Music TO GO!

2017年07月19日

Bluetoothにメッシュ・ネットワーク機能が追加

Bluetooth LEにメッシュ・ネットワークという新しいネットワーク機能が提唱されています。下記リンクです。
https://www.bluetooth.com/what-is-bluetooth-technology/how-it-works/le-mesh



メッシュネットワークとはどういうものかというと、まずBluetoothは下のように1対1でした(画像は上の動画から)。これは一般的なBTイヤフォンなどです。(1:1)

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それがBLEでブロードキャスト機能として1対多数に発展しました。これはアップルのiBeaconなどがそうです。(1:n)

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そしてそのネットワーク・トポロジーが多数:多数に発展したものが、今回のメッシュ・ネットワークです。(n:n)

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これはIoTを念頭にしていますが、オーディオ機器がIoTを志向していけばいずれは関係するでしょう。
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2017年07月13日

CTMからユニバーサルIEMが発売

カスタムIEMで知られるCTM(Clear Tune Monitors)からユニバーサルIEMが発売されます。国内発売はテックウインドになります。発売は7月19日を予定しています。

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CTM VS2、VS3、VS4

* CTMとVSシリーズについて

CTMはフロリダ州のオーランドを拠点とするカスタムIEMブランドです。
CTMの創設者Cesar Milanoは音楽プロデューサー及びコンサート会場の監督であり、レコーディングやロックミュージシャンを手掛けていました。設計はCastor MilanoがWestoneでいうカール兄弟のようなエンジニアとなっているようです。プロフェッショナルサウンドと装着感、軽量性をコンセプトとしているとのこと。

発売されるのはビンテージ・シリーズというラインナップで、CTMとしては初めてのユニバーサルモデルです。デザインコンセプトが50年代から60年代のアメ車やジュークボックスとなっています。なぜビンテージかというと、その頃はいわばアメリカの黄金時代で音楽も輝いていたのでそのオマージュということです。
ユニバーサルモデルはペイントがない分で没個性的になりがちなので、こうしたコンセプトは面白いと思います。

こちらにCTM ビンテージシリーズの紹介ビデオがあります。(英語)


ビンテージシリーズは4ドライバ、3ドライバ、2ドライバの3ラインナップ、カラーはそれぞれのモデルでダスティ・ブルー、インテンス・レッド、パッション・ピンク、ダースブラックの4色が用意されています。
VS-4は4ドライバ構成で高域×1、中域×2、低域×1の3Wayです。 (価格はオーブンで想定価格は7万円前後)
VS-3は3ドライバ構成で高域×1、中域×1、低域×1の3Wayです。 (価格はオーブンで想定価格は5万9千円前後)
VS-2は2ドライバ構成で高域×1、中域×1の2Wayです。 (価格はオープンで想定価格は4万7千円前後)
BAドライバーはKnowles製で、シリーズの各モデルはそれぞれ個性と特徴があります。

このビンテージシリーズでは音導管にソフトシリコンを採用しています。メタルやプラスチック素材の音導管ではドライバから出て来た音、特に中音域の周波数が音導管内で反響し、素材の音が出てしまいますが、ソフトシリコンを使うことによって音導管内での不要な反響をなくし、素直で暖かな音を得られるということ。これはカスタムインイヤーモニターにおける長年の経験から、人間の耳の中には固い部分や直線がなく、全て柔らかな曲線であることからヒントを得たものということです。
たしかにどのモデルもシャープで鮮明さが高い割にはきつさ・痛さはあまりありません。

* 実機インプレッション

3モデルとも箱が凝っていてデザインが良いですね。ビンテージシリーズということでジュークボックスをモチーフにしてアメリカ製っていう感じです。箱のデザインが一モデルごとに違う点も面白いことで、VS3だけわざわざ横型なのもあまり他ではないですね。箱の横にはイヤフォンの特性や分解図も載っていて、情報的にもよくできたパッケージです。

フォームチップとラバーチップが箱の反対側に付いてるので開ける時に注意してください。またダブルフランジがひとつ付属していて、これはボックスの中パッキンの底にケースと一緒に入っています。
箱から出すと本体もビンテージっぽくアレンジされてて個性的です。雰囲気が昔のアメ車みたいですね。イヤフォン本体ではステムが太くWestoneと好対照です。イヤフォン本体は3機種ともコンパクトで軽量で、装着感も良いです。

音質はAK380で試してみましたが、どのモデルもAK380の性能にもつりあうくらい優秀です。すべてのモデルにおいて共通するのは非常にクリアで見通しの良いサウンドであるということです。
高域はわりと3機種とも似ていて、シャープでクリアです。ただ3機種で上への伸びやかさはちょっと異なります。VS2が一番鋭く、VS3が一番まったりしています。
このように高域はとてもきれいに伸びるイメージですが、仕様上は15.5kHzとか16.5KHz上限と正直に書いてあるところは好感が持てます。いずれにせよ聴覚上はVS2やVS4はハイレゾを標榜するどのイヤフォンとも譲らないような優れた高域特性があると思います。(VS3はやや緩やかです)
スペックを伸ばすために無理してないせいか、あまりきつくなりすぎていないのも良い点です。
中域・低域は3機種で個性が異なります。音の広がりかたも少し異なりますね。

-- VS2 --
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VS2はエージングなしでもはっとするくらいクリアでシャープです。イヤチップはダブルフランジが一番良いです。
かなり解像感が高く、上によく伸びます。それでいてスケール感もあるのに驚きます。2ドライバーイヤフォンも激戦区だけど、音的にはかなりの上位にいきなり食い込む感じですね。端的に言ってかなり良いです。
低域は量は標準的でやや軽めだがよく引き締まったベースラインが聴くことができます。3機種では一番ベースは軽いという感じですね。ただタイトで質のよい低域とは言えますね。

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高域はVS2が3機種で一番伸びてシャープに聴こえる。それでいてそれほどきつさを感じません。透明感も高く、VS2は単なる低価格モデルではなく、シンプルな良さが出てると思います。


-- VS3 --
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VS3とVS4はエージング1日した方が良いです。たぶんクロスオーバーなどのせいでしょう。
VS3は迫力があって、ノリが良いタイプです。VS2よりも厚みが増えて、音楽的な豊かさが重視されています。イヤチップは普通のラバーが好みです。

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低域はより豊かで、かなり量感があります。これは3機種で一番です。多少緩やかな反面でパワフルで、たっぷりとした低域が楽しめます。
少し平面的ではあるけれど、横方向はVS2よりスケール感があります。ロックなどでは音の塊感があって、迫力はありますが、複雑な音楽だとちょっとガチャガチャしやすい傾向はあります。
音再現が分厚く、一番演出的で音楽を楽しく聴けるイヤフォンです。
エレクトロ系とかロックに良いですね。能率は3機種では高めです。


-- VS4 --
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これは一番モニターっぽく、いわゆるプロデューサー向きと言う感じですね。音性能はワイドレンジで、周波数特性も整って3機種のなかで一番高いです。イヤチップはダブルフランジが一番良いです。
シャープ感も高く歯切れも良いですね。低域は量感があるというよりも、タイトで整った感じです。これもクリアさが高いのですが、音に余裕があるためVS2のように痩せたように感じられる点はなく、豊かな音だと思いのます。横だけではなく立体的に音場が広がります。音は濃いめで情報量も高いですね。
高域はやや抑えめで落ち着いた印象を受けますが、VS3よりはシャープで伸びていく感じです。細身になりすぎないで、ヴァイオリンの音色も豊かさが感じられます。

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複雑でもごちゃごちゃした音楽でもきれいに解きほぐして、ガチャガチャしません。それぞれの楽器パートが整理されて聴こえます。
鮮明さに秀でたVS2や分厚さのあるVS3は一芸に秀でたタイプだが、VS4はマルチドライバーの余裕で優等生タイプの音作りです。

* まとめ

音楽の相性で端的に言うと各イヤフォンは次のようになると思います。
VS2は小編成アコースティック、ジャズトリオなど、VS3はロック・ポップ・エレクトロなど、VS4はクラシック向けとも言えますが、合う範囲は広いと思います。VS2、VS3は個性が強いので相性がありますが、VS4はわりとなんにでも合うと思います。

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とても個性的なラインナップであると思います。パッケージやイヤフォンのデザインも個性的ですし、音質もたんなる松竹梅のクラス分けにならずに3機種ともに個性があります。たとえばVS2もたんなる低価格モデルとはちがいますね。低コストゆえのシンプルさを逆に透明感の高さに生かしています。
CTMはカスタムメーカーとして知られていましたが、ユニバーサルでもっとユーザーを獲得するのではないかと感じさせてくれる製品群です。
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2017年07月12日

PhilewebにボブスチュワートとのMQAインタビューの記事を書きました

PhilewebでボブスチュアートへのインタビューをもとにMQAの記事を書きました。
我々が検証した記事の結果を作った本人に確かめてもらうという点であまりなかった記事だと思います。下記リンクです。

http://www.phileweb.com/sp/interview/article/201707/12/471.html

ここではこの前書いたMQA-CDの検証記事の内容をボブスチュアートに検証してもらうという形で、この前の記事の我々の結論とMQAの理解が確かめられたと思います。前回記事にも追記しました。こちらもまたご覧ください。下記リンクです。

http://www.phileweb.com/sp/review/article/201704/17/2496.html

それにしても今回の記事の2ページ目のボブスチュワートがわたしに答えてくれてる写真見て、しかめっ面してる自分見て自分で笑ってしまいましたが、英語で理論派のボブスチュアートと「空気分子の運動で発生する熱が」とか、「君はディザリングのことを知ってるかね」、とか話してたらホントに頭が痛くなってきたのを思い出しました 笑

丁寧で紳士的な人で、静かで熱いロブワッツともまた違った感じの英国技術者だなと思いました。
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2017年07月11日

ユニークなハイブリッド・ドライバーの新鋭ブランド、AZLA(アズラ)レビュー

韓国の新鋭イヤフォンブランド、AZLAがデビューします。国内ではアユートから発売されます。
AZLAは韓国のオーディオ業界で活躍してきたAshully Lee氏が今年立ち上げたブランドで、今回の製品名もブランド名と同じくAZLAとなります。それだけこの初回の製品にこめた思いが強いと言えます。

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AZLA silver

色はLunatic Silver(シルバー)とMeteor Gray(グレイ)の二色があり、透明のシェルの中に見えるドライバーの色とバックカバーの色の違いとなります。価格はオープン(参考直販価格 49,980円税込み)で発売日は調整中ということです。

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AZLA Gray(下)とSilver(上)比較


* 特徴

AZLA(アズラ)とはフランス語のAZUR(天空)とラテン語のLAPIS(石)の「天空のかけら」を意味しているとのことです。ちょっとジブリアニメを連想しますが、これはいままでになかった新しい音の世界を意味しているということで、目指すものは新次元のサウンド、そして聴いて楽しい音を目指して、開放型のようなすっきりとした空間表現と、密閉型のような豊かな低域を両立させることだそうです。
それを実現するため、AZLAには大きな特徴が二つあります。


AZLA テクノロジー イメージ動画

1. BAとダイナミックの同軸ハイブリッドドライバー構成を採用 (BED)

AZLAはBAドライバーとダイナミックドライバーを同軸で組み合わせたハイブリッド構成を採用しています。このためにふたつのドライバーの位相差を減らすことができるとのこと。これはあたかもシングルドライバーのようにふるまえるということで、音場とか立体感で有利になるでしょう。
ドライバーの担当はダイナミックドライバーはフルレンジ的な使用をし、BAドライバーは中高域を担当しているということです。

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BAとダイナミックドライバーの同軸配置

ドライバーはDynamic Motionの協力を得ているということで、ダイナミックドライバーは11mmでダイアフラムの素材は2層素材を特徴としているということです。また同軸の構造についても、磁石でなく振動板に特色があって他メーカーとは異なる独自の特徴があるということです。

2. 中は開放、外は密閉の独自のエアフロー技術 (Infinity sound technology)

イヤフォンはドライバーとシェルの二重構造になっていて、中のドライバーユニットにはダイナミックドライバーを効率よく動かすための空気抜きのベント(ポート)がありますが、透明の外殻(シェル)にはベントがありません。つまりイヤフォンの形式としては密閉型ですが、ドライバーの外に適当な空間があって、そこがチャンバー(空気室)のようになって、ダイナミックドライバーの背圧を適度に逃がして効率が高まるようです。これでクリーンなベースが確保できるということです。

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ハウジング内のエアフローの概念図

この二つの技術によって作られたドライバーをInfinity driverと呼ぶそうです。中のドライバーはアルミの切削加工による2ピース構成で、シェルはUV加工されたポリカーボネイト製です。ポリカーボネイトはイヤフォンに使われる一般的なシェルの材質よりも加工は難しいが、より傷に強く透明度が高くてきれいということで採用したということです。

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イヤフォン構造

また隠れたところでは内部のケーブルも芯の数が多いものを採用しているのがひそかなポイントだそうです。

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AZLA Gray

またメインのドライバー以外でもマニアックなこだわりを見せているところがAZLAのポイントです。
最近では標準ケーブルに高級ケーブルをはじめから添付する例が増えていますが、AZLAでも香港Labkable(ラブケーブル)社製のSilver Galaxy Mix MKIIをベースにしたAZLA専用設計のケーブルが標準でついてきます。これは高純度銀と6N OFCのハイブリッドで、単体で買ったとしてもそれなりの価格になりそうです。2.5mm 4極版もそう遅くない時期に出すということです。

それにポータブルオーディオ界隈で良く使われるDignis製のイヤフォンケースも付属してきます。
ファブリック製のケースは撥水加工のあるコーティングがなされ、内部の仕切りにも工夫があるのがポイントだそうです。

* インプレッション

外観は近未来的なカッコ良さがあり、インナードライバーのアルミとアウターシェルの透明なポリカーボネイトが良い組み合わせです。標準でリケーブルされたような高級ケーブルが付いてくるのも良いですね。
装着感は良好で、シェルが耳にすぽっと入るのもきちんと固定されている感じがあります。

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AZLA silver, AK70

再生のリファレンス機としては、Astell & KernのAK70とAK380、SONYのWalkman WM1A、WM1Z、そしてiPhone6だそうです。スマートフォンでの仕様も考慮しているそうです。
ダイナミックが入っているので50時間はエージングしてからAK70で聴きました。(100時間やるとレビュー書く時間なくなっちゃうので)

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AZLA silver, AK380

聴いてすぐに感じるのは立体的に空間が広がるような独特の音世界と、躍動感があり低域のたっぷりとしたインパクトのある個性的な音です。支配的なのは厚みとか重みのあるダイナミックの音ですが、中高域に傾聴するとアコースティック楽器の音もきれいで明瞭に聴こえます。
モニター的に録音の粗を探すのではなく、好きな音楽を聴いていると音楽世界に没入できるようなイヤフォンです。

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AZLA silver, AK70

低域は量感があるだけではなく、深みとインパクト感があります。低音のドラムスやベースのアタック感は緩くはありませんが、鋭利と言う感じでもありません。低域はたっぷりとありますが、ヴォーカルが埋もれるほどではなく、声ははっきりと聴こえます。中高域の解像感も十分にあり、アコースティックギターの鳴きや残響感もリアルに聴こえます。
躍動感があってAK70にはよく合いますね。AK380を使用するとさらに立体感の良さが際立ってきます。380のようにDACが強力なプレーヤーでは楽器の重なり表現が見事です。

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AZLA silver, iPhone6

iPhone6でもそれほどボリュームを上げずに7割程度で音量は取れます。FLAC Playeで上原ひろみのAliveなんかを聴くとやはり音の広がりが良くたっぷりと低音が乗ったダイナミックな音が楽しめます。音再現も滑らかで楽器音もきれいです。ただ立体感に関してはやはりDAPを使った方がより感じられますね。独特の立体感がiPhone直ではいまひとつです。


* まとめ

AZLAは個性的なイヤフォンで、デザインも個性的でよく、音も個性的で良いですね。
まず立体的な広がりのある音再現が独特であり、ベースを軸にしたダイナミックな音作りも楽しめます。ヴォーカルや生楽器もなかなか良いです。
アユートさんが言うには、この価格帯での新しい定番にしたいということです。ケーブル等も含めてたしかに価格を超えた内容があって、コストパフォーマンスは良いし、マニアにも訴求するような個性もあると思います。
特にAK70ユーザーにはお勧めのイヤフォンです。

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AZLAは楽しい音作りというターゲットがあって、ダイナミックドライバーを選びBAで強化し、そのため同軸ハイブリッド化し、
低音と音の広さ・開放感のために独特のベント構造を撮った、ということで、明快な作り手の主張を明快なロジックで作り上げたイヤフォンだと思います。
それにマニアックなケーブル ケースがついて、少し上のマニアにも訴求できるというところもポイントでしょう。
実際の音にもそれが結びついていますし、なかなか面白いブランドが出てきたと思います。
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2017年07月09日

ポタ研2017夏

週末はポタ研2017夏に行ってきました。

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上はA2PさんのTur-08最終改良版です。真空管の前の入力レベル調整(左)と後のボリューム(右)の二つの調整で真空管のノイズを受けにくくしたそう。左ツマミでまずメーターの真ん中くらいに調整してから右ボリュームで聴きたい音量にするという操作がアナログ感覚で面白いところ。音も真空管らしい暖かみを感じるいい音でした。

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ラズパイゼロに操作ボタンを付ける点がユニーク。emerge+ショップのアクリルベース。

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上のNobleのユニバーサルはエミライさん取り扱いに代わります。標準ケーブルも前の黒からオプションだったより音の良い白のケーブルに変わるとのこと。パッケージもリニューアルということで、単に代理店の変更だけではないようです。

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上はいきなり出てきたULTRASONEのDAC内蔵ポータブルアンプのNAOS。画像はiPhone向けケーブルです。軽くて小さいのですが、音は結構良くてロックに良い感じでした。ちょっといいかも。

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アユートさんのところのSP1000は盛況で、SSとカッパーの人気投票なんかやってました。このときはカッパーが優勢でしたね。

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投票と言えばFitEarのAya新色投票第二段というのもやっていました。
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2017年07月06日

Beat Audioのライトニング/3.5mmアダプタレビュー

まえにAppleのライトニング/3.5mmアダプタを紹介しました。ライトニングのデジタル信号を3.5mmのアナログ信号に変換するわけですから、実質的にはケーブルのついた超小型のDAC内蔵のポータブルアンプです。常に携帯できてバッグに苦も無く入れられ、iPhoneを手に持ったまま気にならなくケーブルの延長として使えるというのはなかなか使えます。
この3.5mmアダプタはたしかに価格の割にはなかなか使えるアクセサリーではありますが、わたしとかはわりとハイエンドイヤフォンをよく使うので、使い始めるともう少し音が良ければと欲が出てきます。アップルのアダプタを高品質ケーブルに交換した改造品をどこかで売ってないとか思ったりしてましたが、Beat Audioからもっと良いものが出ました。

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それがBeat Audioから登場したSilversonic MKV Lightning to 3.5mm Adapter Cableです。アップルの3.5mmアダプタの高音質版と言ってもよいでしょう。

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Apple純正アダプター(上)

Appleのものと比べてみるとBeatのほうが少し長い程度で、取り回しなどはあまり変わりません。軽さもほぼないようなものですね。これもDACに相当するICが入っています。

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Beat Audioはプラグの品質もとても高いのですが、このケーブルもライトニングプラグの出来の良さにまず驚きます。ケーブルの素材には、特注の銀メッキ銅導体を使用し、Lightning端子の外装には丈夫なアルミニウム合金を使用しているとのことです。
価格は7,400円(税別)ということですが、見合うもののように思います。

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Campfire Audio LyraII

音質ですが、Campfire AudioのLyraIIとUMのMaverickIIにSignalを付けたものを使ってみました。特にSignalをつけるとBeat同士なので見た目もすっきりします。
結論から言うと、このくらいのレベルのイヤフォンを使っている人には、かなりはっきりわかるくらいの音質差があり変える価値は大きいと思います。Maverickらしい切れ味の良さや、Lyraらしい深い低音などハイエンドイヤフォンらしさも十分にわかります。

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Campfire Audio LyraII

比較してみると全体にBeatの方が晴れ上がったようにクリアで、音は洗練されて粗さ痛さが少なくスムーズです。細かい音もはっきりと聞こえて鈍くありません。
音が団子のように絡まないでよほぐれて明瞭感があります。

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Campfire Audio LyraII

低音はぱっと聞くとアップルの方が量感あるように感じるかもしれませんが、実のところドラムやベースなどではアップルの方は軽くてアタック感も鈍いのがわかると思います。これはシルバー線材の歯切れの良さもあると思います。Beatのほうが低域の深みが表現できるので、聴きこむと差ははっきりわかります。
高域はアップルの方は少し鈍い音がしますが、Beatはきちんとシャープなカチッとした音が楽しめます。

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UM MaverickII

私が一番使いたくなるのは、普段はAK380にこのクラスのハイエンドイヤフォンで聴いているときにiPhone7で記事を読んでいて、急にこの紹介されている曲が聴きたくなるというときですね。ストリーミング品質でも十分わかる程度の差はあります。もちろん3.5mm端子のない7以外でも、iPhone直の音はちょっと、という人には積極的に使えると思います。

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UM MaverickII

もちろん内蔵のハイレゾ音源を活用して本格的なDAC内蔵ポータブルアンプを使う場合に勝るというわけではありませんが、(ロッシー)ストリーミングであればこれでいいかなというくらいの音質はあると思います。むしろストリーミングということを忘れるくらいの音質の良さではありますね。iPhoneでストリーミングよく使う人むきです。私とかはBandcampの新作やオススメを毎日チェックするので、日頃良く使うハイエンドイヤフォンでそうした、ちょっとした音楽リスニングが高音質で楽しめるというのはちょっと気持ちよいものです。しかも日頃携帯するのに苦になりません。
映画やドラマをストリーミングで見る時の迫力も一層あがりますし、ストリーミングでもこだわりを持って聞きたという人にお勧めです。
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2017年06月28日

シングルダイナミックの到達点、Dita Audio Dreamレビュー

DreamはAnswerで日本、そして世界へデビューしたシンガポールのオーディオメーカーであるDita Audioの最新作にしてフラッグシップです。Answerもデビュー作にしてはなかなか練られて時間をかけて作られていましたが、Dreamではいっそうの作りこみがなされています。
参考としての直販価格は¥219,980 円(税込)とAnswerよりも上になりましたが、ダイナミック型シングルドライバーイヤホンの究極といってもよいでしょう。しばらく使いこんでみてそう思います。ダイナミックだけではなく、マルチBAのフラッグシップクラスとも比肩できるレベルと言えると思います。

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下記は代理店アユートさんの製品ページです。
http://www.aiuto-jp.co.jp/products/product_2103.php

Answerに比べると全面的に刷新されたまったく新しいデザインを採用しています。
なかでも特徴的なのはAwesomeプラグというプラグ交換システムです。Awesomeというのは「すごい」という意味ですが、これはプラグが交換可能になっていて、プラグを交換することで3.5mmアンバランスや2.5mmバランス、4.4mmバランスにも対応できるというものです。ケーブル線材は引き続きVan den Hulが担当して、シルバータイプの線材が標準で使われています。
Answerでは接触面をできる限り減らしたいというオーディオファイルらしい要求からあえてケーブル交換可能な形にはしなかったのですが、Dreamでは2ピンによりケーブル交換が可能になっています。
これもCEOのダニー氏に言わせるとどちらかというと断線した時の保証のようなものということです。実のところ標準でついているVan den Hulのケーブルの品質の高さを考えると交換する必要はあまりないかもしれません。しかしながらバランスにも対応は必要であるという点からプラグ交換という仕組みに行きついたわけです。
実際使って見ると、ケーブル交換するよりも簡単に3.5mmと2.5mmバランスの交換ができますし、音自体は変化しないのでこの仕組みはなかなかよくできています。AKプレーヤーとMojoの使い分けなんかでも簡単です。

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このほかにも全面的に新設計となり、ハウジングは精巧な技術を有する日本で加工される高精度のチタン製のシャーシです。これはエアフローの最適化とダンピング制御の向上にも貢献しているとのこと。音響工学に基づき設計したチタンシャーシ内の形状を、精度高く切削するだけでなく、全ての接触面を限りなく平面に研磨する為に、精巧な技術を有する日本でシャーシ加工を行うという凝りようが再びここでも発揮されています。
新開発の10mm 径ダイナミック型ドライバーはカーボンコーティングを施したマルチコート・マイラー振動板の採用、そして 高純度 OFC によるボイスコイル、高磁力のリングマグネットとポールピースの 搭載など、Dita Audioの哲学でもある「気品あるシンプリズムにより純度を限りなく高く」という目標のもとに、広帯域に渡りレスポンスに優れた自然で正確なサウンドを提供するとされていますが、まさに息をのむような音性能の高さには圧倒されます。
またドライバーの左右差が極限に近く少ないのも特徴で、これによって位相のそろった立体感の良い音再現が可能になります。

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ボックスは豪華なもので、なかなか洒落たイヤフォンケースが付属してきます。付属品としては音の違うイヤチップが3種類ずつ、S/M/Lとついているのでそれで音を自分のの好みでチューニングすることができます。
またT400くらいのサイズのチューブなのでわりとさまざまな市販イヤチップを使うこともできます。

デザイン

Dreamのハウジングはチタンで成形され、頑強さと軽さを兼ね備えています。特徴のひとつはAwesomeプラグ(awesomeはすごいの意)です。Awesomeケーブル/プラグについてはまた別記事で詳しく書く予定ですが、ケーブル交換ではなくプラグ交換と言うのは3.5mmと2.5mmをよく取り変える場合にたしかに便利だと思います。線心自体は4本で根元まで来ていますので、3.5mmでも立体感は高くなっています。
ケーブルプラグは2ピン仕様で、新バージョンではかなり硬くて抜けにくくなっています。
チタン製のハウジングは装甲か鎧のようで、Awesomeプラグのプラグのネジなんかとも合わせていかにも精密感とメカメカしい感じがカッコよいと思います。

音質について

Dreamの最大のポイントはなんといっても音質の良さです。ダイナミックではトップクラスと言ってよいでしょう。いや、ダイナミックでは、と断る必要もないかもしれません。
まずAK380単体の3.5mmで聴きましたが、驚くほど音が良いという感じで、あのDitaのAnswer truthよりも格段に良くなっています。
音の個性はAnswerをさらに進化させたように、基本はがっちりとしたクリアではっきりとした音の輪郭を持っていて音の切れ味がするどさを聴かせてくれます。
以下で音の特徴をポイントごとに述べていきます。

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「ダイナミックらしくない圧倒的な解像力と切れ味の鋭さ、ダイナミックらしい迫力と躍動感」

Dreamは全体にマルチBA機と比べると重みがあってダイナミックらしい迫力を感じます。ダイナミック機の中でも音に重みや厚みが高く感じられる方だと思います。
一方でダイナミックの甘さは少なく、極限までだぶついた贅肉がないとても先鋭な音再現を聴かせてくれます。

DreamはBAのような切れ味と解像感、ダイナミックの音の厚みを持ってると言っても良いでしょう。
特にアコースティック楽器は圧巻で、たぶん売ってるイヤフォンの中でも最強レベルと言ってよいかもしれません。楽器の音の再現力、ヤニが飛ぶようなリアルさと解像力、シャープな切れ味がためいきものです。
私が思ったのは切れ味の良さでNobleのKatanaに似てる感じですね。躍動感と言う意味ではK10 encoreのダイナミック版といっても良いかもしれません。K10でいえばこの極限的なクリアさ透明感はオリジナルではなくencoreの方です。それをダイナミックにした感じでしょうか。
ひずみ感が少なく音がすっきりピュアで、引き締まって贅肉もない。それでダイナミックだからドラムやベースのアタックも鋭いと感じられます。

解像力が高く、細かな音の粒子を積み上げて、音鳴りのリアルさを再現するのは圧巻です。
普通シャープなイヤホンは乾いて人工的な音になりがちですが、Dreamは音の生々しさとか自然さという点でも今まで聴いた中でトップクラスです。これはチューニングの妙もあると思います。前のAnswerのように鮮明で切れ味の良さも感じられますが、厚みとか豊かさも増して、自然でリアルな表現に進化してます。
ピアノの音の歯切れがよく、ただのソロピアノでも気持ち良く、存在感が高まります。バロックヴァイオリンの弦の鳴りの倍音が豊かでリアルさを高めます。
細かい音がよく聞こえ、AK380のクロックの正確さや改造力など、そのポテンシャルを引き出してると思うし、AK380がさらに一段と高音質に感じられます。

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Ditaの提供するジャズ音源を聴くと驚くくらいの生々しさを感じられます。音の鮮明さがよくわかり、楽器の音の忠実な再現、ヴォーカルの息遣いの生々しさがよく伝わって来ます。アーティストが、録音エンジニアが、伝えたかったものがよく伝わって来ます。ダイナミックとしての躍動感もひときわ高く感じられます。
例えばオールドロック懐古的で録音も良いトレバーホーンのThe Producersだと今まで聴いた中で一番良い再現を聴かせてくれます。
スピード感もあり、ノリも良く、ドラムやベースの切れも良い。ドライブ感やパワーも感じます。

ただし録音や曲によっては高域がきついと感じることもあります。しかしながらこれはDreamのせいというよりもむしろ録音のせい、特にPCMのデジタルっぽさに由来するところが大きいともいえます。こういうように顕微鏡のように音のささいな凹凸もあぶり出すようなイヤフォンこそ、DSDネイティヴ再生で聴いてほしいと思います。たとえばRyu MihoのDSD11.2Mhz音源をAK380で聴いてみてください。これが本当のDreamの実力であり、今まで一番DSDネイティヴの良さを生かせるイヤフォンと感じられます。DSDネイティブとPCM再生の差がいままでのイヤフォンではそれほど大きな問題と感じなかったということですね。
とはいえ現実にはPCM音源できつい録音を聴くことも多いわけですから、そのときはチップで少し工夫するということはできると思います。

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* Dreamのチップ選び
ユニバーサルイヤフォンのポイントの一つはイヤチップが大事で、かつ音を変えることもできるということです。いくつか種類があるときには装着性とともに音の好みも大きい要素となってきます。Dreamの場合には標準で3種類のチップがついてきます。これらは開口部の大きさで違いがあり、大きいものほど高域が強くなる傾向があります。もしきつさを和らげるという点では青いチップが一番良いと思います。
またDreamはステムの太さが適度なので、わりといろいろと社外品のイヤチップが使えます。コンプライのフォームチップはT400が使えます。高域を和らげて低域を増やすという点では良いのですが、もともと低域の量感はフォームでなくても十分確保できていることと、Dreamの良さである歯切れの良さが少し減退するようにも思います。フォームチップだとCampfire Audioのフォームだと歯切れの良さはそれほど減らないのでフォームを使いたい場合にはお勧めですが、
社外品のイヤチップではやはりスピンフィットが装着性と音質のバランスで最も良いと思います。まずクリアさと解像感は半端ないですね。

「シングルダイナミックらしくない帯域再現、シングルダイナミックらしい立体感」

Dreamは上から下まで均質性が高く、高域表現の鋭さ、豊かな低域、明瞭感の高い中域など、シングルダイナミックとは思えないくらいのワイドレンジです。
高域はきれいに淀みなく伸び、高域のベルの音が気持ち良く感じられます。
低域はやや多めで、ダイナミックらしい重みがあります。ロックではこの重みが気持ち良いです。Answerでも低域をすこし増していたのですが、今回も期待通りにだっぷりした低域を堪能できてダイナミックドライバーの魅力を伝えてくれます。
中音域のヴォーカルは肉感豊かで艶っぽさがあります。立体感の良さと相まってくっきりと浮き出るようにヴォーカルが聴こえるのもDreamの魅力です。これはあとで書くようにチューニングの完成度が高いこともあります。
ヴォーカルは適度な湿り気があって無機質にならないのはダイナミックならではの魅力を両立させています。BAにありがちな無機的ではありませんが、着色感があるというほどには音に色はありません。

Dreamの特徴のひとつは立体感が際立って良いことです。特にAK380のようにDACの優れた再生機で聴くと3.5mmでは聴いたことないレベルの立体感が味わえて圧巻です。音の重なりという意味だけではなく、左右の広さと言う点でもすべてのイヤフォンの中でもかなり広い方だと思います。
これはマルチBAに対してはシングルドライバーと言う位相の優位さもあるでしょう。むしろシングルダイナミックだから達成できたものかもしれません。またこれは左右ドライバーの性能マッチがうまくいっているというチューニングの要素もあると思います。

クラシックでも迫力があってスケール感を感じられます。低音がたっぷりあってピラミッドバランスがあり、シングルの位相の良さで音場も良いと思います。
3.5mmシングルエンドでも音の広がりが良く、これはケーブルの良さもあると思います。ロックでもダイナミックらしく線が細くならずに太めのパワフルな気持ちよいインパクトを聴かせてくれます。
バランスに変えるとさらに音が回りこむように広がります。これもまた魅力的です。

「完成度の高いチューニング」

実のところDreamの良さの基礎を支えるのは、かなり完璧なチューニングだと思います。
長く開発に時間がかかっただけあって、高いところから低い音まで見事にチューニングされています。ここに来るまでにDreamにはいくつかのプロトタイプがあり、ひとつ前は中域の低域かぶりがあって少しヴォーカルが曇ってた(それでも他機種ならオーケーレベル)んですが、この製品版では見事にスッキリと晴れ上がっています。ヴォーカルの聴き取りやすさはイヤフォンでもトップクラスでしょう。
十分なほどの低音の量感があって、音楽全体の豊かさを増してるが、中域が曇るほどではありません。
CEOのダニーは音作りにおいて完全主義者で交換ケーブルも拒否してましたが、今回はそこはゆずって音のチューニングで完全を求めた感じですね。

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まとめ

DreamはAnswerの良さは引き継いでさらに進化したものと言えます。
変わらないものは音質と機械工作的なこだわりです。
いわばダイナミックらしくない切れ味の良さ、ダイナミックらしい音の豊かさと厚み暖かみを有しているのがこのDreamです。

ここでいままでのサブタイトルを再掲することでまとめとします。

1. 「ダイナミックらしくない、圧倒的な解像力と切れ味の鋭さ
ダイナミックらしい迫力と躍動感」

2. 「シングルダイナミックらしくない帯域再現
シングルダイナミックらしい立体感」

3. 「完成度の高いチューニング」

感度はちょっと低めですが、AKプレーヤーでも音量は取れます。iQuve V5のように強力なアンプを使って鳴らしてあげると立体感などがさらに際立って良くなります。

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いままでダイナミックドライバのイヤフォンを選ぶ場合には絶対的な音性能の高さではなく、暖かみや躍動感と言ったポイントで選ぶことが多かったと思います。たとえば、音質の最高レベルを目指すならばマルチBAのカスタム、でも暖かみのあるダイナミックも良いかな、という感じでしょうか。
Dreamは音性能の高さで純粋に選ぶこともできるダイナミックドライバー機であり、高いレベルでイヤフォンの音の魅力を両立しています。

Ditaのはじまりはヘッドフォン祭でした。青山だった時ですが、シンガポールのメーカーでイヤフォンを作ろうとしているところがあるのでちょっと見てもらえないかと言うことで、呼ばれてアンダーテーブルで彼らに初めて会いました。それはいまのAnswerのプロトタイプで、これはハイエンドだと言い想定価格もかなり高めだったのですが、音を聴いてみたらこれはかなり良いのでいけると思いました。まず日本市場で認めてほしいということだったのですが、その年の秋のヘッドフォン祭では持ってきたAnswerがすべて売れたということでまずはよかったと思いました。そしてDreamが構想され、長い時間がかかりましたが、ここに結実したと思います。彼らの情熱が"Dream"を実現したと言えます。
このようにDreamは現在最高のイヤフォンの一つであり、シングルダイナミックとしてはひとつの到達点といえるでしょう。
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2017年06月24日

マズルカ・アパシオナータ 〜ベスト・オブ・バリオス - 福田進一

今日はギタリストの福田進一さんの南米の音楽家バリオス作品集の発売記念ミニコンサートを聞いてきました。
音のつながりの滑らかさや一音の余韻を計算し尽くしたような完成度の高い演奏はシンプルなギターのみながら圧巻と言えるようなものでした。

面白かったのは福田氏が自分はライブよりもむしろ録音派だと言っていたところです。
やはり録音派だったグールドを引き合いに出してましたが、様々な要因で完璧にできないライブよりも、むしろ自分の演奏はCDで聴いて欲しいし、できればハイレゾで良いオーディオで聴いて欲しいと言うことです。
ましてカーステでは聴いて欲しくない、と言うことでしたが遮音されたカスタムイヤホンと高性能DAPで細かな音のニュアンスまで聴けるなら、演奏者の意図に沿うのかも、とも思いました。
また、よく正論的にオーディオ聴くより生演奏が一番、と言ったりしますが、必ずしもそうとは言い切れないのではないか、ともちょっと思いました。

posted by ささき at 23:49 | TrackBack(0) | ○ 音楽 : アルバム随想録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月21日

MEZEの美しいヘッドフォン、99Classicsと99Neoレビュー

テックウインドから新しいヘッドフォンが発売されます。
Meze 99 classicと99 Neoの2種類で、このほかにもイヤフォンが発売になります。本稿は99 classicと99 Neoのレビュー記事です。

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99Classicsと99Neo

Meze(メゼ) Audioは2009年にルーマニアで誕生したブランドで、代表のAntonio Meze(アントニオ メゼ)は様々な分野のデザインを手がけていたようです。彼はギタリストでもあって、自分で満足できるヘッドフォンを作りたいがために創業したようです。

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そして2015年に発表した99Classicsが世界的な人気となります。
Meze 99 classicはHeadFiをはじめ、海外で高い人気を得たヘッドフォンで美しいデザインの木製のハウジングを採用しています。99 NeoはClassicの好評を継いで後から発売されたモデルで同じ振動版を使っていますが、チューニングは異なり音の個性も違います。またデザインもブラックのモダンな外観となっています。

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99Classicsと99Neo

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さすがデザイナーが手がけたブランドらしく、外観とハウジングの作りはなかなかよくできていて、装着性も快適です。ハウジングのカップがNeoとClassicでは異なりますが、それ以外はほぼ同じです。ハウジングの表面はなめらかできれいに加工がなされている。ケーブルの左側にリモコンがついています。
重さはわりと軽めでそう負担にはならない程度だと思います。締め付けはあまり強くはないタイプで長くつけててもそう不快感はないでしょう。両方ともクローズタイプで短いケーブルが付いてくるのでポータブルでも使うことができますが、折りたたみはできません。99 Classicには家で聴くための長いケーブルも付いてきます。

NeoとClassicのポイントは振動板は同じで音質レベルはほとんど同じですが、チューニングが異なるためそれぞれ音の個性があります。

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99Classics

Classicはより忠実で、やはり音楽がきれいに聴こえて心地よい音再現です。
低音もNeoより引き締まってタイトですっきりとしたベースです。Neoの少しガチャガチャとした感はClassicでは少なくなり、端正な音を聴かせてくれます。
全体にクリアで曇りの少ない音再現で、すっきりと楽器音が美しく聴こえるタイプです。きつさは少なくやや丸めだが鈍いわけではなく、楽器音やヴォーカルは明瞭に聴こえる。ひずみ感も少なくすっきりと端正に楽器音が聞こえます。
高域表現はシャープさは適度で、どちらかというと優し目できつさは少ない感じですね。きつさが少ないので長い時間聴けるタイプだと思います。
低域の再現はダブルベースが気持ちよく聴こえるくらい量感は十分にありますが、フラットよりは低域が強い傾向ではあります。またわりと低いところまで出て、低域もよく整っていると感じられます。
全体にバランスよく上品な表現ですが、あまり平坦すぎることもなく、適度な低音の味付けはされています。音の明瞭感も高いので、いわゆるジャズ・クラシック向けですが、ヴォーカルを聴きこみたい人にも良いと思す。

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99Neo

Neoでは低域がたっぷりあって、音が分厚く、楽器の音は多少誇張されてきれいに聴こえます。楽器やヴォーカルも明瞭に聞こえ、わりと細かい再現力もあります。演出感は強いが、エレクトロ系やビート系などに向いています。ヘッドホンならではのロックのパワー感や迫力を堪能できますね。
Neoはかなり低域が強調されてベースヘビーなので、ビートの効いた音楽やエレクトロ系によく合います。ただし、ややヴォーカルに明瞭さが欠けることもあります。また楽器を聴きこむとやや音は粗く聴こえます。
高域はclassicよりもシャープに聞こえるのですが、よりきつめにも聞こえます。勢いがあるタイプでヘビーなロックやポップに向いています。エレクトロニカなどもneo99のほうが良いですね。

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端的に素直で音再現が端正なのがClassic、演出気味で勢いのあるのがNeoという感じです。聴きたい音楽で選ぶと良いと思います。
双方ともiPhoneにも向いていて、初級ヘッドフォンやイヤフォンからステップアップしたい人は、かなり音が良く聴こえると思います。
ただClassicのウッドハウジングはなかなかに良くできていますので、スタイルで選ぶというのもありだと思います。

端的に言ってデザインが良く音も良いというのがMEZEの特徴です。価格は99 Classicsが市場想定価格が29,800円前後、99Neoが24,800円前後と言うことでお手頃だと思います。
一番お勧めはNeo、ClassicともAK70あたりに合わせることです。AK70とNeoの組み合わせはロックファンにお勧めです。iPhone直でヘッドフォンリスニングをしたい人にも良いですね。ポータブルでヘッドフォンリスニングを楽しみたい人はぜひチェックしてみてください。
posted by ささき at 13:01 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月16日

A&ultima SP1000ファーストインプレ

A&ultima SP1000の内覧会に参加してきました。以下の画像とインプレは6月初旬の内覧会時点のものです。

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SP1000は第四世代と言えるモデルで、モデルネームがSP1000、プロダクトラインの名前がA&ultimaになります。以降出るモデルもクラスに応じてA&なんとかになるということです。

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外形デザインは原石を多面カットした宝石がデザインコンセプトで、光と陰はキープコンセプトです。化粧箱はブナの木で、スエーデンでのタルンショの天然皮革のケースがついています。

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上面のSDスロットはケースから外さずにmicroSDの取り外しが出来るようになりました。このため上面から電源ボタンがなくなっています。
マイクロSDカードは確実な装着のためにトレイを採用しています。このため専用のピンが同行されています。これによってSDカードの接触がよくないというAK100時代によく泣いた問題は解決されるでしょう。トレイの出し入れは、なれると簡単です。

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またSP1000では従来機に比してオクタコアの優れた処理能力により体力を高めて、起動時間や反応速度を高めています。液晶は見た目にも精細感が高くきれいです。UIデザインも変わっています。

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音性能でもAKMのフラッグシップモデルのAK4497EQデュアルを採用して高音質化し、回路的には特にバランス出力の改良がポイントになります。VCXOクロックなどは引き続き採用されています。

持った感じではステンレススチール筺体と言うこともあってAK380よりもずっしりとした重みを感じます。
電源スイッチはボリュームの長押しで行います。後ろに倒れるように思ったけれども、そちらには動かないようです。
ホームボタンはAK240のように液晶の下を押すことによってホームとなります。AK380のメタルスイッチはやや反応が鈍いこともあったので実用的と言えます。全体的な反応はかなりさくさくと動きます。

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まずはステンレススチールタイプをDreamの3.5mmで試聴しました。
Dreamを使うとよく分かりますが、パワフルで高域の伸びがあるのが第一印象です。伸びの部分はステンレススチールタイプによるものも大きいと思います。
従来モデルとの差はパワフルさで、KANNの時はKANNのみの個性かと思いましたが、おそらく新ラインナップの個性かもしれません。正確にいうとAK70のころからの変化かもしれませんが。。

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低域自体はわりと抑えめで膨らみがないようにスッキリとして、クリーンで上質なベースです。
また高域もAK380がDreamで少しきつめなのに比べると、穏やかでいたさが少ないと思います。より上品というか上質な高域です。

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AK380とSP1000

今回バランスの音がアンバランスとの差が大きいのも特徴の一つ。音が広いだけでなくバランスにすると音に力感とか重みが加わるようになった。言い換えるとアンバランスでは従来通りで、バランスにするとAMPをつけた感じですね。でもAK380AMPと聞き比べると音はちょっと違います。SP1000の方がもっと重く深い気はします。AK380AMPの方がより太い音ではある。ただヘッドホンなどの駆動力は試せませんでした。
バランス回路はAlexに聞くと秘密だが大きく変わったそうです。

全体に380よりもさらに整って帯域バランスも良い感じです。
ステンレススチールタイプというところを差し引いても、380よりもクリアでより鮮明です。音場もさらに横に広いですね。
全体にスッキリクリーンに明瞭に聴こえ、AK380がちょっと曇って聴こえるくらいです。ベースやドラムスがより鋭く、AK380よりはひとレベル上の音と感じます。

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SP1000ステンレススチールとカッパー

AK380単体と同じ曲で比べると、音の広がり、高域の伸びがSP1000で上回ります。音が華やかで伸びが良いのはステンレススチールタイプの利点だと思います。SP1000カッパーに変えると音は落ち着いた感じになり、より音色がきれいに感じられるようになります。全体の音レベルはほぼ同じなので、好みでテンレススチールかカッパーを選ぶことになるでしょう。ただ良さがわかりやすいのはステンレススチールタイプだと思います。

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専用ケースを装着したSP1000

価格はAK380の発売価格と同じオープンの449,980円(税込み)です。ステンレススチール筺体と言うところを考えると価格据え置きはお得かもしれません。
ステンレススチールは7月7日発売で、カッパーが少し遅れて発売されるそうで、ステンレススチールとカッパーは同じ価格だそうです。

SP1000は新CEO時代の始まりを象徴するような、さまざまな点で刷新された新たなフラッグシップと言えるでしょう。
posted by ささき at 11:01 | TrackBack(0) | __→ AK100、AK120、AK240 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする