょっとした進歩ですね。iPadで対応できるUSBオーディオ機器が広がれば、数百万台と言うiPadの販売台数を考えるとすごいインフラの市場がこのアップデートでポンと出現したことになります。USBオーディオのAsync対応まで可能です。
このアップデートはiPadにとっては小さなアップデートだが、USBオーディオにとっては偉大な飛躍だ、という感じでしょうか。
posted by ささき at 23:33 | TrackBack(0) | __→ iPod, iPhone, iPad | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Amarraのディザ処理とビット幅の関係について

Amarraついでですが、ちょっと気がついたことを書いておきます。
HQ Playerのところで信号処理のいろいろを書きましたが、Amarraにもこの処理があります。それはビット幅を変えるときのディザ処理です。

ディザ.gif

これはPreferenceのメニューから開いたDither Settingsで行いますが、これは次のような動作をしているようです。(*Amarra mini 2.0によるもので、20bitの設定は省きます)

1. 再生しているデータが24bitのとき
Dither on playbackをONにすると
→ output word lengthの設定にかかわらずディザ処理をして16bitで出力する。
Dither on playbackをOFFにすると
→ output word lengthの設定にかかわらず常に24bitで出力する。

2. 再生しているデータが16bitのとき
Dither on playbackをOFFにすると
→ output word lengthの設定にかかわらず常に16bitで出力する。
Dither on playbackをONにすると
→ output word lengthの設定が24bitのとき、ディザ処理をして24bitで出力する
→ output word lengthの設定が16bitのとき、ディザ処理をして16bitで出力する

これはAudiophilleoのbit幅表示を見て確かめました。Audiophilleoでは送り出しのビット幅(AudioMidiでの設定値)にかかわらず、DDCの中でパケットを直接内蔵のスニッファーで検査して下位8bitが00だと16bitとみなして表示しますので、実際に送出されているデータで確認できます。

上の結果はちょっと変則的にも見えますが、マニュアルにも書いているとおりディザ処理というのはビット幅の変更をするときの補正オプションです。そのため24bitのデータのときにディザ処理をすると16bitに変更されるというのはそうおかしいことではありません。なぜかというとマニュアルにも書いてあるのですが、もともとDither処理は48/16などの16bitのDACなどに出力するときに使うものだからです。

このときに注意するのは、CDからリッピングした44/16のデータを聞いている分にはDitherをオンにしたほうがよく聞こえるのでオンにしたくなりますが、そのまま24bitのハイレゾデータファイルを再生すると16bitで出てしまいます。つまりAudioMidiで24bitを出力に選択していたとしても16bitが詰められた24bitで出ることになります。
ハイレゾデータを24bitのまま出したいときはDither on playbackをオフにしなければなりません。これはAmarra独特のものですが、ハイレゾ再生っていたるところに盲点がありそうです。
posted by ささき at 00:05 | TrackBack(0) | __→ PCオーディオ・ソフト編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月23日

音展とAmarraセミナー

音展に行ってきました。これはもとAVフェスタと言っていたもので、いまは秋葉原で開催されています。今回画像は前半がPowershot s95で、下がiPhone4(インスタグラム)です。
http://www.oto10.jp/
オーディオブランドではナスペックとかフォステクス、タイムロードさんなんかも出展していましたが、AVやホームオーディオ向けのショウですので、タイムロードさんではMKサウンドの7.1chシステムなんかを出展してました。ヘッドフォンとかピュアオーディオとはまた違った面でしょうか。

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タイムロードブース、ナスペックとフォステクスブース

ソニーのブースではPCMレコーダーのD50などを使って生録イベントなど参加して見ましたが、実際にやってみるとまた面白いですね。同じ演奏を指向性マイクや無指向性マイクの違いで聴き比べるなんかも興味あるところでした。
あとでコルグのMR2をカスタムイヤフォンで聴いてみてちょっと悩んでみたりとか^^

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こちらAmarraのソニックスタジオの出しているオーディオインターフェースです。これははじめて聴きましたが、なかなか良い音です。MacとはFirewireで800->400の変換ケーブルを介しているようです。また、Amarraの開発の人が来てセミナーをするというので聴講して来ました。

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内容的にはAmarraの人が少ししゃべるとスタートラボの人が3倍細かく説明するという感じではありましたが、再生には音楽再生専用のMacを用意して欲しい、MacMiniが良いがいったんカスタムインストールし直してジャーナリングなしでフォーマットして欲しい、外部HDDではNasとかUSBはあまり推奨ではなく、Firewire推奨とのこと。あとはSpotlightをはずして欲しい、リッピングはMaxとかcdparanoiaでAIFFにして欲しい、などなどです。
ちなみにMaxはAyreWaveの作者が作ったソフトです。
http://sbooth.org/Max/
cdparanoiaのMacOS版はこちら。DarwinはMacOSXのカーネル部分の呼び方です。
http://cdparanoia.darwinports.com/
これらの設定のコツについてはデモ版のダウンロードをするとガイドが書いてあるということです。

なぜAmarraは音が良いのか、ということについてはデータの扱いについて最適化をしている、CoreAudioの大部分をバイパスさせている、などでした。この辺はAudirvanaのところでもちょっと描きましたが、一口にCoreAudioをバイパスと言ってもすべてバイパスはできませんが、可能な限り短縮化しているということのようでした。

DSD対応についても少し触れて、いまフルバージョンでPCM変換させて対応しているが、将来的にはDSDダイレクト出力も検討はしているとのこと。現在のCoreAudioの仕組みでは難しいということもあるようです。この辺は他のMacプレーヤーソフト製作者たちとの間で誰が最初にやるかを戦々恐々と眺めているという感じのようです。
またQ&AコーナーではなぜWindowsはやらないんですか、ということにはMacの方がオーディオに向いているとか、Windowsだとビットパーフェクトで作りにくいとか回答がありました。あくまでこの方の回答ということですので。。

あと新製品のAmarra Vinylの話も出ました。ところでVinylはヴィニールじゃなくヴァイナルって発音するんですね。感心したのはそこかいって感じではありますが、辞書見てもva'inlと書いてますね、たしかに。
ちなみにこの前のヘッドフォンショウでCEntranceのマイケルに、SPDIFはスピディフって発音するんだよって教えられました。日頃けっこう英語フォーラム読んだりメールでやりとりしてますが、オーディオで使う英語はこういうショウが勉強する良い機会かもしれませんね。

あとはざくっと省きますが、一応ヘッドフォン、ネットワークオーディオ、USBオーディオと抑えたコーナーは設置していましたが、とりあえず集めてみましたというくらいではあります。
ここはインスタグラム(twitterみたいなSNSを画像でやるサービス)で遊んでしまいましたので、秋葉原スナップと合わせてどうぞ。インスタグラムでの表示ページはこちら。
http://instagr.am/p/VkkF/

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posted by ささき at 22:00 | TrackBack(0) | ○ オーディオショウ・試聴会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月19日

音展でPCオーディオfanセミナー開催

今週末に秋葉原で「音展」が開催されますが、そこで角田先生によるセミナーが開催されます。和田先生も参加するということですので、ぜひおこしください。11/21(日)11:00からです。詳細は先日公開されたウエブ版のPCオーディオfanにて掲載されています。
http://www.pc-audio-fan.com/

なおウエブ版のPCオーディオfanには私がPCオーディオfan2で書いた記事も再録ですが掲載されていますので、よろしくお願いします。
posted by ささき at 09:42 | TrackBack(0) | ○ PCオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月17日

Band on the Run (96/24) - ポールマッカートニーとウイングス

Appleが本日を忘れられない日にすると、大掛かりなティザー広告をうって明らかにしたのはビートルズのiTunesミュージックストアで音楽配信でした。ビートルズのネットでの楽曲配信は初となります。
Appleの社名の由来というのは公式には明らかにされていないのですが、ビートルズのアップルレコードのリスペクトというのが一般的な説です。もともとAppleが文字通りガレージメーカー(ジョブズの家のガレージ)であったころはいいんですが、Apple社が大きくなるにつれ、社名をめぐってアップルコンピューターとアップルレコードは争ってきました。一時はAppleコンピューターが音楽業界に手を出さないと言う条件で和解したのですが、AppleがiPodを出すときにまたこじれてしまいました。その後2007年にまた和解していまに至ります。そんなこんなで来たので、ビートルズがアップルレコードならぬアップルコンピューターから発売されるというのはなかなか画期的なことなわけです。(いまはコンピューターは社名についていませんが)

とはいえ、わたしはそんなにビートルズが好きというわけではないのでこれ自体はとりあげません。
わたしはどちらかというとビートルズと言うよりは、ウイングスです。その出世作となった1973年発売の名アルバム"Band on the Run"がHDTracksからハイレゾで配信されています。このころはまだ「ポールマッカートニーとウイングス」と呼ばれていました(あとで単にウイングスになりました)。
https://www.hdtracks.com/index.php?file=artistdetail&id=9433

特徴的なのはCompressバージョンとUncompressバージョンというのがあることです。
Compressバージョンというのは普通のポップアルバムのエンジニアリングのようにコンプレッサーがかかったもので、迫力を得やすい代わりにダイナミックレンジがつぶれてしまいます。Uncompressバージョンはそうした処理がされないもので、いわばオーディオファイル向けバージョンです。
ただし、上のページにも書いてありますが、このアルバム(CD盤リマスター)に際してはCompressバージョンでもそれほど強くコンプレッサー・リミッタ処理をかけていないと言うことです。Band on the RunはCDの発売が配信より先ですが、このCDのリマスタリングの段階において基本的にそうした考えだったようです。もともとアナログ向けに出した音源をCD化するさいにはそうした方が良いというエンジニアの判断のようです。

わたしはUncompress盤をアルバム単位でダウンロードして、「ジェット」だけCompress盤でも購入してみました。たしかに違いはありますが、少し違いがあると文字で書いても分かりにくいと思うので、可視的に説明してみます。
下記の図はジェットのさびの部分をSonic VisualiserでWaveform解析したものです。Sonic Visualiserは音楽・音声データ解析用のツールで、もともと音紋分析など論文書きなどに使うためのものでもあるようなので、レイヤーを使ったり、二つのデータの表示比較が便利なツールです。
http://www.sonicvisualiser.org/
横軸は時間で高さは強度です。ピークのところが"Jet!"と連呼しているところですね。上(黒)はCompress盤で下(赤)はUncompress盤です。実際Compress盤ではレベルが高いのですが、このアルバムではそんなに高くはなく上品なほうに思えます。いまどきのポップならもっと強調されたものになるでしょう。

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ためしに両方のレイヤーを重ねて表示してみるとこんな風になります。たしかにあまり大きな差はありません。

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次に周波数を見てみます。これは下の波形図のカーソルのある部分(付近)の周波数をあらわしたものです。(そのサンプルではありませんのである時間単位の和です)左が低域で右が高域です。上がCompress盤です。
これに関してはほとんど同じで、ややCompress盤が高いくらいですが、あまり特定帯域に対しての作為はないようですね。

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このアルバムはCompress、Uncompressにかかわりなく、音質を考えて作られたアルバムといえるでしょうね。実際に聴いてみるとたしかに明瞭感があり、楽器の音もクリアに気持ちよく聞こえます。アナログ時代の昔の音源でも、きちんとエンジニアリングすれば、まだまだ今に通用すると言うことですね。
もちろん曲自体いま聞き返しても魅力的です。今度はヴィーナス・アンド・マースをやってほしいものです。


ちなみに山本さんのStudio K'sで今月の11/27にこのBand on the Runをはじめ、レノン&マッカートニー&ジョージ・ハリスンの曲をかけるイベントをやるということです。参加はドリンクつき1000円でプラス500円でケーキがつくと言うことです。
http://studio-ks.net/
http://www.green.dti.ne.jp/ridingthescree/
ご興味のある方はぜひどうぞ。


posted by ささき at 02:13 | TrackBack(0) | __→ ハイリゾリューション音源 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月15日

オーディオファイル向けミュージックプレーヤー (12) - Audirvana

またMacOSX用のミュージックプレーヤーソフトが出てました。Audirvanaというソフトです。MacOS 10.6対応ということで、ホームページはこちらです。
http://code.google.com/p/audirvana/

ちなみに名前はAudio Nirvanaから来ていると思います。headfiでもニルバーナ(涅槃)ってよく使うんですが、向こうの人はAudio Nirvanaというと「オーディオ天国」という意味だと考える様ですね。

*Audirvanaの特徴

機能としてはデバイスの排他処理をして、自動サンプリングレート切り替えが出来ますし、曲データをメモリー上に展開して再生可能、と一通りMacの高音質プレーヤーの要件は揃っています。
またアップサンプリング可能ですが、アップサンプリングは再生時にリアルタイムにやるのではなく、ディスクから読んでメモリーにロードする前に一括変換するようです。つまり再生する時点ですでに変換されているというわけですね。これは再生時に負荷がかからないと言う点で良いですが、ロードに時間がかかってしまいます。そこで対応予定リストに先読みバックグラウンド変換が予定されています。
対応ファイル形式はFLAC、ALAC(Appleロスレス)、WAV、AIFF、AACなどだいたいカバーしてます。ギャップレスに対応してAppleリモートもサポートしているということです。

Audirvanaの特徴はHALに直接アクセスするというところです。前のCoreAudioの記事のパスをみてもらうとわかるように、たいていのプレーヤーソフトはCoreAudioをAU(AudioUnit)->HAL->デバイスという経路でAUを通過して音声信号を出します。例えばPure MusicなどはAUを通過しているというのは、Pure MusicがAUプラグインに対応しているという点から逆にわかります。
リサンプルもそうですが、AUの役割はアプリケーションから見るとデバイスと同じ意味であるHALの前にバックエンドとして介在してオーディオストリームの操作ができる様にする点にあると思います。ただその用途はAUプラグインの様に主にDTMソフト用にも思えるので、再生専用ならパスしても良いかもしれません。ただ相応のコードを書かないといけないようです。実はAmarraはAUをスルーしてそれをやってるようなのですが、このAudirvanaもそうしたHALダイレクトアクセスをしているのではないかと思います。Win7での排他WASAPIに近いかもしれません。

もう一つの特徴はオープンソース(GPL)ということです。Amarra、Pure Musicは有料だし、AyreWaveも正式版は有料化するようですが、これはおそらく無料のままでしょう。
これは個人が楽しみのために作ったものということですが、対応予定リストを上げて共同開発者を募ってます。
機能予定リストには使い勝手の向上以外に、DAC physical formatの対応というのがありますが、これが他のソフトで言っているintegerモードのことかもしれません。physical formatというのはデバイス(HAL)で扱える整数形式のことで、対してAudioUnitで使われる32bit浮動小数点形式はvirtual formatと言うようです。

*Audirvanaの使用と音質

立ち上げるとCDプレーヤーの形をしたウインドウが現れます。プレイリストに楽曲ファイルをドラッグして再生ボタンを押すことで再生します。日本語表示も問題ありません。

Audirvana2.gif

音はすばらしく良くて、他のソフトに比べて透明感があり、深みのある奥行きを感じられます。HALダイレクトの効果でしょうか。スムーズで粗さがなく、楽器や声もリアルです。これはなかなか良いかも、個人的にはかなり気に入りました。もしかしてAmarraより。。

設定パネルはこちらです。アップサンプリングのオンオフやメモリーロードに使う領域サイズなどが設定できます。

Audirvana1.gif

メモリーロードするのでスキップさせると曲間はやや開きます。ただアップサンプルは一括変換させるのでさすがに時間がかかりますし、ちょっと不安定です(メモリ2GBのAirだからかもしれません)。はじめはアップサンプリングなしで使うことを薦めます。あとAudiophilleoで176kHzで出そうとすると動作がおかしくなるように思えます。96kHzまでは問題ありません。この辺はオーディオクラス2の実装とからむかもしれません。
しかしこれは今後がかなり楽しみです。

いままでミュージックプレーヤーソフトは数ではWindowsの独壇場でしたが、一気にMacソフトも良いのが増えて来ましたね。質もかなり高いものがそろっています。これからコンピューターオーディオを始める人も、もうやってる人もますます迷ってしまうでしょう。プレーヤーソフトだけ取り上げても一年前の状況とは違いますね。変革期にいると言う実感があります。
posted by ささき at 23:07 | TrackBack(1) | __→ PCオーディオ・ソフト編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月14日

映画サイレントランニングとジョーンバエズ

実は私は結構映画アヴァターが好きなんですが、先日また特別編をiMAXシアターで見に行きました。そうしたらちょっとなにか思い出すものがありました。そしてあとで追加映像が含まれる新バージョンDVDがまた発売され、その冒頭が荒廃した地球から始まるものに変わる、というニュースを見て思い出したのは映画「サイレントランニング」です。
サイレントランニングは1972年に製作されたもので、SF映画としては古典的な作品です。「2001年宇宙の旅」が1968年、「スターウォーズ」が1976年なのでその中間ほどの作品です。2001年宇宙の旅などのSFX監督で知られるダグラストランブルが監督として撮影したものです。しかし収益が思わしくなかったため、あまり知られてはいませんが、その質の高さから一種伝説的な映画と言われているものです。

これは音楽と映画という関係でも面白いものがあるので、今回取り上げて見ます。
ネタばれになりますが、もうDVDも絶版でまずほとんど見ることはないと思いますのでYoutubeでアップされているシーンを含めてストーリーを追って紹介してみます。

SFX監督の映画というと派手なものを思い浮かべるかもしれませんが、冒頭は下記のような花々をアップにした背景に優しい音楽がかぶさる美しいものです。この音楽はテーマ曲のインストバージョンです。



次のカットもなかなか良いのですが、主人公がキッチンで果物を洗っているところをカメラがパンしていくと、この映画の舞台が現れます。実はさきの緑の木々はこのドームの中だったわけです。
そしてかぶさるように大統領のナレーションが設定を解説します。

「大いなる世紀の初頭に当たり、
われわれは惜別の情とともにこの最後の緑に別れを告げる。
いつの日にか地球に緑が戻ることを願う。
神よ、その日までこの緑の庭を守りたまえ。森の守護者たちに祝福あれ。」




実はこの映画は冒頭部を除いて全編を通じてほとんど主人公の植物学者であるフリーマン・ローウエル(ブルースダーン)と3体のロボットしか出てきません。これは低予算で作られたからということもあるかもしれませんが、少し性格のきつめな主人公の一人芝居と、子供のように純真無垢なロボットの演技がとても良い対比をなしています。 (ロボットは当時なので小さな俳優が入っています)

ここで"Rejoice in the Sun"というジョーンバエズが歌うテーマ曲がかぶさります。
ジョーンバエズは60年代を代表するフォーク歌手ですが、プロテストソングの歌手としてよく知られています。「ドナドナ」もそれまでは民謡にすぎなかったんですが、ジョーンバエズがベトナム戦争で兵士が従軍するさまにかけて歌い流行させたものです。
この未来SFというテーマと素朴なフォークソングの取り合わせが絶妙な演出です。



しかし細々とドームで保護されていた最後の緑の木々にも政治的に廃棄の命令が下されます。ローウエルはそれに逆らい、一隻の船で逃走します。

おなじく"Silent running"というジョーンバエズの歌がこの孤独な逃走を象徴しています。
このように映画では当時の音楽とうまく融合が図られています。
ちなみにこの二曲は探したんですがジョーンバエズのCDにはないようなので、もうこの映画の中でしか聴くことができないと思います。


最後には結局地球からの捜索船に見つかってしまいます。あきらめたローウエルは最後の緑のドームにロボットを一体いれ、ドームを船から切り離します。そして「子供のころビンに手紙を詰めて流したけど、あれはだれかに見つかったのだろうか」とつぶやき自らは船とともに自爆します。

ラストシーン、ドームにひとり残ったロボットはじょうろで木々に水をかけ、いつまでも世話を続けます。ラピュタもこれに影響されていると思いますが、印象的なラストです。

そして最後にまた"Rejoice in the Sun"がリピートされます。

「太陽の下で
子供たちをそばに引き寄せなさい
そして愛するものはみな死にゆく運命にあると教えなさい
なぜそうなのかも

そしてまだ遅くはないと教えなさい
だから少しずつ少しずつ種を植えていきましょう
太陽の下で収穫を喜ぶために」



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2010年11月12日

ポータブルPCオーディオ Sharp T1編

ヘッドフォン祭でDACportのデモにSharp Netwalker T1を使ったんですが、これはどういう風に組むのかという質問がありましたので簡単に書いておきます。

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以前SharpのNetwalkerを使用したポータブルPCオーディオを紹介しましたが、その後継でタブレット型のNetwalker T1が中古で半額くらいになってましたので、またちょっとポータブルPCオーディオを復活させました。(ちなみにポータブルネットワークプレーヤーの記事はこちら)
Sharp T1(Ubuntu 9.04)上でミュージックプレーヤーはListenを使い、楽曲ファイルはFLACでminiSDに格納します。USBケーブルはこのときはフルテックで、あとはDACportに接続するだけです。DACportはUSB DACとヘッドフォンアンプが内蔵されているので、このままヘッドフォンにつなげばHD800でも十分鳴らせます。
こんなシンプルでコンパクトなシステムから上質な音が出るのに驚く人も多かったようです。

まずT1ですが、タブレット型というのもちっょと気恥ずかしいのですが、タブレット機として定価でiPadなどと比べるものではありませんので、そういう使い方をしたい人は迷わずiPadを買ってください。ただしリウドのBluetoothキーボードをつけると、ワープロ用途には役に立つと思います。リウドのBluetoothキーボードを買うときはJIS版が良いと思います。(iPhone/iPadに使うときはUS版が必要ですので注意ください)

ここではあくまでT1を携帯プレーヤーとしてのみ使います。T1の唯一にして最大のよいところは普通のUbuntuを搭載していることです。ただし全てのUbuntu対応アプリケーションが走るわけではないことに注意が必要です。T1と最新のUbuntuプラットフォームの違いはT1がインテルベースでないということと、OSが9.04であるということです。また9.04も若干シャープ向けにカスタマイズされています。9.04とはUbuntuの場合は2009年04月にリリースしたパッケージという意味です。Ubuntuは年二回リリースされています。

USB DACベースのポータブルPCオーディオプレーヤーとしての使い方ですが、次のような手順です。参考文献として「Netwalkerガイドブック」(P54)を参照していますので、詳しくはそちらもみてください。

1. まず買ったらネットに接続して最新の状態にシステムをアップデートします。
初期状態では無線がオフになっているかもしれないので、無線LANを使うときはメニューからデバイス設定を開けて確認します。

2. アプリケーションの追加と削除から、全ての対応アプリケーションを選択して、検索欄に"Ubuntu ristricted extras"と入れて選択し、ダウンロードします。これはCODEC対応のためです。

3. ミュージックプレーヤーソフトとしてListenおよびExaileをダウンロードします。ためしたところこの二つが満足いくほど実行できるミュージックプレーヤーでした。これと9.04の標準の動画プレーヤー(Totem)の3つがT1ではうまく使えると思います。他はUSB機器を認識しなかったり、立ち上がらなかったりであまりうまく使えません。

4. MicroSDにFLAC形式で楽曲ファイルを格納して適当なフォルダ分けして、T1に挿入します。最新のアップデートをしていれば自動的にマウントされるはずです。楽曲ファイルはプレイリストで管理するためタグがついているのが好ましいです。

5. USB DAC(たとえばDenDACやDACport)をT1に接続します。そしてメニューからオーディオ設定をあけてドライバーとミキサーの組み合わせを選択します。
Ubuntuではいくつかのドライバーとバックエンド(ミキサー)の組み合わせを選択できます。9.04のT1ではわたしはOSSを使いました。(ALSAも動作はするようです)

6 ListenまたはExaileを立ち上げてMicroSDの音楽ライブラリーをインポートする。

Linuxにもたくさんのミュージックプレーヤーソフトがあります。多機能なものから、シンプルで音質に特化したものまでけっこう多彩です。ただしT1では先に書いたようにすべては動作できません。OSSでちょっと試したところではExaileの方が高機能ではありますが、音はListenの方がやや良いように思えます。
ちなみにこちらExaileです。
http://exaile.org/
こちらはListenです。
http://www.listen-project.org/
Ubuntuの場合はパッケージマネージャーでインストールできるのでこれらのホームページはあまりみなくて良いと思います。メニューのアプリケーションの追加と削除からインストールしてください。

このT1とDenDACまたはDACportを組み合わせて、フルテックのUSBケーブルで接続しています。やはりこのUSBケーブルが長いというのがネックではありますね。また、USBポートが上面に移動したことで、取り回しが厄介ではあります。

ちなみにこんなコンパクトシステムだけではなく、本格的なフェーズテックHD-7Aなんかにも使ってみてください。きっと驚くと思うとともに、トランスポートってなに、というところを自問してしまうかもしれません。
posted by ささき at 23:35 | TrackBack(0) | ○ PCオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月10日

DSDの夜明け

CAフォーラムの記事によると、DSD対応したDACが12月に$1500で登場するようです。
http://www.computeraudiophile.com/content/Mytek-Stereo-192

こちらのMytek Stereo 192です。これはつまりPCMにいったん変換せずに直でDSDで入力が出来るということですね。
http://www.vintageking.com/Mytek-Digital-Stereo192-DSD-DAC

メーカーサイトはこちらです。
http://www.mytekdigital.com/index.htm

この前書いたSabreチップを使うようです(ES9018かどうかは不明)。Sabreはデルタシグマ系のチップです。DSD+Sabreということで流行りの先端をいっていますね。もちろんPCMも192まで対応でき、USBもアシンクロナス対応でFirewireも付いてヘッドフォンアンプまであります。

またDSDを再生できるプレーヤーソフトではコルグがDSD再生ソフトのAudiogateをフリー化するというニュースが下記にあります。twitterアカウントが必要など厄介なところもありますが、一歩前進でしょうか。
http://www.korg.co.jp/News/2010/1105/

またDSD配信も広がってるのか、下記のBluecoastというアメリカのサイトでもDSD配信を始めています。
http://bluecoastrecords.com/blue-coast-collection
こちらはアメリカらしいブルースとかカントリー系のようですが、数曲買って見たところ録音もなかなか良いです。
DSD配信形式はノルウェーの2L同様にDFFと、ototoyのようにDSFの両方でやってますがここはDSFはディスクイメージで配信しています。

DSDのファイル形式にはいくつかあり、このコルグのページに一覧解説が有ります。
http://www.korg.co.jp/Product/DRS/MR_Style/format.html
DFF(DSDIFF)であればFoobar2000のDFFコンポーネントやHQ Playerでも再生ができます。(出力はPCMに変換されます)

DSDもソースからプレーヤー、DACまで下地が揃いつつありますね。あとはこれらを一本の線にすることでしょうか。
posted by ささき at 09:13 | TrackBack(0) | __→ DSD関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月07日

東京インターナショナルオーディオショウ2010

オーディオフェアシーズンのハイライトでもある東京インターナショナルオーディオショウにいって来ました。今回からメモ撮り用カメラがCanon PowerShot S95にグレードアップしています。

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今年はスピーカーのトップグレードモデルの当たり年のようで、ソナスの文字通りのフラッグシップ"The Sonaus Faber"とか、タンノイのキンダムロイヤルなどなど豪華な顔ぶれです。

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The Sonus FaberとFocal

なかでも大型スピーカーに期待する音飛びの良さとかスケール感と言う点では前に書いたフォーカルのStella Utopia EMが良かったように思えました。

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CRM/CRSとMagico Q5

再現性の高さリアルさ(というかありえなさ)と言う点ではオーディオマシーナのCRM/CRSシステムもすごかったけれども、個人的にはMagico Q5が一番音のリアルさを感じました。もちろんアンプとの相性というのもあるでしょう。

今回はいわゆるPCオーディオというよりは、iPhone/iPadなどのiOS機のオーディオへの浸透がいくつか見られました。
例えば昨年書いたBoulder 1021はDLNAベースなのでPlug Playerでデモをしていた。

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Boulder1021とiTransport 171

また展示だけだけどiTranportの新型171がありました。iPadと組ませられる様にドックを排したようで、不要なアナログ(スルー)出力がなくなり光デジタル出力がついたようです。

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TechDAS D-7

iPod系デジタルではステラヴォックスのところで以前GoldmundのiTransportもどきがありましたが、今回は同じ場所にTechDAS (テクダス) D-7というiPodからもデジタルで入力が出来るDACが出展されてました。価格は35万とやや高めです。ただこれはiPodデジタル専用というのではなく、汎用DACにiPodデジタル入力がついたというような感じです。

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iP100とその背面

またナスペックブースではCambridgeオーディオのiPodデジタルドックiP100が出展されてました。iPadも接続できるようです。特徴としてはiPod側のバスパワー供給を切ることで音質低下が防げるというもの。こちらは光とAES/EBUまでついて手頃な値段になるようです。

なにしろiPhonesとかiPadは数百万台も世の中にありますので、iOS機器のオーディオへの浸透は着実に広まっているようです。iOS4.2が出れば少なくともiPadはカメラコネクションキットがあれば普通にUSB DACにつながるようになる(と思う)ので、またiPadのオーディオ応用は広がるでしょう。いまだと制限がありますからね。

また今回はヘッドフォン展示がいくつかのブースで見られました。インターナショナルオーディオショウでは、いままではまずヘッドフォンの展示はなかったのでこれもちょっとした変化です。

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SPL 2Control

インターナショナルオーディオショウと言えば評論家の方達の講演で、これはどこも盛況でした。
こちらタイムロードでの角田先生の講演です。April Musicの使いこなしから、コードでの名盤演奏など、ライドーのスピーカーの魅力を引き出す内容でした。

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角田さんお勧めのCDはこちら、ユリアフィッシャーのソロヴァイオリン集「24のカプリース」です。超高速のヴァイオリンが気持ちよく、わたしも買いました。
あとペルトの「In Principio」はこちら。冒頭部のスケール感が素晴らしい作品です。

     

昨年はティファニーのライブがあったんですが、今年は日野皓正ライブを楽しめました。かなりかっこ良かったですね、おん歳68でこの迫力、たいしたものです。
posted by ささき at 21:26 | TrackBack(0) | ○ オーディオショウ・試聴会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月04日

オーディオファイルのためのOS、Voyage MPD (Linux)

いままでオーディオファイル向けのプレーヤーソフトを紹介してきましたが、今回はオーディオファイル向けのOSです。
Voyage MPDはいわばLinuxのオーディオファイル向けディストリビューションというところでしょうか、VoyageというLinuxの組み込み型の軽量コアをベースにして、Linuxでは定番のミュージックサーバーソフトウエアであるMPDをあらかじめインストールしていて、USBオーディオクラス2に対応したALSAドライバーまではじめから入っています。また、リアルタイムカーネルが採用されています。LinuxとしてはDebian系です。
http://linux.voyage.hk/voyage-mpd

いままでオーディオ用のLinuxディストリビューションというとUbuntuベースでリアルタイムカーネルを使用したUbuntsu Studioなんがよく使われていましたが、Ubuntsu StudioはそもそもDTM向けのものです。Voyage MPDはオーディオ再生専用のディストリビューションに仕上がっています。余分なものがなく、軽量なのでATOMマシンでも動くとされています。ある意味究極的なかたちですね。

このディストリビューションが画期的なのはMPDがはじめから入っているということです。
MPDは前にAuralitiのところで解説しましたが、クライアント・サーバーモデルのミュージックサーバーを作るためのソフトウエアです。つまり、これがあればAuralityのようなネットワーク音楽サーバーがその辺の中古PCを使ってVoyage MPDをインストールすることで作れそうですす。
MPDはMusic Palyer Daemonのことです。CoreAudioのところでも書きましたが、Daemon(デーモン)はWindowsでいえばサービスのようなものです。DLNAでいうところの音楽のレンダラーとしての機能でしょうか。楽曲ライブラリはネット上でもかまいませんが、DLNAのように外部ストレージがライブラリサービスのような機能を持つのではなく、NFSでマウントしてMPDのライブラリルート(/var/lib/mpd/music)にシンボリックリンクを張るということになります(上のページに書いてあります)。
MPDシステムはクライアント・サーバーモデルなので、コントローラーとしては外部にMPDクライアントというアプリケーションが必要です。これもネット上に置けます。UbuntuやWindowsはもちろん、iPhoneなんかでもMPodというMPDクライアントがあります。上の画面で椎名林檎のリストが出ているやつです。このようにDLNAのように見えるネットワークオーディオですが、MPDはMPDのプロトコルがあるのでDLNA(uPnP)ではなくMPD専用のものが必要です。MPDの設定ファイルは/etc/mpd.confです。
またUSBオーディオクラス2に対応したALSAドライバーまで組で入っているので、最新のコンピューターオーディオにも対応できます。
Linuxのディストリビューションというのはセット商品みたいなものですが、Voyage MPDでは組み込みカーネル+MPD+USBオーディオ2対応のドライバなどがあらかじめセットになっているわけです。

一口でPCオーディオって言っても、パソコンの使われ方は大きく二通りあると思います。ひとつは普通にワープロや画像処理などで使っているパソコンをそのまま使う場合、もうひとつははじめからオーディオだけのために専用機として使う場合です。(実際はこの中間もありえますが)
Voyage MPDは後者のためのOSといえるでしょう。ただし、はじめからすっとGUIが立ち上がると言うものではありませんので、念のため。
posted by ささき at 23:43 | TrackBack(0) | __→ PCオーディオ・ソフト編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

RMAFとiPadの進化 (2)

CAフォーラムに続報が載っていましたが、RMAFでゴードンさんがiPadでのiOS4.2ベータとUSB DAC Protonをテストした際にはたしかに16bitも24bitも出ていてAsyncでも対応しているが、24bitのときには24bit幅のデータは出てなくて16bitが詰められて下位はゼロ詰めされているようだ、とのことです。やはりiOS機では真の24bitサポートは無理なのかもしれません。
ただ現状ではデバイスプロファイルで24bitがあると接続すらできないものが多いようなので、つなげられるUSB DACの範囲はかなり広がると思います。
posted by ささき at 08:46 | TrackBack(0) | __→ iPod, iPhone, iPad | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする