Music TO GO!

2021年01月01日

激動の2020年を振り返る


あけましておめでとうごさいます。
昨年2020年は大変な年でした。新型コロナの影響でオーディオ界も混乱したまさに非常事態でした。とはいえ、数年先にまた見返すことも考えて、今年の振り返りをしていきたいと思います。
昨年2019年の振り返り記事はこちらです。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/472896535.html

2020年は自分的にはASCII.jpに連載を始めたのが大きなニュースで、今回はブログとそちらの両方を参照していきたいと思います。私はもともとはコンピュータ技術者で旧通産省時代に国家試験合格による第1種情報処理技術者の資格も持っています(ですからコンピュータ関係ではいい加減なことは申しません)。子供の頃からアスキーやログインなどはよく見ていたので、いま連載記事をもっていると感無量ではありますね。I/Oとかベーシックマガジンとか多くのマイコン雑誌、おっとパソコン雑誌があるなかでアスキーはやはり別格ではありました。オーディオ雑誌にPCオーディオの記事を書くときは少し柔らかくして書いているのですが、アスキーではもう少し明確に硬めに書くようにはしています。

アスキーの連載記事はこちらにまとめていますのでご覧ください。
https://ascii.jp/serialarticles/3000638/

2020年はやはりヘッドフォン祭がなかったというのが次に自分でも大きなニュースです。春と秋ともにヘッドフォン祭はオンラインで開催されることになりました。

ヘッドフォン祭 春2020 ONLINE(前編)
https://ascii.jp/elem/000/004/011/4011744/
ヘッドフォン祭 春2020 ONLINE(後編)
https://ascii.jp/elem/000/004/011/4011745/

オンライン開催された「秋のヘッドフォン祭」(前編)
https://ascii.jp/elem/000/004/033/4033317/
オンライン開催された「秋のヘッドフォン祭」(後編)
https://ascii.jp/elem/000/004/033/4033318/

ただし2020年2月までは新型コロナの影響はさほど大きくなかったので、年明けのCES2020、ポタ研2020冬(2/8)とHeaFiのCanJamNY(2/15)まではリアル開催されました。

なかなかの盛り上がり見せた「ポタ研 2020冬」
https://ascii.jp/elem/000/004/003/4003074/

この後に3月くらいから新型コロナの世界的な蔓延が大事になりだして、3/11にWHOがパンデミックを宣言、アメリカでは3月なかばからロックダウンがはじまり(NYは3/23)、日本では4/7から緊急事態宣言が発令されました。この辺がいまだ出口の見えない、いわゆるコロナ禍のはじまりです。

さて,昨年はやはり完全ワイヤレスのイヤフォンが席巻しました。なかでも音質にこだわったモデルが登場してきているのが良い傾向です。

内蔵ヘッドフォンアンプでハイインピーダンスドライバーを駆動するHIFIMAN TWS800
http://vaiopocket.seesaa.net/article/478531294.html

Noble FALCONのマルチドライバー版であるFALCON PRO
https://ascii.jp/elem/000/004/036/4036356/

白と黒のチューニングの違いがあるfinal監修のag TWS04K/TWS04K-WH
https://ascii.jp/elem/000/004/039/4039065/

また2020年は完全ワイヤレスの技術が多様化した年でもあります。例えばANCの低価格化や低遅延モードなど、そして左右の同時伝送の普及です。
わたしはAirPodsで完全ワイヤレスというものがブレークする前の初代EarinとかBragi Dashのころからこのタイプに着目していて、5年前にこのタイプの仕組みと問題点をあきらかにする記事を書いてます。そこでも同時伝送ができないのが課題でした。それを解決する手法としてすでにNFMIにも言及してます。

左右独立型ワイヤレスイヤフォンのトレンドと秘密
http://vaiopocket.seesaa.net/article/439219276.html

この頃はまだ世間でも「左右独立型ワイヤレス」とか「耳栓型ワイヤレス」と適当に言ってたんですが、この後からうちのブログではいずれ流行るだろうこのタイプにきちんと名前をつけるべきだと思い「完全ワイヤレス」と呼ぶことにしました。
そして最近「完全ワイヤレス」がその同時伝送の課題を解決した秘密をまた記事にしています。興味ある方はどうぞ。

完全ワイヤレスの「左右同時伝送」とMCSync方式の謎の解明
http://vaiopocket.seesaa.net/article/476629761.html

ちなみにヘッドフォンの「バランス駆動」についてもなぜ私がこの技術を「バランス駆動」と名前をつけて呼んだかについては下記のASCII記事にバランス駆動入門編として書いています。

知っているようで知らないヘッドホンのバランス駆動とその黎明期
https://ascii.jp/elem/000/004/032/4032684/

また2020年の完全ワイヤレスのトピックとしてはBluetooth SIG(BTの規格制定団体)がLE Audioを発表して正式に完全ワイヤレスをサポートしました。左右同時伝送ができなかった最大の原因はA2DPによるので、それがまったく新しい形式に変わったわけです。

Bluetoothの新しい規格であるLE Audioとは
https://ascii.jp/elem/000/004/028/4028099/
http://vaiopocket.seesaa.net/article/472980320.html

2020年はハイエンドイヤフオンの分野でも超弩級の新製品が出ています。

真のセラミックドライバーのSimphonio VR1
http://vaiopocket.seesaa.net/article/473406309.html

真のセラミックドライバーを採用しfinalとDITAのコラボ開発によるSHICHIKU-KANGEN
https://ascii.jp/elem/000/004/037/4037168/

Campfire Audioではさすがに開発意欲旺盛なKenさんで新製品が発表されました。Solaris 2020, Andromeda 2020, ARAです。特にARAは新機軸というかいままでの総決算的な設計でもあります。
ARA
http://vaiopocket.seesaa.net/article/475326656.html
SOLARIS 2020
http://vaiopocket.seesaa.net/article/475327605.html

イヤフォンではリケーブルに代わって音を変えるアクセサリーとしてイヤーピースが人気ですが
人気のSednaEarFotから出たXELASTECを下記記事で試しています。
https://ascii.jp/elem/000/004/018/4018779/

イヤフォン界のニュースではWestoneがイヤフオン事業を移譲するという話題がありました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/476010235.html
ただキーパーソンであるカールカートライト自身は聞いてみたところ元気なようですので安心しました。

ヘッドフォンではHIFIMANが平面型の低コスト化で平面型を入手しやすくしています。
HIFIMAN SUNDRA
http://vaiopocket.seesaa.net/article/474704265.html
HIFIMAN DEVA
http://vaiopocket.seesaa.net/article/476752324.html
HE400i 2020
http://vaiopocket.seesaa.net/article/478108332.html

Mojoに対するPolyであるCHORD Hugo2をネットワーク対応させる外付モジュールのCHORD 2goも大きな新製品でした。ただ使いこなしが難しいと思うので下に記事を書いています。

CHORD 2goレビューと使いこなし
http://vaiopocket.seesaa.net/article/474522554.html

デジタルプレーヤーではDAC ICとアンプを二組持っているSE200にも驚かされました。SE200は基本的な性能が磨かれているのもポイントです。
https://ascii.jp/elem/000/004/019/4019635/

世界初のディスクリート方式マルチビットDAC搭載のポータブルプレーヤー、L&P P6とP6Proもなかなか超弩級の新製品と言えます。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/478753952.html

OriolusのポータブルイコライザーとかDACとアンプ ミニチュアの本格オーディオシステムのBD20/BA20/SE02も面白かったですね。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/477382089.html

また日本にもよく来ていたジェームズ・リー氏が開発した新DAP、K100もバッテリー交換式という新機軸を見せてくれました。ポイントは32bitモードの音質です。
https://ascii.jp/elem/000/004/024/4024093/

アクセサリーではPW AudioのA&K用の4.4mmアダプターがなかなか良かったと思います。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/478410319.html

こうして振り返ると大変な2020年でしたが、たくさんのユニークな製品が出ていますね。
今年はなんとか雲間に陽の光が見えてほしいものです。
posted by ささき at 15:37| ○ 日記・雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月22日

ASCII.jpにfinal/Ditaコラボ製品発表会の記事を執筆

ASCII.jpにfinalとDita Audioのコラボ製品「SHICHIKU.KANGEN」発表会の記事を執筆しました。音のコメントもありますのでご覧ください。
posted by ささき at 06:57| ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月05日

ASCII.jpにFALCON PROのレビュー記事を執筆しました

ASCII.jpにNoble FALCON PROのレビュー記事を書きました。
ハイブリッド化で高音質になっても使い勝手が損なわれてない点が良いと思います。
posted by ささき at 11:19| ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月04日

「Bluetooth東京セミナー 2020」レポートをASCII.jpに執筆しました

ASCII.jpに先日のBluetoothセミナー聴講の記事を執筆しました。なぜLE Audioでは遅延が少ないのか、ソニーとBluetoothの関わり合い、そしてソニーのワイヤレス戦略に興味ある方はぜひどうぞ。
https://ascii.jp/elem/000/004/036/4036138/

この講演で面白かったのはもともとBluetooth SIGはLE Audioは補聴器のために始めたということです。それからソニーが参加してオーディオにも向いたものにしたと言うこと。
LE Audioでは補聴器の項目がはじめから大項目でしたが、そういう理由だったわけです。
posted by ささき at 15:59| ○ 日記・雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月03日

世界初のディスクリート方式マルチビットDAC搭載のポータブルプレーヤー、L&P P6とP6Proレビュー

Luxury & Precision(以下L&P)は中国のオーディオブランドで、はじめはHeadFiなど海外マニアックフォーラムで人気を集めていましたが、2018年からサイラスが国内でも扱いを始めました。L&Pは一時期うちでもよく書いていたColorFly C4の流れを汲む会社でもあります。L&PはクラシカルなC4の流れとL4やL6のような現代的なDAPを主に販売しています。

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P6とfinal A8000

少し前にインテル製のFPGAと医療用のR2RラダーDAC ICを搭載したハイエンドDAP、LP6の記事を書きました。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/464787064.html

R2R形式DACのRはRegister(抵抗)の意味で抵抗を組み合わせたDACのことで、日本ではマルチビットDACという名のほうが通りが良いと思います。マルチビットDACというのは現代のDACがほとんどそうである1ビット形式のデルタシグマ方式のDACとも対になります(現代デルタシグマDACが実際には複数ビットであるということはおいといて)。

世のほとんどのデジタルオーディオのデータはPCM形式です。PCMはいわばコード化された音楽のデータであり、そのまま音として聴くことはできません。音楽として再生するには各ビットごとに対応するコードを復号する必要があり、これを抵抗を組み合わせた回路で行うのがマルチビットDACです。つまりマルチビットDACとはコード化(エンコード)されたPCMをデコードするためのDACであり、抵抗回路はPCMを復号するためのコード表のようなものです。
しかしながら世のほとんどすべてのDACはハイレゾ化(ハイビット化)のためにデルタシグマ形式となったため、PCMとはまったく違うので必然的に変換が必要になり、そこにデジタル臭さが生まれます。これは逆に言い換えれば、ソースがPCMならば「変換」の必要のないマルチビットDACであれば、デジタル臭さが少なくなるとも言えるわけです。

マルチビットDACはほとんどの場合はすでに生産停止したDAC IC(ハイレゾ対応ならPCM1704、16bitならフィリップス製ICなど)を使用するのですが、LP6は医療用のR2R DAC ICを使うという点で画期的でした。しかしやはりICを使う点は同じです。

今回登場したP6およびその特別モデルのP6Proはポータブルとしては世界初のディスクリート方式のR2RラダーDAC(マルチビットDAC)を搭載しています。つまりICではなく抵抗を使ってディスクリートで組んだわけです。(ちなみにアンプではよくオペアンプではなくトランジスタを使ったものをディスクリートと言いますが、もともとdiscreteとは分離したという意味でトランジスタを使ったという意味ではありません)

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LPシリーズがヘッドホン向けのフラッグシップラインであったのに対して、このPシリーズはイヤホン向けのフラッグシップシリーズです。
国内での発売時期は12月下旬で、販売価格はP6/P6Proともオープン価格ですが、市場価格はP6は34万円前後、P6Proは43万円前後と想定しているということです。

* 特徴

1. ディスクリート方式のR2R(マルチビット) DAC採用

既述しましたが、LP6の時は医療用のR2R DACのICを使ってたのですが、P6/P6Proではそれを抵抗組み合わせてICを使わずにディスクリート設計にしたということです。ビット数(深度)は24bitまで対応しています。

R2R DACの弱点はビット深度が深くなるほど精度を確保するのが難しくなるということです。よく知られているマルチビットDAC ICのPCM1704も24bitと言われていますが、実際は23bit精度で最上位ビットは符号ビットとしてしか使用できません。
L&Pでは開発チームが今までの開発で纏めたノウハウで、既成の抵抗を自社基準で一個一個選別しているそうです。精度の決めは絶対値ではなく、他のパーツとの相対的な数値が合格品かどうかで決めるため、他社に特注するよりもLP5の時代から積み重ねてきた自社の独自ノウハウを使って選別しているということです。もちろん一つ一つ測定しながら生産するには時間や人件費などのコストが掛かりますが、L&Pではそれを必要だと思っているということです。

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またPCMが入力されてからアナログに変換されるまでの過程に関して具体的にどういうアーキテクチャかというと、まずファイルの解析からはじまって、MCUで再生される予定のファイルのサンプリング数を判断し、それをFPGAのクロック管理機能によってどのクリスタルオシレーターを使うかを決めます。その後にFPGA内でファイルのデータ上のクロック数に合わせてデコードします。あとはR2R回路経由でアナログ信号に変換して、のちに述べるL.L.M.V.S.システムにより音量調整され、アンプへ送り込みます。
性能としてはPCM1704Kが8個相当のダイナミックレンジを達成しています。これはLP6同等ですね。ちなみにProは16個相当となるそうです。

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2. R2R方式でもDSDネイティブ再生が可能

これもICからディスクリートにした利点かもしれません。
R2R方式はいわばPCMに特化した方式なので、これまではDSDを再生する時にはいったんPCM変換が必要でした。P6/P6ProではDSDを入力した時の信号経路は、DSD信号は1bitのままで、OSからFPGAへ、そしてDAC回路に流れます。P6/P6Proは自社設計の回路の中に流すことで、基本的にPCM変換しないで完全にネイティヴ方式で1bitそのままでDSD信号を処理します。
つまりはDSD用の別DACがあるわけではないが、この自社製のDAC回路の中でDSDネイティブ再生ができるような回路部分があるのだと思います(ローパスフィルタやバッファなど)。
また、設定でデコード方式をPCM変換に設定すると、OS上でマルチビットのPCM信号に変換してからR2R回路に流すこともできます。

3. 独自のボリュームコントロールシステム

LP6/LP6Proではボリュームも凝っていて、独自の電子リレーアレイ・ロスレスボリュームコントロール、LLMVS(Luxury&Precision Lossless Matrix Volume control System)というメーカー独自のシステムを採用しています。これは電子方式のステップアッテネーターのようなもののように思います。実際にP6ではボリュームが操作UIの上下ダイヤルも兼ねるのでデジタルエンコーダーとなっているのがわかります。アナログボリュームではありません。
つまりP6シリーズは、DAC回路はもちろん音量調整システムも抵抗回路ベースで構築したわけです。これはある意味で据え置きピュアオーディオを意識しながら開発されたということです。

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この独自のシステムを採用する理由は、全ての音量レベルのもとでダイナミックレンジが低下せず、かつ情報量が減らないということだそうです。このシステムは、ハイエンドの据置機で採用されているディスクリート式の音量調整機構に近いということ。それをポータブル機器に合わせてサイズと消費電力の面で一番バランスの良い設計をしたそうです。この方式だと音量調節もイヤフォンに合わせてカスタムや最適化が可能なので設計の幅が広いというメリットもあるということ。


4. 独自のFPGAを採用

LP6ではインテル製のFPGAがキーでしたが、P6では中国製FPGAを使用しています。LP6を開発した時にインテルのFPGAを使った理由の一つは、インテル側と共同でデジタルフィルダーなどの開発をしたからということです。今回はその時の経験から、高性能なものでなくてもシステムに合うFPGAを使えば、同じ機能を実現させられるということでインテル製採用をしなかったということのようです。

FPGAは主に下記のタスクを遂行しています。
R-2R回路の線形補償
SPDIFとI2Sプロトコルの解析とデコード
クロック管理
R2R回路のデコード
FPGA内部のDSPリソースを使って、イヤホン&ヘッドホンごとに最適化するカスタム機能(後述)

5. 特定のイヤホンやヘッドホンに合わせたDSP調整が可能

さきに書いたFPGAのタスクの一つがこの特定のイヤホンやヘッドホンに合わせてDSP調整を行うという機能です。
これはシステム設定内の音声出力設定に、サウンドスタイルという項目が追加され、特定のイヤフォンに合うDSP設定を選べるということです。これはOSレベルではなく、FPGAの中の設定を調整しているということ。

ちなみにOS自体はLP6と基本的には同じで違うUIデザインになっています。
P6の大きさは124x67.3x20mmで重さは248g、液晶は3.5インチのIPSで解像度は480x320。P6はなるべくノイズ源を避けたということでタッチ操作ではありません。P6Proはタッチ操作です。
内蔵メモリーは64GBでMicroSDカードスロットが一基搭載されています。USB端子はUSB-Cで、PCとのデータ交換とUSB DAC機能に使うことができます。再生時間は15時間です。

* P6のインプレ

まずP6を解説してから、あとでP6Proと違いについて述べます。
はじめに立ち上がりがすごく早いのが印象的です。これはOSが軽量だからでしょうね。P6の操作はタッチではなく決定キーとバックキー、そしてボリュームダイヤルを使用してメニューを上下させる方式です。タッチに慣れた身にはやや使いにくいんですが、この分でAndroidなどの複雑なOSを避けていると言えます。

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筐体はシルバーグレイの航空機グレードアルミニウム合金製です。重さ感覚としては軽くはないが、この手のハイエンド機としては特に重いとということもないと思います。大きさも手頃というところですね。持ち運びに不便はないでしょう。ディスクリートDACといってもかなり集積化した設計なんでしょうね。この辺はL&Pらしくもあります。

IMG_9996_filtered_s.jpg  IMG_9997_filtered_s.jpg  IMG_9995_filtered_s.jpg

音を聴いてみると、例えばシャープで正確だが硬質感のあるNoble KATANAやDITA Dreamのようなイヤフオンだと、特に音を大きくした時に不快感が少ない印象をうけます。
さらにこうしたイヤフォンを使った時にP6で印象的に感じるのは、恐ろしいほどに澄み切って奥行きと細かい音が良く聞こえる透明感の高さです。特にThe Real GroupのWORDSみたいなアカペラのときに、声の背景にたくさんの音の重なり合いがあるので驚きます。16bitにこんなに情報が詰まっていたのかと感じるほどで、こんな音があったっけと再発見する感じです。いわゆるホールトーンのような響きが聞こえて音楽が豊かに感じられます。
おそらくノイズフロアもかなり低いと思いますが、聴覚的にもSNもすごく高く感じられます。Andromeda 2020を使ってみたが気になるヒスノイズのようなものはないと思います。
また音の正確さも印象的です。高域は澄んでひときわクリアであり、中域のヴォーカルは鮮明、低域は引き締まって正確なベースラインを感じさせます。R2Rの美点か、いわゆるモニター的な正確さが無機的と感じられることもありません。

DITA Dreamで聞きながら端子のみ4.4mmに変えてみました。4.4mmmバランスで聞くとさらに音が厚みをましてより自然に聴こえます。これはとても魅力的なサウンドです。インパクトの強さもいっそう強くなり、パワフルな感じがあります。やはり4.4mmで聞くのが一番良いですね。

DSD再生のモードでは個人的にはネイティブ(PCM変換しない)の方が好ましいように感じられます。差は大きくないがやはり差はあると感じます。
デジタルフィルターのところにノンオーバーサンプリングがあるのも面白いですが、これはやはり差は微妙ではありますね。

* P6とP6proの違い

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左:P6 右:P6Pro

P6とP6proの違いは次のようなものです。
1. R2R回路用抵抗は、P6より選別レベルの高いものを採用
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2. PCM1704Kを計16個使用する時のダイナミックレンジと同等なスペックを達成(P6は8個相当)
3. SN比125dBを達成(P6は123dB)
4. G+G液晶タッチ機能搭載。(P6はタッチパネル非搭載)
5. P6はシルバー筐体や強化ガラスバックパネル、P6Proはブラックと天然木

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実際に使ってみましたが、P6Proの方はタッチ操作が可能なので操作はだいぶ楽になります。
やはりきになるのは音質差なんですが、P6でもかなりレベルが高い音が、Proだとより一層音が鮮明で、かつよりきつさが少なく感じられます。たとえばサ行のきつさがより緩和される感じだと思います。P6Proではより高品質な音であるので選別品の効果はあると思います。

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* まとめ

本機の音はSagraDACのようにR2Rを主張する柔らかなものというよりも、どちらかというとLP6をHD800で聞いた音の進化系というか、L&Pの音のつきつめたところにある音と言えるように思いました。
音楽がニュートラルであるがままに聞こえる、自然で正確に聴こえる、というある意味当たり前だけれどもいままでなかった音と言えるかもしれません。特にDITA Dreamなどを持っている人は要チェックだと思います。
posted by ささき at 14:10| ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月25日

完全ワイヤレスの音質のゲームチェンジャー、HIFIMAN TWS800レビュー

ワイヤレスイヤフォンは音が悪いというのは、ユーザー側もメーカー側もワイヤレスに音質なんて、という思い込みもあったかもしれません。しかしオーディオマニアブランドであるHIFIMANはそう考えませんでした。そして開発された完全ワイヤレスがHIFIMAN TWS800です。
いまや完全ワイヤレスにしては音がよいというイヤフォンはたくさんあるのですが、音がよいという意味に「オーディオマニアの要求レベル」という垣根は含まれていなかったように思います。TWS800は「オーディオマニアの要求レベル」という垣根を越えることのできる完全ワイヤレスを目指した製品です。

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*特徴

1. アンプ回路をSoCとは別に搭載している

いままで完全ワイヤレスの音質のキーはSoCという統合チップに委ねられてきました。本来はワイヤレスの送受信を受け持つICですが、中にオーディオ回路であるDSPなどが含まれていて、このチューニングが音質の良否を決めていたので音質はSoCが限界となります。TWS800ではこのオーディオ回路をSoCとはセパレートされた外に内蔵ヘッドフォンアンプとして搭載しています。そのためその限界を突破することが可能です。
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2. 高インピーダンスのドライバーを搭載

普通イヤフオンのインピーダンスは16オーム程度ですが、これは非力なスマホなどでも駆動できるようにした結果です。
しかしTWS800では150オームという高いインピーダンスのドライバーを採用しています。150オームという高いインピーダンスは慣らしにくいのですが、その分で高性能が期待できます。
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開発者に聞くと、高いインピーダンスを採用した理由はアンプと組み合わせた際に低域と音場において高い性能を発揮できるからだといいます。つまりTWS800においてはアンプを別搭載するということによってパワーに余裕が生まれたので、高インピーダンスのドライバーの搭載が可能になったというわけです。

3. トポロジー振動板の搭載

TWS800ではドライバーの要である振動板にもポイントがあります。HIFIMANの上級機であるRE2000が採用しているナノ技術を活かしたトポロジー振動板が採用されています。これは異なるナノ素材は物性も異なるという点から振動板にナノ素材のパターンを描き、振動板の伝搬をコントロールするというものです。これにより高音域特性などの向上が見込め、音が滑らかになるという効果があるということです。
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RE2000は国内では高価だが人気のある機種で、その技術を譲り受けたというわけです。

4. ユニバーサルイヤフォンのような筐体

一般の完全ワイヤレスは普通のカナル型イヤフォンのような形状かAirPodsにならった形をしていますが、TWS800の筐体は大柄でいわゆるユニバーサルイヤフォン(カスタムイヤフオンの一般向け製品)を完全ワイヤレス化したようなデザインです。これにはHIFIMANが以前手がけたRE1000カスタムイヤフォンの知見が活かされているといいます。このサイズの大きさを利用して内蔵アンプの搭載が可能となったんでしょう。
またTWS800はタッチコントロールですが、普通の完全ワイヤレスよりもフェイスプレートが大きいためにタッチがしやすくなっています。
tws800外観2.JPG  tws800外観.JPG


5. イヤーピースサイズに余裕をもたせたケース

充電機能付きのケースは大柄なものですが、これは最大のイヤーピースを装着してもそのまま格納できる余裕のある大きさにしたといいます。いままでの完全ワイヤレスでは大きなイヤーピースをつけると格納できないこともあったので、これもマニアメーカーならではの視点です。
実際にSednafi ShortとXelastecのLサイズはつけたまま格納することができました。ただケースは端子部分がもう少し深い方がぴったりと充電端子がはまったのではないかと思う。

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TWS800は高インピーダンスのイヤフォンを内蔵アンプでぐいぐいとドライブするイヤフォン、というわけです。TWS800の単体での再生時間は4.5時間と最新のトレンドからすると短いんですが、それだけ電力を音質の方に回しているんでしょう。(ケースと併用すると31.5時間)

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* インプレ

TWS800はまずイヤーピース選びからはじまります。あとで書きますが、TWS800は高性能なこともあって、いままでの完全ワイヤレスにはないくらいイヤーピースの差が出ます。

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TWS800には標準でたくさんイヤーピースがついてきますが、完全ワイヤレスなのにダブルフランジやトリプルフランジまでついてくるのがいかにもマニアックメーカーという感じがします。いろいろ変えてみたけど、ダブルフランジか白色のタイプが良いように思いましたが、自分に微妙に大きさが合わない感じだったので、やはり慣れているSednaFit系を使いました。Sednafit shortとXelastecを比べてみましたが、どちらもかなり差があってどちらもよいところがあります。Sednafit shortだと中低域がよりパワフルになって、サウンドがより個性的になります。下のインプレは主にSednafit shortで聞いてます。
Xelastecだとより中高域がクリアで鮮明に聴こえます。音がよりシャープでより細かい音が鮮明に聞こえるのでXelastecの方が高インピーダンスの高性能イヤフォンらしく聴こえるように思います。

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重さは他の完全ワイヤレスよりも重いが、耳につけてみるとあまり重さは気になりません。イヤーピースがきちんと装着されていればさほど脱落を恐れなくても良いと思う。
きちんと耳に座るところはユニバーサルイヤフォンという感じの装着感の良さです。ただユニバーサルタイプでケーブルがないことに私も含めて多くの人は慣れてないと思うので、耳のポジションに入れるために装着してから少し手直しが必要となります。ケーブルが位置決めに大事だったのを再認識しますが、この辺も新鮮ではありますね。
それとTWS800の特徴としては遮音性が高いこともあげられます。おそらくフェイスプレートが金属だからだと思いますが、かなり聞こえないので店とかでは外さないといけないことも多いかもしれません。
ちなみに結構硬め(?)というかほぐれにくいタイプのイヤフォンなので、エージングはしっかりやってから聞いたほうがよいです。

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試聴にはiPhone12Proを使っています。

TWS800の音質は高音質と言われる他の完全ワイヤレスよりも明らかにひとクラス違います。マニアでなくともだれでも気がつくような大きな差があります。
特に音の厚み、低音の重さと音の広がりと立体感はやはりSoCベースの電子回路では及ばないとは思いますね。まるでデジタルプレーヤーかアンプを通しているかのようです。ズドン・ドスンという重みが他の完全ワイヤレスだと、ああ低域を盛り上げているなという気がするけれども、TWS800では空気がたくさん動いている感じですね。和太鼓の連打では迫力が違い、ベースのホボーンという迫力がとても気持ち良く感じられます。
躍動感とダイナミクス、力強さはいかにも電気をふんだんに使っている感じで、再生時間が4時間というのも頷けるところです。力強さはアメリカンサウンドを彷彿とさせ、Blueminiのようなパワフルさが感じられます(開発者は違うということですが)。
TWS800の後に他の完全ワイヤレスを聴くと、かなり軽く薄く感じられます。音量の違いではないですね。iPhone直とポタアン通したくらいの差がある感じです。まあ実際にそうなんですが。

高域は透明感があり金属の音、ベルの音がきれいに響きます。低域の重さやパンチ、ドライブ感とパワー感はロックファンならくせになるでしょう。低音が重くたっぷりとあってアンプ内蔵の力強さがあるので、ロックのような音楽には好適です。他の完全ワイヤレスで聴くよりも躍動感があり体が動いてしまいます。
良録音を聴くと他の完全ワイヤレスとは一線を画する音で、良いイヤフォンとプレーヤーで聞いていた人が完全ワイヤレスで物足りないと感じていた部分を補ってくれると思う。厚みとか豊かさというところですね、そこが音楽に感動を深めてくれるポイントです。
解像力が高く、ヴォーカルがため息をつくところなどはかなりリアルに聞こえます。ひとつひとつの楽器音の明瞭感も高いです。

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それとパワーに余裕があるのか、他の完全ワイヤレスよりも同じ音量を低いボリューム位置で鳴らすので、クラシックや古楽の低レベル録音で高ダイナミックレンジの良録音なんかにも良いですね。高いボリューム位置は注意が必要なほど音圧が高くなります。
普通は完全ワイヤレスでは書きませんが、TWS800ではボリュームの上げ過ぎに注意してください。それだけすごいんです。

電池の持ちは他の完全ワイヤレスより悪いですが、通勤通学や出かける時の片道には十分以上です。さすがに飛行機の長時間はもたないと思いますが。
また操作性でいうとフェイスプレートが広いのでタッチ操作は容易です。左右のユニットでダブルタップで音量の上下、トリプルタップでスキップやバックができます。

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* まとめ

HIFIMANは少し前にTWS600という完全ワイヤレスイヤフォンを出してますが、通信距離という点では見るべきものがあっても音質という点では今一つでした。このTWS800はブランドらしいマニアックな音質重視の製品となっています。
多少電池の持ちは悪いけど、完全ワイヤレスの気軽さで、IEMにアンプ繋げたような広い音場と迫力、独自のパンチと躍動感が楽しめます。

端的に言うと、TWS800は高インピーダンスのドライバーを内蔵ヘッドフォンアンプで駆動する、というコンセプトの製品であり、高級イヤフォンとしてもユニークです。
TWS800は電子機器と一体型の完全ワイヤレスを逆手にとって、プラス思考で考えた製品でもあります。

販売情報は下記の通りです。これが3万円だったらかなりコスパはいいと思います。
市場予想販売価格:30,000円(税抜)
発売予定日:12月2日


完全ワイヤレスも高音質をうたう製品が増えてきました。とはいえ、ハイエンドイヤフォンを使いこなすようなオーディオマニアを満足させるレベルとなるとそこまで突き抜けたものはこれまでにはあまりありませんでした。TWS800がその壁を超える初めての製品と言えるかもしれません。完全ワイヤレスの音質のゲームチェンジャーとなるでしょう。
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2020年11月10日

PW Audioの4.4mmアダプターレビュー


今回紹介するのはPW AUDIO製の4.4mmバランス出力の変換アダプターです。PW AUDIOは2010年から続く香港のオーディオメーカーで、ケーブルやアクセサリーなどを取り扱っています。国内ではサイラスが代理店となって販売しています。
こちらはサイラスのPW Audio製品ページです。
https://www.cyras.jp/97513.html

この4.4mmアダプターは4.4mmバランス出力端子を持っていないプレーヤーやアンプを4.4mm対応にするものです。今回試したものはAstell&Kern用とHUGO2用の計5機種です。
どの製品も筐体は耐久性のあるアルミ削り出しで、端子は日本ディックス製4.4mm端子を採用しています。

* Astell & Kernプレーヤー用

Astell & Kernプレーヤーの3.5mmと2.5mm端子の両方のプラグに接続します。Fはストレート型のイヤフォン端子に好適です。
どうして2.5mmと3.5mmの両方を差すかというと、バランスの信号(R+/-, L+/-)は2.5mmの方から取るんですが、グランド(G)を3.5mmのものを使うからです。普通の4.4mmケーブルは効果がないかもしれませんが、PW Audioでは外部ノイズ遮断用のシールドを採用したGNDも生きているケーブルを企画中で、そうしたグランド分離タイプのケーブルで真価を発揮するということです。

1. AK TO 4.4F ストレート型(通常モデル)
通常版と限定版の違いは外観だけではなく、内部配線も違うということです。価格は11,000円(税別)。通常版のL型は12,000円(税別)。

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2. AK TO 4.4F ストレート型(秋モデル) 
これはPW AUDIOが企画した限定版だそうです。価格は予価13,000円(税別)。L型は予価15,000円(税別)。

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3. AK TO 4.4F ストレート型(日本限定モデル)
こちらは代理店のサイラスが企画したもので、線材もサイラスの指定になるものということです。価格は予価24,000円(税別)。L型も予価24,000円(税別)。

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試聴ではCampfire AudioのSolaris2020にDITAのAWESOMEプラグを使用して、2.5mmと4.4mmを変えながらイヤフオンとケーブルは同じで聴いています。

実際に試してみると、思ったよりも音質に差はあります。2.5mm直差しから4.4mmアダプター経由に変えると少し音圧が上がって音の広がりがより広く感じます。より音に厚みも加わります。ひとレベル上の音と言ってもよいくらいでしょう。やはり4.4mmアダプタを介した方が音はいいという感じです。こうしたアクセサリーを使おうとするマニアのユーザーなら違いは大きいと感じると思います。
もともと2.5mmよりも4.4mmの方が電気的特性は上だと思いますが、このようにアダプタを介した時も効果があるのは意外です。
4.4mm(+アダプター)から2.5mmに戻すと音がやや軽くこじんまりとして、音圧が少し下がります。

通常版とJP限定版も音が違います。音の良さのレベルは同じくらいですが、JP限定版は少し明るめで多少クリアな音になっています。ただ通常盤も重みがある感じで、これは好みの違いと考えてよいかと思います。JP限定版の方がいわゆる中高域好きの日本人好みの音になっているかもしれません。
秋版も音が違いますが、やや通常盤に近い感じです。通常盤-秋版-JP限定版の順に違いがあるように思います。

実のところ聞く前は違いはあっても差は微小かと思ってたんですが、けっこう違いますね。いわゆる一旦聞いてしまうと外せなくなるというタイプのアクセサリーのように思います。このAstell&Kern用のアダプターはAKユーザーにはオススメですので、一度試してほしいと思います。

* Chord Hugo2用

これはHUGO2のプリアウトRCA出力のLとRに接続するアダプターです。「RCA to 4.4mmアダプター」と言ってもいいかもしれません。RCAはプリアウトですが、メーカーはイヤフォンをつけても聞けると言っているようなので今回はイヤフォンをつけてAK版と同じようにして試してみました。

1. HUGO2 TO 4.4 ストレート型(通常モデル)
Hugo2においては他のポートの邪魔をしないのでストレート型の方がよいかもしれません。価格は予価12,000円(税別)。通常版のL型は14,000円(税別)。

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2. HUGO2 TO 4.4L L型(限定モデル)
この限定版は通常モデルとは異なる線材を使用しているということです。価格は予価24,000円(税別)。通常版のL型は24,000円(税別)。

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HUGO2でも同じくDITAのAWSOMEプラグで3.5mmをHUGO2の3.5mm端子に挿した時の音と、4.4mmに変えてアダプタの4.4mm端子につけた時の音を比べました。
より広がりのある音になるのはAKと同じですが、やはりこちらはプリアウトなので差は微妙ではありますね。L型(限定モデル) はストレート型(通常モデル)に比べてAKタイプと同傾向でより明るくてクリアな音になるようです。

やはりHUGO2の方は手持ちの4.4mmを生かしたい人向け、あるいは4.4mm to 4.4mmケーブルを使ってアンプに接続したい人向けと考えたほうがよいように思います。(いま手元に4.4mm入力のアンプがないので試せませんが)

* Chord MOJO用

また今回試していませんが、このほかにMOJO用のアダプターもあります。価格は予価18,000円(税別)。

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2020年10月31日

HIFIMANの平面型エントリーモデル、HE400i 2020

HIFIMANはAudezeと並んで現在の平面磁界型ヘッドフォン隆盛に導く立役者です。HE400はそのラインナップの中でもエントリークラスの平面磁界型ヘッドフォンとなります。

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* 特徴

最近HIFIMANの低価格機が多くなってきたので、住み分けがわかりにくい点もありますが、HE400i 2020は価格が18,700円(税込)と他のSUNDRAの37,950円やDEVAの33,000円と比べてもかなり低価格です。もともとHE400iは発売当初は6万円くらいしましたので、そのドライバーをそのままエントリーモデルに採用したという感じのヘッドフォンです。また少し上のSUNDRAに比べると能率が高いのでデジタルプレーヤーでも鳴らしやすいという面もあります。

HE400i 2020バージョンでの改良は主にヘッドバンドや外装です。
HE400i Ver2020は新規設計のヘッドバンドで以前よりも快適性が向上しています。新規設計のヘッドバンドは軽量で調整もしやすくなっています。HE400i 2020は軽いことも特徴でこれも快適性を向上させる要因となっています。

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ドライバーはHE400iのドライバーをそのまま採用しています。これはシングルエンド方式(片支持方式)の平面磁界型ドライバーで、大型の振動板は信号入力に応じて低音域も高音域も高い再現製を発揮し、優れた音場感と立体感を生み出すということです。等しく配分された磁力は低歪みとリアルなサウンドに貢献するとのこと。
また能率も高く鳴らしやすいのも特徴です。93dBの能率の高さは普及型のヘッドフォンアンプで十分に鳴らすことが可能です。

* インプレッション

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HE400i 2020の外観は価格の割にはけっこうな高級感があり、ヘッドバンドもイヤパッドも柔らかく感触が良いです。イヤカップはABSポリマー樹脂製で光沢チャコール仕上げであまりエントリーモデルには見えません。中級機くらいの風貌です。
ケーブルは着脱式で3.5mmプラグをコネクタに採用しています。ヘッドフォンを手に持った感覚も軽く、頭に装着してみてもかなり軽い感じですね。

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音は軽快で楽器音の歯切れが良く、とても明瞭感が高いと感じられます。高域のベルの音が美しく鮮明に聞こえてきます。中音域はとてもクリアでヴォーカルはかなり聴きやすく声質がよくわかります。
音が早くスピード感がある点も高級な平面型のように優れています。やはり音の歯切れの良さやリズム感の良さ、そして音の立ち上がりや立ち下りの素早さという点もユーザーが平面型ヘッドフォンに期待することのひとつだと思いますが、HE400 2020はかなり高いレベルで期待に応えてくれると思います。
低音域のパンチは十分にありますが、わりと軽めであまり誇張感はなく周波数特性もバランスがとれています。低音過剰になりすぎないという点も周波数によるインピーダンス変動が少ない平面型の特徴と言えます。HE400i 2020はその点でもなかなか優れて特性があるように思います。ダイナミック型のイヤフォンよりはBA型イヤフォンの低域に近いという感じでしょうか。よく締まっていてタイトですが膨らみすぎない感じです。
解像力もこのクラスのヘッドフォンにしては十分ある方だと思います。
音場は奥行きなどの立体感に優れていて、音が空間に響く感じがよく伝わりますが、左右の広さは標準的というところです。
端正な音なのでむいているジャンルはジャズとかクラシックになると思います。音がなかなか良いのでそのままずっと試聴してしまいましたが、軽くて長時間つけられるという点では偽りはないと思います。

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一昔前は平面型は重量も重く、サウンドも重くて暗いというのが一般的でしたが、それはどこ行ったという感じの最新のトレンドに沿った平面磁界型ヘッドフォンです。平面型も変わりましたね。DAPでもそれなりに駆動力があれば十分に音を堪能できます。

* まとめ

HE400i 2020は平面型は重いとか、音が暗いという思い込みを払拭してくれるような最新の平面磁界型ヘッドフォンです。
音は端的に言うと上級機の音を帯域特性や細やかさや低域の深みなどを少しコンパクトにしたという感じです。スピード感のある音や帯域特性の良さなど、音の個性自体はエントリーモデルというより上級機のヘッドフォンに近いものがあると思います。チュニーニングもそうですね。
2万円を切る価格でここまで本格的なサウンドのヘッドフォンはなかなかないと思います。価格が安くても音の誇張感が少ない本格的なサウンドを求めている方にオススメです。

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posted by ささき at 09:10| __→ HifiMan HE5, HE6 平面ドライバ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年09月18日

Oriolus Rebornの美音チューンモデル、Crassirostris

CrassirostrisはJabenとOriolusのコラボモデルのイヤフォンで、JABEN CHINAの企画商品です。
名前はフウキンチョウという鳥のことのようで、箱絵にも鳥の絵が描かれています。おそらくは美しい声で鳴く鳥ではないかと思います。
価格はオープンで、実売は税抜122,000円前後を予定しているとのこと。

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Crassirostrisの構成はBA3+D1のハイブリッド構成で基本的にはOriolus Rebornと同じ系列で、BAの部分(ツィーター)が違う型番ということです。このイヤホンはモニター的ではなく、基本的に楽しく美音を聞いてもらうためにチューニングされたということです。Oriolus Rebornの派生モデルという感じですね。

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シェルは3Dプリントで製作されています。感度は115dB/mW、インピーダンスは21オームで、周波数特性は10Hz-40kHzで箱にはハイレゾシールが貼ってあります。ケーブルの線材は銅,銀,銀メッキ銅線ということです。ケーブル端子は3.5mmです。シリコンイヤーピースとフォーム、ダプルフランジ(M)が付属しています。

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シェルが透明でドライバー配置がよくわかります。ベント穴が直接シェル空間に空いています。ベント穴にはなにかフィルターが入っているように見えます。シェル内空間はダイナミックドライバーにとって、全てチャンバーとなるとのこと。またノズル部分が広く作られています。
プラグがごっついのでマニアックな製品と感じますね。ケーブルはなかなかに凝った標準ケーブルで、しなやかで取り回しは悪くないです。

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大柄なシェルだけれども、わりと装着感はよく特にシリコンイヤーピースがよくできていて密着します。吸い付くような感触がありますね。かなり遮音性は良いと思います。能率は高めで鳴らしやすい方でしょう。

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まず音がニュートラルで聴きやすいA&K AK380で試してみます。
音楽的にチューニングしたというだけあって、音はわかりやすく端的に言って低重心でベースの重みがあって、音の広がりがすごいサウンド、という感じです。

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AK380とCrassirostris

中高域はシャープでギターをつま弾く音が鮮明に聞こえますね。低域はかなり誇張されて量感がたっぷりとあります。ハイブリッド構成らしく、音に重みもずっしりと感じられます。この辺からもモニター的に聞くのではなく音を楽しんで聞く方向性が伝わってきます。ただ低域は強いけれども、ヴォーカルはわりとはっきりと聞こえると思います。
周波数特性はかなり誇張されていますが、音調自体は暖かすぎるものではなくわりとニュートラルです。この辺はケーブル特性も関係していると思います。
もう一つCrassirostrisのポイントは音の広がりが良いことです。左右にもわりと広い方ですね。奥行き感もあります。低音がたっぷりとあって音もよく広がるのでオーケストラものでのスケール感もいいですね。

音の個性がA&K SP1000CPに合いそうなのでプレーヤーを変えてみたところ大当たりという感じです。この組み合わせは最高にいいですね。
AK380からSP1000CPになってより音性能が向上したことで、こちらの方がCrassirostrisの力を引き出すという意味合いもあります。Crassirostrisは解像力もあってただのfunタイプのイヤフォンではなく、ポテンシャルも高いようです。これは元になったOriolus Rebornの性能の賜物でしょう。

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SP1000CPとCrassirostris

高域もSP1000CPで聴く方がより美しく感じられます。音場の良さとあいまって、エレクトロニカではベルの音やそれに近いような電子音が頭の中に響き渡り、豊かな低域と相まって美しい中高域が浮き上がったように聞こえます。音楽の作る世界に引き込まれるようです。
女性ボーカルのジャズでは囁くようなボーカルも細かく再現される側面もあります。例えば定番の"Spanish Harlem"だとバックのベースはやや大きめに聴こえますが、ヴォーカルは綺麗に声質もよく聞き取れます。アニソンだとやはりバックの演奏はやや大きく聞こえるけれどもやはり躍動的に楽しめます。こうしたヴォーカル主体のジャンルでは、ヴォーカルだけではなく演奏も楽しみたい人向けの再現のように感じられます。

特にパワーがあって、低域の再現力が高いので、一番向いているジャンルはロックだと思います。
パーカッションやドラムのパンチがあって、ダンダン・バンバンという音がパワフルで気持ち良いんですよね。畳み掛けるようなベースギターとドラムの絡みなんかは最高です。パワフルで躍動的な音の世界を楽しめます。なかなかここまでベースギターやバスドラの気持ち良さを再現できるイヤフォンもないのではと思います。ドラムやパーカッションの連打では気持ち良さを感じられる、かなり気持ちもハイになって上がっていくと思います。
例えばメタルとかだと、低いデス声のバックで聞こえる美しい女性ヴォーカルなんていう曲でもそれぞれが楽しめ、そこにドスッドンドンという破壊的なドラムが気持ちよく聴こえてきます。

Oriolus 1795で聴く相性もまた良いです。スマートフォンとBTで聴きたいならば、Oriolus 1795くらいの音の良さがないと面白くないと思います。
やはり音の広がりがよく、低音の迫力を堪能できます。音色もきれいに再現され、音も細かさもかなり高いと感じられます。おそらくこの組み合わせだとBluetoothを聴いているという感覚なく音楽に浸れます。Oriolus 1795はBTレシーバーにしては音のスピード感がある点もcrassirostrisを生かせるでしょう。

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Oriolus 1795とCrassirostris

音楽を分析的ではなく、躍動感あふれる最前列で楽しみたい人向けのイヤフォンと言えるでしょう。またOriolus Rebornを元にした基本的な性能も高いのでパワーのある高性能なプレーヤーに向いています。
音楽を楽しみたい人、パワーのあるハイエンドプレーヤーを持っている人にオススメです。



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2020年09月11日

Roonがuncertifiedデバイスを使い続けるための回避策を提示

uncertifiedのRoon Readyの件ですが、Roon側が妥協案として「既存のユーザーでuncertifiedデバイスを使ってる人は、申請すればそのメーカーがcertified通すまでの間、アカウントに限定的に開発者権限を付与することで9/21以降も今まで通り使用可能(disableしてもenableできる)」という回避策を提示してます。

Roonのuncertifiedデバイスを使い続けるための申請フォームはこちらです。申請が通ったら連絡するということです。

posted by ささき at 08:13| ○ PCオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする