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2022年11月25日

Astell & Kern 10年の結晶、新フラッグシップDAP「A&ultima SP3000」レビュー

Astell&Kernから、A&Ultima ライン待望の3000番の新製品にして新しいフラッグシップ「A&Ultima SP3000」が発売されました。
こちらは代理店アユートの製品ページです。
https://www.iriver.jp/products/product_228.php

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SP3000とqdc TIGER

* SP3000概要

Astell & KernのフラッグシップであるA & Ultimaラインの最新モデルで、旭化成の最新のDACモジュールであるAK4191とAK4499EXの組み合わせを世界で初めて採用していいます。これは据え置きも含めて世界初です。ポータブルの世界は進歩のサイクルが速いので、こうした最新DACを据え置きハイエンドよりも取り込みやすいという背景もあるようです。

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イヤフォン出力端子は3.5mmアンバランス、4.4mmバランス、2.5mmバランスに対応しています。PCとの接続端子はUSB-Cで内蔵ストレージは256GB、microSDカードも備えられています。microSDカードはSP1000のようなトレイではなく差し込み式です。ハードボタンは従来通り3個で、ボリュームは押し込むことで電源スイッチを兼ねています。上面の電源ボタンはありません。ディスプレイは5.46インチの大型でフルHD表示が可能です。
サイズは82.4mm × 139.4mm × 18.3mm、重さは約493gとずっしりとしています。筐体はのちに詳述しますがステンレススチール製ですので従来のSSモデルに相当します。

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SP3000の開発コンセプトは「光に包まれる」です。配色としてはクリムゾン・レッドがUIなどのキーのカラーに使われています。
またSP3000の開発コンセプトは開発コメント動画をみると「新しいものを一つの場所に」というものもあるようです。「光に包まれる」という言葉もこれまで蓄積した技術の集約をも意味しているとのことです。今年2022年はAK100が出てから10周年の節目にあたります。
SP3000では単に最新最高のDACを搭載したということに留まらずにさまざまな新基軸を採用し、これまでのAsstell & Kernの歩みをだとるかのような技術の蓄積をもみることができます。

* デジタルとアナログの分離

まずSP3000で注目したい点は世界初搭載されたというAK4191とAK4499EXという旭化成の最新DACです。これはデジタル処理を専門に行うというAK4191と、アナログ信号を専門的に扱うというAK4499EXの二つのチップから構成されています。いわばデジタル部とアナログ部を物理的に切り離すことが可能となりました。
このシステムについては以前アスキーに記事を書いています。
参考リンク:AK4499EX記事 https://weekly.ascii.jp/elem/000/004/005/4005472/

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それぞれのチップは独自形式のマルチビットデータで受け渡しが行われています。この形式の最大の利点は高速でスイッチングするというノイズの塊であるデジタル部と、ノイズを嫌うアナログ部の相反する二つを根本的に切り離したということです。このためもあってかAK4191では従来のDACのオーバーサンプリングが8倍か16倍程度のところを256倍のオーバーサンプリングが可能です。これはFPGAとか使ったディスクリートDACなみであり、従来のICチップDACからは一線を画した能力といえます。このメリットはSN比がとても高くなるということです。
いわばAK4191とAK4499EXの組み合わせは、従来のDACチップを超えてディスクリートとチップによるソリューションの折衷案的なレベルに達していると思います。
SP3000においてはさらにデジタル部がシールドされていることでこの効果は最大限に発揮されています。このシールド缶はSE180から採用れた技術でそれが生かされているといえるでしょう。

* バランスとアンバランスの分離

もう一つのSP3000の大きな「完全分離」の新基軸はバランス回路とアンバランス回路の完全分離です。
これまでのDAPではバランスとアンバランスで共有されたDACやアンプを使用しているため、バランスとアンバランスを切り替えるためのスイッチICが必要でした。しかしここでそれぞれの回路の最適化のための信号処理が発生してしまうので、その分音質は劣化してしまいます。
SP3000ではバランスとアンバランスをDACやアンプを完全に分けたためにこの音質を劣化させるスイッチICを信号経路から排除しています。さらにSP3000ではバランス回路をを使用しているときはアンバランス回路の電源を切り、その逆も行われることでこの分離が徹底されています。
そのため実質的にバランス専用DAPとアンバランス専用DAPの二個入っていることになります。

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SP3000とTIGER

この一筐体に二個のDAPというのはSE200の知識が生かされているように思えますが、SE200の時は両方同時に通電していたのでSP3000ではそれを踏まえてさらに進化したということができます。

もちろん4.4mmバランスの方が電気的に有利だしパワーもよりかけられてセパレーションも良いのですが、一方でSP3000ではアンバランスの方が出力インピーダンスが低いというメリットもあります。またバランスの場合はアンプがブリッジ構成になってイヤフォンの見かけの抵抗が低くなるため電源負荷が高くなるので、アンバランスの方がより余裕はあるでしょう。SP3000でバランス専用機とアンバランス専用機が二つ入ってることで、それぞれの特性を楽しむことができます。

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SP3000とfinal A8000

イヤフォンの標準ケーブルはおまけのように思われがちですが設計は標準ケーブル込みの音で開発してるので、なんでもリケーブルすれば良いというものでもないでしょう。またJH AudioやFitEarのように独自ケーブルの場合には高価なバランスケーブルの用意まで手が回りにくいので標準の3.5mmのまま残っているということもあるでしょう。
DAPでも3.5mmはバランスのおまけというものでもないはずです。このように本気の3.5mm端子で本気の標準ケーブルを鳴らせるというのは望ましい形だと思います。

* ノイズ低減の徹底

このようにSP3000では「デジタルとアナログの分離」と「バランスとアンバランスの分離」という理想的な形を実現したフラッグシップらしい贅沢な設計がなされています。
さらに導電性の高い高純度銀を塗布したシールド缶でカバーするなど、チップだけではなく、基板全体を俯瞰した徹底的なノイズ対策が施されています。
デジタルアナログ分離DACでノイズ分離し、シールド缶使ってさらにノイズ分離して、ここまでやるかってレベルです。ステンレスシャーシも効いているでしょう。おそらくこれだけノイズ対策したオーディオシステムはハイエンドオーディオでもそうないと思う。

ノイズ低減は最近のAstell & Kernの開発テーマであり、それが全て結実したのがSP3000ということができると思います。実際にSP3000では130dBというこれまで最高のSN比を実現しています。

* DAR

SP3000はDARも音の良さのポイントに加速剤を加えてくれるものです。これはかなり効き目が高いですね。44kHzは352kHz、48kHzは384kHzに製数倍にアップサンプリングされます。ここではSE180のSEM4カードの知見が生かされています。
PCMモードでは一層音に緻密さが増して重厚な音になり、DSDモードでは自然な音のままで音質を一層引き上げてくれます。PCMかDSDかは好みですが基本的にDAR常にオンで良いのではと思います。

* RoonARC対応

SP3000ではRoon 2.0のRoonARCアプリに対応しています。これはRoonを自宅で実行して自宅のPCやサーバーの音源を管理している場合に、それをインターネットを通して外出先で聞くことができるというものです。これは画期的だと思います。使用にはuPnP対応のルーターが必要ですので注意ください。


* 筐体

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A&Kでは以前にもステンレススチールの筐体はありましたが、以前は316Lというメスなどに使われる医療グレードの高級ステンレスを採用していました。それがSP3000においてはロレックスなどがトレードマークのように使用している超高級ステンレスの904Lを採用しています。これはポータブルDAPというか電子製品として初めて採用されたとのことです。ボリュームホイールにはやはり高級時計のリューズを作る際に使用されるスイス製の無振動加工機が使われています。

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このようにSP3000は性能だけではなく、モノとしてまったく高級時計と遜色ないようなレベルの工業製品となっています。

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SP3000ではさらに摩耗や腐食に強いイオンプレーティング・ハードニングや、汚れから守るアンチファウリング・コーティングも施されています。それとパッケージにはAK銘のクリーニングクロスがついています。

* ユーザーインターフェース

SP3000のプレーヤー部ではSoCにオクタコアCPUを採用したクアルコム製Snapdragon 6125が採用されているとあります。ただし4桁番号の6125は開発名称なので、これは製品名としてはSnapdragon 665のことだと思います。Snapdragon 665はミドルレンジクラスのAndroidスマホに使われるSoCですのでDAPとしては十分な処理能力があるでしょう。またミドルレンジのスマホはたいてい4GBのRAMですが、SP3000では8GBのRAMを搭載しているので、実際にはミドルクラスのスマホよりも処理能力は高いでしょう。これは音楽データなどを考慮してのことだと思います。
実際にOpen Appのストリーミングサービスも含め、SP2000Tよりもよりキビキビと動きます。

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SP3000でApple Music再生

またストリーミング音源についてはアプリの処理能力が高いという他にメニューから直接サービス画面を開いてストリーミングアプリを起動できるようになったので、以前よりもストリーミングの使いやすさがだいぶ向上しています。
内蔵音源についてはCDスリーブのようなアルバム表示が凝っています。

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電源に関しては5050mAhのリチウムポリマーバッテリーを内蔵(SP2000は3700mAh)しています。これによって約10時間の連続再生かせ可能となっているとのこと。実際に試してみたところ、デフォルト設定でエージング中に見たら100%から9時間再生させて9%残りでした。


* パッケージ

今回は内箱が二つに分かれていて、大きい方の箱を二つに割ると本体がすっと出てくるという凝ったパッケージです。日本製でもここまで凝ってるのはなかなかないかもしれません。ここにもデザインテーマの「包まれる」が生きてます。

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実物は表面仕上げが今までとは違って艶と厚みがあり高級感を感じます。たしかに高級時計はこんな感じという感じですね。今まで見たポタオデ機の中で一番高級感があるように思います。ブラックモデルでは漆黒の感覚がノイズフロアの低さを感じさせてくれます。

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もう一方の内箱にはクリーニングクロスと伝統のレザーケースが入っています。まずこちらを開けると本体に指紋がついても拭き取れると思う。レザーケースは革の手触りもよく滑りにくいので使いやすそうです。

* 音質

SP3000で音の個性にまず気がついたのはエージングに入れるときです。
エージングに入れる前にイヤフォンのボリューム位置を合わせるためにちらっと聞いたときに、あれっと思ったのはエージングゼロなのに固くきつい感じがないことです。普通はエージングゼロだと硬くてエッジが尖っているように感じるものですが、すでに極めて滑らかでスムーズだったんです。
まるでPCMなのにDSDネイティブかR2Rのような音で、今までとは違うということはデジタル・アナログ分離のフラッグシップDACであるAK4191+AK4499EXの新機軸が効いてるのかもしれないわけです。もしかしてこれが新DACの効果の一つかもとその時にちょっと思いました。

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SP3000とTIGER

エージング終えてからまず4.4mmバランスで聴いてみました。バランスで相性良いのはやはり最新鋭のTIGERです。TIGERとSP3000のバランスでの組み合わせではまるで浮き上がるような透明感を堪能できます。みな音が中空に浮き上がって聴こえるような、今まで聞いたことがない音の感触さえ感じられます。
SNが高くなったせいか、例えば力強いパーカッションの連打の後ろに微かな女性ヴォーカルのヴォーカリーズやハミングが入っている場合にそれがはっきり聴こえるだけでなく、くっきりと上下(のように)に分かれて聴こえます。堀が深い彫刻のようですね。もちろんグレングールドがピアノ弾きながら鼻歌歌ってるのもはっきり聞き取れます。

まるでSP3000では別の世界線のDAPのようなサウンドが楽しめます。
音が浮いて聴こえるようなSP3000の音の進化って、SP1000から2000になったみたいに音がよりシャープになった、より細かくなった、ということだけじゃなくもっと質的な別次元の進化があるように思えます。
それはデジアナ分離構造の4499EXの新機軸の効果かもしれないし、A&Kの低ノイズ追及やSP2000とSP3000の間のfuturaでの試行錯誤の成果かもしれません。おそらく両方です。

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SP3000とTIGER

音はもちろん細かいんだけど、聴いた印象だと細かさより滑らかな方が強い感じです。特にステンレススチール筐体の音ってもっと硬かったはずですが、ステンレススチールの透明感はそのままにいい感じに角が取れて滑らかな感じです。
こうした感覚って前になんか聴いたことあると思い出したのは、光でガルバニックアイソレーションして電気絶縁したオーディオシステムです。それは音のキツさがなく、滑らかで立体的です。SNが高いとシャープになるというよりキツさがなくなるんですよね。特に44/16で聴くとそうです。

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SP3000とTIGER

こうした解像感とかSNの面以外でもう一つ感じる音の進化は、従来のフラッグシップDAPに比べて音が重く、重心が低く感じられることです。以前より力強くなってるのも特徴で、特にバランスでよりパワフルな音表現になっているように思います。これは低音が誇張されているというのではありません。
実際の帯域バランスはわからないけれど、おそらくSNの改善その他で低域方向が強化されてるのかもしれませんし、アンプ部分の改善なのかもしれません。ジッターとか出力インピーダンスとか低域方向でより差が出ますし、オーディオにおいては「質の高い」低域を出すのが一番難しいんですよね。

qdc TIGERは原音忠実性が高いので分かりやすいけれども、Astell & Kern /Campfire Audio のPathfinderのような個性派ハイエンドの個性もよりはっきり出ます。
Pathfinderは個性のかたまりのようなハイエンドイヤフォンです。ダブルダイアフラムBAや独自機構のダイナミックウーファーまで音に生きています。TIGERはEST採用など個性的な特徴をまとまりの良さの方にチューニングして優等生らしいけれども、Pathfinderは天才タイプのように透明感が磨かれています。SP3000ではその能力が極限まで発揮されて、こうした優等生的なTIGERと個性派Pathfinderの差がよりはっきりとわかります。

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SP3000とPathfinder

SP3000のSNの高さもPathfinderでは最高度に発揮されて、聴いたことがないようなレベルの透明感のクリスタル・クリアな音場に無数の細かな音が舞ってるように聴こえます。特に中域の透明感と鮮明さは群を抜いていて、Pathfinderのヴォーカルの良さが際立ちます。アルバム「Manafon」でのデヴィッドシルビアンの声がゾクッとするほどです。
今までTAECのチューブレス透明感は何度も聞いてるけど、SP3000ではTAECの高音の伸びもはじめて聴くほどに澄み切ったベルの音の響きが感じられます。ベースサウンドもタイトでハイスピード、単に迫力あるだけじゃないですね。またSP3000で聴くとPathfinderの低音が単に迫力あるだけでなくBAのように速いベースだということもわかります。

SP3000でのTigerとPathfinderだと正直どちらもすごいけど、よりSP3000の音に没したい場合にはモニター的なTigerの方がわかりやすく、思わず笑っちゃうような凄い音世界に浸りたい場合はPathfinderが良いように思えますね。

* アンバランスユーザー注目

SP3000の特徴的なところはアンバランスとバランスをスイッチも介さず完全分離してるので、3.5mm側をみると最近では珍しいアンバランス特化型のプレーヤーになってるところです。例えばアンバランス回路なら2chの4499EXの一個で良いはずですが、でもあえてA&K伝統のデュアルDACにこだわってDACを二基設けた本気度合いがポイント高いです。SP3000ではアンバランスがおまけではありません。いわば本気のアンバランスです。
バランスに比べると音場が狭くなるのは仕方ないですが、むしろ音がセンターにフォーカスされて、音質自体は馴染みやすいかもしれません。バランスに比べて出力インピーダンスが低い点も良いですね。

手持ちのイヤフォンではさまざまな理由で3.5mm端子のものがたくさんあります。SP3000はそうしたイヤフォンの使用頻度を増してくれます。
例えばバランスケーブルの購入はやはり汎用性のあるMMCXや2ピンが優先されてしまうので、JH AudioやFitEarのように独自端子のものは手が回らなくなりがちです。

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SP3000とJHA Layla CIEM

最近JH Audio LaylaをSP3000でよく使うんですが、しばらく使ってなかったLaylaが息を吹き返したように楽しめます。先進的なPathfinderに比べるとクラシックな音ですが、それがアンバランスでちょうど合います。ワイドレンジで鋭い音はジェリーのLayla設計の意図を汲み、低音のパンチの良さがJH Audioのハウスサウンドを感じさせます。SP3000の低域方向の性能の高さがずっしりとした重みを感じさせるんです。

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SP3000とFitEar TG335(左)とTo Go 334

SP3000でイヤーピースとケーブル同じにして比較してみたらFitEar Togo 335とTG334の違いがより分かりやすかったのに驚いたのも発見です。低域の違いはわかりやすいけど、中高域の表現もこんなに違うのかっていうのが発見できたように思います。

CA Cascadeは独特の端子で3.5mmアンバランスしかなく、普通のポータブル機器だと重くこもったようになりがちだったけど、SP3000のアンバランスだとからっと軽くHD800みたいに精密に鳴るのがちょっとすごいと思う。このくらいのドライブ力って今まではアンプ組みのシステム並みです。

またイヤフォンを設計する際には標準ケーブル込みの音で設計するわけですし、最近では標準ケーブルの性能も上がっています。そのために標準ケーブルのまま使いたいというものもあるし、それらはたいてい3.5mmです。

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SP3000とfinal A8000

例えばfinal A8000の音のすごい速さってトゥルーベリリウム振動板とともに、伝送速度を重視した標準ケーブルとの組み合わせの良さもあるので標準の3.5mmのまま使いたいわけです。そういう時にSP3000のアンバランス専用側で活かせます。古楽器の響きの良さ、消え入る細かい音までしっかり再現してくれます。


* まとめ

SP3000は外観と音質の両方で今までのポータブルオーディオにないレベルの「上質さ」を感じます。
超高級腕時計のような外観と、別世界線のような音性能で従来のプレーヤーと一線を画したSP3000はA&K 10年の区切りに相応しい製品と言えるでしょう。

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伊達にSP3000が10年の集大成を語っているわけではありません。実際にA&Kの歩みとこの間のA&futuraでの経験が生かされています。

バランスとアンバランスがスイッチで切り替えてなく完全別なので実質一つの筐体に二個DAPが入ってるのと同じなのはSE200を思い出させます。ただしSE200では同時に通電していたのからさらに進化して片方は電源カットという仕様に進化しています。
シールド缶やDARはSE180を通して得た知見ということもできます。
そしてA&futura全てを通してノイズ対策は一貫して続けられて、その成果が全てSP3000に投入されています。

わたしはAK100からずっと見てきたんですが、これだけの経験を地道に積み上げて来たメーカーは他にないと思います。カッパーみたいな特殊素材シャーシについてはソニーでさえ後追いしたくらいですからね。
Astell&Kernのブランドが確立してからも挑戦者のマインドを忘れずにfuturaラインでの経験が大きいと思います。ノイズ低減の徹底というテーマを設けているのも良いですね。
またAK120から続くデュアルDACの追求もいまだに生きています。アンバランス回路なら2chの4499EXの一個で良いはずですが、でもあえてA&K伝統のデュアルDACにこだわってDACを二基そのために設けています。そのためアンバランス部分は本気で使えるものになっています。
SP3000持って行くとハイレベルの音空間を楽しむためのバランス用の最新のイヤフォンと、味を楽しむための昔ながらのお気に入りのアンバランス用のイヤフォンを二つ持って行きたくなります。

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SP3000はたしかにスペックも素晴らしいのですが、それは数字という分かりやすい要素の一つであるに過ぎません。
単にスペックにとどまらない、その陰に隠れているこうした技術の積み上げが結実しているのがSP3000の音であり、それこそが10年の集大成という意味であると思います。
こうしてAK100が掲げた「ありのままの音」というテーマが結実しているのがSP3000と言えるでしょう。
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2022年11月11日

チタンシェルのユニバーサル、qdc TIGERレビュー

TIGERは中国のプロフェッショナル・オーディオ市場において大きなシェアを持つqdcが寅年を記念して開発したハイエンドのマルチドライバー・ユニバーサルイヤフォンです。

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* TIGERの特徴

1. チタン製のシェルと装着感の良さ

TIGERではシェルが通常のアクリルではなく、硬度の高い金属のチタン製です。シェルはユニバーサルタイプなのでカスタムイヤフォンに似た形状で、もちろんqdcのカスタム製作の経験に基づいたものです。これにより材質感など感覚的な良さはもちろん、遮音性など音の部分にも大きな効果があります。
また中空彫刻工芸という技術でフェイスプレートの部分が虎縞の模様に繰り抜かれてローズゴールドの中層が透けて見え、虎を想起させる独自性のあるデザインもユニークです。

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また付属のダブルフランジイヤーピースの出来が良いこと、金属製のユニバーサルシェル、オールBA/ESTなのでベントもないなどから高い遮音性と装着感の良さを両立させています。

2. BAドライバーと静電ドライバーのハイブリッド構成

TIGERでは6 基の BA ドライバーと 2 基の静電(EST)ドライバーによる片側合計 8 基のハイブリッド構成を採用しています。TIGERにおいては低域部分もBAドライバーが担当しています。

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クロスオーバーはAnole V14 と同じ 4wayタイプを採用しています。これにより10Hz - 70kHzというかなり広い帯域特性を得ているとのことです。

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3. プラグ交換式の標準ケーブル

標準ケーブルは3in1タイプの交換式プラグを採用し、3.5mmアンバランス・2.5mm4 極バランス、4.4mm5 極バランスの三種類に交換が可能です。イヤフォン側の端子は2ピンでソケットを使用して確実に装着するタイプです。

* インプレッション

実際の製品はチタンらしい感触で金属の質感が高級感を感じさせます。それにフェイスプレートの中空加工が独特な個性を加えています。
TIGERのまず第一の特徴はその装着感の良さと遮音性の高さです。ダブルフランジ・イヤーピースの出来が良く、ノズルの部分がうまく耳穴にフィットするので、イヤーピースがいつもよりひとサイズ小さくても良いくらいです。わたしはダブルフランジは苦手なんだけど、これはシングルみたいにうまくフィットしますね。
これは人によって違うかもしれませんが、シングルフランジの大だと少し低音多めになりますが、ダブルフランジだと適正になる感じですね。これでプレーヤーや曲によって使い分けてもいいと思う。
この装着性の良さと金属のシェルのおかげでTIGERは極めて遮音性の高いユニバーサルイヤフォンになっています。カスタム並みと言っても良いかもしれません。金属の遮音効果もあるので下手なカスタムよりいいかもしれません。電車内で使うとANCなみに音が低減できるほど。これは音量をあまり上げなくて済むとともに、入ってくるノイズを小さくできるので細かな音の再現性でも有利となりますね。

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標準ケーブルは端子交換タイプで3.5mmアンバランス・2.5mm4 極バランス、4.4mm5 極バランスの3タイプを簡単に付け替えができます。付属の円形ケースはなかなかに使い勝手が良いデザインでケーブルが絡みにくいと思う。

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TIGERは能率は低くないのでわりと鳴らしやすい方だと思う。音質はとても先鋭的な音で透明感が高く感じられます。また音場がとても広い感じがします。オールBAという印象よりはずっと低域はたっぷり出ている感じです。全体的にはすっきりと端正で原音忠実度の高いサウンドだと思います。
中高音域はシャープで切れ味が良いけれども、刺さるようなきつさを感じないのはチューニングの巧みさを感じさせます。楽器音はきわめて美しく鮮明で、それできつさが少なく感じられます。このため弦楽器の鳴りが極めて美しく響き、演出的とか音楽的というのではなく、音が極めて純粋で澄んでいると感じさせます。中高音の上に伸びる感じがすうーっと上にどこまでも引き上げられる感じが気持ちが良い。
高域のベルやハイハットの音は鮮明で倍音が感じられる鳴りの良さがある。この辺はESTの効果なんでしょうか。美しくカーンと響き、歪みが少なく端正です。高域特性は数字の上だけではなくかなり良いと思う。

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ハイエンドイヤフォンらしく解像力の高さも特筆もので、楽器音のゴリゴリ感やヤニが飛び散る感じだけではなくジャズの中でミュージシャンがヤアっていう声が浮き上がって聞こえるほど。この辺りは先に書いた外来ノイズの遮音性の高さも寄与しているでしょう。ジャズトリオの演奏などでは楽器音の切れ味の良さとともに足で思わずリズムをとってしまうほどにスピード感のノリが良い。この辺の音の特性はBAドライバーがメインであると思わせてくれます。
反面でBAドライバーがメインだと低音が物足りないかと思うかもですが、TIGERは低音の量感がたっぷりと感じられて音の深みと迫力が堪能できます。それでいて膨らまずにソリッドで引き締まって強いパンチが楽しめるのは逆にBAドライバーならではの低域表現ですね。

Audiophile Jazz prologueみたいな良録音版を聴くとかなり原音忠実度が高いのがわかります。録音忠実度と言うべきかも。高再現性・高忠実度つまりHiFiっていう意味に極めて近いイヤフォンでもありますね。HiFiだからこそ電子的な録音聴いても音の重なりが極めて立体的で圧倒されます。
これはある意味プロ用御用達のqdcらしいでしょう。

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Anole V14も試聴したことがありますが、音傾向はだいぶ違うように感じます。V14は空気感でTIGERは明瞭感という感じでしょうか。
TIGERはqdcの中ではNobleでのKATANAに似てるかもしれません。それでいうとV14はK10系統ですね。

DAPとしてはSP2000Tの真空管モードと相性がいいと思います。先鋭な音が柔らかくなるのもあるけど、チューブの倍音みたいなのが引き出される感じで、ヴォーカルがよくSP2000TとTigerでアニソン聴くとちょっとすごい。
DAPがハイエンドほど力を引き出せるので、SP3000だとフルに力を発揮できる感じがします。ジャズやクラシックでの楽器の鮮明感やスケール感の豊かさは絶品です。

* まとめ

TIGERは見た目も音もソリッドで、音もソリッドなハイエンドイヤフォンです。ワイドレンジでEST/BAで期待される中高域はもちろん、低域もたっぷり量感があります。それもBAの低域なので膨らまないでタイトにビシッときまります。切れ味があってスピードが感じられ、楽器の絡み合うさまが立体的で、楽器のたくさんあって入り組んだ器楽曲で力を発揮します。
どちらかというと楽器音を鮮明に楽しむジャズクラシック向けと言うべきだけど、中高域が極めて美しいのでヴォーカルの再現性も素晴らしく、ハイエンドアニソンイヤフォンとしても良いと思います。またロックでもオールBAの打撃感が気持ち良くスピード感のノリも良いと思う。もともとかなり低域が出るイヤフォンなので、イヤーピースを変えるともっとEDMとかポップにも合うかもしれません。

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TIGERは寅年の記念と言いますが、真意は虎の牙の鋭さだと思う。サウンドは鮮明にしてシャープなサウンドながらキツくならないのがちょっとすごい点で、それはまるで子供をくわえて優しく運ぶ虎の牙みたいに優しく鋭いと感じます。TIGERは先鋭的でかつ自然な音という高いレベルを実現したユニバーサルイヤフォンといえるでしょう。

posted by ささき at 10:37 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年11月03日

木製イヤカップを備えたSUNDARAの密閉型、HIFIMAN SUNDARA Closed-Backレビュー

HIFIMAN SUNDARA Closed-BackはSUNDARAの密閉型バージョンとなる平面磁界型ヘッドフォンです。
10月28日に発売され、価格は55,880円です。SUNDARAの音性能を継承しつつ、密閉型だが開放型のような音場感を目指したヘッドフォンです。
以下の記事では前タイプのSUNDARAをSUNDARA開放型と呼びます。

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* 特徴

ベースモデルのSUNDARAは2018年に発売されたスタンダードクラスの平面磁界型ヘッドフォンです。
HIFIMANはAUDEZEと並んで今日の平面磁界型ヘッドフォンの隆盛に導いた功労者ですが、その製品ラインナップも広くハイエンドだけではなくHE400など低価格機にも平面型を広げてきましたが、このSUNDARAはその結実と言えるようなコスパの高いヘッドフォンでした。これは開放型でしたが、そのイヤカップを木製にして密閉型にしたのが今回のSUNDARA Closed-Backです。

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SUNDARA Closed-Backにおいては新たにステルスマグネットが採用されている点も特徴です。
従来の平面型ヘッドフォンにおけるマグネットはマグネット自体が回析減少で空気の流れを乱してしまい、音質を劣化させてしまいます。そこで特殊形状の「ステルス・マグネット」を採用して、空気の流れをあまり乱すことなく透過させることで音質劣化を防いでいるわけです。つまり透過的なエアフローを、見えないステルスに例えているわけです。これによって歪みの少ない、ピュアでハーモニーを阻害しない音楽再現を実現しているということです。
下の図を見てもらうとわかりますが、従来のマグネットは四角く、ステルス・マグネットは丸くなっています。回析というのは波が回り込む現象を言います。回り込みが多いということは直進する成分が減っているということですので、これによってエアフローが最適化されているということでしょう。

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またSUNDARA Closed-BackにおいてはHIFIMAN独自のNEO “supernano”振動板(NsD)搭載されています。
この新しいNsD振動板はSusvaraなどの高級モデルのために開発された技術でNEOスーパーナノ(NsD)振動板は以前よりも75%薄く、より歪みのないハイスピードサウンドを提供できるというものです。

ハウジングにはブナ材の木製イヤカップを使用しています。これは職人が手作業で丁寧に組み立てているとのことです。ヘッドバンドはマットブラックでアルミと皮革をハイブリッド構成で使用しています。
標準ケーブルは着脱式で3.5mmの両出しタイプです。

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製品仕様は以下の通りです。
周波数特性 6Hz-50kHz
インピーダンス 20Ω
感度 : 98dB
重量: 432g


* インプレッション

試聴にはヘッドフォンアンプとしてA&K Acro CA1000を使用しました。
各部は十分に剛性感があり、側圧はややきつめなくらいでよくフィットします。重さ的にはSUNDARA開放型よりも50g程度重いのですが、長時間使用して首が痛くなるほどではありません。
能率はやや鳴らしにくい方ですがSUNDARA開放型よりも多少鳴らしやすくなっています。CA1000だとHighゲインを使いました。

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SUNDARA Closed-BackはヘッドバンドなどはSUNDARAと同じですが、なかなか綺麗な仕上げのウッドカップになっています。単に密閉型にしたんではなく木材を使用した点が良いですね。この価格帯で木製ヘッドフォンはなかなかないので、ちょっと高級なものを欲しい人にも向いています。

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肝心の音質ですが、たしかに密閉型にしてはすっきりとしてこもり感が少ない方で、音場がかなり広いと感じます。それでいて低音はぐっと密度感のある密閉型らしいサウンドが楽しめます。ずしっとした重みのある低音です。
楽器やヴォーカルの定位感というか音の重なり感を感じられると思います。この辺の強みはSUNDARA開放型からきちんと引き継がれている特徴です。この音の立体感という点においてはSUNDARA Closed-Backはこの価格帯にしてはかなりレベルが高い方だと思います。
低音も密閉型らしい重みのある低音なのにきりっと引き締まってタイトなのがいいですね。ロックなんかでは畳み掛けるようなドラミングがとても気持ち良く楽しめます。ジャズトリオのような落ち着いて疾走感のある感じもよく伝わってきます。振動板が薄くて軽いだけあって、歯切れも良くスピード感があるのでノリのよい音楽にもむいています。音の素早さ、整った周波数再現性はこのクラスのヘッドフォンではなかなか聞くことができず、また平面型らしいと感じるところでもあります。

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低音が良いだけではなく高域もよくチューニングされていてきつさは抑え気味ながらシャープに聞こえます。ベルやハイハットの高音も綺麗で澄んでいます。そして特に中音域が良いのでヴォーカルがとてもよく感じられます。
またウッドカップらしい音の響きがあって音楽を美しく聴くことができます。木製ヘッドフォンの入門にも良いと思います。

SUNDARA Closed-Backは平面型の良いところでもありますが、性能が高くても誇張感はあまり大きくないので合わせるジャンルは広いと思います。電子音が主体の音楽でも、アコースティックな音楽でも広く合います。またヴォーカルがとても魅力的なのでアニソンなんかにも良いですね。ヴォーカルがきれいにバックの楽器群と分かれて聞こえるので多少込み入った音楽でもヴォーカルを楽しみやすいと思います。

付属ケーブルは余裕があれば変えてみると高級感のあるハイグレードな音を楽しめると思います。手元にこのタイプの交換ケーブルがないので変えて試せませんが、ヘッドフォン自体はもっとポテンシャルはあるように感じます。この点はオリジナルのSUNDARA開放型と同じです。

* オリジナルのSUNDARA開放型との比較

SUNDARA開放型と比べてみると単に密閉型になっただけではなく、音質的にさらに向上しているのが感じられます。まず音の広がりがSUNDARA Closed-Backの方が少し広く、ちょっと驚くことに開放型よりもあるように感じられます。水平的だけではなくSUNDARA Closed-Backの方が逆に立体的な広がり感も高く感じられます。

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開放型特有の音の抜けの良さとかすっきり感ではSUNDARA開放型の方がややすっきりとはしています。ただ低音はSUNDARA開放型は鋭くても軽めなのに対して、SUNDARA Closed-Backでは同じくらいタイトでかつ密度感があり重くベースらしく感じます。
弦楽器の響きも着色感の少なかったSUNDARA開放型に比べるとclosedでは少し暖かみが乗ってより響きも深く美しく楽しめます。この音の響きの違いも大きな違いの一つです。おそらく木製イヤカップの関係だと思います。
SUNDARA開放型とSUNDARA Closed-Backを比べてみるとスペック的にはステルスマグネットだけが変化点ですが、それだけではないように思うほどには音質も進化して優れています。正直はじめは開放型が密閉型になった違いくらいかと思いましたが、実際に聞いてみるとそれ以上の進化があるように思います。

* まとめ

SUNDARA Closed-Backは密閉型ではあるけれども抜群の立体感を備え、基本的な音性能も平面型らしく高く音の歯切れの良さを味わえます。木製ヘッドフォンらしい音もするので、木製ヘッドフォンのファンにもいいと思います。ただし平面型で多少鳴らしにくいので、それなりのヘッドフォンアンプはあった方が良いです。

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元のSUNDARA開放型はややモニター的な優等生の感もありましたが、Closedでは音の響きがウッドらしく良く、低音がぐっと強くなり立体感が増したことでより音楽的に楽しめるヘッドフォンになったと思います。SUNDARAとは古代サンスクリット語で美しいという意味を持っているということですが、SUNDARA Closed-Backはそれに相応しいようなコスパの良い平面磁界型ヘッドフォンになっていると思います。
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2022年10月26日

xMEMSインタビュー、MEMSスピーカー試聴

私が最近注目している技術のひとつはMEMSスピーカーです。
MEMSスピーカーとはダイナミックドライバーやBAドライバーのようなイヤフォン向けのドライバーで、最新の半導体技術を応用した「シリコンドライバー」あるいは「半導体ドライバー」ともいうべきものです。
この供給元大手のひとつであるxMEMS社の担当者に直接話を聞いてデモ機を聞く機会を先日得ました。

* MEMSとは

xMEMS社は2018年にアメリカのシリコンバレーで設立した会社です。アメリカの他には台湾にも技術センターがあるそうです。
MEMS(メムズ: Micro Electro Mechanical Systems)とは半導体の製造プロセスでICと同じくシリコンウエハーから切り出す機能集約型のチップのことです。MEMSが普通のICと異なる点は、シリコンの一部が電圧をかけることで振動できるということです。つまりシリコンが振動することで空気を動かして音を出すことができます。

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MEMSがつくられるシリコンウエハー(8インチ)

この応用として広く使われているのはスマートフォンなどの超小型のマイクですが、近年ではスマートグラスや補聴器にも応用が進められ、いよいよイヤフォン・オーディオの世界にも進出がはじまっています。

* MEMSスピーカーとは

MEMSスピーカーは原理的には圧電方式(ピエゾ)で、電圧をかけることでシリコンの一部が振動することで空気を動かします。
シリコンを振動板として用いた時の利点はまず材質が硬くて早いということです。硬度を示すヤング率はチタンの5割り増しくらいあり、軽量化が可能です。また振動板がたわみにくいので平面型のように振動板全体で一様に空気を動かすことができます。

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MEMSスピーカーの振動部分

またシリコンから製造して組み立てる必要がないという特徴のために製造誤差が極めて小さいということです。普通のドライバーはいくつかのパーツからなり組み立てを要するので製造にばらつきが生じるために、左右の特性をマッチングさせる必要がありますがMEMSの場合にはその必要がありません。このため左右の位相特性に優れ、スピーカーアレイのような複数の使い方にも向いています。
ICのようなシリコンチップそのものですので超小型で低消費電力、かつ防水されています。また非磁性体という特徴もあります。衝撃に強く1万Gまで耐えられるというのはイヤフォンを落としても壊れにくいということにもつながります。

音響特性としては高域の感度が高く、軽量でたわみにくいので高域でロールオフしない点がまずあげられます。このため実用的に40kHz以上を再生することが可能となります。加えて帯域特性が広く、ダイナミックドライバーのワイドレンジ特性にBAツィーターを加えたユニットをシングルドライバーで実現できているような面もあるかもしれません。
またインパルスレスポンスに優れていて、リンギングが少ないのでアーティファクトによる着色感がつきにくい特徴があります。これは原音忠実につながるでしょう。
入力してからの遅延が少ないという点もあります。ダイナミックだと0.2msかかるところがMEMSはほぼゼロということ。位相特性についてはダイナミックドライバーの7倍有利ということで空間オーディオにも向いています。

* xMEMS社のドライバー製品

xMEMSのMEMSスピーカーはダイから切り出して組み立てる手作業の必要がなくSMT(表面実装)が可能です。

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xMEMSのMEMSスピーカーのドライバーユニットにはいくつか種類があり、M1と呼ばれる第一世代のMontra(フルレンジ)、M2と呼ばれるMontra Plus(フルレンジ)、最も小さなCowell(2Way向き)がラインナップされています。Montraであれば渦巻き状の振動板が6個でひとつのチップ(ドライバーユニット)、Montra Plusであれば観音開きの振動板が2つで一つのチップです。実際のドライバーにはチップの他に昇圧するためのAptosと呼ばれるアンプユニットが必要となりますが、1.9mm x 1.9mmと超小型です。
ちなみにイヤフォンに用いるためにはダイナミックドライバーのようにベント穴が必要となるようです。このベント穴自体をMEMSで開閉できるようにするユニットも開発中だそうです(Dynamic Vent)。

実際の製品は完全ワイヤレスイヤフォンとして年末から来年初めまでには出てくるということです。おそらくCES2023では話題の一つになるのではないかと思います。

* 実機のデモインプレ

次に実際に開発中のユニットを用いたデモ機を試聴させてもらいました。これはHeadFiでCanJamに用いられたものと同じとのこと。いくつかあるそうですが、その一つで最新のM2ユニット(Montra Plus)が搭載されています。

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システムはイヤフォンの中にMEMSスピーカーが搭載され、基盤の差している部分が昇圧回路です。PC側はUSB端子に小型のDACが挿入されていて、基盤にはアナログで入力されます。(黒いのは電池です)
PC内部にはイコライザーが設定されているそうです。電気部分はイコライザーもDACも完全ワイヤレスならばSoCの中で完結できそうですね。

音は予想していたよりもかなりレベル高いと思いました。
解像力が高く明瞭感があって、かつ力強いサウンドです。不思議とダイナミックドライバーっぽい厚みがあって無機的な感じはしません。高域が綺麗で伸びやか、低域もタイトでパンチがあります。
フォーカスがピンポイントでヴォーカルが囁くように聞こえます。特にダイアナクラールのヴォーカルの肉質感というか滑らかさ、無期的でない感じが気に入りました。
MEMSスピーカーの音については、はじめはドライで無機的な音を想像してたけど、実機デモ機を聴いたらダイアナクラールのヴォーカルにガーンとやられてしまい、いろいろ聞いた後にもう一回聴き込んだくらいです。
ちょっとMEMSで見当違いをしてたのは高音域に強いという情報からBAに置き換わるように思っていたことですが、もしかするとBAだけではなくダイナミックドライバーに取っても脅威になるのかもしれません。

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こんなおもちゃみたいな電気部分のデモ機でこの音というのがちょっと驚かされました。正直言ってこのまま製品化していいかなという音です。価格的にもそう高価なものではなさそうです。きちんとした製品をもっと良いDACなどで聞いてみたいと思いました。

日本でも来年のポタ研で参加を予定しているということなので、来年はMEMSスピーカー元年となることを楽しみにしています。
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アスキーに「Knowlesのリファレンスイヤホン「KN2」、理想の周波数特性の実現を目指す」を執筆

アスキーに「Knowlesのリファレンスイヤホン「KN2」、理想の周波数特性の実現を目指す」を執筆しました。

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アスキーに「耳穴を使った生体認証、NECが耳音響認証を完全ワイヤレスイヤホンに採用」を執筆

アスキーに「耳穴を使った生体認証、NECが耳音響認証を完全ワイヤレスイヤホンに採用」を執筆しました。

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アスキーに「Astell&Kernの新フラッグシップを聴く、Odysseyのセットでは約120万円」を執筆

アスキーに「Astell&Kernの新フラッグシップを聴く、Odysseyのセットでは約120万円」を執筆しました。

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2022年09月29日

高機能でマニアック、iFi audio NEO Streamレビュー

iFi NEO StreamはiFiの中級機であるNEOシリーズとしてはNEO iDSDに次ぐ二作目であり、機材の性格としてはZEN Streamのようなネットワーク対応機でそれをさらにグレードアップさせたものと言えます。またZEN Streamはデジタルのみを出力するトランスポート製品でしたが、NEO StreamはDACを内蔵しているいわゆるネットワークプレーヤーです。もちろんデジタル出しも可能です。
標準的な小売価格は198,000円(税込)、発売日は9月26日。初回100セット限定でNEO Stream+NEO iDSDバンドルセットが297,000円で提供されています。

スクリーンショット 2022-09-28 10.35.03.png

メーカーホームページ
https://ifi-audio.jp/neo/neo_stream.html

* 概要

端的に言うとNEO Streamは音の上流となるプレーヤー機材であり、NEO iDSDのようなDACやアンプにデータを渡す役割を持った製品です。
NEO Streamの場合にはストリーミングやDLNA、Roonなどを駆使してネットワーク経由で音源を取得するだけではなく、自分に接続したハードディスクも音源にできるなど多彩な機能を有しています。さらに標準でネットワーク入力を光デジタルに変換できるコンバーターが付属しているなどiFiらしいユニークな個性も光ります。また出力に関してもデジタル出力もアナログ出力も可能で、HDMIでのI2S出力(いわゆるPS Audio方式)にも対応するなどハイエンド機並みの対応が可能です。NEO StreamはPCMは32bit/768kHzまで、DSDはDSD512までのフォーマットに対応しています。

ハードウエア的にはラックよりはデスクトップに置くのに適した筐体で、縦置きも横置きも可能となっています。また液晶ディスプレイが設けられて縦横置きでの回転に対応しています。アルミ製の金属筐体はNEO iDSDとほぼ同じデザインです。

NEO Streamの中身はほとんどコンピューターであり、高機能を実現しています。内部にはクアッドコアのARMプロセッサーがLinux OSを動作させています。iFiの強みの一つはハードや回路設計の他にソフトウエアに長けていると言う点です。ポータブル製品ではXMOSの実装の巧みさにそれを見ることができますが。NEO Streamでは存分にそれが発揮されていると言えます。

* 特徴

1 豊富な入出力
まずNEO Streamは入出力の種類が豊富です。

入力においては、
●WIFIは802.11a/b/g/n/ac対応デュアルバンドWi-Fi(2.4GHz/5GHz)接続。(384kHz PCM、DSD256以上は、安定した強度の高い5GHzのWi-Fi接続が 必要です)
●LANはRJ45端子、M12端子、光ファイバー端子搭載
●USB-A x 2, USB-C x 1 (サービスアップデート用USB-C)

出力においては、アナログ出力とデジタル主力が可能です
●アナログ出力はRCAシングルエンド、4.4mmバランス端子
●デジタル出力はI2S-HDMI(いわゆるPS Audio方式) (PCM768kHz/DSD512対応)、USB-A(PCM768kHz/DSD512対応)に加えてS/PDIF同軸, 光角、AES/EBU (PCM192kHz)も対応。
つまりPCM768kHz/DSD512まで対応したければUSBかI2Sが必要です。

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2. さまざまなネットワーク規格に対応
NEO StreamはDLNA、Roon、AirPlayなど一般的なネットワークプロトコルの他にTIDALなどストリーミングサービスにも対応し、マニアックなNAAや独自のアプリにも対応しています。ここまで対応されている機材は少ないでしょう。
さらにこれらはAIO(All-in-one)という特定のサービスを意識しないで受けられるモードと、そのサービスだけ受けて音質を高められる「排他モード」が用意されています。つまりRoonモードにしていると音質は高められますがDLNAは受けられません。DLNAを受けるためにモード切り替えが必要です。AIOにしていればモードを切り替える手間はありません。(ただしAIOでも一度には一つのサービスのみ)

●Roon Ready
海外のデファクトスタンダード的な音楽再生ソフトウエアであるRoonにネットワークで対応できる認証を受けた機器のことをRoon Readyと言います。日本でよく使うDLNAとは異なったものです。

●DLNA/UPnP/OpenHome
DLNA/UPnP対応のソフトウエア(BubbleUPnP、mconnect、Audirvanaなど)が使用できます。

●TIDALとSpotify connect
それぞれのアプリケーションから直接ストリーミングすることができます。(TIDALは国内では純正アプリはありませんが、さまざまなアプリに組み込まれてます)

●Apple AirPlay
アップル機器から簡単にストリーミング再生ができます。

●HQPlayer NAA(Network Audio Adapter)
NEO StreamはSygnalist HQPlayerと連携し、NAA(Network Audio Adapter)として動作させることが可能です。

●Stream-iFiアプリによるローカルストレージからのストリーミング再生
iFiの「Stream-iFi」アプリは、NEO Streamの初期設定を支援するシンプルなツールで、 NASなどのローカルストレージからストリーミングを開始することができます。

3 標準装備の光アイソレーション
有線ネットワークに接続する際にNEO Streamでは一般的なRJ45端子に加えてオプティカルLANという選択肢があります。この目的は光を使って電気的なノイズの絶縁をすることです。
このためになんと標準でOptiBox(iFi特製のLAN/光 ファイバー変換器)というメディアコンバーターが付属しています。普通こうしたアクセサリーは後付けで購入するものですが、そうすると相性問題に悩まされることになります。標準でついてくるのだから単に接続すればよいだけ、簡単です。
有線のRJ45端子をOptiBoxに接続して、NEO StreamにはOptiBoxから付属の光ケーブルでNEO Streamに接続するわけです。

4 高機能DAC搭載
NEO StreamではZEN Streamとは異なり、バーブラウン製DACチップをベースにしたDAC回路を搭載しています。これまでのiFiを踏襲したPCMとDSDは別々 の経路を通るトゥルー・ネイティブ・アーキテクチュアを採用しています。DACとしては32-bit/768kHz、DSD512対応でMQAフルデコード対応です。
DACとしてもおまけではなく、きちんとした設計がなされているのがわかります。また音作りも後で書きますがきちんとなされているようです。

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5 iFi技術の踏襲
NEO Streamはアナログ出力の時は4種類のデジタルフィルターも搭載し ています。(Bit-Perfect、GTO、Minimum Phase、Standard)
特にGTOはiFiらしい特徴です。もちろんXMOSが搭載されていてiFi独自の最適化がなされています。
USBポートは入力、出力ともにiFi独自のANC II(Active Noise Cancellation II)を採用し、 同様にS/PDIF出力はiPurifierテクノロジーを搭載しています。
またNEO Streamには、ANC II技術により他 の類似機器よりも大幅にノイズを低減したという、iFiのACアダプターiPower IIが同梱されています(単売価格:14,300円[税込])。
この他にもたくさんiFiらしさが満載ですが、最大の継承品はマニアック・マインドでしょうか。

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* 実機インプレッション

実際に実機を使用してみました。WIFIでネットワークに接続して、Roonでデスクトップのヘッドフォンアンプに接続するシステムをイメージしています。アンプにはA&K ACRO CA1000を使用しています。

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本体はスリムですが、ずっしりと重い印象です。同梱物としてアクセサリーが豊富です。中でもメディアコンバーターが光りますね。ACアダプタが添付品にしてはケーブルの質も本体もなかなか質感良いもの(iPower II)なのも特徴的です。

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操作は電源オンすると液晶にiFiマークが表示されてから開始できます。ブートしている感じが、中にコンピュータが入ってるのを感じさせますね。2インチTFTディスプレイもオーディオ信号に干渉する電気的ノイズを発生させないよう配慮したSilentLineデザインを採用しています。
電源ボタンの隣がモードボタンで、モードボタンを押下した後にボリュームを回すことで設定を行います。ボリューム自体も押し込んでボタンとして機能します。

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設定に関しては例えばWiFi設定は本体をホットスポットモードにしてスマホを本体のWiFiに接続すると、スマホが操作画面になります。ホットスポットモードとはNEO Stream自体がWIFIホストになるモードです。
もう少し具体的に書いていくと、まずモードボタンを押して設定(歯車マーク)までボリュームで選択。AIOになっていることを確認。なっていなければボリュームボタンを押し込んでサブ選択モードにしてAIOにします。
もう一度モードボタンを押してボリュームで二重円マーク(ホットスポットモード)までボリュームで選択、ここでボリュームを押してサブ選択モードにしてボリュームを回してONにする。再度ボリュームボタンを押す。すると液晶の下でipアドレス表示が出てきます。ここでスマホのWifi選択画面を見るとifi-streamerというネットワークが見えるのでそれに入ります。
スマホのブラウザでhttp://192.168.211.1を入力します。するとスマホで設定画面が出てきます。
このネットワーク設定で自分のルーターのネットワークを選んでパスワード入れて接続すると、本体もこのルーターに繋がるモードに自動的にリブートします。(つまりホットスポットモードも終了)
NEO Streamを排他モードでRoon Ready専用機にしたい場合にはモードボタンからボリュームで設定、ボリュームボタン押しでAIOでなくRoon Readyにして再度ボリュームボタンで確定します。操作性は喚くないですが、慣れが必要かもしれません。また一度設定してしまえばあとはあまり変えることはないでしょう。

実際にRoonで使用してみます。信号経路は以下の通りです。
Windows PC(Roonコアと音源)→iFi NEO Stream (Roon Readyモード)→アナログ(RCA)とデジタル(光)→CA1000

PC側の設定は、Roonを立ち上げてsetupを押してaudioを選択、Roon readyの項にiFi NEO Streamが見えます。これをenableします。Audio zoneでNEO Streamを選択します。
ちょっとすごいのは小さな画面にアルバムアートが表示されるです。意外と綺麗で使えそうです。RoonはiPhoneのRoonリモートアプリで操作しています。
ヘッドフォンとしてはデスクトップタイプのAK ACRO CA1000にゼンハイザーHD800を繋いでいます。ベースはフラットでニュートラルな音のはずです。

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まずアナログ出しの音はiFiの音に近いと感じます。ケーブルはNEO STream付属のRCAアナログですが、音質は優秀です。滑らかなアナログらしい音で音楽的に気持ち良く感じます。ニュートラルで誇張感は少ないですね。音の広がりもとても良い感じです。iFiらしい誇張感の少ないニュートラルな音です。高域は伸びやかで、低域も量感があってタイトで引き締まっています。スピード感があってテンポの早いロックを聴いても気持ちが良く、声も明瞭感が高いのでヴォーカルもはっきりと聞き取れます。
なかなかNEO Streamの内蔵DACの音質性能は高いと思います。アナログ出しはエージングをきちんとしてケーブル等を良いものにすればかなり追い込めると思うポテンシャルのあるサウンドだと思います。
アナログの時はデジタルフィルターで音を変わるのもiFiの特徴です。minimumは滑らかで良いですが、iFiオリジナルのGTOにすると一層歯切れの良い鮮烈な音になります。これは機器の性格や好みで選べるでしょう。

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Roonからのシグナルパス

デジタル出しの場合はかなり生々しい音でDAC側の解像力をうまく引き出しているように思う。楽器音の歯切れが良く途中でのジッターも低く抑えられているように思える。デジタル送出の品質は高いと思う。
とてもSN感が高く楽器音の再現が鮮明に聴こえます。CA1000のDACがノイズ低いこともありますが、背景が黒く透明感も高いですね。おそらく光アイソレーションでRJ45で入れるとかなりSN感は向上すると思います。
手持ちのDACを活かしたい人はデジタル接続を選ぶと良いでしょう。

箱出しで聴いてエージング無しだし、レビュー用に高級ケーブルを使ったわけではないが、アナログ、デジタルともにかなり満足感の高い音が聴けたと思います。機器としてはどちらかというとデジタルがメインですが、アナログもおまけというレベルではありません。内蔵DACもかなり主役級のできです。
アナログ出しでは滑らかなアナログっぽく、デジタル出しでは(特に光だと)デジタルっぽい先鋭な音になるのが面白いんですが、たぶんそう考えて設計していると思います。デジタルの音をもう少しアナログっぽくしたい人は同軸デジタルケーブルを使用すれば良いでしょう。

* まとめ

NEO Streamは多様化された現在のオーディオ環境において、極めて柔軟に組み込むことのできるプレーヤー製品ということができます。古い純粋なDACやアンプを今のストリーミングやRoonやらといった中に柔軟に組み込めます。
音質も素晴らしいもので、中級機の価格帯でハイエンド機並みの機能を持っています。またHQ Player対応や光アイソレーションの標準装備などマニアックな側面がiFiらしい点でもあります。この価格帯でネットワークプレーヤーを欲しいと思っている人にとっては見逃せない機材となるでしょう。

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2022年09月28日

アスキーに「Roonがバージョン2.0に、外出先から使える「Roon ARC」を追加」を執筆

アスキーに「Roonがバージョン2.0に、外出先から使える「Roon ARC」を追加」を執筆しました。

https://ascii.jp/elem/000/004/106/4106684/
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アスキーに「OS搭載のスピーカー? カナダのPSB Speakersが「Alpha iQ」を発表」を執筆

アスキーに「OS搭載のスピーカー? カナダのPSB Speakersが「Alpha iQ」を発表」を執筆しました。

https://ascii.jp/elem/000/004/106/4106599/
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