Music TO GO!

2025年07月03日

インドの静電型ヘッドフォンのCEOインタビューをPhilewebに執筆

インドの静電型ヘッドフォンのCEOインタビューをPhilewebに執筆しました。
インドの精密機器っていうとあまり良いイメージはないかもですが、カルダスは家族経営で航空宇宙関係とか精密製造業を営んでいて自家製造できるのが強みです。こちらご覧ください。

https://www.phileweb.com/interview/article/202507/03/1061.html

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2025年06月27日

ウッド振動板の新星TWISTURA「WOODNOTE」レビューをAV watchに執筆しました

ウッド振動板の新星TWISTURA「WOODNOTE」レビューをAV watchに執筆しました。
ウッド振動板の暖かい味と、カスタマイズ性を両立させたコスパの高いイヤフォンです.

https://av.watch.impress.co.jp/docs/review/review/2023403.html

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2025年06月26日

SP4000 発表会

Astell & Kern SP4000発表会に参加しました。主に音質とフルAndroidについて試してみました。

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発表会の様子とSP4000

ハイドライビングモードなど、機能詳細については先日のこちらの記事「SP4000の技術詳細について」を参照してください。

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(右側・銀色がSP4000で、黒はSP3000です)


SP4000は6インチの2K解像度のディスプレイ採用など、全体がSP3000よりも多少大きく重くなってますが、それ以外は従来のステンレスモデルと似ています。画面はより発色がきれいです。またキーロックがハードスイッチとして上部に取り付けられています。

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(右がSP4000)

画面構成はあまり変わらず、従来のSP3000に慣れている人はすぐに使い始められるでしょう。

音は慣れたqdc White Tigerで聴いてみました。

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SP4000とWhite Tiger

ジャズ・R&Bヴォーカルのアーロンネヴィル「Summer time」をSP3000とSP4000で同じく再生します。
まずハイドライビングモードなしで比較します。

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SP4000の音はちょっと聴くとSP3000に似ていますが、音質の差はあります。SP4000ではアーロンネヴィルの声を振るわせるコブシのような歌い方の、細かな声が振るえるテクスチャがSP3000よりも細かくよく伝わってきます。またSP4000では曲のピアノの音がSP3000よりも明瞭でSN感が高いと感じます。
SP4000で聴いてからSP3000で聴くと曲が軽く薄めに聴こえるほどです。SP4000はより据え置きオーディオ的で音に豊かさと余裕があるという感じですね。

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ハイドライビングモードのスイッチ

次にハイドライビングモードで試してみます。
ハイドライビングモードをオンにするとよりアタック感が強く、より濃厚なサウンドになります。ドラムスを叩くインパクトがより鋭くなり、声がより前に出てきます。力感も上がりますが、音の濃密度も上がる感じです.

イヤフォンをLUNAに変えてみます。

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SP4000とLUNA

AKの回答ではLUNAは特にSP4000に合わせたわけではないとありましたが、SP4000とLUNAとはとても相性が良い組み合わせと感じます。LUNAが滑らかで高性能ながらリスニング寄りのサウンドなので、本格オーディオのようなSP4000の厚みのある音と相性が良いと感じます。特にハイドライビングモードとの相性が良いようです。
LUNAは鳴らしにくくはありませんが、限界がものすごく高いので、SP4000のようなハイエンド機に向いてます。

次にSP4000のフルAndroidという側面について試してみました。
背景を解説すると、AK DAPはAK240から内部はAndroidだったのですが(WiFi使用と高機能化のため)、音質を考慮して大幅にカスタマイズされていました。そのため一般のアプリのインストールはできず、一部OpenAPP経由でインストールができました。それでは不便なので、今回フルAndroidとしてPlayストア経由のインストールが解禁されたわけです。

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SP3000ではサービスメニューのあった項目が、アプリドロワーになっています。フルAndroidといってもデスクトップ画面はないのですが、ここからGoogle Playストアにアクセスができます。インストールしたアプリはこのドラワーに表示されます。
Google Playストアのアプリを立ち上げるとログインできます。

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Neutron Player画面がSP4000に出ているところ

自分のアカウントでログインして、Neutron Playerをインストールしたところうまくインストールでき、内蔵音源も認識できました。さっそくNeutron Playerの64 bitモードをオンにして再生したところかなり「やばい」レベルの高音質で再生できます。
つまりSP4000のフルAndroid機能では、ストリーミングアプリだけでなく、音楽再生アプリも入れ替えられるので、大幅に楽しみ方が増えたわけです。おそらくUSB Audio player proもインストールできると思います。

このほかにも64 Audioとの提携によるイヤフォン「XIO」も展示されていました。

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SP3000とXIO

これは64 Audioの「Volur」をベースにしてハウジングや音のチューニングを変えたものです.
こちらは慣れたSP3000で聴きました。厚みがあって重厚感があり、APEXらしいクリアな抜けの良い透明感も魅力的です。

これらは7月5日のヘッドフォン祭ミニに展示される予定ということです.興味ある方はどうぞ。
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2025年06月19日

Eシリーズの交換DACカード登場、「AD1955DACカード E7専用カード」レビュー

令和の時代に古き良きハイエンドオーディオの音が蘇る。そんな感覚が味わえるのが今回紹介する「AD1955DACカード E7専用カード」です。
以前の記事でLUXURY&PRECISION(以下LP楽彼)の新たなフラッグシップシリーズとして「E7 4497」のレビュー記事を公開しました。
本記事はそのDACカードである「AD1955DACカード E7専用カード」を使用したレビューです。(便宜的にE7 AD1955とも呼びます)

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E7 AD1955とWHITE TIGER、背面は鏡面仕上げ

「E7 4497」は2024年の8月に登場したLP楽彼の新DAPとしては5年ぶりのフラッグシップでした。DAC ICはAKM AK4497を採用しています。
E7という名前の由来は、LP楽彼は新たにEシリーズを立ち上げていくという意味も持っていて、EはEXCHANGE(交換)の意味を持っています。これはモジュール交換機構を備えることで、将来的な新技術や新DACチップに素早く対応できるということです。
それを実現したのが今回の「AD1955DACカード E7専用カード」です。価格は税込126,500円です。

製品ページはこちらです。
AD1955DACカード E7専用

なお今回のレビューは「E7 4497」に「AD1955DACカード E7専用カード」を適用して交換したものです。6月27日には初めから「AD1955DACカード E7専用カード」が組み込まれたセット商品である「E7 AD1955」が597,300円(税込)発売されます。興味ある方はそちらも確認ください。


* 特徴

前モデルに使用されていたAKM AK4497はお馴染みのハイエンドDAC ICですが、「AD1955DACカード E7専用カード」ではADI(アナログ・デバイセズ)AD1955がデュアル搭載されています。AD1955が搭載されたポータブルプレイヤーは史上初ではないかとのこと。
AD1955周辺に配置したディスクリート自動バイアス補正回路が、ゲイン設定・出力モード・ヘッドホン負荷・周囲温度といった再生環境の変動を常時モニタリング、アナログ段の動作点をリアルタイムで自動調整。環境に左右されず、自動的に最適化されることで、一貫性ある理想的なトーンバランスと空間表現で「AD1955本来の音色」を提供するということで、かなり凝った回路設計のようです.
また一般的なDAPではシングルエンド出力は性能が控えめになってしまう傾向がありますが、本モジュールは2基のAD1955の全出力チャンネルをフルに活用し、IV変換・LPF・音量制御・バッファアンプなど全回路がフル稼働する設計となっているという点もポイントです。

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AD1955は2000年代初頭のSACD時代にハイエンドオーディオ機器で広く採用されたDACチップで、現在ではビンテージ的な位置付けにあります。マルチビット方式を主軸としつつ、デルタシグマ変調を組み合わせたハイブリッド方式を採用しており、マルチビットとしても最近再注目されているR2Rラダー方式とは異なった方式です。つまりオーバーサンプリングを併用しているのでNOS(Non-Oversampling)モードは非対応ですが、R2R方式では一般的に実現困難なDSD信号のネイティブ再生が可能で、SACDの滑らかでアナログライクな音質再現に優れているとされています。クラシックやジャズを温かみのあるアナログライクな高音質で楽しめる、いわゆるオーディオらしい音を出すICということになると思います。
端的に言うと、現代のAKM DACの高解像度でクリアな音とは一線を画し、少し前の古き良きSACD全盛のオーディオ時代にハイエンド機で輝いたマルチビット+デルタシグマ方式のDAC ICです。

オリオラス・ジャパンのページではAD1955を選択したことについて説明がなされています。据え置きのハイエンドオーディオではよく「ローレベル・リニアリティ」(弱小レベルの音の正しさ)が求められると言いますが、AD1955はこのページに書かれた独自のPDLR技術を用いて、音楽を作り上げる細かな情報を再現するDACとしての性能と、魅力的な音色を兼ね備えるDAC ICだということなのでしょう。単にオーディオらしいというよりもハイエンドオーディオらしい音ということになりますが、それをポータブルで実現したのがこのE7 AD1955ということになります。

ソフトウエア自体は変化がないので、DAPとしての基本ソフトウエアにはLE OSという独自開発のOSが踏襲されます。これは可能な限り小型で軽量に設計したというもので、軽量なので音質に寄与するというだけではなく、デジタル部の電力よりもアナログ部分により多くの電力を割り当てるというEシリーズの開発方針が反映されたものです。

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E7ではWi-Fiが搭載されていないので直接ストリーミングを再生することはできませんが、その代わりにBluetoothレシーバー機能を凝ったものにするというアプローチが行われています。コーデックはaptX、aptX HD、aptX LL、そしてAACとSBCに対応しています。内蔵メモリはなく、外付けのMicroSDカードに音源を格納します。これは「E7 4497」と同じです.
E7にAD1955DACカードを装備した際は最大PCM 192kHz/24bit、DSD128に対応します。

この他にも今回は試せませんが、ポータブル真空管アンプEA4との最適化を図った専用ラインアウト回路を採用。通常のラインアウトと切り替えることでE7とEA4を組み合わせて優れた音を再現するという仕組みもあります。

* カード交換について

E7シリーズは基盤が一般的な交換式より大きいのが特徴です。今回試したデモ機ではドライバーと予備ビスがセットされていました。

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着脱は簡単で、まず底面の小さなネジを2本、付属のドライバーで外します。次に底面を軽くスライドさせるとぱかっと簡単にカード本体が外れます。

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今度はAD1955カードを同様にスライドさせてはめ込み、ネジを再度締めます。このときカチッと音がするまではめ込んでください。
とても簡単で5分ほどで終わります。交換すると底面が鏡面仕上げになります。

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* インプレッション

まずqdcのマルチBAドライバー機「White Tiger」で聴いてみました。

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E7 AD1955とqdc WHITE TIGER

音はとても透明感が高く、音像が鮮明で、SN比がとても高いと感じられます。特筆すべき点は音空間の立体感が際立っていて、三次元的な奥行き再現に優れています。解像度が高く先鋭的な音ですが、同時に音像の角が滑らかで刺激的なきつさがありません。
L&Pの音は硬質感があってモニター的なものが多かったと思いますが、AD1955は誇張感こそありませんが温かみのある音色が感じられ、リスニング寄りと言って良い心地よい音の響きが楽しめるサウンドです。

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E7 AD1955とqdc WHITE TIGER

低域のウッドベースの弦の鳴りは深みがあって十分な量感がありますが、コンシューマーサウンドのような誇張感はありません。高音域のベルの音は澄んで雑味がありません。楽器音がとても自然で誇張感がなく、特に弦楽器の鳴りが優れています。
いわゆるアナログ的で古き良きハイエンドオーディオを感じさせるようなサウンドです。

イヤフォンをシングルダイナミックのハイエンド機であるDITA Audio「Perpetua」に変えるとAD1955モデルは真価を発揮するように音楽的な音の良さを感じさせてくれます。
音は有機的でより滑らか、まるで真空管オーディオを彷彿とするような鳴りです。ヴォーカルも肉質感よくかつ明瞭に歌詞が聞こえるようになります。ドラムはベースは躍動感がより感じられ、ヴォーカルはよりリアルで生々しくなります。それでいて音はあくまで先鋭的であり、SN感の高さが感じられます。

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E7 AD1955とDITA Perpetua

イヤフォンをqdcのWhite Tigerに戻し、比較のために4497モジュールに付け替えて音を聴いてみました。
やはりAK4497ではいわゆる「現代的」な音で、音が澄み切っていて透明感の高い水の湖のような音空間です。輪郭が明確で、鋭いペンで描いたようなはっきりとした音像が感じられます。歪み感が少ない端正な音が特徴で、着色感もなくニュートラルで、比較していうとモニターライクなという感じです。
あえていうと、AK4497では多少デジタル的で、AD1955はアナログ的と言えるかもしれません。

本カードではシングルエンドの出力にもこだわりがあるので、端子交換可能なDITA PROJECT Mで4.4mmと3.5mmの音を比べてみました。
たしかに4.4mmから3.5mmに変えた時に、出力は下がりますが、普通感じられる軽さや音場の狭さは少なくなっているように感じられます。また高域の先鋭さや低音の深みなどはやはりバランスのほうが上ではありますが、そう大きく劣るようには感じられません。なかなか優れた3.5mmだと感じます。

* まとめ

端的にまとめると「E7 4497」の音は現代的なかっちりとしたて鮮明な、いわば「モニターライク」サウンド、「AD1955DACカード E7専用カード」の音は厚みがあって温かめのオーディオらしいサウンド、ただしSN比なども高い性能を有した少し昔のハイエンドオーディオのようなサウンド、ということになると思います。

次回の第三弾はバーブラウンのPCM1794Aだそうです。これも少し前のDAC製品で、SN比も高くオーディオらしいアナログ的な音も期待できると思いますが、DACをめぐる面白い旅が期待できそうなシリーズです。
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2025年06月18日

Astell & Kern SP4000の技術詳細について

Astell & Kernが発表した新しいフラッグシップであるSP4000について、疑問点をAKに直接問い合わせて回答をいただきました。自分が足した補足事項は(注)としています。
ちなみにSP4000の海外ホームページはこちらです。
https://www.astellnkern.com/product/product_detail.jsp?productNo=164

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1. ハイ・ドライビングモードとは具体的にどのような回路か?、どのようなメリットがあるのか?

Q . まずハイ・ドライビングモード(High Driving Mode)を説明します。従来は出力を上げると供給電流が増加してTHDに影響し、逆にノイズを減らすと出力が不足するという長年の問題がありました。その問題を自然に解決するため、SP4000はSP3000の約2倍のOP AMPを搭載しました。
これはOP AMPを水平に並列配置し、ハイ・ドライビングモード専用のディスクリートスイッチを開発したものです。OFFモードでは全OP AMPの半分しか使用しませんが、ONモードでは車の四輪駆動システムのように並列に配置された全OP AMPを使用します。
これによりHigh Driving Modeでは、より深く奥行きのあるパワフルなサウンドを、Nomal Modeではパワーとクリーンさのバランスが取れたパフォーマンスを両立しています。
ノーマル・モードでもSP3000より高い出力電流が得られるように設計されています。SP3000の2倍のOPAMPが動作するハイ・ドライビングモードでは、音に厚みが増し、低音に密度が増します。ハイ・ドライビングモードは電流を大幅に増加させる役割を担っているので、低インピーダンスのレシーバーをうまくコントロールしてドライブすることができます。加えて、きめ細かく繊細な音質を求めるときはノーマルモードで楽しみ、よりソリッドで豊かな音色を求める音楽ではハイドライビングモードに切り替えると、より良いリスニング体験が得られます。

2. ESAとはなにか? どのようなメリットがあるのか?

Q. ESAは、デジタル信号がDACによってアナログ信号に変換される過程で適用されます。この変換プロセスでは通常、周波数により一定の遅延が生じますが、AK独自のESAテクノロジーはこの時間差を最小限に抑えます。その結果、各周波数はほぼ同時に到達し、より深い低音密度と強化されたダイナミクスを実現します。

(注: 周波数に応じて一定の遅延が生じるのは「群遅延(group delay)」という一般課題です)

3. ハイドライビングモードとESAは互いに関係しているのか?

Q. ESAはハイ・ドライビング・モードと関連しており、各周波数間の遅延を減らすことでアナログ信号全体を向上させます。その結果、ハイ・ドライビング・モードが有効になると、この強化された信号も反映され、さらに効果的なパフォーマンスにつながります。

4. DARが改良されたようだが、具体的な新機能はあるのか?

Q. 第一世代のDARでは、音源をアップスケーリングすることで、より滑らかで自然な高域表現を可能にしていました。しかし、ロッシーと呼ばれる非可逆音源の場合、すでにかなりの情報が欠落しており、DARで復元できる範囲は限られていました。一方、SP4000で新たに実装された「Advanced DAR」は、音声データ復元アルゴリズムを用いて音声信号を精密に解析。まず失われた高周波成分や微妙な音響ディテールを復元し、次にアップスケーリングを行います。このプロセスにより、自然な響きの仮想倍音が生成され、ディテールが大幅に向上します。

5. PD10のクレードルはSP4000対応なのか?

Q. はい、互換性があります。開発当初から、クレードルはPD10とSP4000の両方に対応するように設計されていました。

6. A&K DAPはAK240からカスタマイズAndroidを使用してきたが、今回フルAndroidにした理由はなにか?

Q. 何よりも、Astell&Kernの製品を通して音楽にどっぷり浸かってほしい、優れた音を聴いてほしい、本当の原音とは何かを知る喜びを知ってほしいという思いがありました。しかし、時代が急速にストリーミングにシフトしていく中、Astell&KernはオープンAPPサービスの提供で対応しました。しかし、ストリーミング時代の波に乗るには、もはやオープンAPPサービスの限界に気づくようになりました。
ストリーミング・プラットフォームの中でも高品質なオーディオ・サービスが急速に台頭していることを目の当たりにし、私たちはSP4000にフル・オープン・アンドロイドを実装することを決断しました。これを可能にしたのが、10年以上にわたって蓄積されたソフトウェアのノウハウをもとに構築された、当社独自のオーディオ・アーキテクチャADP(Astell&Kern Direct Path)です。

ADP(Astell&Kern Direct Path)は、Androidシステムに標準で搭載されているSRC(サンプルレートコンバーター)をバイパスするソフトウェア技術です。音声データはSRCを経由せず、ADPを通じて直接AndroidのHAL(ハードウェア抽象化レイヤー)に送られるため、元のデータが改変されることなく再生されます。
なお、AudioFlingerに含まれるAudioMixerをバイパスするようシステムが変更されており、それによってAudioFlingerでもビットパーフェクト再生が可能になっています。

(注: いわゆるミキサーバイパスのことです)

7. 今回フルAndroidにしたことで、バッテリー保護モードなど、自由にアプリが使える以外のメリットはあるのか?

Q. 前述の通り、フルAndroidに変更する最大のメリットは、幅広い音楽アプリを自由に使えることです。それを除けば、技術的に特に大きな違いはありません。
ちなみにバッテリー保護モードは、フルAndroidを使用しないモデルにも適用されています。

8. 平面型IEMのLUNAは、SP4000のために設計されたものか?

Q. LUNAのドライバーは、特定のDAP向けに設計されたものではありません。開発中にさまざまなAKのDAPを検討しましたが、ドライバーはAKや他のDAPに接続されているかどうかに関係なく、最高のパフォーマンスを発揮するように設計されています。

9. SP4000だけではなく全体的な質問ですが、昨年会社組織が変わったことでなにか変化はありましたか?

Q. 組織再編による大きな変化はありません。Astell&Kernは、独自の哲学とアイデンティティを堅持しつつ、より迅速で深い技術開発、生産能力の強化、世界市場でのプレゼンス拡大に注力していきます。

(注: 聞くところでは、CEOがオーディオマニアなので、事業への理解度が増したという背景があるようです)

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2025年06月17日

PhilewebにShanlingのポータブルCDプレーヤー「EC Zero T」の記事を執筆

PhilewebにShanlingのポータブルCDプレーヤー「EC Zero T」の記事を書きました。

アナログ的な音がよく、デザインも趣味製が高いポータブルCDプレーヤーです。
https://www.phileweb.com/review/article/202506/17/6091.html

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2025年06月11日

WWDCでのApple Musicの新機能について

WWDCで発表されたApple Musicの新機能である「Auto Mix」については、まだ詳しくは紹介されていませんが、AIを使ってBPMを合わせる機能ということなので、以前アスキーに書いた下記のアップルの特許を使用していると思われます。

https://ascii.jp/elem/000/004/208/4208511/

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これは「MOVEMENT-BASED AUDIO OUTPUT FOR ELECTRONIC DEVICES(行動に基づいた電子機器のオーディオ出力)」です。
センサーからユーザーの動きを読み取り、テンポと周期を検出、そしてソフトウェアによって動きのテンポとマッチするように音楽のテンポを決定します。運動とはウォーキング、ジョギング、ランニングなどの単純なものから、ダンスや体操、掃除など動き自体に意味を持つ運動まで含まれます。
そうしてテンポに合う音楽をキュレーションしてプレイリストを提示する方法と、音楽の基本的なテンポ自体を変更するという方法が示されています。

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2025年05月21日

AndroidがAndroid 16 ベータ3でAuracastに正式対応

開催されたGoogle I/Oでの発表でもありますが、Android 16 ベータ3でAuracastに正式に対応しました。
当面はPixel 9デバイスのようですが、詳細については分かりません。

Android Developers Blog
https://android-developers.googleblog.com/2025/03/the-third-beta-of-android-16.html?m=1
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AV Watchに平面型でアニソンを聴く記事を執筆

AV WatchにSendy Audioの平面型でアニソンを聴く記事を執筆しました。
ApolloとAiva2という個性が異なる2機種をアニソンで聴き比べてみるという記事です。

https://av.watch.impress.co.jp/docs/review/review/2014967.html
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ノウルズカーブを採用したTWSがSBC&Sから発売

下記のKnowlesのリリースにあるように、これまで書いてきたノウルズカーブを採用したTWSがSBC&S(ソフトバンク)から発売されました。

https://www.knowles.com/news-event/press-releases/knowles-balanced-armatures-power-sb-c-s's-new-premium-glidic-tw-9100-true-wireless-earbuds-jpn

ノウルズカーブとは一般的なハーマンカーブに対して、少し高音域を持ち上げた特性曲線のことです。これはKnowlesの実証的な研究によるものです。

ノウルズカーブについてはPhileweb、
https://www.phileweb.com/sp/review/column/202503/04/2538.html
またはアスキーなどに書いています。
https://ascii.jp/elem/000/004/110/4110059/2/
興味ある方はご参照ください。
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