Music TO GO!

2010年08月28日

HifiMan HM-602 NOS DAC搭載の高性能ポータブルプレイヤー

人気のHifiMan HM801の弟分ともいえるHM-602がいよいよ9月に発売されます。
わたしはHead Directから評価用モデルを送ってもらいました。下記の記事はそのモデルによるものです。

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こちらはサードウェーブさんの製品ページです。
http://www.twctokyo.co.jp/hifiman/HiFiMAN2.html

ひとことでいうとHM602はHM801に比べて一回り小さく、価格も抑えられたモデルです。
しかし単にHM801の弟分というだけではなく、HM602は独自の特徴を持っています。それはNOS DACの搭載です。
NOS DACとはノンオーバーサンプリング・DACのことです。HM-602で使用されているTDA1543というDACチップは実はもう生産されていないのですが、このNOS DACを製作するために使われた代表的なDACチップです。それをわざと使用してNOSというところにこだわったわけです。ちなみにHead Directでは全数検査をして品質を確保しています。

*DACのオーバーサンプリングとは

さて、ノンオーバーサンプリングを説明するにはオーバーサンプリングを説明しなければなりません。
オーバーサンプリングとはサンプリング周波数をさらに高く分割するものです。しかし、いわゆるリサンプリングやアップサンプリングとは違います。
リサンプリングやアップサンプリングはDACに入れる前(トランスポートから出すとき)にオリジナルのサンプリング周波数を44.1->88.2のように高めて音を良くしようとするものです。そのために中間補完とかも使うでしょう。
それに対してオーバーサンプリングはDACの中でアナログフィルター(ローパスフィルター)の効率を高めるための工夫です。ローパスフィルターとは最近はデジカメでよく聞くでしょう。デジタルカメラもデジタルオーディオもサンプリングをしてデジタル記録をするという点で、原理的に折り返し(エイリアシング)の問題から逃げることはできません。そのために折り返しの影響を受けるナイキスト周波数(1/2fs)より高い周波数を取り除くローパス(低い周波数だけを通す)フィルターが必要です。これは音楽でも写真でもデジタル記録であれば同じです。
ここのfig3が分かりやすい図式です。ちょっと難しくなりますが、オーバーサンプリングのポイントはサンプリング周波数を上げることで、ナイキスト周波数をシフトすることが出来るというところです。つまりローパスフィルターで図の左にある中身の音楽データに傷をつけずに取り出したいのが目的ですが、あまりデータが真ん中(ナイキスト周波数)ぎりぎりだと取出しが難しいのですが、オーバーサンプリングして周波数を高めるとナイキスト周波数がシフトして余白が多くなり、取り出しやすくなるのがわかると思います。
つまりオーバーサンプリングすることでアナログ回路で構成されるローパスフィルターの設計を簡易化できるのです。

*ノンオーバーサンプリングとは

しかし、こういう細工をすることで音質が劣化すると考える人たちもいます。基本的にデータに細工をしすぎる問題であるとか、また折り返しの影響を受けるとされる高い周波数が本当に意味がないのかという考え方もあります。そこを取ることで本来聴こえるべきものがなくなるのではないかということです。あるものはそのままにという純粋主義的な考えですね。(むこうではピュアリスト・アプローチといいます)
さらにジッターは周波数の時間方向に対しての揺らぎですから、周波数を細かく刻むとより多くのサンプルがジッターの影響を受けるようになります。
オーバーサンプリングとノンオーバーサンプリングのどちらがいいというのはよくネットで炎上するテーマのひとつなのであまり踏み込みませんけど、多くの人がノンオーバーサンプリングの音を好んで特にカスタムビルダーがよく使います。
メーカー品ではノンオーバーサンプリングというのはほとんどありません。ひとつの理由はスペック上の値はオーバーサンプリングのほうが容易に上げられるからです。それよりも聴覚上の音の良さを取るというのがノンオーバーサンプリングの考え方といえると思います。また素材を生かす料理に手間がかかるようにノンオーバーサンプリングもなかなか製作は難しいそうです。
普通にオーバーサンプリングを使えば失敗せずにそこそこ良いものは作れるわけですから、そこにこだわりを見せるところはポータブルプレーヤーにハイエンドDACチップのPCM1704を持ち込んだHead Direct/HifiManらしいといえます。

*HM801とHM602

単にアンプ前段のオペアンプが同じだから改良HM801とHM602が同じかというとこのようにDAC部分では別物の考え形、コンセプトで作られているわけです。
HM801はマークレビンソンのDACでも採用されていた様なハイエンドのDAチップであるPCM1704を使用して、ハイエンドオーディオ的なアプローチをポータブルオーディオに持ち込むことで良い音を追求し、HM602はDAチップにTDA1543を使用してノンオーバーサンプリングというハイエンドオーディオとはまた別な自作マニアが作るカスタムビルドのオーディオマニア的なアプローチをポータブルオーディオに持ち込むことで良い音を目指していると言えます。

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ちなみにHM-602では24bitは再生出来るけれどもTDA1543自体が16bitなので、互換性がある程度に考えておいたほうが良いと思います。この辺でも違いは出てきます。
またHM801ではアンプモジュールが差し替えられますが、コンパクトさ優先の602ではそれが固定で、代わりにゲイン切り替えがあります。アンプ自体は801の標準モジュールに近いものということです。IEMの相性はわたしはJH13が良いと思いました。使っていると熱くなるところは同じで、まじめにA級増幅仕事をしているという感じです。
602で改良された点も多々あって、まずチャージャーがコンパクトになりました。初版の801を持っていた私にしてみるとちょっと驚きです。

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キーは普通の十字キーとなることでわかりやすくなりました。ちょっとタッチは軽めなのでロックはしておいたほうが良いでしょう。厚みはちょっとありますが、本体はだいぶ軽く感じます。
スクリーン周りはほとんど同じでメニューも同じです。801で使用していたSDカードがそのまま使えます。

2569.jpg     2568.jpg

なお機能はかなり引き継いでいて、USB DACとしても使えますし、各種入出力も801に似ていますね。それをコンパクトな筐体に入れ込んでいます。正面のボタンは上から電源ボタン、キーロックボタン、DAP/DAC切り替えです。

*602の音質

一番重要なのはもちろん音質です。技術は音質のためにあります。
届いてからまる二日程度はもうバーンインしていますが、JH13とEdition8で聴いてみました。
HM801と比べるとぱっと聴きの音質は近くて上質な感じは共通しています。帯域バランスは自然で、音表現はクリアで明瞭感は改良型の801に近いように思えます。
低域もタイトでドラムスのインパクトもよいし、ひとつひとつの音は明確でJH13で聴いてると音の細かさがはっきりわかります。もちろんドライではなく、オーディオ的なウォーム感があるのは801と共通する良い点です。性能偏重に陥らないということですね。
これを考えると602のコストパフォーマンスは高いと思います。

両者の差は細かく聴くとわかります。HM801は立体感や楽器の音の重なりのコントラストが明確で、音像の緻密さに優れています。洗練された音像や空間表現もさすがにハイエンドDACです。
HM602はアコースティック楽器の音を聴くと顕著ですが、音再現がとても滑らかでスムーズです。これは届いてすぐから感じたことですので、602の個性といえるでしょう。
ヴォーカルも聴いていてとても気持ちが良い再現力を持っています。ハープの音色も絶品という感じできれいに感じられますね。空間表現も独特で音楽のリアルな空気感や雰囲気をよく伝えられます。
とにかく聴いていて気持ちのよい音で、高い音性能を兼ね備えながら味のある良い音という感じです。この辺はNOS DACの効果なのでしょう。

602は単に801のスケールダウンで価格を求めやすくしたのではない、違ったアプローチで作られたポータブルオーディオといえます。いうなれば弟といっても異母兄弟的な感じでしょうか。
801をすでにもっている方にもお勧めできるのではないかと思います。
posted by ささき at 23:32 | TrackBack(0) | __→ HiFiMan HM-901, 801 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

HM-801のアップグレードサービス

前にも書きましたが、HifiMan HM-801について、602で使われているのと同じオペアンプにアップグレードできるというサービスがサードウェーブさんで行われています。
海外から買った人にも対応してもらえるという太っ腹なものです。

http://www.twctokyo.co.jp/hifiman/HiFiMAN.html

そのモジュールが届きました。オペアンプを交換した後のものは明るく透明感が高まります。また全体に先鋭に感じられます。
ちなみにHM801のアンプボードがIEM用(GAME)のときはJH16が良いように思えましたが、標準にしたときはJH13のほうが良いように思えます。
posted by ささき at 23:18 | TrackBack(0) | __→ HiFiMan HM-901, 801 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月26日

シンフォニシティ - スティング

うちのブログでもけっこうスティングの新譜を書いてますが、また新作アルバムが出ました。
これはポリス時代やソロになってからの名曲をオーケストラアレンジしたものです。
企画ものとしては珍しくないように思えますが、アレンジも良く、覚えのある曲がオーケストレーションで表情を変えるのが面白いところです。

Next to youでは吉松タルカスのようにオーケストラならではのパワーでロックを表現しているし、
ロクサーヌは好きな曲のひとつなんですがストリングスや管楽器でしっとりとした雰囲気感をあげてます。ロクサーヌではオリジナルより複雑な印象をうけますがEnglishman in Newyorkではシンプルなままで原曲の良さを生かしクラシックというよりはジャズ風な仕上げが上品です。

しかしロクサーヌを聴いてるとスティングも歌唱がさらに上手になったと感じますね。最近のクラシックヴォーカルものに挑戦していたのも伊達ではありません。
ベテランになってもいろんなことに挑戦して自らを磨いて行く姿勢はさすがですね。
DVD付きもあって、そらちはSHM-CD仕様です。


posted by ささき at 23:14 | TrackBack(0) | ○ 音楽 : アルバム随想録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月23日

タッドさんのMAハイレゾDVD紹介

先日のイベントのところでも紹介しましたがタッド・ガーフィンケルさんのハイレゾDVDについてもう少し紹介します。
PCオーディオファン2の付録として好評を博したタッドさんのハイレゾリューション音源がキングインターナショナルさんから3タイトル発売されています。
下記のサイトから購入することができます。もちろん日本語サイトです。

セラ・ウナ・ノーチェ(Sera Una Noche)」(タンゴ)
https://kinginternational.jp/cgi-local/s01/shop/shp02040.pl?sc_prod_id=M-052AHR

ラ・セグンダ(Laa Segunda)/セラ・ウナ・ノーチェ(Sera Una Noche)」(タンゴ)https://kinginternational.jp/cgi-local/s01/shop/shp02040.pl?sc_prod_id=M-062AHR

「オープニング(Opening)」/マティアス・ランデウス・トリオ(JAZZ)
https://kinginternational.jp/cgi-local/s01/shop/shp02040.pl?sc_prod_id=M-081AHR

わたしの持っているセラ・ウナ・ノーチェについてもう少し詳しく書いてみます。PCオーディオファン2収録の"Soledad"がこのアルバムから入っています。
基本的な注意事項ですが、これはCDではなくコンピューターのファイルが入ったDVDROMですので、CDプレーヤーでかけることはできません。パソコンのDVDドライブに入れてから、適当なフォルダに入れてください。

参考のハイレゾのための再生環境を書くと、Windows7にFoobar2000にWASAPIコンポーネントを使用します。これで排他WASAPIでオリジナルのままDACに送り出すことができます。共有モードだとせっかくのマスタークオリティが改変されますので注意ください。XPの場合はFoobarのところで書いたようなカーネルミキサーのバイパスが必要です(ASIO/ASIO4ALL/KSなど)。
機器はもちろん96/24対応のDACなどを使用してください。

中にはライナーノート代わりのPDFとアルバムアートのイメージファイルも入っています。
ライナーには特にDVD用に書かれたらしいノートも入っていて、マスターは96kHz/24bitで録音してからは曲間でフェードインとフェードアウトを適用する以外は処理をしていないということです。

データはその96kHz/24bitのままWAVファイルで入っています。またボーナスとして2.8MhzのDSFファイルも入っています。これはコルグで再生するように書かれています。このアルバムの場合はオリジナルはPCMなのでDSDは変換したものです。
詳しくはこちらのサイトを参照くださいということです。
http://www.ps3sacd.com/dsddiscguide.html

音楽としてはタンゴといってもワールドとコンテンポラリージャズを融合させたようなもので、MAらしいタイトルです。
ハイレゾで聴く音楽はまさに生々しくて鮮烈、手に触れるようですね。

タッドさんの音源目当てでPCオーディオファン2を買った人はこのキングインターナショナルさんのDVDもお勧めです。
posted by ささき at 22:47 | TrackBack(0) | __→ ハイリゾリューション音源 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月22日

タッドガーフィンケルと角田さんのイベントレポート

土曜日は前に紹介した角田さんとタッド・ガーフィンケルさんのイベントで相模原原のノジマサウンドスクエアに行ってきました。

MAは好きなレーベルの一つなので前から聴いてたんですが、タッドさんとは今回始めて会いました。
良録音で知られるだけに学究肌の硬い人かと思ってたんですが、いきなりTシャツ一枚のラフな格好で現れて、しかも流暢な日本語でちょっとびっくり。行きも一緒だったんですが、とにかくよく笑う明るくて面白い人で日本に20年近く住んでたそうですけど、日本語はほとんど完璧に近いですね。
話していて、コンピューターオーディオにはずいぶん前向きでハイレゾにも前向きに取り組んでます。
実際にリゾリューションが16bitの時代でSACDもないころから96kのハイサンプリングで録音してたそうです。とにかくリアルに録音したいという意気込みがその辺からも感じられます。時代がやっと追いついてきたという言葉がまさに当てはまりますね。

もちろんCDでも素晴らしい音が聴けますので、試聴会はCDとコンピューター音源を両方取り揃えて行いました。
試聴会は大入りで急遽二部を設けたくらいです。

コンピューター音源はMacbookにAmarraで再生し、楽曲ファイルはNASに入れて無線LAN内蔵ハブでつなぎ、iPadからリモートで操作するというシステムです。
それに以前書いたNorthstarのUSB32をUSB DACとして例の二股アコリバUSBケーブルでつなぎます。

IMG_1583.jpg     IMG_1582.jpg

CDはPS AudioのPerfectWave TransportとDACを使いました。
プリとパワーはLuxmanでC10001とM800A、スピーカーはフォーカルのスカラユートピアです。

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タッドさんはバズーカ砲と間違えられるマイクを登山用パックに詰め、世界を回っているそうで、一度は本当に空港で止められたこともあるそうです。

マイクとミュージシャンの配置とかその工夫は普通は録音エンジニアの秘密だそうですけど、タッドさんは快く教えてくれたそうです。
それは二本の無志向性マイクの周りをミュージシャンが囲むというもので、電源はほとんどバッテリーで取るとのこと。
こうするとミュージシャンが配置によっては他のミュージシャンの音が聞こえなくなったりするので、モニター用にヘッドホンをかぶせて聞かせるそうです。
(この辺は後で個人的に聴いたことですけど)モニターはSTAXを使うということで、細かい音を拾えるからですか、と聞いたらそれもあるけど、音のバランスが良いからだそうです。本来クローズの方が良いけれども、クローズのダイナミック型では低域がちょっと強すぎたりして良くないということでした。Headfiのことも知っていて、Ray SamuelsとかWoo audioもいいと言ってました。

レコーディングの音の純度にこだわるのでマイクとレコーダーは可能な限り近接させて近くに配置するので、スタンドからはもう1mくらいのところにレコーダーを置くとのこと。そこからモニター用にラインを伸ばすということで、レコーディング中は機材には触らないそうです。
また、レコーディングしたら後はあまりいじらないそうです。
鮮烈な録音、と私たちが感じるCDには録音する方も工夫とこだわりがあるというこということですね。

ただクラシックの人はマイクを囲んで録音するという方式ではやりたくないという人も多いと言うことで、反面でジャズとかワールドミュージックの人はそういうイレギュラーなことを進んでやるそうです。この辺は面白いことです。
ピアノの中にピンポン玉を入れて取ったり、けっこう遊び心から面白い音楽になったりもする例も試聴させてくれました。
タッドさんは試聴で音楽がなっているときはしきりに拍子をとったり頭を降ったりとノってましたが、録音エンジニアもミュージシャンの一人なんだとちょっと思いました。

IMG_1592.jpg


CD販売も好調だったようです。
試聴にも使われて良かったと思った一枚はプエンテ・セレステというブエノスアイレスのジャズバンドの「nama」というアルバムですが、これは日本語の「生」という漢字を当てています。文字通り生々しい演奏で、特にパーカッションの音がすごいと感じました。試聴ではハイレゾ版のコンピューター音源ですがCDも良かったです。ラテン系のコンテンポラリージャズという感じですね。

また上の写真にも手前上のほうに写っていますが、ハイレゾのコンピューター用データがDVDでキングインターナショナルさんから提供されています。
https://kinginternational.jp/cgi-local/s01/shop/shp02040.pl?sc_prod_id=M-052AHR
https://kinginternational.jp/cgi-local/s01/shop/shp02040.pl?sc_prod_id=M-062AHR
https://kinginternational.jp/cgi-local/s01/shop/shp02040.pl?sc_prod_id=M-081AHR
PCオーディオファン2の付録などに感動された方はぜひチェックしてください。
posted by ささき at 23:19 | TrackBack(0) | ○ オーディオショウ・試聴会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月21日

オーディオアクセサリー138(10月号)に記事を書きました

今度はオーディオアクセサリー誌にも記事を書かせてもらえました。本日発売の138号(10月号)です。
レギュラー的に掲載されているPCオーディオ・スクランブルが今回は96/24のような高品位音源特集なのですが、その中で「高品位音源とはなにか」という解説記事を1ページほど書かせてもらいました。(P130)
CDでは得られないこうした高音質の音源というのはコンピューターでオーディオをする魅力のひとつですね。また本特集ではPCオーディオ機材がいろいろとたっぷり紹介されています。なんとあの現代彫刻USB DDC のDiverterまで紹介されてますので興味ある人はぜひご覧ください。

本誌の他の記事もタンノイのKingdom Royalの力の入った特集やアキュフェーズ、SIMAUDIOなどの注目の新製品特集、またオーディオアクセサリー誌らしい電源についての濃い話など見所がたくさんあると思いますのでぜひお買い求めください。
http://www.phileweb.com/news/audio/201008/18/10159.html


posted by ささき at 10:05 | TrackBack(0) | __→ ハイリゾリューション音源 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月19日

オーディオファイル向けミュージックプレーヤー(7) - KMPlayer + ReClock

今回の記事はWASAPIを使用したWindows 7のための記事です。また、下記のHeadFi記事を参考(スタート)にしていますが、以降のReClockに関して調べたことがらは私があちこちネットをあさって掘り出したものですので、念のため。
http://www.head-fi.org/forum/thread/438010/tutorial-wasapi-support-for-kmplayer-having-a-top-notch-video-audio-player

1. ReClockとは

今回の記事の主眼はKMPlayerではなく、ReClockというソフトウエアです。KMPlayerについては最低限しか書きませんので、詳しくは調べてみてください。

ReClockはDirectShowのフィルター(プラグイン)で、役割はレンダラーです。
DirectShowは略すと同じDSなのでDirectSoundと混同されることもありますが、基本的には別なものでDirectSoundはDirectXというマルチメディアライブラリーの一部、DirectShowはメディアプレーヤーのフレームワークです。ただし名前が似てることから推察されるように関係はあります。(ここでは詳述しません)。DirectShowはフィルター(プラグインとかモジュール)を組み合わせてマルチメディアプログラムを作る骨組みみたいなものです。フィルターには入力のためのものやレンダリングのためのものもあります。
なおDirectShowはMedia Foundationという新しいフレームワークに切り替わりつつあります。

ReClockはもともとは動画再生のためのレンダラーで、目的は動画をスムーズに再生させるためにグラフィックボードのクロックからフレームレートを調整するようなものです。
ただ最近では海外でもコンピューターオーディオ流行りのこともあり、ピュアオーディオだけでも使われることが多くて音がよくなると評判です。そこでちょっと調べてみました。

わたしも実際のReClockの動作に関して詳しくはないのですが、どうやらReClockはソフトウエア的なASRCのように微妙にリサンプリングをして動作周波数を調整するようです。つまり44.1->88.2のように大きなリサンプリングではなく、44.12356を44.10000にするような感じです。ただし、実際の調整法はこのようにぴったりのサンプリングレートにするのではなく、たとえばサウンドカード/DACのクロックに対して早めとか遅めにリサンプリングして、DA変換のときに再生ピッチシフトをさせることで調整するようです。この辺はちょっとよく分かりません。

2. どうしてKMPlayerを使うのか?

まずReClockを使用するにはプレーヤーがDirectShowで作られている必要があります。
こういう用途には一見Foobarが向いていそうですが、FoobarはDirectShowで作られているわけではないので、DirectShowフィルターを使用することができません。
正確に言うとinput_dsというコンポーネントで入力フィルターは使えるようですが、ReClockのようなレンダラーフィルターは使えないようです。
また、WMP12はMedia Foundationという新しいフレームワークで作られているので、互換性が微妙です。

KMPlayer自体は動画も使えるメディアプレーヤーです。音楽だけで使うときはムービー画面を閉じてミュージックプレーヤーモードになります。対応フォーマットが豊富で、ALAC(Appleロスレス)も標準で対応しています。

kmp_3.gif

おそらくKMPlayerとReClockの関係は、AmarraでいうiTunesとSSEの関係に近いのではないかと思います。つまり音源管理担当と音だし担当みたいなことなんでしょう。Amarraを使って、iTunesのQuickTimeをSSEに変えることで音が良くなるように、KMPlayerもレンダラーをReClockに変えると音が良くなるということでしょうね。
出力先デバイスとかOutput設定もReClockの担当です。そのため、ReClockを使うとWASAPI対応となります。また逆にWASAPI対応されたReClockが必要です(後述)。

3. インストール手順

ReClockはソース提供(GPL)でもあるため、バージョンがあります。古くからあることもあってネットのあちこちでReClockのダウンロードが見つかるかもしれませんが、基本的にはWASAPIを使うためにはslysoftのものが良いようです。

3.1 KMPlayerをダウンロードしてインストール
http://www.kmplayer.com/forums/showthread.php?t=4094
設定項目はデフォルトでよいと思います。

3.2 ReClockをSlysoftのサイトからダウンロードしてインストール
http://forum.slysoft.com/showthread.php?t=41776
設定項目はデフォルトでよいと思います。

両方とも英語のみページなのでわかりやすいようにダイレクトリンクにしましたが、本日付けの最新です。なるべく一階層戻って最新版を確認してください。

3.3 デスクトップにConfigure ReClockアイコンができるので、それをを立ち上げて設定する。

kmp_reclock_set.gif

*PCM設定をWASAPIに設定
*Device to use withをDefault deviceに設定。ここではHalide Bridgeを使っています。 (サウンドの設定からデフォルトデバイスを確認してください)
サウンドカードの場合はここで選択ができるかもしれません。(Win7マシンにはいま内蔵カードを入れていません)
*PCM outputの設定を変えます
QualityがBest Syncだと少しグリッチる(ノイズ不具合)のでGoodにしてあります。環境次第ではBestでもうまくいくかもしれません。
Formatは注意が必要です。ProtonやBridgeなど24bit native(24bit padding)転送のデバイスを使うときは、ここのFormatを24bit int(24bit整数型)にしてください。そうでないとdevice not supportedとエラーになります。
おそらくゴードン系のAyre QB-9はこれが必要だと思います。またフェーズテックHD-7AやDACPortも必要だと思います。24bit paddingはAsycもAdaptiveも関係ありません。
24bit paddingはサウンドの共有モードのプロパティで16bitの選択が出てこないことでわかります。こういうデバイスは24bitでしか受けられないので、24bitに16bitをパディング(詰めて)して送らねばなりません。
またuDACのようにPCM27xxを使用しているものは逆に16bitにしないといけませんので、デバイスに応じて設定が必要です。
バッファなどは特にいじっていません。

3.4 KMPlayerを立ち上げて画面上で右クリックする(日本語で出るはず)
オプション設定->環境設定->オーディオ処理のところでオーディオレンダラをReClock Audio Rendererに設定。

kmp_setup.gif

(ここの設定を見ると参照しているデバイス情報などが分かります)


3.5 KMPlayerで再生
KMPlayerからOpenかスクリーンに楽曲ファイルをドラッグして音楽ファイルを再生します。あとはKMPlayerの使い方を参照ください。

全体に設定はFoobar+Asio4all程度の難易度で、一回設定するとあとは普通のプレーヤーなのでcMP2とかXXHighEndよりは楽に使えると思います。
Appleロスレスも標準でサポートしているのでかなり楽です。

XPでは試していませんが排他WASAPIの代わりにKernel Streamingに対応しているようです。hiFaceともうまくいくかも。

4. 音質

実際にHalide Bridgeを出力デバイスにしてHeadroomで聴いてみました。KMPlayerとReClockとの比較にはFoobar 2000とWASAPIコンポーネントを使用しました。ReClockからもWASAPI排他モードで出力されるように設定しています。

たしかに音の違いはかなり明確で、上のHeadfi記事のようにぱっと聴いてすぐに違いがわかります。
同じ音を出してもより豊かでかつクリア、空間表現も良いですね。細かい音の抽出も良く、こんなに性能があったかと気がつかされます。
またFoobarより音楽的に好印象です。特にオーディオをやってきた方は、Foobarが痩せた感じで、KMPlayer+ReClockは厚みがあり豊かに聞こえると思います。

Foobar+WASAPIで十分ビットパーフェクトなんですが、こんなに明確な違いがでるというのは驚きますね。ビットパーフェクトはあくまで前提条件であって、音のよさというのはそこからはじまるというのをちょっと考えさせてくれます。
posted by ささき at 22:35 | TrackBack(3) | __→ PCオーディオ・ソフト編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月16日

Gloria/Te deum - カールジェンキンス

タワレコにいったところ、吉松タルカスのところに空前のヒット!という広告ポップが立ってました。意外とと言ってはなんですが、けっこう売れてるんですね。ロックにオーケストラを入れるのはよくあるんですが、純粋な管弦楽曲でプログレっぽいアプローチというのは意外となかったかもしれません。(オーケストラル・チューブラーベルズのようにオフィシャルものもありますが)

こうしたプログレっぽいオーケストラものを探しているひとにお勧めの作品はこれ、ソフトマシーンにいたカールジェンキンスの新作、Gloria/Tedeumです。
以前"This land of ours"収録の"In these stones horizon sing"を紹介しましたが、
http://vaiopocket.seesaa.net/article/120104117.html
このGloriaも声楽を交えた壮大な管弦楽曲です。冒頭から声楽と管楽器でかっこよく鳴り響く壮大なテーマの提示に圧倒されます。
また壮大なテーマだけではなく歌曲もなかなか美しいものです。下のYoutubeビデオではピアノを弾いているのはカールジェンキンス本人です。



カールジェンキンスについてはアディエマスというのもいまは昔で最近はこうした現代管弦楽曲を主に作曲しています。普通こうした宗教曲をテーマにした作品は教会なんかの委託が多かったりしますが、このGloriasは変わった事に楽章の間にテキストの朗読があり、それらは仏教とかヒンズー教の他の宗教からの聖典からの引用です。
そうした面白いアプローチでまた作品世界を広げています。

こちら試聴のためのiTunesリンクです。
http://itunes.apple.com/jp/album/jenkins-gloria-te-deum/id378611137




posted by ささき at 22:33 | TrackBack(0) | ○ 音楽 : アルバム随想録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月15日

Red Bullフライバイ・イベントの写真

最近は梅雨あけてすぐ猛暑という感じであんまり写真撮る機会もなく、いろいろと他にやることもあったのでちょっと写真関係はお休みしてましたが、6月にちょっと面白いイベントを撮りに行きました。それがアップされていますので紹介します。

Red Bull(レッド・ブル)という名を聞いたことがあると思いますが、Red Bullという飲料メーカーがスポンサードするスポーツイベントはたくさんあります。最近ではF1でよく聞くでしょう。
そのRed Bullはスカイスポーツもたくさんスポンサードしていて、最近夜中にフジTVで"Red Bull Air Race"というのをやっているのをご存知の人もいるでしょう。そのRed Bull Air Raceの一環で日本でも少し関連イベントをしています。それはケミカルブラザーズみたいなビート系・クラブ系のバンドのライブステージ(BIG BEACH FESTIVAL 10)とタイアップして、そこを飛行機がアクロバットをしながら飛ぶというものです。わたしは飛行機関係でもいろいろと撮っているのですが、このイベントにオフィシャルカメラマンの一人として参加してきました。

私が撮った写真ですが版権は私に無いのでここにはアップできません、こちらのRed Bullホームページの日本語リンクをご覧ください。
http://www.redbull.jp/cs/Satellite/ja_JP/Article/Red-Bull-Fly-By-021242859422264?refmod=ContentFeed&refmodpos=A2

これはキヤノンEOS-1Ds MkIIでEF15/2.8 魚眼レンズで撮っています。
撮影はまずステージに乗ってミュージシャンのすぐ隣に待機しています。ここにキーボードの席がありますがこのバンドの場合は空席なので、ここで待機しています。コールがあるのでそのタイミングでとっさに構図を決めて撮ります。ステージ上はかなり音が大きいのでこの辺のタイミング取りはかなり緊張しますね。
観客とミュージシャンと飛行機を全て入れ込んで世界を表現するため魚眼レンズを使いました。ただ広く切り取るとステージ内と空との明度差が大きく、ダイナミックレンジが大きくなります。ここは失敗できないので露出はもちろんマニュアルであらかじめ測ってベストなところで固定しておきます。ピントもマニュアル固定です。
もちろん後でRAW現像するのですが、当日JPEGも速報として必要なので撮影時点でしっかりと決めておくことが必要です。
飛んでる飛行機を撮るのはいつも難しいんですが、こうした特別な撮影もまた難しく、それゆえ面白いものです。

こうした曲技飛行に興味あればまた10月16・17日に福島のスカイパークでイベントがありますのでどうぞおこしください。
http://blog17gray.seesaa.net/article/135641615.html
上が昨年のイベントでの写真です。
posted by ささき at 10:58 | TrackBack(0) | ○ 日記・雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月10日

USB DACとネットワークオーディオのはざま

一月のCESで発表されていた話題の製品のひとつ、Resolution AudioのCantataが出荷され始めているようです。
こちらがResolution AudioのCantataのページです。
http://www.resolutionaudio.com/cantata.html

これは人気のあったCDプレーヤー、Opus21の後継機ということですが、基本的にはOpus21と同じCDプレーヤー部分を中心にネットワークセンターとして拡張を図ったというもののようです。DLNAベースのホームオーディオの中核という位置づけになります。DACチップとしてPCM1704を4個搭載して音もなかなか良いようです。
Cantataは面白いことにUSB DACとしても機能します。DAコンバータとしての性能も良いなら、USB DACとしてパソコンにも使えればたしかに便利です。ただ問題はコンパクトなUSB DACならともかく、こんな外装も豪華なミュージックセンターの置く場所はリビングの真ん中だし、パソコン置き場とは異なるわけです。そこでCantataではPont Neufという興味深い解法を用意しています。Pont NeufはコンパクトなUSBデバイスです。
これは上記Cantataページの下の図を見ると分かりやすいのですが、パソコンのUSB端子にPont Neufを取り付けて、他方の口からネットワークケーブルでハブなどにつなぎます。そうすると同一ネットワーク上のCantataがなんとUSBデバイスとして認識されるというもののようです。(専用のドライバーが必要でWindowsかLinux対応です)
これは無線を介しても機能するようです。つまりは無線LANを介してとなりの部屋においてあるPCからUSB DACとしてCantataが認識されるということになります。そうだとするとちょっとすごいですね。

USB DACについて隠れた問題点は接続するパソコンとの距離です。USB接続には距離(ケーブル長さ)の限界があり、具体的には5m前後となります。
これ以上接続距離を伸ばすためにはひとつにはリピーターをかませて延長する方法とか、光を使ってメディア変換する方法があります。(この辺は別なネタなので今回省きます)
もうひとつ考えられているのがネットワークを介して距離を伸ばす方法、USB over ipと呼ばれているものです。USB over networkといったほうが分かりやすいと思います。おそらくUSB over ipはUSB orgが正式に規格しているのではなく、サードパーティー規格だと思いますが、USB接続をインターネット標準のTCP/IPネットワークを使用して距離を伸ばすものです。Pont Neufはこれを応用したと思われます。

こうしたネットワークベースのUSBを使用したと思われるのはたとえばサイレックス・テクノロジー SX-3000GBがあります。
ただしオーディオに使うときはアイソクロナスに対応していることを確認したほうがよいですし、オーディオ機器が確実に動くとは限らないようですので念のため。
Pont Neufはその点でCantataと組で開発されているので安心してシステムとして使えます。Cantataは家の中心にある存在でありながら、Pont NeufのおかげでUSB本来の距離制限を無視して書斎のPCともUSB DACとしてつなげる柔軟性を確保したわけです。

同様なホームネットワークではやはりLINNのDSシリーズがあります。
LINNはもともとホームオーディオ志向の会社ですし、Knekt(クネクト)というホームネットワークのシステムをすでに持っていました。knektはCat5ケーブルを使いますが実体はストリーミングのようなネットワーク転送ではなく、スタジオみたいにアナログ信号のバランス伝送で長距離を引き回していたようです。普通のRCAアンバランスだとあまり距離は伸びないのでこれもアナログ時代の距離を伸ばす工夫と言えるでしょうね。こちらにKnektの解説があります。
http://www.linn.co.uk/faq_knekt
それがデジタル時代のホームネットが必要と言うことでLinn DSが考えられ、前のknektはアナログ伝送のクローズ技術(proprietary)だったのでオープン技術のストリーミングを使用するDLNAを採用したと言うことでしょう。そう考えると"DS"がデジタル・ストリームの略という意味が良くわかってくると思います。

LINNの中でDSは異質な製品とも思われがちですが、LINNからみた場合にDSはクローズからオープンへとあくまで自然な進化であると思います。
しかし、それが市場に導入されたときに「これが次世代のオーディオシステム」という捉えられ方をされて、ちょっと方向が異なってきます。たとえばオープンなシステムですから本来は家にPCやNASなどを中心としたネットワークシステムがすでにあって、そこにLINN DSが入るということを想定したのに、LINN DSが特別視されたためにLINN DSを入れるためにホームネットワークを設置するといういささか主客転倒な結果になってしまってもいます。
そのため結局NASを含めてもDS関連の機器しかネットワークにつながないため、ネットワークケーブルがUSBケーブルとかデジタルケーブルと混同されてしまい、DSとPCの接続はケーブルが短いほうが良いとか、Cat6ケーブルよりCat7ケーブルの方が音がいいとか、そうした風潮を生んでしまっています。それが間違っているとは言いませんが、そのことがネットワークというものに対しての誤解を生んでしまって、コンピューターオーディオというものを混沌と分からなくさせている原因のひとつになっているのではないでしょうか。
またLINN DSにしても、短いケーブルで直結がいいならUSB DACの方が手軽で良いということになってしまい、本来の力と意義を認めてもらえないことにもなるように思えます。

USB DACとネットワークオーディオがいまのコンピューターオーディオの双璧のように思われますが、Pont Neufのような新技術はその境界をあいまいにしていきます。
新技術がどんどん出てくるので、いまあるものを整理しておかないと混沌とする一方でしょう。こうしたスタンスがいまはコンピューターオーディオには必要な気がします。
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2010年08月09日

HM-801の無償アップグレード案内

おなじみHifiman HM-801に無償アップグレード案内が出ています。
今度HM-602という弟分が出来ますが、こちらの方が良いオペアンプを搭載すると言うことで、HM-801の方も無料で同じものにアップグレードしてくれるという、うれしい話です。しかも日本ではサードウエーブさんがアメリカから直販で買った分も交換してくれるそうです!
普通こう言う場合はアメリカから買ったら向こう送りになるところをなんとも懐深い話です。海外送料や事故の心配なしで済ませられますね。送料は国内で買った人とアメリカ直の人は違いますので注意ください。

http://www.twctokyo.co.jp/hifiman/HiFiMAN.html

詳しくは上記ホームページを参照してお申し込みください。

posted by ささき at 23:14 | TrackBack(0) | __→ HiFiMan HM-901, 801 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月08日

タッドガーフィンケルと角田さんのイベント開催

PCオーディオファン2の付録DVDに収録されている高音質音源が気に入った人は多いでしょう。実際に鮮烈で素晴らしい録音でした。
その録音をした本人、あのMAレコーディングス総帥のタッドガーフィンケルが評論家の角田郁夫氏と組んで講演を行い、さらにソフトの試聴と即売会まで行うというコンピューターオーディオに興味ある人は見逃せないイベントが8/21にノジマ・オーディオスクエア相模原店で開催されます。

http://www.audio-square.com/modules/eguide/event.php?eid=441

予約制ということで興味ある方はぜひどうぞ。
posted by ささき at 23:31 | TrackBack(0) | ○ オーディオショウ・試聴会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月06日

ビートサウンド No16でiPad記事を書きました

今度ビートサウンド誌にも記事を書かせてもらうことになりました。
ビートサウンド誌はロック・ポップス系の音楽とオーディオ誌ですが最近コンピューターオーディオにも力を入れています。(ステレオサウンド系ではデジタルファイルミュージックと呼んでいます)
その本日発売の最新号にiPadの記事を書かせてもらいました。iPadを音楽ファンがいかに楽しむかということで、ヘッドホンとかアクティブスピーカーと組み合わせています。

面白かったのはオーディオ誌というと試聴曲はなんとなくクラシックとかジャズを選ぶ感じですが、ビートサウンドではロック系を使えるところが楽しいところです。男性ヴォーカルはトム・ウェイツで書けてしまいます。
またiPadとオーディオを組み合わせた写真がとてもきれいですので、ぜひご覧ください。わたしも写真にはこっていますが、さすがはプロです。iPadはジャケットを表示させるとけっこう決まりますね。

音楽記事も、1960年〜1989年までのジャパニーズ・ロック&ポップス、山下達郎、細野晴臣、荒井由実、矢野顕子、加藤和彦などなどと面白いので、どうぞお買い求めください。

ホームページはこちらです。
http://www.stereosound.co.jp/bsweb/

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posted by ささき at 00:04 | TrackBack(0) | __→ iPod, iPhone, iPad | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月05日

吉松隆タルカスを語る

今日はタワレコで吉松隆さんのタルカス発売記念のトークイベントに行ってきました。
なんだかんだと構想から足掛け40年くらいかかったといってましたが、やはりプログレバンドって備忘録みたいなものだけで演奏していてスコアを書かないようで、そこを耳コピするのが大変といってました。分析していくとジャズみたいにテーマパートとアドリブパートがあって、そこをうまくまとめていったとのこと。
今回のポイントはいわゆるクラシックの上品さというよりも、ロックの破壊力をオーケストラで再現したかったとのことですね。原曲を知っていると演奏してるときに笑っちゃう人がいたというのがちょっとおかしかったです。
とにかくこうした試みが広まってほしい、といっておりました。
吉松隆さんのホームページはこちらです。

http://homepage3.nifty.com/t-yoshimatsu/

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2010年08月04日

JH16 pro 8ドライバーカスタムIEM

ちょっと書くものが多かったので書きそびれていましたが、ずいぶん前にJHAudioのJH16 proを入手しました。忘れないうちに書いておきます。
わたしはすでにJH13の耳形をJHAに持ってるので、それを使いました。あらたにインプレッションの取り直しはしていません。

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JH16はこのカテゴリーで前に書いたようにJH13の後継というより兄弟機といえます。
http://vaiopocket.seesaa.net/category/6871567-1.html
片側8ドライバーで、名前の通り両側で16基のドライバーが入っています。形式的には3Wayの8ドライバーということになりますが、2基が高域用、2基が中域用、4基が低域用です。同帯域を複数で持っているのはマルチアレイのPA的な考えで、ひとつのユニットに負荷をかけてゆがみを生じさせないようにするためです。言い換えるとバランスド・アーマチュアはここまで手をかけて、やっとよい音が出るというような脆弱な一面も持っているわけです。
低域に片側4つものドライバーを持ってきているのは、先の記事に書いたように喧騒のステージの中で低域を埋もれさせないという低域重視の設計方針によるものです。

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JH13とJH16というと音の違いというのが気になります。事前にいろいろHeadFiあたりを見て理解していたのは、JH13とJH16は高域・中域の音の個性はほとんど似ているが低域で差が出るというものです。
自分でもヘッドホン祭のときにユニバーサルモデルでJH13とJH16を聞き比べる機会があったんですが、そのときに感じたのはたしかに音の個性は似ているし、低域では大きく量感がことなるけれども、高域と中域でもJH13とJH16では音の違いがあるということです。
たとえばJH13/JH16とUE18とは音の個性自体が異なります。UE18はUE11に比べるとずいぶんJHAに近づきましたが、それでも鳴りの性格や音色という点ではUE18はJH13や16に比べればやはり他のメーカーの音です。それに比べるとJH13とJH16は音の個性はかなり似ていて、ほぼ同じといってもよいんですが、JH16はJH13に比べると音が全域でやや緩めです。JH16とJH13ではスペック上でもちょっと違いがありJH16は少しインピーダンスが低いのですが、それが出ているのかもしれません。
しかしこれはシャープで切れのよいJH13とA/B比較しての話で、JH16だけ聴いてもゆるいとは思わないでしょう。むしろ適切という気もしますね。ただしこの違いはあとでまた書きますがおもしろい効果となります。
もちろん低域は大きく異なり別物です。ただし音楽やアンプによっては低域過剰になるかもしれませんが、これは書いたようにそもそも意図的なものです。
ぱっと聴いた印象のちがいは、全体的な傾向は似てるが16は迫力があり13は小振りでシャープに聞こえるという違いがあるように思えます。

そして実際に自分のカスタムを手にして、カスタム同士で比べてみるとまたちょっと違った印象があります。
それはJH16がJH13よりややゆるいというよりも、JH16はJH13に比べて音楽的であると感じることです。対していうとJH13はいくぶん分析的に聞こえます。ここがちょっと自分でも面白いと思ったところです。
繰り返しになりますがJH16はJH13にたいしてやや緩いといっても、単体でそう感じることはなく、音の輪郭があくまで明瞭でシャープなため、甘いという印象に陥りません。対してUE18は甘いという印象がぬぐえないですね。JH16とUE18を比べると特にそう思えます。
JH16の音が柔らか目というのは、インピーダンスがJH13より低いというところからきているように思うけれども、あくまで明瞭感を保っているのはさすがです。UE18も前に書いた様に音色のよさや精細感は美点で、個性的な良さも多々あるけれども、全体的な印象はやはりJH16の方が上と感じますね。

HiFimanのイヤホン用のアンプボードとも相性が良く、HM801との組み合わせは極上です。Protectorともなかなかよく、実際にいまのポータブルメイン機材となっています。
JH13、JH16、UE18で比べるとそれぞれ個性はあるのですが、どれかひとつというとやはりJH16がお勧めといえます。
posted by ささき at 23:44 | TrackBack(0) | __→ JH13, JH16 カスタムIEM | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月03日

Nuforce Icon-2登場

Nuforce Iconというと一昨年からだいぶ人気となったコンパクトデジタルアンプです。
そのIconの新型としてIcon-2が登場しています。
http://www.nuforce.com/hp/products/icon2/index.php
$100高くなって12W/chが24W/chとなり、USB入力は96/24対応となりました。ただし88/24が書いていないところを見るとチップはテナーなんでしょうね。あやしいRJ45のスピーカーコネクターも健在です。

またuDACは出たばかりですが、こちらもuDAC2が出ています。
http://www.nuforce.com/hp/products/iconudac2/index.php
こちらも96/24対応となりましたが、88/24はありませんね。uDACからのアップグレードもあるそうです(アメリカでの話です)。

Iconといえば最近HDPも試す機会がありましたが、なかなか良かったです。どちらかというと、HDPのほうがお勧めかもしれません。
http://www.nuforce.com/hp/products/iconhdp/index.php
posted by ささき at 23:53 | TrackBack(0) | __→ NuForce Icon-1 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月01日

Edition 10 発表会開催

今日はUltrasone Edition10の発表会が青山で開かれました。公式なワールドプレミアは香港で来週行うので、それに先立つ日本独自の特別公開イベントです。Editionシリーズを育て上げた日本のユーザーへの特別なはからいですね。
場所は青山の今度ヘッドホンショウが開かれる場所です。ウルトラゾーン社長らも再び来日し、ちょっとお話を聞く機会もありました。

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Michael WillbergとMichael M. Zirkel

*Edition10とは

10はEditionシリーズとして初めての開放型となりますが、もともとウルトラゾーンが1991年に始めたときは開放型から始めたそうで、その後にスタジオなどの要求から密閉型に志向して行ったそうです。
そうしてEditionシリーズで密閉型を極めますが、今回の開放型の開発はユーザーの声を大事にしたということです。

実際、Editionシリーズで開放型を出すというのはなかなか難しいことだったようです。Editionシリーズは本物志向のユーザーのためのヘッドホンというテーマで開発されていますが、このコンセプトと開放型というデザインは共存させるのが意外と難しいようですね。
例えば、今回の改良点としてドライバーやケーブルもあるのですが、大きなポイントの一つはイヤパッドということです。というのは、Editionシリーズは本革を使うというコンセプトがありますが、実は開放型で本革はとても難しいそうです。実際いままで開放型で本革イヤパッドはないそうです。これは開放型ではイヤパッドの設計が難しく音に対する影響が大きいということです。
パッドを見るとイヤパッドに細かい穴がたくさん開いてエアフローの改善を計っているのがわかりますが、こうしたところにも改善のあとが見られます。
左右のドライバーのマッチングも0.5パーセント以内という高精度なものにしているそうですが、これにはイヤパッドも関係しているということです。

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ドライバーはチタニウムで新開発です。
開放型のため、Edition8より10パーセント能率が高いということです。インピーダンスは30オームです。
ケーブルも新開発でOFCに銀コートをしています。またアラミドファイバーのシールドが丁寧になされています。柔軟性が高く、かつ形状記憶をしにくいので丸まりにくいということです。
ケーブルは脱着式ではありませんが、タイムロードでバランス仕様にできるということです。

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Editionシリーズは材質にこだわっていますが、今回の木の部分はアフリカのzebrano(ゼブラノ)という材質で、シマウマのような模様から名前がつけられています。高級な楽器や車の内装に使われているそうで、多層のコーティングがされているとのこと。
スタンドも標準でついていますが、これもゼブラーノを使っています。これは家で大事に使ってほしいと言うことだそうです。
金属材質はルテニウムで、革はエチオピアンシープスキンということです。
すべてドイツ製の手作りでこだわりがあります。

価格は28万で、10/20発売。2010個限定だそうです。

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こちら発表会から。モデルさんの手にiPadがあって音楽を聴いているのがわかりますでしょうか。

*ハンズオンレポート

会場には構成のことなる試聴機が五台設置されていました。
私はコーダとm902で聴いてみました(MSA1でも少し聴いています)。またHD800を持って行ってちょっと比較してみました。

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Edition8にハウジングは似ているところはありますが、デザインは自然界のイメージ、特にバタフライ、蝶のパターンからインスパイアされたそうです。装着感が軽いのも特徴です。

パッと聴いた大まかな音の特徴はEdition8を開放型にした感じです。
音は極めて早いのですが、Edition8よりさらにシャープさを増して切れが良くなっているように思います。また解像力も極めて高く、この二点から比較するとHD800が甘く聞こえるくらいです。音のキレの良さには銀コートのケーブルも関係していると思います。
空間表現はHD800のような特徴的なものではなく、もっと素直な聴きやすい空間表現ですね。
低域はHD800よりあきらかに上で、開放型としてはたっぷりあるように思います。低域に関してはLCD2に比べても遜色なく十分ある感じです。

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*考察

音はEdition8の延長上にあるようにも思いますが、ポータブルという点からコンパクトさが優先されて設計に制約あったEdition8に比べると、それがなくなったEdition10はさらに音が磨かれているようにも思えます。開放型になってこもらずにもともと持っていた透明感が際立つところもあるでしょう。Edition7/9の密度感とは違いますが、それは根本的な密閉型と開放型の違いに思えます。
アームなどはEdition8に似ていますが、装着の軽さとかポータブルのEdition8で工夫された点はそのまま生かされているのかもしれません。

家で聞くEdition8、その発展型とも言えるようにも思えます。昨年はHD800とEdition8がよく比べられましたが、ポータブルとして設計に制約のあるEdition8はちょっとハンディがあって不利であったとは言えます。Edition10はそれを完成させ、進歩させたように思えます。
Edition10はそうした意味では、Edition8の延長上というよりも、あの音の本来あるべき姿とも言えるのではないでしょうか。
posted by ささき at 22:54 | TrackBack(0) | ○ ホームオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする