Music TO GO!

2019年09月07日

待望のユニバーサルモデル、FitEar TOGO! 335レビュー

リリースから引用すると、FitEar TOGO! 335は、ベーシスト、ドラマーからの「より低音域部の情報量とリニアリティを」という声に応え開発されたユニバーサルタイプのイヤーモニターということです。つまりカスタムイヤーモニターMH335DWをベースに、BAドライバーの構成は同じです。本稿はそのレビューです。

IMG_0220_filtered_s.jpg  IMG_0211_filtered_s.jpg

* TOGO!334からTOGO!335へ

2011年に発売されたFitEar TOGO! 334はカスタムイヤフオンとユニバーサルイヤフォンの音質がはじめて同じになったという点で、イヤモニ・ハイエンドイヤフオンの記念碑的な製品でした。それまでは我々のようなマニア層にとっては最高音質を得るのはカスタムイヤフォンだったんです。

IMG_9649_filtered.jpg  port.jpg
FitEar TOGO! 334

カスタムイヤフォンのイヤピース版をいまユニバーサル(万能という意味で)イヤフォンと言いますが、それはそもそもTOGO334が初めてでした。つまりカスタムと同じ製法で製作して、イヤピースを付けられるイヤフォンのことです。
この件についてはジェリーハーピーがヘッドフォン祭に来た時に直々に須山さんをほめていたことが私には印象的でした。彼のtriple.fi 10 proもたしかにハイエンドイヤフオンではありましたが、カスタムとは同次元で語られてはいませんでした。それまではユニバーサルイヤフォンというのはソニーなど大手が開発して量販店で売っているようなイヤフォンのことを言っていたわけです(米でも)。

こうしたユニバーサルイヤフォンはカスタムのデモ機にも似ていますが、それは間に合わせ的なもので、カスタムとユニバーサルの違いを踏まえてもっと単体としてチューニングされている必要があります。もちろんカスタムには内部ドライバー配置も耳に合わせて変更されたりする場合があるという違いはあるのですが、TOGO334の登場は画期的でした。ちなみにこの名前はうちのブログ名にインスパイアされたそうですのでありがたいことです。(TO GOにはカスタムと違って店からすぐお持ち帰りできるなどの意味もあります)

ちなみに当時の須山カスタムの名称には意味があり、334の場合は3Way + 3 units + 4 driversという意味です。これはひとつのBAユニットに2つのドライバーが入っているものもあるためです。335だと(Low 2, Low-Mid 2, High 1)で、DWはダブルウーファーの意味です。大型のBAドライバーを2基使っています。
MH334のダブルウーファー版としてMH335DWというカスタムはずいぶん前からあったのですが、この二基の大型BAドライバーにこだわったことで優れた低域再現性を得る半面で、ユニバーサル版を作るという段になるとその大きさが災いしてしまいます。また低域が増えると高域もそのままというわけにもいかないようです。そうして335ユニバーサル版はひとまず据え置かれて、カスタム版が335DW SRなどに進化を続けます。(TOGO!334でもコンパクトにするのはかなり大変だったそうです)

そうしている間にイヤフオン技術も進歩を続け、3Dプリンターの導入も含め、さらに最近開発のFitEar Universalの楕円形ステムの開発もあり、総合的にTOGO! 335を開発する素地が整ったというわけです。
ユニバーサルイヤフォンはカスタムとは違い、イヤピースを付けなければなりませんが、そのステム(ノズル)の部分の太さが制限となってしまい、音質に悪影響を与えたりもします。特徴的な楕円形ステムは、Universalでの開発から生まれたもので、これは外耳道が楕円形をしているということで、そこに円形のものを通すよりも楕円形のものを通すほうがよりフィットしやすいということだそうです。これも工作難易度が高いので実現には時を待つ必要があったそうです。
TOGO!335ではUniversalで得た知見をもとに形状と角度が考えられて遮音性と装着性に優れたメリットを得ているということです。

IMG_0210_filtered_s.jpg

* インプレッション

パッケージングはペリカンケースで提供されています。

IMG_0202_filtered_s.jpg  IMG_0203_filtered_s.jpg

本体は黒かソリッドだったこれまでのFitEarユニバーサル製品とは異なり、スモーク半透明の美しいシェルに覆われてドライバーも透けて見えます。

IMG_0212_filtered_s.jpg

TOGO!335の使いこなしはせっかくの低音を漏らさないためにも、まずイヤピース選びから始まります。標準イヤピースははまりやすいのですが、やや耳にうまくはまっていない感があるので最近はやりの別売りイヤピースをお勧めします。しかしこの楕円形のステム形状のためにややイヤピース選びはてこずります。
私はしばらく指とイヤピースを格闘させてコツがわかったのですが、TOGO!335のイヤピースをはめるコツは楕円形ステムの短辺ではなく長辺の方からいれることで、短辺からだと入りにくいです。ケーブル端子側の長辺に親指を端子方向からあてがって、他の指で支えて押し込む感じです。

いくつか試して一番良かったのはAET07です。はまると標準イヤピースよりもだいぶ遮音性が改善され、たっぷりの低域が得られます。またAET07の良い点は音の輪郭が鮮明な点で、高性能イヤモニに向いています。AET08もより低域を太くしたい人にはよいでしょう。
SednaEarfitLightは装着感は標準よりも良い感じで、やはりたっぷりとした低域を得られます。ただし低域を抑えめにしたいときはひとサイズ小さ目のほうが良いと思います。
emiraiさんのところの新しいe-proはわりと楽に入ります。軸が柔らかいのと、傘をひっぱって変形させやすい点が良いですね。また音バランスが標準に近い感じで、音の広がり感に良い感じです。

いずれにせよイヤピースが決まると、装着感は極めてよく耳にもフィットします。大型すぎて座りが良くないということもないし、重いということもないです。この辺は長い開発の効果が出ているのだと思います。


音質は極めて高く、特にポイントである低域の存在感が高いのが特徴的です。これは単に低音がポンと盛り上がっているというのではなく、中低域から低域、超低域にかけての厚みと豊かさ・量感があるという感覚です。低音の質が良く量感もあり、かつ自然に聴こえるという、他のイヤフォンではなかなか味わいにくい世界を楽しむことができます。
これは低域ダイナミックのハイブリッドではなく、オールBAならではのことだと思います。そして大型BAドライバーの2発でなければ実現できないことでもあると思います。これは大型スピーカーで小口径ウーファー2基よりは大口径ウーファー1基でなければ得られない音があるというのと似ていて、ラージモニターをリファレンスとした音作りを掲げるFitEarらしい音作りでもあると思います。

IMG_0214_filtered_s.jpg

低域の量感があるためにスケール感も大きくオーケストラやクラシックを聴くのにもよいと思います。打ち込み系の電気的なベースの打撃感も気持ちよくパワフルです。またヴォーカルもやはり男声ヴォーカルの太さの再現の良さが印象的ですね。
低域が多めと言っても中音域にかぶるようなものではなく、発音自体は明瞭に聴き取れます。ゲーム・オブ・スローンズ挿入曲のザ・ナショナルが演奏するThe Rains of Castamereなど渋いヴォーカルにベースがかぶさる曲などは感動的です。また厚みを活かしながらもあくまで自然に聴こえるというのがわかります。
音再現は有機的でしっとりとした美しい音楽を聴くのにもよい。無機的という意味ではモニター的でないですね。

また声がかすかに聴こえていく小さなレベルまで良く聴こえる。こういうのこそハイレゾ向けと言いたくなります。細かい音の明瞭感が高い点に関しては隠し味にこっそりESTが入っているかと思ったくらい、とても細かい音がたくさく聴こえます。
能率はやや高めですので、ボリュームは少し絞ってから再生したほうが良いと思います。ただしホワイトノイズが気になるほどではないと思います。

IMG_0204_filtered_s.jpg

アコースティック楽器の音色がとてもリアルであり、特にウッドベースは弦の鳴りや響きの音再現が良いですね。ピチカートの切れもよいし、バスドラの音も迫力あります。低域の太さ、解像力など低域の質の部分はやはりこのイヤフォンならではというものがあるでしょう。良録音のジャズとか、例えばヘルゲリエンなどは特にToGo335DWが光る部分です。
また低域に埋もれずにハイハットなど高域が鮮明な点も注目ポイントだと思います。音の定位感・立体感も高いので、楽器の配置もわかりやすいのではないかと思います。
この辺りはイヤモニらしい正確さもきちんと把握された点だと思います。エンジニアの杉山氏、原田氏の助力も的確なのでしょう。MH334やTOGO! 334に比べてもこちらはいわゆるベースプレーヤー用ですが、カールカートライトにもちっょと聴いてもらいたい気がしますね。

* まとめ

もっと低音がほしいけれども、質の良い低音が欲しくて、もちろん全体に的確な音再現がほしいというユーザーに向いていると思います。
オールBAのポテンシャルを再認識させてくれるイヤフォンであるともいえるでしょう。

posted by ささき at 11:19| __→ 須山カスタム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月06日

finalの音響講座ふたたび

先日finalの「イヤフォン・ヘッドホンがもっと楽しくなる音響講座」の受講のレポートを書きましたが、好評につき本講座を再度開催するということです。記事については下記です。

final audio イヤフォン・ヘッドフォンを楽しむための音響講座
http://vaiopocket.seesaa.net/article/466841836.html

final音響講座の宿題と復習 (E500とE1000の比較レビュー)
http://vaiopocket.seesaa.net/article/466887556.html

とても科学的な音響セミナーですが、イヤフォン・ヘッドホンを楽しむということに特化されているので難しそうな内容でも興味を持って取り組むことができます。低音がヴォーカルを聞こえにくくするって実際にはどういうこと?というようなもやもやがすっきりとします。
有料ですがなにかお土産も付いているようです。開催概要は以下の通りですので興味のある方はぜひどうぞ。

■日時
2019年10月20日(日)
◎午前の部:10:45-13:15
◎午後の部:14:15-16:45

午前の部・午後の部どちらも今年6月に開催した講座と同じ内容

■会場
富士ソフトアキバプラザ 6F セミナールーム1
〒101-0022 東京都千代田区神田練塀町3 富士ソフト秋葉原ビル

■定員
各回先着100名様(合計200名様)※予約制

■参加費
1,500円(税込)

■参加特典あり
当日の資料とお土産

■講師
S’NEXT シニアサイエンティスト

■申込方法
final DIRECT SHOP「音響講座参加券」販売ページにて、「音響講座参加券」を購入
https://final-audio-design-directshop.com/fs/final/ws_190608
posted by ささき at 12:00| ○ オーディオショウ・試聴会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年08月21日

HIFIMANの完全ワイヤレスイヤフォン、TWS600レビュー

TWS600は音質では定評のあるHIFIMANが開発したTWS(True Wireless Stereo)、つまり完全ワイヤレスイヤフォンです。
8月23日から発売開始され、価格はオープン(予想売価13,800円程度)です。BluetoothイヤフオンとしてコーデックはAAC,SBCに対応しています。

IMG_7891_filtered_s.jpg  IMG_7889_filtered_s.jpg

* 特徴

1. HIFIMAN独自のトポロジーダイヤフラムを採用

高級機RE2000でも採用されているHIFIMAN独自のナノ技術を応用した「トポロジーダイヤフラム」技術を採用しています。振動板自体はTWS600向けの専用設計です。
トポロジーダイヤフラムとは何かというと、ダイヤフラムの表面に幾何学的な特殊なメッキを施したものです。目的はこの幾何学模様の形状、素材、厚さを変化させることで音の周波数特性の調整を可能にすることです。トポロジーダイヤフラムは「異なるナノ素材は構造が違い、特性も違う」という点から着目されたものです。このようにダイヤフラムの異なる表面構造の特性を適切に調整することで、振動の伝搬をコントロールしているわけです。こうした技術によってTWS600においては従来の完全ワイヤレスイヤフォンよりも、より自然で解像力の高い音質が得られるということです。

TWS600においては他にも先進的な合金製ヴォイスコイルやハイテク・マグネットの採用など高音質のための技術が詰め込まれています。ちなみにエージングは40時間が推奨されています。

2. 長距離再生が可能
TWSの大きな特徴の一つは150mもの距離での通信が可能であるということです。これについてはHIFIMANが検証する動画を公開しています。



また使っていても左右ユニット、ユニットとスマホ間でも接続が切れにくいと思います。電車などで普通に使っていて左右切れすることは少なく、片耳を手で覆ってもひと昔前の完全ワイヤレスみたいに接続切れになりません。


3. 合計38.5時間の再生が可能長時間の再生が可能
本体が5.5時間、バッテリー内蔵ケースを使用してさらに33時間の長時間再生が可能です。
HIFIMANによれば38.5時間の再生時間があれば、アメリカ大陸の端から端まで6回のフライトが可能であり、ジムで一日1時間使用しても一か月以上も持つということです。
バッテリー内蔵のケースは充電器も兼ねていて、USB-Cタイプのケーブルをケースの充電端子に接続します。充電中はケース内側の充電用LEDが赤く点滅し、その4個のLEDが点滅することで残りの充電レベルを知ることができます。
充電は実測で4-5回ほどケースから充電が可能です。ただしケースが透明ではないので充電中のライトが見られないのが残念ではあります。

4. 人間工学的なデザイン
完全ワイヤレスは片方だけ取れてしまうという不安がある人が多いのですが、TWS600においては運動をしていてもわりとしっかりとフィットします。実際にイヤフォンとしての装着感がとても良いのもポイントが一つで、5.9gの軽さとともに使用感は快適です。
こちらにスポーツで使われている動画があります。




他にもIPX4防水で汗と埃を防ぐことができます。

5. 左右どちらでも片側で使用可能
TWS600は片側使用が可能であるところにこだわっているのも他の完全ワイヤレスとは異なる点です。左だけでも、右だけでも使えます。これは通常どちらか親機のみが片方使用可能な完全ワイヤレスとしては珍しい特徴だと思います。

ただし左と右では少し使い方が異なります。
左のみ使うときは右側のイヤフォンはケースに収納したままにしておくと、左側のイヤフォンは自動的に片側専用モードになります。ステレオモードに戻すには単に右側のイヤフォンをケースから取り出します。
右のみの時は右側のイヤフォンをケースから取り出してから、”Power Off”と音声が聞こえるまでボタンを押し続けるというものです。そしてさらに”Power On”と音声が聞こえるまで押し続けます。ただしこちらの方はなかなかうまくいかないようです。

* インプレッション

IMG_7876_filtered_s.jpg  IMG_7882_filtered_s.jpg
TWS600のパッケージ

スマホはiPhone Xを使用しています。
TWS600はケースから取り出した時に自動的に電源がオンになりますが、取り出してすぐ電源オンされるのは良いですね。またTWS600はケースに収納した時に自動的に電源がオフになり、充電を開始します。
ケースから取り出した時に自動的に右ユニットが左ユニットとペアリングをします。それからイヤフォンはペアリングモードになり、LEDの赤と青が交互に点滅します。スマホとのペアリングに関しては普通のBTイヤフォンと変わりません。ちなみに3分間以内に他のデバイスとの接続がない場合にイヤフォンは自動的に電源オフになります。

IMG_7888_filtered_s.jpg  IMG_7886_filtered_s.jpg

英語での音声ガイド機能があり、取り出すと"power on"、左右接続された時は"TWS connected"、スマホと接続されると"connected"とガイド音声が流れます。

IMG_7884_filtered_s.jpg

イヤフォン側面のボタンによる操作が可能で、タップ(クリック)の回数で一回なら再生/一時停止、二回なら左右ボタンに応じて音量調整、三回なら左右ボタンに応じて前の曲/次の曲にスキップができます。
またマイク内蔵で、2秒押し続けることでヴォイスアシスタントを起動可能です。

前述したようにTWS600は装着感が良く、耳に密着してぴったりとはまります。静粛性は高くて電車の中でも遮音性は高いと思います。
音質は中高域寄りの音で、生ギターの音色やピッキングの切れなど立体感と解像感はなかなか良いと思います。他方で低域はタイトですが軽いので、使用する際にはスマホのイコライザーを使って低域を持ち上げた方が良いと思います。基本的な音質は悪くないので、たとえばEQuアプリのバスブーストで聞くとかなり違った面を聞かせてくれます。

IMG_2283_s.jpg

低遅延をうたっていて、実際にNetflixアプリで映画をみてみましたが、口とのシンクロは違和感が少ないレベルで、特に映画を見ていて気にはならないと思います。ゲームは私はあまりやらないので明確には言えませんが、遅延はわりと少ない方だと思います。

* まとめ

わりと低価格で装着感も良好、長距離送信可能で切れにくいという特徴を持った使いやすい完全ワイヤレスイヤフオンだと思います。今週末(8/24)はフジヤさんにてHIFIMANの試聴会を行うそうですので興味ある方はいらしてください。
音質に関してはイコライザーを使用して大きく低域を持ち上げるとかなり変わりますので、ぜひ試してみてください。
posted by ささき at 10:45| ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年08月12日

Andromeda Gold海外発表

Campfire Audioの人気モデルAndromedaに1000本限定のGoldバージョンが登場するということです。違いは外見だけではなく、低域ドライバーが2つから4つに増え、さらにクロスオーバーレスのデザインになっています。かなり大きく違いますね。

Headfi TVでさっそくレビューがあげられています。
https://www.head-fi.org/threads/campfire-audio-introducing-2-new-models-hello-andromeda-and-nova.805107/page-501#post-15113948



音に関しては低域はAtlasなどより誇張していないが、しっかりある感じで、増えた低域とバランスをとるために高域も少し上がっているようです。上のビデオで新旧の周波数測定値が公開されています。
また最近のCampfire Audioの大きな特徴として、左右のマッチングがかなり良いことがここでも触れられています。マルチドライバーモデルとしてはかつてないくらいに左右のマッチングが取られているということです。
またインピーダンスが8Ωとなったことで、センシティブと言われるAndromedaがさらにセンシティブになっているようです。
posted by ささき at 22:49| ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年08月09日

Layla AIONの動画

この動画を見るとLayla AIONの核心部分がわかります。



いままでBAノズルからシリコンチューブ(音導管)で音出口に導いていたのをSLA 3Dプリンタで音導管をモールドみたいに造形してるんですね。これで
AIONシリーズって最後に出てくるのは、つまりLaylaだけではなくロクサーヌなどでもAIONが出るのでしょうか?

Headfi TVでJudeもLayla AIONについて述べてます。Laylaが大きいのはドライバー数ではなくFreqPhaseでの音導管が長いからだと言ってます。AIONの音は前モデルよりもさらに広がりがあるようですが、新設のSound Chamberゆえではないかって言ってます。



JudeはKANN CUBEやFIIOのTHX AAAモジュールと使うのがお気に入りとのこと。それとLayla AIONの周波数測定グラフも低域調節した中で開示してます。
posted by ささき at 22:34| __→ JH13, JH16 カスタムIEM | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年08月08日

JH Audioの最新フラッグシップ"Layla AION"登場

あのLaylaがよりコンパクトになり、新技術を盛り込んだ"Layla AION"(レイラ・アイオン)となります。

D042171D-01D2-463D-ABAC-2DEAAFDCF033.jpeg

AIONはわたしの好きなDead Can Danceのアルバム名にありますが、たしかラテン語の「永劫」みたいな意味だったと思います。ただTidal検索すると同一タイトルのアルバムが他にもあって、ジェリーが4ADと関係するようには思えないので別かもしれませんが。

Layla AIONはLayla IIにつぐ第3世代Laylaとなります。ジェリーはLaylaの完成度に自信を持っているようなので、Laylaを最新技術を取り入れながらブラッシュアップしていくというアプローチを取っているように思います。

従来との違いでは、まず内部のチャンバールームを3Dプリントで成型し12個のドライバーを最適な位置に配置するというSonic Tube Chassisテクノロジーで、シェル本体の内部容積を削減しています。Layla IIと比較すると約31%の小型化と約45%の軽量化を実現しているとのこと。これでより優れた装着感を得ています。
またBillie JeanのようにAcoustic Sound Chamberが設けられ、導管に汗や異物が入り込むことを防止します。これはジェリーによると高域特性を改善する意味もあるそうです。
それとケーブルコネクターが7ピンの新型になっていますね。

新技術を取り入れながら完成度の高いLaylaをさらにブラッシュアップしたモデルという感じでしょうか。
音については楽しみなところではあります。
posted by ささき at 10:02| __→ JH13, JH16 カスタムIEM | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Appleが"Mastered for iTunes"に変わって"Apple Digital Masteres"を立ち上げ

Appleが従来の"Mastered for iTunes"に変わって"Apple Digital Masteres"というのを立ち上げます。

ただ現状では"Mastered for iTunes"と同じツールを使うようで、違いが大きくないようでAppleがCatalina OSでiTunesを排するので、それに伴うリブランドとも言われています。ただ将来的には不明です。


ちなみに"Mastered for iTunes"とは何かというと、44kHz/16 int(いわゆるRedbook master)からAACに変換していたものを、44kHz/32 float(いわゆるCoreaudio format)からAACに変更するというものです。前に書いた記事をご覧ください。


Mastered for iTunesとは: Music TO GO!

http://vaiopocket.seesaa.net/article/253750773.html

posted by ささき at 05:39| ○ PCオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年07月22日

HeadfiのCanJamロンドンからの新製品プレビューなど

今週末にロンドンでHeadfiのヘッドフォンイベントであるCanJamが行われますが、そこからJude氏による新製品のプレビュービデオが公開されています。
https://www.head-fi.org/threads/canjam-london-2019-july-27-28-2019.905907/page-11#post-15075726

3:15 レコーディング機材のアインシュタインRupert Neveの開発した初のDAC製品。Rupert NeveはJudeの尊敬している人だそうです。
Fidelice RNDAC。ヘッドフォン端子は全部バランスで、TRS、XLR、Pentacon。最高の測定性能を持つDACのひとつということ。内部はバランス回路。JudeはカスタムIEMで使っても背景ノイズはなかったと言ってます。
Fedeliceヘッドフォンアンプ(旧製品のアップグレード)も出ています。

IMG_0501_s.jpg  IMG_0502_s.jpg
Rupert NeveとDedelice DACとヘッドフォンアンプ (Headfi TVから)

11:47 FiiO AM3D(THXモジュール)をJudeが測定したグラフが出ていて、incredibleって言ってます。
19:44 測定結果グラフを見せてiBasso DX220がとてもローノイズだって言ってます。
21:46 HIFIMANのアナンダBTとTWS600。わたしもアナンダBT聴いたことあるのですがこれはとても素晴らしいです。
37:59 Rosson Audio Design RAD-0。Audezeの創立者の一人Alex Rossonが作った平面型。自然でニュートラルだけど音は豊かだとJudeは言ってます。

IMG_0498_s.jpg
Rosson Audio Design RAD-0 (Headfi TVから)

47:14 JudeはリボンのRAAL SR1aのほうがAKG K1000よりもいろんなめんでより優れていると言ってます。
56:29 HEDD HEDDphone ONEはAMT(Air Motion Transformer)ドライブのヘッドフォンです。AMTというと鎧のような奴を思い出す人も多いでしょう。

IMG_0499_s.jpg
HEDD HEDDphone ONE (Headfi TVから)

しかしオルソダイナミックや静電型に加えてリボンとかAMTとかいろんなドライバーがまた出てきましたね。また百花繚乱という感じです。

それとRupert Neveもそうですし、今回はワッツもいろいろとセミナーを持っているのですが、イギリスはやはりオーディオ系の歴史が豊かで人材が豊富だと思いますね。日本の場合にはハイエンドオーディオという趣味がアメリカから入ったということもあって、イギリスは多少縁遠いようにも思えてしまいますがやはり本場です。
最近私がよく話する人だけでもロバート・ワッツ、トルステン・レッシュそしてボブスチュワートと海外技術系の大御所はイギリスですからね。そして歴史があって人脈がいろいろと絡んでいます。
わたしとかは飛行機関連で戦時中のレーダー技術とかも興味あって、やはり電子技術では昔からイギリスがダントツなんですが、そうした歴史もまた深みを感じます。
posted by ささき at 21:40| ○ オーディオショウ・試聴会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年07月10日

ラズパイ4のUSB-C端子に設計不具合

ラズパイ4のUSB-Cの設計にミスがあり、互換性が完全に保たれない可能性があるようです。端子のピン設計にミスというか手抜きがあるようです。別にすべき抵抗を共用化しているようで、これはラズパイらしい低価格化のゆえかもしれません。
このためにE-MarkタイプのUSB-Cケーブルを使用すると、ラズパイ4を給電先ではなくオーディオアダプターとして誤判断してしまうかもしれないということ。つまりこのタイプのケーブルを使うと充電できないかもしれないというわけですね。
これはラズパイ側も認めていて、将来(数か月後?)のボードデザインでは改良されるそうです。

https://arstechnica.com/gadgets/2019/07/raspberry-pi-4-uses-incorrect-usb-c-design-wont-work-with-some-chargers/
posted by ささき at 23:13| ○ PCオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年07月05日

Campfire Audioの新製品、Polaris IIとIOのレビュー

Campfire Audioの新製品が国内発売されました。その中から今回はPolarisの改良型であるPolaris IIと、新ラインナップのエントリー機であるIOのレビューをしていきます。

IMG_6630_filtered_s.jpg  IMG_7569_filtered_s.jpg

まず、この前のヘッドフォン祭でKenさんが来た時に簡単に今回の製品についてインタビューしたものがあるのでそれを掲載します。

* Campfire Audio Kenさんとのインタビュー

- PolarisIIについて

ささき: これはPolarisの新バージョンですか?

Kenさん: そうです。いくつか改良をしたものです。
まずダイナミックドライバーが大口径化しています。8.5mmから9.2mmに変更しています。

ささき: それはAtlasとは違うものですね?

Kenさん: そうです。新規開発したものです。
ドライバー以外ではクロスオーバーも異なってます。また筐体を前は3Dプリントしていたところをステンレススチールにしています。
MMCX端子も改良され、ケーブルも新しくなっています。メモリーワイヤではなくメモリータイプのヒートシュリンク(被覆)を使っています。
ケースも改良されています。もちろん音質もよくなっていますよ。

ささき: ケーブルはSolarisと同じものですか?

Kenさん: ゲージはより細いもので、線材は同じですが拠り方は異なります。

- IOについて

ささき: IOはまったく新しいデザインですね。

Kenさん: Campfire Audioのエントリーモデルとして低価格を目標にしたんです。2ドライバーで大きなBAドライバーと小さな高域BAドライバーの組み合わせで、クロスオーバーを介しています。またインピーダンスの変動が少ない設計を施しています。
もちろん低価格でも音質はよいものを目指しているので、コストパフォーマンスは高いですよ。
ケーブルは新Polarisと同じで、ケースも新Polarisと同じです。

ささき: 高域ドライバーはTAECを採用しているのですね?

Kenさん: はい、音響抵抗も使用していません。TAECは音響抵抗を省略できる理由の一つですが、すべてではないのですよ。
音的にはJupiterに似ています。特に高域の伸びがそう感じさせると思います。

ささき: 改良されたJupiterのような感じですか?

Kenさん: まあそういう感じかな(sort of that)。
(改良されたというよりは)似た感じといったほうが良いかもしれません。


* Polaris IIインプレッション

以前のPolarisのレビューはこちらです。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/453783142.html
旧タイプとの差は見た目がフェイスプレートが青に変わっているということが異なっていますが、印象はかなり似ていますね。

IMG_7560_filtered_s.jpg  IMG_7561_filtered_s.jpg
PolarisIIパッケージ

音が細かく高域は鮮烈でこまかな響きもよく再現している。かなりレベルが高い音と言えますね。低音はかなり深く量感あり、EDMなどを聴いた時のベースの重さがすごく迫力があふれます。
旧タイプよりも低音が強いのが特徴で、よりハイブリッドらしいとも言えます。旧タイプとの比較でなく、絶対的にもかなり低域の量感があって、重みがあります。あくまで大口径ダイナミックらしい重みのある迫力あふれる低域表現です。

IMG_7567_filtered_s.jpg

ここが前のPolarisとは一番異なる点で、以前はつながりがよくシングルのようなある意味ハイブリッドらしくない完成度を目標にしていたように思えるけれども、新Polarisではあくまでハイブリッドらしい低域のパンチの強さを売りにしています。
ただし中域はクリアで低域にあまりマスクされていないように思えますね。ボーカルは男性も女性も明瞭感があって歌詞が聴き取りやすいように聴こえます。

イヤピースとケーブルをPolaris IIのものに統一して旧Polarisと比較するとかなり大きく音が違います。音の個性自体は似ていますが、旧タイプでは低音がかなりばさっとローカットフィルターをかけたように減ります。能率自体はあまり変わっていないように思えます。旧Polarisも低音がないわけではなく、深くて抑えめのバランスのよい低音ですが、量感がまるで違います。旧Polarisはわりとフラットですっきりとした(ある意味BAよりの)音再現ですが、新しいPolarisはいかにもハイブリッドという感じの低音です。これによって迫力がだいぶ違います。
ただ新Polarisはこんなに低域が増えたのに中域があまり埋もれないのはなかなかのチューニングの冴えと言えると思います。

旧タイプのPolarisはCampfireの技術の総集編的な投入をしつつ、コストパフォーマンスの高いモデルを作ることを目指したと言えるでしょう。それに対して新タイプはよりハイブリッドらしい高性能イヤフオンを作ることを念頭に置いたと思います。

IMG_1435_s.jpg

*IOインプレッション

Campfire Audioは天文の名称を付けてきましたが、IOは木星の月であるイオ(英語だとアイオー)からつけています。木星は以前Jupiterという製品があったということがポイントです。

IMG_6620_filtered_s.jpg IMG_6623_filtered_s.jpg
IOのパッケージ

Campfireの低価格モデルだけども、ケンさんがシンプルイズベストを極めたって言ってたんですが、透明感というか鮮明さが独特で価格が安いだけではなく他にない個性がある。チューブレス構造の極み、みたいな音の気持ち良さがありますね。

中高域の透明感、鮮明さはIOならではの個性があります。低価格モデルということを忘れて、この気持ちよさの魅力で思わずIOを持ち出したくなることでしょう。良録音のアコースティック・アンサンブル、女性ヴォーカルの良さはひとしおです。
帯域的にはわりとフラット、ニュートラルで低域の量感も十分にあります。低域も質は良くタイトで解像感のある低域で超低域(サブベース)もそれなりにあると思います。アコギの胴鳴りの豊かさ良いですね。
とはいえダイナミックドライバー機やハイブリッド機と比べるとやや軽めには感じられるかもしれません。言い換えると全体にBAらしい音の作りであり、あたかもシングルBA機のような感じを覚えるのがひとつのポイントだと思います。

IMG_6633_filtered_s.jpg

もうひとつのIOの特徴はこれも独特の立体感が良いことです。Campfire Audioは前作のSolarisから一皮むけた立体感の良さが感じられますが、Kenさんに聴いてもあまりなにか特別の技術云々というわけではないようです。
関連するのかどうか、HeadFiでJudeがCampfire Audioを測定したグラフが公開されていますが、いままで測定した中でも最も左右の周波数特性とTHDがマッチしたイヤフォンの一つと言っています。
https://www.head-fi.org/threads/campfire-audio-io.905408/page-27#post-14972084

これもあってか、IOはものすごく性能の良いシングルBAイヤフォンって感じに思えるのが面白いと思います(実際はデュアルですが)。

シンプルイズベストを単なる低価格というのではなく音の魅力にした点はさすがです。BAらしいイヤフォンがほしい人で、ダイナミックと差別化したいならこれをお勧めできますね。

IMG_0764_s.jpg

まとめ

ひと言でいうと、IOがBAらしいさわやかな明瞭感を出しているのに対して、Polarisはハイブリッドらしい高域の鮮烈さと低域の重さを両立させていると思います。
それぞれらしさ、個性を明確にしているというのは海外製品らしい個性的な魅力を感じさせてくれることでしょう。


posted by ささき at 14:46| ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする