Music TO GO!

2010年09月28日

オーディオファイル向けミュージックプレーヤー(8) - J.River Media CenterとWASAPIのイベント駆動

J.River Media Center 15(JRMC15)は多機能のメディアプレーヤーで、単なるミュージックプレーヤーというよりはマルチメディア用パソコンの統括センターということになるでしょう。単体でのネットワーク対応も行えます。多機能ゆえかこれは有料ソフト($50)です。無料のお試し期間もあります。ホームページはこちら。
http://www.jriver.com/

jrmc15a.gif

JRMCも音が良いミュージックプレーヤーソフトですが、特筆するものがなかったので特にうちでは扱っていませんでした。ただCAフォーラムの記事によるとWASAPIのイベント駆動に対応したということですので、今回取り上げてみました。
http://wiki.jriver.com/index.php/WASAPI

今回都合よいのでついでにOSのスケジューリングについてあわせて解説してみます。

*イベント駆動とはなにか

プログラム(この場合ミュージックプレーヤー)がオーディオデータを書き込むバッファの空きを見に行くと仮定しましょう。イベント駆動ではあるイベント(たとえばバッファが空になったということ)をOSから知らせてもらって、そのタイミングで処理をします。対して一般的にはポーリングという手法でバッファが空になったということを確認しています。これはプログラムが能動的にバッファが空になったかを見に行くということです。この場合のタイミングはプログラムが自分の番にきたときです。

ここでさきのMSDNのブログ「VistaからWin7への変更点」からその部分をちょっと引用します。
引用元アドレスはこちらです。
http://blogs.msdn.com/b/windows_multimedia_jp/archive/2010/06/28/4-windows7.aspx
----引用開始----
VistaからWin7への変更点
オーディオエンジンとエンドポイントバッファの間の部分がイベント駆動に対応しました。Vista でもアプリケーションとオーディオサーバの間はイベント駆動に対応していたのですが(DirectSound の互換性維持に必要だったため)、オーディオエンジンとエンドポイントバッファの間の方は Win7 以降での対応です。これと MMCSS (MultiMedia Class Scheduler Service) の改善が組み合わさったことで、Win7 ではエンドポイントバッファが空になったときだけデバイスドライバから割り込みがかかり、オーディオエンジンがオーディオサンプルをエンドポイントバッファに書き込むようになりました。当然ながら、この機能にはオーディオデバイス側の対応が必須です。Vista 時代ではこの部分が Vista Certified ロゴの必須要件ではなかったため、オーディオエンジン側もポーリングで実装せざるを得ませんでした。ポーリングでは、エンドポイントバッファが空でなくても割り込みが発生してしまうのと、余裕を持って書き込む必要があるためバッファを小さくできないので、消費電力が大きくレイテンシも長いという二重苦になっていました。Win7 ではこの問題を解決したので、Vista と比較して、共有モード WASAPI アプリケーションにおける消費電力が小さく、また、レイテンシも短くなっています。

----引用終了----

これはいつバッファが空になるかをポーリング(つまり能動的に見に行く)で確認していると、ポーリングとポーリングの間に空になってしまうと音が途切れてしまいますので、その間の十分な量のバッファを用意する必要があるということでしょう。この場合のバッファというのはつまり余裕時間(リードタイム)みたいなものですので、そうするとつまりレイテンシーは大きくなってしまいます。
しかし、「空になったよ」というイベントが発生したときにOSが教えてくれれば、その都度に効率よく書き込みができるので、そんなに余裕をもったバッファは必要ありません。

これがイベント駆動です。割り込みがかかることがトリガーになるのはポーリングも同じですが、ポーリングの場合はタイマーがトリガーになります。

*OSのスケジューリングとは

ここで説明が必要なのは、OS上で走る複数のプログラムはタイマーで時分割されて動いているということです。こうしてOSがCPUを管理することをプリエンプティブ方式と言います。
OSの上でプログラムがマルチタスキングで動作しているとき、複数のプログラムを順に切り替える必要があります。その切り替える順番決定をスケジューリングといいます。(ちなみにタスクというのは情報処理の言葉ではOSからみた処理の最小単位のことです)
Windowsのような汎用OSの場合はラウンドロビンという巡回方式のスケジューリングが主なんですが、この方式では仮にプライオリティが高いプログラムでも自分の順番がくるまで待たねばなりません。優先度が高いというのは単に待ち行列の前のほうに入れてもらえるということです。そのため、先の例だと自分の番に来たときにバッファの空きを都度確認するということになります。これがポーリングです。優先度を高くすればポーリングの間隔は短くなるかもしれませんが、能動的に見に行くことが必要なのは変わりありません。
また割り込み間隔を短くして自分の番にくる回数を上げようとすると、コンテキストスイッチング多発というさらなる問題が発生します。
パソコンを休止状態で落とすと状態保存するのに少し時間がかかります。これと似たようなことをプロセスが他のプロセスに制御を渡すときにも行う必要があります。これをコンテキストスイッチングといいますが、やはり時間がかかります。このOSのオーバーヘッドが多発すると、システム全体の速度が低下します。システムというのは総合的にいろいろなプログラムが動いて働いています。そのため、あるプロセスだけを異常に優先度を上げるのは得策ではありません。そこで出てくるのがMMCSSです。

*MMCSSとスケジューリング

マルチメディアとスケジューリングという点ではVista以降でサポートされたマルチメディア用の優先度設定であるMultimedia Class Scheduler service (MMCSS)があります。
これはデバイスから取得される時間属性を元に"Pro Audio"とか"Audio"あるいは"Game"などのようにアプリケーションの用途に合わせて、一時的に優先度を設定するものです。具体的にはオーディオストリーム開始前にAvSetMmThreadCharacteristicsで優先度をセットして、終わったらAvRevertMmThreadCharasteristicsで戻す、という風にします。
これはさきの排他モードのコードの例でも使われています。(MMCSSを使うときはストリームがPCMでなければならないようです)
http://msdn.microsoft.com/en-us/library/dd370844(VS.85).aspx

MMCSSはDSPのようなCPUを使う処理をしながら音途切れをさせないというような場合には有効ですが、さきの場合のレイテンシーという点で言うと、優先度を上げても、ポーリングで見に行くという点の完全な解決にはなりません。
まずいくら優先度が低いプロセス(スレッド)の優先度を下げてもゼロにはできないし(10%がミニマム)、他のプロセスにいつかは制御を渡さねばなりません。
MSDNのページでも下記のような記述があります。
MMCSS enables audio applications to run at high priority without denying CPU resources to lower-priority applications.
もともとMMCSSの目的はPCをマルチメディア専用にするのではなく、むしろ他のタスクに迷惑をかけないように共存しながら自分はマルチメディアなんだから優先度をくださいというような用途に使われるものに思えます。

それに対してイベント駆動型ではイベントがあった場合(たとえばバッファの空きが発生したとき)に即座にそのプログラム(タスク)に制御が渡されます。OSが教えてくれるわけなので、自分で見に行く(ポーリング)必要がありません。つまり受動的で無駄がありません。

ところで、イベント駆動はリアルタイムOSに見られる制御方法です。
下記リンクに説明がありますが、リアルタイムOSというのは処理が早いOSのことではありません。必要なときに必要な処理を行える仕事のスケジューリングができるOSのことです。そのためにイベント駆動のスケジューリングが使われます。
http://www.semicon.panasonic.co.jp/micom/realtimeos/feature.html
ちなみに今年の話題のひとつだった「はやぶさ」には国産のリアルタイムOSであるTRONが使われていました。

*JRMC15

jrmc15d.gif

こちらがJRMC15の画面です。日本語タグ名も使用ができます。
詳細は省きますが、Foobarが使えれば特にむずかしくはないでしょう。

jrmc15b.gif     jrmc15c.gif

こちらがWASAPIの設定画面です。スタート時のバッファのクリア(flush)などもあり、なかなか細かいところです。

音質はとても透明感の高い澄んだWASAPIならではの音質に加えて厚みが感じられるように思います。これもすばらしい音質です。バランスが取れていて聴きやすさも兼ね備えています。
Foobar 2000とWASAPIコンポーネントだとノイズが入ることがあり、わたしはバッファサイズを工夫して対処していますが、このJRMCのWASAPIはそういうこともなくスムーズです。
ちょっといま忙しいのであまり試せませんが、JRMCはメモリー上での再生とかネットワーク対応など試すところが多いのでまたいろいろと試してみたいと思います。
posted by ささき at 22:48 | TrackBack(0) | __→ PCオーディオ・ソフト編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月26日

hiFace evo登場!

以前うちのブログで紹介して以来人気を博しているUSB DDC、hiFaceのM2TECHから新型機が登場しました。

evo1.jpg     evo2.jpg

hiFace evoです。名前はhiFaceを引き継いでいますが、内容はまったくの別物として進化しています。実際名前のevoはevolution(進化)のevoからきています。
こちら販売元のサードウェイブさんのサイトです。
http://www.twctokyo.co.jp/
こちらZionoteさんの製品ページです。
http://www.zionote.com/m2tech/evo.html
49800円で10/1から発売、フジヤさんなど販売店さんではもう予約を受けているようです。

一番の変化は据え置き型となったことで、これによりバスパワーではなくAC電源で動作します。
その代わり非常に多彩な入出力が可能です。入力はUSBのみで、出力ではRCA/BNCのSPDIFデジタルだけではなくバランスのAES/EBUもありI2S(RJ45タイプ)もあります。またST、TOSの光もあります。

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直結ではないのでデジタルもUSBもケーブルが必要です。

わたしはWindows7 64bitにfoobar 2000で試してみました。
インストーラーにはWin7 64bitのものもきちんと入っています。インストールするとサウンド設定からhiFace SPDIFインターフェースと言うのが選択できるようになります。共有プロパティを開くと192kHzが選べるのがわかりますが、大方のように24bitだけでなく16bitもきちんと対応されています。
foobarからはWASAPIで選択が可能ですので、ここは排他WASAPIモードを使用します。

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実際にHD800とアコリバリケーブルで聴いてみましたが、まず透明感が高くとても音が澄んでいるのに驚きます。このクリアさはいままでになかったですね。非常に細かい音まで聞き取れるようになります。音は精密感があり、立ち上がりと立下りが早くかつ歯切れ良いので、ギターのピッキングもとても正確に聴こえます。
全体にとてもダイナミックレンジが広いのですが、特に低域方向にとても厚手に聴こえます。実際にテスト曲のパイプオルガンの迫力には圧倒されます。全体的な音レベルはBridgeを超えますね。
192kHzももちろん再生できます。
これは箱を開けたばかりの試聴機の感想ですから、まだよくなるかもしれません。

入出力が豊富で外部クロックも入力可能であることからハイエンドオーディオ機器まで幅広く対応できるようになりました。そういう意味ではPCオーディオの基幹インターフェースのようなものになりうるでしょう。

*初出時に光は入力と書いていましたが、光は出力のほうです。
posted by ささき at 01:43 | TrackBack(0) | __→ USB DDC | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月25日

追憶のショーロ - 鈴木大介

自分ではそう意識してなかったんだけど、ふと自分のリファレンスにしてる曲にギター曲が多いと言うのに気がつきます。
鈴木大介さんは主にクラシック分野で活躍するギタリストで、このアルバムはアグスティン・バリオスと言うギターの名手にささげられたものです。ただこのアルバムで特筆するのはそのギターの音の美しさ。録音もよいんですが、使われているギターが1964年製のイグナシオ・フレタというギターの名器で日本には4本しかないそうです。
ちょっとミニコンサートも聞いてきたんですが、本人もギターは高次倍音が多い楽器で録音のときは大変だったと語ってました。この名器イグナシオフレタのことを語るときは生き生きとしてましたが、良い再生機にこだわるって言うのは聴くほう以上に演奏者のこだわりかもと思いました。
下記Amaoznリンクで試聴できます。


posted by ささき at 23:34 | TrackBack(0) | ○ 音楽 : アルバム随想録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月22日

USB Audio Class 2.0についての最新情報 (2)


*この記事はこの時点での最新情報でしたが、2011/6月にさらに更新した記事をアップしました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/209382239.html



USB Audio Class 2.0についての振り返りとまとめ

USBのハードディスクはたいていがドライバーのインストールがなくともPCにつなげば自動的に認識します。同様に多くのUSBオーディオ機器はパソコンにつなぐだけで音が出るようになります。これはOSがもともと持っているドライバーが自動的に標準規格に沿った機器を認識するからです。標準的なこの規格をUSB接続ではClassといい、オーディオの場合はUSB Audio Classといいます。このようにOSがはじめから持っている標準規格に沿ったドライバーのことを標準ドライバーまたはクラスドライバーと言います。英語記事でOSのnative driverと言った場合は標準ドライバーのことです。
*このドライバーを作るのはマイクロソフトなどOSサプライヤーです

しかし、USBオーディオではこの標準ドライバーを使う限りにおいては、対応するサンプリングレートは96/24までが限界というのが定説でした。192/24まで達成するにはhiFaceのようにカスタムドライバーをインストールする必要があるということです。hiFaceなどはオーディオクラスの等時的なアイソクロナスではなく、ストレージクラスなどで使われているバルク転送を使うことでこの制限から逃げています。(つまりバルク転送では同期ができないので必然的に非同期となります)

しかし最近のUSB DACなどで標準ドライバーのままでも192/24や176/24を可能とするものが出てきました(zodiacの記事参照)。
先に書いたUSB Audio Classが1.0から2.0に拡張されたようです。Class 2.0ではClass 1.0に比べてUSBのオーディオクラスに関する属性が増えているようです。

つまりUSB Audio Class 2.0とは、カスタムドライバーをインストールすることなしに、標準ドライバーだけで176/24と192/24が再生できるものです。もうちょっと別な言い方をすると、バルク転送ではなく、アイソクロナス転送で176/24と192/24が再生できるもの、ともいえるかもしれません。つまりhiFaceとかMusilandは今回の記事の対象外です。
(アイソクロナス転送は同期できるのでさらに同期、非同期とAdaptiveのモードがあります)

Audiophilleo1を買ったことでさらにいろいろ分かるようになり、ここの開発者のフィリップさんとも少しいろいろ聞いてみて分かりましたのでClass 2.0に関する中間報告として書いておきます。

Class 2.0対応状況の分類

いまのところUSB Class 2.0をサポートしているUSBオーディオ機材は私の知っている限りは下記4機種です。

Wavelength Wavelink (USB DDC)
http://www.usbdacs.com/Products/Products.html

Antelope Zodiac+ (USB DAC)
http://www.antelopeaudio.com/jp/products_zodiacplus.html

Audiophilleo 1と2 (USB DDC)
http://www.audiophilleo.com/

Ayre QB-9改 (USB DAC)
*未リリース

実質的にAyre QB-9改はゴードンのコードを使っているのでWavelinkとおんなじと考えることができますので、さらに各開発元により標準ドライバーでの192/24対応の状況をまとめると下記のようになります。このように対応は開発元によりばらつきがあることが分かります。

*Wavelengthグループ(aka. ゴードングループ) (Async)
Mac 10.6.4要
Window 7 対応なし - 付属のカスタムドライバーのインストールが必要

*Zodiac+ (Adaptive - 情報に基づく推測)
Mac 10.6対応 (10.5も?詳細不明)
Windows 7 対応あり

*Audiophilleo (Async)
Mac 10.5でもOK
Windows 7 対応なし - 付属のカスタムドライバーのインストールが必要


なかにはLinuxもサポートされていますが省きます。書くとするとLinuxの場合はUbuntuみたいにディストリビューションではなく、カーネルバージョンが必要でしょう。そのカーネルバージョンがどのディストリビューションに入っているかというところまで調べて書かねばなりません。

*MSBの新しいのもClass 2.0かもしれませんが、まだちょっとよく分かりません。
http://www.msbtech.com/products/usb2.php

Class 2.0対応の要件とは

一般的なUSBオーディオ機器については96/24までの対応ではわりときれいにそろっていたのですが、Class 2.0の対応はかなりばらつきがあるのが分かります。

これについて分解するといくつかの問題(ボトルネック)があることがわかります。

1. OS側のクラスドライバーの実装

2. デバイス側のUSBコントローラの制限

3. デバイス側のファームウエア設計

これらは複雑に絡んでいます。
たとえば前にWavelengthの情報からClass2.0はMacOSX10.6.4から対応と書きましたが、実際は10.5からClass2.0自体は対応されていたようです。ただし10.5ではOSのクラスドライバーの実装に問題があったようです。ただしこれはファームウエアの書き方によっては回避できる問題のようで、ゴードンさんは10.6.4までだめだったといってますが、Audiophilleoのフィリップさんは回避できると言ってます。もしかすると2.0の規格を厳密に守った場合10.5ではだめなのかもしれません。ここでは書きませんが(というか私は理解していませんが)、これにはちょっとワザがあるようです。ゴードンさんはこの点でまじめに守っているんでしょう。

またいかにファームウエアをClass2.0のオーディオクラスDescriptorにあわせて書いて、OSのクラスドライバーが2.0をサポートしていても、USBコントローラがTAS1020などの1.1対応機種ではそこがボトルネックになるので192/24転送はできません。(この場合の帯域幅はけっこう惜しいので192/16とか170/24とか半端なのはできるようです)

つまりClass2.0というのが実は前から可能であったにもかかわらず、最近になって見えてきたのは、実はOSが最近対応したからではなく、コントローラが最近対応したから、ということのように思います。
Audiophilleoではコントローラーをカスタムで設計しているようです。Zodiac+もそうです。つまりTAS1020みたいな1.1時代の古い既製品を使っている限りはClass2.0サポートは達成できないということです。

もうひとつ問題はなぜWavelinkとAudiophilleoはMacOSXでは標準ドライバーで192/24まで達成できるのに、Windows7だとだめなのか、という点です。
これは少しフィリップさんともお話ししたんですが、確実なことはわかりません。ただ上の表を見ていただくとなんとなく気づくかもしれませんが、WavelinkとAudiophilleoはAsyncですが、Zodiac+はAdaptive(推測)です。おそらくこの辺にポイントがありそうです。これはファームウエアとOSが、どちらが問題かはともかく複雑な関係で動いているということです。
そしてOSの実装もまた完全ではないということです。はじめに標準ドライバーを作成するのはOSを作るメーカーであると書きましたが、御存じのようにOSは完全から程遠く穴だらけです。もっともOSは数千万ステップものプログラムの集合体であり、それが一行たりとも間違えてはいけないというのは酷なことではあります。

つまり結局はClass 2.0という枠はできているのに、クラスドライバー、コントローラ、ファームウエアの3者がそれぞれ問題を抱えながら複雑に絡み合って、ここに書いたような状況になっている、ということでしょう。そのため、こういう足並みがそろわない状況となっているようです。
これもiPadのUSBオーディオサポートと同様に「できるけれども完全ではない」ということだと思います。

今度WAONさんが176k/24のマスターデータを採用したハイレゾ音源の販売をするそうです。そうした96/24を超える動きも出てきていますので、まだこのClass2.0の件については見ていく必要があると思います。
posted by ささき at 00:27 | TrackBack(0) | __→ PCオーディオ最新技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月16日

エイプリル・ミュージックのCDPとアンプ登場

角田さん試聴室でタイムロードさんが今度新たに取り扱うというエイプリル・ミュージックのデモ機の試聴をするということでまたお邪魔してきました。
タイムロードさんのエイプリル・ミュージック(April Music)のホームページはこちらです。
http://www.timelord.co.jp/brand/consumer/april-music/

試聴するのはCDA500というCDプレーヤーとAi500というプリメインアンプです。両方ともエイプリル・ミュージックのステロ(Stello)というブランドの製品になります。前にはStelloブランドのUSB DDCであるStello U2を紹介したこともありました。
角田さん試聴室のラックに据えると実に堂々としてかつスタイリッシュなデザインで高級感を感じます。実際にCDA500が298000円でAi500が348000円というのを聞いてちょっと驚きました。下のアキュフェーズにも存在感で負けていませんね。

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Ai500とCDA500

はじめは音を切り離すためにCDPはアキュフェーズで、アンプはAi500という組み合わせで聞きました。スピーカーはフォーカルの大きいスカーラです。
Ai500はMOS FET 4パラppでダイレクトカップリング、300W/ch @4オームのプリメインアンプです。

音はニュートラルで着色が少なく、とても透明感が高く感じられます。また大きなスカーラが朗々と鳴り、かつがっちりと掴んで制動している感じです。
角田さんはABクラスだがAクラスに近い厚みが感じられるとのことでした。

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Ai500の内部

次に中を開けてみたんですが、スタイリッシュな外観とは対照的に中に巨大な電源がどんとかまえて古き良きアンプのような骨太の作りです。放熱フィンも中に入っていてほんのりと熱を持っています。
Ai500はDACも内蔵していて直接デジタルでも入力できるんですが、DAC基盤もしっかりしたのが後部についています。パーツも価格にしては良いものが選択されているようです。

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Ai500の背面

背面もぎっしりと詰まっていて、今回は使わなかったんですが、iPod端子なんかも見えます。多機能でもありますね。

次にCDプレーヤーもStelloに変えます。CDA500はトップローディング方式を採用しています。ここでもメカとしてのCDプレーヤーらしさというのを感じます。

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CDA500のトレイをあけたところ

CDA500とAi500を合わせるとやはり音の統一感は上がるように思えます。空間表現がとても立体的なのが特徴的で解像力も十分備えているようです。

IMG_1338.jpg
CDA500の内部

これも中を開けてみましたが、DAC部分の作りがとてもしっかりとしています。トロイダルトランスも二個あってデジタルとアナログに分かれていますし、コンデンサーもデジタルとアナログが分離されていて出力段はディスクリートです。素晴らしい立体感の秘密はこの辺にありそうです。これも29万円のCDプレーヤーとは思えないですね。

アンプと合わせて、外はスタイリッシュ、中は本格派という感じでしょうか。

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CDA500の背面

CDA500も多機能で、96/24対応のUSB入力までついています。上のようにDACとしても中味が充実していますから、外部ソースのDACとしても十分使えそうです。
そこで、このUSB入力を生かしてコンピューターオーディオの外部DACとしてCDA500を活用して見ることにしました。

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Macとの組み合わせ

Macbook proとAmarraを使ってCDA500をUSB DACとして使うというわけです。
再生してみると立体感の高さ、透明感の高さ、制動力の高さが一層向上し、かなり素晴らしいレベルになります。解像力の高さもかなりありますね。CDのDAC部とアンプの音の一体感も素晴らしいものがあります。角田さんもかなり絶賛していました。

一頃言われていたCDトラポ+DACという感じのパッケージングがコンピューターオーディオの時代でまた生きてきたという感じです。
従来のCDオーディオとコンピューターオーディオの両方でうまく使えそうです。

かなりコストパフォーマンスが高い組み合わせと感じました。というかよくこの値段で出しているという感じもしますね。ぜひ市場でも聞いてみてください。
posted by ささき at 22:57 | TrackBack(0) | ○ ホームオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月15日

PCオーディオの単行本を書きました

このたび、評論家の角田先生を監修として共同執筆によりコンピューターオーディオの単行本を書きました。いわゆる新書版サイズで1050円です。10/6に洋泉社さんより発売されます。
Amazonではすでに予約を受けていますので、みなさんよろしくお願いします(^^



内容はコンピューターオーディオの利点、基本的なシステム例と解説、代表的な機器類の写真つきの解説、ミュージックプレーヤーなど再生の基礎知識、応用的なオーディオセットアップ項目などなど、多岐にわたってカバーしています。わたしが参加してますのでヘッドホンなども従来のオーディオ本とは違い、きちんと一章を費やして取り上げています。PCオーディオ+ヘッドホン本と言っても良いくらいです。そういう意味では変わりつつあるオーディオ界の最新のガイドブックといっても良いかもしれません。

内容もEdition10まで含めた最新のものになっています。オーディオ雑誌ではなく普通の棚にも置く単行本ですので、出版社さんから一般の方でも分かるようにとけっこう細かい直しを要求されたりもしましたので、分かりやすいものになっていると思います。カラーページやイラストなども多く、初心者の手引書から、マニアの方が見て楽しむ図鑑的なところまで広く楽しんでもらえるものになっていると思います。

ぜひみなさんお買い求めください!

posted by ささき at 23:00 | TrackBack(0) | ○ PCオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月14日

Audiophilleo1 - 192kHz対応のUSB DDC

わたしもUSB 192kHz対応への旅をすべく、新たな機材を購入しました。Audiophilleo1です。
今年の春頃にリリースされた製品ですが、hiFaceやHalide BridgeのようなUSB DDCです($895)。大きなOLEDディスプレイがあるのが特徴ですが、いくつか機能とディスプレイを削った廉価版のAudiophilleo2もあります($495)。
af6.jpg     af3.jpg

ホームページはこちらです。
http://www.audiophilleo.com/

ゴードンさんのWavelinkを買うという手もありましたが - というかはじめはそう考えてましたが - Bridgeを買ったばかりなのでゴードンものが続いても新味がないという理由で前からちょっと気になっていたAudiophilleoを試してみることにしました。
実は買ったのは少し前で、しばらく開発のPhillipさんとメールのやりとりをしていたんですが、以下はその情報も入っています。

* 特徴

たくさんの付属品がついてきます。ACアダプターがついてくる理由はまた別に説明します。(なにしろ機能が多い)。
Audiophilleoはバスパワーで動くのでこれ自体は電源は不要です。

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Audiophilleoの特徴は以下のようなものです。

1. USB 192kHz対応です。AudiophilleoはUSBの標準ドライバーで192/24まで再生可能になります。
ただしそれはMacOSXの話で、Windowsはカスタムドライバーが必要です。
特徴的なのはMacOSXは10.5でも大丈夫とのことです。ゴードンさんのWavelinkは10.6.4が必要とありました。ただしAudiophilleoでも10.6が望ましいようではあります。
Windows7は192/24はカスタムドライバーで対応。ないときは96/24までになります。この、MacはOKでWin7はだめというのはWavelengthと同じですが、ゴードンさんとは関係なく独自のファームウエアと独自のUSBコントローラを使用しています。

2. USB標準ドライバーで使え、Async転送をサポートしている。
いまはやりのUSBのAsync転送を採用しています。カスタムドライバーのインストールは不要です(ただしWinodws7で176と192を使うときは必要です)。
Audiophilleoがサポートしているのは基本的にはWindowsはVistaと7のみです。ただし標準ドライバーなのでXPもつかえると思います(試していません)。

3. 8ps (RMS)という非常に低いジッター値に抑えている。
Asyncモードの恩恵のひとつでしょうが、Bridgeの20psよりさらに低い一桁ピコセコンド台に到達しています。

4. 同軸デジタル側はダイレクトアダプター(付属)で直にDACにつけられます。Bridgeほどではありませんが、ほとんどDACの一部というかオプションキットといっても良い一体感があります。本体はBNCコネクターですが、アダプターはBNC->RCAオス(DACのRCAにダイレクトにさすため)、BNC->RCAメス(RCAケーブルで伸ばすため)、BNC->BNC(DACのBNCとダイレクトにさすため)の3つが付属してきます。パーツ自体は特注ではなく市販品だと思います。
下記はBenchmark DAC1に取り付けたところです。

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両端を普通にケーブルでつなぐこともアダプタの差し替えで可能です。

USBケーブルは差し替えが可能で、あのアコリバ分離ケーブルが使えます。聞き込むとBridgeは若干音が荒くきついところがあり、ケーブルの部分が安いせいではないかと思うこともこれを買った理由です。

5. ビットパーフェクトチェッカーやジッターシミュレーターなど、コンピューターオーディオ用テスターと言っても良いような面白さがあります。(Audiophilleo1のみ)
実に多機能ですが、面白そうなのは下記のものです。

*ビットパーフェクトチェッカー 
テストファイルを元にビットパーフェクトのテストを行う。
*ジッターシミュレーター
内部のリクロック回路をON/OFFしてその効果を確認できる。
*ケーブルシミュレーター
これは説明が必要かもしれませんが、ケーブルの端末反射と跳ね返りの影響のシミュレートと思います。
*位相反転
OLEDの左下の+/-が位相を示しています。+が正相です。

これらの機能はメニューとジョイスティックで操作して選択します。

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以上の機能はAudiophilleo1のみです。ただしAudiophilleo2でもLEDでOK/NG程度はビットパーフェクトチェッカーは使えるようです。Audiophilleo1はOLEDディスプレイがあるので、詳細に何%パケットがオリジナルのテストファイルのデータから改変されているかということまで出力します。Foobarでボリュームを変えた瞬間にパケットが改変を始めるのがリアルタイムで分かるのが興味深いです。

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左はビットパーフェクトの状態/右は意図的にエラーを起こしたもの

この辺のネタは小分けして書く予定です。Audiophilleo1と2の違いはこことLEDくらいなので、ビットパーフェクトの確認などどうでもよいので単に良い音質で買いたい人はAudiophilleo2がお得だと思います。

6. ファームウエアのアップグレードが可能

さらにユニークなのはAudiophilleoではファームウエアをアップデートできるのですが、これがなんとWAV形式で提供されていることです。
普通はexeなどのバイナリかbinなどのイメージファイルですが、これだとファイルとして転送するためにデバイスとマウントしなければならないことになります。これは転送先をファイルシステムとして認識する必要があるからです。これだとUSBデバイスはストレージクラスでなければなりません。(DAPなどでUSB DACとUSB Dataの二つUSB端子があるものはこのためです)
Audiophilleoではオーディオクラスのまま、ファームアップデートはWAVファイルを再生することによって行います。この用途にはWMPがよいとのことです。foobarなどの場合はDSP/resamplerなどをすべて外さねばなりません(試してみましたが失敗しました)。
え? ビットパーフェクトでないとファームウエアの転送ができないんじゃないかって? 良い質問です。が、これについては理由があって回答保留とさせていただきます。(一応マニュアルにはビットパーフェクトでなくても可能と書いてあります)

Audiophilleo1ではメニューからいつでもアップデートモードに入れられて進行もスクリーンで分かりますが、Audiophilleo2はアップデートモードになるタイミングがありますので、マニュアルを読んでください。

7. 大きなスクリーン (Audiophilleo1のみ)

大きなOLEDスクリーンに情報がたっぷりと表示されます。(LEDはスリープ時間の設定が可能です)
現在受けている信号もサンプリングレートとレゾリューション(ビット幅)を表示します。
また、Audiophilleo1は高精度の64bitボリュームを内蔵しているのでその表示も出ます。これはダイレクト(バイパス)ももちろん可能です。

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Audiophilleoは基本的に24bitで受けますが、16bitデータを送っているときはスクリーンにはbit幅が16と表示されることがあります。つまり44/16のデータをfoobarでx2アップサンプリングして送出するとAudiophilleoには88/16と表示されます。
これは24bitで送られていても、下位ビットがすべてゼロのときは16bitデータと判断して16と表示するそうです。24bitで16bitデータを送出したときに正しくゼロをつめてないとここは正しく表示されず、送っているプレーヤーも怪しいとのこと。

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ヘルプも大きな画面で使い方がわかります。

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再生中はこのように出力をグラフィカルに表示できますが、スリープタイマーでオフにもできます。

* 音質

システムはAudiophilleo1 から Benchmark DAC1とHeadroom desktopの内蔵DACとHD800とかLCD2で試しました。あとで角田さんのところでヘーゲルD10を組み合わせて、ハイエンド機器でも試しています。
わたしのDAC1はUSBがついていないときのものなので、まさにこういうUSB DDCに好適です。

Win7(64)では共有モードプロパティでは192が見えますが、選択して音を出すとエラーになります。これはカスタムドライバーをいれる必要があります。(わたしは思うところあってまだインストールしていません)
MacAir (OSX 10.6.4)ではAudiomidiのオーディオ画面で192と176が選択できるようになり、実際に音が出ますし、ロックされます。
わたしはAmarra miniなので192のテストにはPure Music Playerを使用しましたが、角田さんのところのAmarra(full)でも試しましたので大丈夫です。ただしAmarraと192のときははじめなんらかの関係でノイズが出ることがありましたが、少し経つと問題なくなります。バッファの関係か、コントローラの問題かよくわかりません。
MacOSX 10.5では試していませんが、開発者のPhilipさんは大丈夫といっています。

音の印象ですが、なんとなく低ジッターというと尖ったイメージがありますが、Audiophilleo1をはじめて聞いたときの感覚はとても自然ということでした。しかし聞き込んでみると音の世界はかなり精緻でしっかりとしています。細かいディテールはかなり再現されています。透明感もすばらしいものがあります。
角田さん宅でヘーゲルH10を借りてAudiophilleoで聴いてみましたが、15万円のヘーゲルからハイエンドDACかいっていうくらいの精緻で整った音再現が出てきました。レンジも広く、低域レスポンスもかなり優れています。もちろんちゃんと入力させればよい音が出るヘーゲルもすごいわけではありますが、素性の良いDAC+高性能USB DDCというのもお勧めのコンピューターオーディオ・システムのひとつです。
そういう意味でもUSB DDCはBridgeのところでも書いたように、なるべくDACと一体感のあるデザインが好ましいと思います。

hd10.jpg

Bridgeでも性能的にはけっこう満足していたんですが、高域がややきつめに出るところが聴いているとけっこう気になってきます。Audiophilleo1ではどんなケーブルでもきつさ・荒さはありません。ケーブルの差が出ないように設計しているということですが、実際には差はあります。ただし付属のケーブルでも悪くなく、フルテックのGT2と付け替えてみるとその差はあまり大きくありません。多少GT2の方が洗練されて聞こえるくらいです。ただアコリバケーブルだと空間表現などで違いは分かりやすく出てきます。

音的にはかなりすばらしいもので、少なくもいままで聴いたUSB DDCの中ではベストだと思います。
標準ドライバの192kHz対応でAsyncサポートといういまどきコンピューターオーディオの最先端を行くもので、機能も豊富となかなか興味深いものといえます。
posted by ささき at 23:51 | TrackBack(0) | __→ USB DDC | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月12日

アコースティックリバイブからHD800用の交換ケーブル登場

先日アコースティクリバイブのツインネックのUSBケーブルを紹介して大きな反響がありました。このケーブルについては電源線別と言うツインネック形式もさることながら、高音質のポイントの一つは一般的なよりつい線ではなく単線を使用した線材です。今度はその同じものがヘッドホンのリケーブル用に登場しました。

hd800aco1.jpg

*ケーブルについて

よくみると分かりますが、これもあのUSBケーブルみたいに実質ケーブルが片側二本ずつ入っているのと同じです。分岐からプラグまで分離されたままのようです。
導体の太さはUSBケーブルと同じですが、シースの肉厚と緩衝材の綿糸の量を減らし、USBケーブルよりも柔らかいPE素材を使用して、ヘッドホンケーブルとしてフレキシブル性を確保しているということです。ただしそれでも一般的なヘッドホンケーブルに比べるとずいぶん硬くて取り回しづらくなっています。それを考えても、よりつい線などに比べると音質的には単線は有利ということなのでしょうね。Moon Audioあたりに慣れていれば取り回しは大丈夫かもしれません。
線材はPCOCC-Aというものです。PCOCC-Aは単結晶銅素材のPCOCCをアニール(焼き鈍し)したもので、ケーブルとして仕上がった段階の純度は6Nなどの高純度銅素材を上回るということです。メーカーさんによると、現在ケーブルに採用されている素材の中で最も純度が高く、導通特性が高いのがPCOCC-Aと言うことです。
ケーブルの構造は2芯シールド構造となっていて、一般的なノンシールドタイプに比べるとかなりノイズ耐性は高いようです。シールドには銅箔を採用して最外周はカーボンSFチューブ(カーボンを糸の製造限界まで練り込んだもの)ということです。

またケーブルだけではなくプラグもかなり凝っていて、ヘッドホンジャックは鉄心を排除し、銀+ロジウムメッキを施した世界初の完全非磁性体構造ということです。
バランス仕様のキャノンプラグは無半田ネジ留め式です。ボディは2017S航空レベルアルミ合金の削り出しです。
驚くのはHD800側のジャックで、これは昔よく使われたレモ端子らしいのですが、アコースティックリバイブでは一から作り直しているとのこと。

hd800aco2.jpg     hd600aco3.jpg

さすがケーブルもプラグもかなり力が入っています。また単にUSBの使い回しということではなく、ヘッドホンケーブル用に考えられています。


*音質

シングルエンドとバランス版があり、Win7(排他WASAPI)からUSB DDCでHeadroom desktop balancedのDACにつないで聴きました。
まず標準のケーブルとシングルエンドケーブルで比較してみます。ケーブルはどちらも十分エージングしています。

まずはじめに一番感じるのは、全体的にHD800にあった薄さとか軽さの感覚がなく、重みや厚みが感じられることです。全体に厚みが増している感じですね。
低域も深みをまして豊かになり、低域性能が上がったのでピラミッドバランス的に良くなったというのもあるけど、標準より自然なバランスのようにも感じられます。
標準に戻すとちょっと気が抜けた感じになりますね。

また細かいところもより洗練されています。落ち着きを見せながらも、凄味があるという感じです。Moon AudioのBlack Dragonに似た感じかもしれません。
きつさは少なくヴォーカルも滑らかで、空間表現もより豊かです。J-popなどきつめの録音にしている物はよりあうと思います。
HD800はハイがきつくて低域が物足らないと思っている人には良い選択ではないかと思います。
ただし初めはこのケーブルもきつめなので、エージングはけっこう必要ですので注意ください。銀コートの標準ケーブルはシャープ感は感じられますが、エージングしてもあまりきつさが取れない気がします。このケーブルはエージングでかなり改善されます。

hd600aco4.jpg

バランスでは空間表現が大きく向上して、三次元的な立体感も増します。より力強さを感じるところもありますね。より前に来る感じです。
制動力も増してよりピタピタと気持ちよく止まり、ドラムスやベースの音の歯切れが良くなります。バランスでの音の向上も分かりやすいですね。

HD800以外にもAKGなどあるそうですので、興味のある方は問い合わせてみてください。
こちら関口機械販売さんのサイトです。
http://www.acoustic-revive.com/japanese/index.html
こちらファイルウエブさんの記事です。
http://www.phileweb.com/news/d-av/201008/27/26667.html
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2010年09月11日

ジョー奥田氏のDSD試聴イベント

今日は「ネイチャー・サウンド・オーケストラを高音質で楽しむ」というイベントに参加してきました。
http://audio-cable.co.jp/hpgen/HPB/entries/134.html
こちらフジヤさんのブログの案内です。
http://avic.livedoor.biz/archives/51517010.html
これはジョー奥田氏の自然音とピアノとサックスのコラボ作品をコルグのMR2000でDSD5.6M再生させてハイエンドヘッドホンで楽しむというイベントです。

最近DSD対応DACとか、DSD配信とか、少しずつDSDの話題も出るようになってきたのでちょっと興味を持って聴いてきました。
DSDというのはSACDのオーディオに採用されているデジタル記録の形式で、CDで採用されているPCMとは違うものです。PCMみたいに変調方式でいうとDSDはPDMということになると思います。変調方式から違うので、両者は別物です。ただし変換はできます。

IMG_1305.jpg     IMG_1304.jpg

DSD再生の一番の課題はシステムでしょうね。
ヘッドホンのソースはMR2000Sですが、ヘッドホンアンプはFostexのHP-A7でデジタル入力はPCMしか受けませんので、デジタル出力はPCMでHP-A7に入れます。また多数のアンプに配らねばならないので、A7のデジタル出力機能を利用してリレーさせてデイジーチェインみたいにカスケードさせて行く方式で多数のアンプに信号を供給させていました。わたしはHD800で聴きました。

IMG_1307.jpg
MR2000SとD7000

お客さんはオーディオマニアというよりも、アーチストのファンの方が多いようで女性も半数くらいでした。
ジョー奥田さんのコメントですが、スタジオの音はもっと良いのに家でCDで聞くと良さが落ちてしまう。ここで心地の良い自然音とアコースティック楽器で、そのスタジオの音の良さを楽しんで欲しいということです。またヘッドホンは意外とスピーカーより良いので楽しんで欲しいとのことでした。

音学は波の音や鳥のさえずりなどバイノーラル録音された自然音にアコースティック楽器のピアノとサックスが美しい旋律を絡めて行くというものです。
音はデジタルのタコ足配線みたいになっているのでどうかなあと思ったんですが、思ったより劣化してない感じですね。HP-A7が単に中継プラグというよりリピーターみたいに働いているからかもしれません。
とてもクリアで立体感のある空間が感じられます。バイノーラル録音も良いのですが、HD800とHP-A7の相性もいいです。HD800とHP-A7の組み合わせは持ってないんですが、試聴で何回か聴いてるので音傾向は把握しているつもりです。それでもなお今回は特に楽器の音がなめらかで自然と感じました。DSDがアナログに近いという主張もなんとなくわかるようです。
今回はPCMに変換してたり、デジタル信号をリレーしてたりと、純粋にDSD(PDM)を聴いたというわけではないんですが、音源の良さと相まってDSDちょっといいかもと思いました。

もともとDSDってSACDというディスクメディアに入ってるのが問題で、こうしてハードディスクからのファイル再生で聴くと真の力を出せるんじゃないかとも思います。スタジオの音がベストと言う視点でもそうなりますね。
ただ本格的にDSDをコンピューターオーディオで再生するシステムを組むにはまだまだハードルがいくつもあります。経路を"DSDパーフェクト"で組めるかという問題です。
プレイヤーソフト->OS->ドライバー>DACという経路を例えばWindows7で考えた場合、まず一般的なメディアプレイヤーではDSDをサポートしてないので再生ができません。(DSDと言ってもいくつかファイル形式があるようです)
またOS(core audio)部分では排他WASAPIでないとPCM以外を通せません。ですので、プレイヤーがDSDを仮に読めたとしても、それが排他WASAPIをサポートしている必要があります。共有モードではミキサーであるAudio engineを通りますが、Audio engineはPCMしか処理できないからです。またマルチメディア・スケジューラであるMMCSSもPCMのオーディオストリームのみに対応してたと思います。
ドライバーは未知数ですが、特にクラスドライバーはどうなんでしょうか。もちろん最終的にDACがDSD対応であることが必要です。まあDSD対応DACなら当然ドライバーも対応しているのをつけるでしょう。
なかなか先は長いと言えますが、面白そうな分野となるかもしれませんね。

(ちなみに現状聞く方法はこちらのページとかPC Audiofan2に記載されています)
posted by ささき at 22:46 | TrackBack(0) | __→ DSD関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ステレオファイルのページにHifiMan HM801の記事が掲載

StereophileのホームページにHifiMan HM801のレビューが掲載されています。
Head DirectのFangの略歴から載っていますが、ナノテクを勉強していたようですね。
HM801もまだ知らない人も多いと思うので、こうして取り上げられてHeadFierでないオーディオ好きの人たちにもぜひ興味を持ってもらいたいものです。

http://blog.stereophile.com/stephenmejias/the_hifiman_hm-801_portable_music_player_big_is_the_new_small/
posted by ささき at 09:17 | TrackBack(0) | __→ HiFiMan HM-901, 801 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

iPadにVLCが登場予定

下記のニュースサイトによるとなんとiPadにVLCがポート(移植)されていま承認待ちとのことです。
早ければ来週には登場しそうですが、iTunesやiPodアプリとは別のサードパーティーのメディアプレーヤーがiPadに乗ると言うのはちょっと楽しみです。

http://www.lifehacker.jp/2010/09/100909vlcipad.html

VLC Media Playerはうちでは取り上げていませんでしたが、Windows、Mac、Linuxを問わずいろんなプラットフォームで動作する典型的なクロスプラットフォームのメディアプレーヤーです。
iPad/iPhoneのいわゆるiOSはMac OSXとまったく別なものではなく、それなりの部分を共有していてやはりCore Audioもあります。そのためiPadのUSB DAC対応の件はAppleのCore Audio MLで話されていたわけです。可能性はいろいろあるでしょうね。
VLCに関しては動画のほうがメインかもは知れませんが、iPadの活用法がまた豊かになりそうです。

*追記:
いくつかプレビューが出ていますがわりとスムーズに動画再生できて、いくつかPC版などと異なるけれども多種の動画形式(codec)が読み込めるようです。ただiPadのパワー的な限界もあると言うことです。母艦からの転送にはiTunes経由で行うようです。
http://www.macrumors.com/2010/09/10/video-preview-of-vlc-for-ipad/
http://www.wired.com/gadgetlab/2010/09/hands-on-with-vlc-movie-player-for-ipad/

posted by ささき at 00:32 | TrackBack(0) | __→ iPod, iPhone, iPad | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月09日

オーディオベーシック10月号に記事を書きました

本日発売のオーディオベーシック10月号にいくつか記事を書かせてもらいました。

ちょっと大作だったのは「大人のための新世代セカンドシステム(P83)」の記事です。
これは9台のプリ機能のついたヘッドホンアンプを聞いて、私がヘッドホンリスニングを担当して(Part1)、角田さん・和田さんがスピーカーリスニングを担当する(Part2)という企画です。ヘッドホンでもスピーカーでも使える組み合わせでスモールシステムを提案するというわけですね。
台数も多いしIKEMIとMacでそれぞれ聴いたので試聴だけでも大変でした。でもなかなか面白いものに仕上がっていると思います。価格帯もicon HDPからZodiac+まで無理のない価格帯ですし、旬なものから定番まで選んでいます。参考にしてもらえればさいわいです。

それとウルトラゾーンのedition 10の紹介記事(P150)を書いています。自分のブログでは発表会のところを主に書いたんですが、今回はレビューの試聴ということで自分のシステムで聞くことができました。
レビューでは読む人に分かりやすい土台が必要なので、上の特集でも取り上げているBCLを使用していますが、うちのHeadroomでもじっくり試しています。そのためけっこう音については把握したつもりです。やはりBCLの方がedition10とは良い組み合わせになるという感じですね。
edition10も賛否はありますが、個人的には全体的にみて仕上がりは良いと思います。ただフジヤさんのインタビューにもありますが、今回は音調整前のモデルということで多少直すべきところはあるかもしれません。また製品版の音が楽しみですね。

ちょっとギャラリーをお楽しみください。

ed10b.jpg     ed10a.jpg

また、今回はヘッドホン・イヤホンもたっぷり乗っていてShureのSE535(P101)とファイナルオーディオの新イヤホンheaven-s(P103)についてもわたしが紹介記事を書いています。

PCオーディオとヘッドホン・イヤホンがオーディオ誌の紙面を飾ると言うのもすっかり市民権を得てきました。良いことです、竜馬伝さながら新しい時代の変わり目を感じますね。

ほかにも今回は付録CDが元ゴダイゴのギタリストによるロックものなど、見所聴き所満載ですので、ぜひお求めの上、ゆっくりお楽しみください。


posted by ささき at 23:44 | TrackBack(0) | __→ Edition 8, 10 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

JH-3A遅れる

CanJamの時の記事で書いたJH Audioの下記のカスタムイヤホン向けのアクティブクロスオーバー(というかクロスオーバーなしというか)システムのJH-3Aですが、大幅に遅れているとのこと。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/152067854.html

当初のエンジニアが辞めて交代を探したりとかあったんで当初予定から大幅に遅れて、いま時点の状況でいまから12週間ほどかかるようです。
(下記はFacebookへのリンクです)
http://www.facebook.com/note.php?note_id=432093452282

ヘッドホン祭りにデモ機持ってきてもらいたかったけど、微妙な状況に。。
posted by ささき at 08:23 | TrackBack(0) | __→ JH13, JH16 カスタムIEM | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月07日

Digital Link III再訪

うちのブログのアクセスログを確認してみるとちょっと面白いのは、ずいぶん前に書いたPS AudioのDigital Link IIIの記事がいまだにコンスタントにヒットしていることです。実際にDigital Link IIIはかなり売れていてロングセラー的な商品になっているようです。価格も当初より下がっていて、10万を切るくらいになっているようですね。この性能でこの価格ではたしかに良いでしょう。
うちではDigital Link IIIはCDプレーヤーのIKEMIから同軸デジタルでSPDIF入力して、アナログ出力はバランスでSTAXのドライバーにつないでいます。ただコンピューターオーディオに取り組み始めてからはちょっと使っていませんでした。そこで多少古くなったこのDigital Link IIIをHalide Bridgeを使ってPCからバランスヘッドホンで使うシステムに組み込んでみました。
システムはWin7(Foobar2k)->(USB)Halide Bridge(同軸SPDIF)->Digital Link III->バランスアナログ出力(Kimber KCAG)->Headroom Desktopバランスアンプという感じです。Digital Link IIIの電源ケーブルは今回は力感のあるHeadroomにあわせてハイエンドホースAC3.5を使ってみました。

ちょっと復習するとDigital Link IIIの良さというのはまず脚色された分かりやすく良い音ということです。DACはニュートラルフラットな音が多いのですが、PS Audioの場合は暖かみを意図的に重視しています。また、基本性能も高く解像力とか広がり感でもBenchmark DAC1に負けずよいということです。安いのに良質なバランス出力を取り出せるというのもポイントです。全体にコストパフォーマンスが高いですね。
詳しくは下記の前の記事をご覧ください。このころでコストパフォーマンスがいいと書いていたので、安くなった今はさらに手ごろ感が高いでしょう。
http://vaiopocket.seesaa.net/category/2072352-1.html

Headroomにつけてみるとさすがに良質なバランス出力を持っているだけあって、音の広がり感が良いですし、ギターなどアコースティック楽器の音色もよく、ノリがよくジャズなんかのスイング感もよく出ています。ウッドベースなどの低域もDLIIIの強みのひとつで、豊かでかつしっかりした制動力を感じます。また、やや強めの個性の厚手のサウンドでロックのかっこよさもひきたちます。アナログ性能が高いと感じるのは、ディスクリートのIV変換とか強力な電源もきいているでしょう。
標準のUSBとBridgeの同軸で比べると、標準のUSBもWin7/FoobarのWASAPI排他モードで出すとわりと悪くありませんが、Bridge経由だと音が豊かになり、空気感というか倍音豊かに聞こえ、細やかさも増します。特にバランス出力のよさも分かりやすくなります。標準のUSBより一ランクあがったように思えます。

ただここまではいいんですが、DLIIIのUSBは48/16までなのでBridgeで96/24ハイレゾ再生も試してみようと思ったんですが、ちょっと試せません。これはDLIIIは独自のアップサンプリング機能があり、前面スイッチで96か192にアップサンプリングしますがオン・オフができません。これはPS Audioに直接聴いてみたのですが、そういう仕様のようで、入力信号がなんであれ、前面スイッチ位置の96/24か192/24にアップサンプリングされてしまうということです。
これは44/16前提のCDプレーヤーからのデジタル入力では気になりませんが、PCから出すときに96/24で出しても96/24に再度リサンプルされるということでなんとなくすっきりとしませんね。
それを考えると、88/24とか96/24などハイレゾ音源をかけたり本格的にコンピューターオーディオにも取り組みたい場合はちょっと向いていません。

オーディオ入門用と考えた場合にDLIIIはCDプレーヤーに初めて付ける単体DACとして、分かりやすい性能向上がありコストパフォーマンスの高さは優れています。PS AudioもPerfectWaveでハイエンドへ志向したのも良いですが、DLIIIのような安くてコストパフォーマンスの良いものの後継も考えてほしいものです。
posted by ささき at 00:41 | TrackBack(0) | __→ Digital Link III | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月03日

UEから新「リファレンス」カスタムIEM登場

UEからその名も「リファレンス」という新しいカスタムIEMが登場しています。
http://ultimateears.com/en-us/promo/reference-monitors
これはアメリカの高名なレコーディングスタジオとの提携で開発したもので、いままでのUE11とかUE18のラインとは異なるようです。下記のHeadFiスレッドでJudeさんがプリプロダクションモデルを試した印象をちょっと書いています。
http://www.head-fi.org/forum/thread/510047/ultimate-ears-in-ear-reference-monitors-capitol-studios-collaboration-announcement-and-first-impressions
ニュートラルさとイメージングに焦点があるようで音もUE18とは異なっていそうです。なんとなくJHAを意識しているようにも思えますが、また頭痛の種が。。
posted by ささき at 09:43 | TrackBack(0) | __→ UE 11, UE18 カスタムIEM | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする